米労働省が4日発表した11月の米雇用統計は、景気動向を敏感に反映する非農業部門の雇用者数が前月比で21万1000人増え、市場予想(20万人程度の増加)を上回った。雇用回復の目安とされる20万人を2カ月連続で超えたことで、米連邦準備理事会(FRB)による月内の利上げ開始の可能性が高まった。米株式相場は、米景気の先行きに対する楽観的な見方が広がったことで大幅に上昇。ただ、欧州中央銀行(ECB)が3日に決めた追加の金融緩和策が市場関係者の期待を満たす内容ではなかったことで、3日の米株式相場は大きく下げており、株式相場は値動きの荒い展開となっている。国内市場関係者の見方を聞いた。

円一段安なら日経平均は来年2万5000円も」
門司総一郎・大和住銀投信投資顧問経済調査部部長

4日に発表された11月の米雇用統計が改善し、米景気の先行きに対する楽観的な見方が改めて広がった。同日の米株式相場は急反発しており、市場では12月利上げが織り込まれた。今後は利上げ開始後のペースや、メキシコやカナダなど米国と地理的に近い国に利上げが波及するかどうかが焦点になる。FRBの利上げペースは四半期に1度、0.25%ずつの上昇と予測する。

今回は米国の景気拡大に伴う利上げのため、日本株にはプラスとみている。現在の為替水準が利上げ開始時点までしか織り込んでいないとすれば、今後125円程度まで円安が進む可能性がある。そうなれば、自動車など輸出株がけん引する形で日本株も上昇するだろう。来年の高値は2万5000円と想定している。

一方、新興国経済など米利上げに伴うマイナスの影響が想定以上に大きく、世界的な景気減速が顕著になった場合は、日本株にも売りが波及することもあり得る。

「不透明感解消で株高基調強める」
田部井美彦・内藤証券投資調査部長

3日までに米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した11月の製造業、非製造業の景況感指数が市場予想を下回っていたことから懸念された米景気の足取りだが、回復が鮮明になった。個人消費を中心に米景気は力強い。さらに雇用情勢の改善が進んだことで消費は今後も堅調に推移するだろう。米連邦公開市場委員会(FOMC)での12月の米利上げ決定はほぼ確実だろう。

米金融政策の先行き不透明感が解消された形で、米株式市場にとっても前向きな材料となる。日本株も前週末に大幅に下げたが、今回の米雇用統計の結果を受け今週以降、買い戻しの動きが強まるだろう。高値警戒感も強いが、米金融政策の先行きの不透明感が後退した結果、日本株は上昇基調を強め、年末にかけて日経平均株価は2万0500円を試す展開になるとみている。

「米利上げ、来年も2~3回との見方なら円125円台も」
村田雅志・ブラウン・ブラザーズ・ハリマン外国為替部通貨ストラテジスト

11月の米雇用統計の強さを材料に、外国為替市場では円売り・ドル買いが進みそうだ。FRBが15~16日に開くFOMCで利上げに踏み切る可能性は高まった。FRBの2016年の利上げが2~3回との見方が広がれば、年内に125円台まで円安・ドル高が進む公算が大きい。

市場関係者の関心は、次のFOMCでの利上げの有無ではなく、利上げ幅とその後の利上げペースに移っている。最初の利上げの幅は0.25%との予想が多い。FOMC後の記者会見でイエレン議長が今後の利上げのペースについてどのように言及するかも注目点だ。

「米利上げペース緩やかなら、国内金利の上昇圧力高まらず」
鈴木誠・岡三証券債券シニア・ストラテジスト

FRBが15~16日のFOMCで利上げを決める可能性が高まった。4日の米国の長期金利は、雇用統計の発表直後に上昇したが、結局は低下した。米国の物価上昇予想は強まっていないため、FRBの利上げペースは緩やかになるとの見方が多いことが金利上昇を抑えた。

