いよいよトランプ政権が始動する。この文章を書いている数時間後に就任式典が始まる。トランプ政権はこのままいけば中国を悪の帝国として貿易でも、軍事的にも対決姿勢をとることになると思う。

日本も悪の貿易相手国とされてしまうでしょうが、中国が悪の帝国である限り、日本経済が生き残ることは出来そうです。

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ミサイル駆逐艦「ジョン・S・マケイン」に星条旗を掲揚する乗組員。米海軍横須賀基地にて(資料写真、出所:米海軍)
米国のドナルド・トランプ新政権が中国との対決を辞さない強固な政策をとり、米中対決の新時代を迎えることが確実となってきた。米中関係が険悪となると、当然ながら日本への影響も重大となる。

 トランプ氏は選挙戦期間中から中国に批判的な姿勢を貫いてきた。オバマ政権の対中姿勢に対しても軟弱に過ぎると非難し、自分が大統領となれば対決もいとわず中国を力で抑え込むという構えを示してきた。

 この対中強硬姿勢は、トランプ氏が大統領に当選してからさらに強くなった。中国側もその動きに対して激しい反発を示しており、米中関係はオバマ政権時代とまったく異なるせめぎ合いとなりそうだ。

新政権の強硬な対中政策を裏付ける根拠

 トランプ氏が中国に対して、オバマ政権とは正反対ともいえる強い抑止や封じ込め策を推し進めるという展望には、以下のような根拠がある。

(1)トランプ氏は選挙戦中から、中国に関するオバマ大統領の政策を「軟弱で宥和にすぎる」と非難してきた。中国の経済活動については「通貨レートを不当に操作し、貿易も不正に進めてきた」と糾弾し、中国製品に異常ともいえる高関税を課すことを提案した。

(2)トランプ氏は選挙戦中の9月の演説で、米軍が世界規模で縮小していることを批判的に取り上げ、米軍の再強化を具体的に提案した。そのなかで、東アジアにおいて中国の軍拡を抑止の対象にする海軍や海兵隊の増強案を明示していた。

(3)トランプ陣営の防衛問題顧問であるアレックス・グレイ氏は、選挙投票日の直前の11月初め、トランプ氏自身の考えとして「中国の無法な軍事拡張に対して、まず十分な抑止力の効く軍事増強を実現し、『力の立場』から断固として交渉する」と述べていた。

(4)トランプ氏は当選から間もない12月2日、年来の「一つの中国」の原則を無視して台湾の蔡英文総統と電話会談をした。中国側から抗議が来たが、「中国に命令されるいわれはない」と撥ねつけた。

(5)さらに12月11日に、トランプ氏は「米国はなぜ『一つの中国』策に縛られなければならないのか」という疑問を提起した。「私は『一つの中国』策をよく理解している」と強調したうえでの発言だった。

(6)トランプ氏は12月21日に、新政権の対中政策の一環として「国家通商会議」を新設することを発表した。議長には中国への厳しい政策提言で知られるピーター・ナバロ氏(カリフォルア大学教授)を任命した。

(7)ナバロ氏は、中国が軍事力を強化して南シナ海、東シナ海で強圧的な攻勢を進め、米国の国益までも侵害しているとして、米国の軍事力増強と日本など同盟諸国との連携の強化による中国封じ込め策を訴えてきた。

(8)トランプ新政権にはその他、対中強硬派として知られるランディ・フォーブス前下院議員、ビル・タレント前上院議員、デーナ・ローラバッカー現下院議員、ジム・ウールジー元CIA長官らが政策顧問や次期政権幹部として参集している。

軍事力は今なお米国が圧倒的という自信

 こうしたトランプ氏の言動や、同氏を支える人物たちの特徴をみると、トランプ次期政権が外交政策において特に中国への対応を重視し、断固とした姿勢で中国に接していくことは明らかである。中国の軍事的な攻勢を抑止するためには軍事力の行使もいとわないという決意も見てとれる。協調や融和を優先して対決を避けるオバマ政権の対中政策とは根幹が異なっているのだ。

