中国とベトナムが緊張している。両国が領有権を争う南シナ海で、中国が掘削活動を開始したことに、ベトナムが猛反発しているのだ。中国は軍艦船を含む多くの船舶を展開しているが、ベトナムと領有権を争う南シナ海のパラセル(中国名・西沙)諸島周辺で、中国公船がベトナム船に体当たりした映像が公開された。ところが、中国当局は「ベトナム船が故意に171回衝突してきた」と言い出したのだ。沖縄県・尖閣諸島をめぐる中国のあきれた主張を聞かされてきただけに、真実か否かの判断は難しくなさそうだ。
中国は4月、沖縄県・久米島周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)でも勝手に調査をしていたが、中国の一方的で自分勝手な行動により、アジアの平和は踏みにじられようとしている。 中国側による「力による現状変更」は当然容認できるものではない。

「中国は大国、小国が侵害」と中国紙社説 一線越えるな、とベトナム威嚇【msn産経】2014.5.9 21:04 

9日付の中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は社説で、南シナ海でのベトナム、フィリピンとの対立について「中国はグローバルな舞台に立つ大国だ」とした上で「小国が勝手に中国の権利を侵害するならこの舞台に立ち続けることができない」と主張した。

「大国」として「小国」の妨害を見過ごせない、との考えを示したものとみられる。

社説はベトナムに対して「中国の許容できない一線をはっきり見てほしい」と威嚇した。また、ベトナムとの海上衝突も、フィリピンによる漁船員拘束も「すべてオバマ米大統領歴訪後に起きた」と述べ、米国や日本が南シナ海問題に介入し、関係国を唆している、との見方を示した。(共同)

なんという傲慢な暴論であろうか!世界は中国の思うがままに従えと言わんばかりである。
もはや中国は世界平和を脅かす脅威であり、国際社会における癌である。日米はじめASEAN各国からすればこのまま放置すべきではないと考えるべきであろう。

米国は舵を切った 新たな冷戦構造が変える世界経済、中国にバブル崩壊の危機【msn産経】2014.5.9 17:08

 経済とは中国の古典に登場する「経世済民」の略語だ。つまり、「世を経(おさ)め民を済(すく)う」こと。そして、経済と安全保障は切っても切れない関係にある。国家の使命は国民の生命、安全、財産を守ること、これこそが真の意味での経済であり、世を経め民を済うことだからである。

現在、一種の冷戦構造が復活し、世界の安全保障が大きく変わりつつある。ウクライナ問題は世界の西側と東側という冷戦構造を復活させた。冷戦における西側、東側の国家の枠組みは前回と同様であるが、そのイデオロギーは、以前のような共産主義と自由主義ではなく、独裁主義と民主主義の戦いとなっている。ご存知のように中国は共産主義ではなく共産党独裁自由主義経済である。そして、現在のロシアは共産主義に失敗し、民主主義にも失敗し、“プーチン大帝”率いる帝政ロシアといっても過言ではない。

先日、西側先進国はウクライナ問題を理由にG8からのロシアの一時除名を決めた。そして、資源系企業やプーチン大統領の関係者に経済制裁するなどロシアへの経済的な圧力を徐々に強めている。このような流れの中で中国は今回も西側ではなくロシア側についた。その結果、西側のリーダーである米国と中国の関係は大きく変化した。

先日のオバマ大統領のアジア歴訪にそれは如実に現れている。日米共同声明により、尖閣諸島(沖縄県石垣市)は日米安全保障条約に含まれるとした上で、東シナ海及び南シナ海への領土拡大を進める中国を批判し、同時に中国の一方的な防空識別圏設定を批判した。これはこれまで中国への批判を避けてきた米国の方針が大きく変わったことを意味するだろう。

2011年11月、米国は「リバランス政策」を発表し、アジアを再優先するという政策方針を打ち出しはした。だが、中国を刺激するという理由などから、これまで実質的には動いていなかった。しかし、冷戦構造復活後の今回のオバマ大統領アジア歴訪はこれを大きく進めることになるだろう。