市場では政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利は2016年末に1%程度に引き上げられるとの予想が多い。この程度のペースなら、国内金利の上昇圧力は高まらないだろう。日銀の追加緩和期待は残っており、債券需給も引き締まっている。もっとも、0.3%台前半にある現在の長期金利は低く、相場の高値警戒感は根強いため債券買いの余地もあまりない。米利上げの確度は高まったとはいえ、FOMCの結果を待ちたいとの雰囲気もある。目先の債券相場は高値圏でもみ合いとなりそうだ。

〔日経QUICKニュース(NQN) 依田翼、佐々木たくみ、白山雅弘、末藤加恵〕

上の日経紙の記事に出ている市場関係者は私よりちょっと楽観的に思える。私も日経平均は21000~22000円までは十分あると思うが、25000円をトライするのには、それだけの材料があるのか疑問だ。むしろ中国、欧州、新興国などで予想を超えるリスクが生じればあっというまに15000円ぐらいまでは直ぐに落ちてしまう。突発的な事件が起きなかったとしても、消費税の引き上げを延期もしくは中止しない限り2017年景気の後退は避けられず2016年後半相場は厳しくなると思うので難しいと思う。

米労働省が12月4日発表した11月の雇用統計は、非農業部門の就業者数は21万1千人増で、市場予想の20万人を上回った。上方修正された10月の上げ幅(29万8千人)に比べて伸びは鈍化したが、2カ月連続で20万人の大台を超えた。9月の就業者数も上方修正された。失業率は10月と同じ5.0%。市場予想とも一致し、引き続き低水準を維持した。
 労働市場の堅調な改善が示されたことで、米連邦準備制度理事会(FRB)が15、16の両日に開くFOMCで9年半ぶりの利上げが決まる公算が大きくなった。


今年の世界経済は比較的リスクが高くないと思っていた。だが、ギリシャ危機に始まり中国の人民元切り下げや中国の株バブル崩壊、欧州の難民問題、トルコによるロシア機撃墜など2016年は世界中にリスクが溢れている!そして遂に米国が利上げを行う。中国や新興国の経済は大きな危機も発生する可能性がある。2016年は予期せぬ経済危機も発生することも覚悟しなくてはならない。

特に、中国経済については、中国経済専門のアナリススト達はは最悪は過ぎたと宣伝するが、私にはSDRに採用されても2016年は事態が深刻化するようにしか見えない。

天才イアンブレマーは中国が世界で唯一世界戦略を練って一手一手駒を進めているという。だが私の眼には現在世界経済は米国(FRB)の思うように動かされているとしか思えない。

2008年に発生したリーマンショックは米国中心の世界経済が終焉を迎えドルが紙切れになるといったトンデモ本が本屋で平積みされていた。(私がブログに書いていたことがどれだけ正しかったか・・・・自慢)

米国経済は先般発表された予想通りに好調に推移している。米国は2013年QE3政策を終了させた。利上げをすれば、新興国、中国そして欧州が経済危機的な状況に陥るという理由で利上げタイミングを延ばし延ばしにしてきたが、米国の覇権を脅かそうとした欧州と中国経済は悪化した。いいかげん世界はどうせなら早く利上げしてほしいという雰囲気になるまで待った。これは米国が作為的に世界経済を掌握している証拠だと思う。

そしてFRBは12月15日-16日に開くFOMCで9年半ぶりの利上げに踏み切るだろう。中国とロシアについては軍事的に米国の意のままに動かすことができないが、世界の実体経済は米国の手の中にある。利上げに踏み切った後も次の利上げのタイミングや幅で米国は世界経済を動かしてくるだろう。

当時からリーマンショックは自作自演と疑っていた(仮説:金融危機自作自演説
が、少なくとも結果としてリーマンショックは米国にとって経済構造を金融と消費だけの構造から製造業を復活させるショック療法となって、米国は復活したと思う。

