ヨットで遭難していた辛坊治郎さんら2人を救助(06/21 18:33)

太平洋上で遭難していたニュースキャスターの辛坊治郎さんらが救助されました。

21日朝、辛坊さんと目の不自由なセーラー・岩本光弘さんを乗せたヨットから事務所に「浸水した」と連絡が入り、事務所が第2管区海上保安本部に救助の要請をしました。午前11時45分ごろ、海上保安庁の航空機が宮城県の沖合1200キロの太平洋上で救命ボートに乗った2人の無事を確認しました。海上自衛隊の救難機「US2」が午後6時14分に2人を救助しました。2人は神奈川県の厚木基地に向かっています。また、健康状態などについては現在、確認しています。
http://www.uniqlo.jp/uniqlock/swf/blog_small.swf?user_id=Bo4uxIuSX6BfwXZC日本はギリシャのように国家破綻するから増税しろと主張する人気テレビキャスター辛坊治郎氏が、太平洋上で勝手に遭難し国民の税金で建造した救難飛行艇US-2によって救助されました。皮肉を書きましたが辛坊さんと岩本さんが無事帰還でき本当によかったと思っています。

 ニュースキャスター辛坊治郎さん(57)と全盲のセーラー岩本光弘さん(46)の乗った小型ヨットが太平洋横断中に遭難した事故で、海上自衛隊の航空機に救助された2人が午後10時半ごろ、神奈川県の海自厚木基地に着き、会見を行った。

辛坊さんはまず「本当にたくさんの方にご迷惑をおかけいたしました。たった二人の命を何百人で救ってくれた。本当に海上自衛隊、海上保安庁の皆様には感謝しています。4メートルの波の中を助けていただいて本当にありがとうございました」と感謝と謝罪を口にした。「気力はあるし、食料も水も1週間くらいは大丈夫という読みはあったんですけど、体温が下がって明日までもつかなという思いがありました」と状況を振り返り、「“あ、帰れる”もうその一言で。こんな言い方がいいかどうかわかりませんけど、この国の国民であって良かったなと思いました」と救助船がやってきたときの心境を声をつまらせながら告白した。

岩本さんも「本当に助けていただいてありがとうございます。本当に感謝の気持ちでいっぱいでした。あのゴムボートが来たときは本当にほっとしましたし、来ていなかたらどうなっていたんだろう」と感謝を口にした。

船内に海水が浸入した状況について、「(午前)5時までウォッチで、8時くらいまで寝ようと思ったらゴーンゴーンゴーンと3回右舷の方で、下から突き上げるような感じ」(岩本さん)「もしかしたらクジラだったかも」(辛坊さん)と船底が障害物に当たったという。「(岩本)ひろさんが“浸水している”と叫び声があって、船内のキャビンに足を下ろしたら床に水が来ていて。緊急の排水をしたんですが、とても水が入ってくるスピードに追いつかなくて。あっという間にくるぶしくらいまで水がきて、脱出するときは膝下くらいまで(きていた)」(辛坊さん)とみるみるうちに浸水していった様子を描写した。

救助を待っている最中は「何回も上空で(航空機)が旋回してくださっていて。厚木から来てこれくらい旋回してくださるということは助けたいという気持ちがあるとわかったので。とにかく生きようという話をラフト(救命ボート)の中で2人でしていました」(辛坊さん)と、気持ちを切らさずに耐えていたことを明かした。
助かったことはめでたいが、個人的な道楽をした二人を救助するのにに要する費用はタダではない。辛坊氏持論の国家破綻回避の為に財政再建を行い緊縮財政からもし防衛予算を削られていたらUS-2は飛べず辛坊氏らは助からなかったかもしれない。辛坊治郎は今後安易な財政再建論を言うべきではないと思う。

民間航空機の燃費は検索すると1000リッターでおよそ65km~150Km飛行できるらしい。今回往復2400Kmだとしたら、約2万リッター 航空燃料はリッター約90円だそうなので、大雑把な計算で1回200万円、US-2は2往復したから燃料費が400万円。 P-3Cも2往復しているので更に400万円、人件費や運用コスト考えたら私のおおよそな試算では少なくとも今回の出動で1000万円の経費が掛ったであろう。
これは税金から支出されるが、自分達の道楽で日本国民の血税から財政支出させたのであるから、もし本当に反省しているなら、是非国庫に救助費用分を納入してほしいものです。

この動画の2:15~3:38を見て下さい、低速でも十分な揚力を発生させ、超低空飛行と強力なSTOL性能を支える境界層制御 (BLC)によってふわりと垂直離着陸機と見紛う短さで離着水しています。