 トランプ新政権のこうした強固な対中姿勢の背景には、今なお軍事力は米国が圧倒的な優位にあり、もしも軍事衝突が現実的となれば中国側は必ず譲歩あるいは妥協するという計算があるといえる。

 だが、中国が国家の根幹にかかわる「一つの中国」の大原則までトランプ新政権に否定された場合、台湾への侵攻に乗り出す可能性もあり、その展開は予測が難しい。米中関係はまさに波乱や激動を予感させる。

 こうした軍事面での衝突も含めて米国が中国と厳しく対決する場合、米国のアジアでの安全保障にとって、在日米軍や米軍基地の重要性がきわめて大きくなる。トランプ新政権にとっては日米同盟の価値がそれだけ高くなるというわけだ。

 その場合、日本としては、米中両国間の摩擦や対立に揺さぶられる危険性が高まる一方で、日米の米安全保障の絆が強化される機会にも恵まれる可能性が出てくることとなる。

これまでの世界史を振り返ってみると、中国のような新興勢力がアメリカのような既存の大国に対峙した場合、70%以上の確率で戦争が起きている。だからといって、明日の就任式直後から宣戦布告をするわけではない。

まずは、中国に対しいままでのように傍若無人に振る舞うことを止めるように忠告するだろう。まずその初手としてトランプ政権は中国に対して、「国家通商会議」を設置し、中国問題に詳しく「米中もし戦わば 戦争の地政学」の著者ピーターナバロ教授を初代委員長に就任させた。

トランプ政権でピーターナバロ氏は新設の「国家通商会議」の委員長に就任するが、「中国は不正な貿易政策という強力な武器を使って、米国の7万カ所の工場を閉鎖に追い込んだ」と主張している。

著名投資家だったウィルバー・ロス商務長官も中国を「最も保護主義的な国だ」と公聴会で証言し批判した。トランプ新大統領は11日の記者会見で「中国との貿易では、年に何千億ドル規模で損失をこうむっている」中国経済の蛇口を絞めることを宣言した。

習近平は米国の方が「保護主義」だとを批判したが、当の中国がダンピングなど不公正貿易の常習であることは明白で、本気でトランプは中国を経済から潰しにかかっている。

日米欧は中国製の安価な鉄鋼製品の大量輸出について是正を求め続けているが、中国側は具体的な対策を取っていない。このため、中国が世界貿易機関(WTO)協定上の「市場経済国」に移行すると主張したのに対し、日米欧は認定を見送っている。中国は鉄鋼のダンピング輸出を止めることをしないのに、中国は市場経済国認定めぐり「米国はWTO協定順守を」と言い出すなど、中国の居丈高な振る舞に
日本だけではなく、米国もようやく気がついただけだ。

まずは、国境税調整(Border Tax Adjustmentを導入することで中国から米国への輸出が大打撃になる。
最近、国境税調整(Border Tax Adjustmentという言葉をしばしば目にするようになりました。

メディアによって、この問題への感応度には差があるけれど、CNBCあたりが一番、ギャアギャア言っています。

それにしても「国境税」ではなく「国境税調整」って……?

セントルイス連銀のジェームズ・ブラードも「みんな、突然、国境税調整、国境税調整とヤカマシイけど、ハッキリ言って、オレなんかトランプが大統領に当選するまで、国境税調整なんて言葉は耳にしたことはないぞぉ!」とドヤ顔で開き直っていました(笑)

そのくらい新しいコンセプトなのです。


国境税調整(Border Tax Adjustment)は去年の6月に下院の共和党が税制改革下院案(A Better Way)を発表した際、税制改革案の、ひとつの目玉として盛り込まれた概念です。

輸入品には20%の国境税調整を課し、一方、米国内の企業が法人税を払うときは:

