アメリカ国防安全保障協力局(DSCA)は、2015年5月12日、国務省が日本へUGM-84LハープーンBlock IIミサイルと関連機器、部品、サポートなどを、対外有償軍事援助(FMS)で輸出することを承認したため、この輸出案を議会へ報告しました。

日本政府はUGM-84LハープーンBlock IIミサイル48基とコンテナ、部品、支援機器、技術資料、訓練、各種サポートなどを求めています。推定コストは1.99億ドルと見積もられています。

UGM-84Lは潜水艦発射の長射程対艦ミサイルで、これを装備することにより海上自衛隊とアメリカ軍の相互運用性が高まり、自衛能力も向上するとしています。DSCAは輸出がアメリカの国益と一致し地域の軍事バランスを変えないと評価しています。 UGM-84Lの主契約社はミズーリ州セントルイスのボーイングです。
ニュースURL:
DSCA - Japan – UGM-84L Harpoon Block II Missiles
わたしは、お恥ずかしながらこのニュースの重要性に気がつくのに1ヶ月かかった。
海上自衛隊の潜水艦はUGM-84C Harpoon Block I を採用していて、そのアップグレード判を採用したにすぎないと思っていた。
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wikiや他の軍事ブログにはUGM-84D Harpoonの射程は140 km (75 nmi) 
UGM-84L Harpoon Block II の射程は124 km (67 nmi)以上とのみ書かれていた。
1996年、マクダネル・ダグラス社は、次世代のハープーン2000計画を公表し、これは後にブロックIIとなった。これは中間誘導にGPSを併用するとともに弾頭を大型化して、沿海域での戦闘への適合化を進めたものである。またブロック1Dほどではないが射程も延伸されている。

マグダネル・ダグラスのプライベート・ベンチャー「ハープーン2000」として開発開始。沿岸部での目標攻撃能力を向上させたタイプ。中間誘導にGPSを併用、艦艇だけでなく地上目標の攻撃も可能となる。

と書いてっあり読んだ記憶があったのだが、このことと、 「アメリカ政府、日本へ潜水艦発射型ハープーンの輸出を承認」のニュースが直ぐに繋がらなかった。

ちょうど、2015-05-31 05:18 にアップされた余命3年ブログに書かれていた
核武装トマホーク が妄想話か、あり得る極秘話か吟味して当ブログにアップしようと資料を物色していた。資料を物色しているうちに「UGM-84L Harpoon Block II」がただの対艦ミサイルではなく、日本が策源地攻撃能力を持つことになった事実にようやく気がついたのだ。日本語版には沿岸攻撃能力についてほとんど言及していないにも関わらず英語でUGM-84Lで検索すると、軽く言及しているサイトを検索することができる。

英語版のwiki Harpoon (missile) 
Block II missile provides the Harpoon with a littoral-water anti-ship capability.
沿岸攻撃能力があると書いてあり、
The Harpoon is capable of executing both land-strike and anti-ship missions. To strike targets on land and ships in port, the missile uses GPS-aided inertial navigation to hit a designated target aimpoint. The 500-pound blast warhead delivers lethal firepower against a wide variety of land-based targets, including coastal defense sites, surface-to-air missile sites, exposed aircraft, port/industrial facilities and ships in port. For conventional anti-ship missions, such as open ocean or near-land, the GPS/INS improves midcourse guidance to the target area. The accurate navigation solution allows users to discriminate target ships from islands or other nearby land masses or ships
ハープーンは対地攻撃や対艦任務の両方を実行することが可能です。港湾基地や艦船を攻撃できるように、ミサイルは、指定された目標照準点をヒットするGPS支援慣性航法を使用しています。500ポンド(227kg)の弾頭は、軍港の沿岸防衛サイト、地対空ミサイルサイト、地上の航空機、艦船/港湾設備などの沿岸地域を攻撃する多様性を有している。このような外洋や沿岸地域と従来の対艦任務については、GPS / INSによって、中間誘導が改善され、正確な攻撃能力を有する。ユーザーが島や他の近くの陸地や船から目標船を識別することが可能となります。

そして射程についてだが、UGM-84L Harpoon Block IIについて詳しく公表されていないが
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射程が280Kmにも達すると書いてある。
英文wikiではBlock II'sの70 nmi (81 mi; 130 km) からHarpoon Next Generationの射程が 130 nmi (150 mi; 240 km), になるとも書いてあり、正確なところは不明なのだがDesignation-Systems.netでもAGM-84H / Kの射程が280 km (150 nm)と書いてありareamilitarの280Kmを裏付けている。
更に日本語wikiではブロック1Dほどではないが射程も延伸されていると書いてある。GPS / INSによって、中間誘導が改善されているから十分にあありえる。ちなみにブロック1Dの射程は315 km (170 nmi)と書いてあることからUGM-84L Harpoon Block IIの射程は280 km (150 nm)である可能性が高い。

射程が280kmであるならば、トマホークの1200Km~3000Kmには及ばないもののUGM-84L Harpoon Block IIは十分に策源地攻撃能力がある。



