Ddogのプログレッシブな日々@ライブドアブログ

政治経済軍事外交、書評に自然科学・哲学・聖地巡礼・田園都市ライフ、脳の外部記憶媒体としてこのブログを利用しています。2020/11/30以前はGoogle検索でキーワードを入れると常に上位にありましたが、日本のトランプ大統領デモを紹介した記事が米国でバズって以降検索アルゴリズムから排除され検索ヒットされにくい状態です。是非ブックマークをお願いします。このブログをご訪問していただいた方の知識や感性として共有できれば幸せに思います。

Submarine aircraftのニュースがTechnobahn に出ていました。

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DARPA Submersible Aircraft
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Cormorant ?
http://www.hitechweb.genezis.eu/hydroplan.htm
【Technobahn 2008/10/7 13:20】米国防高等研究計画局(DARPA)が潜水可能な航空機(Submersible Aircraft)の研究開発に着手していたことが6日、DARPAが公表した研究概要資料によって明らかとなった。

 開発仕様書によると、この潜水可能な航空機は、、乗員8名に900キロの貨物を搭載して飛行状態(海面効果による飛行でも可)で最低100海里(nm)、潜水状態で最低12海里、全体で1000海里の作戦行動範囲を持つものとの条件が付けられている。

 DARPAでは今回、公開した開発仕様書に基づき、研究開発業者を公募。実際に仕様条件に従った実験機の開発を任せる。

 潜水走行可能な航空機は一度、ロッキード・マーチン社の先端軍用機開発部門「スカンクワークス」が、無人潜水航空機「コルモラント(Cormorant)」の構想を発表したことがあった(現時点ので開発進捗状況は不明)。

 「コルモラント」の場合、潜水走行を行う時には主翼は折りたたむと同時に、ジェットエンジンの開放口などは全て閉じられるというもの。しかし、「コルモラント」の場合、発進は潜水艦のミサイル発射口から行われることが想定されており、水上から自律的に離陸する能力までは備わってはおらず、今回、DARPAが公表した新型機のコンセプトは技術的には「コルモラント」を上回る難易度が要求されることとなる。

 この機体、試作機の開発を通じて実用性が確認された場合には、特殊工作部隊の他国への侵入用に用いるられる予定。 
http://www.technobahn.com/news/2008/200810071320.html

Skunk Works multi-purpose UAV

私の幼少の頃の愛読書 小山内宏著「世界の秘密兵器」秋田書店に海軍の秘密兵器「飛行潜航艇」のイラストが載っていた。
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子供心に、そんなのはSFだけの話と思っていました。テレビのアニメでは、空を飛び水中を潜ることが出来、ついでに宇宙まで行ったのは宇宙戦艦ヤマトやホワイトベースなど万能艦はいくつも登場しますが、

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http://chikyu-to-umi.com/sf/sf_sub.htm
海底軍艦 轟天号


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http://www.geocities.co.jp/Technopolis-Mars/6527/ufo3.htm
謎の円盤UFOのスカイダイバー

といったところが思い出されますが、
DARPA Submersible Aircraftの目的が特殊部隊の侵入目的とのことで、やはり科学忍者隊ガッチャマンのゴッドフェニックスがイメージに近いかもしれません。
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http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%83%E3%82%AF
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ガッチャマンのゴッドフェニックス

「Submarine aircraft」の元祖といえば、飛行機は水上機ですが、戦後アメリカに衝撃を与えた、帝国海軍 潜特型 伊400と水上攻撃機 晴嵐の組み合わせであったと思います。
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米軍に接収された伊400のカラー写真
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伊400型の模型
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水上攻撃機 晴嵐

米国海軍は戦後、伊400型海底空母の衝撃から、今日の原子力戦略ミサイル潜水艦のアイデアが生まれたといわれています。

原子力戦略ミサイル潜水艦が誕生するその過渡期には、航空機型の巡航ミサイルレギュラスⅡ2発を積んだグレイバック型が建造され、1958年に就役し、1964年ポラリスミサイルを搭載したワシントン型の就役にともない、任務を終了しました。
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レギュラスⅡとグレイバック (SSG-574)
http://www.pbs.org/wgbh/nova/lostsub/
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%90%E3%83%83%E3%82%AF_(SSG-574)
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http://www.secretprojects.co.uk/forum/index.php/topic,2390.0.html
潜水艦自体は十分使用可能であったのでシーダート水上ジェット戦闘機を搭載するアイデアもありましたが、シーダートジェット水上戦闘機が開発中止となり、特殊部隊を輸送する揚陸輸送潜水艦に改造され1984年に退役しました。現在は改良オハイオ型が任務についています。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%82%AA%E7%B4%9A%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E6%BD%9C%E6%B0%B4%E8%89%A6
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F2Y F-7 / SEA DART シーダート
http://ja.wikipedia.org/wiki/XF2Y-1_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)

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Tacit Blue 潜水可能航空機計画と同じ頃スカンクワークスが計画した初期のスティルス航空機
http://robocat.users.btopenworld.com/future.htm
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注目のG7声明が発表されました。
現在の状況には迅速で例外的な行動が必要=G7声明 
[ワシントン 10日 ロイター] ワシントンで開催の7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)は10日会議終了後に共同声明を発表し、現在の状況には迅速で例外的な行動が必要との見解で一致した。
 また、混乱した市場を安定化させ、信用の流れを回復させるため、引き続き協調していく方針を明らかにした。ただ、具体的な措置には言及しなかった。
 声明は、システミックに重要な金融機関の破たんを阻止するため、断固たる行動をとりあらゆる手段を活用する方針を示した。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-34251520081010
  1.システム上の重要性を有する金融機関を支援し、その破綻を避けるため、断固たるアクションをとり、あらゆる利用可能な手段を活用をする。

  2.信用市場および短期金融市場の機能を回復し、銀行およびその他の金融機関が流動性と資金調達に広範なアクセスを有していることを確保するため、すべての必要な手段を講じる。

  3.銀行やその他の主要な金融仲介機関が、信認を再構築し、家計や企業への貸し出しを継続することを可能にするに十分な量で、必要に応じ、公的資金、そして民間資金の双方により、資本を増強することができるよう確保する。

  4.預金者がその預金の安全に対する信認を引き続き保つことができるよう、各国それぞれの預金保険・保証プログラムが頑健であり、一貫していることを確保する。

  5.必要に応じ、モーゲージその他の証券化商品の流通市場を再開させるための行動をとる。資産の正確な評価と透明性の高い開示および質の高い会計基準の一貫した実施が必要である。

  これらの行動は、納税者を保護し、他国に潜在的な悪影響を与えないような方法で行われるべきである。われわれは、必要かつ適切な場合には、マクロ経済政策上の手段を活用する。われわれは、今回の混乱により、影響を受ける国々を支援する上で、国際通貨基金(IMF)が果たす決定的に重要な役割を強く支持する。われわれは、金融安定化フォーラム(FSF)の提言の完全な実施を加速し、金融システムの改革の差し迫った必要性にコミットする。われわれは、この計画を完遂するため、協力を一層強化し、他の国々と協働する。
http://special.reuters.co.jp/contents/G7_article.html?storyID=2008-10-11T103610Z_01_NOOTR_RTRMDNC_0_JAPAN-342528-1.xml

G7前にブッシュ大統領は、具体的金額や日時こそ明言しなかったが、公的資金注入を示唆する発表を行っている。
米政府は金融危機に積極的に対応、解決は可能=ブッシュ大統領 
2008年 10月 11日 
 [ワシントン 10日 ロイター] ブッシュ米大統領は10日、金融危機対応に向け政府は積極的に対応するが、不安感の増幅が株価下落につながっているとの見方を示した。
 大統領は「米政府は行動を起こしている。この危機を解決しわれわれの市場に安定をもたらすため、引き続き行動する」とし、「今回の危機は解決可能であり実際に解決する」と語った。
 また、7000億ドルの金融安定化策実施に向け財務省は迅速に対応する述べた。また、証券取引委員会(SEC)は株式市場における相場操縦の取締りに一段と取り組んでいると述べた。
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPnJT828694720081010

そしてG7後の、ポールソン財務長官の会見。
米財務長官、公的資金注入の準備表明 G7閉幕受け声明 (08:16)
 【ワシントン=米山雄介】ポールソン米財務長官は10日、7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議の閉幕を受けて声明を発表した。「金融市場の安定に向け、金融機関からの住宅ローン債権の買い取り・保証、株式買い取りの計画を進めている」と述べ、公的資金による金融機関への資本注入の準備を進めていることを明確にした。
 公的資金で購入する株式については、原則として「議決権のない株式とする」と表明。金融機関が新たに発行する優先株の買い取りを念頭に置いていることを明らかにした。 
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20081011AT3K1100A11102008.html

概ね予想通りのG7声明と、ポールソン財務長官の声明でした。やはり、世界同時利下げはG7の声明で行う方が効果的なような気がします。追加利下げへの布石はありますが、貴重なカードを無駄にした感は否めません。

朝、五味前長官や塩爺が出演していたTVの情報番組を視ていたのですが、具体的ではないと失望するような発言をしていましたが、私も、現時点では、協調を確認した無難な声明であったと思いますが、やはりもう少しサプライズがあっても然るべきと思いました。

しかし、マスコミの生態としてはよくあることですが、公的資金を注入するにもされる側の不良債権や、資本の毀損額も算定できていない現時点で、具体的な注入金額や時期の発表を求める方がおかしい。

当局も大雑把な額を想定して動きだしてはいるだろうが、金融安定化法案が紆余曲折の末に可決され1週間、世界協調利下げをして2.3日しか経っていない段階で、次のネタの仕込みは物理的に無理である。事務方は、現時点で、直ちに作業を始めましたとポールソンに報告するのが精一杯のはずである。

塩爺がいつものように、「財務大蔵大臣達は、銀行は1つも潰さないぐらいの発言をしなければ危機は終わりませんよ」、TVのコメントで言っていましたが、現時点では、当局も当事者の銀行も資本の毀損額や不良債権、不良債権の恐れがある債権、まったく心配がない債権の区別すらできていないのだから、塩爺も現時点でポールソンがそのようなことを言うのは無理なことぐらい承知だろう・・。(やはり塩爺の自慢昔話であった。)

サブプライム問題を端に発し発生した金融危機は、株価の高値から1年、実際の危機が深刻化してFRBが動き出し公的資金の注入までの段階をわずか1年弱で到達してしまった。
この間のバーナンキ議長とポールソン財務長官がした対処は迅速かつ適切な処置であったことは間違いない。

迅速で適切な処置が正しくとも、マーケットが対応できず、マーケットがマーケット自身で結局は市場を押しつぶしている。マーケットには今時間が必要なのだ。大恋愛をして、その恋が終わった場合、心の傷はそう簡単に癒せない。時間だけが唯一の解決方法であるように、マーケットにはまだ時間が必要なのだと思う。(恋か・・・)

逆に考えるとバーナンキ議長とポールソン長官の処置が適切すぎて、マーケット自身の失敗の責任を当局の失政と責任転嫁することが出来ず、マーケットの負のエネルギーのガス抜きが十分出来ずにいるため、マーケットは、その負のエネルギーを直接「暴落」という形で表してしまっているかもしれません。

早すぎる適切な処置は、実は適切ではなく、マーケットに対して冷静になるべき時間的余裕を逆に奪ってしまっているのかもしれません。市場は当局に迅速な対応を催促しているにもかかわらず、自分自身は処理のスピードに追従できないのかもしれません。金融市場はジェットコースターに乗ってしまったようなものです。飛び降りることもできません。

ニューヨーク原油も大幅続落し終値の前営業日比は期近11限月が9.15ドル安の77.4ドル。ニューヨーク金先物相場も大幅に続落。中心である12月物は前日比27.5ドル安の1トロイオンス859.0ドルで終えた。金原油商品市況からも急激に資金が引き上げられていることがわかる。

この金融危機は、昔(1990年頃かな)、よみうりランドのジェットコースター「バンデット」を初めて乗った時を思い出します。「バンデット」はコースターのてっ辺に登るまでの時間も恐怖心を煽り、多摩丘陵を広く見渡すことが可能な頂上から、「ウォーッ」と叫びながら下に堕ちます。普通のジェットコースターならもう底に着くと思うタイミングなのにまだ下がある。まだ下があるのかよッー!ひぇー!ひぇー!ひぇー!といった恐ろしい思いが忘れられません。以後、ディズニーランドのビックサンダーマウンテンは別ですが、恐怖過ぎる乗り物施設にはなるべく近付かないようにしています。

東証でも、1万円が下値で、瞬間割れ程度が底かと思いある程度想定していましたが、8日水曜-952.58円、10日金曜の-881.06円は、よみうりランドのジェットコースター「バンデット」で叫んだひぇー!ひぇー!で14日にもう一発ひぇー!と叫びそうですが、もう底かと思たところより底割れしてしまいました。こうなれば、2003年4月28日安値7,603.76円の1番底を瞬間割れる2番底の期待がにわかに視野に入ってきます。長期上昇波動の形成には2番底は必要な波動になります。 底より下で、買い向かえば道に落ちている諭吉を裸で拾うようなものです。(お財布だったら警察に届けましょう)マーケットはその時を待っているかもしれません。

目ざとい外国人SWFは消去法ですでに円を買っているが、買った円で債券運用じゃ損失をカバーできないので、東証が底を打った瞬間、東証が外資、SWF(政府系ファンド),個人相場師達が入り乱れて相場のディズニーランドと化すかもしれません。

世界の株式マーケットは、現時点で壊れてしまっていて、上記のような急反発は妄想かもしれません。だが、明日も地球は僕らを乗せて回っています。今は過剰に不安が支配しているだけです。現在の金融システムに代わるものは何も用意されていません。つい2.3ヶ月前まで世界中が怯えていたインフレ軍団は撤退し、世界中が恐れた最悪のスタグフレーションは回避されようとしています。

世界恐慌の危険は2010年頃まで既存金融機関が清算合併が続き、次々に危機が襲ってくるかもしれません。しかし1930年代とは違います。G7でも確認しましたが、先進主要国が協調的絆で固く結ばれていることだ。30年代の恐慌時にあっては、各国が互いに疑心暗鬼のもとで自国利益を優先したことが、事態のさらなる悪化をもたらした。その疑心暗鬼はやがてブロック経済を推し進め、第二次世界大戦に至った。

G7でも先進国の中央銀行は、協調体制をとり流動性供給さらにドル供給し、金融機関を支援し、金融システムの維持に並々ならぬ決意を表明している。30年代の恐慌時には世界経済の長期トレンドは下降局面にあった。マルサスの人口論が人々を恐怖させ、各国指導者も民族の生存をかけ、新興共産主義国家ソ連の出現と軍事的緊張とリンクし、今度の金融危機など比べ物にならないストレスであったと思う。

現在の世界経済トレンドは95年のウィンドウズ発売後96年に始まるグローバル経済の統合による上昇局面にあり、ITバブル崩壊をはさんで、BRICs新興諸国の大経済上昇過程の恩恵を享受してきた。その反動で、世界資本主義はいま、サブプライムを契機に、この5年間の絶好調から、調整過程に突入しているのである。世界経済のグローバル化にともなう世界経済の上昇によって蓄積された諸々のシステム疲労をトリミングする、絶好の機会ととらえるべきものなのである。

私は、この世界同時株安は、世界経済の終焉ではなく、グローバル経済の波動の単なる一つの下げ波動、もしくは一つの事象と考える。そして次のより良い経済を生み出す為の苦しみだととらえたい。
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[ニューヨーク 9日 ロイター] 米国株式市場は7日続落。クレジット市場回復に
向けた各国の取り組みは世界的な景気後退を回避する上で不十分との見方が強い。
 
 ダウ工業株30種.DJIは678.91ドル(7.33%)安の8579.19ドル。
ナスダック総合指数.IXICは95.21ポイント(5.47%)安の1645.12。
 S&P総合500種指数.SPXは75.02ポイント(7.62%)安の
909.92。
http://jp.reuters.com/article/stocksNews/idJPnJT828495520081009

朝モーニングサテライトをみてびっくり!そんなに下げたのか!と驚いてしまった。空売り規制が解除され、一気に売り屋が出動したのだろうか?G7を前に日本を除く世界が協調利下げをしたのは無意味ではなかったはずだが、マーケットは残酷である。引けにかけての急落はS&PがGMの格付けを引き下げる見通しを明らかにした為、コカコーラやIBMなど優良企業にも売りが殺到したとのことだ。

我先にマーケットから飛び降りようと出口に殺到したのであろう。愚かにもG7前に協調利下げのカードを先に使ってしまった。経済学者のシュンペーターは「不況のときに金利を下げるのは一つの政治的な儀式にすぎない」という。利下げは儀式であるので、G7前にカードを切るのは決定的間違いだった。

G7後もう一回再度協調利下げをする可能性もある。先進各国を横断する、銀行、証券、保険、ヘッジファンド、投資ファンド、先物取引業など業種を統一的な自已資本規制により横断的に監督する国際機関の設立が検討するなど、実行しないまでも具体的な金融システムを維持すアドバルーンを揚げる必要があるのではなかろうか?

