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今月号の軍事研究と丸の別冊にAdvanced F-15 2040Cの特集が組まれていた。

2年前にF-15J/DJ改(Kai)考 2014/9/20 という記事を書いたのだが、その後のF-15の情報についてまとめたいと思います。

2015年10月1日、ボーイング社は、米空軍からF-15とF-15Eの電子装備を改修する契約を結び、米空軍が保有するF-15ABCDE型468機のうち約413機にEPAWSS (イーグル・パッシブ・アクティブ警戒残存システム)を搭載することになり予算がついた話と、ボーイングが2040年まで機体の寿命を延ばすとともに、重武装ミサイルキャリアー化改良案を提案したAdvanced F-15 2040Cの情報が錯綜し私も勘違いしている点があり、整理したいと思います。

米空軍が保有するF-15は現在ABCDE型468機を保有している。

F-15>EW装備の近代化で残存性向上をめざす
【航空宇宙ビジネス短信・T2:】2015年10月6日火曜日

Boeing, BAE Will Develop EW Suite For F-15
By Lara Seligman2:54 p.m. EDT October 1, 2015
http://www.defensenews.com/story/defense/air-space/strike/2015/10/01/boeing-bae-develop-ew-suite-f-15/73154468/
WASHINGTON — 米空軍はボーイングを主契約企業に選定し、新型完全デジタル方式の電子戦装備をF-15に搭載する。BAEシステムズが開発にあたる。
ボーイングが10月1日発表した声明文ではEPAWSS(イーグル・パッシブ・アクティブ警戒残存システム)により脅威対象に対応してF-15乗員を守ることをめざす。空軍保有のF-15CおよびF-15E合計400機に搭載し、旧式化した戦術電子戦装備(1980年代より使用)を置き換える。
EPAWSS事業は40億ドル規模。
「今日そして明日の戦闘には最新のジャミング、目標捕捉、赤外線探知、高性能のおとり能力が必要」とマイク・ギボンズ(グローバルストライクF-15担当副社長)は声明文で語る。「EPAWSSでF-15は2040年代の先まで有効性を維持できる」
ボーイングはBAEシステムズをEPAWSS開発担当企業に選定した。BAEシステムズが10月1日に発表した声明文ではEPAWSSを高性能電子戦能力を実現し、F-15の「拡大成長可能性」を開くものと表現。同システムにより機体の防御能力が格段に向上し、高性能電子対抗手段、レーダー警報、チャフとフレアの能力アップで実現する。
「完全デジタル化で空軍は次世代電子戦能力をF-15CおよびF-15Eに搭載し、現在および将来の脅威対象に有効に対応できる」とブライアン・ウォルターズ(BAEシステムズの電子戦ソリューションズ部長)■
現在F-15CやEには戦術電子戦装備が搭載されているもののこの装置自体が1980年代から更新されていない。EPAWSSは、現在のF-15C/D及びF-15Eが1980年代から装備している旧式の電子戦機材「TEWS:Tactical Electronic Warfare System」を更新する。最新のEPAWSS(Eagle Passive  Active Warning Survivability Systemを搭載することでF-15シリーズの延命を図る。

EPAWSSは総デジタル化された先端電子戦機材で、電子妨害、目標照準、赤外線を発する脅威探知、デコイ能力を強化し、脅威の変化に対処して脅威の変化に対処します。対電子戦能力とレーダー警報装置、更にチャフ&フレア能力を搭載し、パイロットを守る最新の電子機材である。F-15C/DとF-15E 計413機の搭載改修を計画である。

以上の話とF-15をオーバーホールし安価で効果的なソリューションを与え、F-15SEサイレントイーグル・プログラムから技術を組み込み、総額5000億円で改修でF15の寿命を2040年代まで延長する改修事業は別な話である。