今回の雇用統計では失業率が5%とリーマン危機前の水準に戻り、完全雇用に近づいた。米国の雇用者数はりーマンショック後の1年間で、およそ700万人が失われたが、その後の景気回復局面で1200万人以上が新たに職を得たので差し引き500万人以上が新たに職についたことになる。米国があと120年覇権を握るには製造業の復活失くして覇権はありえない。

ケインズ経済学では考えられなかった量的拡大策を行えばドルが暴落して世界経済がインフレになると危機を煽った馬鹿経済学者や三文文士達の本が100円でも売れず古本屋の棚に曝されている。(笑)

だから日本の御用経済学者が財務省の政策を追認しマスコミが宣伝する財政再建政策は間違っている。日本では1980年代末、土地・不動産のバブルを消滅させるために日銀は金融政策で引き締めを行い、金利をあげ資金の供給量を抑えた。これにより土地不動産のバブルを長期化させてしまい、その後15-20年間、長期デフレーションの不況を引き起してしまった。

米国が日本の二の舞だけは避けようとしてとったのが、量的緩和政策である。アベノミクスは失敗であると宣伝している学者たちは安倍総理に文句を言えるだけの資格はない。だが、安倍総理は消費税を10%に引き上げるべきではない。引き上げれば日本経済はまた失速するだろう。

さて、12月に利上げを行った場合過去の利上げ時と同様、短期間で2.0-3.0%利上げするのかという点に注目が集まる。私は利上げの角度も幅も低く抑えられると思っている。せいぜい最大限で1%程度だろう。

現状は米国が利上げするというのに世界の金利は上がる気配はない。原油価格も上がる気配は全く感じられず、来年は現状よりも更に下がり、先のOPEC総会でも現状の30-40ドル台は当たり前で20ドル台定着が中東原油国では定説になっているようだ。米国の原油会社でシェール原油を本格的に採掘すれば1バレル10ドル台と言われている。原油がその様な状況であればその他の物価も上がることにはならず、来年に入れば世界の物価は必ず下がるとみている。物価が上がらず1バレル20ドル台の真中あたりに下がり、中国も鉱物などを買い増す力はないの物価は上がらない。

中国では「一人っ子政策」の長期化による若者の高齢化が進んだ上に、米国の製造企業は2-3年前、中国国内の賃金高騰の際に中国の若者の給与を倍増して
「脱中国」を実施した。それ以来、中国の若者の給与は上がり続けている。
これも米国の対中国政策の経済的な政策である。これにより世界の生産工場と言われる製造業の拠点に陰りが見えている。

日本から5-7年前に中国の安い若者の労働者を雇うために日本の製造工場を潰して中国に移転した企業は中国の若い安い労働力を使っていた。だが、現状は中国の労働者の給与が高く製品の採算が合わず、中国の製造工場を潰しすべて日本に工場を移動させているため、大企業や中小企業は日本の労働力を求めている。

こういった背景から日本の労働人件費は高くなってきている。米国は5年前からこうしたことが起こることを予期して米国の製造業を国内回帰をさせている。米国でここ7-8年前から製造業が復活したのも、政治的な対抗面を考えての行動である。日本も学ばなければならない。

中国は二人っ子政策に切り替えてもその子供達が働き手となるには15-20年かかるが、少子化は止まらないだろう。人口動態からしても中国は日本と同じく人口オーナス期避けられないデフレ経済に真っ逆さまに墜ちる可能性がきわめて高い。

中国の経済状況は大きくなってもなお、日本が作ったトランジスターラジオや家庭用VTR,,ウォークマン、カラオケマシーンetcといった世界を変えるような新製品を何一つ作り出していない。さらに品質の向上もなされていない。例えば中国製の炊飯器の性能は実は日本製と遜色がない。でも、何故中国人が爆買いするのか?

