公募内容は、① 日本国法人であり、国内に製造設備を保有する企業② 誘導弾システムの設計または製造の実績を有する企業③ 防衛省が取扱い上の注意を要する文書等の開示について適当であると認める企業・・・・Network SAM (NSAM)も公募とは名ばかりであろうと思います。

現在日本は、超音速巡行ミサイルにも対応できる世界最高水準の移動式地対空ミサイル改良型03式対空ミサイル(中SAM改)」を開発中で2017年配備予定であるが、更にその次のNetwork SAM (NSAM)地対空ミサイルを開発中である。

改良型03式対空ミサイルの主契約者は三菱電機。但し、三菱電機はシステム取りまとめ企業であり、実際の構成品の製造は殆ど行っていない。主要構成品である誘導弾(飛しょう体)は三菱重工業、レーダーは東芝が製造している。Network SAM (NSAM)もALLジャパンの出来レースの受注体制となるであろうと思います。

「03式中SAM改」は、将来の経空脅威である超低空や高々度から超高速で飛来する巡航ミサイル、空対地ミサイル等の小型超高速目標を距離に応じて確実に迎撃する。そのためには、センサ&射撃統制ネットワークを有する長射程ミサイルシステムを含む多層ミサイルシステムが求められ、巡航ミサイルや航空機からの高速対地ミサイルの脅威に対抗するため2010年から開発が始まった地対空ミサイルで、2016年の実用化を目指している。

「03式中SAM改」は世界最高性能のAAMであるAAM-4Bを海自用に艦載型対空ミサイル化した「XTRIM-4」を開発していたが、海自が米海軍とのリンクシステムの関係上RIM-162「発展型シースパロー(ESSM=Evolved Sea Sparrow Missile)」を採用した為、「XTRIM-4」の開発が中止となり、一旦お蔵入りしたが、陸自の新中SAMとして再生したのが「「03式中SAM改」である。
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「03式中SAM改」は「XTRIM-4」と同じように、弾頭のシーカーは空自の空対空ミサイル「AAM-4」のAESAレーダーで、アクテイブ方式で終末誘導を行う打ちっぱなし型のミサイルである。

AESAレーダーは、その大きさにより数十個から1,000個ほどの送受信素子(TR unit)で構成されている。そして個々の送受信素子は、微細化技術の塊であるガリウム・砒素[GaAs](Gallium-Arsenide)半導体集積回路で作られている。
 [GaN]TR素子は[GaAs]に比べ同じ電力で出力が3倍程度にもなる。窒化ガリウム[GaN]半導体技術は、我が国が欧米諸国に比べ一歩抜きんでている。

03式中SAM改の新誘導システムは、「目標の動き予測に伴う不要情報の除去技術(target-motion estimation filter technology)」と「目標の動き予測に基ずく誘導航法の技術(guidance-navigation technology based on target-motion prediction)」の二つと云われている。
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(防衛技研)「目標の動き予測(target-motion prediction)」を使う空対空ミサイルは「目標の動きに比例した航法(proportional navigation)」をする現在型ミサイルより短い距離で目標に到達できる。

開発中の新システムは、これをさらに進めて目標の方向変換を予測し、将来位置に向かって最短距離でミサイルを誘導しようというシステムである。そして将来は、目標の速度に変化に応じてミサイルの速度を調整することも考えていると云う。
防衛技研によると、目標機と自機がともに高度12,000 m で飛行している場合、「目標の動き予測(target-motion prediction)」を搭載するミサイルは、現在のミサイルに比べ、発射してから目標に衝突するまでの時間が15秒から13.2秒に短縮され、これは12%に相当する、と説明している。
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(TRDI)「03式中SAM改」」は、国産の先進センサー・ネットワーク技術を使い、特に敵巡航ミサイルへの対処能力を向上させ、見通し線外射撃能力を重視している。このため「03中SAM」にはない補助レーダーを追加している。
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有効射程は、「改良型ホーク」(35 km)より伸び60 km漏れ伝わってきているが、AAM-4は射程が100Km程度、AAM-4Bの射程が120~140Kmなので、少なくとも100Km以上の射程は見込める。