アドバルーンは別にしてレバレッジ投資のレバレッジ(テコの倍数)を制限するとか、世界的な自己資本規制については話し合われるとは思う。

バブル崩壊、10年不況、結局日本はゼロ金利(正確に言うと短期金融市場ではマイナス金利まであった)に加え、リフレ( リフレーション:通貨再膨張)政策にまで追い込まれた。結局先進各国は日本と同じ道をたどるかもしれない。リフレで危惧されたインフレにはならなかったが、財政赤字が膨張してしまった。日本は貿易黒字と、個人金融資産があったため、こんなぼろぼろでも国体を維持できているが、米国をはじめ、欧州各国やBRICs諸国など、これから茨の道が待っている。そして今後日本のことを嘲る事ができなくなるだろう。

ここ3日の日経新聞の大機小機は秀逸な記事であった。この記事1つで朝刊140円を快く払える記事であった。日経新聞を購読する価値はこういった秀逸な記事にあります。

10月8日(水)大機小機
米FRB内部、住宅バブルを把握

米国発の金融危機は欧州主要金融機関の国有化や新興国大銀行の取り付け騒動などを引き起こし、世界的システミックリスクの様相を呈し始めている。米国経済は金融機関の貸し渋りを主因として企業・家計剖門の経済活動が急低下し、失業も増大、デフレが間近に迫っている。さらに世界経済全体として一九三〇年代に匹敵する長期停滞を危惧する見解も増えている。

世界恐慌も懸念される状況の原因として金融機関に対する規制の不備と、住宅バブルの発生や増大を容認した世界的な金融の超緩和が指摘されている。サッチャー、レーガン以来の規制撤廃や自由化によって自曲な市場がグローバルに成立した。だが市場参加者は自らルールを制定・順守して市揚を十分に機能させるのに失敗した。むしろ市場の不正な利用によって世界に不安や損失を与えてしまった。

この結果、再規制の時代となるのは不可避である。米国では既に銀行、証券、保険、ヘッジファンド、投資ファンド、先物取引業など二十数業種を統一的な自已資本規制により横断的に監督する機関の設立が検討されている。こうした再規制に際し、最も重要な点は、規制のための規制を排除し、市場の効率性維持を中心に据えるという哲学だろう。規制の内容についてはレバレッジ(外部負債依存)への規制と、保有するリスク資産に対する自己資本(規制資本十自己の必要資本)規制の二本建てとするのが重要だ。

住宅バブルの発生を容認し、バブルの増大を助長するような金融緩和について、九月末に議論した米連邦準備理事会(FRB)前幹部や米メガバンク最高幹部、ニューヨーク連銀前最高幹部らは全員が「バブルは発見できず、抑制するのも難しい、というグリーンスパン前議長の見解は極めて奇妙」と述べていた。

特にFRB前幹部は「二〇〇三年の中場には住宅価格の異常な上昇をFRB内部は明確に把握していた。〇四年六月から〇六年の政策運営は緩慢すぎ、むしろ住宅バブルの拡大を助長した」と指摘していた。この点の詳細な検討は学界に委ねるのが良かろう。

今回の教訓として、今週末に開催される七カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議では連鎖危機防止の員体策とともに「これまで以上に資産価格の動向に注意を払うことに合意した」という趣旨が声明に盛り込まれるのが望ましいと考えられる。(恵海)


10月9日(木)大機小機
危機が促す金融制度の大変革

世界各地の株価は米金融安定化法の成立にもかかわらず大幅にド落している。八日の日経平均株価は過去三番目の下落率となった。安定化策の実際の運用や、住宅価格の一層の下落など、この先も多くの困難と混乱が続くと予想される。世界の実体経済への悪影響も不可避だろう。

金融制度はどの国でも何十年かに一度の危機が生ずるたびに大きな変革を経てきた。今回は百年に一度あるかないかの変革期である。何年続くか分からないが、危機が落ち着いた先にはどんな金融制度が待っているのだろうか。

前回の金融制度の大変革は一九三〇年代の大恐慌のときである。その際の経験を経て、銀行と証券を分離する金融制度が成立した。現在では実体的には銀行と証券の相違は消滅している。市場は一体化したが、規制はなお銀行と証券とに別個だった点が今回の危機の一因である。

現に米国では既に大規模証券会社は消滅した。このため金融規制は銀行規制に統一されていくだろう。

結局、すべての金融機関により明確に自已資本が要求されるようになるだろう。そこで問題は、子会社の連結制度である。連結基準があいまいなままでは真の自已資本は定義できない。子会社や流動性供給、保証契約など、簿外の契約をどのように資産として評価するかも課題になる。

市場の評価に基づく会計基準でさえ揺らいでいるのが現状だ。どのような評価基準を用いようが、簿価での正確な自己資本評価は非現実的である。最終的には、市場の評価に基づく株価の総額だけが唯一正確な自己資本である。市場評価は大きく変動するという懸念もあるだろう。しかし自己資本は常に安定的なものではなく、市場の評価が変化すれば直ちに変化すべき性質を持つものである。画期的な技術進歩をなし遂げた企業の価値は、その技術を市場が評価した瞬間に増加する。

市場の信頼を失えばその自已資本は一瞬にして損なわれる。自已資本とは本来そうした性質のものである。重要な点はモラルハザード(倫理の欠如)を起こさない制度の構築である。短期的な評個だけでは膨大な報酬を得て退職する経営者も出る。金融機関の経営者に長期的な視野を持った経営を促すため、給与を減らし、退職後十年間の業績に運動して退職金を分割払いするなど、報酬制度改革も必要である。(桃李)

10月10日(金)大機小機
バブルと中央銀行の使命

問題の発端の米国で金融安定化法は何とか成立したが、マーケットは依然その実効性に大きな疑問符を付けたままだ。六日のニューヨーク市場ではダウエ業株三十種平均が四年ぶりに一万ドルを割り、東京でも日経平均が九日に一時九一〇〇円まで下げた。米国、欧州、アジア、世界全体で株安が止まらない。

米国では失業率が上昇し始めた。住宅市揚の先物価格は二年後まで底を打たない。実体経済への影響はこれからが本番というところだろう。米国の住宅市場におけるサブプライムローンの間題は、まさに世界的な金融危機の様相を深めている。

ふり返ると、ほんの少し前まで中央銀行と金融政策に関するエコノミストの見方はかなり楽観的だった。インフレ・ターゲティングを含めて物価安定を明確な目標として掲げていた。多くの国で中央銀行の独立性も制度として確立していた。政策金利を物価の動向や実体経済の需給ギャップに応じてどのように変えるかについて「テーラー・ルール」が中央銀行の共有財産となった。こうしたことを通して過去二十年ほどの問に中央銀行と金融政策には「イノベーションLが生じた。米連邦準備理事会(FRB)のグリーンスパン前議長や、イングランド銀行のキング総裁をはじめ世界の中央銀行はイノベーションをフルに生かし、長期にわたる世界経済の成長と物価の安定を生み出すのに成功した。

こうした見方が大勢であった。だが現在進行中の金融危機は、楽観論の陰で世界の中央銀行が大トンネルをしていたことを明らかにした。経済学者のシュンペーターは普通の意味での金融政策の意義をほとんど認めなかった。テーラー・ルールなど一笑に付したに違いない。彼は「不況のときに金利を下げるのは一つの政治的な儀式にすぎない」という「暴言」すら残している。

シュンペーターが金融について重視したのはただ一つ。超金融緩和の下で生み出されるバブルとバブル崩壊が実体経済に与える影響であった。バブルは事前には分からない。これが中央銀行の公式見解だ。資産価格の急上昇は必ずしもバブルではない。その通りだ。我が国の岩戸景気(一九五八~六一年)の経験はよい例だ。しかしバブル期にはやはり変なことがたくさん起きる。そうした警告をとらえるのが中央銀行の重要な使命の一つである。(与次郎)
米株式こうみる:地合いの早期改善は困難=バンク・オブ・ニューヨーク・メロン
<バンク・オブ・ニューヨークメロンのシニア通貨ストラテジスト、マイケル・ウールフォーク氏>


 リスク回避は依然として非常に強い。現在起きていることは新たな展開とは何ら関係していない。きょうは、われわれが知らなかったことは何も出てきていない。今目にしているのは、リスク回避のため市場から逃避する向きと、利益を上げるため(株価を)押し下げる投機筋だ。

 われわれは恐ろしい危機の中にいる。しかし、現在見られる積極的な政策の協調には勇気付けられる。7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)は重要だ。利下げは良い試みだった。今後も各国が協調して取り組むと期待する。

 その一方で、巻き戻しはしばらく続く。市場の地合いを早期に改善させることは非常に困難だ。


 (ニューヨーク 9日 ロイター)

http://jp.reuters.com/article/stocksNews/idJPnTK019547620081009
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=「落ちるナイフは掴むな」= =「落ちる短剣をつかもうとするな」=
まさに、今日の日の為にある格言です。下げ相場で無理に掴もうとすると、怪我をする。

人は底値の瞬間で買い天井で売りたくなるものです。しかし、そんなことは、株の神様でも無理です。=「頭と尻尾は、猫にくれてやれ」 = ぐらいの気持ちで構えることが望ましいのかもしれません。この相場環境では =「売りは迅速、買いは悠然」 =買いについては悠然と向かうべきなんでしょう。

相場の格言は、人間社会を生き抜く知恵でもあり、相場の格言は常に心に持ち続けています。相場の格言といえば、なんといっても思い浮かぶのは、
=「人の行く裏に道あり花の山」=
「多くの人が花見に行く場所より、人の知らない所に行けば、花の山をゆっくりと楽しめる」と言う格言。相場の格言集には必ずある格言です。株式格言の真髄は「逆張りの勧め」なのかもしれません。
もう一つ有名な格言が=「相場は悲観の中に生まれ懐疑の中で育ち楽観の中で成熟し幸福感の中で消えていく」=相場の生成から終末の過程を四段階に分け、各場面における投資家の心理状態を、巧みに洞察した傑作な格言です。

今日は、新しい相場の誕生日かもしれません。でも、誰にもわかりません。=「もうはまだなり、まだはもうなり」 =この格言は相場の予測の困難さを、巧みな表現で説明したものですが、結局天井と底にいるときは=「天底では、少数意見につけ」= =「総弱気は買い、総強気は売り」=
=「万人が万人ながら強気なら、たわけになりて、売るべし」= 何処が天井で、何処が底かは、その時点ではわかりません。後から振り返ると、天井では総強気、底では総弱気が市場を支配しているのです。

=「株価は頂上において強く見え、底で弱そうに見える」=そういうものです。
=「大衆は常に間違っている」= 「大衆は錯覚で投資するから常に間違うのです。大衆というものから抜け出さなければ相場での成功は無いだろう」という格言です、けして上から目線での言葉ではないので、「人の行く裏に道あり花の山」と同じ意味ですので誤解なきようお願いします。今日のネット掲示板では世界恐慌に恐怖するだけの大衆が存在しています。

=「知者は惑(まど)わず、仁者は憂(うれ)えず、勇者は懼(おそ)れず」 =
「道理をわきまえている人は事に当たっても迷わない。情け深い人は天命に安ずるから心配しない。勇気のある人はおそれない。」論語からの引用ですが、自分はとても此のレベルではない、ただの愚者かもしれません。せいぜい、=「幽霊と相場師は淋しいほうに出る」=と相場師を気取った単なるへそ曲がりにすぎません。
「相場師は人気のない銘柄を、底値で買い集めるべきである。(逆張り)」
「相場師は、目立ってはいけない。幽霊のような存在であるべきだ。」ブログなんてやってる場合じゃないかもしれません。

これだけの下げ相場となると、もはやテクニカルで計算した下値の予想数字はあてになりません,
=「相場は値より日数」=です。こういった相場は値段よりも日柄で見たほうが確かでしょう。10月10日のG7と16日のシティの決算発表日は相場の転換の要注目日です。=「天井3日、底百日」=などの言葉があるように日柄を注意して見なければなりません。波動などにおいては値幅より日柄の方を重視することが必要です。

=「株価は悪魔の鏡」= 私は株価や市場価格というものは、ある意味で神聖なものだと思っています。森羅万象あらゆる情報を反映させる鏡のようなものかもしれません。人が命から2番目に大切なお金を出して投資する株価は、常にその時その時で常に正しいのです。http://members.at.infoseek.co.jp/J_Coffee/keizaishi0.html#chuurippu /17世紀のチューリップ球根の高値も、バブル時の日本の株価や地価も、サブプライム問題の核の債券CDOも売買をされた時点での取引価格は正しかったのです。
つまり、市場価格を形成する情報とは、経済的合理的なもの以外、群集心理、間違った噂や誤解、作為的嘘、恐怖心、熱狂的な思い込みなど全てを含めたあらゆる心理をも映し出した「悪魔の鏡」なのです。

