外務省、韓国渡航で注意喚起=北朝鮮情勢踏まえ
【Yahooニュース】時事通信 4/11(火) 22:32配信 

 外務省は11日、北朝鮮が核実験や弾道ミサイル発射を繰り返していることから、「韓国への滞在・渡航を予定している方、すでに滞在中の方は最新の情報に注意してください」とする海外安全情報(スポット情報)を発表した。

 「直ちに邦人の安全に影響がある状況ではない」としているが、米軍が朝鮮半島近海へ空母を急派して緊張が高まっていることなども踏まえたとみられる。

 スポット情報は短期的に危険が高まった地域への注意を促すもの。3カ月未満の滞在には外務省への旅行登録、3カ月以上の滞在には在留届の提出をそれぞれ呼び掛けている。

 同省によると、最近では、韓国の朴槿恵前大統領弾劾に伴うデモやロシア・サンクトペテルブルクでのテロに際して発出した。今回の核・ミサイルを理由とした注意喚起は異例だ。
ようやく、日本国内でも北朝鮮危機が現実化しつつある。
正直なところ、日本にとって北朝鮮への危機感は遅きに失している。

まだ、1994年クリントン政権は北朝鮮の攻撃を検討した時にすべきであった。
当時のシュミレーションでは、死者は100万人に上り、うち米国人も8万から10万人が死亡。米国の自己負担費用は1千億ドルを超えるという試算結果が出た。金泳三韓国大統領が強烈に反対し、その後、カーター元大統領が訪朝し、北朝鮮攻撃が実行に実効されなかった。

だが、もし明日に実行されると死者負傷者は朝鮮戦争並みの400万人だと言う。

≪緊急内幕レポート≫戦争が始まったらこうなる 北朝鮮vs.米・日・韓の戦い 【現代ビジネス】2017.04.23週刊現代編集部 ※原文では2013年4月27日

米軍はどう動くのか

 北朝鮮情勢が、いよいよ緊迫してきた。

 韓国の国防部関係者が解説する。

「北韓(北朝鮮)は、中距離弾道ミサイル『ムスダン』の発射を東海岸(日本海)の元山から行うなど、東海岸に周辺国の目を向けさせています。だが攻撃の"本丸"は、あくまでも西海岸(黄海)だと国防部では見ています。

 北韓は、これだけ内外に挑発的な発言を繰り返しているので、何もしなければ、金正恩第一書記の名折れとなります。しかし本当にアメリカと戦争になれば、一溜まりもないことは重々心得ている。

 そこで、米軍を参戦させない範囲内で最大限の挑発をする可能性が高い。それには、首都ソウルに近い西海岸で暴発するのが、一番効果的だというわけです。

 具体的には、西海岸に浮かぶNLL(北方限界線)の南側にある5つの島を砲撃するのではと警戒しています。NLLは米韓が海上に引いた線で、北韓は認めていないので、彼らにとって攻撃の正当性がある。そして小島くらいの砲撃では、アメリカは参戦しないという読みもあるでしょう。実際、'10年11月に、北朝鮮が突如、5島の一角である延坪島を砲撃した時も、韓国側が泣き寝入りしました」


 同じく「NLL付近が危険」と述べるのは、ソウル大学統一平和研究院の張容碩博士だ。

「北韓は4月9日に、南北和解の象徴と言われた開城工業団地を封鎖しました。ここは南北軍事境界線まで8kmの距離にあり、元々は朝鮮人民軍の基地があった場所です。そこへ再度、大量の朝鮮人民軍を配置し、韓国攻撃の拠点にしようということでしょう。北朝鮮との国境付近は、大変危険です」


 実際、38度線に近い韓国京畿道高陽市では、4月1日より「危機対応マニュアル」を市民に配り始めた。「核兵器・放射能攻撃時の行動要領」「化学兵器攻撃時の行動要領」「生物兵器攻撃時の行動要領」など、全10ページにわたる行動指針を記した、おどろおどろしいパンフレットだ。

 高陽市安全都市課の職員が語る。

「わが市は目と鼻の先が北朝鮮なので、すでに臨戦状態です。市民からの問い合わせが殺到したため急遽、10万枚のパンフレットを作成して市民に配付したのです。それでも市民からの問い合わせが日々、大量に来て、生きた心地もしない日々です」


 北朝鮮は4月9日、韓国国内の外国人に対しても、「韓国から至急離れないと責任は取らない」という警告を発表した。これによって韓国では、ラーメンや乾パンなどの非常食や、ミネラルウォーターの買い占めが起こっている。韓国はまさに、「第2次朝鮮戦争開戦前夜」といった緊迫した状況なのである

そんな中、ケリー米国務長官が、4月12日から15日まで、韓国、中国、日本と北朝鮮を取り巻く3ヵ国を回る、東アジア初外遊に出た。

 アメリカ国務省関係者が語る。

「わが国はいままさに、韓国と合同軍事演習の最中で、いつでも実戦に移す準備はできています。今回のケリー国務長官の3ヵ国訪問で最重要だったのは、中国訪問でした。新指導者の習近平は、金正恩を救おうとしているのか、それとも滅ぼそうとしているのかを、しっかり見極めようとしたのです」


 これまでの東アジア地図は、日米韓vs.中朝という対立の構図だった。前世紀末に世界の冷戦構造が崩壊したが、東アジア地域だけはいまだに、冷戦構造を引きずっているからだ。