2040年までF-15Cを使用すると言う計画がこのF-15 2040CまたはAdvanced F-15と呼ばれるアップグレード提案だ


Advanced F-15 2040C 概要

・発射装置を改良してAIM-120C空対空ミサイルを8発から16発最大20発まで搭載


IRST (赤外線追尾システム)搭載

・新型電子戦システムEagle Passive /Active Warning Survivability System(EPAWSS)搭載

・外部燃料タンク をコンフォーマル燃料タンクに交換

・機体寿命20000時間で寿命延長。 

米空軍は現在、F-15ABCD型の合計で現在249機を保有していて、初期型のF15A/Bは36機(製造数A型384機、B型61機)1976年の運用開始なので、既に40年が経過しているが、米空軍が運用中のF-15CD型は合計213機(製造数はC型483機D型92機)F-15Eは219機保有(製造数は236機)

世界のニュース トトメス5世
F-15AとF-15Cの最大の違いは航続距離と滞空時間とされていて、初期型では予想より燃料消費が大きく、その分航続距離が短くなってしまいました。

F-15C/DはA/Bに比べて機体内の燃料タンクが20%増量されているが、広い海域を持つ日本には重要な意味を持ちました。

航空自衛隊のF15Jは増加タンクを搭載して4500kmを飛行でき、作戦行動半径は1800kmにも及んでいます。

これによって関東の基地から発進したF15Jが、北海道の北端や尖閣諸島にまで進出でき、日本の防衛に大きな利点をもたらしました。

米空軍が保有しているもう一つのF-15EはF-15に地上爆撃機能を追加したタイプで、一時は脚光を浴びました。

だが11トンの爆弾とミサイルを搭載する代償として、作戦行動半径は増加タンクをフル装備して1270kmに低下した。

爆弾を搭載するには増加タンクを外す必要が生じるので、もし11トンの爆弾等を搭載すれば、半径500km程度しか飛行出来ないでしょう。

戦闘機として最小限の装備で離陸してもF-15C/Dより劣っており、あまり優秀な戦闘機という評価ではありません。

F-15Eは1998年に3,110万ドルで、韓国に輸出したF-15Kは2006年に1億300万ドルでした。

米空軍はF-15E戦闘爆撃機を219機保有し、韓国は60機を配備又は発注しています。


ボーイングは繰り返しF-15の改修提案をしている。結局前のサイレント・イーグルは採用されなかったし、Advanced F-15 2040Cもボーイングが提案してはいるが、依然予算化はされていない。

空軍所属機は退役予定日を予定も含め記録するのが通例だ。だがF-15Cの場合は当初F-22で全機更改の予定だった。だがF-22の高コストで当時のロバート・ゲイツ国防長官は生産打ち切りの決定を2009年に下し、生産は187機で止まった。予定は350機の整備予定だった。そこでF-15C部隊は想定より長く供用されることになり、F-22の後継機種(次世代制空戦闘機Next-Generation Air Dominance aircraftの名称がついている)が就役するまで飛行することになった。
「次期制空戦闘機の生産は2030年代以降で、少数配備のまま2040年代に入る予定だ。

F-22は高コストで予定は350機の整備予定だったが、当時のロバート・ゲイツ国防長官が愚かにも生産打ち切りの決定を2009年に下し、2012年187機で生産を終了してしまった。米空軍はF-22の調達を打ちきり、F-35に制空権と地上攻撃のマルチロールの両方の後継を期待したのだが、ご存じのようにF-35が期待外れの状況となってしまった現状をどう打開すべきか、問題となっている。

防空、制空戦闘機の絶対数が不足し、急速に高齢化し、諸外国を制する圧倒的空軍力を維持することができなくなってしまった。米空軍は、第6世代戦闘機を開発するまで、F-22の生産ライン再起動の可能性探る状況まで追い込まれている。

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このままでは第6世代の新戦闘機が就役するまでの戦闘機数の不足は明らかだ。
10年前には「ハイ・ロー」ミックスでF-22が制空任務全般を、F-35が多用途任務機として制空、敵防空網破壊、近接航空支援を担当する想定だった。F-35の空対空戦闘能力は限定的で第一線の制空戦闘機ではない。

