私の個人的な生業を暴露するわけではないが、今週はエルピーダメモリーのおかげで大変忙しい一週間でした。おかげで疲れてブログの更新も儘なりませんでした。

本日は追証未入口座の強制決済やナンキン割れ口座のチェックなど、あまり愉快ではない仕事に追われました。不運な投資家の皆さんの心中を慮(おもんばか)ると胸が痛みます。

昔日本は「経済一流、政治三流、外交五流」と言われていましたが、いまや「経済三流、政治五流、外交不能」ではないでしょうか?

イメージ 1
「中国は21世紀の覇者となるのか?」ヘンリー・キッシンジャーファリード・ザカリアvsニアール・ファーガソン、デビッド・リー(李稲葵)/著を読んだ。ディベート形式で中国が21世紀の覇権国であることについて中国肯定派と否定派に分かれて中国の未来を論じている本であった。
ところがこの四人の議論で、肯定派も否定派も中国の未来を占うのに必ず日本を引き合いに出す。

副題が世界最高の4頭脳による大激論であったが、あまりに酷い中国と日本の認識であった。 なにが世界最高の4頭脳だ!
p39-40
日本をどう見るか
グリフィス:本ディベートにおいて、一連の魅力的な主張が結晶しつつあります。そしてそれを促していくために、両陣営に、相手方の開幕の主張に対する意見を手短に述べていただきたいと思います。具体的には、相手方の主張のうち、最も同意できない点を述べていただきたいのです。ニーアル、まずはあなたから反論をどうぞ。

ファーガソン:フアリードに質問したいのですが、もし中国も日本の二の舞になるというあなたの説が正しいとしたら、日本がけるかに小さな国であること、そして中国が相対的にずっと開発程度が低い国であること、というあなた方お二人ともが指摘した点を加味して、どう思われますか? もしあなたの言う通り中国が日本のたどった道を経済的にたどるとすれば、間違いなく21世紀は中国のものになるでしょう。なぜなら、日本が一九八〇年代後半から陥ったような停滞に突入する前に、中国は世界のGDPシェアの大きな割合ばかりか、グローバルなパワー・バランスにおいても巨大な力を占めることになるからです。なぜなら、日本と違い、中国は日本が一九四五年に被ったような軍事的敗北によって主権を失ったことは1度もないからです。したがって経済的にも地政学的にも、中国が日本のだとっだ歴史をなぞるというなら、あなた方陣営にとって、それは非常に恐ろしいものになるはずです。
グリフィス ファリード、反論は?

ザカリア 日本を例に出しだのは、単に何事も一直線には進まないということの実例にすぎません゜どんな国も、とりわけ経済的な現代化の程度を進めていく上では、自らが抱えている問題に直面するものです・過去一〇〇年を通じてヽ国民一人当たりのGDPで一万二〇〇〇ドルを超える国を探してみると、非常に限られたことであるとわかります。ざっと五力国だけです。
(略)
以上はほんの一部だが日本を完全に過去の国、終わってしまった国として捉えている。

ふざけるなと憤ってみても現状の日本は政府は無能であるのはわかっていたが、政府がダメでも民間は・・・ところがMade in Japan ブランド半導体、家電、太陽電池、携帯電話と次々に競争に敗北している。これはある程度認めざるをえない。

リンクのエルピーダよ、2度目の敗戦を無駄にするな社長とアナリストが語る「負けた原因」は大間違い を読むとエルピーダの経営破綻の原因を、「DRAM価格の下落、歴史的円高、震災、タイの洪水」ではなく「DRAMを安く作る技術でサムスンに負けた」高品質すぎて低収益体質であるという。

歴史的な円高、3.11、タイの洪水が日本の製造業の息の根を止めたかもしれない。半導体や家電で稼ぎまくった電子立国日本は完全に「電子立国日本の黄昏」となってしまったのだ。

通貨の番人として日銀の機能は有能に働いているのは事実だ。デフレ政策により物価が安定し、名目金利が上がらないために、膨大な赤字を続ける日本政府が高金利の負担による破綻から延命できるのも事実ではある。

