5日は、ギリシャで欧州連合(EU)が求める緊縮財政受け入れの可否を問う国民投票が行われる。EUは民主主義による選択を尊重し、解決に本腰を入れると期待できる。対照的に、中国の先行きはもっと不透明だ。党の手でバブル化させた巨大な株式市場を制御できない。市場危機の世界への衝撃はギリシャ以上に深く、長引くだろう。
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ハンマーと鎌は中国共産党の記章、そのハンマーが株価を打ち砕き、鎌が人民の肉をそぐ。先週、中国語のウェブサイトに流れた風刺画は言い得て妙だった。

2008年9月のリーマン・ショック後、党中央は中国人民銀行が創出する資金を不動産開発に振り向け、不動産ブームを演出した。ところが、習近平氏が党トップの座についた12年秋から相場が下落し始めた。公式発表の国内総生産(GDP)実質伸び率は前年比7%前後の水準で推移するが、代表的な物流指標、鉄道貨物輸送量は昨年から下落し続けている。モノは動かない。

カネはどうか。中国の現預金総額は14年末約2400兆円で、米国の1・7倍、日本の2・7倍に上る。東京銀座など海外にとっては「爆買い」さまさまだが、本国でカネが回らない。そこで習近平政権は株価を引き上げ、個人投資家のカネを引きつける策に転じた。人民銀行は株価上昇を公言して利下げし、人民日報など党直属メディアが株価上昇をはやし立てる。

原動力は投資家が借金して株を買う「信用取引」である。利下げのたびに株の信用買いが飛躍し、株価が連動する。国有企業が圧倒的に多い中国の上場企業が発行した株式の大半は市場で売買されない。流通株の時価総額に対する信用買い比率は15%以上に上り、日本のバブル期の数倍以上だ。

党が支配する企業も信用取引拡大と並行して、新規上場や増資などを通じて株式市場から資金調達する。株式市場はまさに党の利益のためにある。経済実体から大きくかけ離れた株価はバブルである。皮肉なことに党が呼び込んだ外資が崩壊の引き金を引いた。

習政権はアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立に続いて、人民元を国際通貨基金(IMF)の仮想通貨「SDR(特別引き出し権)」の構成通貨組み込みを狙う。元がドル、ユーロ、円、英ポンドと同じ国際準備通貨となると、元での貿易や投融資が世界で受け入れられやすくなり、対外的影響力がぐっと増す。AIIBもドルに頼らなくても済む。

IMFで拒否権を持つ米国の要求は金融市場の対外開放だ。中国は基本的に本土市場への外国人投資を禁止してきた。北京は渋った揚げ句、昨年11月に香港経由に限って上海市場への外国人投資を解禁した。外国投資家は値上がり益を稼いだ後、6月上旬に上海から一斉に資金を引き揚げた。

株価が急落すると、信用買いの投資家は借金返済のために担保の株の投げ売りに追い込まれ、株価が暴落する。党中央はあわてて、追加利下げし、信用取引制限を緩和した。4日には証券業界が市場安定化基金設置を決め、人民銀行が基金に資金供給する。仮に下げ止まったとしても、バブルを温存させるのだから、次の暴落エネルギーがたまる。