(略)

日中戦争どころか、まともに米中戦争が勃発しそうな中で、そろそろいいかなということで核武装について取り上げる。先般、米国において、かねてから論議されていた日本の核武装についてトマホークの売却が承認されたという。面倒だからソースも何も、妄想と思っていただければいい。これは近いうちに公表されるだろうが、この関連はまったく日本でも米国でも報道されていない。

ラストに参照として、2007年の極秘メッセージを添付しておいたが、その中の以下の項目はまさに潜水艦搭載核弾頭型トマホーク巡航ミサイルを想定している。

....米国は直接の脅威となりうる原潜と大陸間弾道弾は認めないがそれ以外は注文をつけない。日本の国内事情が許せば、中国に対する抑止力の範囲で核弾頭を売却してもよい。
....4000トンクラスの日本潜水艦の核弾頭搭載能力は6~8基程度となるが、これならそうりゅう型が5,6隻で目標を達成できる。
....潜水艦の核弾頭型トマホーク巡航ミサイル。


このメッセージは共和党ブッシュ政権末期の一方的なものであった。その後、日米ともに政権交代があったことから表だって話題になることもなく、米国のアジア戦略を大きく変更する提案が静かに実行されてきたのである。日本における民主党政権のもと、防衛指針の見直しに手をつけているだけに、この流れは今もって理解ができない。おそらくは、このメッセージを知らなかったのは当然として、国家戦略、防衛というものをわかっている人材が民主党政権には皆無であったということだろう。

このメッセージがでた背景については、過去ログで再三にわたり詳述しているが、韓国の裏切りが暗号のダダ漏れからということがあって、米国も政権の一部の者しか把握していなかったようだ。従って以下に記述する2つの報告書は、その事実を知っている者と、知らない者の差がはっきりと見えて面白い。

知っていると強い。知らないと恐ろしいだけでなく、とんでもない恥をかく。
資料中にある「米国の研究者の警告」とか、「米国科学者連合(FAS)」のハンス・クリステンセンによると、日本は、トルコや一部の東欧の国とともに、米国に対して大幅核削減をしないようにと訴えているということです」なんて話や「二つの報告書と核トマホークの配備を要求する日本の立場」なんてテーマはまさに無知をさらけ出している。

2年も前に米国自らトマホークの売却を提案しているのである。そして実用に際しては、これだけのトン数と設備という具体的な数字まであげているのだ。(これもちろん極秘)この結果が4000トンをこえる潜水艦であり、駆逐艦、護衛艦の大型化だ。
実態を注意深く見ていれば、どうもおかしい、裏に何かありそうだと思うのが研究者であって、実態がおかしい、あわないのを「奇妙な論理」でかたづけてしまうのはただの馬鹿ですな。
以上を頭に入れておいて以下をお読みいただきたい。きっと吹き出したくなるだろう。


.....墓場行きを免れるか核トマホーク、日本の協力で?
ほとんど廃棄の決まっている核弾頭型巡航ミサイル「トマホーク」を復活させようと言う米国内の動きの原動力に日本核政策がなろうとしていると米国の研究者が警告しています。これらのミサイルは、1991年9月27日にブッシ(父)大統領が、水上艦船及び攻撃原潜から核兵器を撤退すると宣言したため、翌年以来、原潜には搭載されず、陸上で保管されているものです。(ブッシュ演説抜粋)


米国の核政策に詳しい「米国科学者連合(FAS)」のハンス・クリステンセンによると、日本は、トルコや一部の東欧の国とともに、米国に対して大幅核削減をしないようにと訴えているということです。中でも問題なのが、半ば墓場行きが確定している核トマホークの配備要求です。

1.二つの報告書と核トマホークの配備を要求する日本の立場
2.東京フォーラムの結論に反する日本の行動
3.二つの報告書の背景
1.「米国戦略態勢議会委員会」最終報告書(2009年5月)
5.「国防長官タスク・フォース」最終報告書(2008年12月)
6.神保謙慶応義塾大学准教授の説明する日本の提案
7.対話で不必要なシステムの維持?
8.唯一の被爆国日本は何を主張してきたのか
9.参考

二つの報告書と核トマホークの配備を要求する日本の立場
クリステンセンは、核情報へのメールで次のように述べています。
「国防長官タスク・フォース」(2008年12月最終報告)や「米国戦略態勢議会委員会」(2009年5月最終報告書)に対して日本政府関係者が行ったとされる不確かな発言が、ここワシントンでは、オバマ政権の核軍縮のアジェンダを阻止し、不必要な核兵器(つまり核弾頭型潜水艦発射巡航ミサイル)の維持の必要性を主張するために使われている。
潜水艦発射巡航核ミサイルは、戦術核が世界中に配備されていた時代の冷戦型兵器だ。基本抑止には必要のないもので、米軍は、長年これを廃棄しようとしてきている。世界中における巡航ミサイルの拡散ペースを考えれば、米ロ両国にとって核巡航ミサイルを全面的に廃棄した方が得策だ。