(米国内の売上高)-(米国内で発生した費用)=国内利益



で計算される国内利益だけに20%の法人税を当てはめようという考え方です。

早い話、「輸入品には20%の関税がかかり、米国企業が輸出して得た利益は無税になる」ということです。

「関税」という言葉を避けて、敢えて使わないのは、ある種のEuphemismであり、『ハリー・ポッター』で言えば「例のあの人(you know who)」の世界なのです。

それをあからさまに「関税」と言うと、中国やWTOから睨まれるので(もう睨まれてますけど)、あえて遠回しな表現にしたというわけです。

米国の法人税は、いわゆるワールドワイド課税システム(Worldwide tax system)と呼ばれる原則が使用されています。

これに対して殆どの諸外国は源泉地国課税(Territorial Tax System)と呼ばれる制度を採用しています。これは国内での利益には課税するけれど、企業が海外で儲けた分に関しては関知しないという制度です。

その代り諸外国は付加価値税(VAT)を導入しています。

すると原材料が部品となり、部品が完成品に仕上げられるまでの過程で、何度も付加価値が加えられ、その度ごとに税コストを織り込んでしまいます。

これでは外国製品に比べて競争力が無くなってしまうので「もしこの商品が輸出向けなら、VATを払い戻します」という特例を設けています。

つまりアメリカの税制は輸出には不利に作ってあり、その逆に輸入品は素通りで、開けっ広げで、ヤリマンされ放題になってしまっているのです。

さらにアメリカ企業が海外で稼いだ利益をアメリカ国内に戻そうとすると、その利益に対して税金を払う羽目に陥ります。

企業が2兆ドルにものぼる海外利益を海外に貯め込んだままにしてあるのはそのためです。

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企業が稼いだお金を本業に再投資するという本来、当たり前の循環が、上に述べたような税制が原因で、断ち切られてしまっているわけです。

米国企業は、利益をアメリカに還流させず、その代りアイルランドに代表される税率の低い国の小さな企業を買収し、その買収先企業の所在地を本社とする、いわゆるインバージョン(倒置)取引を盛んに行うようになりました。

これは企業版の「篭脱け」です。

国境税調整には、いまのところ小売業者が、一番声高に反対を唱えています。先週フロリダで行われたICRカンファレンスでも、国境税調整の話題で持ちきりでした。

外国からの安い製品を輸入し、それを売ることで儲けている小売業にとってみると、輸入品のコストがいきなり一律20%上昇することを意味します。

これは言い換えればアメリカの消費者に対し20%の消費税を課すことになります。これはアメリカ国内のインフレ要因になります。

また最終的な販売価格が20%増えると、それを消費者が一時的に買わなくなることも懸念されます。ウォルマートのような、薄利多売の商売をしている企業は、売上トレンドに少しでも変調が見られれば、株価は下がります。

もちろん中長期では米国内の雇用が増え、賃金が上昇することによりアメリカの消費者の購買力は一定が保たれると思うので需要は変わらないと思いますが、そこへ到達するまでの道のりは平坦ではないわけです。

国境税調整はドル高要因だと考えられています。ドル高が、上に書いた輸入価格の上昇を、ある程度相殺するとも考えられます。

アメリカがおもに輸入しているのは、アパレル、コンピュータ、自動車、電子機器、金属、テキスタイル、プラスチックなどになります。

いま2016年第4四半期の決算発表シーズンが始まっているわけですが、上記の業種に属する企業が、決算カンファレンスコールで国境税調整に関し、どのようなコメントをするかに注目したいと思います。

もはや、中国経済はお先真っ暗なのに莫大な維持費がかかる国産空母を何隻も建造し、中国はかつてのソ連邦のように軍拡しすぎて崩壊するのは時間の問題だろう。
2016/11/23(水) 午後 5:56 