株暴落は党指令型経済の限界そのものだ。党による市場コントロールが続く限り、危機の収拾は困難に見える。世界最大の貿易国でのバブル崩壊、次もバブルという循環は国際経済を脅かし続ける。国際社会はギリシャばかりに目を向けず、習政権に対し、近い将来の人民元の変動相場制移行を含む抜本的な金融の自由化と改革を迫るべきだ。(編集委員 田村秀男)
戦後日本が経済復興を果し、繊維産業にはじまり米国においてその個々の産業をを席巻し始め、日米2ヶ国は経済関係において経済摩擦が臨界点を越えた1980年代、アメリカの国家戦略が発動した。
1985年プラザ合意、ドル高を是正する為の円高であったが円だけは円高が止まらず、円高を止めるため金利を引き下げた為に、日本は空前の好景気に沸きバブルが発生した。円高でもなお日本の競争力は保たれていた。米国は円高でも競争力を持つ日本に恐怖覚え、更なる経済的圧力を加えた。1988年のG10(先進10カ国蔵相・中央銀行総裁会議)で、BIS(国際決済銀行)規制の合意である。これは日本の銀行をターゲットにしたもので、アメリカの銀行はクリアしやすく、日本の銀行はクリアすることが難しい。BIS規制は銀行融資で成り立つ日本の不動産価格を破壊した。日本経済はこれによって崩壊が始まった。1989年昭和が終わった年、米ソ冷戦が終了し、米国は日本を第一の経済上の敵性国家とみなし、対日戦略を転換した。そしてバブルが崩壊した。
米国は日本に対し第二の占領政策を始めた。1993年の宮沢・クリントン会談である。この会談で「年次改革要望書」が組み込まれ、日本は徹底的に弱体化してしまったのであった。
米国は軍事的覇権の挑戦者で核兵器を持ったソ連を東西冷戦という経済封鎖で、戦い勝利した。経済的覇権の挑戦者日本をBIS(国際決済銀行)規制と「年次改革要望書」で葬った。基軸通貨に挑戦した、EUをギリシャ問題を引き起こし通貨ユーロを葬り去った。
2008年リーマンショック後中国が能ある鷹は爪を隠す「韜光養晦」政策を止め、米国の覇権に挑戦し始めたことが明らかとなりはじめた。米国がそんな中国をいつまでも野放しにするはずはない。「中国は市場として重要なのだから中国から撤退するはずがない」と中国は傲慢になっていたが、それだけではない。米国は国家戦略として対中国封じ込め政策を開始し始めた。南シナ海での緊張と株価の暴落は無関係ではない。
そもそも、リーマンショック自体米国がその覇権を維持するために金融立国を止め、製造業を復活させる国家の構造改革を引き起こすために起こした自作自演の危機と、Ddogは疑っています。
2008年以後リーマンショックを隠れ蓑として、米国資本の資本の中国撤収が始まった。米グーグルは検閲をめぐって中国政府と対立し、2010年に撤退。2013年米銀大手バンク・オブ・アメリカが中国建設銀行の株式20億株の売却、米ゴールドマン・サックス・グループはは、中国工商銀行の株式を全て売却している。
中国の南シナ海での岩礁埋め立て人工島建設で、米国による中国始末が本格化しはじめたのだと思う。
中国の株式市場開放に乗って香港経由で上海A株の上値を買い上げ、中国人個人投資家に後追いさせるなど株価を煽るだけ煽ったのは米国資本だ。株価がピークを付けた6月初旬、一気に切り崩し逃げ去った。日本経済潰しでも使われた株価を通した経済戦略を発動したのだろう。
株価の高騰と崩壊は米国による対中経済封鎖(Protract & Exhaust)の一端ではないかと思う。

習政権がハマった「信用取引」のワナ 外国人投資家が株価暴落の引き金に 【ロイター】2015.07.03

中国・上海株の下落に歯止めがかかりそうにない。ギリシャのデフォルト(債務不履行)に伴う世界の市場波乱のせいではない。習近平政権が進めてきた株価引き上げ策が今や裏目に出て、株価を押し下げる罠にはまってしまった。罠とは信用取引である。
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7月3日、中国証券監督管理委員会の報道官は、国営の中国証券金融(CSF)が資本を240億元から1000億元(161億2000万ドル)に引き上げることを明らかにした。写真は株価ディスプレーの前を通り過ぎる男性(2015年 ロイター/Aly Song)                                                                                                  
信用取引は、投資家が証券会社からカネを借りて株式投資する。人民銀行が利下げすると、証券会社の資金調達コストと投資家の借り入れコストが下がるので、たちまち信用取引が活発になる。証券会社は投資家への貸し出しによる金利収入が大きな収益源になるので、新規株式公開(IPO)や増資で自己資本を拡充し、貸出余力を大きくしてきた。 上海株式市場での信用取引による買い残高は6月中旬時点で29兆円以上、3兆円弱の東京証券取引所の約10倍である。時価総額では上海は東証よりも2割弱大きい程度だから、上海の信用取引の度合いの大きさは、ず抜けているとみていい。昨年11月初めから今年6月初旬までの間に、上海株価は約2倍、信用取引残高は3倍に膨れ上がった。

グラフは上海株価指数と信用取引による1日当たりの信用買いである。信用買いの膨張とともに株価が大きく上に振れ、縮小とともに下落する連動ぶりがよくわかる。中国人民銀行は昨年11月、今年3月、5月、そして先週末に利下げしたが、そのたびに信用取引がぐんと伸び、株価上昇に弾みがついてきた。