東京フォーラムの結論に反する日本の行動
日本が主導した「核不拡散・核軍縮に関する東京フォーラム」報告書(1999年7月)は、戦術核の削減・廃棄を訴えていました。(東京フォーラム報告書抜粋)
米ロにより91年10月に発表され、92年1月に確認された一方的かつ相互的な戦術核の削減政策は、透明性を保ちつつ、逆戻りしないよう実施されなければならない。・・・
東京フォーラムは、戦術核の削減・廃棄は戦略核と並行して進められることが可能だし、それを確保すべく緊急の措置がとられるべきであると信じる。
この東京フォーラムの結論にも関わらず、日本は今、放棄され忘れ去られようとしていた核トマホークの復活を要求し、戦術核全廃への動き、つまりは核兵器廃絶への動きを阻止しようとしているということです。

二つの報告書の背景
委員長の名を取ってシュレシンジャー・タスク・フォースとも呼ばれる「国防長官タスク・フォース」は、核兵器の管理態勢の改善のために設置されたものですが、その最終報告書は、本題から外れ、核抑止力の維持を主張する内容となっています。「米国戦略態勢議会委員会」の方は、米議会が、2008年度国防歳出権限法の一部として、国防省に2009年中の「核態勢の見直し(NPR)」を義務付けた際に、設置を決めたものです。「核態勢の見直し」の参考にする報告書を提出するのが目的でした。しかし、この超党派の委員会の最終報告書も変革を訴えるものとはなっていません。
これら二つの報告書過程で日本政府が核兵器の大幅削減に抵抗を示したというのです。
「米国戦略態勢議会委員会」最終報告書(2009年5月)
(英文pdf)(委員長:ウィリアム・ペリー元国防長官。副委員長:ジェイムズ・シュレシンジャー元国防長官)

議会委員会の最終報告書は次のように述べています。
アジアでは、拡大抑止は幾つかのロサンジェルス級攻撃潜水艦の巡航核ミサイルの配備によるところが大きい。トマホーク陸地攻撃ミサイル/核(TLAM/N)である。この能力は、これを維持する措置が講じられなければ2013年に退役となる。アジアにおける米国の同盟国は、[NATO諸国と]同じようには核計画策定に組み込まれておらず、運搬手段システムへのコミットメントをするように求められてはいない。我々の作業の中で、アジアの幾つかの米国の同盟国の一部は巡航核ミサイルが退役について非常に憂慮するだろうということが明らかになった。


訳注:NATO諸国はNATOとしての核戦略を決める過程に関わっており、一部の国では核戦争となれば米国の核爆弾をその航空機に搭載して核爆撃を行う体制をとっている。

前述のように、実際は、核トマホークは、1992年以来、海に出たことはありません。これらの戦術核兵器は、ワシントン州バンゴール及びジョージア州キングズ・ベイの戦略兵器施設に一部の戦略核兵器とともに保管されています。クリステンセンらによると、核トマホークは、約100発が使える状態に保たれ、200発が中の爆発威力増強(ブースト)用ガスを抜いた非活性貯蔵状態にあると見られています。寿命が2013年までとされており、延命措置も、後継兵器製造計画もありません。日本に対する拡大抑止がこれらの半死状態の300発の核兵器の配備によるところが大きいというのでは、日本に対する拡大抑止などそもそも、なかったというに等しいでしょう。
報告書は、この奇妙な論理に基づき、こう勧告しています。

勧告:
4.米国は、非戦略核兵器の発射(delivery)のための能力を維持すべきであり、ヨーロッパ及びアジアの同盟国と密接な協議をしながらそれを進めるべきである。

TLAM-Nの延命策を、というわけです。そして、それは、日本がそう主張しているからだと臭わせます。
(略)
.....過去ログから

「我々は日本側が一切の記録を残さないことを前提に提案を行う。米国は韓国に対し、過去、現在、将来の各種分析を行った結果、同盟国としては不適格との結論に達した。

よって経済的には、スワップの延長停止をはじめとして積極的に関わる援助等は行わないことを決めた。軍事に関しては、最先端軍事技術の供与停止をはじめとして、軍事訓練等もそれを考慮して対応する。来る2012年米韓指揮権委譲後は速やかに在韓米軍の撤退をすすめ、統合司令部だけを残す予定である。

その後の北朝鮮侵攻のような事態については、朝鮮戦争勃発当時とは大きく周辺国の状況が変化しているので、韓国の国防力と中国非参戦を考慮すれば米国や日本が巻き込まれることはないと判断している。


原則、米国は介入しない方針だ。韓国との原子力協定改定を認めることはない。陰で核開発を進める国に核開発のお墨付きを与えるようなもので論外である。

米中ともに朝鮮半島非核化を望んでいる。このままの中途半端な米韓同盟は北朝鮮の核武装を進め、それはIAEA脱退による韓国の核武装と必然的に日本の核武装につながる。米国が半島から手を引いて日本とともに第一列島線防衛に専念することは両国にとっても多くのメリットがあると考える。