8割の確率で戦争が起きる

 だがこの伝統の図式に最近、異変が起こっている。それは、中国の態度の変化である。

 習近平政権は、いまの大荒れの北朝鮮をどう見ているのか。中国の外交関係者が明かす。

「かつて毛沢東と鄧小平は金日成を、朝鮮戦争を共に戦った"血を分けた誼"と見なしていた。続く江沢民と胡錦濤は金正日を、兄弟国の"特別な弟分"と見なしていた。金正日は計7回訪中したが、北京へ来れば必ず中国共産党のトップ9が全員揃って歓待する習慣があった。

 だが習近平は金正恩を、単なる"物騒な若造"としか見ていない。だから、北朝鮮のミサイル実験や核実験を受けて、いともあっさりと、北朝鮮への重油・食糧・肥料の援助ストップを決断したのだ。

 わが国にとって絶対に看過できないのは、朝鮮戦争時代の悪夢である米軍が北朝鮮に侵入してくることだけだ。それさえなければ、いつ核兵器の矛先をわが国に向けてくるか知れない金正恩という狂った指導者など、いつ失脚しても構わない。それが習近平新主席のホンネだ」


 この中国の外交関係者によれば、中国外交部では、北朝鮮人のことを「棒子」と呼ぶ。トウモロコシばかり食べている棒のような奴という意味だ。また、金正恩第一書記のことは「三胖児」(デブの三男坊)という隠語で呼んでいるという。それくらい、いまの北朝鮮と金正恩を蔑視しているというわけだ。

 4月10日には、中国共産党機関紙『人民日報』が発行する中国最大の国際情報紙『環球時報』に、中国で最も有名な北朝鮮研究者の張瑰・中国共産党中央党校教授が、次のような原稿を寄せた。

〈朝鮮半島に近く戦争が起こる確率は、7割から8割くらいあるだろう。北朝鮮にとって武力統一は、昔からの既定路線だからだ。金正恩は、金日成と金正日が成し遂げられなかった祖国統一を、いまこそ果たそうとしているのだ。

 北朝鮮の国民は幼少時から、「朝鮮はアメリカと日本に勝利した軍事大国である」と教えられて育っている。金日成軍事総合大学の軍事関係者は、「アメリカを倒すのは、掌を返すくらい容易だ」と豪語しているほどだ。

 先日、朝鮮中央テレビは、3日間で韓国を占領するというシナリオの映像を流した。1日目に韓国の重要拠点を占領し、15万人の米兵を捕虜にする。2日目に韓国の大多数の都市を占領し、3日目にその他の地域を占領するというものだ。朝鮮労働党機関紙『労働新聞』は、「朝鮮は世界中でアメリカに対抗できる唯一の国である」と誇っているほどだ〉


 まさに皮肉たっぷりの筆致で北朝鮮の「井の中の蛙」ぶりを強調しているのだ。

 だが、張教授が述べている「7割から8割の確率で第2次朝鮮戦争が勃発する」という予想は、すなわち中国政府の見解に他ならない。前出の韓国国防部関係者が続ける。

「北朝鮮は、南北の局地戦ならば、米軍は参戦しないと踏んでいるようだ。だが、実際にはアメリカは、三つの条件さえ整えば、第2次朝鮮戦争に参戦する可能性が高い。それは、第一に北朝鮮の核やミサイルによって自国の脅威が増すこと。第二に戦争によって自国の兵士の損失が最小限に抑えられる見通しがつくこと。そして第三に中国の後押し、もしくは少なくとも黙認が得られることだ」


 前述のような習近平政権の"反金正恩政策"を見ると、金正恩除去に向けて米中が手を組むというシナリオは、十分考えられるのである。

死傷者は400万人


 それでは実際に、南北衝突となった場合、どのようなシナリオが想定されるのか。軍事評論家の世良光弘氏が解説する。

「第2次朝鮮戦争になった場合、北朝鮮は38度線沿いにある数千基の砲台から、ソウルへ向けて一斉砲撃します。合わせて、スカッドミサイルもソウルへ向けて撃ち込みます。

 しかし米韓は、その前にB2ステルス爆撃機を発進させ、精密誘導爆弾で38度線の砲門や主要ミサイル基地を爆撃します。B2爆撃機の護衛には、F22ステルス戦闘機が当たります。

 これに対し北朝鮮は、ミグ29戦闘機が迎撃しますが、まともに稼働するのは30機程度で、たちまち撃墜されるでしょう。その間にも米韓は、F15EストライクイーグルやB52爆撃機、ホーネット戦闘機などを投入します。また海からはトマホーク巡航ミサイルで平壌を爆撃します。そうして制空権を完全に押さえた後、戦車部隊やストライカー戦闘旅団などの地上部隊が38度線を越えて進軍します。

 こうして北朝鮮全域を制圧するには、3ヵ月くらいかかるでしょう。それでも山岳地帯の坑道に隠れるであろう金正恩の身柄を拘束するには、それ以上の時間がかかります」


 かくしてイラクのサダム・フセインのように、金正恩も拘束されて、戦争は完全終結となる。その後、北朝鮮には、米中韓、それに日本とロシアも加わった5ヵ国との協調政権が樹立されるというシナリオだ。

 だがこのシナリオが現実のものとなれば、第1次朝鮮戦争と同様、400万人規模の死者を出すだろう。ちなみに中国は、金正恩から亡命要請が来ても、断るという。

「週刊現代」2017年4月27日号より                             ※原文では2013年4月27日号
だが、核兵器が使用されれば死傷者は400万人では済まない、南北朝鮮と日本で更にその10倍以上は覚悟しなくてはならない。 

