東日本大震災から6年が経ってしまった。未だに日本人の多くは、つい昨日のことのように覚えている。2011年3月10日には自分が何をしていたか覚えている日本人はほとんどいなかったと思うが、ところがあの日2011年3月11日は自分はどう動いてどう思ったか、皆驚くほど覚えている。

30年位前、自分が生きているうちに関東大震災のような巨大な災害が起きるとはまるで思ってもいなかった。しかし、1995年1月17日の阪神淡路大地震、2007年7月16日中越沖地震や広島土砂災害(2014年8月)や御嶽山噴火災害(2014年9月)昨年発生した熊本地震はまだ1年が過ぎていないが、未曽有の災害は日本列島においてはいつ次の災害が起きてもおかしくはない。

日本人は、美しい国土を貰った見返りに、様々な天災が身に降りかかることを宿命としている民族なのだと思う。

最近、外国人が日本と日本人の魅力を発見して観光客が大挙やって来るようになったが、日本人と日本の文化、国土の魅力によるところが大きい。2000年以降1980年代から日本のアニメや漫画で子供時代を過ごした人々が日本に関心をもつのは当然のことかもしれないが、一つの切っ掛けとなったのが東日本大震災での日本人の冷静な振る舞いと、秩序ある姿を見た時に、外国人達は日本の文化文明に感銘したのではないかと思う。

日本の文化は縄文時代早期約7300年前に起こった鬼界カルデラの破局噴火以来、日本人は災害に鍛えられた我々が築き上げた至宝なのだと思う。常に自然の恵みと、脅威にさらされてきた我々の先祖から連綿と続くこの日本人の自然観、生死観が日本の文化を日本文明にまで昇華させたのだと思う。

日本は中華文明の亜流ではなく、サミュエル・ハンチントンは文明の衝突において「日本は世界八大文明の一つ」と言う。
一部の学者は日本の文化と中国の文化を極東文明という見出しでひとくくりにいている。だが、 ほとんどの学者はそうせずに、日本を固有の文明として認識し、中国文明から派生して西暦100年ないし400年の時期にあらわれたと見ている。 
世界のすべての主要な文明には、二カ国ないしそれ以上の国々が含まれている。日本がユニークなのは、日本国と日本文明が合致しているからである。 

美しくも過酷な自然環境がなければ、日本文明は誕生しなかったかもしれず、日本人は東アジアの他の民族とさほど差もない目立たない辺境の野蛮人であったろう。

被災し家族を失った方々には無神経な言い方かもしれないが、東日本大震災は
見方によれば、未曽有の自然災害も大きな意味で神の祝福と考えるべきだと思う。

この自然災害を忘れ去ってしまえばただの愚かな民族と成り下がってしまうが、次に起きるであろう未曽有の災害にどう備えるかが、鍵なのだと思う。

 東日本大震災は地震と津波、原子炉災害が重複した複雑な大規模災害であった。これらを徹底して総合的に研究し、今後発生が予想されるマグニチュード(M)9クラスの南海トラフ地震、マグニチュード(M)8クラスの房総沖地震、M7クラスの首都圏直下型地震、に生かさなければならない。

自然災害が起こる時期や場所、規模などを変えることはできないが、法整備や活動計画などのソフト面と、自衛隊などハード面とをうまく組み合わせることで、国や自治体を強靱化し、災害が発生した際の対応をより適切にすることはできる。1995年22年前に起きた阪神淡路大震災当時、自衛隊が左翼の情緒と法に縛られ初動が遅れたことを反省し、改善したことが、東日本大震災では活かすことが出来た。

だが、東日本大震災では、一部に「想定外」という表現が使われ、「行政面で災害に備えることは難しい」との論議があった。 しかし「南海トラフ地震」などの被害想定を、「想定外」でかたづけるのではなく政府は、「備えれば備えただけ被害を少なくできる」とする「目標設定型」に変更している。

熊本地震では、最大時の自衛隊の派遣人員や患者輸送、給食支援などで阪神淡路大震災を大きく上回る成果を挙げることができた。

発災後、国と自治体などは被災の全容把握を待つことなく、計画に基づいて、自衛隊は、応急対策活動を直ちに開始、被害が甚大と見込まれる地域に、国全体の人的・物的資源を重点的かつ迅速に投入、通行の可否情報や応急復旧、交通規制などの情報を共有し、これらの運用を一体的に行い緊急輸送ルートもかなりスムーズに行われたと思う。