中国と南沙諸島問題を抱えるフィリピンに米軍駐留を決定し、韓国への15年までの戦時統制権返還を保留した。また、台湾に対しても17年ぶりに閣僚が訪問するなど中国を強く意識したものになっている。また、米国財務省は中国人要人と要人家族の米国内口座の確認を進めている。これは要人に対する経済制裁圧力と言っても良いのだろう。このような動きに対して、中国は米国を強く批判しているが、米側の態度は変わっていない。

そして、このような中国と米国の関係の変化は、国際経済にも大きな影響を与えるものになる。米国や西側先進国と対立する国家に投資をする投資家は皆無に近く、多くの投資家が資金の回収を早める事になるからである。さまざまな理由からバブル崩壊がささやかれる中国において、今回の冷戦構造復活はこれを大きく促進する可能性が高いといえる。(経済評論家 渡辺哲也)
南シナ海の西沙諸島で、すでに中国を国際仲裁裁判所に提訴しているフィリピンに続き、ベトナムも、国際司法機関に提訴するであろう。傲慢な中国は孤立し世界に対し喧嘩を売っている。ASEAN諸国が「反中国」で結束するのは火を見るよりあきらかだ。日本・米国は、ベトナム、フィリピンなどASEAN諸国と連携強化 中国包囲網形成が加速しそうだ。
比越両国が、毅然とした対中姿勢を取った背景として、関係国で関心が高まっているのが、先月25日に発表された日米共同声明だ。
日米両国は、東南アジアの沿岸国が法執行、不正な取引及び武器の拡散との闘い並びに海洋資源保護をよりよく実施できるよう、海洋の安全及び海洋安全保障のための海洋監視及びその他の能力の構築においてこれら諸国を支援するために連携している。

オバマ政権はアジア太平洋に重点を移すリバランス政策を掲げている。ケリー米国務長官は2013年12月、東南アジア諸国に総額3250万ドル(33億5000万円)の海上安保支援を表明した。オバマも先の米比首脳会談で新軍事協定を締結し、22年ぶりに米軍がフィリピンに回帰することが決まった。
 安倍総理も2013年12月、フィリピン沿岸警備隊に巡視船10隻を供与することで合意。ベトナムにも巡視船供与に向けた協議を開始することで一致した。3月には岸田文雄外相が、政府開発援助(ODA)の長期戦略を定めた「ODA大綱」を11年ぶりに見直す方針を表明。軍組織へのODA供与を禁じた規定の見直しも視野に入れており、実現すれば、日本の安保支援がより強化される。

 安倍首相は5月6日、訪問先のベルギーで行った演説で中国を名指しして「国際社会の懸念事項」としたうえで、「世界平和のため、(日本は)これまで以上に積極的な役割を果たす意思と能力がある」と強調した。

フィリピン・ベトナム・マレーシア間の協力関係は、今後も強化が進むだろう。(3カ国が)一体となれば、中国に対し、危険かつ一方的で抑圧的な手段を用いて、領土問題の事実を曲げるのはやめるべきだと説得できるかもしれない。
中国はただ、果たして他の国が新たに作った友好国を代表して、中国問題で戦略的リスクを取るだろうか。そこまでの段階には至っていない。だが、軍事的な台頭を続ける中国への抑止力として「アジア版NATO(北大西洋条約機構)創設構想」を日本は持っている。
 欧米の自由主義諸国が旧ソ連圏と安全保障で対抗するために結成したNATOのように、アジアでも米国を中心に東南アジアなどと連携した対中国の安全保障体制の構築が必要だとする考えだ。安倍政権のかかげる「積極的平和主義」は、国際社会で主導的な役割を担う考えだ。 
だが各国はトラブルに対する備えを進める一方で、中国との関係は改善したいというのが本音だからだ。そのため、北大西洋条約機構(NATO)のような多国間同盟設立の話はまだ出ていないしかし、このままでは対話の道も閉ざされれば、実際の戦争をしないまでも新冷戦に突入するだろう。いや突入している。
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