2018年2月開幕予定の韓国・平昌(ピョンチャン)冬季五輪に続々とトラブルが発生している。一部の競技施設の改修費用が当初想定した予算の5倍に高騰、宿泊施設不足からホームステイ案まで浮上している。一度は消えた分散開催も取り沙汰される中、国家の威信をかけたスポーツの祭典は、迷走に迷走を重ね“開催不能”に向かっている。

日本では考えられない事態が今、平昌五輪を直撃している。

聯合ニュースなどによると、費用問題で揺れているのは、平昌五輪のスノーボードとスキー・フリースタイル競技の会場として使用される「普光フェニックスパーク」。国際スキー連盟(FIS)の視察で「大幅な改修が必要」と判断され、改修費用が当初予算の5倍に高騰する可能性が出てきたという。

韓国の大手放送局SBSによれば、同施設の使用は、11年の五輪誘致当時から決まっており、昨年1月に改修予算が205億ウォン(約22億5000万円)と算出されていた。このうち、政府が75%の154億ウォン(約16億9000万円)、残り25%の51億ウォン(約5億6000万円)を地元自治体の江原道が負担することになっている。

だが、FISの調査で、改修費用は当初試算から大幅に増えて790億ウォン(約87億円)に。加えて、施設側が、競技場使用料と五輪期間中の営業損失補償費として250億ウォン(約27億5000万円)から300億ウォン(約33億円)を要求する見込みで、すべて合算すると当初予算の5倍、1040億ウォン(約114億4000万円)に膨れあがるというのだ。

平昌五輪では、大会で使用する13の会場のうち、6カ所を新設し、残り7カ所を既存の施設を改修して使用することになっている。他の施設でも、同様の問題が発生する可能性がある。

FISのカスパー会長は先月、16年に予定されているアルペンやフリースタイル、スノーボードの平昌五輪のテスト大会について「(開催は)ほとんど不可能」との見解を述べ、関係者を凍り付かせた。

さらに今月に入って、一度は消えた分散開催案が浮上。しかし、平昌五輪組織委の趙亮鎬(チョ・ヤンホ)会長は「天変地異で、予定会場が使えなくなった場合のみ(分散開催を)考えたい」と述べるにとどまった。

このため韓国内は騒然。ネット上には、「天変地異が起きてほしい」「開催能力がないなら返上すべし」といった声まであがっている。

問題はこれにとどまらない。

聯合ニュースはさきごろ、開催地の江原道江陵(カンヌン)市が五輪の期間中に訪れる観光客向けに、宿泊施設客室数を早期に確保する計画を発表したと伝えた。

それによると、江陵市は、現在までに2万1631室を確保。このうち、五輪組織委員会の関係者向けに1万1833室が割り当てられる。ただ、予定する観覧客用の客室1万2000室のうち、2202室が不足するという。
ソチ五輪冬季大会、サッカーワールドカップブラジル大会、ギリシャオリンピック、バルセロナオリンピックなどが、大会準備が遅れ開催が危ぶまれたが、いずれも何とか国家の威信をかけ、間に合わせたのだが、平昌冬季オリンピック大会は本当に間に合わない前代未聞の事態になりそうだ。

韓国の朴槿恵大統領は分散開催を否定しており、現状では単独開催の方針。3月10日にも韓国の平昌冬季五輪組織委員会の趙亮鎬(チョ・ヤンホ)委員長は、自然災害が起こらない限り分散開催はしないとの見解を示したばかりだ。 日本でも、長野での受け入れについては、ネット上で強い反発の声が相次いでいる。
 2018年平昌冬季五輪をめぐり、莫大な費用負担を懸念する韓国の市民団体が12日、ソウルで記者会見を開き、他都市での「分散開催案」を提示した。1998年に冬季五輪が行われた長野県や、北朝鮮東部の馬息嶺スキー場での開催案も盛り込まれている。

分散開催案は昨年末に浮上したが、朴槿恵大統領が「競技場の工事が進行中で議論は無意味」と一蹴。国際オリンピック委員会(IOC)も今年1月、韓国での全競技実施計画を受け入れ「会場変更で議論の余地はもうない」としている。

