JMU ディフェンスシステムズ(株)
開発部

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1. はじめに

JMU ディフェンスシステムズ(株)は、長年培った造船関連の技術を海上自衛隊向け製品のみならず、陸上自衛隊向け製品にも活用して製品開発を行っている。
今回は、陸上自衛隊の施設科部隊に採用いただいている 94 式水際地雷敷設車(水陸両用車)について紹介する。

2. 当社水陸両用車の特徴

水陸両用車は、「車両」と「船舶」を両立させる必要があることから、その設計には一般的な車両や船舶とは異なるノウハウが必要となる。また、国内では国交省の小型船舶関連の法規への適合が求められ、様々な設計上の制約をクリアしなければならない。このため、国内で主に観光用として運用されている他社製の
民間向け水陸両用車は、構造上の制約で平水区域(湖・河川や湾内など波の穏やかなところ)のみに航行が限定される。当社の水陸両用車は、波のある外洋でも安定して航行できる能力を有する点が特徴である。

3. 94 式水際地雷敷設車

陸上自衛隊の施設科部隊に配備されている水陸両用車は、敵の着上陸を阻止するため海岸線の水際部に水際地雷を連続的に敷設し、地雷原を迅速に構成するために使用される。陸上走行時は、側面のフロートを車体上部に折りたたんで格納することにより車幅を縮小し、一般の道路を走行することができる。海上航行時はフロートを展開し、プロペラ 2 基により推進する。
波のある海岸線で運用されるため耐波浪性能を有している。小型船舶の法規に適合しており安全性が確保されている。また、車体をモノコック構造にすることに
より軽量化を図り、ペイロードの確保や高い海上航行性能などの要求性能を実現している。

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4. 災害派遣対応について

水陸両用車の後部に大きなスペースがあり、敷設器の搭載のほか、人員輸送用のユニットを搭載することにより多くの人員を乗せることができる。
2011 年の東日本大震災では、福島県相馬市の沿岸において、水陸両用車にダイバーを乗せ行方不明者の捜索に使用された。また、2015 年の関東・東北豪雨
において喜怒川が決壊した際、人員輸送用のユニットを搭載した水陸両用車が救助活動に使用された。

5. おわりに

94 式水際地雷敷設車は、波がある海上での使用を想定したものであり、海上環境下の運用要求を達成し、1996 年より陸上自衛隊で活躍している。
当社は性能向上を図った次世代の水陸両用車の試作及び技術評価を終えており、海上輸送用途をはじめ多用途に使用できる水陸両用車の開発に取り組んでいる。

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                                  図1 次世代水陸両用車(試作車)
                                  Fig.1 New amphibious vehicle
軍@ふたばにJMU社HPに次世代水陸両用車が掲載されたという記事を見つけた。
正確にはジャパン マリンユナイテッド株式会社 (日本鋼管・日立造船・IHI・住友重機の船舶部門等が合併)のHPに子会社JMU ディフェンスシステムズ(株)開発部が開発した94 式水際地雷敷設車の紹介記事に 次世代水陸両用車(試作車)が紹介されたものだが、確かに軍事研究にも記述があった記憶があるが、2015年にパシフィコ横浜で開催された国際軍事見本市に出展されていたというが、知らなかった。



確かにBBCのレポートの最後の部分に護衛艦いずも模型の左上に写りこんでいる模型車両があった。

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更に検索すると鮮明な画像をヒットすることができました。



よく見ると、94式が4×4なのに対し6×6とである。不整地での走行性能が格段に向上したと思える。波打ち際を大型トラックより大きな94式の車体が4×4というのも心許なかった。

更に検索すると、東洋経済の2015年06月03日の清谷信一の記事「国際軍事見本市」が、日本の国防力を高めるにも言及されていた。

そのような情報感度と知識が低い人たちが装備開発をして、果たしてまともな装備が開発できるのだろうか。新装備を開発するならば諸外国の同様な装備の動向はもちろん、その装備が実用化され、使用され続ける将来にわたっての想定を行うことが可能だ。そのための基礎となるのが情報だ。その情報が軽視されているのだ。

MASTのような見本市で多くの幹部や開発担当者が実際に海外の関係者と直接接触し、情報交換をする機会ができたことは、幹部や開発担当者の啓蒙という観点で大きなメリットだ。この点は高く評価したい。今後、是非ともこうした機会を増し、情報に鈍感な体質を改善すべきだ。

国内メーカーの意識も低い

残念なのは、防衛省や自衛隊だけでなく、国内メーカーの意識も低いことだ。日本パビリオンのジャパン・マリンユナイテッド(JMU)の防衛装備品開発・製造部門であるJMUディフェンスシステムズのブースでは同社が自主開発している水陸両用車(Amphibious Vehicle)の模型やビデオが展示されていた。

ところが、ペイロード(積載重量)や速度などの具体的な説明が全く表示されておらず、説明担当者に聞いても「言えません」というばかりだった。そこで筆者といささか議論になったのだが、その後、取締役がやってきて、ようやく簡単な説明を受けることができた。