人民銀行の利下げは、信用取引を拡大させて株価を引き上げる。人民銀行は日銀のように政府から独立しているわけではなく、党中央の指令下にあるのだから、習国家主席が株高の号令をかけるだけで株価が上がる仕組みなのだ。

前回の本コラムで触れたが、上海株価暴落の引き金を引いたのは、党中央によるもう一つの株価引き上げ策である。11月の利下げとほぼ同時期に実施した上海と香港の株式の相互取引による上海市場への外国人投資家の呼び込みだ。

香港市場を経由すれば外国人投資家が初めて中国政府の認可なしに上海株に投資できるようにした。ところが、外国投資ファンドは逃げ足が速く、バブルとみるや、いち早く売り逃げて、巨額の売買益を懐にした。

株価の急落が始まると、信用取引が急激に縮小し、株価の崩落が加速する。株価がピークに達した6月12日以来、6月末までに信用買い残高は3兆円近く減った。株価が暴落すると、値上がり益で借金返済する当てが外れた投資家は期限までに証券会社に返せなくなる。証券会社は投資家への貸付資金を銀行から借り入れているので、最終的には銀行の不良債権となる。

銀行は不動産バブル崩壊に伴う地方政府や不動産開発業者向けに巨額の不良債権を潜在的に抱えている。北京はさらに利下げを連発するしか打つ手はないが、バブル延命策に過ぎず、効能はすぐに切れるだろう。 (産経新聞特別記者・田村秀男)
 年初来の急騰も、その後の急落も、今回の株価の激しい値動きは、いずれも市場の約80%を占める個人投資家が“主役”だった。急騰局面は、銀行からの借り入れ資金で株式売買を繰り返す「信用取引」を個人投資家が短期間で膨らませた結果だった。しかも国有企業を思惑買いだけで物色する傾向が強かった。だが、機関投資家が利益確定売りに転じた6月中旬以降、個人投資家に悲観論が走り、売りが売りを呼ぶ展開となった。ネット上では、信用取引の失敗で巨額な損失を出した投資家が自殺したなどとする噂も飛び交い、混乱が広がった。

中国では5年前に信用取引が解禁され、今年5月末で約719万の口座が開設されている。昨年5月には1兆元(約20兆円)足らずだった信用取引の総額が今年5月段階で5兆元と5倍に膨張している。実際の資金の裏打ちのないバブル取引があだになった形だ。経済的な混乱を避けようと、中国当局は6月27日に利下げと預金準備率の引き下げを発表したほか、今月1日には信用取引に関する証券会社への規制を一部緩和するなど、対策を強化した。
社会保障が整備していない中国において個人は銀行預金などで老後に備えるしかないのだが、不動産投資で小金持ちになった中産階級は不動産価格暴落で、個人金融資産を痛めつけられ、残った資産を大挙株式市場に資本を異動した。
この暴落で個人金融資産は相当痛めつけられた。銀行は暴落した不動産や国有企業の債務の山、安全資金であるはずの中国国民の無けなしの銀行預金ですらひょっとすると銀行の金庫には無いかもしれない。
ちなみに中国の預金保険機構が今年の五月一日からが導入された。
破綻の際、最大五十万元(約一千万円)までの預金が保証されることになった。外貨預金も保険の対象となっており、九九・六%の預金がカバーされる。
中国人が国内金融機関に信頼を置かず、海外に金を持ち出すことが増えている状況に対応した措置だ。ただ、預金保険制度の導入は、「中国の銀行は倒産しない」というこれまでの「神話」の否定を意味しており、逆に庶民の国内銀行離れが進んだ。
 保険制度の原資は、各銀行が人民銀行の基金に納める預金保険料で、その額は各行の預金構造やリスク管理状況などをもとに決まる。つまり不良債権を抱える銀行ほど保険料負担が多くなる。このため、不良債権リスクのほか、保険料の支出増でさらに経営環境を悪化させる銀行もあり、預金保険システムそのものの破綻も懸念される。

上海株下支えへ2.4兆円 中国大手証券21社が投信購入
【日経新聞】2015/7/4 16:50






【北京=共同】中国の大手証券会社21社は4日、急落している上海の株式相場を下支えするため、共同で計1200億元(約2兆4千億円)以上の資金を市場に投じると発表した。主要株で構成する上場投資信託(ETF)に少なくとも1200億元を投資する。異例の協調行動で、さらなる相場の下落にブレーキをかける姿勢を鮮明にした。