12日の会見で市民団体は、平昌などで新設するそりやスケートなどの競技場は大会後に高額な維持費が掛かり、活用のめども立たないとして既存施設の活用を提案。分散開催で事業費は8400億~1兆ウォン(約910億~1100億円)節約できると主張した。(共同)
「驚くことに、江陵市では不足を補うために、ホームステイを活用する案が出ている。ほかにも市内のワンルームマンションや教会、お寺などの宗教施設、公民館。韓国名物の24時間サウナまで宿泊施設として使えないかというのだから驚いた」(現地関係者)

聯合ニュースによれば、江陵市は今後、観覧客らを受け入れるホームステイ先のホストファミリー3000世帯を募集するほか、ワンルームマンション約620カ所5100室を調査する。五輪という国家的イベントで、一般家庭の住宅をホテル代わりに使うのは異例の事態といえる。

『徹底比較 日本vs韓国』(河出書房新社)などの著者で韓国事情に詳しいノンフィクションライターの高月靖氏は、「韓国では、これまでも大きなイベントがあるたびに、宿泊施設不足が指摘されてきた。2012年に全羅南道麗水(ヨス)市で開かれた麗水万博の時も同じような問題が持ち上がった。ホテル不足で、小さなモーテルの値段が急騰し、相場の2倍から3倍になった」と明かす。

韓国では10年から13年まで行われた自動車のF1韓国GPでも、宿泊施設不足から、有力チーム「マクラーレン」のメカニックが、ラブホテルで宿泊を強いられた。

高月氏は「実は、02年のサッカーW杯日韓大会の時も同じようにホームステイを活用した。運営側の計画がずさんなため、同じようなトラブルを繰り返している。特に平昌五輪では、開催地での五輪後の事業展望が開けないことから、民間の協力が思うように得られていない。結局、過去の失敗から何も学んでいないということだ」と解説する。

同じ過ちを繰り返す韓国の病根は根深い。
韓国人はオリンピックは金儲けの為に開催するという発想から抜け出ていない。
分散開催で韓国側の出費を抑えたいと自分の利益のみ追求してる時点で、分散をと騒ぐこと自体オリンピックに立候補する資格すら無い国だ。

勝つためには何をしても許されると言う発想が支配する韓国には、スポーツマンシップやフェアプレイの精神に欠ける選手ばかり見かける。この国では、スポーツの国際大会を開催資格はない。
根本原則

1 近代オリンピズムの生みの親はピエール・ド・クーベルタンであった。氏の提案にもとづいて、1894年6月、パリ国際アスレチック会議が開催された。国際オリンピック委員会(IOC)が発足したのは1894年6月23日であった。1994年8月の第12回総会はオリンピック百周年に当たり、「Congress of Unity」をテーマにパリで開催された。
2 オリンピズムは、肉体と意志と知性の資質を高揚させ、均衡のとれた全人のなかにこれを結合させることを目ざす人生哲学である。
オリンピズムが求めるのは、文化や教育とスポーツを一体にし、努力のうちに見出されるよろこび、よい手本となる教育的価値、普遍的・基本的・倫理的諸原則の尊重などをもとにした生き方の創造である。
3 オリンピズムの目標は、あらゆる場でスポーツを人間の調和のとれた発育に役立てることにある。またその目的は、人間の尊厳を保つことに重きを置く平和な社会の確立を奨励することにある。この趣意において、オリンピック・ムーブメントは単独または他組織の協力により、その行使し得る手段の範囲内で平和を推進する活動に従事する。
4 IOCが率いるオリンピック・ムーブメントは、近代オリンピズムにその端を発している。
5 オリンピック・ムーブメントは、最高機関IOCのもとで、各種組織、競技者、その他の人たちを統括する。彼らは、オリンピック憲章によって導かれることに同意した人々である。オリンピック・ムーブメントに帰属するための基準は、IOCによって承認される。スポーツの組織および管理は、IOCが承認する独立のスポーツ団体により監督されなければならない。
6 オリンピック・ムーブメントの目的は、いかなる差別をも伴うことなく、友情、連帯、フェアプレーの精神をもって相互に理解しあうオリンピック精神に基づいて行なわれるスポーツを通して青少年を教育することにより、平和でよりよい世界をつくることに貢献することにある。
7 オリンピック・ムーブメントの活動は、結び合う5つの輪に象徴されるとおり普遍且つ恒久であり、五大陸にまたがるものである。その頂点に立つのが世界中の競技者を一堂にあつめて開催される偉大なスポーツの祭典、オリンピック競技大会である。
8 スポーツの実践はひとつの人権である。何人もその求めるところに従ってスポーツを行う可能性を持たなければならない。
9 オリンピック憲章は、IOCが採択した基本原則、規則および細則を成文化したものであり、オリンピック・ムーブメントの組織および運営を統括し、オリンピック競技大会開催のための諸条件を規定するものである。
オリンピック憲章に照らせば、韓国でのオリンピック開催は無理がある。オリンピックの場合、その憲章をもとに厳かにプロセスされる点において無駄、無理が多く、利益を上げようととか、地域活性化しようなどと考えること自体、無理があるのだ。