F-22導入が打ち切りとなって187機しかない為、F-15Cの長期利用ならびにF-35の制空任務投入せざるを得ない。F-35もF-22の機能を肩代わりできるはずだが、そのかわりF-35の本来任務であるマルチロール任務が実施できなくなる。
また、F-15Cを飛行可能状態に維持するには高価な改修作業が必須であり、機材は酷使されている。耐久性試験結果から一部機材で縦通材の追加、主翼桁、主翼の交換が必要となる。

ボーイングは機体の疲労試験を実施中で機体寿命の延長が可能かを見極める。
飛行時間が少ない機体を仔細に調べて2040仕様に改装可能か見極める。ただし、比較的機齢が高いと機体構造にてを入れる必要があり、ミッションシステムは古い機体から改修して利用する。製造年が古い機体は2040年までに累計飛行時間が2万の大台を超える。
前回のボーイングのF-15延命提案だったF-15SE(サイレント・イーグル)は2009年に発表され、レーダー断面積を小さくし、一体型燃料タンク(CFT)の採用により兵装類を機内に格納、尾翼を斜めに取り付け、特殊塗装でレーダー特徴を抑えようとした。

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ボーイングの新提案はF-15の重武装ミサイルキャリアー化したF-15 2040Cである。F-15 2040Cではステルス化ではなく重武装化を狙う。一体型燃料タンク(CFT)で実現した長距離性能を無駄にしする必要もなく、F-15での支援任務の幅が広がる。

F-22/F35に敵防空網突破させ、データをF-15に中継し、F-15は安全地点から各種兵器を投下/発射する作戦構想だ。
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この実現にはF-15の兵装搭載量を増加させ、通信装置の更新が必要だが、2040Cで実現する。
2040Cのオプションの一つがCFTに空対空ミサイルを外装でそれぞれ4発搭載することだ。これで空対空ミサイルが合計16発になる。もう一案はフライ・バイ・ワイヤ機体制御を導入する前提で空対空ミサイルをさらに外装するものだ。

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一体型燃料タンク(CFT)はF-15Eストライク・イーグル各機で導入済みだが、E型は制空任務に投入されることは少ない。

F-22との交信能力はこの作戦構想で必要不可欠な要素だ。F-22からF-15C/Dへの通信中継能力を重視している。この通信能力を全機に搭載する予定だ。

問題はF-22にF-15Cの間で安全に通信のやり取りができないことだ。高性能化する敵防空網によりF-15は一層手前までしか飛行できなくなっており、F-22だけが飛行する可能性が高い。問題はF-22が搭載できる兵装が少ないことで、目標を捕捉し特定するとF-15が攻撃ミサイルを発射する想定になっていることだ。長距離赤外線探査追跡(IRST)機能を搭載したF-15は逆に前方のF-22に標的情報を送付することができる。

2040Cでは長距離IRSTセンサーも想定している。これはタロン・ヘイト(飛行中のF-22からデータリンクを第四世代戦闘機に提供するのが目的で、2015年度内に専用ポッド四つを作ることになっている。の一部でかねてからレーダー回避性能がある機材を長距離から探知する能力がF-15Cには求められてきた。

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パッシブ、アクティブ双方で残存性の向上も実現するという。.  このため改良型AN/APG-63 高性能電子スキャンアレイレーダーの搭載が必要だ。ボーイングもイーグルパッシブ・アクティブ両用警戒残存システム Eagle Passive/Active Warning and Survivability System (Epawss)を開発中で総額76億ドルとなる。これは1970年代技術の戦術電子戦システムに代わるものだ。


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航空自衛隊は現在、F-15で7個の要撃戦闘飛行隊を編制し、全国5カ所の基地に配置中である(他に、訓練部隊と教導部隊で各1個隊)。

平時、F-15は各飛行隊で2機1組が対領空侵犯措置任務のための緊急発進(スクランブル発進)態勢に就いており、近年、日本領空に接近した中国軍機に対するスクランブル回数が激増し、2016年4~6月199回を記録し2015年の同時期から85回増加し、四半期ベースで過去最多となった。

