3.11福島原発事故で、日本において原発はストップしてしまいまして新規設置は難しくなっている。核廃棄物の問題等、現在の技術ではまだ解決できてない問題は山積している。

地球温暖化と二酸化炭素の関係は何とも言えないが、地球全体を覆う異常気象は何十億年もかけ地中に封印してきた二酸化炭素が大気に放出され続けていることと無関係ではないだろう。新興国のエネルギー不足の解消のために、新興国を中心に原発の新設は絶対に避けられない。先進国が止めさせる権利もなければ、新興国が石油・ガスによる発電を行うより地球環境にとっては良いはずだ。

人類は古代文明が勃興して以来、国家・社会や文明は、エネルギーを失うと衰退し、逆に新エネルギーを活用して産業革命を興し文明を大きく進化させてき。

人類科学と「文明は、薪・炭・石炭・石油・LNG・原子力と新たなエネルギー源とともに進歩してきた。3.11後、再生可能エネルギーへ転換すべきとの声も高まったが、風力、太陽光、地熱、潮力など宇宙太陽光発電でもできない限りエネルギーの転換効率が極めて低少である欠点がある上、開発や発電に膨大なコストがかかり、再生可能エネルギー先進国ドイツは脱原発政策が完全に失敗だと認めた。

 太陽光や風力には24時間、365日を通じで、産業や家庭が必要とする一定量の安定供給をまかなう基幹電源たる資格がない。安定供給の最善ともいえる方式が原発だからこそ、原発が存在し、先進国では約25%、世界全体でも12%の電力を担っていますとはいえ、50年前の技術でできた旧式の原発の危険性は3.11後広く認識されるようになった。50年前の旧式技術の延長で、中国人や朝鮮人が作った原発が新興国に普及したらとんでもない事故が多発する可能性があり杞憂してしまう。トリウム溶融塩炉高温ガス炉小型原子炉であれば安全性が高く基幹電源の責務をになうことができるであろう。さらに進化した核融合炉などの出現が望ましい。

できれば原発というだけで脳内活動を停止している単細胞の反原発派の諸君に最新原発技術を紹介したいと思います。

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2030年の実用化目指す

 東京電力福島第1原発事故の教訓を受け、過酷事故のリスクが低い次世代の原子炉「高温ガス炉」が脚光を浴びている。放射性物質の放出や炉心溶融などが起きないとされ、2030年の実用化を目指して実験が進んでおり、国は研究開発を積極的に推進していく方針だ。(伊藤壽一郎)


自然に停止

 ヘリウムガスを冷却材に使う高温ガス炉は、基本的な仕組みは既存の原発と同じだ。ウラン燃料の核分裂反応で生じた熱でタービンを動かし、電力を生み出す。だが過酷事故の発生リスクは極めて低いという。

 茨城県大洗町にある日本原子力研究開発機構の高温ガス炉の試験研究炉「HTTR」。ここで4年前、運転中に炉心冷却装置を停止する実験が行われた。福島第1原発事故と同じ状況だ。原子炉は、いったいどうなったか。

 「何も起こらず自然に停止した。何もしなくても安全だった」。同機構原子力水素・熱利用研究センターの国富一彦センター長はこう話す。

 炉心冷却を停止すると、通常の原発は温度上昇で危険な状態に陥る。しかし、HTTRは停止とほぼ同時に原子炉の出力がゼロになり、温度は一瞬上昇しただけで安定していた。放射能漏れや炉心溶融は、もちろん起きなかった。                                                         水を使わないため、水素爆発や水蒸気爆発の懸念もない

炉心溶融せず

 高温ガス炉の安全性が高いのは、燃料の保護方法、炉心の構造材や冷却方式が従来と全く異なるためだ。

 既存の原発では、運転時の炉心温度は約300度。燃料の被覆材や、燃料を収める炉心構造材は耐熱温度が千数百度の金属製で、冷却材には水を使う。福島第1原発事故は冷却手段が失われ、炉心は2千度前後の高温になり溶融して燃料が露出。溶けた金属と冷却水の水蒸気が反応して水素爆発を起こし、放射性物質の飛散に至った。

