[東京 19日 ロイター] 来週の外国為替市場では、日米の重要経済指標を受けてドル/円が80円を奪回する可能性がある。ただ、一本調子の上昇に懐疑的な見方も多く、需給面やテクニカル面から上値の重い展開になるシナリオもくすぶる。

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来週、日本では9月貿易収支、米国では第3・四半期実質国内総生産(GDP)速報値、9月耐久財受注と重要指標が相次いで発表される。短期筋を中心に「円売り材料探し」(外為アナリスト)の様相が強まるなか、結果次第ではドル/円が80円を奪回する可能性があるとみられている。来週は米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されるが、量的緩和第3弾(QE3)決定直後で注目度は低い。一方、30日の日銀金融政策決定会合を前に追加緩和観測はくすぶり続けるとみられ、過度な円買いにはなりにくいとされている。

ただ、ドル/円が一本調子の上昇を続けるかについては懐疑的な見方が多い。ニッセイ基礎研究所の上野剛志シニアエコノミストは「世界経済の先行き不透明感は根強く、一方的にドル高が進むという展開となるのはまだ早い」と指摘。「日銀会合というイベントに賭ける形でのドル買いは多少入るだろうが、それが上昇の大きな波になるのは時期尚早だ。足元で米国の指標が強くても、『財政の崖』の問題は何も解決されておらず、経済や金融市場への影響は読み切れない。今年いっぱいは大きな不確定要素として残る」と話している。

テクニカル面では、200日移動平均線(79.42円付近)、8月20日の高値79.66円と複数のテクニカルの関門が控える。「(ドル/円が上昇して)新しいレベルに入ってくると実需の売りが出てくる」(大手信託銀行)とされ、手掛かり材料に欠ければドル/円の上昇ピッチは鈍り、80円回復に時間を要することになりそうだ。

ユーロ/ドルは今週、株高やスペイン格下げ回避で上伸したものの、週後半は上値が重くなった。「(21日の)スペインの地方選挙やスペイン政府の支援要請の可能性も踏まえ、ショートにはしにくい」(大手証券)との声が出ている一方で、ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの村田雅志シニア通貨ストラテジストは、EU首脳会議を経て、市場の目線が財政統合やユーロ圏の銀行監督の一元化をめぐる独仏の深い溝に向かえば、ユーロ売りに傾くとみている。

今週発表された中国の第3・四半期実質GDPは市場予想に一致し、市場参加者のセンチメントに大きな影響を及ぼさなかった。しかし、来週発表される10月のHSBC中国製造業PMI速報値の内容次第では中国景気の先行き懸念が再燃しやすく、リスク要因として警戒されている。

[東京 17日 ロイター] 日本経済が慢性的なデフレから脱却するための政策展開の本筋は、本来、実物経済における「過少需要・過剰供給」構造の地道な改善であるべきだ。需要サイドでは多面的な人口対策によって国内消費の縮小を食い止める一方で、供給サイドでは不採算企業の退場を促しつつ新しいビジネスを積極的に育成・支援することによって産業構造の新陳代謝を促す必要がある。

ところが、政府は政策の優先順位をトップダウンで大胆に決めることができず、半ば硬直的な予算編成を続ける一方で、日本銀行に対して、もっぱら「のれんに腕押し」的な金融市場への資金供給上積みを求めている。あたかも金融政策を「アリバイ作り」的にデフレ対策の主軸とみなしているかのようだ。

そうした中で、最近、一種の流行のように唱えられているのが、他でもない、「日銀による外債購入」案である。たとえば、次の総選挙で議席を大幅に増やすとみられている自民党は8月31日に発表した「日本経済再生プラン」の中で、「デフレ・円高から脱却するため、従来の常識を超えた大胆な金融緩和措置を実行」すると明記した。具体的には、日銀法の改正も視野に、政府・日銀の物価目標(2%程度)協定の締結、そして日銀による外債購入などの措置を講じるとした。