米を炊く釜を買っても外観は日本製の商品と同じでも中国商品は日本製品の1/3の期間で故障が発生するのだという。結果として安物買の銭失いなのだそうだ。

 ECBは12月3日の理事会で追加緩和策を決定したが毎月の債券の買入れ額は据え置 かれ増額を見込んだ市場の失望を呼んだ。 ECBは10月に打ち上げたドラギ総裁が言っていた緩和策とはほど遠い量的金融緩和となり、失望感に満ち溢れたものとなってしまった

12月3日当日ドイツ連邦銀行のワイトマン総裁ら北部欧州勢が緩和に猛反発した。 ギリシヤの欧州経済危機でもそうであったが経済の好調なドイツの存在は欧州の統合を危うくさせている。ドイツのおかげで話がまとまらず欧州危機を悪化させたケースは枚挙にいとまがない。 ドイツの反対で欧州危機は長引いてしまった。

亀岡裕次大和証券 チーフ為替アナリスト

[東京 27日] - 各国金融政策の違いで為替相場の見通しが立てられることがある。確かに金融政策は金利変化を通じて為替を変動させる要因だが、中銀が金融引き締めをしている国の通貨がいつも上昇し、金融緩和をしている国の通貨がいつも下落するとは限らない。

為替には、短期金利だけでなく、先行きの金利見通しを反映する長期金利や市場のリスク許容度などが深く関わっているからだ。

海外に目を向ければ、欧州中央銀行(ECB)の追加緩和と米連邦準備理事会(FRB)の利上げが近づいているとみられるが、その通りに金融政策が実行された場合、為替相場はどうなるのだろうか。2004年にFRBが利上げを開始した局面での市場・経済動向と今回を比較しながら、今後の展開を考えてみたい。

<米株価がドル円を左右、FRBの利上げペースにも影響>

まず、米国金利と為替の関係について振り返る。前回の景気拡大局面(01年11月―07年12月、73カ月間)では、FRBは04年6月30日に最初の利上げを行った。

利上げ期待の高まりとともに米金利は4月から上昇したが、米10年国債金利は5月14日の4.90%、米2年国債金利は6月8日の3.10%を高値に低下基調に転じ、ドル円も5月14日の114.9円を高値に低下基調となった。つまり、利上げ開始の約1カ月半前に米10年国債金利やドル円がピークアウトしたのだ。

米2年国債金利は利上げに連動するように再び上昇していく一方で、米10年国債金利は低下基調が続いたが、利回り曲線のフラット化が緩和して10年国債金利が上昇基調に転じた後の05年10月(利上げ開始から16カ月後)に、ようやくドル円は114.9円の高値を超えた。

06年6月にかけて2年物や10年物の米国債金利はともにフェデラルファンド(FF)金利の高値5.25%と同程度まで上昇するなか、ドル円は05年12月に121.4円の高値をつけた。結果的に10年などの米長期金利動向がドル円を左右した。

今回も同様のことが言えそうだ。米2年国債金利は11月6日に0.96%の高値をつけ、現在もその近辺にある。一方、米10年国債金利は同日に6月高値よりも低い2.37%まで上昇後、2.22%へと反落している。そして、ドル円の動きは10年国債金利と似ている。短期の米金利は利上げ過程で上昇しやすいが、それだけでドル円が上昇するとは限らない。景気が好転して市場が織り込むFRBの利上げペースが高まらないと、長期の米金利は上昇せず、ドル高・円安は進行しにくいだろう。

次に、リスク許容度を反映する株価と為替の関係を振り返る。米利上げ開始前後の米株価とドル円の動きに順相関(リスクオンで円安、リスクオフで円高)は認め難く、ドル高・米株安、ドル安・米株高という逆相関のケースが比較的多くみられた。世界景気拡大を背景とするリスク選好がドル売り・高金利通貨買いを招き、株高時のドル高・円安の進行を抑える一因となった。

また、米本国投資法が04年10―12月のドル安、05年のドル高に寄与し、株価に影響した面もあった。ただし、長期的には景気拡大で株高が続く状況だったことが利上げ継続を可能にし、最終的に利上げ前よりもドル高・円安を進める要因になったとも考えられる。