長嶺安政駐韓日本大使を帰任させたのは、邦人の韓国脱出計画の為であることは、もはや周知の事実であろう。
(在韓米軍・韓国軍関係者が)しゃべり過ぎる…

 「都民ファースト」を標榜する東京都の小池百合子知事でも、学校法人「森友学園」を一躍有名にした籠池泰典氏でもない。在韓米軍や韓国軍が、唖然とするほど「饒舌」なのだ。

 韓国軍関係者が地元メディアを通し、北朝鮮指導部「除去」を狙った、韓国軍隷下に入らない米軍特殊作戦部隊の動きをリークするかと思えば、在韓米軍が北の大量破壊兵器(WMD)施設破壊を狙った秘密訓練を明らかにする。過去の事例に照らせば、朝鮮労働党の金正恩委員長への「警告」と断言するところだが、日を追って現実味を増す朝鮮半島有事を考えると、もはや「警告」の時期は過ぎた。

 むしろ、机上に並ぶ数多の作戦計画を小出しにし、部隊移動はじめ、慌てて防衛態勢を変える北朝鮮・朝鮮人民軍の動きを釣り出しているのではないか。籠池氏は衆議院予算委員会の証人喚問で、「事実は小説よりも奇なりであります。私が申し上げていることが正しゅうございます」と強弁した。今、朝鮮半島では、戦争小説でも表現できぬほどの恐ろしい事態が起きようとしている。

 「特殊部隊中の特殊部隊」の隠密行動までリーク

 在韓米軍は3月14日、「米陸第66機甲連隊第3大隊によるソウル北郊・京畿道議政府市の米軍基地キャンプ・スタンレーでの、北朝鮮の坑道掃討訓練実施」を公表した。北朝鮮の地下坑道を模した施設に侵入し、敵を片付ける訓練で、特に、大量破壊兵器の発射支援施設や貯蔵施設を破壊したり、地下坑道で息を殺す金正恩氏を含む指導部の主要幹部を除去したりする作戦が念頭にある。

 秘匿すべき具体的担任部隊名や訓練地、訓練目的まで事細かに説明する念の入れようだ。

 前日の3月13日にも、驚きの“発表”があった。韓国メディア・中央日報は、次のような趣旨を報じた。

 《指揮所演習キー・リゾルブ(KR)と合同野外機動演習トクスリ(FE=フォール・イーグル)への参加を前提に、史上最大規模の米軍特殊作戦部隊群が来韓する》

 《来韓するのは、最精鋭の統合特殊作戦コマンド(JSOC)に所属する海軍のネイビー・シールズ(チーム6)や陸軍のデルタフォース。他に陸軍のグリーン・ベレーやレンジャーなど》

 《金正恩氏と金指導部の除去や大量破壊兵器破壊が高烈度訓練の目的だ》

 複数の《韓国軍関係者》への取材で記事を書いているが、米軍の訓練、しかも特殊作戦部隊の訓練内容を、米軍ではなく《韓国軍関係者》が「代弁」していた。自衛隊との関係でも、米軍が最も嫌がる「他軍による自軍の編制・作戦目的報道」だ。

 とりわけ、《ネイビー・シールズのチーム6》の「消息」を暴露する報道には、衝撃を受けた。ネイビー・シールズが韓国内で演習に加わった例はあるが、チーム6の訪韓は「初めて」と記憶する。もっとも、「機密の塊」ゆえに、初訪韓か否かの事実確認は不可能だ。

 「機密の塊」といえば、「特殊作戦部隊の中の特殊作戦部隊」と畏敬されるチーム6だが、《ネイビー・シールズのチーム6》との表現は正確ではない。

 ネイビー・シールズは地域別に担任が決まっているナンバーリングされた複数のチームを抱える。ところが、チーム6は独立した存在で、部隊名も《DEVGRU》と変更されて久しい。シールズの現役隊員より選抜されるが、1週間もの間、不眠不休で任務を完遂するなど、驚異的な体力・精神力を問われる。訓練時での死者・脱落者も多いと聞く。

 米国政府は、DEVGRUの存在自体を認めていないが、パキスタンのアジトに潜伏中だったイスラム・テロ組織アルカーイダの首魁、ウサマ・ビン・ラーディン(1957~2011年)を暗殺した強襲作戦《ネプチューン・スピア=海神の槍》を成功させたエリート部隊と言えば、スゴ腕が理解できる。要人暗殺に加え、大量破壊兵器の発射基地や貯蔵施設などの破壊も得意技の一つだ。

 米軍の「饒舌」は、米軍の「ヤル気」の現れではないか。北朝鮮が、米国に届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発とその燃焼実験を一定程度成功させれば、米軍は「ヤル」。なので、核戦力も含む先制攻撃や金正恩氏の首級を取りに行く《斬首作戦》など、米韓連合軍が過去に作成した各種作戦計画を網羅し、多種多様な戦法を蓄積している《作戦計画5015》の一部を小出しに発表・リークして、それに引きずられて動き出す朝鮮人民軍の移動などを観察・分析しているのだ。