US-2でなければ台風接近で荒れる太平洋上で辛坊氏らを救助することはできなかったろうと思われます。

US-2といえば安倍外交でインドへの輸出が決まったかのような報道がされているが・・・協議が進展したものの正式決定との報道は無い。インド政府は3年ほど前から日本政府にUS-2を購入したいとの意向を伝えているが、日本側(武器輸出三原則問題)インド側(コスト)双方にいくつものハードルがあり実現にはまだあと一歩のようだ。ただ、今回の辛坊氏らの遭難事件は日本国内の反対意見を抑え込む格好の材料となり、タイやインドネシア、ブルネイなどもUS-2導入に関心を示している各国への宣伝効果になったかもしれません。辛坊氏らの遭難事件は結果として怪我の功名となるかもしれません。

もしインドに加え、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国がUS-2を保有すれば、技術交流や共同訓練を活発化し、高圧的な海洋進出を拡大させる中国への牽制にもなる。

日本経済新聞は28日、日本とインド政府が5月29日に東京で首脳会談を開き、海上自衛隊に配備されている水陸両用の救難飛行艇「US-2」のインド輸出について交渉すると伝えた。合意に至れば、日本の防衛設備を民間製品として輸出する初めての例となる。インドがUS-2の調達後にどのように活用するか、海上の実力がどれほど強化されるかに注目が集まっている。

インドの複数の政府関係者は、「シン首相は29日に安倍首相と首脳会談を開く際に、安全保障の提携強化の一環として、双方がインドのUS-2導入に関する議論を加速することを確認し、『インドが水上飛行艇を導入する実行性について、協議の枠組みを構築し、双方の提携および共同生産の実現に向け協議を進める』といった文言を共同宣言に盛り込む可能性がある」と語った。報道によると、US-2の生産企業は2012年春、インドの首都ニューデリーで事業所を設立し、マーケティングを展開している。しかしUS-2は軍事製品であるため、日本の武器輸出三原則の制限を打破するには、両国の政府が公権力を使い介入しなければならない。しかしUS-2の100億円という高額な単価は、日本の海外輸出のネックになっている。

インド海軍と沿岸警備隊は15機のUS-2の導入を希望しているが、日本の法律面の問題を鑑みると、インド沿岸警備隊に配備される可能性が最も高い。同部門はかつて海上保安庁と密接に連携しており、US-2を近距離で確認したことがある(US-2は、日印海上安全保障演習に派遣された)。専門家は、「日本はインドに対して積極的にUS-2を販売することで、海上監視能力を高め、中国がインド洋を経由して獲得するエネルギーの輸送ルートを監視できる。インド沿岸警備隊の現役の英国製HS-748、独製ドルニエ-228哨戒機は使用寿命を迎えており、早期の交換が必要だ」と指摘した。
インドがUS-2を導入する目的は救難ばかりではなく、海自のP-3Cが海賊対処で活躍していることと同様に海賊対処に使うと想定されています。空から高速で広範囲を捜索することができ、その上、不審な船舶に対しては、着水して水上艦と同様に臨検を行なう事が可能。さらに、海洋パトロール、対水上戦、電子情報収集、にも投入されると思われます。
Defense Newsの記事ではUS-2はアンダマン・ニコバル諸島に配備されるであろうとしています。その場合の行動半径は1500km~2000km。参考

ソマリアの海賊対策ではUS-2の航続力は大きなアドバンテージがある。US-2は、航続距離が4700キロなので、行動範囲としては約2000キロ。カナダCL-415は、航続距離2443キロなので、1000キロ、ロシアBe-200は、航続距離3850キロなので1600キロとします。下記地図を参照。


US-2の動画を見ればわかりますが、競合他機に比して持つ大きな利点は、超短距離離着水能力と驚異的な低速性能です。海賊対処となると、警告のために船舶の近傍に射撃したり、それでも停船しない場合には、機関部を射撃するなど、それを行なうためには、他の固定翼航空機は速すぎ、正確な射撃とその照準の継続は困難ですが、40ノットを超える 高速の海賊船に対して、離水速度でさえ50ノットと言われるUS-2は、ほとんど同じ速度で飛行できます。併走しながら、高出力スピーカーで音声警告さえできる。
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ちなみにUS-2は陸上の滑走路からも離着陸ができます。


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元々は戦前、日本では飛行艇による南洋航路が発達しておりました。

新明和工業のUS-2ルーツは川西工業の九六式大艇と二式大艇です。

少し古い動画ですが日本の航空産業の現状と問題点についてレポートしてあります。ご参考にしてください。