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空自のF-15Jは酷使され空自も是非ともF-15J/DJMSIP機もPre-MSIP機ともに
2040C並みの延命措置が必要である。
特に改良を受けてない前期生産型のPre-MSIP機も是非とも受けさせるべきだと思う。

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コメント欄でF-35が駄作機かいや偏見だという話題になりましたので、米国での最近の話題を転載しておきます。以下はタイトルのAdvanced F-15 2040Cとは直接関係ありません。

U.S. Airforceが今年に1月に実施したF-35AとF-16の2機の戦闘機による接近戦を想定した模擬空中戦演習で、F-35AがF-16に撃墜されていたことが情報開示されたUSAFの資料によって明らかとなったことが各方面で波紋を呼んでいる。

このF-35AとF-16による模擬空中戦演習は、Edwards Air Force Baseの近くにある太平洋上の演習空域「Sea Test Range 」で1月14日に接近空中戦を行う際に必要となるhigh angle of attackやaggressive stick/pedal inputsなどF-35Aの機動性の評価するために行われたものとなる。

F-35Aは、機体番号が「AF-02」という量産タイプの最初期のものが使用され、機体には、F-15E、F-16、F/A-18Fなどの操縦経験を持つ、USAFのトップクラスのテストパイロットが操縦を行った。

しかし、この結果、F-35Aは、ミサイルに加えて、外部燃料タンクまでも装備した重装備のF-16Dに撃墜される結果になってしまったというのである(もちろん模擬演習のため実際に撃墜を行ったわけではない)。

その上で、F-35Aのテストパイロットは、USAFに提出した報告書の中で、「F-35はF-16とエンゲージを行った際に、全ての状況下でパワー面で明らかに不利な条件に置かれた(F-35A remained at a distinct energy disadvantage for every engagement)」と述べ、高度な機動性が要求される接近空中戦においては旧世代の戦闘機に比べても能力的に劣ると報告したものとなる。

しかし、なぜ、F-35Aの機動性は旧型機と比べても劣ることになったのだろうか?

実はこのテストパイロットは、報告書の中で、その辺りの事情についてもかなり突っ込んだ分析をしている。

まず、このパイロットによると、F-35はF-15Eと機体重量は同じ程であるのにも関わらず、F-35は翼面積が小さく、また、アフターバーナーのスラストが弱いというのである。このため、結果的にF-35は機体の操縦性が「重い」ものとなってしまっていると分析している。

また、彼によると、F-35の問題点はこうした基本仕様だけでなく、操縦環境にも生じており、F-35の専用ヘルメットのサイズは、コックピットのスペースに比べて大きすぎるため、後方を確認することが困難とまで指摘をしている。

対して、このパイロットの指摘に対して、JSFの開発責任者となるMaj Gen Jeffrey Harrigianは、この模擬空中戦演習に参加したF-35Aにはまだ、空中戦用のソフトウェアの装備や、ステルスコーティングもされておらず、この報告書をもってF-35が失敗機だと決めつけるのは時期尚早だとしている。

また、Maj Gen Jeffrey Harrigianは、そもそもの問題として「F-35は、長距離から敵機をキルすることを念頭に開発が進められたものであり、パイロットが有視界でドックファイトを行うことは必要性ない」ともまで述べている。

F-35ではドックファイトは行う必要性はない以上、ドックファイトに関わる機動性の良し悪しは考慮されないというのである。

Source: Medium Flightglobal Aviation Week (Paywall)

A-10攻撃機を全廃しF-35によって置き換えるという米国防省のF-35導入計画に対して議会勢力を中心に批判が高まるなか、この両者の攻撃性能を実地検証する比較対象試験が実施されることが、米軍の機関紙「Stars and Stripes」の報道で明らかとなった。

A-10とF-35の比較検証試験は、戦場で起こり得る現実的な状況に基づき複数のシナリオを用意し、そのシナリオを元に、A-10とF-35の両機を使って実際に模擬戦闘演習を行うことで、両者の戦闘攻撃能力をスコア化し、比較することが予定されている。