2016/12/21(水) 午後 11:57 

中国空母西太平洋進出に思う 2016/12/29(木) 午後 11:55
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太平洋での軍事演習に参加した中国唯一の空母「遼寧」(2016年12月24日撮影)。(c)AFP〔AFPBB News〕
新年早々、中国が南シナ海において空母「遼寧」の搭載機の発着訓練を行った。これは昨年12月にトランプ次期米国大統領が台湾の蔡英文総統と電話で会談を行い、その後ツイッターで「一つの中国」政策を軽視するような発言をしたことに対する対抗措置と見られている。

 現代において空母を当該要地に派遣し示威行動を行うことは超大国の特権である。航空機を積んでいるから、内陸奥深くまで攻撃することができる。巡洋艦やフリゲート艦を派遣するよりも、相手国に対する恫喝効果は高い。

 台湾海峡で危機が生じた時や北朝鮮が問題行動を起こした時に、米国は空母を派遣して示威行動を行ってきた。それは中国の指導者にとって極めて不愉快な経験だったのだろう。だから大国になった今日、それを真似て台湾や東南アジア諸国にプレッシャーをかけようとしている。米国の出方を伺っているようにも見える。

莫大な費用がかかる空母の維持

 ただ、空母によって他国にプレッシャーをかけるためには多額の費用が必要になる。まず、建造費が高い。艦載機も用意しなければならない。それだけではない。飛行機が空母に着艦するのが難しいために、高い技量をもつパイロットを育てなければならない。そして、その技量を維持することが難しい。日常的な訓練が必要になる。

 飛行機は尾部に取り付けたフックを空母に張った鋼鉄のワイヤーに引っかけることによって着艦する。現代のジェット機は巨大で高速だから、着艦する際に極めて強い力がワイヤーにかかる。特殊なワイヤーでないと切れてしまう。現在、そのようなワイヤーを製造できるのは米国とロシアだけとされる。中国はワイヤーをロシアから輸入していると言われるが、そのワイヤーは何回か使うとダメになる。このことだけを見ても、空母を維持するのに莫大な費用がかかることが理解されよう。

 中国はソ連が途中まで作った空母「ヴァリャーグ」を1998年に購入し、2011年に「遼寧」として完成させた。「ヴァリャーグ」の建造は1985年に始まっているが、それはレーガン大統領の時代。米国が軍備を強化しソ連も軍事力で応じようとしていた。

 だが、軍拡にはお金がかかる。ソ連はその重荷に耐えきれなくなって1991年に崩壊してしまった。この「遼寧」を巡る動きは、空母と国力の関係を象徴的に物語っている。

中国の経済成長は続くのか?


 習近平は「中国の夢」なる不思議なキャンペーンを展開している。その意味するところは、アヘン戦争以来の国辱をはらし、世界に冠たる国家を建設することであるらしい。具体的には米国と並ぶ超大国になり、G2として世界を仕切ることのようだ。そのために空母は欠かせない。

 だが、これまで述べたように空母と国力の間には密接な関係がある。お金もないのに空母を保有しようとすると、ソ連の二の前になる。米国と並んでG2として世界を仕切るには経済的に強くなる必要がある。

 下の図をみていただきたい。これは米国、中国、それに日本のGDPをドルベースで示したものである。21世紀に入って中国のGDPは急速に増大している。元が強くなったことから、ドルベースのGDPは元ベース以上に急速に増大している。年率20%を超える成長を見せたこともある。これが中国の自信になり、空母を持ちたいという野望につながった。

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(* 配信先のサイトでこの記事をお読みの方はこちらで図をご覧いただけます。http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48897

 図中には中国のGDPが今後7%で成長するとした線を示したが、このような成長が続けば仮に米国が3%で成長したとしても、2030年頃に中国のGDPは米国に並ぶ。まさにG2時代である。

 だが、そうは問屋が卸さないだろう。

 現在の中国の状況は1990年前後の日本によく似ている。不動産バブル景気に沸いた日本は自信を深めた。「Noと言える日本」と題した本がベストセラーになり、エズラボーゲル氏に“Japan as No.1”とおだてられて、いい気になっていた。その様子は昨今の中国と瓜二つだ。

