『「ブラックマネー」副題:20兆円闇経済が日本を蝕む 須田慎一郎 著 新潮社』を読む。
「オリックス―スルガ社―光誉―闇社会」編
イメージ 1


昨年、東証二部上場スルガ社が、反社会的勢力と癒着した地上げを行った事が発覚し、破綻した。また、アーバンコーポレーションを引き金に新興市場上場銘柄が次々と泡のように消えていった。

日本の新興市場を破壊した犯人は、ほりえもんこと堀江貴文と村上世彰が筆頭であげられるが、ヒルズ族と呼ばれた修羅どもと、それを食い物にした闇社会。そしてこの「ブラックマネー」を読むと、スルガ社の後ろで糸を引いたのが、本書では「酒を呑ませたやつ」として、「オリックス」であることを暴露している。オリックスといえば平成の政商、宮内義彦だが、今日日本の格差社会を加速させた小泉政権下の「規制改革民間開放推進会議」座長として、そのA級戦犯である。

ちなみに、宮内義彦はMBAをニチメン時代の早くに取得したアメリカかぶれで(「ウォール街の自爆」でもふれられているような、社会を顧みない強欲な人種)であるとともに、彼は裏社会の総元締め山口組の本拠地がある、神戸出身だ。神戸出身者は皆山口組と関係が有るなどと言っているのではない。本書にも書かれているようにヤクザは、機を見て敏、金の匂いがするところに入り込む習性がある。本書にはかかれていないが、オリックス宮内が一介のサラリーマンだった人物が伸し上がった理由は、裏社会とのパイプがあるようにしか思えない。本書を読むと、直接的には宮内と裏社会との繋がりは書かれていないが、オリックスと裏社会の繋がりが垣間見え、宮内は裏社会のフロントである可能性を否定できない。ちなみに、裏社会は弱肉強食の実力社会、宮内-小泉ラインが作った社会風土だそのものだ。本書を読む限り、オリックスにかんぽの宿を引き渡してはならない!
総務相「納得の可能性ゼロ」 「かんぽの宿」売却問題
 日本郵政による宿泊・保養施設「かんぽの宿」のオリックスグループへの一括譲渡を巡り、鳩山邦夫総務相は14日、総務省内で日本郵政の西川善文社長と会談した。西川氏はオリックスの受注が決まった入札の経緯を説明。弁護士ら専門家による調査組織を社内に置くと述べた。総務相は会談後、「納得する可能性は限りなくゼロに近い」と記者団に明言した。
 オリックスへの譲渡は27社が参加した競争入札で決まった。個別売却では、売れ残った施設の従業員が職を失う可能性がある。
 だが、同日の自民党の総務部会郵政政策小委員会では、オリックスの宮内義彦会長が郵政民営化を推進した点を念頭に「経済人は自らの利益のみを追求するのか」といった批判が出た。民主党の総務部門会議でも「総務相の疑問は至極当然だ」との意見があがった。(07:01) 
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20090115AT3S1401J14012009.html
これは絶対に許してはいけないだろう。鳩山総務相頑張れ!

それでは、本書の中身だが、ベンジャミンフルフォードの軽薄なヤクザと経済の関係を表層的(新聞と週刊誌を読んでいる人間にはなんら目新しい事実が無い)に扱った「ヤクザリセッション」のような机の上で書いただけの本と違い、須藤氏の永年の人脈と足で調べた重みがあるリアルな本だ。

2005年頃から始まった都心のミニバブルは、REITによる強引な地上げによる結果ではあるが、REIT自体は素晴らしい金融商品で、健全に組成運用されたのなら、批判されるべきではないと思う。オリックスも早くからRIET(不動産投信)を手がけていた、オリックス不動産投資法人(REIT)の上場も3番目か4番目で比較的早い時期であったと思う。公開時の目論見書には三軒茶屋のキャロットタワーがでかでかと写真を飾り、オリックス不動産投資法人(REIT)http://www.orixjreit.com/ 自体は何等違法性がないかもしれない。