 確かに、朝鮮人民軍の部隊行動は見えにくい。地下に掘られた坑道陣地をうまく活用しているためだ。従って、前述した特殊作戦部隊は朝鮮人民軍の高級佐官~将官級+朝鮮労働党大物幹部の誘拐や、軍のコンピューター&ソフト強奪を謀り、朝鮮人民軍の配置や兵力、金正恩氏や指導部幹部の地下居所の所在などを突き止める重要任務も帯びる。情報確度が高ければ、特殊作戦部隊は韓国に戻らず暗殺や爆撃標的誘導などを決行する。

 坑道陣地は「弱さの裏返し」でもある。朝鮮人民軍、特に空海軍は老朽化が激しく、戦闘機の8割近くが1960年前後に製造・運用が始まった年代モノ。通常兵器では米韓にかなわぬ北朝鮮が、核・ミサイル開発にひた走る理由がここにある。

 米韓軍は圧倒的航空・海上優勢を背景に、緒戦で徹底的な空爆・艦対地攻撃を仕掛ける。そこで、朝鮮人民軍の陸軍は司令部や弾薬などを集積する兵站拠点を坑道内に置く。火砲や地対艦ミサイルも坑道内を移動して、射撃時に「顔」を出す。

 空軍の軍用滑走路は低山の斜面をえぐって造られ、軍用機は通常、滑走路横の低山内の坑道に格納される。海軍基地も、沿岸部をくりぬいた坑道内に小型艦艇/小型潜水艦・潜水艇/半潜水艇を収容する。この種の海軍艦艇は、戦端が開かれる前や直後に工作員や特殊作戦部隊員を乗せ韓国近海に侵入、上陸して要人テロや軍・政治・経済中枢破壊を実行するプラットフォームになる。

 邦人救出を阻む「反日の壁」

 折しも、釜山・日本総領事館前の慰安婦像設置問題で帰国中だった長嶺安政駐韓大使と森本康敬釜山総領事が帰任した。日本政府は、5月に予定される韓国大統領選の「情報収集」が主目的だと強調するが、小欄は優先順位は大統領選ではないと思っている。朝鮮半島有事に備えた邦人保護計画の具体的立案が急務だと、遅ればせながら焦り始めたに相違あるまい。何しろ、外務省の海外在留邦人数調査統計によれば、2015年10月1日現在で韓国に滞在する邦人は3万8060人もいる。

 在外米国人の救出・収容の圧倒的なノウハウを蓄積する米国ですら、在韓民間米国人の脱出訓練を毎年実施。昨年11月には、7年ぶりに在日米軍基地まで、実際に避難・誘導する訓練を復活させた。今年1月には、在韓米軍の家族が、核シェルターが完備されていると観測される沖縄県内の米軍基地への避難訓練を経験。対化学・生物兵器用防護服の装着も実習した。

 果たして、在韓邦人の救出準備は「来るべき日」に間に合うのか。政府全体の危機意識は十分とは言い難いが、自衛隊は真剣に向き合っている。

 例えば、米軍とタイ軍主催の多国間軍事演習コブラゴールドに参加した自衛隊は2月、在外邦人保護の訓練をタイ海軍の航空基地などで行った。

 イスラム武装集団がアルジェリアの天然ガス精製プラントを急襲し、日本人10人を含む8カ国37人が死亡した2013年の人質事件後、自衛隊法改正で在外邦人の陸上輸送が可能になった。2016年施行の安全保障関連法で、保護や輸送時の妨害を排除するための警告射撃も認められた。タイでの訓練は、安保関連法に基づく国外初の訓練となった。邦人と共に退避した米国民間人を、米軍やタイ軍と連携して保護するシナリオも盛り込まれた。

 訓練は「仮想国」で「災害」が発生して政情が不安定化したと想定。集まった在留邦人や米国人らを、軽装甲機動車などで警護しながら空港へ送り届け、邦人らはC130輸送機に乗り込んだ。

 災害と有事では作戦内容や装備が大きく異なるとはいえ、貴重な体験をした自衛隊は、「仮想国」での「災害」だけでなく、「韓国」での「有事」も意識したに違いない。安保関連法施行によって、海外で人質として拘束された邦人を自衛隊自らが救出することも法的に許されるが、タイでの訓練では見送った。

 親日国タイでの邦人保護はスムーズにいったが、韓国内では、自衛隊の救出部隊が足を踏み入れることに、反日的国民の顔色をうかがう韓国政府が拒否する恐れが高い。そればかりか、自衛隊に代わり在韓米軍が救出・誘導した邦人を日本に輸送すべく出動する航空自衛隊・輸送機や海上自衛隊・護衛艦&輸送艦の着陸・接岸さえ、許可しない懸念も残る。釜山総領事帰任で、韓国政府は、旭日旗を掲げた海自護衛艦が釜山港に入る雄姿を想像し、今から脅えていることだろう。

 邦人の救出・保護・誘導・輸送上の課題は、韓国側の難色の他、日本国内にもある。戦況次第では、憲法・法律上の要件をクリアできず、自衛隊が戦時の朝鮮半島に近づけぬケースが想定される。

 その場合も、残念だが米軍に邦人輸送を依頼する方向となる。当然ながら、米軍の輸送艦や強襲揚陸艦が在韓邦人らを乗せ日本に向け公海上を航行中に、朝鮮人民軍が攻撃してくれば、米艦を護衛する自衛隊は安保関連法上、反撃できる。ただ、《わが国と密接な関係のある他国に対する武力攻撃が発生し、わが国の存立が脅かされ、国民の生命などへの明白な危険がある》死活的状況を前に、日本政府が《存立危機事態》を認定する前提が立ちはだかる。