 だが、好景気が続くことはなかった。図に示すように日本は「失われた20年」に突入してしまった。米国との差は開くばかり。現在はトランプ氏の言動に一喜一憂する存在に成り下がっている。「Noと言える日本」などと言った高揚した気分はどこにもない。

日本よりも苦しい中国の「失われた20年」

 中国も日本と同じような軌跡をたどる可能性が高い。不動産バブルが破裂すれば、ドルベースで7%成長することは難しい。

 その兆候は既に表れている。2015年のドルベースの成長率は5%であり、そして昨年の成長率は0.1%にまで低下している(筆者推計、図中の赤丸:元ベースで6.7%成長しだが、元がドルに対して6.6%下落したために、ドルベースでは0.1%)。

 中国も日本と同じように「失われた20年」に突入する可能性が高い。そして、日本より苦しいかもしれない。それは非効率な国営企業が多数存在するためである。国営企業は共産党幹部と密接に繋がっており、その改革は容易ではない。経済の低迷が続けば共産党の独裁にも疑問符が付く。政治が混乱すれば「失われた20年」だけでは済まないだろう。そして「失われた20年」が終われば、一人っ子政策を行ったために、日本と同じように少子高齢化が待っている。

 それに加えて空母である。バブル景気に踊った頃の日本は、先の大戦の反省もあって、軍事大国になろうとの野望は持たなかった。軍事費はGDPの1%に押さえていた。だが、それでもバブル崩壊によって国力が衰退した。

 一方、中国は軍備の増強に努めている。現在の中国は、日本と同様に不動産バブル崩壊によって国力が衰退するリスクと、ソ連と同様に軍拡によって国力が疲弊するリスクの双方を併せ持っている。

 もし、中国の経済成長率が図中に示したように2%程度に留まるのなら、米国との差は拡大する一方である。G2として米国と共に世界をリードする「中国の夢」が実現することはないと考える。
日本では1990年代のバブル崩壊を経験し、2008年の北京オリンピック後中国が崩壊するのは時間の問題であると日本人の多くは思うようになった。2000年代後半中国での反日教育世代が成長するのと同時に徐々に個人レベルで日中友好感情が消え、反中国感情が高まりだした。親中路線の小沢一郎が政界の中心から隅に追いやられ、経済界も2014~2015年頃よりようやくチャイナリスクを理解して撤退しはじめた。

未だに欧州、特にドイツでは中国がまだまだ成長するのではないかという幻想を持っている。ようやく米国ではもはや中国の成長が限界にきて、中国で儲けることができないことを認識しだしたようだ。

金の切れ目は縁の切れ目「アジアの世紀はもう終わり」だとようやく言い出した。
私から言わせれば「遅すぎる!今頃かよ!」って感じだ。
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韓国・ソウルの市街地。北朝鮮軍はソウルに通じる地下トンネルを掘っていた(写真はイメージ)
「アジアの世紀」は終わった――。こんな主張を展開する書籍がワシントンの国際問題関係者たちの間で話題になりつつある。

 アジアこそが世界の経済成長、技術革新、人口増加、そして繁栄と安定の源泉だとうたわれて久しい。しかし本書は、アジア、太平洋地域に明るい希望が満ちていた時代は終わりつつあると断言する。その代わり、アジアは経済不況や紛争危機のリスクが高い重苦しい地域になってきたというのである。

 本書『アジアの世紀の終わり』(原題"The End of the Asian CenturyWar, Stagnation, and the Risks to the World’s Most Dynamic Region")は、2017年1月の頭にイェール大学出版局から刊行された。著者はワシントンの大手研究所「AEI(American Enterprise Institute)」で日本研究部長を務めるマイケル・オースリン氏である。オースリン氏は日本研究から始まり、最近ではアジア全般の課題について活発に論評し、気鋭の学者として注目されている。