だが、円高はリーマンショック以降米国、欧州など世界中が通貨安政策を取る中、国際的ホットマネーが円を逃避先と評価したのも半分だが、日銀の怠慢な政策によるのも半分である。

日本の金融機関にしてみれば実質金利が高いために、国民から預かった資金を国債で運用すれば何も努力せずに巨額の利益が転がり込んでくる。

そのおかげで低金利は年金の運用を困難にしてしまった。AIJという公的詐欺師が跋扈する社会が出現してしまったのである。

AIJの事件はオリンパス損失隠蔽事件、大王製紙創業家御曹司の放蕩事件、原発事故で顕わになった東京電力の体質と根本的に共通な原因なのである。現在の日本人が劣化してしまったのではないかという根本的な疑問を持ってしまう。

◎ちなみに2004年と2006年女子高生のスカートの中を手鏡で覗き現行犯逮捕された、ミラーマンこと植草一秀がAIJ投資顧問の顧問であったことには大笑いしてしまった! 植草一秀は性癖を暴露され大恥をかいた。国策逮捕だと国家への憎悪に凝り固まった生きた怨霊である。植草一秀は所詮胡散臭い人物なのである。それでも昔は経済学者として尊敬していたのだが・・・人間として弱かったのであろう◎

AIJ投資顧問が受託していた約2000億円の年金資金の約9割が消失した事件も事件が起きてから、AIJが標榜していたような運用実績、特にリーマン・ショックの前も後もプラスというのは神様以外にはあり得ない運用成績だと今更騒いでも遅いのである。

AIJ事件は孤独な老人が騙された豊田商事事件と同類ではない、日本の屋台骨を支えるようなエリートであるべき年金基金運用担当者がありえない運用成績に疑問を持たなかったことが重大なのだ。

膨大な資金を運用する年金基金の運用担当者が投資について素人で、「ヘッジファンド」という言葉に幻想を抱きヘッジファンドの運用の仕組みやリスクを正しく理解せず、漠然とリターンの良さに期待してしまったのである。

これは、皆さんがお勤めの会社でもよくあることだと思うが、無能な企業経営者が、年金基金の運用担当者に、現在の経済金融情勢ではあり得ないリターンを求めたからだ。担当者は「一発逆転」を狙い、AIJの虚偽の運用成績に騙されてしまったのだ。

現在多くの年金基金の試算では、将来の年金給付が賄えない状況になっている。ある種の破綻状態にある。 金融庁はAIJの問題を重く見て、投資顧問会社の一斉調査に乗り出した。だが、杜撰な投資顧問会社を今まで野放しにしていたのは金融庁の責任だ!

政治家も企業経営者も年金の運用担当者も無責任すぎるのだ。これは共同体を失い規範を失った日本においては当然の帰結だと思う。みな国家とか日本の将来といったことを意識していない。現憲法下愛国教育を受けていない日本人は皆半径10メートルほどのことにしか興味がなく、日本人としての責任を果たしていない。

しかし、21世紀にはいり世界中に日本文化が伝わりCoolJapanカワイイが世界を席捲している。そして3.11における日本人の行動は世界中で賞賛されている。日本人が劣化しているのではなく日本社会の根本の何かがオカシイのである。

上記の「中国は21世紀の覇者となるのか?」にそのヒントが書いてある。
なぜなら、日本と違い、中国は日本が一九四五年に被ったような軍事的敗北によって主権を失ったことは1度もないからです。

日本は第二次世界大戦で敗北し主権を失った。この主権を失った期間に、米国はこの恐ろしい日本を二度と対米制裁戦争をさせない仕組みとして、現日本国憲法を制定し、東京裁判史観を日本人に殖え込んでしまったのだ。

現状の日本はサムライの気質が消え、お公家的な気質が強い国家となってしまっている。TPP問題にしても鎖国して内向きになりたい情けない日本人があまりにも多い。
しかも、この日本から主権を失わせた根本原因である日本国憲法を未だに後生大事に改憲しようとしないのだ。