 これに対しHTTRの炉心温度は950度と高いが、球状(直径0・9ミリ)の燃料は耐熱温度1600度のセラミックスで覆われており、これを2500度の超高温に耐える黒鉛製の炉心構造材に収めている。冷却材のヘリウムガスは化学的に安定で燃焼しない。これが炉心の高い熱エネルギーを運ぶため、高温ガス炉と呼ばれる。

 冷却手段が失われても炉心は理論上、1600度を超えないため、燃料の被覆が熱で壊れて放射能が漏れることはない。黒鉛製の構造材も溶融しない上、放熱効果が高いため自然に熱が逃げて冷える。

 水を使わないため水素爆発や水蒸気爆発の懸念もない。核分裂反応も、冷却停止で炉心温度がわずかに上がると、ウランは分裂しない形で中性子を吸収するため自然に停止するそうだ。                                                                                  950度での運転を実現した日本は、研究のトップを独走

海外の追い上げも

 高温ガス炉を循環するヘリウムガスの熱は、水素製造など幅広い用途が期待されている。水を熱分解して水素を作るには通常、約4千度の熱が必要だが、同機構はヨウ素と硫黄を利用し約900度で製造する方法を開発しており、燃料電池用などの水素需要に応えられるという。

 高温ガス炉は既存の原発と比べて発電コストが3分の2、使用済み燃料の量は4分の1で、水を使わないため海岸ではなく内陸にも建設できるなど利点は多い。

 ただ、規模を大きくすると冷却効率が下がるため、発電出力は大型原発の4分の1の30万キロワットにとどまるという課題もある。このためHTTRは1991年に着工、98年に初臨界を達成しながら、長く注目が集まらなかった。

 ところが東日本大震災で「規模より安全」が重視されると一躍、存在感が高まった。政府は4月に策定したエネルギー基本計画で、次世代原子炉として研究開発の推進を明記。文部科学省の作業部会が9月に開発計画を発表する見通しだ。

 世界で稼働している高温ガス炉は現在、HTTRと中国の700度の試験炉だけ。950度での運転を実現した日本は研究のトップを独走している。
だが中国と米国は試験炉の次の段階である実証炉の建設計画が進行中で、韓国でも950度の実証炉の検討が始まっており、追い上げが激しくなってきた。

 国富氏は「安全技術は既に確立している。海外勢に追い越されないように日本も早く実証炉を作り、2030年ごろの実用化を目指したい」と話している。



【3月23日 AFP】東芝(Toshiba)は23日、米ソフトウエア大手マイクロソフト(Microsoft)創業者のビル・ゲイツ(Bill Gates)氏の出資する米原子力ベンチャー「テラパワー(TerraPower)」と、次世代小型原子炉を共同開発することについて検討を開始したと発表した。

日本経済新聞(Nihon Keizai Shimbun)によると、この小型の次世代原子炉は「TWR(Traveling-Wave Reactor)」と呼ばれ、燃料に劣化ウランを使用する。現行の軽水炉が数年ごとに燃料交換が必要なのに対して、TWRは燃料交換なしに最長100年間の発電が可能だという。

テラパワーは米ワシントン(Washington)州を拠点とする専門家グループで、ゲイツ氏が主要株主。小型の原子炉により「エミッションフリー」のエネルギーを供給する方法を研究開発している。

現行の大規模発電所と異なり、小型原子炉は、市や州単位、または発展途上国などで、より容易に導入することができるとみられる。

東芝の広報担当者によると、両社は情報交換を開始したばかりで、「開発や投資について具体的に決定した事実はない」という。ゲイツ氏とテラパワーの経営陣は前年、東京近郊の東芝の原子力発電研究施設を訪問していた。
 進行波炉(TWR、Traveling Wave Reactor)と呼ばれる次世代型原子炉の研究開発を行うアメリカ合衆国ワシントン州のテクノロジー企業である。筆頭オーナーはビル・ゲイツ。

進行波炉(Traveling Wave Reactor)
主な特徴

イメージ 21.劣化ウラン(U238)を燃料とすることが可能なので、従来は核燃料を精製する際に廃棄物として捨てられていた副産物を燃料とできる。廃棄物は世界中に大量に貯蔵されているので燃料には困らない。