 全国から警察災害派遣隊や緊急消防援助隊、自衛隊が投入され、全国的な医療チームの現地投入や緊急搬送などかなり迅速に行われたと思う。東日本大震災の発災初期に経験した混乱を学習し、多くの教訓が生かされていた。

今後起きうる災害には、陸上自衛隊が導入を決定したMV22オスプレイや水陸機動団に装備される水陸両用車(AAV7)は、災害派遣時にも使用される。孤立した被災地に大量の人員と物資が搬入できるようになるだけでなく、陸路からの接近が難しい被災地に、陸上自衛隊を海から投入できるようになる。

マスコミは、もう少し、こういったことを称賛してもよいかもしれません。



南海トラフ巨大地震解明へ 海底の監視強化
【日本テレビ】2017年3月11日 17:39

東日本大震災の後、次に起きると懸念されている南海トラフ巨大地震。海上保安庁はこの地震のメカニズムを解明しようと、海底の動きの監視を強めている。

 近い将来、南海トラフで起きるとされる巨大地震では、大阪や名古屋は震度6強以上の揺れに、太平洋沿岸は30メートル以上の大津波に襲われると想定されている。

 この地震のメカニズムを解明するため、海上保安庁は2006年から海底が移動した距離を観測していて、東日本大震災の翌年には調査地点を6か所から15か所に増やし、調査を続けている。その結果、地震を引き起こす「ひずみ」が広い範囲で蓄積していることに加え、分布にムラがあることがわかった。

 海上保安庁海洋情報部・石川直史火山調査官「今回の我々の調査によって、場所によって(海底の)動きの大小に違いがあるということがわかってきた。将来起こりうる地震がどういった地震かより詳しくわかるようになる」

 国の地震調査委員会も巨大地震の予測のための大きな一歩になると評価しており、海上保安庁は観測回数をさらに増やし、監視を強化することにしている。
【内閣府】南海トラフ地震対策 
政府は、東日本大震災発生前より綿密で実効性の高い対策を行っているが、いざとなれば国民一人一人の民度にかかってくる。
明日起きるかもしれない震災に我々は備えることが日本人である宿命であり、日本文明なのだと思う。




 “恐ろしいほどよく当たる”として注目を浴びる「MEGA地震予測」が静岡、和歌山、高知など太平洋沿岸地域に不自然な兆候を捉えた。異常変動の一部は、南海トラフ巨大地震の想定震源域内に出現しており、連動が懸念されている東海地震、東南海地震、南海地震に加え、九州を含む「4連動地震」につながる恐れも指摘される。

 MEGA地震予測を主催する「地震科学探査機構(JESEA)」の村井俊治会長が現在、注目を寄せているのは、東西南北への動きを示す「水平方向」の地殻変動だ。

 「南関東周辺は現在、『南東方向の動き』が主流となっているが、伊豆半島(静岡県)の先端は南西、房総半島(千葉県)の先端は北方向に動くという不自然な動きを見せている。潮岬(和歌山県)や室戸岬(高知県)なども周辺地域と異なる動きをしている。こうした状況はそれぞれの地域の地下で歪(ひず)みがため込まれていることを示しており、巨大地震が発生しやすい環境が生まれているといえる」と村井氏はいう。

 九州では昨年4月の巨大地震の震源となった熊本県の周辺地域が不安定な状況となっており、地震発生のエネルギーにつながる歪みが拡大。今月2日には、日向灘を震源とする最大震度4の地震が発生したことにも村井氏は神経をとがらせる。

 「日向灘でマグニチュード(M)7クラスの地震が起きると、南海トラフでM8クラスの地震が誘発されるという研究者もいる。現在は九州から東南海、南海、東海、千葉県に至るまでのベルト地帯に異常変動が出現しており、日向灘が揺れたことで、南海トラフ巨大地震に日向灘を加えた『4連動地震』の発生にも警戒をしていく必要があるだろう」

 地震は、小さな揺れでも別の地震の“呼び水”になることがあるとされる。特に3月は気候が変わり、各地で雪解けを迎えることなどから「地下にたまったエネルギーの留め金を外す『誘因』が起きやすい季節だ」と村井氏は言う。

 巨大地震はいつ起きてもおかしくない。備えだけは万全にしておきたい。