オリンピックの価値がこの数十年の間に薄れつつある。理由は、オリンピック以外に大衆が楽しめるスポーツイベントが増えたことが大きい、特に種目別に世界大会は多く開催されており、オリンピックだけが世界の注目を集めるものではなくなった。

それゆえに五輪効果そのものも以前ほどではなくなった。アメリカは五輪に対し興味をなくしているのようにみえる。

そして、日本も、米国も韓国の中国への属国化に堪忍袋の緒が切れ、韓国を切り捨てにかかっているので、平昌冬季五輪が窮地となっても、救済することはけっしてないだろう。 後はIOCと韓国でケツを拭くしかない。 日米は韓国を切り捨てへ
 韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領の「二股外交」が限界に達しつつある。米国と中国をてんびんにかけてきたが、駐韓米国大使襲撃事件の警備態勢や背景に、米情報当局などが疑念を持っており、米国重視路線を明確化する必要に迫られそうなのだ。とはいえ、米国にすり寄れば、韓国を取り込もうとしている中国の怒りを買うことは避けられない。イソップ童話のコウモリのように、絶体絶命の窮地に陥りそうだ。

「大使の毅然として豪胆な姿に米韓の国民は感動した。米韓関係はむしろ(事件前より)近くなる機会になった」

朴氏は中東歴訪から帰国した9日、空港からリッパート駐韓米国大使(42)が入院中のソウル市内の病院へ直行し、こう語りかけた。事件が米韓関係に影響するのを防ぎ、同盟の強固さを強調しようとしたようだ。

リッパート大使も「米韓同盟を一層強固にする努力を続けなければならない」と与党幹部に語るなど、外交上の配慮を見せているが、米国では韓国に対する疑念が深まっている。

犯人の金基宗(キム・ギジョン)容疑者(54)は、過激な反米・反日活動を繰り返し、2010年に重家俊範駐韓日本大使(当時)にコンクリート片を投げ付け逮捕され、韓国公安当局もマークしていた。そんな危険人物がナイフ2本を隠し持ち、事前の参加申請もなく「顔パス」で会合に入り込み、卑劣なテロに及んだ。韓国警備当局の不手際は明らかといえる。

『韓国化する日本、日本化する韓国』(講談社)などの著書があり、日韓関係に詳しい新潟県立大学政策研究センターの浅羽祐樹准教授は「米国民はテロには非常に敏感だ。同盟国の首都のど真ん中で、しかも白昼堂々と凶行が行われたことへのショックは大きく、韓国への不信感は高まるだろう」と分析する。

朝鮮半島情勢に精通する元公安調査庁調査第2部長の菅沼光弘氏も「米メディアは今回の事件を大きく報じており、国民の嫌韓感情に火がつくのは確実だ」と指摘し、こう続ける。

「米韓合同軍事演習の最中というタイミングも最悪だった。容疑者が北朝鮮を擁護するような主張の持ち主であることも手伝い、米国の韓国に対する信頼感は大きく揺らぐことになった。韓国メディアが『韓米は今こそ同盟の強固さを示せ』(朝鮮日報)などと盛んに訴えているのは、米韓関係が厳しい状況に差し掛かっていることの裏返しでもある」

朴政権は、安全保障では米国に大きく依存する一方、経済では最大貿易相手国の中国に依存する「二股外交」を展開してきた。だが、その限界は折に触れ、露見している。

典型例は、在韓米軍による韓国国内での『高高度防衛ミサイル(THAAD)』配備をめぐる問題だ。

THAADには、迎撃ミサイルとともに、敵のミサイル発射を早期探知する高性能レーダーの配備も必要となる。中国国内のミサイル基地の動向が丸裸になるため、中国は強硬に反発している。