今回は、米株価とドル円が明らかに順相関だ。世界的に景気が減速するなかで比較的景気が好調な米国のドルが買われやすい傾向にあるが、そうした状況下で株高時にドル高・円安、株安時にドル安・円高が進みやすいことがわかる。ドル円の動向は、株価動向にもかかっているのだ。

利上げしても株価が上昇するようなら利上げは進みやすく、米長期金利とドル円は上昇しやすい。逆に利上げすると株価が下落するようなら利上げは進みにくく、米長期金利とドル円は下落しやすい。どちらになるかは、景気動向と株価のバリュエーションがカギを握ろう。

<株高抑制で米長期金利とドル円も上昇しにくい>

米国の製造業は、新興国を中心とする世界景気減速の影響をすでに受けている。米供給管理協会(ISM)の製造業購買担当者指数(PMI)は10月に50.1まで低下し、拡大・縮小の分岐水準に接近した。マークイット発表の米製造業PMIは10月に改善したが、11月は再び悪化して13年10月以来の低水準となった。これは、ドル高による米製造業の競争力低下だけが原因ではなく、世界的な需要減退の影響を受けているからだ。

米製造業PMIとの相関が高い経済協力開発機構(OECD)加盟国と主要新興6カ国の景気先行指数は、長期トレンド(=100)を大幅に下回り、悪化が続いている。米製造業の景況感は悪化傾向が続く可能性が高い。

外需不振でも米景気が堅調に推移してきた理由は、個人消費を中心に内需が成長を支えてきたからだ。製造業PMIが悪化する一方で、非製造業PMIは堅調に推移してきた。だが、個人消費にも資産効果の面で不安要素がある。米国の住宅価格と株価を加重平均した資産価格の3年移動平均乖離(かいり)率はプラス幅が縮小しており、消費者センチメントが今年に入って悪化した一因とみなせる。資産効果がさらに減退すると米消費者は財布のひもを締めるようになり、米景気減速の引き金になりかねない。株価動向が米景気を左右する要因となるだろう。

株価のバリュエーションは株価動向を左右する一因となる。米10年国債金利からS&P500種株式益回りを差し引いたイールドスプレッドはリーマン危機前よりも低い。これは、米国の潜在成長率とともに期待成長率が低下したこと、世界経済の成長が鈍化してリスクプレミアムが上昇したことが原因だ。イールドスプレッドが13年以降の高値を更新して上昇する可能性は低いだろうし、長期金利が大きく低下しない限り、株式益回りの低下余地、つまり株価収益率(PER)の上昇余地は小さいことになる。

それでも1株当たり利益(EPS)が増加すれば株価の上昇余地は生まれるが、米国企業の予想EPSはドル高や世界景気減速の影響を受けて減少傾向にある。つまりは当面、米株価の上昇余地は限定的で、資産効果の減退が続く可能性が高い。雇用は増えても個人消費が減速するリスクがある。利上げしても株価上昇と景気回復が進み、利上げも続いて米長期金利とドル円が上昇するという展開にはなりにくいだろう。

なお、09年6月に始まった米景気拡大期間は15年12月で78カ月となるが、戦後11回の平均は58カ月、1975年以降5回の平均は71カ月、82年以降3回の平均は95カ月である。

<インフレ期待低迷も米金利とドル円の上昇を抑制>

米国のインフレリスクが高まって長期金利とドルを押し上げる可能性も低い。FRBが12月に利上げする場合、その理由は労働需給の引き締まりから賃金上昇を通じたインフレが広がるリスクを抑えようとするものだろう。ただし、14年半ば以降、ドル高(実効為替上昇)と商品安が米国の期待インフレ率と現実のインフレ率を低迷させてきた。2003―06年とは状況が大きく異なる。

仮に米景気が減速して株価や長期金利が下がっても、リスクオフのドル買い・高金利通貨売りからドルの実効為替は下落しにくいだろう。また、世界景気減速が引き続き商品安に作用しやすい。米国のインフレ期待が低迷した状況は続き、名目・実質金利の上昇は進みにくく、ドル円も上昇しにくいとみられる。