WTIは12日112ドル台まで落ち、116ドルをつけた後113~114ドル台のようです。バクー油田の原油を地中海まで送油する重要なパイプラインが通るグルジアで戦闘が行われているにもかかわらず、WTIはこの値段です。少々不自然とは思いませんでしょうか?

原油高バブルが崩壊したので、当然でしょうか?つい1月ほど前なら、原油施設周辺での戦闘行為は原油高の格好の理由となりました。原油だけではなく、穀物商品、ついでにロシア、上海株式も大暴落中です。

そして、原油が暴落してドルはやはり強含みました。円米ドルは1ドル110円を越え、次の節目の115円を目指す可能性があります。ドルはどの通貨に対しても強くなりつつあります。別に驚くことも無い自然な流れかと思います。

バブル崩壊を経験している日本人にとってはこの相場の流れは、至極自然な流れに見えます。原油・商品、新興国株式が次々崩壊していく時代流れを、諸行無常で、冷静に見守ることが出来ます。

どう考えても新興国の原油商品の需要が急拡大したからといっても、原油採掘コストがサウジや湾岸諸国で1バレル=3~5ドルのものが140ドル台、正月に100ドルを突破したものが50%近く上がるのはやはり異常なことでした。

8月10日の日高レポートはいつもながら参考になる番組でした。http://kamomiya.ddo.jp/Library.html 
第一.二.三部はサムミュエル・ボドマン米エネルギー長官でした
収録は7月10日で石油が高値をつけた11日の直前であった。もう少し前に放送していただきたかった内容でした。もしくは、もう一度インタビューをしたならば、もう少し石油の下落について自信を持った内容になったかもしれません。

<要約>
第一部:原油産出国は何処まで増産できるか:
・サウジは1日250万バレル増産しようとしている。
・2007年から2008年にかけ需要が増し不安が生じ石油価格が暴騰した。
・値上がりの理由は需要の拡大に、生産が追いつかない懸念からだ。

第二部アメリカ政府はどうするのか:
・代替エネルギー開発に全力を挙げるが時間がかかってしまう。
・アラスカと大陸棚の油田開発、オイルシェールの開発に全力を入れる。
・儲けすぎている企業に課税すれば外国に逃げていってしまう。

第三部次は石炭と原子力が重要となる。:<経済石油コンサルタントデビッドスミック氏>
石油が値上がりしたのは、サウジが本当の埋蔵量と生産可能量を公表しない不透明さも値上がりの要因であった。米国政府レポートでは1バレル200ドルになることはさしあたり無く、2016年以降再度原油が上昇するかもしれないといったレポートを提出した。
・原子力発電所は現在の100に加え34~35の申請が出ている(しかも大規模出力)
・石炭からCO2を除く研究が進んでいる。風力発電の投資が進み、天然ガスが自動車用燃料と使用としている。

第四部中国は石油を独占しようとしているのか?:
石油も中国もバブルで必ず破裂する。オリンピック後の中国情勢は極めて困難だ。中国は世界中から恩恵を受けているが責任を果たしていない。環境問題で予想以上に早く米国と衝突するかもしれない。中国は、貿易や技術を海外に依存し、1兆ドルの外貨準備を持っているので安易に武力衝突は起こさないであろう。中国経済は伸びているが、依然オランダのGNPの2.5倍程度に留まっているが、世界一の二酸化炭素排出国である。
.中国は自分のことだけ考え資源戦争を始めている。
・中国は国際経済に頼っており軍事力を使うことは出来ない。
・中国は貿易問題や環境で世界各国と衝突するであろう。

第五部石油の値段はどこまで上がるのか:
ユーロ圏はまもなくマイナス成長になる、米国も地方銀行が倒産して2009年は酷い年となるであろう。産油国は、石油の代替エネルギーが出現して将来石油が要らなくなり、弱い立場となることを予測している。先進国が不況となれば、新興国もタダではすまなくなる。
・原油は来年200ドルになるかもしれない。(7/10収録なので、今日取材があったならこのことはなら言わないだろう)。
・世界経済が悪くなるので、原油価格は現状維持か安くなるだろう。
・アメリカ経済がむこう1年半悪いままだと世界経済は大変なことになるだろう。


