日経平均が急反落、いったん調整で上昇基調続くとの声も【REUTERS】2009年 08月 17日 15:56
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPJAPAN-11047020090817?sp=true
[東京 17日 ロイター] 東京株式市場で日経平均は急反落。先物主導で下げ、前営業日比300円を超すマイナスで安値引けした。米株安や円高基調を嫌気したほか、原油など商品市況の下落で短期筋によるリスク資産売りの中で、株式も売られたとの観測が出た。

 後場からは現物にも売り圧力が強まったという。市場では「旧盆休み明けの国内運用担当者が利益確定売りを出しているようだ」(大手証券エクイティ部)との声も出ていた。

 東証1部騰落数は値上がり240銘柄に対して値下がり1374銘柄、変わらずが77銘柄だった。東証1部の売買代金は1兆3929億円と低調。

 <テクニカルな調整、上昇基調は変わらずとの声>

 きょうの東京市場は、これまでのように売り一巡後に買い戻しが入らず、一方的に下げた。短期筋による先物での売りが強まったといい、「前場は特定筋による大口売りが目立った。売り一巡後に買い戻しが入らず下値を広げている」(国内証券先物ディーラー)との声が出ていた。別のディーラーは買い戻しが入らなかった背景について「売買代金が膨らまず、売りをこなしつつ上昇するエネルギーがなかった」とみている。

 日経平均は5日移動平均線を割り込み、短期的には調整を示している。ただ、市場関係者の間では、当面の上昇基調に変わりはないとの見方が多い。「欧米株は5週目に反落した一方、日本株は5週連続で上昇した反動もある。年初来高値の更新が続き、過熱感もあったことからいったんの調整は想定の範囲内」(国内投信関係者)との声が聞かれた。同関係者は「7月13日につけた安値から1500円以上上げた後での300円の下げは、調整の範囲内。相場の潮目を変える下げではない」とみる。

 カブドットコム証券投資情報局マーケットアナリストの山田勉氏は「今週発表される米国の住宅関連指標で良い数字が出れば、また海外投資家が買ってくることは十分考えられる。相場の変わり目とはまだ判断できない」と述べた。

 大和住銀投信投資顧問・投資戦略部長の門司総一郎氏は、きょうの下げについて、商品投資顧問業者(CTA)が原油など商品市況の下落を受けたリスク資産売りの一環で株式も売った影響もあるとみている。「CTAはトレンド・フォローの傾向が強く、どちらか一方に極端に傾きやすい。きょうはボラティリティの高さが顕著に出た」とみている。国内企業決算が終わり、やや材料不足となっているほか、市場関係者の多くが夏休みで不在ともみられている。門司氏は、8月最終週になれば月末要因や経済指標の発表、総選挙など「どちらかと言えば上がる材料が出てくる。市場の先高感は依然、強い」との見方だ。

 あるファンド・マネジャーは、「国内機関投資家を含め、売りスタンスの投資家は4月、5月の時点ですでに大部分、売っている。1万円を越えた足元の水準では長期スタンスの投資家からの売りは出ない。売りが出ないなか、トレンドが下向くことはないとみている」と述べた。

 上海総合株価指数はさえない相場が続いている。25日移動平均線が下向きとなり、調整が長引く可能性も指摘されている。市場では「日本株がこれに影響されて軟化するのか、アジア株のなかでのウエート変更で日本株が買われるのか注視したい」(国内証券)との声がきかれた。


世界的に過熱した上昇相場はここで一旦終焉に向かう可能性が高い。テクニカル的には各市場とも短期的に過熱感が台頭してきており、ここからは株価の上値は重くなりやすい。

日経平均先物やオプションでは、SQ算出日かその翌日から株価の方向勢が反転することが多いが、8月もどうやらそのパターンになりそうだ。株式市場も半年以内の安値からの上昇率が歴史的な限界である5割に達し、利食いが出て当然である。