 サヨクや左傾野党の「大声」におじけづき存立危機事態の認定に手間取れば、邦人のみならず米艦への危険も増す。無駄な議論などしている時間はないと、覚悟を決めておかねばならない。

 ところで、韓国政府が自衛隊を受け容れられぬ理由は「反日」以外にも予想される。朝鮮戦争(1950~53年休戦)時の李承晩大統領(1875~1965年)に象徴されるが、韓国の為政者は危機に際して真っ先に遁走する。最高司令官の遁走にパニックを発症し、もともと弱い軍も潰走してしまう。国内は混乱の極みで、日本人どころではなくなる「文化」は、数々の歴史が証明する。

 結局、国内外の日本人全員に、「自身の身は自身で守る」という基本への覚醒・自覚・学習が必須となる。

 韓国内の日本人に限って言えば、まず警戒すべきは朝鮮人民軍の火砲。ソウル中心部は、南北の軍事境界線から30キロしか離れておらず、170ミリ自走砲や地対地ロケット・フロッグ7の射程なら余裕で届く。新型の300ミリ多連装ロケット砲に至っては、ソウルを越えて韓国中部を襲える。

 中部以北の在韓日本人は取りあえず、中部以南に退避する必要がある。が、韓国全土や日本を射程に収めるミサイルも有しており、北朝鮮のミサイル発射基地などを先制破壊する以外に、韓国や日本に暮らす人々の一定レベルの安全は保障されない。

 米下院が3日、北朝鮮をテロ国家に再指定する超党派の法案を可決した際、北の国営メディアはいつものように噛み付いた。

 「爆発前夜に追い込む措置だ」

 核・ミサイル開発を止めない北朝鮮自らが「爆発前夜」を創り出しているのだが、「爆発」は米軍が先になるのかもしれない。
在韓米軍関係者や韓国軍がさかんにリークするのは、まだ準備が全くできていない、戦う覚悟がない関係者だと思える。可能な限りリークしてトランプ政権に抵抗していると、私は読む。

実に野口氏の指摘は目から鱗だ。

現実問題、邦人の短期大量脱出は困難極まりない。脱出船や航空機に紛れ込もうとする朝鮮人をどう排除するか。反日韓国に日章旗を掲げた自衛艦は接岸できないだろう。

ナッチャンやはくおうを自衛隊特別目的会社としたのには防衛省の深謀遠慮があったのかと思う。

とはいえ、かつて占領下の日本でも、朝鮮戦争には機雷掃海以外に、輸送業務も行っていた。驚くことに、仁川上陸作戦にも参加していたので、超法規的措置はとられると思う。
トランプ政権がシリア軍事施設へのトマホーク巡航ミサイルによる攻撃を実施した。日本のメディアの間では、「次は北朝鮮核兵器関連施設への空爆か?」あるいは「いよいよ斬首作戦(米国軍と韓国軍による金正恩排除作戦の名称)実施か?」といった憶測が飛び交っている。

シリア情勢と北朝鮮情勢の類似点

 たしかに「シリアのアサド政権と米国」「北朝鮮の金正恩政権と米国」という2つの対決軸には構造的に類似した点も少なくない。

 シリアも北朝鮮も、米国が忌み嫌う「大量破壊兵器(核兵器、生物化学兵器)拡散」の直接当事者である。そして米国に言わせると、シリアも北朝鮮も、アサド政権と金正恩政権という独裁者政権であり国民を抑圧している。

 米国ではかつてオバマ政権が「化学兵器の使用はレッドラインを越えることを意味する」と強い警告を発していた。同様に「北朝鮮によるICBM(米国本土に届く核弾頭搭載大陸間弾道ミサイル)の完成はレッドラインを越える」という警告も発している。

 また、アサド政権の背後にはロシアの存在があり、北朝鮮の背後には(表面的には金正恩政権非難を強めているが)中国が存在する。ロシアはウクライナを侵攻し、東ヨーロッパ諸国に対する軍事的脅威を強めつつある。同様に中国も南沙諸島に軍事拠点を建設し、南シナ海そして東シナ海沿岸諸国に対する軍事的脅威を高めつつある。

 だからといって、「シリア+ロシア」ならびに「北朝鮮+中国」をひとくくりにして米国に対する敵勢力とみなすこともできない。米国には、ロシアとも中国とも協調しなければならないというジレンマが存在している。

 現在戦闘中の対IS戦争では、アサド政権もロシアも、ISと戦っている。とりわけロシアの攻撃力はISを崩壊させるために極めて重要である。したがって、トランプ政権としても、プーチン政権によるアサド支援やウクライナ情勢などにはある程度目をつぶっても、ロシアとの協調を望んでいた。

 また、中国に対しても、中国が国連決議に従い対北朝鮮経済制裁を実施すると言いつつも、北朝鮮と中国の間を石炭運搬船や貨物船が行き来している状況を米国が把握していないわけではない。北朝鮮軍情報機関が満州内のとある施設で人民解放軍情報機関と同居し活動していることも米軍情報機関は承知している。つまり、中国と北朝鮮がある意味で“仲間”になっていることは暗黙の事実だ。にもかかわらず、金正恩政権の暴走を少しでも制御するには中国共産党の力が必要なことも、トランプ政権としては認めざるを得ない。したがって、北朝鮮を押さえるには、中国による南シナ海や東シナ海での覇権主義的な動きにはあえて触れずに、中国に協力を求めるしかないことになる。