F-35に関しては、米国防省の主導により、これまで開発計画が進められてきたが、開発計画の難航によりF-35のユニットコストは初期コスト計算の2倍近くにまで跳ね上がるなど、膨大な費用を投じて尚、開発が難航している状況を受けて、議会の間では次第に、F-35批判論が高まりを見せる状況となてきている。

A-10とF-35を比較した場合、A-10のユニットコストは1880万ドル(約20億円)であるのに対して、F-35は1億ドル(約108億円)と、F-35はA-10の5倍もの価格となっている。また、A-10が機首に30mmガトリング砲という強力で安価な兵器を搭載しているのに対して、F-35の装備はいずれも高額な最先端な兵器となっており、運用コストの面でも批判の矢面に立たされている。

A-10を支持する議員の中には、実際に湾岸戦争などに従軍し、A-10によって命を救われたという経験を持つものも少なくなく、国防省も議会におけるA-10支持者の厚みを無視できない形に追い込まれている。

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アメリカ軍が中心となって開発を続けている戦闘機「F-35」は、高い戦闘能力だけでなく、地上から機体の状態をチェックできる高度なコンピューター制御装置によって維持管理費用を大きく削減できると期待されています。しかし、コスト削減効果が期待されるコンピューター制御装置はバグだらけで、バグ回収作業にはとてつもない費用と労力と時間がかかる見込みであることが明らかになっています。

The F-35’s Software Is So Buggy It Might Ground the Whole Fleet | Motherboard
http://motherboard.vice.com/read/the-f-35s-software-is-so-buggy-it-might-ground-the-whole-fleet

Does the F-35 have a 'brain' problem? - CNNPolitics.com
(ムービー自動再生注意)http://edition.cnn.com/2016/04/21/politics/f-35-software-system-gao-report/

F-35は、アメリカ軍がF-16などの旧型戦闘機を代替する新型機の開発計画「統合打撃戦闘機計画」の一環で採用された戦闘機で、ロッキード・マーティンを中心に現在も開発が進められている新型戦闘機です。高度にコンピューター制御されるF-35は「飛ぶスーパーコンピューター」とでも言うべき存在で、開発においては純粋な飛行性能だけでなくコンピューター制御性能も重要性を持っています。


膨張し続ける軍事費の抑制はアメリカ軍にとって極めて重要な課題であり、それは戦闘機の開発費用だけでなく運用維持費用に関しても同様。F-35には先進的なAutonomic Logistics Information System(ALIS:自律型情報ロジス ティックスシステム)と呼ばれる地上からF-35を制御するコンピューター制御技術が適用されており、ALISによってパイロットは飛行ミッションの策定時や飛行パフォーマンスのチェック時に手厚いサポートが受けられるだけでなく、故障部位を検出して特定することができるため整備士は部品交換が必要な箇所を教えてもらえるので、メンテナンスコストを大きく削減できるという利点があります。このため、F-35開発プログラムのクリストファー・ボグダン米空軍中将はALISを「F-35の頭脳であり血である」と表現するほどで、ALISはF-35運用計画において重要な鍵となる技術と位置づけられています。


しかし、ALISはとてつもなく複雑なシステムのため、システム完成が遅れることによりF-35の開発計画全体が大きく遅れているという現状にあるとのこと。複雑なシステム故にバグの改修作業は難航しており、プログラム完成には至っていません。また、ソフトウェアの分析のためにはおよそ400MBから800MBにも及ぶ機体の飛行データを転送する必要があるのですが、F-35が配備されている強襲揚陸艦「Wasp(ワスプ)」に搭載されている艦内ITインフラ「CANES (Consolidated Afloat Networks and Enterprise Services)」のネットワーク速度が極端に遅いため、実際の作業に支障をきたすという場面に直面したこともある模様。この問題を回避するために、ソフトウェア保守を行うエンジニアは陸上の基地に行って民間のWi-Fiネットワークを利用してデータをダウンロードし、データを手動でCD-Rに焼いてからWaspの艦上にいる部隊にアップロードするという、およそ高い機密性をもつ戦闘機の開発には似つかわしくない作業を余儀なくされたことが報告書(PDFファイル)によって明らかになっているそうです。