韓国紙『中央日報』(日本語電子版、2月6日)によると、中国の習近平国家主席は昨年7月に行われた中韓首脳会談で、THAAD配備を拒否するよう求めたとされ、朴氏は板挟み状態に陥っていた。今回の大使襲撃事件が、朴氏の苦境に拍車をかけることは間違いない。

前出の浅羽氏は「朴氏は事件を受け、『米国により比重を置いている』という姿勢を示す必要に迫られている。THAADに関しても、あいまいな態度のまま決断を先延ばしすることは許されない」と語る。

米国重視路線を明確に打ち出せば、中国が韓国への外交圧力を強めるのは確実だ。韓国経済の中国依存度は高く、2013年には輸出全体の対中国比率は26・1%に達している。中国の恫喝にも逆らえないのだ。

襲撃事件を機に、米国が韓国を「見捨てる」とみる向きもある。

国際政治学者の藤井厳喜氏は「米国は近年、対韓関係で我慢に我慢を重ねてきた。オバマ大統領の側近中の側近であるリッパート氏が襲撃されたことで、米国の『韓国離れ』が一気に加速する可能性がある。中国への経済的依存の高まりから、米国内には『韓国が中華勢力圏に“戻る”ことは仕方ない』という論調もある」と語る。

いずれにしても、「大きなものに従おうとする民族性」(前出・菅沼氏)ゆえのコウモリ外交は、完全に行き詰まりを迎えている。

 韓国の進退は極まった――。「米大使襲撃事件」を韓国の識者、Aさんに聞いた(注)。

(注)Aさんは韓国を冷静に語る人で「安倍首相の韓国語は失敗でした」などに登場している。

零下の街頭で踊る

A:韓国は窮地に陥りました。3月5日にリッパート(Mark W. Lippert)駐韓米大使への襲撃事件が起きたからです。「米国から見捨てられるかもしれない」と韓国人は首をすくめています。

事件2日後の7日に市内の米国大使館の前を通ったら「大使を愛しています」などと書いたプラカードを掲げた人々が立っていました。

負傷した大使の治癒を祈るつもりで、カネや太鼓で踊っている人々もいました。ろくに風をさえぎるものもない、下手すれば摂氏零度以下の場所で、です。

この事件で韓国は米国に大きな借りができました。THAAD(サード=終末高高度防衛ミサイル)の在韓米軍基地への配備も、もう拒否できなくなるかもしれません。

中国が進めるアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加も見合わせようとの空気が濃くなるかと思います。そもそも「AIIBには参加するな」と米国に強く止められていましたから(「米中星取表」参照)。

米中星取表~「米中対立案件」で韓国はどちらの要求をのんだか
(○は要求をのませた国、―はまだ勝負がつかない案件、△は現時点での優勢を示す。2015年3月9日現在)

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いずれにせよ、この事件は尾を引くと思います。単なる大使傷害事件ではないのです。米国が韓国に対し「中国側に行くつもりか」と警戒する最中に起きた事件だったからです。

ことに2月27日、米国のシャーマン(Wendy R. Sherman)国務次官がワシントンで「 Remarks on Northeast Asia 」と題して演説し「中国とスクラムを組んで日本を叩く韓国」を牽制した直後でした。

そして米国務次官に対し、韓国紙が一斉に「日本の味方をするのか」「発言を取り消せ」と反撃する最中でもありました。

「いわゆる慰安婦」にも激怒

鈴置:犯人は「オバマはなぜ変わったのか」と言いながら米大使を襲ったと報じられています。

一方、ワシントンでのシャーマン国務次官の演説に対し、韓国各紙は「慰安婦などに対する米国の姿勢が変わった」と非難していました。

例えば、朝鮮日報の3月3日社説「米国務次官の誤った過去史発言、これは見過ごせない 」(韓国語版)が典型です。日本語版の見出しは「看過できない米国務次官の『韓中日共同責任論』 」です。

