(ブルームバーグ):究極のインフレヘッジ手段とされる金が最 近、投資家にあまり利用されなくなっている。

原油は6月以降、下落を続けており、商品相場は少なくとも数十年 で最長の下げとなっている。世界最大の債券ファンドを運営していたビ ル・グロース氏は原油下落について、金の購入者は過去10年間の大半の 期間、消費者物価が上昇すると見込んでいたが、予想通りにはならず米 国が「ディスインフレ」の状態にあることを意味しているとの見方を示 した。

オークブルック・インベストメンツ(イリノイ州)で共同最高投資 責任者(CIO)として19億ドル(約2300億円)の運用を手掛けるピー ター・ジャンコブスキス氏16日のインタビューで「インフレは忘れた方 がいい。現在話題になっているのはデフレのことばかりだ」と指摘。 「原油価格の下落によってデフレ圧力が強まっているのは明らかだ。来 年は利上げが実施される可能性がある。ドルが引き続き上昇する中で、 金価格は圧力にさらされるかもしれない」と述べた。

この半年で、原油価格は40%も下がった。ロシアやベネズエラ、ナイジェリア等の石油輸出国にとっては危機的な話であるが、日本にとっては神風である。

リーマンショックが起き、米経済が崩壊し米ドルが紙切れになると大騒ぎし、金本位制の復活AMERO通貨が導入されるだとか、危機を煽動する副島隆彦(米ドル暴落・金急騰全部はずれ)だとか浅井隆(ハイパーインフレ説)、国会議員の浜田 和幸(米国陰謀論)のような連中の話はいかにいいかげんであるか・・・証明される出来事である。副島や浅井浜田の本を金を出して買う人の気がしれない。
※迂闊ではあったがDdogはこいつらの本を何冊も買ってしまった・・・

原油の下落はサウジVsアメリカのシェールガス・オイル説(コラム:サウジが仕掛ける「石油戦争」、制御不能リスクも【ロイター】2014年 12月 16日 13:41 JST)もあれば、アメリカがロシアに仕掛けた陰謀説などOPECが減産に合意できないうちは下落が止まらないであろう。

仮に減産に合意しても鉄をはじめ、金、銀、プラチナ、砂糖、綿、大豆など石油以外の商品価格も下がっている為原油価格の下落は当面続くと思う。

商品価格指数は石油以外も14年下半期に大きく下げている。個々の商品の価格形
成にはその分野特有の要因が絡んでいるが、下落が広範囲に及んでいるとなれば陰謀論ではなくマクロ経済的な要因と考えるのが正解である。

 米国はリーマンショック後デフレ経済に陥るのを回避すべく超円高ドル安政策を行いデフレを防いだ。日本は20年ぶりにデフレから抜け出そうとあがいているが、抜け出せるかもしれないところまで来ている。だが、商品下落はデフレ脱却のチャンスを潰すかもしれない。

世界的にはインフレ率がマイナスに転じデフレに陥りかけている。商品価格の下落率は物価全般の下げ方を大きく上回っている。世界的な景気低迷でエネルギーや天然資源、農産物の需要が減っている。下半期以降、多くの国で経済成長は鈍化し、GDP予測も下方修正されている。

 だがアメリカの経済成長はますます旺盛で、14年第2・第3四半期の推定成長率は年率換算で4%を超えている。ところがそのアメリカでも商品価格は下がる一方でくある。それに対し、ユーロ建商品価格指数はこの1年で上昇した。下げているのはドル建ての商品価格だけなのだ。

FRBが10月に量的緩和を終了し、15年中にも短期金利の引き上げに踏み切るとみられることから、アメリカでは金融引き締めへの転換と利上げの観測が強まっている。
70年代と02~04年、07~08年の実質金利(インフレ調整済み)の下落は実質の商品価格の上昇を伴っていた。逆に、80年代にアメリカで実質金利が急騰した際はドル建ての商品価格が急落した。FRBがドル紙幣を増刷すれば、そのお金が商品市場に流れて価格をつり上げ、逆に金利が上がると価格は下がる。 

実質金利が実質商品価格に影響する因果関係は4つ

①金利上昇局面では原油や鉱物など貯蔵の利く商品の価格が下がる。金利が低い(投資コストが低い)うちに採掘しておこうというインセンティブが働き、増産につながる

②金利が高くなると一般企業も在庫を抱えたがらない。

③金利が上がると投資家は高リスクの商品取引から資金を引き揚げ、国債を買うようになる。

④高金利だと国内通貨が高くなるため、自国通貨建ての商品価格は下がる。

 もちろんアメリカの金利はまだ上がっていないから、この仕組みは直接的には作用していない。だが投機家たちは半年後の利上げを見越して、既に商品取引から資金を引き揚げつつある。

15年に来るはずの動きを先取りしているわけだ。 為替相場の影響は既に現実化
している。アメリカが金融引き締めをにらむ一方、ヨーロッパと日本は一段の金融緩和に動きだしている。その結果、ドルは対ユーロと対円で上昇している。