2.核分裂性物質(U235)が必要なのは点火時のみ。

3.一旦燃料に点火すれば、燃料供給も、使用済み燃料の除去もなしで50~100年(理論上は無限に)動き続けることができる。

4.核燃料の精製施設、再処理施設が不要

5.ウラン濃縮が不要なため核兵器の拡散を防げる

An Introduction to TerraPower
進行波炉
燃料である劣化ウランに点火された後、その反応の波が、60年以上かけてゆっくりと進行する炉であることから、進行波炉と呼ばれている。              
東芝の小型高速炉(4S)
イメージ 4イメージ 3http://www.toshiba.co.jp/nuclearenergy/jhttp://www.toshiba.co.jp/nuclearenergy/jigyounaiyou/image/s4_02.gif
                                                  「ゼロへのイノベーション」ビル=ゲイツ、エネルギーについて語る。日本語字幕
http://www.ted.com/talks/lang/jpn/bill_gates.html
http://www.ted.com/images/ted_logo.gif                                  
加圧水型原子炉(PWR)や沸騰水型原子炉(BWR)との違い               
1. 現在の原子炉の燃料は、ウラン235。 ウラン235は自然界に存在するウランのうち0.7%しか存  在しない。 核燃料として使うには、貴重なウラン235を濃縮・再処理しているのが現状。 

2. 進行波炉は圧倒的に豊富なウラン238を使用できる。 天然に産出するウランの大部分は、ウラン 
238が占めている。 ウラン238は核分裂をほとんど起こさない。

3. 進行波炉はウラン238だけでなく劣化ウラン(使用済みの核燃料)も使用可能。 

4. 燃料の燃焼率が高く、一般の原子炉(軽水炉)の約10倍燃える。 

5. 同じぐらい発電した場合の廃棄物の量は10分の1で済む計算になる。 

6. 燃料の利用効率は現在の軽水炉の50倍以上

7. 欠点として、最初にまとめて燃料を購入することになるので、その利子が高くついてしまう。 

8. 欠点以上の、安全性や核不拡散、ウラン資源や、廃棄物の減量の面でのメリットがある。
オバマ政権によるクリーエネルギー政策
 
一般教書演説でオバマ大統領は、「2035年までに米国の発電量の80%をクリーン・エネルギーで賄う」という目標を明らかにしている。クリーン・エネルギーの枠組みには、従来の再生可能エネルギーだけでなく、天然ガス、クリーン・コール(効率的な石炭火力発電)、そして原子力が明示的に含められた。選挙公約だった「RPS」も、同じくクリーン・エネルギーの利用を義務づける「クリーン・エネルギー・スタンダード(CES)」に差し換えられている。



 TWRの開発にはゲイツ氏が私財を投じるとみられ、その額は、日経新聞によれば数十億ドル(数千億円)規模になる可能性もある。(c)AFP

超小型原子炉への期待-事故可能性が極小の原子力利用法の提案 服部禎男元電力中央研究所理事工学博士 【アゴラ

(GEPR編集部より)日本は福島原発事故、先進国では市民の敬遠によって、原発の新規設置は難しくなっています。また核廃棄物の問題は現在の技術では解決されていません。しかし、世界全体で見れば、エネルギー不足の解消のために、途上国を中心に原発の利用や新設が検討されています。

原発について、どのような考えを持とうとも、こうした世界の動きを知り、自らの仕事や社会活動の中で、その情報を活かすべきでしょう。

日本で構想されている、小型、安全性を高めた「4S」原発について発案者の服部禎男氏に寄稿いただきました。

安全を50年考えた結論は「小型単純化」

私は原子力の研究者です。50年以上前に私は東京工業大学大学院の原子炉物理の学生になりました。その際に、まず広島の原爆ドームと資料館を訪ね、原子力の平和利用のために徹底的に安全性に取り組もうと決心しました。1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故は、私の具体的な安全設計追求の動機になり、安全性が向上した原子炉の姿を探求しました。

私が動力炉・核燃料開発事業団に勤務していた1977年頃、天災を含む共通原因故障による原発での全電源喪失の危険を指摘して対策を訴えていましたが、力不足で充分には理解されませんでした。懸念が現実になったことが悔やまれます。

原発事故によって拡散した放射性物質の出す放射線量は観察されている限り極小です。そのために、福島県、東日本でこれによる健康被害が起こることはありえません。被害は放射能そのものではなく、退避したことによるさまざまな問題によって発生しております。