10月が底値になる可能性は高いと思ってはいますが、米国市場が底を打たない限り日本だけが底打つことはできません。これから厳しい米国の中小銀行が1000件も倒産する金融再編が始まったばかりです。物凄いスピードで処理をしていますが、早くても来年後半にならないとまだみえてきません。=「相場の金と凧の糸は、出しきるな」=を心がけ、賢い投資をしてほしいものです。

=「しまったは手仕舞え」= =「見切り千両」= =「利食い千人力」=を心がけ、皆様も是非ご精進ください。私も=「曲がりやに向え」=」「Ddogに向え」などと陰口を言われないように私も頑張ります。

最後に一つ
=Colors fade,temples crumble,empires fall,but wise words endure. =
=「色は褪せ、寺は朽ち、帝国は滅びる。しかし賢者の言葉は永遠である」=
byエドワードソーンダイク


追伸:外資系のトレーダーからの又聞きですが、NYでは、此の下げ相場で4000億円儲けている方がいるそうです。
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金融の嵐の中心で俺は無責任に叫ぶ「日本株は10月ソコ!底」「ドルは暴落して無いぞ!(ちょっと対円では下げたが)」「原油も90ドル台にちょっと戻ったが下落基調は変わらない」

7/3投稿の【日経平均サイコロ1‼】
http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/12008197.html
↑とりあえずクリックして読で下さい。

底値を10500円と予測していましたが、世界中で金融危機の激震に見舞われ、1万円をザラ場で割れてしまった。しかもまだ下値も十分ありうる相場環境です。でも予測した最後のチャートを見て下さい。7月の時点での予想にしてはいいところついていると思います。そう!もう「底ですよ」ええ、楽観的に無責任に勝手に言います。責任も取りませんが・・・目先の底です。←ちょっとだけ逃げてます。

本格反騰は、NYが底を打つまでは楽観視できません。NYダウの三尊天井は9000~9300 ドル程度までの下値が予想されますが、NYが底を打つのは1月20日の新大統領就任後の可能性があります。
10 月8日の米金融株の空売り規制が解除るのが少々恐い。大きく売り込まれた場合は10日G7の対応がどうなるか見ものです。

テクニカル
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当落レシオ日足<画像をクリックしてください>

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当落レシオ月足<画像をクリックしてください>
http://www.opticast.co.jp/cgi-bin/tm/chart.cgi?code=0188
当落レシオの50%台は底値圏以外のなにものではない。

日本の株式市場は、金融株、外需株、小型株の順番に底値固めに入ると見ており、フィボナッチ転換日や、上記グラフの当落レシオで日経平均の底打ちを予測すると。今週末~10 月末までに底入れをする可能性が高い。

その間に今不安なのが10月8日の空売り解禁と、10月10日のG7です。G7で何も対策らしい対策が出ず、協調利下げも肩透かしであった場合の反動が恐ろしい。もう一つシティ10月16日の決算だ、今のところ無難に通過する期待が高いのだが、少々胸騒ぎがします。これさえ通過すれば日本の外需株も底入れして、反発の準備はいるはずだと思う。日経平均の底値は10 月末前後になる可能性があると思う。本日10月7日ザラ場において日経平均が1万円を割れた、しかし、割れて早々に反発し1万円を回復したの。これはいよいよ、打診買いが出始めた可能性がある。

連日ニュース報道等でも、日本の金融機関が相対的に一番健全であるとのニュースもあり、金融株は既に底を固めている可能性がある。外需株が底を打つのは容易ではないが、一つには円ドル相場が落ち着かなくては難しい。

昨晩は、折角原稿を書き終えた時点でドル相場をチェックしたときは、あまりの相場変動に投稿をボツにしようかと思ったくらいだが、間違っていないと思っているので、思い切って投稿してしまった。
2.3年先のドル円相場は、再びドル安になる可能性は高いと思います。まるでわからないが、冷静に相場をチェックすると、対円ではドル安円高だが、その他通貨では、ドル高である。

ドル崩壊ドル崩壊とネットでもニュースでも繰り返すものだから、サブミナル効果の影響を受けてしまった。 唯一シカゴ筋先物のポジションは唯一対ドル円のみ円ロングポジションである。後はすべてドルロングポジションだ。


円・ドルで100円割れも否定できないが、ドル安・円高は8・9合目であると思う。

問題はむしろ豪ドルかもしれない、豪州準備銀行は10 月7 日、100bp の追加利下げを決定し、政策金利は6.0%となった。今回の利下げ局面では、9 月の利下げ(25bp)に続く2 回目の利下げとなる。声明文では、世界的金融危機下における異例の大幅利下げは適切との見方が示された。 豪ドルは米金融危機の深化につれて調整し70 円割れ目前まで下落した。金融危機が収斂する兆しは見えておらず、「リスク資産」としての豪ドル売り圧力はしばらく残る可能性が高いだろう。事前予想では最大でも50bp の利下げが想定されており、100bp の利下げはネガティブサプライズである。
今回の大幅利下げは、国際金融危機が深まる中で、金融機関による資金調達が一層困難になる下で、資金の借り手にとって負担を軽減する為に効果的な利下げを実施するためには、100bp に及ぶ大幅利下げを決断する必要性が高かったと考えられる。

欧州の金融危機はアメリカ以上の猛威を振るっている。結局平時ならともかく、今回のような事態になると、皆自国を優先してしまう。結局ユーロや欧州統合が緊急事態には不適応であることが立証された。ユーロなど所詮畸形のキメラ通貨にすぎないことが分かってしまった。

ユーロは次の基軸通貨には成り得ない。今回の金融危機において自分達の税金で、他国民を救うような行為の影響は議会の反発や庶民の糧にも影響すると思います。投下しないのであれば、早晩折角育ったユーロの化けの皮が剥がされ、瓦解する運命をたどるような気がします。
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TOPIXが1000ポイントを割った!
TOPIX 999.05 -48.92 日経平均10473.09円 ―465.05

ときは今、雨が下しる 五月かな:明智光秀
ときは今、株が下がる 金無月かな:Ddog

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<画像をクリックして下さい>
TOPIX日足 10/9が転換日
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<画像をクリックして下さい>
TOPIX週足 11/3が転換日
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日経平均月足10年<画像をクリックして下さい>
2番底を形成中

過去の底値からの上昇率は50%を超えています。

日本の株式市場は2003年4月7600円まで落ち込んだ時点よりテクニカル的には割安です。2003年TOPIX構成銘柄1571銘柄中PER15倍以下が453銘柄PBR1倍以下が873銘柄、利回り2%以上が524銘柄に対し、10/3現在PER15倍以下が957銘柄、PBR1倍以下1152銘柄、利回り2%以上790銘柄→更に本日、10/6現在PER15倍以下が1005銘柄、PBR1倍以下1216銘柄、利回り2%以上837銘柄

1726銘柄のほとんどがテクニカル指標を無視した超お買い得価格です。
下落相場にテクニカル指標は不要かもしれませんが、後から振り返った場合、テクニカル指標は嘘をつかない。

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VIX指数と過去の危機<画像をクリックして下さい>
http://allabout.co.jp/finance/stockbeginner/closeup/CU20070826A/
【VIX指数とは】
VIXとは、「ボラティリティ・インデックス」の略称で、アメリカのCBOE(シカゴ・オプション取引所)が、アメリカの主要株価指数の一つである「S&P500」を対象とするオプション取引の値動きを元に算出・公表しているものです。このVIXは将来の投資家心理を示す数値として利用されており、「恐怖指数」という別名が付けられています。では、なぜこのVIXが「恐怖指数」と呼ばれているのでしょうか。その由来は、この指標の元になる「ボラティリティ」です。

【ボラティリティとは?】
「ボラティリティ」とは、株価の値動きの度合いのことで、株価が激しい値動きをするとボラティリティの数値は高くなる傾向にあります。例えば、5日間で200円上昇する2つの銘柄があるとすると、毎日40円ずつ上昇する銘柄より、100円上昇、50円下落を繰り返す銘柄の方がボラティリティは高くなります。
VIX指数を見る限り、恐怖の頂点である可能性は高い。チャートやテクニカルを信じるのも相場、信じないのも相場です。

少なくとも株式市場は底値圏である事は間違いないが、米国が下げ止まらないことには勇気が要ります。ちなみに、日足週足ともに転換日が迫ってきている点にも注目してください。

問題はドルです。毎日念仏のように書いていますがドルが世界の基軸通貨であり、今後も基軸通貨であると思います。その通貨が今最大の危機にさらされているのも事実です。
今回は世界中で株だけが集中攻撃を受けて売られ、ドルは対円で円高ドル安以外比較的強含んでいます。欧米金融機関の急激な破綻が9月後半から10月初めにかけて急速に広がった結果、世界の銀行間市場ではドル資金の出し手が消え、ドル市場の流動性はほぼ枯渇したのが原因です。

白川日銀総裁は9月29日、日米欧のドル資金供給策の発表時に「米ドル資金市場の流動性はほぼ枯渇した状況だと判断している」と発言した。ロンドン銀行間市場でドルの翌日物金利が一時10%超え、欧州の銀行の資金がとれなくなった。欧米の中央銀行はドルの資金供給で昨年夏のサブプライム危機直後と昨年末にもドル資金供給で連携しているが、今回は日銀も総額1800億ドルの資金を供給した。日銀が初めて国際協調に参加したのは東京市場でも、欧米の銀行の信用が低下し、資金調達が思うようにできなくなったためである。

欧米銀の苦しい状態はドル資金だけでなく、円の調達にも取引が出来ない状態がでてきた。欧州では29日以降の3日間で4つの銀行が政府管理に入る危機の連鎖となってしまった。まさしく世界金融恐慌への入りロヘである。

この様になってくると欧米の金融機関に資金を貸してやろうなどという銀行は出てこない。
金融機関は円滑に資金がとれなくなると、融資などに回すお金が不足するばかりか、資金繰り破綻にもつながる可能性はある。

ドル金利が急上昇する中で大きくドルの売り持ちを抱えていられる人は皆無という状態になってきたことによるものだ。米国企業の景気不安感は一気に悪化し、欧州の信用リスクも大幅に高まった。

7-9月期の米国内総生産(GDP)は個人消費、設備投資、住宅投資の内需の3本柱が総崩れとなっており、すでに米国の金融市場とFRBはマイナス成長の観測を強め、景気をてこ入れするため10月末に開く米連邦公開市場委員会(FOMC)を待たずに米国では早期の利下げに踏み切るのではないかとの噂もある。

10月10日、主要7力国(G7)は、米ワシントンで財務相・中央銀行総裁会議が行われ、日米欧の主要国が金融危機を封じ込めるため政策協調、協調利下げを議論される予定です。
市場には切迫した危機感が存在する為、世界の銀行が資金繰りに困らないよう、適切な資金供給などを協議するようである。すでに、9月末にはG7の中央銀行が中心となり総額6200億ドル(約65兆円)のドル供給枠を世界各国の中央銀行が確保した。今後も市場へ安定に向けて世界各国で足並みをそろえ、ドル供給策を拡充するなど国際協調体制の強化も合わせて討議するようだ。

米国では景気後退色が強まり、利下げ観測が急浮上してきている。欧州中央銀行(ECB)も10月2日の理事会で、ユーロ圏15力国に適用する政策金利を年4.25%で据え置くことを決めたが、トリシェ総裁は記者会見で利下げの選択肢も議論したことを明らかにした。

世界の投投的なドル安論者はこうした状況の中で金融不安が治まれば90円台のドル安到来を唱えている。しかし今回の信用リスクの根は深く、来年後半まで資金不足の状態は続くという。となると、ドル資金不足の状態は長びくと考えられ、投資や投機のできる人達はとてもドルを調達できない。ドルの資金繰りが非常に難しく、さらにドル金利が高く、ドルの売り持ちをできる人はほぼいないと言えるのではないか。一応9月末決算期は乗り越えたが、次に年末越えという厳しい資金繰り時代が訪れ、来年に入れば3月期末という一番厳しい状況が訪れる。

日本の景気後退も補正予算を組もうが避けられはしない。協調利下げをしてゼロ金利。シカゴ筋は依然円ロングポジションだが、円の上値は重いと思います。金融不安が相当速度で解消しない限りドルを売り持ち出来る人は現れそうにない。ドル暴落論者はドル金利が景気後退で下がるからという一方的なドル安の見方である。しかし日米欧の協調利下げとなるとドル暴落は回避されます。長期的にはドル安なのかもしれませんが、そう簡単に1米ドル100円を突破したドルの暴落も無い可能性の方が高い。

日欧米の緊急協調利下げが米国と共に発表され金融緩和に転じることは世界の市場に対して世界恐慌回避の切り札となってくれるかもしれない。
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21世紀型の新金融システムは創造可能であろうか?

