世界の景気回復、原動力は流動性
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/1833
<下記要約>

多くの先進国では、預金の金利がほぼゼロに等しい状況の下、多くの金融市場では力強い回復が起きている。米連邦準備理事会(FRB)は米国経済の状況は「上向いた」としながらも、金利については「異例な低水準」を維持する意向を示した。

この急上昇は長期的な強気市場の始まりなのか、あるいは、日本が1990年代に経験したような単なるベアマーケットラリー(弱気市場での一時的上昇局面)でしかないのかは、さらに回答が難しい問題と言える。

 以前から言われてきたデレバレッジ(負債圧縮)にはほとんど手がつけられていない。単に民間部門の債務が政府の負債に置き換わっただけだ。従って、経済は中央銀行や政府の施策に大きく依存し、その支援を失った時には急激に悪化する恐れをはらんでいる。

 株式市場や社債市場は、中央銀行が大量に資金を供給して債券(そのほとんどが国債)を購入する量的緩和策の後押しも受けている。量的緩和は、国債利回りの上昇を防ぐ役に立ってきた。6月には10年物米国債の利回りはほぼ4%だったが、現在は3.5%になっている。

 これは、各国政府が史上最大量の国債を発行している中、歴史的にも非常に低い数字である。恐れられているのは、量的緩和が終了した場合、利回りが急激に上昇し、すべての借り手にとって、借入費用がつり上がるという事態だ。

現在の景気回復は、所詮このー年間に実現した数千億ドル数十兆円規撲の景気刺激策の結果作り出された偽りの景気回復でもある。

今ここでインフレを恐れて景気刺激策をやめれぱ、足元の回復すら危うくなる。工場は休眠して在庫は積み上がり失業者があふれている先進国の回復は遅く短・中期的にみてインフレの心配はない。

独財務相シュタインプリュックは最近、景気刺激策の「出口戦略」について協調するよう呼ぴ勢けた。
オーストラリアと韓国は「危機対応の解除」の具体策を共同で検討し始め、アメリカやイギリス、フランスといった主要国も、同様の主張をし始めている。

かつての日本橋本龍太郎が愚かにもバブル崩壊のリバウンドを景気回復と見誤り消費税を3%から5%を引き上げ、日本経済回復の芽を無茶苦茶にしたり、日銀のゼロ金利解除を先走り、同じく日本経済をどん底に突き落とした日本の例を見れば、景気刺激策をやめるのが早遇ぎれぱ、世界経済がどうなるのか、目に見えている。

各国政府が景気刺激路線からの撤退を急ぐ最大の理由は、もちろんインフレのリスクである。

70年代オイルショック後、ニクソンショックでドルの金兌換停止後に各国を襲ったインフレはすさまじかった。以後中央銀行や経済当局、特にドイツヨーロッパはインフレが再燃しないよう細心の注意を払ってきた。

この金融危機後の景気対策で、世界中で紙幣を増刷してきた。この過剰な流動性と負債で世界は70年代に経験した悪性のインフレに陥るのではないかと皆心配するのは当然である。

しかし、需要が大幅に増えない限りインフレは起こらない。先進各国の回復は遅く、短期はおろか中期的にもインフレを心配するような状況にはない。

雇用も設備も在庫もまだままだ多過ぎる。人余り状態の解消には数年かかるかもしれない。マネーが少な過ぎるとモノに向かう。物価は上がり始めるものだが、インフレでは予想が重要な役割を果たす。

経営者が生産コストが年数%増えると予想すれぱ、製品価格を同じだけ引き上げようとする。こうした価格転嫁が積み重なって物価を押し上げる。だが現在その兆候は見えない。それどころか、モノが売れずデフレ懸念が強い。

インフレ懸念が「金への逃避」を引き起こしたとの見方があるが、これは間違っている。9月に入って金先物袖場は1OOOドルを上回る場面があった。確かに金はインフレ対策として買われることもあるが、投資家の動機の多くは、キャピタルゲイン確保である。

インフレを占うには債券価格のほうが参考になる。米10年国債は先々週3.5%が3.3%まで反騰している!アメリカFFレートは0.25%や日本の金利は既にゼロに近い。G7各国はすぺて今年マイナス成長の見通しで、物価上昇はないか、あつても僅かにとどまる。