ですが、この低線量被曝の問題はまた機会を改め、このコラムでは安全性の高い小型原子炉の構想について紹介します。

小型化になぜ魅力があるのか

私は構想する小型原子炉を「4S」と名付けました。「スーパーセーフ、スモール、アンドシンプル」の頭文字です。

これまでの原子炉では、核燃料のある炉心に、中性子を吸収する制御棒を出し入れして、核分裂反応の量を増減させて出力をコントロールしました。

「4S」原子炉では制御棒ではなく、炉の冷却材の温度が核分裂反応の量を調整します。原子炉には、核分裂反応をする燃料の置かれた炉心があります。その周囲に冷却材があります。この炉では冷却材としてナトリウムが使われ、原子炉から熱を運び出します。

炉心の温度上昇が起こると、燃料も含め炉心内の全ての物質の密度が下がります。そうすると原子と原子の間隔が広くなるので、勢いよく跳びまわっている中性子はぶつかる相手(原子)が少なくなります。すると、より多くの中性子が炉心外に漏れ、前述のウラン235原子に飛び込むことができず、時間の経過とともに核物質の連鎖反応は続かなくなって炉の温度は下がります。

冷却材の温度を下げれば、冷却材の密度が増して中性子の周囲への漏洩が少なくなり、核分裂反応が増加して、原子炉の発熱は増加。冷却材の温度が上がれば、冷却材の密度が下がり、中性子の周囲の漏洩が増えて、核分裂反応が減って、原子炉の発熱は減ります。この現象は超小型炉だからこそ発生するのです。



図表1 小型原子炉の概念図

小型ゆえ安全性が高まり、どこにでも置ける

原発は大型化が進み、機械の数、動く装置の数が多すぎます。その結果、故障と事故の可能性が増えてしまいます。また巨大な原子炉では核分裂反応を続ける力が大きすぎ、温度をコントロールできなければ炉そのものが損壊する危険があります。

主な特徴を述べます

1. 超小型化:出力は1万キロワットから数万キロワット。 炉心の直径はわずか90センチ、高さは約4メートル。小型炉のため、部品数は原子炉部分で50個以下しかありません。これに至ったきっかけは、原子炉物理の学生としての核計算演習でした。

直径1メートル程度の細身炉心では、事故で冷却材温度が上がると密度が下がるので、中性子が炉心から逃げ出しやすくなり、原子炉は自分から核分裂連鎖反応が継続できなくなるという本質的な安全性を知ったことだったのです。

2. 自律的な原子炉の冷却:こうした構造の結果、興味深い状況が生まれます。発電の状況に応じて、自律的に原子炉の冷却が行われるのです。

発電機の出力が大きくなると、そちらにエネルギーを持って行かれるので、原子炉冷却材の温度が下がります。温度が下がると冷却材密度が上がり、中性子が漏れにくくなり原子炉の熱出力が増加するのです。逆に発電機出力が下がると、原子炉の冷却材温度が上がり、その結果原子炉の出力が下がります。完全な自動負荷追従特性が出現して制御棒無し、運転員不要という世界に例のない原子炉構想が生まれました。

3. 燃料の長期使用と安全性:米国のアルゴンヌ原子力研究所との交流によって原子炉の燃料に使われる「金属燃料」が工夫次第で長期に使える素晴らしいものがつくれることを知りました。燃料棒の本体は特殊な合金を使い、約40年の使用が可能と想定されています。

細身の炉心にして中性子の漏洩を抑える環状の反射体を設けて、それを超低速度で30年かけて上端まで移動させるという方法で、30年間燃料無交換の原子炉の構想が生まれました。ついでながら事故で燃料の温度が上がると、金属燃料は泡になってしまい、核分裂連鎖反応は全く不可能になります。

4. 場所はどこにでも:これまでの原発では電源喪失時に水は蒸発して炉心が露出してしまいます。この小型炉は冷却に水を使いません。川や海の傍らに置く必要がなくなり、またその小ささと超安全性からどこにでも設置できるため、送電線網が不要になります。

この小型炉について、理論的検証はほぼ終わりました。日本国内ばかりでなく、1997年に米国原子力開発の指導者エドワード・テラー博士の指示により、米国カリフォルニア大学とローレンスリバモア研究所によるチームでこの4S構想について、1年間成立性評価が実施されました。その結果充分成立するとの評価報告が米国エネルギー省になされました。