■ソウルに通じる北朝鮮軍の地下トンネル

"The End of the Asian Century"の表紙
 20世紀後半から21世紀にかけて、アジアや太平洋地域は目覚ましい経済成長を達成し、政治的、社会的、文化的にも北米や欧州などに劣らぬ大きな存在感を示すようになった。そうした実績から、
20世紀、あるいは21世紀の世界は「アジアの世紀」だとも呼ばれてきた。

 だが、オースリン氏の認識は大きく異なる。アジア各地での調査と研究に基づき、アジアの実態も展望も決して明るくはないという考察を提示するのだ。

 本書の冒頭でオースリン氏は、韓国の首都ソウルのすぐ近くにある北朝鮮軍の地下トンネル跡に足を踏み入れたときの体験を記している。韓国側が発見して接収したこのトンネルは、元々韓国を攻撃するために造られ、北朝鮮領内からわずか四十数キロのソウル市に通じていた。

 オースリン氏は「地上ではソウルの繁栄と安定が目覚ましいが、地下では北朝鮮と韓国がすぐにでも戦争を始める危機が現存する。この縮図はまさにアジア全体を象徴していると感じた」と述べる。

 またオースリン氏は、アジアでさまざまな要因によって経済が停滞し、政治が不安定となり、軍事衝突の危機も高まってきたことを報告し、その状況が世界の他の地域を悪い方向へと巻き込んでいく可能性が高くなったと指摘する。

 そしてそれらを踏まえて、アジアの世紀と騒がれた時代は間違いなく終わりつつあると総括する。

■アジアの時代を終わらせる5つの要因

 本書のなかでオースリン氏は、アジア、太平洋地域の繁栄や安定の終わりを告げる要因として以下の5点を挙げていた。

・奇跡的な経済繁栄の終わりと経済改革の失敗

 日本からインド、中国まで、アジア諸国の驚異的な経済成長はそれぞれ異なる理由で衰え始めた。なかでも大きいのは経済改革の失敗だろう。全世界は、とくに中国の構造的な経済破綻に備える必要がある。日本の経済もかつてのような活力を回復することはない。

・人口動態の問題が深刻化

 アジア諸国はどこも人口の縮小や偏りに悩まされている。インドのカルカッタから東京にきた筆者は、カルカッタが人口過剰なのに対して東京は高齢者ばかりというあまりの人口の偏りの落差に衝撃を受けた。日本も中国も、労働人口の減少が深刻な負の経済要因となってきた。技術革新も追いつかず、アジアの若者の未来は暗い。

・独裁制でも民主制でも政治革新が停滞


 中国の独裁政権下での政治不安はますます深刻となった。日本やインドのような民主主義国でも、腐敗、無関心、シニシズム(冷笑主義)、縁故主義などに政治が蝕まれている。とくに国民に自由のない中国や北朝鮮での政治的な不安は、爆発的な危険を帯び、全世界に危機をもたらす。

アジア各国の相互連帯が欠如

 アジア、太平洋の諸国は欧米での北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)のような地域内相互の絆がない。文化や社会の共通性はある程度存在するが、相互を強く結びつける連帯の制度も共通の価値観もほとんどない。

・戦争の危険

 現在のアジアには軍事衝突から戦争へとつながる潜在危機の要素が19世紀のように数多くある。最大の要因は中国の軍事拡張主義といえるが、北朝鮮の挑発的な行動も大きい。アジアには核兵器保有国が北朝鮮を含めて4カ国もあるため、いったん戦争が起きると危険は容易にグローバル規模にまで拡大する。