度重なるプログラム改修によって開発が遅れているALISに対しては、すでに数十億ドル(数千億円)の費用が投入されています。この費用は、F-35が50年という長期間運用することで総額1兆ドル(約100兆円)というとてつもない費用の削減が期待できるという大義名分によって拠出されてきたものです。しかし、GAOはF-35の開発計画では技術面と開発コスト面での不確実性を十分に考慮してこなかったという問題点を指摘して、ALISの開発に200億ドル(約2兆円)から1000億ドル(約10兆円)の追加費用が必要となると試算しています。


U.S. Airforceが今年に1月に実施したF-35AとF-16の2機の戦闘機による接近戦を想定した模擬空中戦演習で、F-35AがF-16に撃墜されていたことが情報開示されたUSAFの資料によって明らかとなった。

この空中戦演習は、2機の戦闘機が接近戦を演じることによって、high angle of attackやaggressive stick/pedal inputsなどF-35Aの機動性の評価を行うために行われたものとなる。

しかし、この模擬空中戦演習の結果、ウェポンベイ内にミサイルを格納することでクリーンな飛行形態の状態にあるF-35は、ミサイルに加えて、外部燃料タンクも装備することエアロダイナミクス的には、F-35に大きく劣るF-16に対して、迎撃される結果となってしまった。

この模擬空中戦演習に参加したF-35のパイロットは、報告書の中で「F-35はF-16とエンゲージを行った際に、全ての状況下でパワー面で明らかに不利な条件に置かれた(F-35A remained at a distinct energy disadvantage for every engagement)」と述べ、高度な機動性が要求される接近空中戦においては旧世代の戦闘機に比べても能力的に劣ると報告している。

その上で、F-35のパイロットは旧世代の戦闘機に比べて機動性で劣るF-35を使って接近空中戦で勝利を収めるためには、high AoAの操作を行うことで、クロスアングルでミサイルを撃つなどのF-35独自の新しい戦術を習得する必要性が生じるだろうとまとめている。

しかし、この操縦操作を行った場合、F-35の側は急減速が生じるため、ミサイルを打ち損じた場合には、一転、敵機との力関係が逆転する恐れがあり、その場合には、最大限のパワーを使って直ぐにその場から離脱する必要があるとも述べている。

F-35はエンジン1機で、2機のエンジンを搭載した従来型機と同等以上の性能を出すことを設計仕様として開発が進められたが、この仕様では、エンジンにかかる圧力が過剰になり過ぎ、結果的にエンジン出力が当初の設計仕様を下回るという状況が発生している。

Source: Medium

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将来のステルス機や弾道ミサイルなどへの対応のため、複数の空中線からの信号を合成するMIMO(Multi-Input Multui-Output)レーダ技術を適用し、比較的小型の空中線を分散配置して、個々の装置規模を抑えつつ、大開口レーダと同等以上の探知性能を実現する分散型レーダの研究をしています。

10年後日本上空ではステルス機はステルス機でなくなる。
その技術を中国が摸倣するのは時間の問題である。
F-35部隊が揃う頃、F-35が最新鋭の無敵ステルス戦闘機と呼べるだろうか?

F-35はステルスにする為空力的に無理を重ね、飛行するのに膨大な飛行プログラムで処理し、やっと飛行することが出来る機体、バグが発生しそれが故開発が遅れてコストが増大・・・それなのにステルスという最大の長所がなくなる。

今は最新鋭の無敵戦闘機だが、アンチステルス技術が実用化してしまったあとではF-35は駄作機以外の何物でもない。

今ならまだ間に合う、F-15JすべてをAdvanced F-15 2040Cにレストアした方がよい勿論前期生産機Pre-MSIP機も残らずレストアすべきだ!