 米国はこのようなジレンマを抱えつつ、「レッドラインを越えた」アサド政権に対して直接的軍事攻撃を仕掛けた。この攻撃を北朝鮮および背後の中国に対する脅しと考えることは可能である。

北朝鮮軍事攻撃に立ちはだかるハードル

 しかしながら、シリアと北朝鮮では数々の相違点がある。

 まず、シリアも北朝鮮もそれぞれ大量破壊兵器を保有しているが、北朝鮮の場合は米国本土に届くICBM(大陸間弾道ミサイル)を手にする秒読み段階にまで達している。

 また、シリアには米国本土や米国の前進拠点に対する反撃能力はないが、北朝鮮には韓国や日本の米軍諸施設はもとよりグアムの米軍基地にすら反撃を実施する弾道ミサイル戦力が存在する。したがって、北朝鮮が米国にとっての「レッドライン」を超えた場合、米国すらも直接被害を被りかねない。シリアをミサイル攻撃する場合は米軍の損害を考える必要はないが、北朝鮮の場合は韓国や日本に展開する米軍も損害を被ることを織り込まねばならないのだ。

 それだけではない。シリアの軍事攻撃目標は、今回のミサイル攻撃の状況を映し出したロシアのドローンの映像でも明らかなように、地上にむき出しの航空施設や建造物がほとんどである。それに対して、北朝鮮の軍事攻撃目標の多くは地下施設や山腹の洞窟施設である。

 それらの地下式施設を、今回のシリア攻撃で用いたトマホーク巡航ミサイルで破壊することは不可能に近い。そうした強固な軍事施設を破壊するには、どうしても大型貫通爆弾(GBU-57 MOP)が必要である。これは巡航ミサイルには装着できず、B-2ステルス爆撃機(一機に2発搭載可能)で攻撃する必要が生ずる。

B2ステルス爆撃機に装着されたGBU-57大型貫通爆弾
 さらには、シリア軍の軍事施設や化学兵器関連(と米国がみなす)施設の所在はおおかた判明しているのに反して、北朝鮮の大量破壊兵器や弾道ミサイルに関連した地下施設の大半は位置すら判明していない状態だ。いくらステルス爆撃機で接近可能であっても、また、大量の巡航ミサイルを精確に撃ち込むことが可能であっても、攻撃目標の正確な位置が判明していなければ攻撃できない。

韓国への反撃は確実、おそらく日本にも

 そして何よりも決定的な問題点(米国にとっての)は、北朝鮮に対する軍事攻撃は“確実に”韓国(とりわけソウルとその周辺)に対する激烈な報復攻撃と、“おそらくは”日本に対する報復攻撃も引き起こしてしまうことである。

 すでに本コラム(2017年3月30日「米国で北朝鮮攻撃が議論の的に、日本は備えを急げ」)で指摘したように、米国による北朝鮮軍事攻撃の直後に、ソウルとその周辺に対しては無数の砲弾とロケット弾が雨あられと降り注ぐことになる。その事態をどのように考えるのかが、米国軍関係者の間では議論の焦点になっている。

 いずれにせよ、トランプ政権が北朝鮮への軍事攻撃を決断するには、広島・長崎に原爆を投下した際と類似した理論を持ち出さざるを得ない。

 つまり、「韓国や日本における一般市民の犠牲は、米国本土がICBM攻撃された場合に生ずる損害を防ぐためにはやむを得ない犠牲と考えざるを得ない。また、北朝鮮が核兵器を手にした場合、韓国や日本自身でもさらに多くの人々が犠牲になりかねない。そのような悲惨な事態を抑止するための軍事攻撃であり、そのための犠牲は甘受せざるを得ない」──といった正当化理論である。

 米国第一主義を掲げるトランプ大統領にとっても極めてハードルが高い決断にならざるを得ないだろう。

極度に困難な立場の日本政府

 今回の米国によるシリア攻撃に対して、日本政府は「化学兵器拡散を抑止するための正しい決断であった」とトランプ大統領の決断を高く評価し、支持を表明した。

 しかし、米国による北朝鮮攻撃に対して日本政府はこれまで通りに「イエスマン」であり続けるわけにはいかない。

「大量兵器拡散を抑止するための北朝鮮軍事攻撃」がトランプ政権のテーブルの上にあがっている現在、日本政府は「報復攻撃の結果生ずる在韓邦人の犠牲や、日本への弾道ミサイル着弾による惨状」を避けつつ北朝鮮の暴発を抑止しなければならないという、極度に困難な立場に立たされているのだ。

実務者がいないというネック

次の日付は4月30日。いま日本海では史上最大規模の米韓合同軍事演習が続いている。その最終日が30日なのだ。演習には最新鋭爆撃機やアルカイダのオサマ・ビンラディンを急襲、殺害した米海軍の特殊部隊「SEALs」も参加している。先制攻撃に踏み切るとすれば、演習中に実戦に切り替えるのが手っ取り早い。

3つ目は韓国大統領選がある5月9日だ。大統領選では最大野党、「共に民主党」の元代表、文在寅(ムン・ジェイン)候補が最有力視されている。親・北朝鮮でウルトラ反日と言われる文氏が大統領になると、米国は北朝鮮に手を出しにくくなる。同盟国である韓国も敵に回しかねないからだ。