しかしながら、本書を読むとこそに組み込まれているビルの取得には裏社会を使ったと非難されてもしかたがない。
P2
東証二部上場の中堅不動産会杜スルガコーポレーシヨンから、東京千代田区の秀和紀尾井町TBRビルの地上げを依頼された大阪市の光誉実業という不動産会社が、弁護士資格がないのにテナントの立ち退き交渉を行なったとして、2008年3月に弁護士法違反容疑で光誉の杜長ら十二人が逮捕されたものだ。(略)、要点だけを述べておくと、実は光誉実業は山口組系の有力暴力団の企業舎弟だといわれる会社だったのである。この事件の発覚により、07年夏あたりまで続いていた東京都心部のミニ不動産バブルの中で、上場企業が反社会的勢力に地上げを依頼するという、かつてのバブル時代に頻繁に見られた表経済と闇勢力の癒着の構図が復活していたことが、白日の下に晒されたのである。
p109
それまでスルガ社は共同都心を経由することにより、光誉とは直接的な関係を持たないようにしてきたが、このランディツクのケースではスルガと光誉の直接的な関係が明白となっている。
さらに、この物件の信託目録やスルガが発表した調査報告書の内容を総合すると、スルガはオリツクス不動産投資法人から地上げ目的で物件を受益権の売買という形で手に入れ、地上げ完了後にはそれを「ジヨイントアーク10」に転売しているが、前述した通りこのSPCはオリックス系列だとみられるのである。
スルガからの直接の依頼により地上げを実質的に仕切ったのは光誉で、この会社は警視庁から山口組系の有力暴力団の企業舎弟だと認識されている。
一連の土地取引によりオリツクスサイドからスルガ社へ約49億5000万円の利益がもたらされ、スルガ社から光誉へは諸経費など込みで12億9000万円が支払われた。警察が光誉を企業舎弟と睨んでいる以上、光誉から闇杜会に資金が提供された可能性は高い。
そうなると、地上げビジネスを介在として「オリックス―スルガ社―光誉―闇社会」という、資金の流れが存在した可能性が出てくるのである。
ここまで説明すれば、前述した警察幹部が述べた「酒を飲ませたヤツ」が誰なのかは明白だろう。
和製はげたかオリックスの急成長の原点には、孫正義に誘われ、あおぞら銀行に投資したのが原点であるらしい。あおぞら銀行とは1998年不動産融資の焦げ付きから経営破綻した旧日本債権信用銀行(日債銀)であるが、その設立は1957年旧朝鮮銀行の残余財産で設立された日本不動産銀行であった。日債銀の残した人材と不良債権を元に再びミニバブルを起こし破裂させている。自業自得、一部にはオリックスの経営自体危ぶむ声も聞かれる。(公表されている財務諸表に不正が無ければ、経営危機では無い)必敗朝鮮の法則恐るべし!

本書を読むと、許永中受刑者、田中森一元弁護士(ヤメ検)最後の大物仕手筋西田晴夫、など、闇の紳士達が次々登場し、その暗躍した痕跡を次々に解説し、実に中身が濃い。

ライブドア事件強制捜査2日後に怪死した、元HS証券副社長 野口英昭の事件に関してもなぜ自殺したかの事情が詳細に書かれている。本書では自殺説だ。
時代の兆児(日本人を愚弄した)ほりえもんは国策捜査で逮捕されたが、国策捜査の真の目的は、ほりえもん逮捕ありきであった、その真の目的は、証券市場を財布代わりに使った、闇社会、ほりえもんと宮内氏、裏のマネーの流れの摘発にあった。金の流れ全体を把握していた野口の死は、オウム事件で金の流れを把握していた村井秀夫が刺殺された事件と重なり、自殺であろうと、自殺に追い込んだ裏社会の深い闇を垣間見える。