米国株は7月中旬から8月中旬の急騰を経て、一旦ピークをつけたと考えてよかろうと思う。

決算発表がサプライズを伴い株価上昇の原動力となったが、決算発表も峠を越え好材料にも反応しにくくなってきている。

8月11・12日のFOMC では、FRBの米国債買い取りについて、金額は増額せず期間だけを延長する措置が採られた。金融緩和基調を残しつつ、徐々に蛇口を閉めながらフェードアウトしていく所謂「出口戦略」というシナリオである。バーナンキ議長は、景気判断を上方修正はするがゼロ金利政策は長期化をにおわせ、非常に見事な名人芸ともいえる金融政策を行っている。

米国の景気は回復基調であるが、住宅・自動車には回復の兆しが見え始めたが、企業収益はマイナスではある、だだそれでもマイナス幅の縮小は注目すべきところです。しかしながら、個人消費については陰りが見え始め、暗雲が漂い始めた。少なくとも、バック・トゥ・スクール商戦に関しては期待外れに終わった可能性が高く、短期的にはネガティブ要因である。

問題は、中国市場が金融緩和から引き締めに向かいだしたと観測が流れています、過熱しすぎたマーケットを冷やす程度で落ち着けばいいのですが、非常に不安です。

リーマンショック以降、嫌中の私も素直に認めるが、独裁政治の強みを生かし昨年11月に4兆元(約55兆円)の景気刺激策を行い、大規模な公共投資で輸出の大幅な落ち込みを穴埋めし、個人消費など民間需要に火を点け様という中国当局の動きは世界経済にとって大きく貢献した事は間違いない。

しかし、中国政府は今年前半に公共事業を集中的に実施したために、年後半には息切れしてきているのは当然の動きである。中国経済が官需頼みを脱して自律的な回復軌道に乗れれば政府の目論みも正しかったはずだが、8月11日に発表された都市部固定資産投資(設備投資と建設投資の合計)の鈍化は、また中国不動産バブルの破裂の兆候かもしれない。

7月中国の固定資産投資の数字も前年比23%減、中国政府は個人消費を新たなけん引役に育てようと内陸部の家電商品販売への政府補助策などを進めているが、7月の社会消費品小売総額(小売売上高)は前年同月比15.2%増と20%を越えていた昨年までの勢いはなくなってきた。

中国のバブル創出のもとになると言われていた金融機関による7月の人民元融資の増加額が3559億元(約5兆円)となり、6月の1兆5304億元に比べ4分の1以下の伸びにとどまった。中国内では、これは資産バブルを警戒する人民銀行が銀行に融資の伸びを抑えるよう行政指導を始めたとの見方をする人達もいる。

この秋頃から中国人民銀行が金融政策を引き締め方向に修正する予想は誰もがしているが、引き締めに動き出したら一斉にマーケットから資金が引き上げられることは確かである。中国単独での早めの出口戦略への転換が行われるとするならば、再びマーケットは大幅な下落となる可能性は高い。

中国政府は物価が上昇し、経済の自律的な回復に自信が持てるまで政策変更は難しいだろう。もしかすると、中国政府は近いうちに国内消費拡大策を打ち出してくる可能性すらある。

9月24 日のG20 では金融規制改革が話し合われることが準備会合で決定されたと報じられた。

前回4月のG20 に向けては日独米が自己資本比率規制強化に反対したが、米国はストレステスト後に英国式のルールでファイナンスを終了、残る日独は選挙前後で混乱している懸念があるので、春に比べてパワーバランスが大きく規制強化に傾く懸念があろう。また、9月にはムーディーズによる銀行の劣後資本証券の格下げ方針の最終決定が予定されている。よって、9月SQに向けては裁定残は解消方向が懸念されるのではないだろうか。

いずれにしても、米国経済の意外な回復と、期待過剰の中国市場の減速はマーケットを見つめる前提と考えるべきで、マーケットは調整局面入りしたことだけは間違いない。