IAEA(国際原子力機関)は海水脱塩で、途上国などにおける飲料水作りでこのコンセプトに関心を示しました。また北アフリカや中東、最近はアジア圏諸国も注目しています。「4S」原子炉があれば、海水脱塩で飲料水を作るのに、巨大な送配電網無しで電気が作れます。

(IAEA 2002,”“Status of design concepts of nuclear desalination plants” (原子力を使った淡水化施設の設計構想の状況)項目3―12、112ページに掲載)

安い大量のエネルギーが貧困問題を解決

原子力研究の50年の教訓として、複雑な機器系統、多くの機器が使われるほど故障と事故の確率が高くなります。スリーマイル島事故は人間の運転ミス、チェルノブイリ事故では原子炉緊急停止装置の不備と故障が事故の主原因になりました。

福島の原発事故では、冷却装置の不作動で炉が高温になり部分損壊、さらに高温になった燃料被覆管の酸化などで発生した水素が爆発して放射性物質を拡散させました。これらの事故を起こした諸問題は、「4S」原子炉では発生しません。

もちろん実際の設計製造実用化には時間がかかり、乗り越えなければならない問題も多くあるでしょう。ですが「4S」原子炉の実現によって、原発の安全性は非常に高まるはずです。さらに量産化に適した設計を追求すれば、特に低コストの超小型電源が普及するでしょう。

安全な原子炉を作ることは充分可能です。超小型独立電源の実現によって、送電線のない僻地や島をはじめ、水や食糧がなくて困っている全世界の人々に、安全で低コストのエネルギーを充分に提供できます。

福島原発事故の損害の半分は、菅直人と反原発派による人災だと私は思っている。菅直人と反原発派はその自覚がまるでない。菅直人は自分が素人であることを自覚せず福島原発事故の対応を誤ったことと、反原発派による風評被害の拡大再生産であることは、このブログで何度も書いてきている。

事故が起きて日本のエネルギー政策を深く何も考えることなく情緒的に原発ゼロを打ち出し、いい加減な代替エネルギー拡充策は菅直人の負の遺産にもかかわらず、なお安倍政権になっても無策が続いている。

すでに毎年4~5兆円もの化石燃料輸入増を強いられ、貿易収支が赤字に転落してしまった。すでに全国的に電力コストが跳ね上がっており、その結果、国際競争力の弱体化、産業コスト増、生活コスト増を強いられているのです。

安倍政権が原発稼働を再開できないのは原子力規制委員会という、民主党が政権を去っても「原発ゼロ」を守るために残した「バカの壁」のおかげである。原子力規制委員会は独立性の強い3条委員会(国家行政組織法第3条に定める各省と同格の委員会)なので、どこの官庁も手が出せない。霞ヶ関の膨大な人的資源が利用できないので、委員は「個人商店」で思い思いにやっている民主主義の枠外としてしまったのだ。これは戦前の陸海軍の統帥権の濫用に匹敵する日本を滅ぼす癌細胞である。

3.11直後に反原発学者の大きな声のおかげで、過剰な放射能被曝と被爆による人体被害の安全基準を定めてしまった。今からでも遅くはない、100ミリシーベルト以下が安全であるとして南福島の立ち入り禁止区域の大部分を直ちに見直すべきだ。

放射能被曝と被爆による人体被害は、広島・長崎の追跡検査によりますと、放射線量が100ミリシーベルト以上であることは常識である。

福島原発近隣地住民の強制疎開には当初から大きな疑念があり、現状では5ミリシーベルト内外と報じられているのに、いまだに帰宅が許されないのは犯罪行為だ。

 5ミリシーベルトといえば、地上の自然界や日常的に医療などでも被曝している安全範囲内の線量であり、福島に適用されている1ミリシーベルトの除染基準は論外で、あまりにも過剰であり、強制的に避難生活を長引かされている住民たちが、逆に過剰なストレスを受けて深刻な健康被害を多発している。

先日も美味しんぼうの休載事件でもわかるように、反原発派がむりやり被害を作り出しているとしか思えない。


東京都知事選挙で細川元首相などが「原発再稼動の阻止」を訴えているのに対して、安倍政権は「原子力規制委員会が安全と認めた原発は再稼動する」という方針だ。しかし当コラムでも書いたように、再稼動の審査なるものは存在しない。規制委員会がやっているのは、2013年にできた新しい規制基準についての安全審査で、運転とは別である。運転しながら安全審査をすればいいのだ。