 オースリン氏のこうした見解には反対論も提示され、ワシントンのアジア研究関係者たちの間で「アジアの世紀」をめぐって活発な議論が展開されるようになった。

米マクドナルドは中国の経営権を売却した                                
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引用:https://lh4.googleusercontent.com/proxy/kaMwbIZBBNpXSUcLezXjVTyOi6sUFB0kTgSix8VDMPgeQTKya7Ldti26jcocG-5O7QEtnvAGY1xjaF7UNQub9cuoKmq_PW5KKoxqpfeXzMPymhLiu4vZE64WhDRMXtUfFA=w5000-h5000
                                                 中国の輸出入が減少                                     2016年の中国貿易統計が中国税関総署から発表され、輸出入ともに大幅に減少しているのが分かりました。

輸出は7.7%減の約2.9兆ドル、輸入は5.5%減の約1.5兆ドルで、貿易総額は6.8%減となりました。

輸出先では米国向けが5.9%減、日本が4.7%減、欧州向けも同減と世界的な輸出減少が続いている。

5099億ドルの大幅な貿易黒字を続けているが、2015年より14%減少している。

貿易以外の資本収支や金融収支は大幅な赤字と見られるが、今までは膨大な貿易黒字が補って余りある状態だった。

2016年は四半期ごとに約400億から700億ドルの経常黒字なので2016年通算では、おそらく2400億ドル程度になるでしょう。


すると貿易黒字が5099億ドルなので、金融、資本収支の赤字は約2600億ドル前後という推測になります。

中国の外貨準備高は2015年の最大事に4兆ドルだったが、2016年末には3兆ドルに減少したと発表されている。

経常収支が年間24兆円も黒字なのに外貨準備が2年で100兆円も減少するなど考えられないことで、深刻な事態が起きているのを連想させる。


外貨準備が急速に減少した原因は外資撤退と資本流出で人民元下落で、お金が中国から脱出している。

人民元が下落するとドル建てで中国に投資したお金が減るので、損失を防ぐために外資は資本引き上げや撤退します。

中国人自身も下落する人民元を保有するより、早くドルに変えたほうが得なので、一斉にドルに交換しています。

政府の借金が富裕層の資産

多くの人が人民元を手放してドルに交換した結果、より急速に人民元が下落する現象が起きました。

このため人民銀行はドルを売って人民元を買い支えなくては成らず、減少した外貨準備1兆ドルはこれに使われたと見られます。

輸出減少は中国の製造業を直撃し、本来なら破綻すべきゾンビ企業が大量に生まれている。

中国政府は銀行を通してほとんどの大手企業に融資して共同経営者になっているので、破綻の表面化を防ぐため追加融資や財政支援している。

不要な鉄鋼を消費する為に高速鉄道を建設して線路を数千キロ並べるといった具合で、ゾンビ企業の債務を政府債務につけかえている、

という事は中国では企業債務と政府債務が同時に、急激に膨張していて、政府債務はGDP比300%とも言われている。

中国では富裕層が増えていて、人数ではアメリカよりも富裕層の人数が多くなり世界一になった。

ここでお金の簡単の説明をすると「債務=資産」であり誰かの借金が誰かの資産になります。

例えば日本銀行券と書いてある1万円札は、私達の資産ですが日本銀行の借金(負債)なのです。

苦しくなる中国のバランスシート

中国政府の負債が激増しているのが、まさに富裕層の資産が増えていることとイコールになっています。

日本でも同じ事で、日本政府の借金=富裕層の資産が増えていき、アメリカでも富裕層の資産=政府の借金です。

日米は自分でお金を印刷して自分に払っているだけなのだが、中国は外国からお金を借りている。


こうした国家のバランスシートが崩壊すると、巨大な国家でも制御不能になる可能性がある。

2016年の中国の成長率は6.7%で過去最低になり、2017年は6.5%とさらに過去最低を更新する模様です。

さらに発表される中国GDPが誇大だというのが定評であり、実態はもっとずっと低いと考えられている。


中国は今後も人民元の印刷と公共事業、お金のばら撒きで成長を維持しようとするが、次第にほころびが目立っている。

トランプ政権は当然対中冷戦を画策するだろうが、HotWarにも備えているかもしれない。

動画「米中もし戦わば 戦争の地政学」