問題はドルの行方と考えてもいいだろう。私の主張は米ドルの基軸通貨に代わる通貨もなければ、ドルを中心とした国際決済システムに代わるものも無いと考えています。

更に今後、証券化ビジネスとデリバティブなど金融派生商品が存続するか否かであると思う。また、今回の金融システムの混乱の元凶の一つはS&PやMoody’sなど格付け機関が正しく機能しなかったことにあると思っています。今後はたして格付け機関は機能していくのか甚だ疑問に感じています。

ベアー・スターンズ、リーマン・ブラザース、メリルリンチ、AIGなど、株価が暴落に追い込まれた直接の契機は、格付け会社の「格下げ」だ。一民間格付け会社にすぎないS&PやMoody’sの勝手なリスク評価がCDSやCDOの価格形成の基準となり取引に変調の原因であるうえに、「勝手格付け」の原則により、なんら責任を負わない。しかもその格付け会社がマーケットや伝統ある企業の殺生与奪権を握っているのは異常なことかもしれない。

マーケットに関わる人間の普通の感覚からすれば、格付け機関の評価は万全であると信じることにより商売が成り立っていた。格付け会社の評価を前提とする現行の金融システムこそ破綻したといえるのではないだろうか?今後も日本の金融機関を含めS&PやMoody’s
にこれ以上市場に君臨させて良いものであろうか?と疑問に思う。

現在のところ、S&PやMoody’sの格付けを評価しない若しくは無視するような動きは見られない。現に、「市場」において、膨大な証券化商品は、そのほとんどが格付け会社に裏打ちされた「擬制価格」で評価、発行、売買されている。今更格付け会社を抜きにできるはずもない。もし格付け会社の評価が無ければ価格形成が困難なばかりか、すべて灰塵に帰してしまう恐れすらあるので、現状ではS&PやMoody’sを切り離すことが不可能なのだ。
悪役と考えるならば転移した癌細胞と考えてしかるべきかもしれない。

もはや20世紀型信用の創造保証機関である格付け会社の外科的摘出が不能であるといって過言ではない。 21世紀資本主義にあっても、多様な証券化商品やデリバティブによって、新たな成長マネーが生み出される必要性は変わりが無い。ならば、格付け機関の公平性信用性、デリバティブ商品の適正な評価をするよう、格付け責任を付加すべきと思う。

一般的な人達の感覚からすれば、デリバティブも派生金融商品も不要であると思うかもしれないが、日本において江戸時代大阪の堂島の米会所で、来年の年貢米を取引する世界で最初の先物取引が行われていたように、先物取引や普通の通貨スワップ取引、今回世界恐慌を引き起こす時限爆弾とされるCDS(クレジットデフォルトスワップ)にしても仕組みを理解すれば、元来不要な詐欺まがいの取引ではなく、グローバル化した世界経済を回転させるには無くてはならないとも考えています。

不動産や商品証券化は各種のメリットがある。例えば不動産投信RIETを例にとれば、仮に土地を買ってアパートを建てアパート経営をしたとするならば、家賃を払わない借主とか、様々なリスクトラブルを処理した上でアパートを建てたローンを差し引いた収益が残るが、資金が必要となりアパートを売り払おうにもそう簡単に売却できるものでもない。

その点証券化することによりリスク管理が容易になる。次いでリスクの特定や分散さらに組み合わせによって、リスク低減も可能になる。また、証券化は資金フローを活性化させ、結果として資金効率化に資する。だから、証券化は21世紀金融の中核的な金融技法である。

この金融工学的な手法によって、より多くのリスクを抱え込んでしまったのが今回の金融危機ではないだろうか?資産担保証券(ABS)を組成する住宅ローン担保証券(RMBS)、商業用不動産ローン担保証券(CMBS)、リスクの大きなサブプライムローンからリスクの小さい債権までを各種組み合わせて組成する債務担保証券(CDO)などは、借金を返済する意思と能力を持つことを前提として価格付けがなされるから、これら証券化商品の価値は、現実に市場で取引される価格とは乖離した擬制価格であった。

ベアー破綻後私を含めCDOを詳しく誰もが理解した今となってから見れば、誰かが王様は裸だと誰かが気がつけば、擬制価格での取引価格は不可能になり、値付けが不可か、大幅な下落に見舞われることは必然であった構造的欠陥商品だと思える。なぜ秀才揃いのウォール街で誰も指摘しなかったのか不思議でならない。

何ら権威や資格もない、一民間会社の格付け機関に上場企業の格付けの上げ下げを自在に行う生殺与奪権を持つことをSECが容認していることに対して「共和党のマケイン大統領候補が今回の金融危機に対して「SECの委員長を即刻、解職せよ!」と発言したのは、至極理解できるところです。

スワップ取引も20年前までは最先端の金融手法であったが、最近ではFX取引を行っている人なら馴染があると思うがスワップポイントなどで、だいぶ市民権を得ている。スワップポイントは為替スワップ取引によって交換した金利の利益と負担を割り当てたものです。クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)が市場ニーズで誕生するのも90年代に膨張した金融派生商品だ。簡単に言えば破綻リスクを少額の手数料や証拠金で元本を保証して、価格変動のリスクを回避できる商品だ。

考えてみると競馬のノミ行為と同じ仕組みだ!ふつうは当たり馬券(破綻すること)がめったにないので、馬券(証拠金)をただ頂くおいしい商売だが、馬券が当選(金融危機が発生)したら、途端に払えなくなってしまう。

米国のCDSの元本残高は約60兆~70兆ドルに達するとされる。 政府はAIG救済に動いた。AIGが破綻すれば、CDS市場は大混乱に陥るのが必至である。
CDSやCDOなど証券化商品やデリバティブを放置している限り、金融システムの再生は難しい。

今回金融安定化法案の救済想定は、住宅価格の下落や景気悪化などから、現時点で返済が滞っている金融機関が抱え込む住宅ローンの総額元本に等しい約75兆円である。
CDSに関してはまった何等手を打たないのか手が打てないという状態が現状だ。

金融安定化法案で金融機関のバランスシートが改善されてもCDSやデリバティブには手がつけられないでいるが、CDS自体債務ではないので、なんとかこの爆弾を破裂させず時間を引き延ばせば、CDSは消滅する。

FRB・財務省の一連の処置が功を奏し世界恐慌突入を回避できた場合は、新しい21世紀金融システムの構築がされるであろう。

証券商品・デリバティブの存在を消し去ることは不可能である為、引き続き金融工学関連商品は残るはずである。そして投資銀行亡き後監督するのはFRBである。中央銀行が金融派生商品を管理するのは一種の試練だ。しかし、この試練なくして、21世紀型の新金融システムの再構築は不可能であろう。
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紆余曲折のすえ金融安定化法案が下院でも可決成立した。かといってこれで世界恐慌が回避できたわけではない。その証拠に13日NYダウは157.47安の10325.38ドルで終わった。

約75兆円の公的資金を投入する金融安定化法案は万能ではないとマーケットが判断したといっていいだろう。

80年代末の米国のS&Lの金融危機でも日本のバブル崩壊でも、米国の整理信託公社(RTC)と日本の整理回収機構(RCC)が不良債権買い取ったことにより、金融システムが回復した。日本のバブル崩壊に比べ10倍以上のスピードで対処するバーナンキ・ポールソンの迅速・適切かつ大胆な不良債権買い取り案は神業にちかい。日本のバブル崩壊などの過去の経験則からいえば、不良債権を公的資金によって買い取れば、金融機関が健全性を回復し、金融システムも回復するはずである。

ところがマーケットは問題ありとしている。
政府が金融機関から買い取る不良資産の価格は投売り価格ではなく、別途算定するとのことだが、S&PやMoody’sなど格付け機関の機能が機能しなかったことが原因であるのに適正な買取価格など算定できようはずがない。CDSやCDOなどの証券に実際どれほどの価値をつけていいのか実務面で問題があり、私は疑問に思う。

金融機関救済は、モラルハザードであり、日本に散々言ってきた時価会計の原則も捻じ曲げようとしているのは、けして醜くないものではない。しかしながら、下院で否決した後、米国の世論は法案可決へ急速に傾いた。この点が日本よりアメリカの賢明な点ではないかと思う。

新整理信託公社(新RTC)が不良債権を買い取っても、現行の金融システムの根本的な構造改革をしたわけではない。マーケットの最大の不安点は当にここにあるのかもしれない。

今回のリーマンショックによる金融危機が何時収束するかについて考察する場合、ブラックマンデーやロシア危機、ITバブル崩壊と同類の金融危機なのか、1930年代の世界恐慌と同等の危機なのか判断を下すことが難しい。

しかし、金融危機の結果、ゴールドマンサックスとモルガンスタンレー投資銀行の銀行持ち株会社化して、米国の金融システムから投資銀行が消えた。とにもかくにも、21世紀型の新たな米国の金融システムの模索が始まったことだけは確かだ。

21世紀最初の世界的な経済危機は、東西冷戦が終結し、世界がフラット化して溜まった最初の大きな歪みの開放であると思う。いわば経済における地震みたいなものではないかと思う。

第二次世界大戦後、1930年代の世界恐慌から完全に立ち上がったかに見えた米英は、1970年代の石油危機に端を発したスタグフレーションに陥っていた、それを克服したのは傑出した指導者レーガン大統領と鉄の女サッチャーの登場によるところがおおきかった。大経済学者シュンペーターの資本主義の滅亡過程を逆転させることに成功させたのである。

シュンペーター曰く、「資本主義はその成功故に没落する」。
小室直樹「経済学をめぐる巨匠達」P168~170
社会主義化する資本主義

森嶋教授が「大綱では致命的な誤りはない」と評したシュンペーターの未来予測とは、一体どのようなものだったのか。極々簡単に言えば、資本主義は社会主義化する、という事である。実際、世の中はその通りに進行している。

シュンペーター日く、資本主義にとって最も大切なものは革新(innovation)である、革新こそが資本主義の本懐。これが絶えてなくなれば、自由市場は活カを失い、資本主義は衰退して、遂には滅亡する。

この「革新」の担い手として資本主義発展の原動力となるのが企業者(entrepreneur)の存在である。シュンペンターの言う企業者とは、単なる会社経営者ではない。日く、旧きを破壊し、新しきを創造して、絶えず内部から経済構造を革命化する産業止の突然変異―この創造的破壊(creative destruction)を担う主体こそが「企業者」である。創業者であっても、経営の主体であっても、創造的破壊を止めてしまえば、最早企業者ではない。

ところが、である。シュンペーターは、ここで一つ重要な事を発見した。革新に次ぐ革新に依って資本主義が発展し、小企業の時代から大企業、巨大企業の時代へと移行する中で、企業経営や企業者の機能は日常化し、革新までもが日常化してしまう、というのである。

シュンペーターは「革新が日常業務化」してゆく様子を、ナポレオンの指揮官としての責務や機能に喩えて説明している。成功に依って肥大化した組織は、天才的な閃きや冒険心よりも合理化・自動化されたシステムを求め、集団的な意思決定に依ってその躯体(くたい)を維持運営するようになる。簡単に言えば、一人の天才的英雄が、その企業者精神、先見性や独創性、決断力や実行力に依って牽引してきた魅力溢れる革新的企業も、大きくなるとすっかり官僚化してしまう、という訳だ。

そうなると、新しい方法で仕事を行う筈のイノベーション活動も「官僚化された専門家」の合議により粛々と決定されるようになる。企業が官僚化してゆくと、創業者のような「俺が作った会社」という思いは消えてゆき、資本主義の根本原理である「私有財産制度」も「私企業制度」も骨抜きにされる。資本主義の生命線とも言える革命の担い手が、真の「企業者」から「官僚化された専門家」へと移行・変貌する事に依って、資本主義の精神は次第に萎縮し、本来の姿を失って社会主義化してゆくのである。

戦後の英国社会は、正にシュンペーターのシナリオ通りであった。表面的には「資本主義」の体裁を取りつつ、その内実は確実に「社会主義化」していったのである。

「資本主義は成功故に滅びる」

サッチャー以前の英国は、既に多くの産業部門を国有化していた。鉄道、鉄鋼、エネルギーに通信、医療に保険。教育や住宅も大部分が国有化され、序に「銀行も国有化してしまえ」と言う声すらあった。企業の国有化は、即ち社会主義化を意味する。世界に先んじて資本主義社会を形成した英国の社会主義化――それを土壇場で阻止したのが、サッチャーだった。

資本主義の本懐は革新であり不断の革新こそが資本主義の発展を考えるというシユンペーターの言に従い・サッチャーは国有企業の私有化を断行。昔日の光彩を失いつつあつた企業者精神を、少々手荒にではあったが煽り立てる事で、英国社会に資本主義の精神と経済的活力を取り戻させた。

かつてマルクスは「資本主義は、その欠点故に滅びる」と語り、シュンペーターは「資本主義は、その成功故滅びる」と予測した。正しかったのはシュンペーターである。

その成功故に滅亡への道を突進していた英国は、シュンペーターの革新理論に依って再生を果たし・ソ連は・その欠点故に解体を余儀なくされた。皮肉な事に、国際シュンペーター学会が設立されたのは、彼の国がペレストロイカを本格化した一九八六年である。…

シュンペーターの予測どおり、ウォール街の資本主義経済は滅んだのかもしれない。
企業組織、国家、全てのものは生き物と同じく生老病死を繰り返す。

今回の金融危機が、創造的破壊(creative destruction)にあたるものではないにしても、ある意味では、一つの資本主義が破壊されたことは間違いない。しかし、企業者(entrepreneur)が絶滅したわけではない、彼らがいる限り21世紀型の資本主義が創造されないことはないはずである。

同じく大経済学者コンドラチェフ曰く、『経済の上昇トレンドが生じるのに「新しいマネー」の創造が不可欠である』。コンドラチェフはそれを長期波動仮説において「ゴールドラッシュ」、すなわち新金鉱の発見と呼んだ。経済が新たな成長の波に入るには、新成長貨幣の創出が必要であるという説だ。

ヨーロッパの発展が新大陸やアフリカより金や銀の新な鉱脈を発見したことにより、それまで先進地域であった中東やアジア諸国を凌駕することができた理由の一つである。20世紀前半は金と金に裏付けられた英ポンド、第2次大戦後から1971年は金と金に裏付けられたドルが世界通貨だった。
1971年のニクソンショックでドルと金との交換が停止され、世界経済システムには、通貨不安やインフレ懸念がつきまとうこととなった。

世界は交換可能通貨を持つ主要7カ国(G7)の政策当局が物価、成長、国際収支、為替レート、金利などを勘案しながら、貨幣供給を厳格に管理することにより、米ドルを新たなマネーとして共同で創出したものであると認識しています。

フリードマンのフラット化する世界によれば、1989年11月9日ベルリンの壁が崩壊し、1995年ウインドウズ95の爆発的普及イノヴェーション(技術革新)により一気にフラット化し、誰もが同じグランドで競争をする世界が出現した。東欧と中国が世界経済に加わり、新たな成長核(BRICs)を生み出すに至った。これには新たなマネーが不可欠となった。これが所謂(いわゆる)証券化ビジネスデリバティブでありヘッジファンドであったはずであった。

ところが、その新たなマネーの創造者である投資銀行が消失してしまったのである。

この新たな米金融システムは基底部分には、極めて複雑な金融工学ゆえに、安全装置や厳格なルールが備わっていなかったことが、今回の金融危機の裏側にかくされていた。

過剰なマネーは暴走し株価や地価を高騰させバブル経済におちいった。米国では商業銀行ではなく、投資銀行による直接金融型に傾斜したため、実体経済が、資本市場の動向に大きく依存する社会となってしまっていた。この結果、金融システム内部の「矛盾」がまさに抜き差しならないレベルに達してしまい、リーマンの破綻によって、投資銀行はFRBの監視下に置く必然性が出てきたということであろう。

金融不安への対応の核心として、「個々の金融機関」に焦点が当てられるが、本質的なポイントは「個々の金融機関」の問題ではなく、現行の金融システムの問題であるがゆえに、金融不安の抜本的な解消は難しい。

米国の金融安定化法案が可決されても、一時的な効果はともかく、根本的な金融システムの蘇生にはつながらない恐れがある。それゆえ、マーケットは法案が可決されても、マイナスであった最大の理由となろう。

蛇足:ネット上では、帝国の崩壊を歓迎するような論調、特に昨日批判した副島隆彦など、世界恐慌を歓迎するかのような無責任な論調も多いが、米国は今回の危機で大きな試練を迎えるかもしれないが、けして地球上から消えて無くなるものではない。3億の人口と、豊かな穀倉地帯、アラスカなど未開発の資源を持ち、核兵器を保有し世界一の軍事力と世界一のGDPを占める国であるのだ。
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副島隆彦批判

