月の北極に大量の氷を確認:その検知方法は【WIRED】
http://wiredvision.jp/news/201003/2010030323.html
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米航空宇宙局(NASA)は3月1日(米国時間)、月の探査で北極付近に大量の水(氷)が発見されたと発表した。水がこれだけ豊富にあれば、将来、月面基地の維持や酸素の取り出しに利用できる可能性がある。

インドの月周回機『チャンドラヤーン1号』に搭載されたNASAのレーダーによる観測で、氷を蓄えた直径2〜15キロメートルのクレーターが40ヵ所以上発見された。クレーター全部の氷の量は6億トンを超える可能性があるという。

今回利用されたレーダー『Mini-SAR』[SAR=合成開口レーダー]は、左旋円偏波のパルスを照射して月面の「粗さ」を測定できる。なめらかな地面は反転した右旋円偏波を戻し、粗いところからは左旋円偏波が返ってくる。

氷は電磁波を通過させるが、左旋円偏波を返す。Mini-SARは、反射して返ってきた波の、右旋円偏に対する左旋円偏の力の割合、つまり円偏波率(CPR)を測定する。ただ、CPRの高さだけでは、それが氷の地域なのか地面の粗い部分なのか区別がつかない。

今回観測されたクレーターは、内部でCPRが高いのに対し、縁の方はCPRが低かった。このことから、表面が粗いという理由ではなく、クレーターのなかに囲われた物質によって内部のCPRが高いのだと推測できる。NASAによると、氷だとするとかなり純粋なもので、厚さが少なくとも数メートルはないと、このような信号は返ってこないという。

2009年11月、NASAは月の南極付近にあるクレーター『Cabeus』(カベウス)に探査衛星を衝突させた(日本語版記事)。この際にも水(氷)があった証拠が観測されている。

[衝突による閃光や噴出物を探査機エルクロスが観測した結果、合計水分量は約100Kgとされたが、「これは10ppmにあたり、地球で最も乾燥している砂漠の土壌に含まれる水の割合よりも少ない。対照的に、火星には重量比60%の水を含む大陸サイズの領域が見つかっている」とされていた。

両極付近のクレーター内には、「永久影」と呼ばれる常に日陰となる領域があるため、氷が存在している可能性が高いと言われてきた。月面の光が射さない深いクレーターはコールド・トラップと呼ばれ、絶対温度約100度(摂氏マイナス約170度)でほぼ一定している。

なお、今回推定された氷の量は、米国の月探査機ルナ・プロスペクターが1998年に、中性子線の観測によって推定した量に近いという。月で確認されている水もしくはヒドロキシ基は、太陽風によって運ばれた水素イオンが、月面にある酸素を含んだ鉱物やガラス様物質に衝突した結果生じたという説がある。
最低6億トン?月の北極に水の氷を発見【AstroArts】
http://www.astroarts.co.jp/news/2010/03/03lunar_ice/index-j.shtml
水の氷が存在すると判断されたクレーターの大きさは直径2kmから15kmほど。氷は比較的純度が高く、厚みは数m程度とみられている。気になる氷の全体量は、個々の氷の厚みにもよるが少なくとも6億トンほどと計算されている。Mini-SARの観測は地下約1.5mまでに限られているため、氷の量が少なく見積もられている可能性もあるようだ。

今回の発見について、米・月惑星研究所でMini-SARを担当する主任研究員Paul Spudis氏は、「新たな発見で、これまで以上に月が興味深く魅力的な探査対象になりました」と語っている。

※NASAのMini-RF計画:月面に水の氷を探すことを目的としてレーダー装置を月に送る計画。Mini-SARは、同計画で月へ送られた装置のうちの1つ。もう1つは、NASAの月探査機ルナー・リコナサンス・オービター(LRO)に搭載された月探査用レーダー装置「Mini-RF」。

CNN: Water Found on The Moon (The Most Important Discovery of 2009?)

NASA、月に水の存在を確認 宇宙基地建設の最有力候補に
2009.11.14 04:08
http://sankei.jp.msn.com/science/science/091114/scn0911140410000-n1.htm
【ニューヨーク=松尾理也】米航空宇宙局(NASA)は13日、10月に行った無人探査機を月面に激突させる実験の結果、月に水が存在することを示すデータを得たと発表した。関係者からは、月面基地建設の実現に向けての大きな後押しとして、「画期的な発見だ」との声が上がっている。

 10月9日、太陽光が当たらない「永久影」となっている月の南極付近のクレーター「カベウス」に、無人探査機「エルクロス」を時速9000キロで激突させ、舞い上がった噴出物を分析した実験の結果、判明した。

 分析作業は現在も進行中だが、NASA担当者は「わずかな量ではなく、かなりの量が存在している」と指摘。従来、完全に乾燥していると考えられてきた月に大量の水が存在していることが判明したことは、「月に関する理解を一変させるものだ」と強調した。

 NASAは現在、有人月探査を2020年までに再開するとしているが、予算面などから批判が絶えず、一足飛びに火星への有人探査に踏み切るべきだとの声もあがっていた。

 今回の発見は、水を電気分解し水素をロケット燃料に、酸素を宇宙飛行士の呼吸用として利用する道を開くことにもつながる。AP通信は「水の存在が判明したことで、月は再び魅力的な目的地となるだろう」との専門家の見方を示している。
彗星の正体が”汚れた雪だるま”であるように大量の水がこの太陽系には存在し、火星でも発見され、アポロ計画当時でもクレーターの奥に水の痕跡があるかもしれないとの仮説はたてられていた。