ユーロは対ドルで14年上半期以降に8%、円は14%も下落した。だから他の主要通貨でいくら商品価格が上がっても、ドル建てでは下落になってしまうのだ。

田巻 一彦

[東京 26日 ロイター] - 2015年はどのような年になるのか──。原油安のメリットを全面的に受けて、2%成長を達成するというのが「良いシナリオ」だ。

一方、急激な原油安の衝撃や米利上げの波紋で新興市場が動揺し、リスクオフ心理から世界的な株安に直面するのが「悪いシナリオ」の典型だろう。

果たしてどちらのシナリオに傾くのか、カギはBRICSなどの新興市場が握っていると指摘したい。

<良いシナリオ、原油安で2%成長>

まず、「良いシナリオ」から点検してみよう。原油安は輸入国である日本にとっては、「減税効果」に匹敵するプラスのインパクトがある。1バレル=50ドル台の価格が続けば、国内総生産(GDP)を0.7%程度押し上げるとの試算も一部の民間機関から出ている。

みずほ総合研究所は最近出したリポートの中で、1)円安・株高、2)消費税延期を含めた財政効果、3)原油価格下落──を「トリプルメリット」と指摘。2014年度の成長率予想を11月予想時点のマイナス0.4%から同0.6%に0.2ポイント下げたのに比べ、15年度の下方修正幅は2.5%から2.4%に0.1ポイントだけで、15年にかけて日本経済は予想以上に改善しやすい状況にある、と分析している。

0.5%未満の潜在成長率の下で、2%台の成長が達成できれば、「良いシナリオ」の名に恥じないパフォーマンスと言えるだろう。

このシナリオの前提になっているのは、米経済の回復基調が継続し、その動きをエンジンに世界経済が好回転している姿だろう。

当然、米連邦準備理事会(FRB)は4月ないし6月の利上げに向けて動き、日本にとってはドル高/円安と株高が、同時に実現している可能性がある。

ただ、日銀にとっては、1つやっかいな問題が持ち上がる可能性もある。原油価格が50ドル台で推移した場合、一部の民間機関では、15年4─6月期にも消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)の前年比が、マイナスに転落していると予測しているからだ。

需給ギャップが大幅なプラスになっている下では、いずれ物価は上昇することになる。しかし、短期的にコアCPIがゼロ近辺に低迷、もしくはマイナスに転落した場合、期待インフレ率に影響を与えるとみるのか、それとも中長期的にプラス基調に転じると楽観的に見るのかは、大きな政策判断上の分かれ道になるだろう。

<悪いシナリオ、新興市場混乱でリスクオフに>

一方、悪いシナリオは、前週のコラム[ID:nL3N0U2183]でも指摘した急激な原油安と米利上げを予期したマネーフローの急変によるリスクオフ心理のまん延だ。

仮に一部の原油市場関係者の中でささやかれている1バレル=30ドル台への下落が短期間で現実化した場合、いくつかの混乱が予想される。

1つは、米シェールオイル企業が発行しているハイイールドボンドの価格が下落し、ハイイールドボンド市場に動揺が走るリスクだ。この動きが大きくなった場合、高値を追っている米株市場が一転して下げ基調になることもあり得る。

また、資源国通貨と株式が軒並み下落し始める現象が起きることも、世界経済にとっては大きな脅威だ。足元でロシアのルーブルは、ロシアの輸出企業が外貨売却をしている影響で戻しているが、この先もルーブル上昇が継続するのかかなり不透明だ。

年明け以降、米利上げの可能性が高まっているとの観測が市場で広がった場合、新興国から米国への資金シフトが顕在化することを考慮に入れるべきだろう。


さらに中国経済からも目が離せない。中国人民銀による再利下げの観測が跡を絶たないのは、中国の内需が弱い証拠でもある。鉄鋼製品の在庫積み上がりや原材料の輸入量の減少がさらに大きくなるようなら、中国経済の停滞を見越した海外マネーの流出を招き、不動産価格が急落するというのが、最悪のシナリオになると考える。

もし、中国市場に動揺が見え出した場合、BRICS経済が相次いで逆回転し、それが世界経済を危機に陥れるというコースも、想定する必要が出てくるのではないか。

「良いシナリオ」と「悪いシナリオ」のどちらに傾いて、現実の世界経済が回っていくのか、現段階でははっきりしない。ただ、リスクの多くが新興国・資源国から出てきそうな現状をみれば、2015年のカギはBRICS経済の動向が握っているという構図が見えてきそうだ。

アナトール・カレツキー

[19日 ロイター] - 原油価格が50%下落したことで、いったいこの先どの程度まで下がり、下落局面はどれぐらい続くのかといった疑問が生まれている。最初の疑問について自信を持って答えられる人はいないが、2番目の方はかなり簡単だ。