副島隆彦に塗る薬はないと思っていたが、症状が悪化している。自惚れるのも程々にしてもらいたい。

アメリカ経済崩壊論は副島が言い出したのではなく、ソビエト帝国の崩壊を著した副島も私も尊敬する小室直樹先生が昭和55年(1980年)の「アメリカの逆襲」第2章安保・自由貿易体制終わるに既に予言されている。アメリカによって日本の破局がもたらされアメリカも自滅することは予測されている。平成5年(1993年)国民の為の経済原論Ⅱアメリカ併合編において、小室先生の予言とは多少異なる展開ではあるが、米国経済衰退の見通しは、ある程度当たっている。これら書籍が今日の副島のネタ本であることは間違いない。

小室先生もそのネタもとは自著「経済学をめぐる巨匠たち」(2004年)にも書いているようにシュンペーターの資本主義の没落理論である。P310「資本主義はその成功故に没落する」の一文に集約されている。

しかしながら小室先生と副島の言っていることは全く似て非なることを言っている。決定的違いとは何か?小室先生は自らの研鑽と天才的ひらめきにより自己の理論を問う純粋学問の立場に立っている。また、日本を愛する故の書籍や理論である。

一方副島は、投稿にもあるように「あーあ、こんな国に生まれちゃったよ」といった戦後教育に純粋培養された反国家的、反民族的視点論調が私の神経を逆なでさせる。

小室先生は陰謀論にかかわるようなことはほとんど言及していない。しかし自称弟子の副島は、「預金封鎖」の風説流布で日経新聞や経済誌を読むような読者層の失笑を買い、副島離れが進んだ。そのせいで、彼の読者ターゲット層を陰謀論を好む普段はスポーツ新聞しか読まないような下流層でも、多少社会的興味がある層、インテリ層でもドロップアウトして下流層になってしまったとうな層、ロスジェネ層を読者ターゲットに合わせて、くだらん本を粗製乱造している。特にロスジェネ読者層のルサンチマン(社会に対する怨念)に迎合し、「貴方は騙されているんですよ!」と吹聴する陰謀論を副島は流布している。

副島読者層は、副島からくだらん知識を吹聴されたあげく本代を副島に搾取されている哀れな人達に私は見えてしまいます。

小室先生の本を熟読している者にとっては、陰謀論を多用する副島は小室理論を曲学阿世し、冒涜しているようにしか思えない。小室先生を尊敬する者の多くは副島を小室学派とは絶対に認めないであろう。副島は小室理論を自分の妄想と偏見で捻じ曲げてデットコピーしただけで済まさず、小室先生の顔に泥を塗るような本を量産している。

図書館で借りたた「時代を見通す力など」など、直近ちょっと話題になっている歴史に関する本のダイジェスト版で、元本を読んでいる読者層は、非常に内容に物足りなさを感じる本である。なんだ直近で読んだ他の著者本の内容を焼きなおしただけジャン!失望しとても完読するに値しない本であった。

以前私は、副島の本を何冊か買って読んだが、私の貴重な本棚のスペースを占有するに値する本ではなく、いずれも即ブックオフ行きで、買うことを止めた。

数冊本棚の隅に残してあるが・・・批判するときに取っておいてある程度だ。副島は弟子を使い異常なペースで本を出版している。本を粗製乱造している著者には本の重さはあったも中身の重さがまるで無い。
副島を愛読する人間の顔を見てみてみたいものだ。

学問道場の副島隆彦は、中途半端な幸福の科学「大川隆法」やザイン「小島露観」にすぎない。

この977号の副島隆彦の文章を読む限り、彼はアメリカ発の世界恐慌を熱望しているようにしか読めない。まだ世界恐慌がこれから猛威を振るうか回避されるか誰にもわからない時期に、もし回避されたのなら、副島はどうするのだろう。己のプライドを満足させる為に世界恐慌を熱望する副島を信奉するのはカルトに等しい。預金封鎖は彼の予言期限をとっくに過ぎている。

世の中には、権力者や金持ち、利益団体、友愛団体は存在する。メーソンやイルテミナそういった力を持つ者や秘密結社の類が連携して、まるで彼らが世界を支配しているかのような世界観には賛同しかねる。

陰謀論の立場ではなく、学術的なメーソン研究の本を読む限り、フリーメーソンなどは、表の宗教的政治的対立、戦争革命に疲れた人間達が、社会的身分的立場を抜きに心の平穏を得る為の中世から近代にかけてのSNS(Social Networking Service)いわばミクシイみたいなものである。副島らが妄想する秘密結社は、外部者から見た場合、得体の知れない秘密結社にしか見えないにすぎないが、SNSに性格が似ているのではないかと思う。

人と人とのつながりを促進・サポートしたり、コミュニティを形成し、友人・知人間のコミュニケーションを円滑にする手段や場として、メーソンでは集会場所=ロッジを提供したり、趣味や嗜好、居住地域、あるいは「友人の友人」といったつながりを通じて荒廃したヨーロッパの人間関係を再構築する場を提供する、団体にすぎないと思う。繰り返される戦争を嫌気して、戦争が起きないためには世界政府が確立できれば、平和な理想的世の中になると理想論を語り合うのは、社会的利害が対立しないコミュニティ内においては、むしろ自然な事ではないかと思う。

フリーメーソンの啓蒙思想は、副島らが妄想する、陰謀論とはだいぶ乖離していると思う。秘密結社の会員が権力者であれば、多少は陰謀じみたことを思考したとは考えられるが、国際政治におけるその影響力は、中学高校における部活動と考えるべきだろう。本業である学業の余技程度に過ぎない。もっともその余技に人生をかける人もいますが・・・基本的には余技です。

小室先生は一切そういった世界観を持っていない。神の見えざる手の存在を、ユダヤや石工らが連携して力を合わせて行っていると思い違いするのは、いかにもアウトサイダー的世界観だ。神を冒涜する妄想だ。それぞれ利益反する彼らが共通の利益と意思を持っているとは考えがたい。副島はアポロ計画陰謀論のように陰謀論を安易に信じている、よく謙遜する時に使われる意味ではなく、副島は真性の「浅学非才」な男である。
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今は、世界恐慌の崖縁に立って入るが、まだ世界恐慌に真っ逆さまに堕ちないであろう。厳しいながらも今後の道筋は見えなくも無い。

【日経ビジネスオンライン】

■法案否決、それでも「市場原理主義」は生き残る
http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20080930/172152/
http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20080930/172152/?P=2&ST=sp_act
最大7000億ドルに上る公的資金を投入する金融安定化法案が9月29日、米下院で否決された。一般大衆の税金を使って、「金持ちクラブ」とも言えるウォール街を救済する構図に納得できない政治家が予想以上に多かった。 

別の理由もありそうだ。7000億ドルの投入によって、米国経済の心臓部であるウォール街が実質的に政府監視下に置かれる。民間セクターへの政府介入としては前代未聞の規模になるのだ。 

 米国は自由放任主義を標榜し、市場経済に立脚した資本主義世界を過去1世紀にわたってリードしてきた。いわば市場原理主義の本家本元であり、過剰な政府介入は米国的な価値観と相いれない。この文脈で金融安定化法案の否決をとらえることも可能だ。 

■「自由放任」から「政府介入」

欧州やアジアでは、政治家や経営者の多くがウォール街の崩壊を見て留飲を下げているようだ。無理もない。例えば1997年のアジア通貨危機の際、アジア各国で米国流市場原理主義に対する不満が噴出した。マレーシアのマハティール首相は「アジア的価値観」を唱え、米系ヘッジファンドを標的にした空売り規制の導入で株価を維持しようとした。 

 空売りは将来の相場下落で利益を得ようとする取引であり、ヘッジファンドが多用する手法だ。米系ヘッジファンドは反発し、アジア流資本主義を「クローニーキャピタリズム(縁故資本主義)」と決めつけた。 

 何とも皮肉なことである。サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題をきっかけにした金融危機を受け、今度は米国が自国市場で空売り規制の導入を決めたのだ。大幅下落が続く金融株を対象に空売りを規制し、株価を維持しようと考えた結果だ。 

 米国が「自由放任」から「政府介入」へカジを切り替えた影響は大きい。欧州やアジアの主要国が雪崩を打って空売り規制に乗り出した。あたかも世界中が「市場にすべてを任せるのは間違い」と言い、市場原理主義に反旗を翻しているようだ。 

 しかし、今年の世界長者番付の首位に躍り出た著名投資家ウォーレン・バフェット氏は、市場原理主義の将来に賭けているようだ。 

 2000年にピークを迎えたIT(情報技術)バブル期、バフェット氏は「ハイテクは分からない」として、ハイテク株にいっさい手を出さなかった。「市場原理主義の申し子」とも言える投資銀行を毛嫌いしていることでも有名だ。 

にもかかわらず、自ら経営する投資会社バークシャー・ハザウェイを通じて、「最強の投資銀行」ゴールドマン・サックスに最大100億ドル(1兆円以上)投じることを決めたのだ。ウォール街が大恐慌以来の危機に直面している真っ只中に、である。 

 バフェット氏は米経済テレビ局に登場し、ゴールドマンへの出資について「頭脳を買った」とコメントした。ウォール街は、米国の競争力の源泉である知識集約型産業の典型だ。ゴールドマンが保有する人的資産の価値と比べて同社株があまりに割安になり、「割安株投資家」としての本能がうずいたようだ。 

■『政府は問題を解決してくれない。政府こそが問題だ』

「歴史を振り返ると、危機をきっかけに政府介入を一時的に強めることはあっても、米国が1世紀以上にわたって市場経済を信奉してきたことが分かる。
第1次大戦前まで、米国には中央銀行も存在せず、有力金融財閥モルガン商会(現在のJPモルガン・チェース)が実質的に中央銀行の役割を担っていた。1929年のニューヨーク株大暴落に端を発した大恐慌を受けて、当時の政府は市場への介入を強めて「大きな政府」を目指したものの、第2次大戦後は再び「小さな政府」に戻った。 
 特に1980年代のロナルド・レーガン政権時代だ。レーガン大統領は「政府は問題を解決してくれない。政府こそが問題だ」と唱え、規制緩和や民営化、大幅減税に乗り出した。この結果、米国はベトナム戦争や石油危機の後遺症から抜け出し、再び世界をリードし始めた。この延長線上に小泉純一郎政権による郵政民営化もある。 
 「小さな政府」は市場原理主義と名を変えて、世界に広まったのである。現在の金融危機は、大恐慌以来の政府介入を招き、「大きな政府」へ回帰するきっかけになるのだろうか。

■『ヘッジファンドは悪玉なのか』

単純に「大きな政府」へ逆戻りすることはないだろう。理由は2つある。1つは1991年に社会主義陣営の盟主、ソ連が崩壊したことだ。その結果、政府が全面的に経済に介入する計画経済モデルは機能しないと見なされるようになった。 
 もう1つは1960年代に西側先進国が採用した「大きな政府」の失敗だ。例えば、「ゆりかごから墓場まで」を標榜して英国は高福祉国家を目指したものの、財政赤字のたれ流しで経済的活力を失い「英国病」に陥った。成功例は、人口が少なく経済規模も小さい北欧諸国などに限られている。 
 米国的価値観に相いれない点も考慮すれば、米国が意図して「大きな政府」へ戻ることはないだろう。市場原理主義の行き過ぎが問題であるように、過剰な政府介入もまた問題であるのだ。 
 例えば、今回の金融危機で空売り規制の標的にされたヘッジファンドは、市場原理主義の急先鋒で、悪玉に挙げられやすい。しかし、2001年に破綻したエネルギー大手エンロンの不正をいち早く見抜いたのもヘッジファンドだ。

■『ほかに代わるべきモデルはあるのか』

1990年代以降、ハイテクのシリコンバレー、娯楽のハリウッド、金融のウォール街を原動力に米国は経済的に復活し、世界から羨望のまなざしで見られた。インターネットなどの先端分野で世界を牽引し、政府介入を嫌う米国モデルを世界に広めた。シリコンバレーがワシントンとの接触をひどく嫌っていたのは有名な話だ。 
 今回の金融危機をきっかけに、世界での米国の地位は揺らぎ始めた。だからといって、米国に取って代わる国や地域はあるだろうか。急速に台頭してきた中国やロシアは経済的に発展段階にあるし、政治的に不透明要因が多い。一方、EU(欧州連合)は政治的にも経済的にも安定しているとはいえ、米国ほどの活力には欠けている。しかも、なお多数国の寄せ集めで、1つにまとまりにくい。 
 結局、今回の金融危機が一段落し、新秩序を構築しようとすれば、改めて米国を軸に考えざるを得ない。技術革新や起業家精神などを促して富を創造するモデルが、自由で開かれた市場経済であると信じる限り、である。ほかに代わるべきモデルがない現在、市場原理主義は形を変えながらも生き残るだろう。バフェット氏もそのように考えているに違いない
ドルの基軸通貨からの退位は、時期尚早である。(戦後の米ドル経済小史)」にも書きましたが、ドルに代わるものは今のところありません。
目先金価格が上昇するかもしれないが、ドルを決済通貨の役割を終了させ、代わって金本位制に戻ることは絶対に無いだろう。

今回、米ドルを調達するのに汲々としている時に、ドルの暴落は無い。せいぜい円ドルで100円~103円までであろう。米国の景気回復後、米金利の上昇と共に、米国債の換金が出始めた頃は、ドル安が急速に進むと読むべきだと思います。

米国経済マーケットは、金融再生化法案が否決されたことで、まだ一段と下落する確率は高い。ただ、大手金融機関に関する整理はひとまず一段落下可能性がある。元財務長官ルービン氏が顧問を勤めるシティグループが10月16日決算発表がある。既に資金調達はできているが、その範囲内で間に合うのかどうか?10月16日で何事も無ければ大手の再編は終了するだろう。

しかし、中小の金融機関の整理はこれからだ。これまで12行が淘汰されたが、危ないとされる金融機関は117行もある。これから100行も潰れる可能性がある。
中小金融機関の明暗を決めるのは住宅価格と景気対策である。

米国の新築の在庫は現在急速に減少しているが、中古の在庫が積みあがり、来年末まで住宅在庫、住宅価格は下落し続けるで、景気の後退は続く。→中小金融機関の破綻は不可避

大手の金融機関の処理がひと段落後→中小地銀が破綻・非金融機関の業績悪化・景気指標の悪化→金融株以外株価の一段の下落→政府の危機の認識→新た金融政策の実行→2%のFFレートを1%程度まで年末年始、年末商戦が悪かったことを見届けてから利下げを行う。

新景気対策は新大統領就任演説においてなされる。また、オバマとマケインでは異なる。

オバマ民主党→労働者寄り・大きな政府→歳出拡大→補助金公共投資
マケイン共和党→企業寄り・小さな政府→減税・所得税を均等に減税。

非金融株の下落でNY市場が9000ドルの前半まで下落したあと、金融政策と景気対策を適切に行えば、世界恐慌回避・景気回復の目がある。
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アチャーッ!やっちまったな。米下院で金融安定化法案が否決!