いまでは、護憲派の最右翼である日本共産党は 昭和22年(1947年)まで、日本共産党は「憲法九条は認めない」と立派な見識をいっていました。

「軍隊を持たない主権国家などあり得ない」という論拠からで、当時の日本共産党の最高指導部は全員声をそろえて現日本国憲法、特に憲法九条を問題としていました。
昭和21年に憲法九条論争が行われましたが、そのとき日本共産党は大変立派な態度を取っています。昭和21年の衆議院と22年の参議院で、当時の吉田首相に「主権国家は必ず独自の軍隊を持つはずだ。そうでなければ独立した国家とはいえない」と質問した。

れは正しい国家観であるとともに、当時の常識であり、世界のどの国の国際法の教科書にも、主権国家には自国の軍を持つことが学問の大前提として書かれています。

「軍隊がなければ、誰が日本の国家の安全を保障するのか。いまは占領されているから占領軍が保障するが、いずれ彼らは帰っていく」という、日本の将来まで見通した立派な見識を、当時の日本共産党は示しました。

ところが、いつの間にか日本共産党は憲法九条の否認を口にしなくなりだしたのだ。

そもそも共産主義者のバイブルであるレーニンの「国家と革命」には「共産主義革命を起こせば国家はなくなる」と書いてあるので当事の日本共産党の見識が共産主義と離れていたのかもしれない。

共産主義は人間の不幸はすべて国家から来るものであり、国家は労働者階級を抑圧するための道具、階級搾取をする道具であると認識しているのだから、国家を存続させないという考え方なのだ。

共産主義者達の考えでは、大昔の国家は農奴、もっと古代の国家は奴隷を捕らえ、彼らから搾取して特権階級が豊かになった。封建時代の地主は、農奴を搾取してぬくぬくと暮らしている。資本主義社会も、労働者から搾取する社会にすぎない。

だからこそ、最下層にいる虐げられた労働者が立ち上がり共産主義革命を実現させたら、もはや搾取する階級はなくなり、国家もなくなるという話です。なぜなら国家は人々を抑圧することを目的とするものだから、というのだ!

共産主義の世の中では国家はいっさい必要く、人々が国境を越えて横につながり、全世界の労働者が団結すれば世界は一つになる。世界中の労働者が連帯して立ち上がれば、世界革命に発展して世界から国家がなくなり、戦争は起こらなくなる。今共産党が反対するTPPグローバリズムと相反する考え方です。

これからの経済社会を考えるときに重要なことは、「国家」という枠組みをどう考える
かです。日本は国家であるとか社会生活を行うために最低限の国益とか愛国教育を怠ってきた。

AIJ事件にしても「自分に賃金が入ってくればいい」「自分が高給をもらえるなら、どこの国の企業でもいい」「どの国に税金を納めているかなど関係ない」といった国家国民を育てなかった日本教育の失敗である。

官僚や公務員・エルピーダ・オリンパス・東電の社員に限らず日本国民の意識は国家国民としての意識が欠乏しているから考えていない。原発に反対している人達は利他的な意識に欠け、国家や国民であるという意識がないのである。自分と半径10mの平和を求める近視眼な発想がそこにはある。

自分のアイデンティティと相反する経済活動を是認するのは、人間にとって必ずしも自然な行動とは言い切れない。

 われわれ普通の日本人から見て、日本に税金を払い、日本に帰属意識を持っている企業とそうでない企業は、やはり天と地ほど違います。

確かに我々国民が政府の官僚の言うことに疑念なく従うのではなく、国民一人ひとりが考えて行動すべきです。国民一人ひとりが天下国家を語れるようになるべきであると感じるのですが、それが無理でもせめて国家を支ええるエリート層、読書をする層は、国益を考え、国家として日本人としての矜持を持たなくてはならない。

残念ながら今の日本は政治家政府官僚は言うに及ばず、無能な国民だらけであることを認識しなくてはならないのかもしれません。

日本の再生は憲法改正と教育改革からしかはじめるしかありません。