原油産出国は石油の埋蔵量の正確な数値を公表しないところを見ると、原油があと40-50年しかないというのは欺瞞かもしれない。昭和7年生まれの父親も子どものころから原油はあと2.30年で掘りつくされるといわれていたと証言している。

産油国にとって、新興国バブルは、原油を高くして売りつける最後のチャンスと考えて投機筋の力を借りて原油を高騰させた可能性もあるが、どうやら産油国は自分で自分の首をしめてしまったようだ。バーナンキ・ポールソンの奮闘もあるが、米国政府が本格始動した可能性がある。ソビエトを崩壊させた最大の理由は、原油価格の低迷であった。ロシア経済が復活できたのも、石油価格の高騰であった。原油価格の高騰で、プーチン院政政権が新冷戦を模索し始めたと考えた米国は、原油価格を下げ始める政策を取り始めたかもしれません。

原油安とドル相場の復活は当にリンクしている。サブプライムローン問題をきっかけに、昨年8月から大幅安が続いてきたドル相場であるが、各通貨に対してドルは底打ちの動きを見せだし、為替市場ではドルがほぼ世界の全通貨に対して買われだした。

投機的ヘッジファンド勢が「ドル売り、原油買い」のポジションの縮小を迫られていることなどが、商品・為替相場を動かしている。原油先物相場は最高値を付けた7月11日から1ヵ月で約30ドル下落し、バーナンキ・ポールソンコンビは利上げせずに、インフレを押さえ込むことに成功する確率が高くなってきた。原油の下落は、米経済にプラス材料となることは間違いない。まだ米国にはサブプライムロ一ン問題、住宅公社問題に加え、ホームエクイティーローンの爆弾を抱えているので、一気に株高・ドル高が進むという状況ではないが、欧州・日本・BRlCs・中東欧などの景気の悪化の度合いによる米国経済の相対的評価がドル買として評価されている。このドル高は一過性の可能性も無くはないが、意外に単なるドル売りポジションの買戻しではないであろう。

シカゴ筋の為替先物ポジションは6月頃からその兆候は見えていた。

現状のドル高・株高の動きは長い間米国から流出していたドル資金が一斉に米国マーケットに回帰し始めてはいるものの、米経済への楽観ではなく、米国の景気悪化に影響を受ける日本やユー口圏・BRlCS諸国の景気の冷え込みは、米国は既に悪化しているので、これからだろうということだ。逃げ足の速いグローバルマネーは新興国・ユーロ・円投資資金を引き揚げて年後半から本格化し、来年初めにかけて、米国に更に資金をシフトする可能性も考慮すべきかもしれない。

8月7日、日本の景気の基調判断を「このところ弱含んでいる」とした月例経済報告の発表をした。2002年2月に始まった戦後最長のいざなみ景気は庶民には実感が無いまま終わってしまいました。いよいよ体力が無いまま、日本は景気後退に突入します。新聞の業績欄を読むと気持ち悪くなる。もう読むのをよそうかと思うくらいです。

日本を支えるトヨタ自動車でさえ4―6月期の連結決算では前年同期比28%減となった。鋼材の値上り、国内販売不振、北米と欧州の販売低迷が重なれば、減収減益は当然である。トヨタですらこのような状況であるから、上場企業の2009年3月期通期の連結経常利益は前期比9.2%減と大幅減益の見通しである。

世界中逃げ場はなさそうである。オリンピック期間中でありながら、中国は上海株指数が暴落し、ロシアもグルジアと戦争となれば、インドが消去法でとなりそうだが、米国の不況はインド経済を直撃する・・・。当面「休みも相場なり」9月10月にやって来るであろう絶好の日本株の買いのタイミングを待つほうが賢明かもしれません。
※自己責任でお願いします。

FXであれば、米ドルを115円の次の節まで勝負ですかね・・・。ユーロドルのユーロ売りとか・・・責任はあいかわらず取るつもりはありませんが、為替の方はスリリングで楽しい相場かもしれません。

明日以降?はブログでもう少し世界経済の落とし穴をほじくってみたいと思います。