事前合意はされていても、まさかと思ったネガティブサプライズだった。米金融安定化法案を下院ではギリギリ採決すると思った私が甘かった。NYダウは777.68安、パチスロじゃないんだから777でも嬉しくもなんとも無い。
9/29は史上最大の下げ幅ではあるが、率にしてわずか6.98%だ。ご参考までに 1987年10月19日のブラックマンデーは508ドル安の 1738.74ドル下げ率は 22.61%でした。

午前0時現在230ドルの上昇で、ひとまず安心というところだ。

金融安定化法案を否決してしまったものの、今度は世界恐慌突入へ片足突込んでいることに気がついた否決した下院議員達があせっている。

下院全議席と上院の3 分の1 が大統領選挙と同じく11月4日に改選が行なわれる。金融機関救済のために税金を投入は、有権者からすると許せない。ここは反対票を投じておくのが安全策と考える日和見な議員が続出した。

共和党が何故反対したかというと、多数を占める民主党が成立合意であるならば、反対したうえで民主党の賛成で法案が通過することを期待した。大統領選挙戦での優位な攻撃材料として使えると考えていたのが、うっかり否決してしまった。危ないゲームに賭け過ぎたようだ。また、否決になったとしても、これだけ大きく株価が下落するとは考えていなかったようだ。

今度は、逆に法案に反対することが、票を失うことになりかねない。反対派のCantor 下院議員が、否決後の株価急落を見て「法案が通らなかったのは民主党のせいだ」と発言するなど、言い出す始末。なら最初から反対しなければいい・・・。

上院は10 月2日にも審議が実施される見込みだ。上院で可決して下院に差し戻し、今度はもう少し有権者が納得するような修正案をつけて、結局は可決されるのだろう。しかし、可決案がこれ以上、実効性が薄まる骨抜き法案になると、金融機関にとって「使えない」対策となりかねない。内容次第では、いったん株価が大きく戻した後、徐々に再下落の道を辿ることになりかねない。

マーケットが人質になっているために、急落した。株価急落を受け、議会と国民に金融安定化法案の重要性が認識されたものと見られ、いくらなんでも今度の修正案は議会を近日中に通過すると見るべきだろう。

シティグループによるワコビア買収は非常にポジティブ。一方金融株は下げ幅こそ大きいが、銀行株価指数は底割れとはなっていない。これで大手金融機関の処理は一巡したと考えるべきだろう。法案さえ通過すれば、金融株から上昇していく。

ただし、議会の動きが遅ければ、一段の株安で進行を促す催促相場の色合いが濃くなるだろう。
議会がもたついている間に景気失速が鮮明化すると、これまでフィボナッチ計算の設定していたNY ダウの3分の2押し下値予想9871.38を、下方修正する必要が出てくるかもしれない。NYダウは大きな三尊天井を形成しており、チャート面で続落決定となればネックライン水準を3月の安値とすると、安値の計測値は9316 ドルとなる。

イメージ 1

http://www.forexwatcher.com/charts.htm
NYダウ月足:画像をクリックしてください。

政策発動利下げ期待が高まってくる可能性もある。米長短金利の低下は続くだろう。ドルについては、欧州系、英系銀行の破綻の噂、国営銀行化案など情報が乱れ飛び、金融不安が深刻化していることなどから、ドルが堅調である。米国景気の失速懸念から原油価格は一段と低下する可能性があり資源国通貨も豪ドルが米ドル/豪ドル為替シカゴ筋のポジションも豪ドルショーとなるなど買いづらいことから、対円を除けば、ドル安にはなっていない。積極的に買いたい通貨がないとなれば、金への逃避が進む可能性もある

欧米金融機関を中心にドルの取引が滞っており、ドル金利は高止まりしたままである。
噂では米シティバンクが9月末を控えて、ドルを米国に送金する必要に迫られた資金の本国回帰のため1兆円強のドル買いが行われるなど、世界中で金融機関はドルを求めている。

金融機関は次に、円やユーロを元手にドルを交換する「為替スワップ市場」に殺到している。しかし、ここでも取引が成立しないケースが続出している。ドルの調達はいっそう難しくなってきた。日銀や欧州中央銀行が中心に市場にドルを放出しているが間に合わないらしい。

日本のコール市場では無担保翌日物の金利の場合、日本国内銀行が0.3%~0.4%で調達できるのに対し、外銀は0.6%~0.7%と日銀の誘導目標レート0.5%を上回る状況が続いている。また、ドルの取引金利は米系金融機関との資金取引を手控える動きも広がってドルの調達金利がはね上がった。ドルの取引金利は1力月物で2%台だったのが一時は11%に急騰した。24日には日銀が国内で初めてドルを供給して資金需給の緩和に乗り出したが、その後も高止まりしたままである。

FRBが世界の中銀にドル資金を供給すると決めたのは翌日物のドル金利が11%を付けるなど、ドルの資金繰りが困難を極めているためである。この様な状況の中でドルを売る資金を持っていないというのが実情である。これだけ米国の金融機関の破綻が続き世界恐慌の懸念もあるという中でドルが暴落しない理由は以上の点に由来していると言えよう。世界の金融市場ではドルの資金繰りが極めて困難な状況となっており、売り込めるドルを投機筋も持っていない状況である。ドルを売り込むために調違しようとすると金利は非常に高く、投機対象としては採算に合わないという状態である。

FRBと世界の中央銀行による協調金利の利下げが、3月に秘密協定によれば近くあるだろう。米国が利下げすればドル安になるというが、ドル不足の継続と世界同時協調利下げとなればドル安は起こらない。米国はこれから利下げは1回であろうが、欧州などは2~3回の利下げは考えられる。金融政策では欧州の利下げでドル暴落は無い。

しかし、大手金融機関の損失処理と金融安定化法案の成立、つまり金融機関対策は米国株底打ちの条件の一つに過ぎない。これで、大底を付けるのは大手金融株だけであり、中小の金融株と、金融以外の株、特に景気敏感株が大底を付けるには、景気対策が必要だという見方に変わりは無い。本格反騰への条件は、①金融機関対策を施した後、②景気対策としての利下げと、③財政面での追加景気対策が打たれることである。今回の株価急落は、これらの対策を促すことにもなる。
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9月26日の米株式相場は25日の196ドルの上昇に続いて11143.13(+121.07)と続伸となった。来週金融安定化法案が議会で通過すると確信しているが、通過しなければ世界恐慌である。

Calls Crisis an `Economic Pearl Harbor,' Backs Paulson
賢人ウォーレンバフェット氏は今回の金融危機は、1941年の帝国海軍による真珠湾攻撃(パール・ハーバー)に匹敵する事件であると彼は考えているとのことです。

作られた国難の代表がパールハーバーであったことはもはや隠しようが無い事実だが、アメリカにとっては大成功した国家事業であったことをバフェット氏は伝えたいのかもしれない。

パールハーバーにおいて、時のルーズベルト合衆国大統領は1.2隻の戦艦に被害が出る程度の損失覚悟で、日本を挑発して真珠湾攻撃に踏み切らせることに成功した。開戦通告が遅れたことによりだまし討ちの汚名を着せることにも成功して、“強固な挙国一致体制”まで確立ができた。

米国の伝統として欧州の政治には介入しないモンロー主義の国是であった。選挙公約上戦争介入反対で当選したルーズベルトから日本を攻撃できない。パールハーバーが騙まし討ちであるとのプロパガンダとの相乗効果で、世論が沸騰して、第二次世界大戦の参戦に成功に至ったことは既にご存知であると思う。

大恐慌後、古典的自由主義経済からケインズの理論を取り入れたニューディール政策によっても回復しない米国経済を、より統制経済に近い戦時経済体制の戦争特需により刷新することに成功した。

米国は真珠湾攻撃後、第二次大戦を乗り越えて、軍事的勝利と完全雇用と世界不況からの脱出、それに世界経済のトップという立場を一気に手に入れた無傷の戦勝国となった。そして傷ついた大英帝国より基軸通貨と世界の覇権を正式に禅譲させることに成功した。 バフェット氏はそのことを言いたかったのだろうと思う。

アメリカにとっては大成功した第二次世界大戦という政策事業と、今回の金融危機も、もしかすると作られた危機かもしれません。

可能性論からすると、中国が警戒しているように、人為的な金融危機は、米ドルを極端に安く暴落させ、多額のドル建債務を減額した上に、米国内に輸出競争力を持った製造業を復活させ、台頭する中国の息の根を止める裏の目的がある可能性もある。あわせて金融と不動産に依存した米国経済経済構造を刷新することまで米国は考えている可能性がある。バフェット氏はそのことを見抜いているのかもしれません。

また、リーマンブラザーズの幹部達もしくは、グリーンスパンに当時の米海軍総督キンメルに背負わせたスケープゴードとしての役割を背負わそうとしている。
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20080924AT2M2401524092008.html/ FBI、リーマンなど4社捜査 詐欺の疑い浮上 米で報道
 【ワシントン=米山雄介】米メディアは23日、米連邦捜査局(FBI)が、詐欺の疑いで証券大手リーマン・ブラザーズ、保険最大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)、政府系住宅金融会社の連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)、連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の金融機関4社の捜査に入ったと報じた。当局者によると捜査は初期の段階だが、会社と経営陣に詐欺の疑いが浮上しているという。FBIは発表していない。
 リーマンを除く3社は公的資金で救済されただけに、当局が世論に配慮し、不正行為の摘発や経営責任の明確化に動いた可能性がある。
 米メディアによると、FBIは今年7月に破綻した地銀大手インディマック・バンコープにも既に捜査に入っている。AP通信は当局者の話として、FBIが捜査中の金融機関は26に達したと伝えた。(10:26)
今回の米政府の救済策は、今までの金融市場本来の「規律と自由」からかけ離れた姿に、卑怯であるとのブロガー達の非難は正論から言えば正しいが、米国発の世界恐慌が起きてしまっては元も子もない。この難局を乗り越えるためには、挙国一致で、米経済構造の一大改革を目指している可能性を考えましょう。

焦点の公的資金による不良資産の買い取りは最大で7000億ドル(約75兆円)で、今後2年間の時限措置として、米国内に本店を置く金融機関だけを対象とするものである。米政府はすでに議会有力者に対し原案を捉示し、9月26日の議会休会前の可決を目指したが、法案可決まで議会は開会されるようである。

日本のバブル崩壊はこの局面に達するまでに10年、「失われた10年間」を作ってしまった。米国は日本のバブル崩壊を研究しつくすことができたので、救われている。その処方箋は、一時的に「規律と自由」を失っても早急な景気回復することにあるであろう。

そうしないと米国財政も破綻し、世界経済も破綻した場合、食料エネルギーを輸入に頼る日本に飢餓という想像もできないクライシスをもたらすかも知れない。

米政府は当初、サブプライム問題のうちは、破綻企業へ対する対処療法を行ってきたが、8月北京オリンピック終了後一気に、住宅バブルの崩壊まで突き進んでしまった。金融システムの維持のため住宅公社の救済を発表、リーマンの破綻、メリル、AIGの救済と日本の三洋証券破綻、山一、拓銀、長銀、日債銀そして非上場の生保まで疑心暗鬼からのドミノ倒しで消滅していった。山一・拓銀は致し方ないにしても、長銀と日債銀といえば「ワリチョー」「リッチョー」「ワリシン」「リッシン」といった事実上国が補償しているに近い債券を発券している発券銀行を破綻させ、生保を崩壊させたことが、日本の金融システムに深い爪痕とダメージを与えた。

バブル崩壌後の経済の安定化策の目玉は過去の日本のバブル崩壊がそうであったように不良債権の買い取りである。結果として小泉政権時代の竹中金融相は不良資産の買い取りを強行し、今日の金融安定化を達成したことにはなっているが、そもそも不良債権に無理やりしてしまったものまであり、竹中を私は評価したくない。

日本の場合も、不良債権買取機構を創設して不良資産の買い取りを進め、最後に公的資金の大手銀行への資本注入に踏み込み、メガバンクを再編し、最後「りそな」が危ういところであったが、不良銀行のゴミ捨て場であった「りそな」を救ったことにより金融危機を終えた。

あの時、「りそな」まで潰すつもりでいた竹中の翻意には本当に救われた。今回の米国は日本のバブル崩壊処理を手本としている。業界4位どうしの山一とリーマン。アメリカで6番目の預金額を誇る、貯蓄銀行(郵貯とか信金みたいなものか?)のWashington Mutualが都銀13番目の拓銀に相当するかもしれない。日本と違うのはその行動のスピードである。日本の1O分の1の時間で処理していく構えである。

もし、同じスピードで日本も処理していたら、長銀と日債銀、生保は再編するだけで救われていたかもしれない。

金融危機をめぐり株価やドルの対円相場が乱高下する激動のなかで、/ 8月貿易収支は3240億円の赤字、1月以外の赤字は約26年ぶり日本が貿易赤字を計上の記事には驚いた。

対米輸出の大幅減少などで輸出が伸び悩む一方、エネルギー価格高騰で輸入が大きく膨らんだためだ。
ということは、ドル円も円安の構図になりやすいのだが、シカゴ先物筋のポジションでは、ドルは円以外の通貨に対して強く、唯一円ドルだけが円ロングである。



なぜ、円だけがドルに対して強いのかリーマン破綻前に書いた9月13日記事不可解なシカゴ先物筋の円ドル為替ポジションでも疑問として取り上げたが、リーマン破綻でやっと理解した。今リスクマネーを供給できるのは円しか無い。リーマンに出資しようとした韓国の産業銀行が韓国金融当局に止められた最大の理由はドル不足だという。リーマンを買収するドルを韓国では調達できないところまで韓国では追い詰められている。

世界中からドル資金を引き上げている為に世界中でドルが買われているのが現状だが、日本からの流失は少ないことを意味します。日本はアメリカの10年後を追っていることを考えると、大日本金融帝国の再建もありうるだろうか?
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米金融法案、米金融市場再編、米大統領選挙が重なり、アメリカから眼が離せない

金融安定化法案、早期決着へ協議継続 米政府・議会【NIKKEINET】」9月27日現在、米金融法案はまだ可決されてはいない。
バーナンキ議長達は、最終的に公的資金の注入をしなければ市場の混乱が収まらないことを熟知している。

懸命なる一握りの米国の賢人達と各国中央銀行とは、連携し世界恐慌回避の強い意思で行動している。

(9/26)議会は直ちに行動を」 米大統領、金融法案巡り緊急声明 
 【ワシントン=米山雄介】ブッシュ米大統領は26日午前、協議が難航している金融安定化法案についてホワイトハウスで緊急に声明を発表し「議会は直ちに行動しなければならない」と述べ、法案の早期採決を要請した。大統領は「民主、共和両党が一緒になって法案を通さなければならない」と指摘。金融危機の拡大防止へ超党派での取り組みを求めた。 

