イメージ 1
『人類を幸せにする日本 井沢元彦/著(祥伝社)』を読む 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
第四章 世界に期待される日本の国際貢献
 
人類を救うためにヒトもカネも出す――130
2008年5月、中国中西部の四川省で起きた大地震では、20万棟以トの家屋が倒壊してがれき8万人以ヒが死亡。校舎の崩壊によって犠牲になった児童がー万人を超えました。瓦礫の下に生き埋めになった人たちを救おうと、懸命の救助活動が展開されました。
この地震で、日本政府はただちに国際緊急援助隊の出動を決め、3次にわたって計80人余りの隊員を派遣しました。救助チームの隊員たちが現地の中学校などで救助活動に従事したほか、医療チームの隊員たちが現地の病院で負傷した人たちの治療にあたりました。
崩れ落ちた瓦礫の山のなかから掘り山山した遺体を前に、救助隊員たちが整列して静かに黙薦を棒げる姿は、テレビを通して世界中に伝えられて感動を呼び、日本人の規律やモラルは高い評価を受けました。
世界各地で起こる地震や洪水などの大規模災害に対し、日本政府はヒト・モノ・カネの緊急援助を実施する体制を整えていますが、このうち人的援助の中核が旧際緊急援助隊(JDR)です。
1987年に施行されたJDR法(国際緊急援助隊の派遣に関する法律)に基づいて、外務省が派遣を決定し、JICA両際協力機構一が実施します。各部道府県警察の機勒隊員や自治体消防本部の救助隊員、医師や看護師、自衛隊員、災害の専門家らが前もって登録されていて、災害が発生するとチームが編成され、すみやかに現地に派遣されます。
1991年に起きた湾岸戦争の際、日本はカネだけ出してヒトを出さないと国際世論から批判されましたが、現在は、自然災害の合はJDRが、戦争に伴う災害の場合は自衛隊のPKO部隊が対応する体制が確立し、ヒトによる国際援助活動を展開しています。
もうひとつ、世界から注目を集めているのが、青年海外協力隊の活動です。JAIKAが実施している国際ポランティア活動のひとつで、20歳から39歳までの日本人が発展途ヒ国に移り住み、学校の建設や水の確保、医療や農業など、さまぎまな分野での因際協力活動を実行しています。
1965年に初代協力隊員がラオスの地を踏んで以来、これまで45年間に3万4000人を超える日本人が、世界86力国で現地の人たちとともに暮らし、ボランティアとして汗を流してきました。たとえば、中米ホンジュラスでは、協力隊員がバックアップして子どもたちに学習指導するために作った教材が国定教科書になり、それが隣国でも採用されたと言います。

日本は、人類を幸せにする道具として原子力を利用した――134
日本が原子力の平和利用を進めた背景には、資源に乏しく、工業の原料やエネルギーの燃料のほとんどを輸人に頼らざるをえないという事情がありました。といっても、原発に使う天然ウランも100%が輸入です。オーストラリアやカザフスタン、カナダなどから輸入されています。
このため、日本は原子力発電を導入した当初から、高速増殖炉による核燃料サイクルの確立を目指してきました。核燃料サイクルとは、原子力発電所で使われた使用ずみ核燃料を再処理してプルトニウムや燃え残ったウランを取り出し、高速増殖炉で再利用して発電するリサイクルシステムのことです。
 
核戦争を回避する運動の先頭に立ってきた――139
日本政府はまた、国連でリーダーシップを発揮し、1994年度から16年連続で、核兵器廃絶を推進する国々と共同して核兵器廃絶決議案を国連総会に提案し、この捉案は毎年、採択されてきました。とくに、2009年度の国連総会では、アメリカが初めて共同捉案国に加わり、インドと北朝鮮を除く171カ国すべてが賛成に回っています。
このように、日本は一方で、アメリカの核の傘に入りながらも、核兵器廃絶に向けた取り組みを粘り強く続けてきました。
核廃絶に執念を燃やす48歳のオバマ大統領自身が「生きているうちには実現できないかもしれない」と述べてはいますが、核廃絶がはるか遠い夢でなくなったことは確かです。川口順子元外務大臣が共同議長を務める日豪主導の賢人会議「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」は最終報告書で、地球上に現在2万発以上ある核弾頭を2025年までに10分の1以下の2000発以下にするという実行可能な捉案をしています。
もちろん一朝一夕には行きませんが、今後も日本がイニシアティブを取って粘り強く、したたかに核兵器廃絶を推し進めていくことが必要でしょう。

原子力発電の普及で、エネルギー問題を解決する――145
 

あなたは原子カ発電に賛成ですか、反対ですか――149
 
原発について昔から原子力発電に反対している人達を私は軽蔑してきました。私の出身地は日本の原子力研究の中枢東海村のすぐ隣の水戸市です。頭が不自由な原発反対を叫ぶ人達について考えるとき下記かんべい先生のHPは参考になります。
 
溜池通信2011年かんべいの不規則発言<2月15日>(火)