シャーマン国務次官は「民族感情は悪用されかねず、政治指導者が過去の敵を非難し、安っぽい拍手を受けることは容易なことだ。しかし、そんな挑発は発展ではなくマヒをもたらす」と述べた。
この部分は暗に韓国を指したと思われる。しかし日本に対しては、一言も謝罪と反省を求めなかった。
シャーマン国務次官は今回、外交的には使ってはならない不適切極まりない表現を遠慮なく使った。オバマ(Barack Obama)大統領が2014年4月に訪韓した際には、慰安婦問題に関し「実にひどい人権侵害だ」と述べている。何が米政府の公式の立場なのかはっきりさせる必要がある。
なお、講演の中でシャーマン国務次官は「いわゆる慰安婦」(so-called comfort women)という、日本批判を避けるような呼称を使いました。

「性奴隷」(sex slave)という単語を使ってほしい韓国人の癇に相当に障ったようで、この言葉使いにもメディアは怒りをぶつけました。

犯人は左派の民族主義者

さて、犯人が「オバマが変わった」と批判したところを見ると、やはりシャーマン演説に触発されて米大使を襲撃した、ということでしょうか。

事件直後の5日午後の国会・外交統一委員会で、ある議員も「シャーマン発言に対し我が国がちゃんと(強く)対応しなかったことが襲撃事件の素地となった」と政府を批判しています。

A:犯人の断片的な言動だけでは、事件と米国務次官の発言との関連は判断できません。ただ襲撃犯は「我が庭 独島の守り」なる民族主義的な組織の代表です。

鈴置:この人は北朝鮮との関係改善を求める左派でもありますよね。左派でかつ、民族派の反日・反米運動家――という日本人には理解しにくい人です。

A:いずれにせよ、反米活動家です。鈴置さんの表現を借りれば「韓国が離米従中し始めた」と米国が神経を尖らせる中、この反米運動家が米大使を刃渡り25センチのナイフで襲ったのです。

大使はほほや腕に傷を負い、80針も縫いました。あと2センチずれていれば頸動脈を切っていたといいます。

米国が「韓国の真意」を疑うのは当然です。そして疑われた韓国人は「裏切り者と見なされ、米国に見捨てられないか」と恐れ始めたのです。

テロリストに執行猶予

鈴置:シャーマン国務次官にすれば「だから私が言ったでしょ」と、韓国に文句のひとつでもつけたいでしょうね。

韓国政府が「安っぽい拍手を得ようと、安易に民族主義を煽っていたら」――日本大使への暴力事件を起こした民族主義者を野放しにしていたら、同じ男に今度は米国大使が襲われてしまった――のです。国務次官の警告がすぐさま現実になったわけです。

米大使襲撃犯の金基宗(キム・キジョン)代表は2010年7月に日本大使を襲った人物です。ソウルで講演中の重家俊範・駐韓大使(当時)にコンクリート片を投げつけ、横にいた日本大使館員が負傷しました。

裁判では懲役2年の判決でしたが、3年の執行猶予が付きました。今となっては「テロリストに執行猶予など付けるから、いい気になって米大使を襲撃したのだ」と韓国人は言い始めました。

しかし日本大使襲撃直後の韓国メディアは犯人を英雄扱いし、インタビューまでしました。現場にいた記者によると、警察も現場にすぐには駆けつけなかったそうです。事件化すべきかどうか、上の判断を仰いでいたと思われます。

犯人は2014年になっても国会議員の紹介で、国会図書館の講堂を借りて集会を開いていた――と韓国紙は報じています。

黒幕を探せ

A:今回の事件で、左派系紙は政府の警備ミスを追及しています。左派の活動家が犯人だったので、自分たちへの風当たりを少しでも減らす目的です。

鈴置:一方、保守系紙は犯人と北朝鮮とのつながりを疑う紙面を作っていますね。この機会に左派を攻撃しようということなのでしょうけれど、責任転嫁の臭いもします。

韓国保守派の謝罪デモの光景をネットで見ました。北朝鮮の国旗を燃やし、金日成(キム・イルソン)、金正日(キム・ジョンイル)、金正恩(キム・ジョンウン)の3代指導者の写真にバツを付けて掲げる――。もう、北朝鮮が主犯の扱いです。

朴槿恵(パク・クンヘ)大統領も「黒幕を探せ」と指示しています。政権としては何とかして「北朝鮮の仕業」にしたいところでしょう。

事件の背景に「安っぽい民族感情の悪用」があると米国に見なされたら、韓国政府がもろに責任をかぶることになってしまうのです。

A:今、韓国紙は必死で「韓米関係に悪影響なし」と書いています。もちろん多くの人が悪影響を懸念しているからです。

日本でもライシャワー(Edwin O. Reischauer)米国大使が襲撃されました。確か、昭和39年(1964年)でした。日本の新聞は日米関係を懸念しましたか?