以上から、トランプ政権が先制攻撃を決断するとすれば、当面は4月の米中首脳会談から4月30日、ぎりぎり5月9日までが要注意になる。

とはいえ結局のところ、そんな早いタイミングで先制攻撃するのは難しいのではないか。なぜか。

根本的な理由は、まだ政権自体の基盤が固まっていないからだ。閣僚人事の議会承認も終わっていないうえ各省も空席が多い。政権交代に伴って約4000人の幹部官僚が政治任用で入れ替わるはずなのに、国防総省や国務省でさえ多くのポストが埋まっていない。

戦闘自体は軍の仕事だが、戦闘後は国務省や国防総省など官僚の出番になる。後始末をどうするかを固めないまま、戦闘に踏み切るなどありえないだろう。いまは戦闘後のデザインを描いて、落とし所を探る実務者がいないのだ。

94年の朝鮮半島危機も参考になる。

日本は当時、細川護煕政権から羽田孜政権への移行期だった。羽田内閣で官房長官を務めた熊谷弘氏が2012年4月、日本経済新聞のインタビューに答えて、当時の状況を概要、次のように語っている(http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS1102B_R10C12A4000000/)。

「北朝鮮危機を日本政府が認識したのは93年、宮沢内閣末期に北朝鮮がノドンミサイルを日本海に発射したときだ。その後、細川内閣になって核開発の疑惑もあることが分かり、米国は北朝鮮の核関連施設を爆撃する計画を立案した。米国は日本政府も危機感を共有すべきだと事あるごとに対応を促してきた。普段なら日本には姿を見せない米中央情報局(CIA)長官が来日して政府要人を回ったこともあった」

「羽田内閣の発足時、官房長官として私の頭の中にあったのは北朝鮮危機だけだった。当時は経済問題では米国にたたかれていたが、現実の危機を前にして現行法でできる限り米国を支援しようと考えた。それには憲法解釈を変え、集団的自衛権の行使も考えざるを得ない。私は集団的自衛権の行使で内閣がつぶれるなら構わないと覚悟した」

「そろそろ結論を出そうと思っていた94年4月ころ、米国のプレッシャーがふと緩んだ。深夜に羽田首相と私、柿沢弘治外相、石原官房副長官、斉藤邦彦外務次官らが集まって情勢を分析すると、外務省には『米国が直ちに作戦を実行する状況ではなくなった』という情報が入ってきたという」

「半年後に分かったことだが、そのころホワイトハウスで『空爆した場合、北朝鮮軍の反撃で60万人の死傷者が出る』という想定が米軍トップからクリントン大統領に伝えられ、大統領が空爆を断念したということだった。米側は対話路線に転換し、カーター元大統領の訪朝準備に入っていたようだ」

その後、カーター元大統領が訪朝し、先に紹介した米朝枠組み合意につながっていく。

日本国内にも異変が出てくるはず

北朝鮮は「攻撃されたらソウルを火の海にする」と脅した。実際に38度線の北側には大量の大砲が配備されていた。米国が一挙に大砲網を殲滅するのは不可能で、韓国の軍人や民間人はもとより駐韓米軍や家族にも被害が及ぶのは避けられない、とみたのだ。

この情勢はいまも変わっていない。それどころか今回、北朝鮮が反撃すれば、被害はソウルにとどまらず、日本にも及ぶ可能性が極めて高い。北朝鮮は先のミサイル発射で「仮想目標は在日米軍」と明言している。

当然、基地周辺も安全とは言えない。つまり朝鮮半島危機は、すなわち日本の危機なのだ。オサマ・ビンラディンの捕捉作戦どころではない。日中韓を巻き込む一大事になる可能性が高い。そんな作戦を足腰が固まらないトランプ政権がいま決断できるかどうか。

本当にトランプ政権が武力行使を決断するなら、94年の経験から見ても当然、日本に対して早いタイミングで打診があるだろう。そもそも日本が後方支援するには、重要影響事態であれ存立危機事態であれ、閣議決定しなければ何もできない。

閣議決定の前には、相当な緊張感が政府内にみなぎっているはずだ。異変を察知するメディアも出てくるだろう。いずれにせよ、ここ数カ月が山場である
ティラーソン国務長官は、北朝鮮攻撃前には日本に相談すると言っている。
おそらく、日本に通知するとしたら、残念ながらおそらく攻撃30分前だろう・・・

4/15の明日がXデイでもなく、4/30~5/9でもなく、北村氏が言うようにまだ時期尚早ではないか?米軍が準備できていない。現実に作戦を実行するとすれば駐韓米軍家族の避難後である。

日米が充分にミサイル防衛の準備をするのが早いか、北朝鮮が米国を核攻撃する準備が先か?もうギリギリの選択肢しか残っていない。

私が、トランプであれば、密かに米軍家族を脱出直後、中国に北からの侵攻を行わせる。そして北朝鮮が中国侵攻に動揺したところで、ソウルを攻撃可能な火砲陣地と、ミサイル施設を米軍の全能力を使い、出し惜しみせず破壊し尽くす。

韓国地上軍と在韓米軍は中国軍とは交戦しない範囲で北朝鮮を占領することになり、北朝鮮は米中ロによる国連占領統治国とする。

北朝鮮市民は、残念ながら多大な犠牲者が出るだろうが、やむを得ない戦略である。

半田氏の記事を文字数の関係から全文転載できない。できたらリンクから読んでほしい。
(略)
北朝鮮の弾道ミサイル迎撃を想定すると、イージス護衛艦「こんごう型」4隻のうち、2隻を日本海に配備する。搭載するSM3は1隻あたり8発とされ、1発の弾道ミサイルに対し、万全を期すために2発のSM3を発射する場合、対処可能な弾道ミサイルは8発程度となる。