展示された水陸両用車は、同社が陸上自衛隊向けに開発し、製造した94式水際地雷敷設装置をベースに自社ベンチャーとして開発しているもので、基本的な車体レイアウトは94式に準じているが、94式が4×4の車輌であるのに対し6×6となっており、より不整地を含む路上での走行能力が向上している。

説明によると、路上最大速度は94式の毎時50kmを上回る、毎時約65km程度。ペイロードは6トン程度で、人員であれば28名程度の輸送が可能だ。航行時の推進システムはプロペラ式の94式とは異なり、2基のウォータージェットを使用し、浮航時の最大速度は毎時10ノットに達する。シーステート3での運用が可能とされているが、会場で公開された試験時の映像では、限りなくシーステート4に近い海面での浮航が行われていた。同社では陸上自衛隊で新たに編成される水陸両用部隊用の兵站用や、大規模災害の救援などを想定して、防衛省に提案を行なっている。また離島の多い国や地域への輸出需要を探ることも視野に入れているとのことだった。

このくらいの説明ができるならば、リーフレットや展示ポスターに明記しておくべきである。むろん開発中のものは、性能や仕様はフィックスされたものではない。だが、現段階の性能や目指すレベルは明記しなければ、来場者は困ってしまう。

これは同社の自社ベンチャーであり、輸出も念頭に置いている。全く情報を開示しなければ海外の軍やメーカー関係者はもちろん、メディアの人間からもまともな注目は浴びない。であれば何のために高い出展料を払って、多くの社員の時間を割いて出展したのだろうか。不慣れな面もあるのだろうが、次回の出展の機会には、改善するべきだろう。

なぜ、情報開示が必要なのだろうか。
まいど批判しか書かない清谷信一だが、確かにこのやる気のない展示では確かに清谷が言うようにダメだ。2017年のMAST-Aasia Tokyoには改善しているだろうか?
私も2017年6月12日(月)~2017年6月14日(水)のいずれか休みをもらって幕張メッセへ出掛けようと計画しています。

東洋経済オンラインにも掲載されていたので、清谷関係の東京防衛航空宇宙時評(Tokyo-D&A Review)を検索すると、ほぼ同じ内容の記事が掲載されていました。

JMUディフェンス・システムズ、MAST ASIAで水陸両用車を発表
【Tokyo-D&A Review】編集部 2015年5月14日

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JMUディフェンス・システムズが出展した水陸両用車の模型

ジャパン・マリンユナイテッド(JMU)の防衛装備品開発・製造部門であるJMUディフェンスシステムズはMAST ASIA 2015の会場で、水陸両用車(Amphibious Vehicle)の模型を展示した。

展示された水陸両用車は同社が陸上自衛隊向けに開発し、製造した94式水際地雷敷設装置をベースに自社開発しているもので、基本的な車体レイアウトは94式に準じているが、94式水際地雷敷設装置が4×4の車輌であるのに対し6×6となっており、不整地を含む路上での走行能力が向上していると思われる。なお、路上での最大速度は94式水際地雷敷設装置50km/hを上回る、約65km/h程度と、JMUディフェンスシステムズではしている。

車体は装甲化されていないが、必要に応じ操縦席の周囲に増加装甲の装着も可能とされている。ペイロードは6t程度で、人員であれば28名程度の輸送が可能と見られる。

浮航時は94式水際地雷敷設装置と同様、左右のフロートを倒して浮力を向上させる。航行時の推進システムは94式水際地雷敷設装置(プロペラ)と異なり、2基のウォータージェットを使用しており、浮航時の最大速度は10ノット/hに達する。

水陸両用車はシーステート3での運用が可能とされているが、会場で公開された試験時の映像では、限りなくシーステート4に近い海面での浮航が行われていた。

JMUディフェンスシステムズは水陸両用車の用途として、水陸両用部隊用の輸送や大規模災害の救援などを想定しており、防衛省に提案を行なっている。また離島の多い国や地域での需要を探ることも視野に入れている。
その他に JMU次世代水陸両用車(試作車)の画像を検索したとものを載せます

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http://blog.goo.ne.jp/raffaell0/e/2efbeadc9d157069ebf9d870cb0ba056

水陸両用部隊用の後方輸送補給や大規模災害の救援任務などの用途にJMU社が
陸上自衛隊に提案しており、現在のところ採用されてはいない。
AAV-7は上陸作戦の正面で、次世代水陸両用車は橋頭保確保後に水陸両用性能を活かし、補給を行う車両として必要な車両だと思う。

94式水際地雷敷設車と最大の違いは、駆動輪が4×4から6×6になり、水上推進装置がプロペラ2基からウォータージェット2基にグレードアップし、水上速度が6ノットから10ノットへ、94式では水上走行時フロートを左右に展開さいていたが、次世代水陸両用車では不要のようだ。

94式水際地雷敷設車の後継と、水陸両用部隊用の補給用として、採用に値すると思う。また、海外PKO任務においても有効な車両であると思う。