51年前のライシャワー事件

鈴置:私も今回の事件をライシャワー刺傷事件と比べようと、当時の日本の新聞をいくつか読みました。もちろん、各紙とも米国の反応を大きく報じるなど、悪影響に気を使った紙面づくりでした。

ただ、それは翌日付の紙面ぐらい。現在の韓国メディアが事件後連日、米韓関係に焦点を当てるのとは明らかに異なります。

ライシャワー事件の頃、日米関係は良好だったし、犯人はその時の新聞の表現によれば「異常性格」(1964年3月24日の日経夕刊1面)だったからです。

それでも日本政府は直ちに池田首相が親書を送るなど遺憾の意を示したうえ、国家公安委員長を辞任させました。

ジョンソン(Lyndon Johnson)大統領も「両国間の深い友好と理解には全く関係ない」との返書を、時差があるとはいえ何と事件当日の24日に送っています。

今回の韓国の事件は「政治テロ」と韓国メディアが表現する性質のものです。偶発的な要素が濃く、尾を引かなかった「ライシャワー事件」とは単純に比べられないと思います。

すぐに謝る日本人

ちなみに事件翌日の1964年3月25日の社説の見出しは以下です。

日経「遺憾なライシャワー大使の遭難」
読売「遺憾な米大使傷害事件」
朝日「ラ大使と米国民にわびる」
A:「わびる」ですか。本当に謝るのが好きですね、日本人は。何かあると、とにかく謝ってしまう。

鈴置:逆の意味で、韓国紙の社説には驚きました。事件の翌日、3月6日付の各紙の社説の見出しは以下でした。

中央日報「米大使へのテロは大韓民国へのテロだ」「今回のテロによる米韓同盟への逆風を防げ」
朝鮮日報「駐韓米大使テロにあたり、韓米同盟の決意を見せねば」
東亜日報「襲われても『ともに歩もう』という米大使、韓米同盟の底力を見せた」
「わびの言葉」が見出しに一切ないのです。

A:簡単にはわびないのが韓国人です。というか、日本人が簡単に謝り過ぎるのです。

韓国こそ被害者だ!

鈴置:もう1つ驚いたのが、中央日報の「大韓民国へのテロだ」です。朴槿恵大統領も「韓米同盟へのテロ」と語りましたが、韓国はいつの間にか被害者になっています。

A:それが韓国人です。

鈴置:実利的にも、被害者になりすましておかないと「危険な民族主義を放置した加害国」になってしまうからでしょうね。

ここで質問です。お話の冒頭で「この事件により、韓国は米軍のTHAAD配備を受け入れることになるかもしれない」と仰いました。米国は大人ですから、要求に事件を露骨には絡めないと思うのですが……。

A:米国が言及しなくとも、委縮した韓国側が先に言い出すかもしれません。それほどに韓国人は米国の怒りを恐れているのです。

新聞も「米国は怒っていない」との報道をしつこいほど繰り返しています。「本当は怒っているのではないか」と韓国人が悩んでいるからです。

鈴置:ライシャワー事件とは異なって「怒っていないから安心しろ」との米大統領の親書が届いていませんしね。

ご指摘のように、普通の人や外交当局は「ここでは米国に恭順の意を見せておこう」と考えるかもしれません。でも、朴槿恵大統領がそう考えるでしょうか。

米国には甘えても大丈夫

A:確かに韓国はもう、米国側に戻れないかもしれません。中国側に行き過ぎていて、そんなことをすれば、中国からどんなイジメに遭うか分からないからです。

韓国は引き返すことも前に進むこともできない――進退極まったのです。「米中二股」などという小賢しい外交を展開し、韓国は自分の首を絞めたのです。

鈴置:米国はすでに――2013年秋から「二股の韓国」あるいは「離米従中の韓国」に本気で怒り出していました。なぜ韓国人はそれに神経を配らなかったのでしょうか(「天動説で四面楚歌に陥った韓国」参照)。