半島は中国の影響を受け韓国は半属国となるであろうが、即、侵攻、占領のパターンは考えにくい。韓国が国として存在するならば中国は北朝鮮と韓国に自国の安全保障上絶対核を持たせないから半島は非核化されるであろう。

ついては事実上、敵となる韓国と直接向き合い対峙することとなる日本に対し、米国は以下の対応をとる。

まず日米安保の密接強化。軍事共同訓練の強化。日本の防衛力強化への協力。
また戦後の軍事産業にかかる制限や規制を原則解除、容認、黙認することとする。

米国は直接の脅威となりうる原潜と大陸間弾道弾は認めないがそれ以外は注文をつけない。

日本の国内事情が許せば、中国に対する抑止力の範囲で核弾頭を売却してもよい。

日本が軍備増強し、中国に対する核抑止力を持つことはアジアの平和、世界の平和につながると我々は確信している。日本はこの提案を踏まえて適切な対応をとられたく思う」
日本が核武装トマホーク巡航ミサイルを入手すると衝撃告白… 余命3年時事日記! と アメリカ政府、日本へ潜水艦発射型ハープーンの輸出を承認が水面下で繋がったのである。トマホークの導入は石破茂元防衛大臣が防衛大臣時代言及しているし、水面下で米国より日本の核武装容認との噂話が度々出る。

米国は日本の策源地攻撃能力を求め始めたのである。
下手をすると日本の核武装すら求めている可能性がある。
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軍事研究 2013年8月号に北朝鮮に対する敵基地攻撃能力について詳細に論じている記事があるが、UGM-84L Harpoon Block IIについてはまったく言及していない。

BMDシステムを有効に機能させる補完能力
航空機搭載巡航ミサイルにの開発能力も保有

日本が持つべき敵基地攻撃能力!

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防衛大綱の見直しと次期中期防策定を控えて、敵基地攻撃能力をめぐる議論が活発化しているが検討に際して憲法上の制約や=防衛政策等を無視した議論ぱ現実的ではない。わが国が現時点で目指すべきは敵基地攻撃能力の保有によって、弾道ミサイル防衛(BMD)システムを抑止力としても機能させることだ。

<元航空自衛隊幹部学校 技術主任研究開発官/1等空佐>
津々谷 格
 【軍事研究 2013年8月号

  1 はじめにイメージ 6
(略)
2 自衛権と敵基地攻撃

(略)

 3 核・弾道ミサイルの脅威下での専守防衛政策の堅持

(略)
4 敵基地攻撃能力の位置付け

(略)

(1)現在のミサイル防衛システムの課題

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防衛省のホームペ~ンによれば、わが国の弾道ミサイル防衛(BMD)システムは、①弾道ミサイルをミッドコース段階で迎撃するイージス艦、②ターミナル段階で迎撃するペトリオットPAC‐3の各武器システム、③弾道ミサイルを探知・追尾するセンサーシステム、④武器システムとセンサーシステムを効果的に連携させて組織的に弾道ミサイルに対処するための指揮統制・戦闘管理・通信システムにより構成されている。弾道ミサイルの発射形態に応じて破壊措置命令あるいは防衛出動命令の下、飛来する弾道ミサイルを、ミッドコース段階で探知し、ターミナルコース段階までに迎撃することになっている。

この防衛システムは専守防衛政策に合致しているが、当然のことながら、弾道ミサイルが発射された後でなければ、迎撃機能は発揮できない。
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 北朝鮮沿岸とわが国日本海側までの距離は遠い所でも1000km以内である。マッハ二~一〇の高速で飛しょうする弾道ミサイルがわが国に向って飛来した場合の迎撃可能時間は発射後八分程度と言われている。迎撃後の落下物からの地上被害を局限するためには、より遠方での迎撃が望ましく、それを考慮すれば迎撃可能時間は五分程度と見積もられる。

この時間的余裕のない条件下で弾道ミサイル防衛システムが確実に機能するためには、発射地点、ミサイルの種類、発射の兆候等の事前情報が不可欠であり、不意急襲的あるいは同時多発的な発射に対しでは、機能発抑か不完全になる恐れがある。

(2)プレランチ段階での敵基地攻撃

どのような状況にも対応できる弾道ミサイル防衛システムを整備するためには、警戒管制レーダーFPS‐5、イージス艦(SM‐3)、

PAC-3の配備数の増加、あるいは米国が開発したTHAAD(終末高高度防空システム)の導入など検討しなければなければならない。

しかし、現行の弾道ミサイル防衛システムは、相手から見れば自らが攻撃を受ける危険がないため、攻撃意思を断念させる抑止力として機能しづらい欠点がかねてから指摘されている。したがって、「弾道ミサイル防衛システム」の補完能力として、発射前(プレランチ段階での敵基地攻撃能力の保有は対処力と抑止力のバランスの取れた防衛システムとすることができ、軍事的にも妥当である。