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(TRDI)米国ホワイト・サンズ・ミサイル試験場(WSMR)で発射された「03式地対空誘導弾(改)」略称:「03式中SAM改」。現在配備中の「03式中SAM」とは別物でやや細身。
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(陸上自衛隊)「03式中SAM」の発射装置。「03式中SAM」は本体直径が32 cmで6個のキャニスターに1個ずつ収納される。高射中隊は、発射装置と射撃用レーダー車、信号処理兼電源車、指揮車など6台で編成される。費用はパトリオット中隊1個が850億円であるのに対し半分強の470億円とされる、1ユニット編成の人員は改良型ホークの50人から20人になる。「03式中SAM改」も同じ発射装置を使う模様。
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(TRDI)「03式中SAM改」の新島試験場での試射。原型の艦載用「XRIM-4」と比べると、胴径は先端の誘導部を含め同じにしたこと、操舵翼の折畳み機構を省いたこと、投棄式のTVCモジュールがないこと、に気付く。余裕のあるキャニスターを使うため操舵翼の折畳み機構を廃止でき、発射直後の方向変換の必要性が低いことからTVC(推力偏向装置)を省いたことが考えられる。これらの改良で性能アップとコスト削減を目指している。

陸上自衛隊は全国を5つに分け、それぞれ北部方面隊、東北方面隊、東部方面隊、中部方面隊、西部方面隊、が担当している。各方面隊はそれぞれ数個の師団、旅団で構成されている。これら方面隊には直轄の高射特科群が全国で7個置かれている、高射特科群は4個高射中隊の編成となっている。

改良型03式対空ミサイル(中SAM改)」は、現在世界最高水準のミサイルであるが、その発展型であるNetwork SAM (NSAM)は、現存する他の地対空ミサイルシステムを大きく凌駕する画期的システムであり、これにより日本に侵入するステルス機を丸裸にして長距離からの撃墜が可能となる。

<参考>

地対空誘導弾の将来構想 ~Plug & Fight Network SAM (NSAM) ~
 ○ 田中利幸 (防衛省技術研究本部航空装備研究所)

特徴 Network SAM (NSAM)は、ネットワークへの Plug & Fight (P&F)能力により、ミサイル、 ステルス戦闘機等の先進脅威から国土を防空する将来の地対空誘導弾システムである。 

概要 P&F能力は、「ネットワークにP&F アイテム(射撃管制系、射撃用センサ、ラン チャ等)を繋ぐと、(1)SAMシステムが構成され、(2)ネットワーク上の全センサの 情報を使い、(3)一つのSAMシステムとして、自動的に相互調整して、最大火力を継続 発揮する能力」と定義している。

 NSAMは、我国全域に広がる将来の防衛省通信ネットワーク等に、P&F アイテム を連接・配置する事によりSAMシステムを構成し、防護地域、広さ、形状、重視する脅 威に合わせた動的運用を即時に実現する。

また、P&Fアイテムの追加、能力向上と伴に、 システムが拡張、進化し、脅威を洋上撃破する広域防空への発展を実現する。 当日は、P&F能力、システムの考え方、運用構想等について発表する。 
SAM: Surface to Air Missile (地対空誘導弾)
 Plug & Fight Network SAM (NSAM) 運用構想 
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NSAMのイメージ図にも描いてあるが、ランチャー車体は03式中距離地対空誘導弾や12式地対艦誘導弾同様、三菱重工製重装輪回収車をベースとした輪駆動車と思われます。







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日本中のレーダーセンサーを使い、見えないステルス機も見えるレーダーからの情報をネットワークして撃墜しようというミサイルである。まるで日本列島全体が防空要塞化したようなものであり、これにレールガンやレーザー光線を組み込めば、中国の巡行ミサイル飽和攻撃も対処可能となる。

さて、自衛隊の新装備をことごとく批判する清谷信一はまだ、NSAMに言及した記事を書いていなそうだが、おそらく”価格が高すぎて結局数を揃えられない”とか、批判するであろう、今から十分予想できる。

その場合の比較対象候補はロッキード・マーチン社製の中距離拡大防空システム(MEADS:Medium Extended Air Defense System) か?
中距離拡大防空システム(MEADS:Medium Extended Air Defense System)はNATOにおけるパトリオットミサイルの後継地対空ミサイル開発計画である。     
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アメリカ合衆国、ドイツ、イタリアの3ヶ国による共同開発で2012年から配備を開始する予定だったが、2011年2月にアメリカが計画を破棄し、続いてドイツ・イタリアでも計画破棄、開発中止となった。しかし、主契約企業のロッキード・マーティンでは社内での開発を続行し、2015年ドイツが購入を決定した。