A:「米中二股派」や「親中派」は米国の意向など気にしない。一方、いまだ残る「親米派」は「少々甘えても米国は怒らない」と信じ込んでいる。結局、だれも真剣に米国の変化を見つめていなかったのです。

真田幸光教授との対談「『人民元で生きる決意』を固めた韓国」を非常に面白く読みました。ことに米国が日本に「韓国とスワップを結ぶな」と指示するくだりです。

韓国人は米国の恐ろしさを分かっていない。通貨危機の1997年当時も、米国の韓国に対する姿勢の変化を見落とし、国際通貨基金(IMF)による救済という大恥をかいたのです。

すぐに拳骨を振り回す中国の顔色は不必要なほどに見るというのに。日本の外務省のホームページに関してもそうです。

ブレーキ役が消えた韓国

鈴置:3月以降、ホームページの韓国の項目から「自由と民主主義、市場経済という基本的な価値を共有する国」という表現が消えた“事件”ですね。

A:ええ、それに韓国人は驚いたのです。日本人が韓国をどう見ているかに全く無頓着だったからです。

鈴置:1990年代までは、金鍾泌(キム・ジョンピル)という知日派の大物政治家が現役で活躍していました。

韓国の日本批判が一定の限度を超えると「さすがに日本人も怒り出すぞ。これぐらいでやめておけ」などと、ブレーキをかけたものです。が、今は知日派もいなければ、日本に神経を使おうという空気もない。

A:その通りです。こんなことをしているうちに日本からは見限られ、米国からは見捨てられるでしょう。体力が衰えた米国がいつまで大陸に橋頭堡を確保しようと思うか、分かりません。

と言うのにTHAADやAIIBでは中国の顔色を見てばかり。米国が国務次官のスピーチを通じて韓国に警告を発すれば、メディアは逆切れする。挙句の果ては駐韓米大使への襲撃です。

鈴置さんの『「三面楚歌」にようやく気づいた韓国』を読みました。エピローグに「韓国の将来の3つのシナリオ」があります。

朝鮮半島をよく研究した、面白い予想です。でも、どれも当たらないと思います。なぜなら、韓国は中国側の国となってしまう可能性が高いからです。

死に体の韓国は中国傘下に

鈴置:「シナリオ2」はまさに「中国化」コースを予想しているのですが……。

A:そのシナリオは、形式的には法的な中立化が保障される――との前提付きです。私はこのままでは実質だけではなく、名分でも中国の傘下に入るのではないか、と悲観しているのです。

これから韓国が正念場を迎えるというのに、大統領は任期を3年も残してレームダック(死に体)。「一時は20%台に落ちた支持率が、30%台に戻った」などと、前向きにとらえる向きもあります。

しかし肝心なのは不支持率です。過半数の国民からそっぽを向かれたら、大統領は何もできない。

鈴置:2015年が明けて以降、保守系紙でさえ大統領が何かやれば批判し、何もしないと言ってまた批判するようになりました。

A:そして不支持率はその頃からずっと50%を超え、時に60%台に乗るのです。韓国は今、米大使襲撃事件で大騒ぎ。でもうわべの騒ぎだけではなく、この国の奥深くでものごとがどう動くか、じっくりと見るべきでしょう。
F1韓国グランプリや仁川アジア大会以上に平昌冬季五輪大会は何が起きるか期待しているのだが、韓国経済は行き詰っており、開催はいよいよ難しくなってきているのが現実のようだ。

日本がデフレ脱却へ歩みを進める一方、中韓両国がデフレの崖っぷちに立たされている。ともに輸出も内需も不振で、経済指標が悪化しているが、両国政府は効果的な対策を取れず、金融緩和も日米欧の後手に回った。中国では李克強首相の「リコノミクス」、韓国では朴槿恵(パク・クネ)大統領の「クネノミクス」と称する経済政策が華々しく掲げられたが、いまや見る影もない。中韓共倒れの構図が浮き彫りになってきた。

中国の全国人民代表大会(全人代)で李首相は妙な形で話題になった。初日の5日、政府活動報告で今年の経済成長率の目標を前年の7・4%から7%に引き下げると発表したが、その後は一貫して存在感が乏しかったためだ。