 5 北朝鮮の弾道ミサイルの脅威

(略)




 6 敵基地攻撃の軍事的効果と実現性

弾道ミサイルに対する航空攻撃の効果については、湾岸戦争やイラク戦争での米軍が行った作戦が戦例として参考になる。

(1)湾岸戦争における「スカッドハント」作戦 

平成三(一九九一)年の湾岸戦争は米国を中心とした多国籍軍の圧倒的な航空優勢の下で作戦が推移し、約四五日で終結した。この中で、イラクがイスラエルやサウジアラビアに向けて発射した移動式弾道ミサイル「スカッド」は周辺国に大きな脅威を与えた。米国はペトリオット・ミサイルを緊急配備して迎撃態勢を敷くとともに、スカッドの発射基地に対して航空攻撃「スカッドハント」作戦を大規模に実施した。

米国防総省発表の「湾岸戦争の航空戦力調査報告書(一九九三年)」によれば、当時、米国はイラクのスカッドの発射装置を二〇~三〇基と見積もり、開戦日の一月一七以降、二月二八日までに攻撃機だけで約一五〇〇回の出撃を行っている。しかし、この間に約九〇発のスカッドが飛来した。イラクは発射装置を巧みに欺隔し、米軍もタンクローリーなどの車両を目標と誤認したことなどで、「スカッドハント」で破壊されたスカッドの発射装置はさほど多くはなく、成果は限定的であった。ただ、飛来したミサイルのうち約五〇%が作戦開始から10日間に集中しており、継続的なスカッドハント作戦によって、ミサイル発射を封じ込め、組織戦闘能力を大きく低下させる効果が認められた。


(2)イラク戦争における対弾道ミサイル対処

平成一五(二〇〇三)年のイラク戦争では、米軍が推進してきた軍事技術革命RMA(Revolution in Military Affairs)によって、指揮通信システムのネットワーク化、無人機による常時偵察、精密誘導兵器による確実な目標破壊など対地攻撃能力が一段と向上した。それでも、約八〇基と言われた弾道ミサイル発射装置の破壊は、六〇%の約五〇基に止まった。                          
7 敵基地攻撃能力の整備の進め方




 航空攻撃による移動式目標の発見、探知、識別、破壊は予想以上に困難を伴うものであるが、継続的な攻撃によって相手の組織戦闘能力を奪い、弾道ミサイル脅威の低下に寄与する効果が確認できる。しかしながら、米軍の行った航空攻撃作戦は、敵の領土・領空を主戦場とすることから、わが国の防衛政策とは相容れないものである。

したがって、軍事的効果とわが国防衛政策(日米安保、専守防衛)の整合を考える場合、敵基地攻撃能力の整備は、米軍との共同を前提として進めていくことが必要であろう。

日米の任務分担は今後の課題であるが、敵の弾道ミサイル発射を未然に防止するための攻撃に限定した能力を整備することが求められることは間違いないであろう。このような攻撃に使用する有効な打撃兵器として、敵の領空領海の外から攻撃できるスタンドオフ能力を有する巡航ミサイルや、作戦の推移に応じて第二撃以降に使用できる滑空型のSDB(Small Diameter Bonb)がある。

また、このような打警兵器を装備することで、敵基地攻撃能力の整備は完結と受け取られがちであるが、この打撃兵器を適時に正確に目標に誘導するためには、C4ISR(指揮統制、情報通信、監視偵察)に関するインフラ整備がなくてはならない。

 8 欧米の巡航ミサイルとSDB

米国の巡航ミサイルの代表として挙げられるのがトマホーク(RGM/UGM1109E/H)である。水上艦艇からの発射方式と潜水艦からの発射方式があり、水上艦艇の発射ランチャーはMk143ボックスランチャーまたはMk41垂直発射ランチャーである。
潜水艦であれば、魚雷発射管、VLSが使われる。

発射管制と誘導はトマホーク武器管制システム(TWCS)が行っている。トマホークは固体ロケットブースターで発射され、ターボファンエンジンで巡航する。巡航速度は約〇・七~〇・八マッハ、航続距離は約三〇〇〇㎞である。誘導システムは慣性誘導とGPSで複合誘導をさせながら、初中期誘導ではTERCOM(Trerrain Contour Matching)を使用している。これは電波高度計から得た高度
情報を、事前に入力されたレーダー地図と照合しつつ、計画された飛行経路に沿ってミサイルが飛しょうする。

この経路には中継点がいくっか含まれており、その地点に差し掛かると計画に応じて高度と方位を変え、地形を利用して敵からの迎撃や探知を回避しつつ、目標へ飛行する。弾頭には核弾頭と通常弾頭の二種類があるが、通常弾頭の場合は弾頭威力が限られるため、高い命中精度を必要とする。このため終末誘導では、赤外線センサーで地上目標をスキャンしながら、搭載しているデジタル式背景照合装置DSMAC(Digital Scene Matching Area Correlatlon) で事前入力された背景と比較する。

