政府は、新型万能細胞「STAP(スタップ)細胞」の論文を発表した小保方(おぼかた)晴子・研究ユニットリーダーが所属する理化学研究所の改革を、安倍晋三政権が重視する6月の新成長戦略の一環と位置付けていた。だが、今回の事態を受けて、理研を軸に描いていた技術立国構想は出はなをくじかれる形となり、第3の矢の成長戦略にも影を落としそうだ。

政府の総合科学技術会議(議長・安倍首相)は12日、世界最高水準の研究を目指す新設の「特定国立研究開発法人」(仮称)の対象候補を、理研と産業技術総合研究所に決めた。だが、正式な決定は見送られた。政府関係者によると、論文の疑惑が浮上する前は、同日の会議で正式決定の運びだったという。

小保方氏がSTAP細胞の存在を発表すると、政府は世界的なニュースとして歓喜した。首相は1月31日の衆院予算委員会で「若き研究者の小保方さんが柔軟な発想で世界を驚かせる万能細胞を作り出した」と称賛。下村博文文部科学相は同日の記者会見で「将来的に革新的な再生医療の実現につながりうる」と述べ、理研をはじめ基礎研究分野への予算配分強化の方針を打ち出した。

14日、菅義偉官房長官は記者会見で「理研は国民に一日も早く結果を示す必要がある」と述べるにとどめ、理研の対応を見守る方針だ。山本一太科学技術担当相は記者会見で「関心を払わずにはいられない。しっかり意見も言っていかなければいけない」と指摘した。

政府としては、新成長戦略の当てが外れることになりかねないばかりか、論文に故意の不正があったと判断されれば、組織体制をただすなど理研に厳しい対応を取らざるを得ない場面も想定される。
当初STAP細胞発見のニュース直後テレビに登場した小保方さんの若くて純真そうなSTAP細胞を熱く語る割烹着姿を思うと、この研究そのものが不正に満ちたものだったとは信じたくはないが、現時点の報道を聞く限りでは限りなく黒に近いグレー。「世紀の大発見」も一旦白紙に戻ったと考えた方がよさそうである。
この問題が出始めた際、私は日本人特有の「出る釘は打たれる」ようなヤッカミが根底にあると思い、捏造疑惑に関心を払いませんでした。
非東大で私立大学出身若い女性で、小奇麗な研究者がノーベル賞級の発見をほんの思いつき程度で取ってしまっては多くの日の当たらない研究者達がヤッカムのも当然である。だが、捏造疑惑が出始めると燎原の火のごとく問題は広がりました。
ネットでは2月中旬から日本語によるブログSNSで疑惑が広がり日本語を使用する人達(日本人)によって多くの指摘が行われた。
証拠になった写真の「使い回し」などを本人が認めて、小保方さん自身が論文の取り下げに同意しているので、研究者としての「甘さ」や「不適切な処理」があったことは間違いない。
万能細胞であるSTAP細胞そのものが存在するのかしないのかは今後の第三者機関などによる検証に待つほかないが、今回のSTAP細胞論文取り下げ問題は、逆に日本の健全性を示す結果と思う。 
今回の疑惑に関してもかなり高度な問題でさえ、ネットで疑問が提示されれば様々な角度から専門家、素人を交え分析され論文が丸裸にされる。恐ろしいほどのネットの力だ。

日本は再生医療で世界のリーダーを目指している。その推進や安全性を確保する法整備も進む。この流れに水を差し、海外から日本の研究全体にも不信を持たれかねない。国益や国際的体面よりも学問的真実が尊いことが優先され、理研の対応も早かった方だと思う。
2005年に韓国ソウル大の黄禹錫(ファン・ウソク)元教授が胚性幹細胞(ES細胞)の論文を捏造していたことが発覚した時、韓国は国家をあげて隠ぺいにかかったが隠蔽しきれず世界中から指摘を受け捏造を認めた。世界に与えた衝撃は大きく、韓国は万能細胞研究から遅れをとってしまった。

だが、この時期捏造ではあるが黄教授のES細胞の特許申請はNYで特許申請が認められた。どうもバイオ利権のおぞましい影を見るようだ。

理研を追い込んだ〝ネット捜索隊〟
【msn産経】2014.3.14 

新型万能細胞「STAP細胞」論文をめぐっては、インターネット上で疑問点が活発に指摘され、理化学研究所が中間報告に乗り出す契機ともなった。

「再生医療に新しい光をもたらした」と評価された小保方晴子・研究ユニットリーダーの論文発表が行われたのは1月末。その約2週間後の2月13日に英語で書かれた論文検証サイトと、日本語で書かれたブログで「異なる条件で作ったはずのマウスの胎盤の画像が似ている。使い回しではないか」と疑問が示された。

掲載された経緯は不明だが、日本語のブログはノバルティスファーマ社の論文不正問題を追及してきた“実績”もあり、指摘は他の掲示板やツイッターなどのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)で一気に拡散した。理研は同日、調査に乗り出した。

また理研がその後、3月5日に詳細なSTAP細胞の作製方法を公開するまで公的な説明をしなかったのに対し、ネット上の指摘は加速度的に拡大した。

論文中に、ドイツの研究者の論文とほぼ同じ記述があることや、STAP細胞から育ったとされた筋肉細胞などの画像と、小保方氏の早稲田大時代の博士論文の別の細胞画像が酷似していることなど、理研が今回調査対象とした疑問点が次々と指摘された。

STAP細胞論文の問題点を指摘するには、高度な専門知識が必要となるが、ネット上では科学者らがSNS上で行う意見交換に、一般の人が加わるシーンも現れた。

14日の会見で、理研の野依良治理事長は、ネット上で検証が広がったことについて「現在のITの革新は10年前には考えられなかった。いい面はあるが、影もできる。高等教育がそれについて行けていない。当惑しているのが今の心境」と述べ、簡単に文章をコピーできると同時に、世界中の文献の中から類似の文章を検索できる状況に困惑の表情を浮かべた。

インターネットに詳しい神戸大大学院工学研究科の森井昌克教授(情報通信工学)は「世界中でスムーズに情報共有ができたため、議論が加速した。閉ざされた場所で行われていた高度な議論に、専門家から一般人までが参加できるようになった」と評価する半面、「問題が単純化されたり、デマが混在したりすることも起きている」とマイナス面も指摘した。

理研の対応については「調査が決して遅いわけではないが、ネット時代のスピードに対応するよう(調査の)体制を考え直す必要があるだろう」と話している。
ここで、新規の思い切った研究が途絶えるようなことがあってはならない。

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