21社は「株式市場の安定した発展を断固として守る」とする共同声明を発表した。

上海株式市場の代表的な株価指数である総合指数の終値は6月5日に、2008年1月以来の高値となる5000台を記録。12日には5166.35をつけたが、その後は急速な相場上昇に対する警戒感が広がって売りが優勢となり、7月3日までに3割近く下落した。
株式の格言
落ちるナイフは掴むな。

この相場格言は急落時の投資は落ちてくるナイフをつかむようなもので、どんなに魅力的な銘柄でもナイフが床に落ちてから、つまり底を打ったのを確認してから投資すべきという相場格言。株価が下落している最中に「安い、今こそ買わないと考えて買うと、怪我をするという経験論です。

特にリーマンショックの時などは「もう底だろう」と思って数ヶ月下落が続いた。

下手なナンピン、スカンピン
「下手にナンピン買い保有している株価が下がったときに、さらに買い増しをして取得平均価格を下げることをすると、スカンピン(素寒貧)になってしまいます」というそのまんまの格言。


まあ、無理やり買わされる投信のファンドマネージャーは自分の金ではないから株を買うだろう。だが、結局投信の投資家が損を被るだけのこと・・・。

上海株“暴落” 習政権の株価維持策を嘲笑するかのような投げ売り
【ZAKZAK】2015.07.03

中国株暴落が習近平政権を大きく揺さぶっている。上海市場の総合指数は3日午前も一時7%を超す暴落で、高値から約3週間で約3割の下落を記録。中国の主要市場で20社以上が株式の取引を一時停止するという異常事態となった。借金してまで株に投資している個人投資家は大きな損失を抱えているとみられ、株価維持策に失敗している習政権への不満が一段と強まりそうだ。

 前日に終値で4000を下回った上海総合指数はこの日も朝方から売り浴びせられた。総合指数は一時7・15%安い3629台まで下落、6月12日の高値5178からの下落率は約3割に達した。

 ロイターによると、中国の主要市場に上場する20社以上が3日から新株募集や資産再編、事業計画などを発表するまで株式の取引を一時停止すると発表した。

 中国株の決済を行う中国証券登記結算によると、株取引を行っている中国人は急増し、6月に9000万人を突破した。一方、新華社通信によると、中国共産党の2014年末時点の党員数は8779万3000人で、数字の上では共産主義者を上回る資本主義者がいることになる。

 それだけに株価の下落は習政権にとって深刻な事態だ。中国証券監督管理委員会は1日夜、信用取引の規制緩和策を発表。当初は11日以降の予定だったが、大幅に前倒しした。上海証券取引所も同日夜、取引手数料を値下げすると発表したが、こうした株価維持策はほとんど効果を生んでいない。

 不動産市況や実体経済が不振となるなか、数少ない儲けの場となっていた株式市場に、個人投資家は消費者金融で借金してまでも投機に突っ込んできた。

 中国当局は国内メディアに対し、株安に関する報道を規制したとも伝わったが、3日付の日本経済新聞は、インターネット上で「愚かな政府」「株式市場とともに共産党も崩れるのではないか」と習政権を批判する書き込みがあったと報じた。

中国は4兆ドル近い世界最大の外貨準備が頼みの綱だが、その大半は米国債である。これは売るに売れないのだ。

 米国には「国際非常時経済権限法」(IEEPA)という法律がある。米国の安全保障や経済に重大な脅威が発生した場合、外国が保有する米国の資産については、その権利の破棄や無効化など凍結することができる。つまり、有時には中国が持つ米国債も凍結されてしまう。

 そのため中国は南シナ海で最後の一線を越えることができない。もし中国が他国を侵略したり、米国債の大量売却を試みれば、IEEPAが発動され、中国が持つ1兆2732億ドル(約130兆円)もの米国債は紙くずになりかねないのだ。

 このため、中国は密かに米国債の保管場所を分散化し始めているが・・・。
 オバマ大統領は、沖縄・尖閣諸島について、「日米安全保障条約の適用対象」と明言したが、これは尖閣有事がIEEPAの対象となることを示唆したものだ。

チャンコロはヤンキーにはかなわないことにやがて気がつく。