通常型弾頭のトマホークの命中精度は、CEP10mである。また、飛行中に目標変更を可能にするため衛星とのデータリンクも搭載されている。
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航空機搭載型では米国のJASSM(Joint Air to Surface Standoff Missile)がある。搭載母機はB-1、B‐2、B‐52、F‐16、F-15E, F/A‐18であり、今後、F‐35への搭載も計画されている。対ECMにも優れたGPS誘導と赤外線シーガーにより精密な対地攻撃が可能である。エンジンはターボジェットで巡航速度は約〇・七~〇・八マッハ。航続距離は通常型で約四〇〇km、射程延伸型で約一〇〇〇kmである。

欧州の代表としてストームシャドー(SCALP‐EG)がある。これは、空中発射型で、搭載母機はミラージュ、トーネードであり、フランス、イギリス、イタリア、ギリシヤ等が導入している。また、今後F35への搭載も計画されている。エンジンはターボジェット、射程は二五〇km、誘導はINSとGPSの組み合わせに、地形照合航法TRN(TerrainReference Navigattion)を採用している。弾頭は通常の子弾と貫徹弾頭の二種類がある。
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もうひとつ、ドイツ、スウェーデンで共同開発された空中発射型の巡航ミサイルとしてタウラス(KEPD350)がある。搭載母機はグリベン、トーネード、タイフーン、F/A‐18。射程は約五〇〇にm。エンジンはターボファン。巡航速度は〇・八~〇・九マッハ。誘導システムはストームシャドー等と同様である。

精密誘導爆弾については、多くの場合、スタンドオフ性に乏しく、わが国が行う敵基地攻撃用として使用可能なものは少ない。しかし最近は小型で命中精度の高いSDB(Small Diameter Bonb)が開発・装備されている。

米国のSDB‐Ⅰ(GBU‐39/B、40/B)は、投下後に展開翼で固定目標まで滑空し、INSとGPSの複合誘導で突入・破壊する。

CEPは五~八m。最大射程は約一〇〇km。搭載母機はF35、F22、F‐15、F‐16、B‐1、MQ‐9等多様である。また、SDBはノンリーサル性を確保するため高密度不活性金属爆薬(DIME)を使用している。

SDB‐Ⅰの能力向上型として、現在、米国が開発しているものにSDB‐Ⅱがある。これは、SDB‐Ⅰが固定目標用であったものを移動目標にも対応するため、三種類のシーガー(セミアクティブ、赤外線、ミリ波)とデータリンクで柔軟な運用が可能となっている。

余談ではあるが、韓国は北朝鮮の軍事的脅威に対応するため、今年二月、艦上発射型および潜水艦発射型の国産巡航ミサイル「玄武3C」を開発・配備したと報じた。射程は約一五〇〇kmを有しており、北朝鮮の全域を射程におさめる。
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 9 わが国の巡航ミサイル開発能力

わが国は巡航ミサイルを開発した実績はない。しかし、前述した欧米の巡航ミサイルの適用技術を概観すれば、赤外線目標探知センサー技術、地形を照合するTERCOM(目標照合)あるいは背景照合するDSMA(背景照合)技術、INSとGPSの複合航法技術、ジェットエンジン推進技術が採用されている。これらの技術の中には、わが国がこれまでに開発・装備した空対艦ミサイル(ASM)および地対地(艦)ミサイル(SSM)あるいは研究用の小型無人機にも共通の技術が見受けられる。


目標探知センサーについては、ASM、SSMに限らず、空対空ミサイル(AAM)、地対空ミサイル(SAM)、対戦車ミサイル(ATM)の開発において、電波、赤外線、光波、ミリ波等各種波長城を使った高性能なセンサーを開発してきた。また、低高度飛行、地形回避、通過点指定機能などはASM、SSMで採用されている。
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さらに、改良型のASM‐2Bでは慣性航法装置とGPSとの複合航法が達成されている。推進装置のターボジェットについてはASM‐2、SSMや多用途小型無人機に適用されている。

現在、防衛省が開発中の新型の空対艦ミサイルXASM‐3は、ASM‐1、ASM‐2の開発技術を発展させているほか、エンジンには実用品としてはわが国初の液体ラムジェットを使用し、低高度、超音速巡航を可能にしている。ただし、数百km以上を低高度で巡航飛行する巡航ミサイルの推進装置はジェットエンジンが使用されている。

これは、比推力(燃料効率を示す尺度。単位重量の推進剤で単位推力を維持できる秒数)で比較した場合、ラムジェットや固体ロケットに比べてジェットエンジンが数倍優れているからである。

巡航ミサイル固有の技術としては、TERCOM、DSMACがある。この技術はミサイルの国内開発では経験していないが、アビオニクス分野の戦闘機用FLIR、IRSTの開発において関連技術を修得しでいる。

