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Artist´s impression of the KC-Z. Credit: Aviation Week
USAFが現在、仕様策定作業を進めている現行のKC-46に代わる次世代空中給油機開発計画「KC-Z」は、現行の機体とは全く異なるハイブリッドウィング型のものを想定して計画策定作業が進められていることが判った。

航空業界専門誌のAviation Weekが Gen. Carlton Everhartの発言として伝えた内容によると、KC-Zは、ハイブリッドウィングを採用することで、貨物スペースを拡大させると同時に、翌面積を増大させることで、短い滑走路でも離着陸が可能なものとなることが判ったとしている。

KC-Zの元で仕様策定作業が進められているハイブリッドウィング機は、過去に実機としては開発されたことはない特殊な形状をしたもので、現在、NASAがX-48Bという名称で飛行実験を行っている機体がこの概念に一番、近いものとなる。
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X-48B
現在、旅客機などで主流となっている機体の構造は、胴体と主翼の構造は明確に分離された「fuselage-and-wing design」という設計概念を取り入れたものとなっており、製作工程上も、胴体と主翼は別々に製作が行われて、最終組み立て工程で結合が行われている。

対して、ハイブリッドウィング(Blended wing bodyとも呼ぶ)の場合は、胴体と主翼が連続して構成された有機的なデザインを採用したものとなっており、機体全体で浮力を得ることができる仕組みとなっている。

ブレンデッドウィングボディ機の概念は古くはNorthrop YB-49などでも採用されるなど、航空機業界では古くからある概念ともなるが、 Northrop YB-49はどちらかというと胴体がない全翼機であり、X-48Bのような主翼と胴体が完全一体化したデザインは、古くて新しい異彩を放つものともなっている。

KC-Zは他にもレーザーなどの高エネルギー兵器の搭載も計画されており、現行の旅客機のような形をした空中給油機とは全く異なるものとなることが見込まれている。

KC-Zについては既に、USAFの初期仕様条件の元で、Lockheed Martinが機体の初期設計作業を進めている模様ともなる。

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Artist´s impression of the Northrop´s Stealthy Cargo Plane
US Air Forceが、現在、開発が進められている次期空中給油機「Boeing KC-46 Pegasus」に代わる次世代空中給油機の仕様策定作業に着手したことが明らかとなった。

業界専門誌のAviation Weekの記事によると、USAFでは次世代機の要件として、ステルス性能を有すること、そしてレーザー砲による対空防御手段を有することの2点を最低要件として、その上で細部を固めているとしている。

大型のステルス機の技術は、Northrop Grummanの独壇場となっており、そのNorthrop Grummanではかつてステルス爆撃機となるB-2の貨物機版の開発を構想していた。

仮に、空中給油機にステルス機の要件が必要となった場合、KC-46の開発で採用された旅客機をベースに空中給油機を開発するという手法は採用できないこととなり、次世代機は、Northrop Grummanがかつて構想したステルス貨物機が改めて空中給油機として復活を遂げる可能性もでてきたこととなる。
ブレンデッドウィングボディ(BWB)の輸送機もしくは空中給油機はかっこいいが、もっと別なことに予算を使うべきではないだろうか?

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US Air Forceの次期主力給油機「KC-46A Pegasus」に関して、開発が難航し、開発スケジュール遅延が生じていることを受けて、米国防総省もしくは議会において計画の抜本的な見直し(リストラ)が行われる可能性が生じてきたことが専門誌「Aviation Week」の記事により明らかとなった。

KC-46Aで生じた問題とは、Boeingは、中型旅客機のB767を改造することで空中給油機にする計画を立てたが、計画が進むにつれ、B767の基本構造では、構造的には、空中給油機にはできないことが判明。そのために、構造上の大幅な強化を余儀なくされたこと。また、サプライチェーンの問題により、主翼に装備するタイプのCobham社の空中給油ドローグ(Wing Aerial Refueling Pods)の納入が大幅に遅れる状況となっていること。更に、飛行試験によりC-17などの大型機に対して給油を行う際に、給油機と給油を受ける側の航空機との間で「Bow Wave Effect」と呼ばれる一種の乱気流が生じ、給油ブームに想定以上の負荷が生じることが判ったというものとなる。

