「易漸象」に「君子以居贅徳善俗」と説かれ、「書大禺談」に「徳惟善政」の如く述べられる所以である。融合の世界は、徳によれば、自然無為の姿で作られる。殊に、政治上、為政者が不徳であれば、世は乱れる。世の和平安泰が政治にある事は、古今東西の歴史に示されている。
 
論語では、徳がない人間が天下を治めると世は乱れる。社会党の村山富一、民主党の菅直人、大震災の首相は徳がまったくない左翼である。このことは単なる偶然であろうか?
 
鳩山が首相だったら、東京直下型だったかもしれない。早くやめてもらって正解だった。小沢だったら日本沈没だ!

巨大地震で吹き飛んだ「菅直人退陣」のカウントダウン田崎 史郎

政権も己の力を過信ぜず、野党も口をつぐまず、衆知の結集を

千年に一度といわれる東日本巨大地震は政治の風景をも一変させた。一刻も早い被災地の人命救助が、なにより優先されることはいうまでもない。カウントダウンに入っていた首相・菅直人の退陣は遠のいた。
被災した市町村の名前を聞くたびに、その地域を選挙区とする衆院議員の顔を思い浮かべてしまうのは政治記者の性(さが)だ。青森県八戸市は自民党副総裁・大島理森の地盤だ。岩手県大船渡市、陸前高田市から黄川田徹(民主)が選出されているが、両市は中選挙区時代、民主党元代表・小沢一郎の強固な地盤であり、今も影響力が強い。

宮城県気仙沼市は自民党の小野寺五典、石巻、東松島市は民主党国対委員長・安住淳、白石、名取市は橋本清仁(民主)、福島県相馬、南相馬市は石原洋三郎(同)の選挙区。東京電力福島第一原発がある福島県大熊町、双葉町は吉田泉(民主)だ。被災地の小選挙区ではいずれも民主、自民両党の議員が選ばれている。地元の代表という点で、党派の垣根はない。

「町民1万人が安否不明」と伝えられる宮城県南三陸町(人口約1万7400人)で私は昨年11月3日、「南三陸町合併5周年記念講演会」の催しに招かれ講演した。東北新幹線のくりこま高原駅で降りて公用車で同町に移動したが、町中に入ると、リアス式海岸脇の道路をうねりながら走った。太陽の光を反射させてキラキラと輝く海と、海にせまった小高い山々の森林とのコントラストが鮮やかだった光景がまぶたに浮かぶ。

あの町の変わり果てた姿がテレビ画面に映し出される。高台にあった講演会場の南三陸町スポーツ交流村文化交流ホールはどうなっただろう。講演を聞きに来られた450人の町民のご無事を祈らずにはおれない。
現段階で民主党も自民党も公明党も、議員に取材すると方向感覚を失い、悲惨な光景に圧倒されながら手探り状態だ。今、政局の話を大っぴらにしようものなら袋だたきに遭いそうで、とりあえず、菅政権の動きを心配げに見守るほかない状況になっている。

その中でも確実に言えることは、年内の可能性もあった衆院解散・総選挙が任期満了近くになることだ。被災民が投票所に行けるような状態になるのはいつか、すぐにはめどがたたないだろう。

一方、2010年の国勢調査に基づく衆院小選挙区の区割り見直しを進めている政府の衆院議員選挙区画定審議会が勧告案をまとめるのは来年2月。新しい区割りが発表されれば、現在の区割りでの選挙は困難になり、区割り法案が成立するまで総選挙は事実上不可能だ。その後の周知期間を3カ月とするなら、解散・総選挙が可能になるのは選挙制度上も来年秋以降にずれ込まざるを得ない。

これからの2年に何をなすべきか

菅は来年9月の民主党代表選、あるいは総選挙まで政権を維持することが可能になった。

地震が発生した当日午前に在日韓国人からの献金が発覚し、予算が月末に成立したらいつ退陣しても不思議ではない状況だった。だが、社会保障と税の一体改革、太平洋連携協定(TPP)への参加問題に加えて、巨大地震による未曾有の被害という困難も加わった今、民主党政権、とりわけ菅はその任に堪えられるだろうか。

この1年半余の政局運営、とりわけ菅の言動を振り返る時、大丈夫かという不安が頭をもたげるのを禁じ得ない。福島原発の爆発事故で早くも後手に回ったり、事実の公表が遅れたりしている。

もともとイライラしがちな菅がこの難局を逆手にとって、政府が決めたことに野党が賛成しないのはおかしいと迫るような愚を犯したりしないだろうか。あるいは、野党側が空気に流され、政府の方針を何でも受け入れるようにならないだろうか?