このような点からわが国のミサイル、無人機、戦闘機アビオニクスに関する研究・開発実績を推測して、巡航ミサイルの開発技術力は十分に有していると言える。ただし、いくっかの課題もある。

①巡航ミサイル固有の目標照合技術は、照合する背景が昼間、夜間あるいは雲、雨、霧等様々な気象条件下であること、目標の認識パターン、識別技術にも経験的ノウハウが必要と思われ、照合ソフトウェアの開発と検証には時間とコストが必要である。

②艦艇から発射する場合は、トマホークは垂直発射のボックスランチャー(Mk41)を使用している。Mk41はミサイルの噴煙からランチャー、ミサイルを防護する高温対策に工夫が施されていると聞いているが、艦載型の垂直ランチャーの開発は未経験である。

③空中発射の場合は、必要とする射程が長くなれば、燃料搭載量が増加し、ミサイルは大型化する。航空機に搭載可能なスペースや重量には制約があるため、搭載機器の小型、軽量化が求められる。

 10 敵基地攻撃能力の整備の検討

(1)巡航ミサイルとSDB

巡航ミサイルの整備に当たっては、導入または開発の選択肢があるが、現状の弾道ミサイル防衛システムの中にイージス艦があること、イージス艦には垂直発射型ランチャー(Mk41)が搭載されていることから、イージス艦に配備する場合は米国製のトマホークの導入が現実的であろう。ただし、トマホークの運用に当たってはTWCSを新たに装備する必要があること、Mk41で現在運用されているSM‐3との混載および同時運用が可能かどうかについては検討が必要である。

空中発射型については米国のJASSM、欧州のストームシャドーとタウラスがあるが、射程的にはストームシャドーはやや劣る。また、空自機に直ちに搭載可能なものはない。

国内開発することは基本的には可能であるが、TERCOM(目標照合)とDSMAC(背景照合)技術の開発および性能の評価方法、試験場所の確保等クリアしなければならない課題もあり、装備時期、コスト等を見極める必要がある。地上発射型の巡航ミサイルについては、空中発射型以上に射程を必要とすることから、大容量の燃料を搭載しなければならず、ミサイル規模として得策ではない。

SDBについては、第一撃で使用されることはないが、航空優勢確保後の第二撃、第三撃での運用が可能であり、かつ島嶼防衛にも有効な兵器である。

(2)関連機能

前述したが、現代の航空打撃作戦では巡航ミサイル等打撃兵器を適時に正確に目標に命中させ、作戦目的を達成させるためには、C4ISRとしての目標情報収集機能、指揮通信ネットワーク機能、目標探知・追随機能がなくてはならない。

◎目標情報収集機能

目標の位置、目標数、種類(弾道ミサイルの型)、区分(固定、移動)、発射の兆候といった情報を、常続的に収集し、攻撃の時期、規模、運用要領など作戦計画に反映するとともにい現在の弾道ミサイル防衛システムのレディネスを可動状態に維持しなければならない。

目標情報収集機能について、わが国の情報収集衛星は平成二五年一月に四機体制の整備が完成した。一日最低一回、地球上のすべての地上情報(固定目標)を解像度約一mで把握できるようになったが、車両等時間的に移動する目標の動静把握には向かない。

移動目標あるいは発射兆候については、常続的な偵察活動が不可欠であり、米軍は早期警戒衛星、高高度有人偵察機U‐2のほか、無人機のMQ‐4(グローバルホーク)、MQ‐1(プレデター)、MQ‐9(リーバー)を運用している。

弾道ミサイルの発射兆候等の情報については、米国に依存しているのが現状である。情報収集機能については弾道ミサイル防衛に限らず、わが国の防衛全般に関わる基幹機能であり、米国依存ではなく、計画的な国内整備の推進が必要であろう。わが国の衛星開発技術、偵察センサー開発技術などは高い水準にあり、国内開発が十分可能である。

無人機の戦場投入によって、有人偵察の時代ではないとの意見もあるが、敵基地攻撃では目標誤認は作戦上大きな支障となることから、有人偵察機の有用性について再検討が必要であろう。現に、米軍はU‐2の偵察器材を更新して運用を継続している。最新の偵察器材と自己防御機能を装備すれば、有人による偵察任務が可能な場面も見出せるであろう。

◎指揮通信ネットワーク機能

収集された目標情報を迅速に司令部等に伝達し、的確かっ柔軟に作戦に反映させるためには、情報収集する各種センサーと司令部、作戦機、支援機、イ九ンス艦等がネットワーク化されている必要がある。特に湾岸戦争以降の米軍のRMAはこのネットワーク技術によって大きく前進したと言っても過言ではない。すでに、米軍では、作戦に役人される衛星、無人機、攻撃機、作戦支援機、AWACS、司令部等の間がJTIDS(Joint Tactical Information  Distribution System)等のデータリンクでネットワーク化され、作戦に関わる司令部から前線部隊まで全てで作戦情報の共有化が図られている。