ところが規制委員会の田中俊一委員長は「原子力発電所の新規制施行に向けた基本的な方針(私案) 」で、「新規制の施行段階で、設計基準事故対策及びシビアアクシデント対策(大規模自然災害やテロに起因するものを含む)として必要な機能をすべて備えていることを求める」とし、「規制の基準を満たしていない原子力発電所は、運転の再開の前提条件を満たさないものと判断する」と書いている。

新規制(安全基準)が施行されたのは2013年7月だが、この段階で「必要な機能をすべて備えている」原発はないので、運転再開の前提条件を満たさない。つまり規制委員会は、新たにゼロから設置変更許可を申請させて審査を行ない、それが完了するまで原発はまったく運転できないのだ。

わかりやすく、建物の例で説明しよう。あなたの家が築40年の老朽家屋で、建築基準法の耐震基準を満たしていないとしよう。ある日、役所がやって来て「今日からどこの家にも必要な耐震基準をすべて備えていることを求めるので、建築確認をもう一度出してください。その審査に合格するまで、立ち退いてください」と言ったら、あなたはホームレスになってしまう。田中氏の言っているのは、そういうことだ。

このように新しい法律を過去にさかのぼって適用する遡及適用は憲法で禁じているが、原発の場合は新基準のバックフィットを条件つきで認める場合がある。それは安全性を高める公共の利益が電力会社の損害より大きいときに限り、法律で例外規定を明記するのが普通だ。

ところが田中私案は、このような配慮も法的措置もなく、すべての原発を一律に違法にしてしまった。しかもこの私案は、委員会規則にもなっていない私的なメモである。こんな恣意的な行政指導を認めたら、規制委員会は何でもできる。気に入らない電力会社の原発を廃炉にしようと思ったら、それが違反になるような安全基準をつくり、「今日からお前は違反だ」と宣告すればいいのだ。

この田中私案を元官僚に見せると、みんな驚く。公文書の体をなしていないからだ。おそらく工学部出身の田中委員長は、バックフィットが憲法違反と紙一重の危険な規制だということを知らないのだろう。これは彼の個人的な思いつきではなく、当時の民主党政権の意思を反映していた。昨年4月30日の北海道新聞のインタビューで、菅元首相はこう答えている。

[原発が]トントントンと元に戻るかといえば、戻りません。10基も20基も再稼働するなんてあり得ない。そう簡単に戻らない仕組みを民主党は残した。その象徴が原子力安全・保安院をつぶして原子力規制委員会をつくったことです。[中略]独立した規制委の設置は自民党も賛成しました。いまさら元に戻すことはできない。

彼のいうように、原子力規制委員会は独立性の強い3条委員会(国家行政組織法第3条に定める各省と同格の委員会)なので、どこの官庁も手が出せない。霞ヶ関の膨大な人的資源が利用できないので、委員は「個人商店」で思い思いにやっている。規制委員会は、民主党が政権を去っても「原発ゼロ」を守るために残した「バカの壁」なのだ

自民党も賛成したのは、自民党の塩崎恭久氏が委員会設置法を書いたからである。反原発派も「日本版NRCをつくる」という彼の理想に賛同したが、経産省はまったく協力しなかった。このため法律の書けない塩崎氏は設置法を民間企業に外注した。日本では知識が組織に蓄積されているので、専門家の独立行政委員会は機能しないというのが通説だが、規制委員会はそれを見事に証明した。

こうしている間にも毎日100億円の燃料費が失われ、日本経済は沈んでゆく。さすがに首相官邸も何とかしなければと思い始めたらしいが、田中私案なんか無視すればいいのだ。それには法律も閣議決定も必要ない。安倍首相が記者会見して「今日から原発は法令にもとづいて運転してください」といえばいいのである。
従来の原発が安全基準を満たせないならば、日本の原発を次世代型の「高温ガス炉」と「小型原子炉」で置きかえることができないであろうか?
安倍総理は毎日100億円の燃料費が失われ、日本経済は沈んでゆく日本経済の復活をさせたいならば、池田氏の言うように”記者会見して「今日から原発は法令にもとづいて運転してください」といえばいいのである。”とすればいいのである。
執筆中