○今日の昼飯はどこにしようか、という問題を考えるとき、誰でも知っているこんな法則があります。

「うまくて安い店は、混んでいる」

「うまくて空いている店は、値段が高い」

「安くて空いている店は、うまくない」

○つまり、「うまい、安い、早い」という3つはトレードオフの関係にあって、2つまでは求められるけれども、3つすべてを満たすことは出来ない。逆に言えば、「今日の昼飯をどこにするか」を決める際には、どれかひとつの要素を捨てなければならない。

 
 左翼や原発反対の人たちは常に、早くて安くてうまい昼飯を喰わせろ!と要求しているわけですが、世の中の現実仕組みがわかっていないから困るのです。
国のエネルギー政策に置き代えれば、原発を使わず、二酸化炭素も出さず、電気を安定的に供給せよということになる。
 
原発を使わなければ二酸化炭素を排出しなくては電気を安定的に供給できない。
原発を使えば二酸化炭素を排出せず電気を安定的に供給できるのである。
原発を使わず、二酸化炭素も排出しない風力など自然エネルギーの利用では電気を安定的に供給できない。この当たり前の理由が理解できないのが反原発を叫ぶ頭が不自由な人たちなのです。そんな頭が不自由な人達にも歓迎される原発がある。トリウム原発である。

中国が開発する「クリーンな新型トリウム原発」とは【wiredvision】

2011年2月16日
中国はこのほど公式に、トリウムを燃料とする溶融塩原子炉(MSR)の開発計画に着手したことを発表した。これは、同国が主要なエネルギー源を原子力に移行するための重要なステップとなりえる動きだ。
このプロジェクトは、上海で1月下旬に開催された中国科学院[中国におけるハイテク総合研究と自然科学の最高研究機関であり、国務院の直属事業単位]の年次総会で発表されたもので、1月26日(現地時間)に中国の新聞『文汇报』の電子版が報じた。
現在では、ほぼすべての原子炉でウランが利用されているが、放射性元素のトリウムは、ウランより安全かつクリーンで、埋蔵量の多い代替燃料だと考えられている。
トリウムは溶融塩炉(MSR)に適し、核反応が固体の燃料棒ではなく液体燃料炉の中で起こるため、メルトダウンが発生する危険性がないとされている。[溶融塩とは、塩類が高温で液体になったもの。MSRでは、トリウムのフッ化物を混合した溶融塩を燃料としてエネルギーを取り出す。原理的に重大事故を起こさないとされる。]
こうした安全性に加え、MSRでは、既存の核廃棄物を含むさまざまな種類の核燃料を消費できる。また、その副産物は、核兵器を製造するのにも適さない。さらにMSRは、消費するよりも多くの燃料を生成する増殖炉として設計することもできる。
米国では、1960年代から70年代にかけて、オークリッジ国立研究所で、トリウムとMSRの大規模な研究が行なわれたが、この取り組みは中止された。その理由の1つは、ウラン原子炉では副産物として核兵器を製造できるレベルのプルトニウムが生成できたからだ、と多くの人は考えている。
しかし、核兵器の需要が減り、安い石油が風前の灯火となりつつある現在、インド、フランス、ノルウェーなどいくつかの国は、トリウムを利用した核燃料サイクルを研究している。中国の新しい計画は、その中でも最大のものだ。
中国はすでに、今後20年間に数十基の新しい原子炉を建設する計画を発表している。これが実現すれば、原子力による発電量は20倍に増え、石炭からの脱却が可能になる。現在の中国は、世界で最も石炭を消費する国の1つだ。
米国における原子力発電の支持者やアナリストの多くは、トリウムを利用した中国の原子力発電が、米国の経済競争力にとって脅威になると見ている。次世代の原子力発電技術に関して、米国が中国に依存する事態になるかもしれないからだ。米国は、「グリーンな」エネルギーを開発するうえで、大きく遅れをとってしまうかもしれない。
[米国の原子力発電業界はすでにウラン燃料サイクルのインフラを確立しており、これをトリウム用に転換するために投資する理由がないため、移行が進んでいない、という状況を紹介した日本語版記事はこちら]
結局、中国の次世代の原子力戦略をめぐって米国で生じている騒動は、次のような結論に行き着く。外国の石油に依存した状態を問題にしないままでいれば、将来は、外国の原子力に大きく依存することになるだろう、と。
{この翻訳は抄訳です}
 
 残念なことに日本ではトリウム原発の開発は行っていないようです。しかし、トリウム原発についてもウランと共に原子力基本法で認められており、トリウム原発の実用化に支障は全くありません。原子力を地球温暖化対策の切り札だけではなく、経済成長でエネルギー需要が伸びている新興・途上国において原発導入の動きが活発化しているなか、日本のインフラ輸出の切り札でもあるのです。
 
国内では原発反対の頭が不自由な左翼さん達もこのトリウム原発なら納得するでしょう。トリウム原発は日本も中国に遅れることなく日本がリーダーシップを発揮して取り組むべきであると考えます。
 
 
 
 
第五章 日本が切り拓く披術と未来
 
iPS細胞が、世界の重病患者を救う――158
次世代型ロボットが、生活や福祉をサポートする――163
海水の淡水化で水問題が解決する――167
終章 
まとめとしての日本人論――175
あとがき――181