わが国においても、防衛省統幕による陸・海・空白の統合運用が大きく進展している。指揮通信ネットワークは防衛情報通信基盤(DII)の元に中央指揮システム(CCS)が構築され、陸自は陸幕システムや新野外通信システム等を、海自は海上作戦部隊指揮管制システム(MOF)等を、空白は自動警戒管制システム (JADGE)等を整備した。

また、戦闘機の組織戦闘能力を向上させるためのデータリンクJDCSを開発中であり、確実な装備が求められる。

平成二四(二〇一二)年三月、空白の航空総隊司令部が横田基地に移転し、在日米車司令部と共同調整所において情性共有が図れる体制ができ上がった。これにより、指抑通信ネットワーク面での日米共有が大きく進み、同年四月と一二月の北朝鮮の弾道ミサイルの発射に際しても、この共同調整所が大きな役割を果たした。

また、サイバー攻撃に対する脆弱性を露呈すれば、情報通信ネットワークは機能不全に陥る恐れもあり、サイバー攻撃への対処が重要となっている。防衛省がサイバー防衛隊の創設に向けて準備を開始したことは意義深い。

◎目標探知・追随機能

幟闘機等からSDB等を使用しか攻撃を行う場合、任務達成度の向上および誤爆回避の必要から、目標探知・追随装置を使用して、目標を正確に攻撃する運用が求められる。

そのため、赤外線探知とレーザー誘導を組み合わせた目標探知・追随装置(ターゲティングーポッド)を開発し、運用されている。
米国製にSNIPER、ATFLIR、仏国製にDAMOCLESなどがある。また、F-35には内装型のターゲティングーポッドEOTS(Electro-Optical Targeting System)が標準装備されている。

国内では戦闘機用のFLIR、IRSTを開発した経験があり、これを発展させればターゲティングポッド開発装備は可能であろう。

将来、国産戦闘機が開発される際には、このような関連装備を後から開発するのではなく、同時開発あるいは先行開発が望ましい。

(3)その他

◎無人機の運用研究  

米国では有人機のパイロットより無人機のパイロット数が多くなったと言われるほど、無人機を偵察、指揮通年不ットワーク、攻撃分野に取り込んでおり、米国の航空作戦では無人機を抜きにはシステムが成yしないと言っても過言ではない。弾道ミサイル防衛システムの運用においても、無人機が情報収集任務に就いている。中国でも無人機の開発が活発になっている。

わが国は無人機の開発技術を保有しているが、装備化に当たっては法的な問題および民間航空路の錯綜、飛行場の官民共用など課題があり、検討が進まないうちに日米の運用格差が進んでしまった。しかしながら、日米共同あるいは将来の航空作戦にとって無人機運用は不可欠であり、研究を進める必要である。

◎航空作戦支援態勢の保持

イージス艦あるいは戦闘機から敵基地攻撃をする場合、それを阻止しようとする敵戦闘機、艦艇からの攻撃を受けることが予想される。そのため、イージス艦や戦闘機を防衛する航空作戦支援態勢が必要となる。作戦支援については、これまで航空防衛の範躊で実施してきた防空作戦、近接航空支援としても捉えることができる。したがって、戦闘機、空中給油機、AWACSを中心とし、ネットワーク、ミサイル戦、電子戦等の機能・能力を引き続き向上していく必要がある。

ただし、作戦の推移や日米任務分担によっては敵の防空システムの中での作戦も考慮する必要があり、電子戦機能の一環としてのエスコートECM機能や敵の防空システムを抑圧するSEAD(Suppression of Enemy Air Defense)機能についての整備が必要である。また、作戦地域が沿岸から遠方になることが
予想されることから、航空事故時の航空救難態勢については海自との連携などの検討が必要である。

 11 まとめ

敵基地攻撃能力の整備について、憲法、防衛政策、日米安保の観点に立って考察してみた。その整備については打撃兵器に目が行き勝ちであるが、実はそれを支える指揮通信、監視偵察等のC41SRなどのインフラが極めて重要であり、それらの整備に技術、時間、コストが必要となることを忘れてはならない。
その意味では、攻撃兵器は最後の整備項目なのかもしれない。

いずれにせよ、防衛大綱等の策定過程で「敵基地攻撃能力の整備」に関する議論がなされ、機能バランスの取れた弾道ミサイル防衛力に進むことを期待する。

元航空自衛隊幹部学校 技術主任研究開発官/1等空佐の肩書を持つ人間が、知らないわけがない。

意図的にUGM-84L Harpoon Block IIについて言及していないのだと思う。
百歩譲って潜水艦発射UGM-84L Harpoon Block IIは海上自衛隊の範疇であったとしても、航空機発射AGM-84L Harpoon Block IIと中身はほとんど一緒であり開発は2002年にされている。津々谷氏が2002年より前に退官していたならば致し方が無いが、意図的に言及していないと考えるのが自然だ。

おそらく、UGM-84L Harpoon Block IIの目標は、尖閣諸島を脅かす中国新空軍基地「水門」や温州に作られる海警/海軍基地ではないだろうか?
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