全人代は本来なら李首相が主役となる舞台だが、各代表の発言や中国メディアの関心は習近平国家主席に集中。「過去最も影が薄い首相」(中国人記者)との声も上がった。

李首相が13年の就任当初に進めた市場重視の構造改革路線は氏名にちなんで「リコノミクス」と呼ばれたが、現在は一切語られることがない。経済成長の目標についても習主席が掲げた「新常態(ニューノーマル)」という言葉が半ば“公約”と化している。

「新常態」では、ゆるやかな経済成長への軟着陸を目指すが、実態は墜落しかねない状況だ。

2月の消費者物価指数は前年同月比1・4%上昇と、政府の通年目標の3・0%を大きく下回り、デフレへの警戒感も強まっている。

中国人民銀行(中央銀行)は全人代直前の2月末に利下げを実施したが、「事実上の固定相場制である中国では効果は限定的」(嘉悦大教授の高橋洋一氏)というのが現実。「むしろ景気の下支え効果があるのは高速道路や空港の建設などの公共投資」(同)だという。

このためか、中国当局は政府主導のインフラなど公共投資を再び加速させる方針で、不動産関連の不良債権処理や影の銀行(シャドー・バンキング)問題の改革は先送りに。預金金利の自由化方針を打ち出したが、効果のほどは不透明だ。

週刊東洋経済元編集長の勝又壽良氏は、「不動産バブル崩壊はすでに進行しているが、債務を負った企業や地方政府が負債を確定して具体的な返済方法を検討する段階には至っていない。いま投資を拡大すれば、中国経済は一段と傷を深くするはずだ」と指摘する。

一方、韓国のデフレ懸念は一段と深刻だ。2月の消費者物価は前年同月比0・5%上昇にとどまった。3カ月連続の0%台で、事実上経済破綻し、国際通貨基金(IMF)の管理下にあった1999年7月以来の低い水準だ。韓国メディアは「韓国の物価下落は1990年代の日本のバブル崩壊後よりも速いペース」という専門家の分析を紹介している。

鉱工業生産、小売販売、設備投資もそろって減少。朴政権発足後の2年間で適切な手が打たれたのだろうか。

就任当初、「クネノミクス」と呼ばれた朴大統領の経済政策では、「創造経済」なるキーワードが打ち出された。しかし、新しい産業や経済の仕組みが創造された様子はなく、実現したことは外交、経済ともに中国への依存度を高めたことだった。

アベノミクスの第1の矢である日銀の金融緩和政策の結果、為替の円安ウォン高が進んだ。韓国経済は内需低迷に加え、稼ぎ頭の電機や自動車など輸出企業の業績も悪化。欧州中央銀行も量的緩和実施を決めてユーロ安も進み、輸出の前年割れが続いている。

こうしたなか、韓国銀行(中央銀行)は12日、政策金利を5カ月ぶりに0・25%引き下げ、過去最低の年1・75%とすることを決めた。ただ、インドやタイ、カナダなど多くの国がすでに利下げを実施しており、中国よりも遅れた。効果についても、聯合ニュースは「家計負債の急激な増加に拍車が掛かる恐れがある」「お金が消費や投資ではなく不動産市場に集まり、住宅価格や家賃の上昇につながりかねない」と悲観的だ。為替も円安ウォン高基調に大きな変化は出ていない。

前出の勝又氏は「韓国内では当初、アベノミクスよりもクネノミクスが上という報道もあったが、アベノミクスを認めざるを得ないところまで追い込まれた。中国に気兼ねしてTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)参加の意思表示が遅れたという外交の失敗も響いている」と語る。

中韓両国は経済低迷も運命を共にするのか。
招致した以上、赤字を出しても何があろうと五輪を開催する責任があるはずだが、未だに分散だとか返上とか、さすが韓国、日本人の私と責任に対する認識が違いすぎる。
最終的には韓国も国家の威信をかけ、なんとかケッチャナヨ精神で間に合わせることになると思うが、間に合ったとしても、ケッチャナヨ品質なので、大会は大混乱になるだろう。雪も少なく競技も幾つかキャンセルとなるようなオリンピック史上最低の大会として世界中の人達に記憶されるのではないだろうか?

いずれにしても、日本や米国は平昌冬季五輪が開催が出来ないと韓国が窮地になったとしても、技術援助はしても分散開催などで助けることはないであろう。この平昌冬季五輪の結末どうなることか?今後の推移が楽しみだ。