しかし、結論から言えば、筆者は、日銀による外債購入はいわば「無理筋」の主張だと考えている。

確かに、「資金供給手段の多様化」という観点からはいくつかのメリットがあるし(日銀当座預金との代替性の低さ、名実ともに「銀行券ルール」の対象外であることなど)、日銀法の解釈上も日銀が独自に外国為替の売買を行う余地をまったく見出せないわけではない。

しかし、日銀が金融市場に供給するマネタリーベース(ベースマネー)の「量」それ自体に景気・物価に対する意味のある刺激効果は伴わないという前提をとる限り、後述するさまざまな問題点を含む外債購入にまで日銀があえて踏み出していく意義は見出しにくい。これは、10年以上も前、2001年10月―02年3月開催の日銀金融政策決定会合で展開された議論を経て、とうの昔に決着がついた話であるはずだ。

<円高是正効果は期待薄、日銀のリスクは増大>

重要なことなので、ここで当時の議論から浮かび上がったポイントを改めて整理しておく。

まず、表面的には資金供給手段の拡充という位置付けであっても、事実上「円高是正」を狙った措置として日銀が外債購入を開始する場合、市場介入も含む為替政策を一元的に所管している財務省とのすみ分けが、極めてあいまいになる。欧米諸国や市場は「第2介入」(いわば「裏口」からの事実上2つめの種類の為替介入)が導入されたと受け止めるだろう。少なくとも欧米の通貨当局者の理解を事前に十分得ておく必要があるが、これは極めて難しい課題だ。

これに対して、かつて中原伸之・日銀審議委員(当時)が提案したように、月2000―3000億円といった定額で定期的に外債購入を行えば、「第2介入」ではないかといった疑惑を薄められるという議論がある。しかし、限定規模で定期的に発生する為替需給の変化を市場はあらかじめ十分に織り込んでしまうことから、円高を是正する効果は極めて限られたものになる可能性が高い。その一方、日銀が抱え込む為替リスクは徐々に累積していくため、日銀決算(日銀納付金)の振れが従来に比べて大きくなるリスクもある。

また、時限措置として導入するか、それとも恒久的な措置として導入するのかも論点になる。仮に前者だとした場合、「出口戦略」が問題となろう。たとえば、一定水準の円安ドル高が実現した場合にとりやめるとした場合、そのことは「第2介入」だという本質を露呈することにつながる。

一方、恒久的な措置とした場合には、須田美矢子日銀審議委員(当時)が2001年11月の決定会合で指摘したように、日銀が事務の取扱いを行う者として財務省の指示に基づき逆介入(円買い介入)を実行しつつ、自己勘定では日銀が外債購入を続けるという政策として極めてバランスの悪い事態が現出してしまうリスクがある。

さらに、そもそも論として、円高是正によってどこまで本源的なデフレ圧力を緩和できるのかも論点であるべきだ。日本の実物経済における過少需要と過剰供給の組み合わせ(デフレ構造)は、為替相場が多少人為的に動くだけで解消する類の話ではないだろう。

<外債購入案お蔵入り後に量的緩和拡大か>

こうした中で筆者が最近ひとつ気になっているのは、財務省出身の国際機関高官の発言だ。財務省の独占的な為替政策管轄権を崩しかねない日銀による外債購入という議論に対し、足並みを揃えて反対を唱える一方で、その代わりと言うべきか、資産買入等基金が買い入れを行う資産の範囲を拡大すべきだという主張を展開している。

アジア開発銀行(ADB)の黒田東彦総裁(元財務官)は9日、日銀が「緩和するための手段は山のように」あるとした上で、外債購入については法律上の問題があるとして消極的な姿勢を示しつつ、国債のほかに「民間の債権(債券とした報道もある)、ABS(資産担保証券)、インデックス債、株式もある」と述べた。