これらの問題を解決するためにBoeingでは、受注総額44億ドルに対して、既に15億ドルもの予算超過が生じる事態となっている。

現状、KC-46Aの先行き不透明感が強まってきたこととなるが、米空軍の予算は、連邦予算の赤字幅拡大の影響を受けて、ここにきて厳しい予算制限措置が講じられており、KC-46Aで生じている一連の問題解決のための費用のほとんどは、Boeingが自腹を切って捻出しなければならない状況ともなっている。

軍用機開発を巡っては、Lockheed Martinで進められているF-35開発計画も大幅な遅延が生じる事態となっており、共和党の大統領候補の一人となるドナルド・トランプ氏は、既に大統領になった場合にはF-35計画の見直しを図ることも表明している。
空自はKC-46と同じB-767を空中給油機に改造したKC-767を2003年に採用し、2005年に初号機を受け取り運用している。いったいKC-46は何をしているのであろう・・・
F-35といい、KC-46も米国の基本的航空工業力が無くなってきているのではないだろうか?KC-46で手間取っているのにより複雑なハイブリッドウィング機を飛ばそうなどと、どうせ予算カットで初飛行まで漕ぎ付くか疑問である。

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荷物や兵隊、兵器を運ぶ輸送機。任務が単純が故にそう新しくする必要もないと感じますが、アメリカの大手軍需企業では高騰する燃料価格を背景に、低燃費でエコな輸送機の開発が行われているとのことです。

航空宇宙ビジネス短信 ターミナル1によると、アメリカの軍需企業ロッキード・マーティンは従来型の輸送機よりも実に7割も燃料消費の少ない次世代輸送機の開発を進めているといいます。これはる『ブレンデッドウィングボディ(BWB)』などとした輸送機で空力特性最適化した機体とエンジンから構成されます。

結果、C-5 ギャラクシーという軍用超大型長距離輸送機に匹敵する貨物の搭載能力と機内スペース、そしてC-17 グローブマスターIIIよりも70%少ない燃料消費量で輸送が可能になると主張しています。

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BWBの特徴は主翼胴体一体化し全翼機のような構造にする一方で、機体後部は従来型と同様の構造にしたこと。これは従来と同じように機体後部から荷物の積み下ろしを可能にし、空中投下も全翼機では難しいという投下後の重量バランス調整を容易に行えるようになっています。
高い燃費を実現できた理由としては特に空力特性が非常に優れており、C-17より65%、C-5より30%、ボーイング787より5%優れているとしています。

このように輸送機の燃費を徹底的に切り詰めることについて、実は米空軍で消費される燃料は輸送機や空中給油機部隊が3分の2を占めていることだと言います。世界では一般の貨物についても軍用の輸送機を改造したものが使用されているので、今世紀前半には輸送機の形が大きく変わっていくことが予想されます。

また、こちらの輸送機については垂直離着陸機F-35Bのようにエンジンノズルを下方向にむけ短距離離陸を可能にするという案もでているとのことです。


ちなみに、アメリカでは次世代輸送機としてステルス輸送機なるものが2020年ごろに登場すると言われています。

▼ロッキード・マーティン案のステルス輸送機「Speed Agile」。NASAの風洞施設にて
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エアランダ―10のような飛行船による輸送も検討されるべきだと思います。

JAXAでは電動モーターの特性を活かした、燃料電池やガスタービンエンジンなどと組み合わせることによりさらに出力を向上可能なハイブリッド推進システムの検討を行っています。
液体水素燃料を用い、燃料電池とガスタービンの複合サイクルを利用した高効率発電機を電力源として、更に効率を向上させたハイブリッド推進システムなど、研究中であり、ATLA防衛装備庁は次の輸送機の形態として選択する可能性があります。