月に60億トンの氷を発見?【1998年9月4日 NASA】
http://www.astroarts.co.jp/news/1998/09/980904lp/index-j.html

月面有人探査棚上げ、宇宙開発本部が素案、予算、1兆円超えで。
2010/03/03, 日本経済新聞 夕刊,
宇宙開発戦略本部(本部長・鳩山由紀夫首相)は3日、「月探査に関する懇談会」を開き、日本が単独で月へ宇宙飛行士を送り込み探査する計画を棚上げする素案を公表した。飛行士が乗れるロケットや宇宙船をすべて独自に開発するには1兆円を大きく超える予算が必要で、現実的ではないと判断した。当面は有人ロケットなどの設計につながる基盤研究にとどめ、国際協力の道を探る方針を盛り込んだ。
 日本が協力を期待していた米国も2月に有人月探査計画を打ち切った。米国をはじめロシアや欧州、中国などとどう協力していくのか、前原誠司宇宙開発担当相らの政治判断に委ねることになる。
 懇談会では宇宙航空研究開発機構が開発費用を報告。有人ロケットと地球帰還の宇宙船の開発には、設計に入るだけで900億円が必要なほか、実用化までに数千億円規模の追加予算がかかると試算。「日本単独で有人月探査に取り組むと兆円単位に達する見通しで、現実的でない」(宇宙機構)と説明した。ただ、中国やインドなどが台頭しており、宇宙分野での発言力を保つためにも将来の有人活動につながる要素技術の研究は日本独自で進めるべきだと結論づけた。
 日本は2009年6月にまとめた宇宙基本計画に、20年をめどに無人ロボットで月面を探査する独自計画を盛り込んだ。その先に宇宙飛行士を送り込むことの是非について、夏までに結論を出す予定で検討してきた。 

月に大量の水が発見されたと発表された同じ日に鳩山政権は、日本が単独で月有人探査計画を棚上げする素案を公表した!せっかく、日本が基地に最適な穴を発見していたというのにKY!

【月面に縦穴、基地の有力候補地?…「かぐや」撮影】
http://www.yomiuri.co.jp/space/news/20091025-OYT1T00094.htm

オバマ政権も2011会計年度予算教書で月有人探査計画の打ち切りを発表したが、今後の有人探査の行き先や時期を明確にしておらず、NASAの発表は、有人月探査を送る起死回生の切り札として大量の水の存在を公表したのではないだろうか?

オバマは月の有人探査計画を白紙に戻すが、その一方国際宇宙ステーションの運用を5年延長する方針を決めている。日本の宇宙実験棟「きぼう」が有効活用できるとしてJAXAは歓迎ではあるが、きぼうではたんぱく質のきれいな結晶をつくる解析実験に力を入れてきた為、今後米国が宇宙バイオに参入して競争が激しくなると杞憂の声もある。

米宇宙計画は、前ブッシュ政権の計画自体に無理があったところに、100年に一度のの金融危機で、見直しが行われた。その影響で日本でも2020年ごろまでにロボットを月面に送り、有人での探査計画は米国抜きに実施することは困難で見直すのも理解できるが余りに間が悪すぎる。今回の月のクレーターでの大量のH2Oの発見は、月面もしくは宇宙空間での生命維持システムなど、低コストで人類が宇宙で生活する可能性を秘めているだけに、今後日米の宇宙開発の動向に注目したい。


<もはや利権!>
「月面に氷」の科学者、スパイ容疑で逮捕 FBIがおとり捜査2009.10.20 09:35
http://sankei.jp.msn.com/world/america/091020/amr0910200938001-n1.htm
  【ワシントン=山本秀也】月面のクレーター内部に「氷がある可能性」を初めて指摘した米国の科学者が19日、イスラエルに機密情報を売り渡そうとした容疑で、米連邦捜査局(FBI)に逮捕された。月に氷が存在する可能性は、米航空宇宙局(NASA)が今月、ロケットを使って探査するなど関心を集めていただけに、初期の研究にかかわった関係者の逮捕は衝撃を広げている。

 米司法省によると、逮捕されたのはこれまで複数の国防総省傘下の研究機関で技術研究に携わったスチュワート・ノゼット容疑者(52)。同容疑者は、1994年に打ち上げられた月探査機クレメンタインのプロジェクトに参加。96年に「クレーター内部に氷が存在している可能性がある」との調査結果を発表して注目を集めた。

 ノゼット容疑者は今年9月、イスラエルの情報機関員を装ったFBIの捜査官とワシントン市内で接触し、米国の衛星に関する情報などを数回にわたり提供。1回あたり最高で9000ドルの現金を受け取ったほか、イスラエルの旅券発給を情報の見返りに要求していた。

 FBIがおとり捜査をなぜノゼット容疑者に仕掛けたのかは不明。同容疑者は21日にもワシントン連邦地裁で法廷尋問を受ける。

 月に氷がある可能性は、将来的な月面基地の設営にかかわる重大な研究対象とされている。NASAは今月9日、月探査機LCROSS(エルクロス)から分離したロケットを月の南極地方にあるクレーター「カベウス」に衝突させ、水分の痕跡を調べていた。
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