また、国際通貨基金(IMF)の篠原尚之副専務理事(元財務官)は11日、ロイターとのインタビューで、日銀による外債購入は継続的な為替市場への介入につながりかねないとして「メッセージとして間違っている」と発言。日銀には「他に買えるものがたくさんある」と述べ、資産買入等基金による買い入れの対象や期間の多様化を具体例として挙げた。

総選挙の結果いかんにかかわらず、デフレ脱却に向けて一段の追加緩和を日銀に求める政治的な圧力が、2014年4月に予定されている第一弾の消費増税に向けて一段と強まることが予想される。外債購入というアイディアに対しては、財務省が強硬に反対する可能性が高いために、資産買入等基金が買い入れる資産(長期国債や信用リスクを伴う各種資産)の範囲を大幅に拡大する方向へと、話は傾斜しやすくなる。

日銀の金融政策はなし崩し的に、日銀券の信認への疑念や財政規律の弛緩といった、長い目で見た場合の弊害や副作用が危惧される「危うい世界」へと足を踏み入れつつあるように思える。筆者の見立て通りならば、市場へのインプリケーションは、為替市場では悪い円安、債券市場では国債イールドカーブのベアスティープ化(超長期国債を中心とする利回り上昇)ということになりそうだ。
米国のQEが実施されようがされまいが日銀は10月30日の決定会合で何らかの追加緩和策を打ち出すのかが大きな転換点となるかもしれません。白川日銀総裁は先般の決定会合の後「外国債の購入はしない」とはっきり明言したのが・・・・
10月30日、日銀が決定会合で緩和に転換すればドル・円相場は年末には90円台も。円安に弾みがつくことになるのだが・・・%の目標をたててその目標に見合うような金融緩和策を実施する事になるかもしれない。
20年を上回るデフレスパイラルの中で、世界は未曾有の景気の悪化に苦しんでおり、日本も未だに経験したことのない円高に企業は悩まされて日本国内で事業を継続することが困難な状況である。
去年の10月5日には日経平均は8343円の安値をつけ、月末には9000円台を回復した。この時日銀は非伝統的な手段の緩和政策を導入して欧州債務危機やタイの洪水への対応策でなんとか危機的状況を乗り越えた。前回の決定会合では9月の債券買入れ拡大の様子をみるためとして、緩和政策を見送った。
中国の景気回復には長期間かかるとみられるので、日銀が何らかの緩和策を実行しなければ市場では株買いが発生するような状況ではない。
IMF(国際通貨基金)による2012年-13年の世界経済見通しの下方修正も投資家心理を冷やし、世界各国の株価は急落した。弱材料に敏感な地合が続いている。
年末には米国ではFRBが財政の崖を乗り切るためにGE4が実施されるが、日本も10月30日に非伝統的な今までにない追加緩和に踏み切ることが期待され始めた。市場の一部で投機筋が煽っているような円高・ドル安はないとみている。
9月米FRBはGE3を実施したが投機筋が煽っていたドル売り圧力はほとんどなかった。 ドル高は9月に大きなドル安のヤマ場を越したとみている。もうドル安を仕掛けようとしてもドル安の玉がない状態となってしまった。
 ECBの政策・ユーロ対応策の進展で円を買う動きも一服している。日本の原発廃止論に伴う世論の高まりでガス輸入が拡大しており、貿易赤字が毎月拡大しており、輸入企業による円売りが増加しているために円安にあふれる確率が高まりを増している。
米国では大統領選が終わり、大統領が決定すれば来年初めの「財政の崖」問題も年末までには結着がつくためドルは強さを増してこよう。米国は来春、実体経済が自立的に改善して金利が上昇し、ドルは自然体の流れとしてドル高に転換していこう。
10月30日、日銀が決定会合で緩和に転換すればドル・円相場は年末には90円台も。円安に弾みがつくことになろう。




相場観はちょっと願望と妄想が混じっている場合もありますので、最後は自分で判断してください。