米金融対策、報酬制限で歩み寄りも示唆
 【ワシントン=米山雄介】7000億ドル(約75兆円)の公的資金活用を柱とする金融安定化法案を巡り、米政府と上下両院の修正協議が大詰めの局面に入った。ブッシュ大統領が緊急演説で法案への理解を求める一方、ポールソン財務長官は24日、焦点となっている金融機関経営者の報酬制限導入も視野に入れて法案修正に応じる構えを示唆。政府は26日の議会休会前の可決、成立へ調整を加速する構えだ。 
 ポールソン長官は米下院金融サービス委員会の公聴会で証言し、高給批判を背景とする金融機関経営者の報酬制限論に言及。「制度の効率性を損なわないようにすべきだ」と述べ、不良資産を売却した金融機関への罰則的な措置になるのは望ましくないとしながらも「対処する方法を見つけなければならない」「国民が役員報酬に不満を持っているのは当然だ」などと指摘した。退職金や報酬の制限容認に含みを残したものとみられる。 (16:00)
/ バーナンキ議会証言を読み解く「異常な緊張」景気下振れ警戒へ傾斜(08/09/25)NIKKEI
米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長が24日、上下両院の合同経済委員会で議会証言した。金融システムに関して、議長は「異常な緊張」に直面していると指摘。貸し渋りの影響が経済全体に及ぶ一方、輸出も減速傾向で「年後半の実質経済成長率は潜在成長率をかなり下回る」と語った。
 みずほ証券の上野泰也氏は25日のリポートで今回の議会証言を分析、「米国の経済・金融システムが陥った苦境に対して議長が抱いている非常に強い危機感が伝わってくる」と読み解いた。
 証言の「異常な緊張下にある(global financial markets remain under extraordinary stress)」という表現は9月16日のFOMC声明文よりも明らかに強く、危機感の増大がうかがえるからだ。その証左として世界規模でドル資金を大量供給しているにもかかわらずLIBORが下がってこないとみている。
 また全体の特徴として「信用ひっ迫によって支出、生産、雇用創出が弱くなる」「ここ数カ月、実質所得の弱さは(略)消費支出に対してより明確に影響を及ぼし始めた」「ビルの建設はかなり減速する」「設備・ソフトウェア支出もまた年後半に減速傾向になる」など、景気についての悲観的なコメントが多いと指摘した。
 一方でこれまで警戒感の高かったインフレについてはあまり言及していないうえ、「エネルギー価格の下落でインフレの可能性もある程度低下した」と楽観的な内容が目立つという。つまり、16日のFOMCに比べると、金融当局の視点がより「景気下振れへの警戒に傾斜したのではないか」とみる。それを裏付けるように24日の米市場では、FF金利先物が織り込む年内利下げの確率が上昇した。

アメリカの金融安定化法案が成立するか否かは、世界恐慌になるか否かにもかかわってくる。法案成立は週明けまで持ち越された。

ブログや掲示板書き込みを覗くと、皆他人事のように米金融帝国の崩壊を嘲笑ったり、歓迎するような論調を見かける。確かにウォール街の住人を非難することは容易だし、書いていて爽快になるだろう。TV番組で自分は正義の味方になったつもりで国民に選ばれた国会議員に対し馬事雑言を言う賢人には程遠い「みのもんた」と大差が無いし、中身ブログのも事実の羅列で実が無く実に空虚だ。

私も心情的にはウォール街の強欲な連中に対しては「ザマアミロ!、奴らを救済すべきではない」と私も思っている。私の心の醜い部分で、嫉妬心の炎がそう思わせている。しかし、冷静に今後の世界経済のことを思うと、米金融市場の崩壊による世界恐慌は何としても回避する為には、「金融安定化法案」の可決成立が是が非でも必要である。自分の本音と世論の反対意見を書くのは、けして爽快な気分ではない。

米銀ワコビア、複数の金融機関と合併交渉 米メディア報道」なども新たにニュースとして加わる。3日前から文章を書こうにも次々ニュースが舞い込み、刻一刻新たに重要な展開が次々重なってブログを書けないままできた。ゴング終了間際の激しい乱打戦を見るだけでセイイパイで。一刻たりとも眼が離せないいずれにしてもこのラウンドの終了は目の前である。

賢人ウォーレン・バフェット氏へマーケットからの信任は神の如く絶大である。地獄に落ちた米金融帝国にとっては、表裏一体でもあるが、地蔵菩薩かはたまた閻魔大王か? ゴールドマンの優先株50億ドルを引き受け、さらにバフェット氏の投資会社は、最終的な増資規模は125億ドル(約1兆3000億円)まで膨らむ可能性があるという。しかも、一介の投資家が米国のいや世界の金融システムに信任を与える役割を担っているかのようだ。賢人ウォーレンバフェット氏も世界恐慌回避に一肌脱いだ形となる。バフェット氏は金融危機をパールハーバーと表現している。発言の根底には、国難であるとの認識と、挙国一致のメッセージが込められている。

三菱UFJがモルガンスタンレーに9000億円を投じて最大20%の株式を取得したり、野村證券がリーマンブラザーズのアジア太平洋・欧州部門の買収は、米国の圧力や、政府の圧力で投資させられたという、TORA殿の株式日記と経済展望の6600兆円のCDS爆弾が破裂したらアメリカ経済は吹っ飛ぶ!は賢人が書く記事ではない。

去年から春先に出動してしまったサウジやドバイなど中東産油国や中国のSWFの投資は、アラーの神にも見捨てられ高値を掴み、実弾が無くなった為出資できないでいる。日本のバブル崩壊で地獄を見た日本勢の方が、バブル崩壊の経験でニワカ成金に比べ一日の長があったのかもしれない。

JapanMoneyによる投資が成功に終わるか失敗するかは、誰にもわからない。失敗と決め付けるブロガー達は呑気なものである。
私みたいな無責任な市井のブロガー達が是非を言い合ったとしても何の意味もない。今回三菱UFJのトップはグループ全体への責任を背負い、私たちでは想像もつかない重圧の中命を張った以上の決断をしたことだけは間違いない。世界恐慌が回避された暁には賢人と称されるかもしれない。

日本でも、東芝や、板ガラス、JTなど世界市場で戦っている企業はここ2.3年で、以前では考えられないような冒険的なM&Aを行い増加傾向にあった。日本も真のグローバル企業が次々と誕生しつつある。

従来内需型であった国内小売企業、国内観光産業をはじめ、国を挙げて脱国内市場、グローバル市場へ脱皮を試みている。金融も遂に殻を再び破り世界へ打って出た。米国や政府に強制されたと考えるのは、いかにも小市民的な発想だ。賢人ではない。

人口減少とマーケットの縮小という経営環境に直面する日本企業が、業績向上の中核になると見込まれる新しい商品や、新興市場のような成長市場へのアクセスを求め海外の企業を買収する案件は、今後増加し、けしては一時的なものではないと思う。

田中宇氏「全ての不良債権を背負って倒れゆく米政府」の記事のように、米金融帝国が、終焉を迎えようというときに、なぜ今さら日本の銀行がお人好しにも、助けるのかという批判もわからないではないのだが、米政府が20日発表した総合的な金融安定化対策原案が可決されれば、米国の金融市場の流れは崩壊から再生へ完全に変る。個別の金融機関の救済や破綻処理を軸とした従来の姿勢から、包括的な対策へと転換し、米国は1年~2年で出口を見つけるであろう。

従来の投資銀行ビジネスを廃業して通常の商業銀行の傘下となりつつも、投資業務を行う。FRBの傘下に入ることにより、従来ビジネスのような、良く言えば「ダイナミズム」は無くなるかもしれない。アメリカが世界に誇る直接金融、資本市場による自由かつ競合的な資金調達を間接金融より優位にしてきた世界の終焉を意味するものではあるが、米金融帝国の崩壊を食い止める最善の策ではないかと思う。

ハゲタカたちが群がる鉄火場のような環境では無くなるのであるならば、三菱UFJはじめ日本勢にも勝算は有るかもしれない。なぜなら、世界でリスクマネーをとれるのはもはやジャパンマネーしか無い。

SECは時限措置として金融株799銘柄の空売りを全面禁止した。これをモラルハザードとして非難する人達がいるが、これは断じて違う。淘汰されるべき会社はいずれ淘汰されるとは思うが、マーケットが正常な機能を果たないと判断した場合、マーケットに制限を加えるべきだと思う。

例えが違うと思う人もいらっしゃるかと思うが、人の不幸を飯の種としている、霊感商法は自由・資本主義経済の中で許されるべきか否かを考えてみていただきたい。答えは「否」であると思う。もっとも罰当たりな商売だ。不当な商売は制限されるべきだ。

人間は基本的には弱い生き物である。窮地に立つと、不安感や焦りが疑心暗鬼を呼び込んでしまう。更に小さな嫉妬心や復讐心を持った時、人は通常の人間では無くなり「餓鬼」と化す。平和な日常社会では人格的にも申し分が無い模範的な市民が、戦場では単なる非常な殺人鬼に容易に変わってしまうことがある。貴方にも当てはまる摂理と同じである。今のマーケットは正常な判断が出来る状態には程遠い。

混乱を招く空売りは害悪にしかならない場合があり、規制は必ずしも自由主義の原則に反するものではなく、自由な資本市場を維持する為には必要な処置であると考える。
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遂に三井住友銀がゴールドマンサックスに出資した。Japanese Bank will be Back!
とりあえずニュース素材を保存
三井住友銀、米ゴールドマンに2000億円規模を出資へ
 三井住友銀行が米証券首位のゴールドマン・サックスに2000億円規模を出資する方向で最終調整に入ったことが24日、明らかになった。
 米証券会社に対しては、三菱UFJフィナンシャル・グループが米証券大手のモルガン・スタンレーへ最大9000億円の出資を決め、野村ホールディングスもリーマン・ブラザーズのアジア太平洋、欧州・中東部門の買収を決めた。相次ぐ日本の大手金融機関の米大手金融機関への出資で邦銀の存在感がさらに高まりそうだ。
 ゴールドマンは23日、75億ドル(約7900億円)の増資計画を発表した。このうち、著名な投資家のウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社が、優先株50億ドルを引き受け、残り25億ドル(約2600億円)は普通株による公募増資を行う計画だ。このうち、三井住友銀は1000億~2000億円程度を引き受け、出資比率は最大で数%程度になるとみられる。さらにバフェット氏の投資会社は、50億ドル相当の普通株を購入できる権利を得ており、最終的な増資規模は125億ドル(約1兆3000億円)まで膨らむ可能性がある。
 ゴールドマンが増資に踏み切るのは、銀行持ち株会社への移行を決めたことで、金融当局の規制をクリアするため、財務体質を強化する必要があるからだ。金融不安に揺れる米金融市場でさらに信用力を高める狙いもある。
 三井住友銀は2003年、ゴールドマンから優先株による出資を受けたり、投資銀行業務などで提携するなど親密な関係にある。1980年代には、旧住友銀行がゴールドマン株を12・5%保有する筆頭株主だった。その後不良債権処理のために全株を売却した経緯があった。三井住友銀は今回の出資で、海外での企業の合併・買収(M&A)業務を拡充する足がかりを得たい考えだ。
(2008年9月24日14時47分  読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20080924-OYT1T00456.htm
三菱UFJ、モルガンに出資 金融の世界再編、日本勢参入 
 世界的な金融再編劇に日本の金融機関も相次ぎ加わる。三菱UFJフィナンシャル・グループは22日、米証券大手モルガン・スタンレーの第三者割当増資に応じ、最大20%出資して筆頭株主になると発表した。出資額は9000億円規模と、海外金融機関を対象にしたM&A(合併・買収)では過去最大となる見通し。野村ホールディングスも同日、経営破綻した米リーマン・ブラザーズのアジア部門の買収で基本合意した。

 モルガンが巨額増資によって生き残りを目指す方針を固めたことで、今後は米証券最大手ゴールドマン・サックスの対応に焦点が移る。大手邦銀では三井住友フィナンシャルグループがゴールドマンと歴史的に親密な関係にあり、両社の対応に注目が集まりそうだ。 (07:00) 
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20080924NT003Y26622092008.html
溜池通信 
かんべえの不規則発言
<9月23日>(火)
○三菱UFJがモルガンスタンレーに9000億円を投じて最大20%の株式を取得。そうかと思えば、野村證券がリーマンブラザーズのアジア太平洋部門、さらには欧州部門も買収の見通し。溜池通信の最新号で「和製ハゲタカよ出でよ」と書いたのに、さっそく反応してくれたみたいで、ちょっとうれしい気がしています。

○これは何か書かなきゃ、と思ったら、ぐっちーさんがもう書いていた。って、当たり前か。それに付け加えることはあまりない。それにしても、去年のうちに出動してしまった産油国や中国のSWFの投資が失敗に終わり、様子見をしていた日本勢にチャンスが回ってきたというのは、怪我の功名というか何というか。昨年暮れに中国投資公司はモルガンスタンレーに50億ドルを投資したが、今度はMUFGが9000億円を投じて最大の株主に躍り出る。最初のストライクを見送ったのは正解だったということになります。

○その点では、「MUFGは最後においしいところを持って行きますか」というこのコメントが秀逸でした。「無傷の日本」が優位性を発揮した、という解説がされていますけど、それにしたって際どい差だったんだよ、とのご指摘。変に国粋的になったり、「ジャパンマネーの復活」みたいな騒ぎ方をするのは止めたほうがよさそうです。ちなみに「紅茶のあとで」さんは、英国でお勉強中だとのこと。面白い記事を期待しております。

○もっとも、この投資が成功するかどうかは分かりません。現在のアメリカの金融業界は、不良債権買取についての公的資金投入の仕組みが出来つつある段階で、ただし7000億ドルという金額があんまり大きいので(軍事予算よりも大きい!)、議会は案の定モメている。仮にこの法案が成立したとしても、「経営健全化のための」強制的な資本注入の仕組みはアメリカにはない。日本も1998年にそこで躓いた。ということで、もうひと波乱あっても全然不思議ではない。しみじみ、日本がたどった道のりと似ている。

○そうかと思うと、山崎元さんが「投資銀行ビジネスモデルの弱点」というエントリーの中で、投資銀行の問題点とは「個人の成功報酬制度をとっているために、リスクが拡大しやすいこと」と明快に指摘している。これは面白かった。ゴールドマンとモルガンは、「会社に長く居る方が得になる給与体系になっている」という話を聞いたことがありますが、これは社員が「後は野と慣れ山となれ」と思わないように仕向ける仕組みなのでしょう。

○さて、そういう投資銀行へ、日本の金融機関が手を出して大丈夫か、という意見は当然あるだろう。あるいは、「アメリカのそういうやり方が限界に来ているときに、なぜ今さら日本の銀行が手を貸すのか」という批判も、すでに誰かが言っていそうである(そーゆーことを言いそうな顔ぶれも、目に浮かぶなあ)。