ここは、日本の政治家の衆知を集めて対処するべき時だ。政権側が己の力を過信して野党に協力を強要するのではなく、野党も口をつぐんでしまうのではなく、これから約2年の間に何をなすべきかを考え、かつその仕組みをつくってほしい。

後世、あの政権は、いやあの時に国会議員だった人たちは何をしていたのかと言われないために-。(敬称略)
 

「震災増税」ではなく、「寄付金税額控除」、「復興国債の日銀直接引受」で本当の被災地復興支援を 【高橋洋一】

菅・谷垣「臨時増税」検討に異議あり

3月11日、午後14時2時46分ごろ、超巨大地震が東北地方太平洋沖で起きた。マグニチュードは9.0と、世界歴代4位、もちろん日本国内では未曾有だ。
震源が陸地でなく海だったため、猛烈な津波が発生した。東北地方沿岸部では、10メートル級の津波でいくつもの町が壊滅的な打撃を受けてしまった。
 とにかく今は状況把握と人命優先である。14日午後には、生存者確率が急速に低下する発生後72時間を過ぎる。なんとしても、マンパワーを最大限投入して救出してほしい。未だに地震被害の全容はわからない。 宮城県南三陸町では、町民1万7000人のうち1万と連絡が取れない状況という。
 世界各国からも救援の支援が来ている。ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)では、堅牢なる日本(Sturdy Japan)という社説は、日本が地震への備えをしていたために被害がそれでも最小限であり、被災者救援に全力を尽くしているという、胸を打つ内容だった。
こういう時には、まずは一人一人ができることをやるしかない。その上で、自助、共助(周囲の人と助け合うこと)、公助(公的機関が支援すること)がうまく調和するようにしなければいけない。
 私事であるが、私の家は震度5強の地域だった。幸いにも家族や家は大丈夫であったが、私の部屋の中は本箱、コンピュータが倒れて足の踏み場もなかった。もちろん被災地や被災者と比べればたいしたことない。12日、13日と部屋片付けをしながら、とても気になったニューズがあった。
 現段階では、救援が優先されるべきでまだ復興話は時期尚早だろう。しかし、この国のトップの政治家はこうした感覚ではなく、その内容も酷いようだ。
 もちろん、救援に支障が出ない範囲で復興を検討するのはいい。しかし、13日夕方のニュースによれば、菅直人総理と谷垣禎一自民党総裁の会談の結果、その財源として民主党と自民党は臨時増税を含む時限立法を検討するというのである。わざわざ臨時増税をいう以上、本気なのだ。
 これは下策だ。
今回の地震に対しても、さきほどのWSJのように、世界は日本なら何とかやっていくだろうとみている。
 たしかに、11日は地震発生後、日経平均こそ急落した。ただ、円相場は、一時安くなったが、日本の投資家が外貨運用を円に換えるという思惑で、円高になっている。債券相場も高くなっている。こうした未曾有の天災があったときには、株価、円、債券のトリプル安になっても不思議ではないが、そうなっていない。
 しかし、復興のための臨時増税となれば、14日月曜日の相場はどうなるかわからない(本稿執筆は13日夕方)。
 もちろん、復興策は絶対に必要だ。その規模は直感的には10兆円くらいだろう。しかし、その財源として臨時であれ増税は不味い。
 この危機に増税とは理解に苦しむ。この災害時に増税しか見えないのかと思うと、一国民として悲しくなる。国民の共助を求めるなら、災害寄付金を税額控除するのが正しい方向だろう。
 日本の地震リスクを強調して、この機に乗じて日本国債にアタックを仕掛けてくるという外国ヘッジファンドの噂もある。そうした冷酷なハイエナに塩を送るような増税発言だ。
高橋是清の決断に学べ
 では、復興策の財源といえば、もちろん国債である。しかも、日銀直接引受がいい。というのは、今はデフレであるので、マネーが日本国内では不足している。被災地には当然潤沢の資金供給が必要になるが、それを全国レベルで対応するためにも、日銀が直接引受によってマネーを増やすのが正しい方向だ。
 日銀直接引受の分の国債は、実質的に財政負担にならない。例えば、その国債に対して金利を政府が日銀に払ったとしても、その分は日銀から政府への国庫納付金になるからだ。
 そのデメリットは、全国レベルでのインフレになるという点だが、今はデフレであるので、その弊害は少ない。被災地での物資不足に対して、局地的な価格上昇の可能性はあるが、それに対しては不当価格値上げがないかどうかはしっかりと行政で監視する必要がある。
 日銀直接引受というと、必ず財政法で禁止されているという反論がある。
たしかに、財政法第5条では、「すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。」と書かれている。
 しかし、その後に「但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。 」と書かれている。
 しかも、あまり知られていないが、すでに衆議院を通過した来年度予算の予算総則において、日銀保有国債分については、「財政法第5条ただし書の規定により政府が平成23年度において発行する公債を日本銀行に引き受けさせることができる」と書かれている。
要するに、復興国債を発行して、国会議決でやれば日銀直接引受はできるのだ。
日銀直接引受は、昭和恐慌時高橋是清が行い、世界でもいち早く脱出できたので、世界的にも評価の高い政策だ。超巨大地震という国難であるので、従来にない発想で政治主導が求められる正念場である。
 なお、14日、15日は日銀の政策決定会合がある。日銀自ら直接引受の用意が発言すれば、それこそ歴史に残る偉業となるだろう。日銀も柔軟な発想が必要だ。