原油安は、次の2つのイベントのうちどちらかが起きるれば長く続くだろう。第1の可能性は、大半のトレーダーやアナリストが予想しているとみられるように、サウジアラビアが原油安を誘引した地政学上、もしくは経済上の諸目的を達成した後、石油輸出国機構(OPEC)の市場に対する支配力を再確立すること。第2の可能性は、わたしが約2週間前に言及したものだが、原油の国際市場がサウジやOPECの力ではなく限界的な生産コストによって価格が決まる普通の競争的な環境へと向かう展開だ。これはひどく極端なシナリオに思われるが、1986年から2004年まで原油市場が実際に動いてきた仕組みといえる。

いずれかのイベントが最終的に原油価格を底入れさせるにしても、その過程が進むには相当な時間がかかるのは間違いない。サウジにとってイランとロシアの連合にくさびを入れたり、米国のシェールオイルの減産に持ち込もうとする上で、ほんの数カ月原油が下がるだけで事が足りると考えるのは合理性を欠く。同じように原油市場がOPECの支配から通常の競争状態へと素早く移行すると思うのも妥当ではない。

価格がすぐに今回の急落局面前の水準に戻るとなお見込んでいる多くの強気派の投資家は、失望を味わう可能性が大きい。強気派が期待できるのはせいぜい、新しく実質的により低い水準での取引レンジが形成されるかもしれないということだろう。

重要な問題は、現在の1バレル=55ドル前後の価格が新しいレンジの下限と上限のどちらに近いかだ。

米国の消費者物価指数で考えた物価調整後の原油価格の過去の推移は、興味深いヒントを提供してくれている。OPECが影響力を行使し始めた1974年以降の40年間は、3つの局面に分かれる。1974─1985年は、原油価格は現在の価値でみて48─120ドルで取引され、1986─2004年のレンジは21─48ドル(1991年の湾岸戦争と98年のロシア危機は別)、05年から今年までは50─120ドル(08─09年の金融危機で短期間価格が跳ね上がったケースは別)となった。

これら3つの局面で重要なのは、過去10年間の取引レンジがOPECが支配力を最初に確立した1974─1985年と酷似しているが、1986─2004年はまったく異なる枠組みだった点だ。この差は1985年にOPECの支配力が崩れてそれから20年が独占市場から競争市場に移行したことと、2005年になって中国の需要増大を利用してOPECが価格支配力を取り戻したことで説明できる。

過去の例からすると、市場が独占的か競争的かは価格が50ドル弱当たりで区別するのが、新たな長期の取引レンジの落ち着きどころを推測する上では合理的に見受けられる。だが50ドルは今後のレンジの下限なのか、それとも上限なのか。

1986─2004年の局面と同じく、これから価格が最低20ドルから50ドルまでに取引レンジが切り下がると予想されるいくつかの理由がある。

技術面と環境面の圧力は長期的な原油需要を減らし、中東以外の高い生産コストの原油を、膨大な埋蔵量があって引き合いが乏しい石炭と同じような「普通の資産」へと変貌させる恐れが出てきている。長期的に原油を押し下げる圧力としては、イランやロシアへの制裁が解除されたり、イラクとリビアの内戦が終結し、サウジよりも多い原油が国際市場に供給される可能性も挙げられる。

米国のシェール革命は恐らく今後、1974─1985年もしくは2005─14年のようなOPECの価格支配力が再度定着するよりも、価格競争が起きる状況に戻ると考える強力な根拠だろう。

シェールオイルは比較的コストがかかるが、生産作業の稼働と停止は従来型油田よりずっと簡単で費用も少ない。つまり今や、シェール業者はサウジの代わりに、国際市場における調整役「スウィング・プロデューサー」になっているはずだ。

本当に競争原理が働く市場では、サウジや他の低コストの産油国は常に生産量を最大限にする一方、シェール業者は需要が減れば生産をとりやめ、需要が増えれば増産に動く。この論理でいけば、一般的に40─50ドルとされる米国のシェール業者の限界生産コストが、新しい取引レンジの下限ではなく上限となっていくだろう。

半面、いったん市場がこのレンジの下限を試した後では、OPECが50─120ドルに水準を戻す支配力を再構築すると予想できるだけの十分な理由もまた存在する。

OPEC加盟国は、市場が再び競争的になるのを阻止することに多大な関心を持ち、効果的なカルテルとしての機能をまた学習する可能性がある。

米国勢の市場シェアが増えるので、OPECがきっちりとした価格水準を定めるのは難しいかもしれないが、来年多くのシェール業者を退出させることができれば、価格決定における「規律」を導入しようとするだろう。

原油安がもたらすマクロ経済効果が世界の経済成長に好影響を及ぼし、経済活動とエネルギー需要を押し上げることで、こうした取り組みを後押しする可能性がある。

だから以上の2つの主張はどちらも正しいと判明するだろう。つまりは弱気シナリオでは、競争的な価格決定に基づいて20─50ドルのレンジとなるし、強気シナリオならばOPECの支配力が復活して50─120ドルのレンジが形成される。
執筆中