○投資銀行というビジネスモデルは破綻したから、皆さん一緒に商業銀行に回帰しましょう。BIS規制を守って、中央銀行の言いつけを守って、低い利回りで満足しましょうよ、というのは、分からないではない。喩えていえば、「肉食動物を絶滅させて、草食動物だけの平和なジャングルを作りましょうよ」と言っているようなもので、日本のマスコミ的には一定の支持を受けそうなアイデアである。が、生態系としてはそれでは成り立たないだろうし、肉食動物がいなくなることでジャングルは貴重な何かを失うことだろう。

○そんなわけで、ワシ的には「和製ハゲタカ」を応援したい。少なくとも、「やっぱり駄目だったか」という姿は見たくない。ジャパンマネー1500兆円は、国内市場にとどまっている限り大きくは稼げないのだから、外に向かって雄飛するしかないではないか。
http://tameike.net/comments.htm#new
溜池通信Vol400 「特集:2つのセプテンバーサプライズ」より
「和製ハゲタカ」への期待
日本の前例が教えてくれるもうひとつの教訓は、こういうときには「ハゲタカ」が必要
だと言うことである。長銀や日債銀が破綻した際には、米国のファンドが荒稼ぎをした。
「瑕疵担保責任」という特異な契約方法に、立腹した日本人は少なくなかっただろう。し
かし、誰かがリスクマネーを供給しなかったら、その後の再生はもっと手間取ったはずで
ある。極論すれば、火事を起こしたときは、火事場泥棒が来てくれないと焼け跡の整地が
できないのである。
ところが今回の場合、ハゲタカのご本尊ともいうべき米国の証券会社が火事になってい
る。欧州の金融機関も大きく傷ついており、このままでは誰もリスクマネーの出し手がな
い恐れがある。産油国や新興国のSWF(政府系ファンド)も、ほとんどが昨年のうちに出
動して大きな痛手を負っている。
本物のハゲタカやハイエナが、自然界の生態系の中で重要な役割を果たしているのと同
様に、「ハゲタカ・ファンド」は金融の生態系を保つために必要な存在である。日本では
「ハゲタカは存在それ自体が悪」ということになって、ほとんど絶滅危機品種となってい
るが、それでは金融界の新陳代謝が進まない。サブプライムの被害が少ない日本こそ、「ハ
ゲタカ」を出す余裕がある。それは日本の金融業を鍛える機会でもあるし、同時に世界の
金融危機の克服を早めることにもつながると思うのだがどうだろうか。
http://tameike.net/pdfs8/tame400.PDF

中年金融マン グッチーさんの金持ちまっしぐら
前途多難 2008/09/23
金曜日大幅に下がったニューヨークダウなんですけどね、相変わらず日本ではわかちゃいない記事だらけです。今日は天気もいいし、絶好のひなたぼっこびよりなんですけどね~・・・・ 
で、昨日の書き込みをもう一度。 
投資銀行を廃業して通常の商業銀行になり、その一部業務として投資銀行を行い、従って経営はFRBの傘下に入る。それはアメリカが世界に誇る直接金融、資本市場による自由かつ競合的な資金調達を間接金融より優位にしてきた世界の終焉を意味する。 銀行による預金の保有はその保全を前提にするため、レバレッジや自己資本比率など、様々な制約を受けることになる。それを監視するのがFRBだ。 
そりゃー、そのトップ2がリスクウェートで汲汲とするんだから株なんてほんと大変。日本の銀行の資金証券部の方はリスクウェートのせいでどれだけ株が持ちにくいか、体験済みでいらっしゃいましょう。この分を差し引けばたぶんダウやS&Pそのものの水準訂正、というか普通に存在する価格そのものが大幅に下方修正されるでしょう。 
最終的に日本みたいに外人7割みたいな状態で12000円位で修練するのか、具体的な数字は分からないけどね、それだけの構造変化は捉えなければなりません。
それでも株は目に見えるからいいんですが、みなさまの目に触れにくい社債は大変なことになると思いますよ。「US コーポレート」と呼ばれる世界最大の社債市場はまさに投資銀行ワールドで彼らによって支えられた市場。だからこそこれだけの企業がアメリカには育ったわけですね。しかし、ここはまさにリスクウェート100%の世界、今の銀行のルールだと、ものによっては200%、300%の世界になるので、従来のようには行かないのでしょうね。
GMやフォードなど、特に格付けの低い事業会社のファイナンスはえらく苦労するだろうな、と思います。これが原因で倒産する事業会社も続出すると思われます。 
これまでのアメリカですと、ここがチャンスとばかりに新興の社債引受専門証券会社、みたいなものが生まれてくるのですが、そのあたりのダイナミズムがまだ残っているのか、個人的には注目しています。マイケル・ミルケンの復活も・・・・あったりするでしょうか。
http://blog.goo.ne.jp/kitanotakeshi55/d/20080923

とりあえず、以上を読んだ上で私のコメントを読んで下さい。(執筆中)
            ↓
ゴールドマンへの三井住友BKの出資のニュース、結局読売の勇み足で、この記事の続きを書きかけたがボツにした(9月27日訂正追記)
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少々旧聞になってしまいましたが、この話題は自称軍事オタクの私としては、ブログで取り上げないわけにはまいりません。リーマン破綻のニュースに力を入れてしまいましたが、遅ればせながらも私の見解をUPしておきます。

 国籍不明 高知沖で発見 潜水艦が領海侵犯 ソナーで追跡

[概要]14日午前6時56分、高知県沖の領海内で、国籍不明の潜水艦が潜望鏡を出して潜航しているのを、海自のイージス護衛艦「あたご」が確認した。潜水艦はあたごが追跡開始後間もなく、領海外に出た。海自は周辺海域を捜索し、潜水艦の行方や国籍などの解明を進めている。
 防衛省によると、発見場所は高知県・沖の島の約20キロ沖合で、領海の内側約7キロの海域。あたごの乗組員が約1キロ離れた海面に潜水艦の潜望鏡らしきものを目視で発見し、ソナー(音響探知機)による追尾・捜索活動を始めたが、潜水艦は南下し、午後7時すぎ領海外に出た。
 あたごから連絡を受けた海自自衛艦隊司令部が外国の潜水艦と確認したのは8時13分。同28分に防衛相、同36分に福田首相に連絡を入れた。福田首相は「追尾、情報収集を徹底するよう」指示した。同39分にあたごが潜水艦を見失ったために、海自のP3C哨戒機やヘリが捜索している。
 潜水艦による領海侵犯は、04年11月に中国の原潜が沖縄県・先島諸島周辺を潜航した事件以来。当時の防衛庁長官は自衛隊部隊に治安維持などのための「海上警備行動」を発令したが、今回は侵犯が短時間だったことから発令されなかった。
[コメント]今回、国籍不明の潜水艦による領海侵犯事件では、防衛省から発表される情報は意図的に多くのことが隠されている。それは海自の対潜水艦戦の能力を秘匿するためである。しかし各国の潜水艦関係者であれば、常識の範囲で今回の事件の実態を知ることができる。
 まずこの潜水艦は中国海軍の潜水艦と思われる。あるメディアから北朝鮮の潜水艦の可能性はないかという質問を受けたが、「ない。北朝鮮の潜水艦は動いていない。動いていたのは特殊工作員を輸送する潜水艇である」。
 またあたごの乗組員が偶然に潜航中の潜望鏡を発見する可能性は限りなくゼロに近い。この潜水艦は九州南端から奄美、沖縄などの南西諸島の線を通過した段階で探知され、海自によって密かに追尾を受けていたと考えられる。しかし日本の領海を侵犯したことで、海上警備行動(自衛隊法第82条)の発令対象となるため、防衛相や官邸に報告された。
 読売新聞(本日付け・朝刊)によれば、あたごが使ったソナーは音源を発して位置を探知するアクティブ・ソナーだという。これは対潜水艦戦では魚雷や爆雷を発射する最終段階の探知法である。あたごから音源を発して、潜水艦から跳ね返った音で、潜水艦の正確な位置を特定するのだ。もし実際の戦闘なら、次は音響ホーミング魚雷を発射して撃沈させる。
 潜航中の潜水艦はアクティブ・ソナーの音を当てられて、震え上がったはずである。死刑台に上がり、首に縄をかけられたのと同じである。足元の床が開かなかっただけのことだ。この潜水艦の艦長も母港に帰れば厳しい処分が待っている。
 それでは、なぜ潜望鏡を上げたのか。潜水艦としては異例と思われる行動だが、つねに数キロの間隔で追尾してくる船(護衛艦)を潜望鏡で確認したのである。潜水艦が止まれば追尾の船も止まる。潜水艦がコースやスピードを変えると、追尾の船もコースやスピードを変えて追尾してくる。護衛艦は潜水艦の音だけを捉えるパッシング・ソナーで追尾していた。潜水艦はいつまでも追尾をやめないことに不安がって、追尾の船(あたご)を確認するために潜望鏡を上げるという失敗を行った。
 この記事(防衛省の発表)では、あたごが見失ったというが、アクティブ・ソナーをあてて、潜水艦を領海外に追っ払ったところで追尾をやめたのだ。しかしこの潜水艦がどこの港に帰港するか、海自のP3Cや対潜ヘリが今も追尾している可能性は高い。
 ・・・・これは、海自の秘密情報というわけではなく、現代の潜水艦戦を知っているなら、だれもが考える軍事常識なのである。この潜水艦の音紋は採取され、すでに照合されたはずだ。そして潜水艦の目的は、呉(広島県)の海自基地から出港してくる海自・艦船を、豊後水道の出口で待ち伏せる潜水艦作戦の偵察・訓練活動と思われる。
http://www.kamiura.com/new.html
中国潜水艦の可能性=海自の能力見直しを-「官邸への連絡遅い」・識者指摘
 高知県沖の領海内を航行した国籍不明の潜水艦について、専門家は中国軍の可能性を指摘。事前に察知できなかった海上自衛隊の能力に疑問を投げ掛けた。
 軍事アナリストの小川和久氏は「こういうことをするのは中国海軍」と指摘。狙いに関し「中国共産党指導部への何らかの主張が考えられる。福田政権が脳死状態かどうか、三連休の真ん中にぶつけてチェックした可能性もある」と話す。
 領海内に入られるまで察知できなかった海自には「潜水艦を探知、追尾する能力は米国に次ぐとされ、日本列島周辺に対潜水艦網を築いているが、突破されたのは深刻。能力を回復する必要がある」とした。
 潜望鏡の確認から官邸への連絡まで約1時間半かかった点も問題とし、「発見と同時に情報共有すべきだ。戦争ならとっくに攻撃されている。(首相への連絡の遅れが問題となったイージス艦)あたごの事故の反省が生かされていない」と述べた。
 防衛省防衛研究所の元研究室長平松茂雄氏も「領海内に入られたのは、お粗末。事前に察知できず、追尾もできなかったとすれば問題。たるんでいるとしかいいようがない」と批判する。
 「日本の周辺海域は中国の潜水艦がどこにいてもおかしくない」とした上で、「中国の潜水艦は音が大きく探知しやすいといわれてきたが、能力が上がってきている。海自の探知能力を試したのかもしれない」と話した。(了)
小川和久(2008/09/14-21:08)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2008091400220

中国潜水艦は、空母キティホーク8km沖浮上事件、2004年漢級原子力潜水艦領海侵犯事件などの軍事的挑発行為の前科がある。当然中国が疑われても文句は無いはずだ。また、人工衛星迎撃実験事件、PC3CとJ8戦闘機接触墜落事件などは、軍部に対し共産党中央の統制が取れない為に発生したとの噂も聞く。人民解放軍は関東軍化し、シビリアン?コントロールが効かなくなり出したのかもしれません。

今回の事件についてJ-RCOMの神浦元彰氏と、小川和久氏のコメントに相違がある。
神浦氏は、2004年の漢級原子力潜水艦領海侵犯事件を念頭に解説しているのに対し、
【漢級原子力潜水艦領海侵犯事件]】
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BC%A2%E7%B4%9A%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E6%BD%9C%E6%B0%B4%E8%89%A6%E9%A0%98%E6%B5%B7%E4%BE%B5%E7%8A%AF%E4%BA%8B%E4%BB%B6

小川和久氏は、中国潜水艦空母キティホーク8km沖浮上事件を念頭に解説している。
【 中国潜水艦、空母キティホーク8km沖浮上事件】
http://www.asyura2.com/0610/war86/msg/137.html

現在のところ、原子力潜水艦か通常動力艦であるか報道はないが、漢級か商級の原子力潜水艦である可能性が高いと思う。


商級は1~2隻しか就役していないが、小川氏の意見に従えば商級の可能性も否定できない。漢級であれば、神浦氏の意見が正しいだろう。商級であっても、現在の海自の能力からすれば、容易に発見できたのではないかとも思う。
第一、漁船もろくに発見できない「あたご」が潜望鏡を目視で発見できるわけも無い。汚名挽回で、目視発見と大本営発表をしたのかもしれない?

中国潜水艦、空母キティホーク8km沖浮上事件について、私の見解を述べたい。
空母キティホークは最高速度35ノットだが、通常30ノット近くの高速で作戦行動をとる。一方039型潜水艦(ソン型/宋型)の水中最高速度は22ノットで、高速で運転した場合、バッテリーは消耗激しく長時間高速走行できない。

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039型潜水艦(ソン型/宋型)
その為、宋級潜水艦は、空母キティホークを追跡して浮上したのではなく、じっと、台湾海峡の海底に潜み、運良くやって来たキティホークの近海に、たまたま浮上しただけかもしれない。米海軍が勝手に「追尾された」と間違えただけの事件せある方が、可能性として高いと思う。

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キロ級潜水艦(基洛級/877型/636型)
ロシアのキロ級潜水艦(基洛級/877型/636型)を導入後、中国海軍潜水艦の静寂性能は高まったのは事実だが、特にAIP機関を積むと噂される039A型潜水艦(ユアン型/元型)キロ級に関しては補足不能とまで向上したというニュースは聞いていない。
イメージ 5

イメージ 6

039A型潜水艦(ユアン型/元型)

日本のASWシステムに関しては世界一の定評はある、その運用は海上・海中・陸上のシステムとほぼ完全に統合されている。SOSUS、SURTASS等の情報から割り出された概略の敵潜を、さらにP3CやSH60が追い詰めるシステムになっている。偶然に潜望鏡を発見した話を誰が信じようか?

今回、例え商級原潜が侵入していたとしても、海自は捕捉していた可能性が高いと思う。今回に限っては神浦説に軍配を上げる。

039A型潜水艦(ユアン型/元型)は、06年のサーチナの記事から判断すると、新型潜水艦はAIPではなく通常動力艦である可能性が大きいと思う。

【新華社:海軍潜水艦部隊が隠密性と戦闘能力を強化】
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2006&d=0427&f=national_0427_003.shtml

今回の事件は、北朝鮮の擬似核能力でMD防衛システムを手に入れた自衛隊による、予算獲得運動の二番煎じと考えるべき事件の可能性も否定できない。

それにしても、中国人の面の厚さもたいしたものだ。

【高知県沖、国籍不明の「潜水艦」はクジラを誤認?】
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2008&d=0922&f=politics_0922_002.shtml
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