我々ブロガーがインフレが来るぞーと騒ぐのは勝手だが、政策当局が誤った雑音に反応してしまうと、市場や景気は塗炭の苦しみを味わう事になります。

ドイツは第一次世界大戦後、今のジンバブエみたいに天文学的インフレを経験し、世界中どこよりインフレに敏感な国となっています。ですから、ヨーロッパ発の「オオカミが出るぞー」「インフレが来るぞー」は割り引いて考えるべきと思います。

この記事を書くにあたり、あちことネタを捜し検索いていたところ、面白い記事を発見したので、ついでに貼り付けておきます。

円相場は数カ月内に1ドル=100円に近づく可能性も-内海元財務官
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920000&sid=aJnflGjtrSzU
10月1日(ブルームバーグ):元財務官の内海孚・日本格付研究所社長はブルームバーグ・ニュースのインタビューで、円の対ドル相場が円高傾向で推移していることについて、「円が特段強くなる要因はあまりない」とした上で、数カ月内に反転して1ドル=100円に近づく可能性もある、との見方を示した。インタビューは先月28日行った。 

藤井裕久財務相は24日、米ピッツバーグで記者団に対し、安易な為替介入に反対する姿勢をあらためて示した。こうした発言を受けて28日の東京市場で一時、同88円台前半まで円高が進行。29日の会見では「異常に動いたら国益のためにしかるべき措置を取ることもあり得る」と述べ、一転して為替介入も辞さない構えを示した。 

内海氏は「基本的には安定が大事だということが発言のベースになっている。発言の内容も状況を見ながら柔軟な構えになっている。はっきりしているのは、一定の水準を守るために膨大な介入を行うようなスタンスは取らないということだろう」と語った。ただ、「国際的なルールとしても乱高下には対応する。安定的な為替相場を維持していくという点については基本認識としてあると思う」と述べた。 

為替相場が円高傾向で推移している背景については「大きな資本の流れからすると、昨年の終わりから今年初めまでドル高が続いた。ドルが安全資産として資金の逃避先になったわけではなく、米国で激しい金詰りが起こり、猛烈な勢いで投資が回収されたためだが、今年初めくらいからその勢いがなくなってきた」と指摘した。 

税制改正というワイルドカード 

内海氏がかねて注目していたもう1つの動きが、今年4月から日本企業が海外留保利益を日本に還流する際の課税を優遇する税制改正が行われたこと。「この影響がどの程度出るか懸念したが、比較的大したことがなかった。しかし9月中間期末をにらんで、そうした資金が相当猛烈に動いた。これがワイルドカードになる形で円の独歩高にかなり影響したと思う」と指摘した。 

そういった大きな資本の流れとは別に、もう少し細かい動きとして、内海氏は「ドルの短期金利が円の短期金利を下回るという事態が発生し、ドルをベースにしたキャリートレードという今まで想定もしなかったことが起こっている。このため、ドルは円に対してだけでなく、ユーロその他に対しても安くなっている」という。 

今後の動向については、①日本経済が米国、欧州に比べて良いわけではない②金利差があると言っても、ドルから円にシフトするほど大きいわけではない③日本の経常収支、貿易収支は大きく減っている④投機筋の円買いがかなり積み上がっている-と指摘。「そういう状況からみて、円が特段強くなる材料はあまりない」ことから、「円高傾向がどんどん進むとは思わない」との見方を示した。 

キャリートレードの巻き戻しに警戒 

ドル自体についても「今はドルを売って、新興国の通貨を含めてキャリートレードが行われていると言われるが、新興国通貨のリスクは取引市場や経済も含めて、指摘されているよりかなり大きいと思う。何かのきっかけで巻き戻しが起こったときの急激なドル高、つまりキャリートレードの巻き戻しには当然警戒が必要だ」という。 

内海氏はその上で、円ドル相場の先行きについて「今のところ1ドル=90円から95円、さらに場合によって同100円に近づくシナリオが数カ月という期間ではあるのではないか」としている。東京外国為替市場は30日午後6時40分現在、同89円43銭近辺で推移している。 

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