では、北朝鮮は弾道ミサイルを何発持っているだろうか。

2013年5月、米国防総省が発表した「朝鮮民主主義人民共和国の軍事および安全保障の進展に関する報告」によると、日本まで届く弾道ミサイルは「スカッドC」(九州北部、中国地方)、「スカッドER」(本州全域)、「ノドン」(日本全域)の三種類あり、合計250基以上の発射器を保有するとしている。

一斉に発射されれば、イージス護衛艦ではたちまち対処不能となり、PAC3が「最後の砦」となる。

だが、自衛隊はPAC3を32基を保有するにすぎない。2基1セットで活用するので防御地点は16ヵ所に限定される。防衛省は首都防衛に6基使うため、PAC3で防御できるのは残り13ヵ所。しかも1ヵ所あたりの防御範囲は直径約50キロと狭い。

米軍が沖縄県の在日米軍基地を防衛するため嘉手納基地にPAC3を24基配備しているのと比べ、日本列島全体を32基で守ろうというのは破れ傘、いや骨だけの傘で雨をしのごうというのに等しい。

これが日本のMDの現実である。


軍事的合理性や費用対効果の面から当初、自衛隊の制服組はMD導入に反対した。これに対し、2002年当時の守屋武昌防衛事務次官は「米国はMD開発に10兆円かけた。同盟国として支えるのは当然だ」と主張して導入の旗を振り、「防衛庁の守護神」といわれた山崎拓元防衛庁長官が後押しする形でMD導入は翌03年に閣議決定された。きっかけは対米追従だったのだ。

導入が決まると「MDシステムは相手に弾道ミサイル攻撃を思いとどまらせる拒否的抑止の効果がある」など後付けの理屈が考案されたが、「効果がある」のは意図を汲んでくれる相手でなければならない。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長はそんな人物だろうか。

「やられる前にやれ」の根拠

今回の自民党提言は、地対空ミサイルのイージスアショア(陸上配備型イージスシステム)やTHAAD(高高度地対空ミサイル)の導入を提言しており、「現状は不十分」と認めたのと同じことだ。問題はカネである。

現在のMDシステムは初期配備に1兆円、その後の改修などを含めれば1兆4000億円の防衛費を投じた。イージス護衛艦、地対空ミサイル「パトリオット」という自衛隊保有の武器を改修したにもかかわらず、これほどの出費を強いられた。

一から導入するイージスアショア、THAADが極めて高額の防衛費を必要とするのは自明だろう。

しかも米政府の提示する価格、納期で購入が義務づけられる対外有償軍事援助(FMS)となるのは確実なため、「いつ、いくらでどう提供するか」は米政府次第となり、武器を媒介にした米国による日本支配が強化されるのは間違いない。トランプ米政権の掲げる「アメリカ・ファースト」を後押しすることにもなろう。

あらたに追加配備したとしても100%の迎撃は困難だ。北朝鮮は3月、中距離弾道ミサイル4発を同時に発射し、うち3発を日本の排他的経済水域に落下させた。

MDシステムは遠方の弾道ミサイルを補足するためレーダー波を絞り込み、限られた範囲しか見えなくなるため、連射には対応できない。3月の4発連射はそうした弱点を北朝鮮が熟知していることを示したといえる。

日本列島には休止中も含め54基の原発がある。使用済み燃料棒が原発建屋の天井近くに保管されている事実は、東日本大震災の福島第一原発の事故で世界中に知れ渡った。通常弾頭であっても命中すれば、放射性物質の拡散により大惨事となるおそれがある。

また核弾頭を搭載したミサイルであれば、落下地点やその周辺一帯が壊滅的打撃を受けるのは確実である。

自民党提言は、迎撃失敗による甚大な被害が生じる可能性にはまったく触れず、MDシステムをもっと強化しろと主張する。

だが、弾道ミサイルとMDシステムは「矛」と「盾」の関係にあり、競い合いには際限がない。MDシステムを強化すれば、日本攻撃を意図する他国は、この「盾」を打ち破る「矛」を必ず開発するはずである。

そうしたジレンマの解消策だろうか、自民党提言は「敵基地反撃能力」との呼び方で敵基地攻撃能力の保有も主張する。あえて反撃としたのは先制攻撃ではないかとの批判を避ける狙いであろう。

いずれにしても弾道ミサイルが落下する前に発射基地を攻撃する能力を持つべきだ、との主張で、有体にいえば「やられる前にやれ」というのだ。

根拠にしたのが1956年鳩山一郎内閣が示した政府見解である。「誘導弾等の攻撃を受けて、これを防御するのに他に手段がないとき、独立国として自衛権を持つ以上、座して死を待つべしというのが憲法の趣旨ではない」として敵基地攻撃を合憲とした。

1990年代以降、北朝鮮による弾道ミサイルの発射が繰り返されるたび、主に自民党議員が敵基地攻撃能力の保有を求めてきたが、政府は自衛隊が保有できる兵器を「自衛のための必要最小限度のものでなければならない」とし、「自衛隊には敵基地攻撃能力はない」と答弁してきた。

本当に「ない」のだろうか。

基地攻撃は簡単ではない


かつては航続距離が長いと周辺国の脅威になりかねないとの理由から、米国から導入したF4戦闘機から空中給油装置を取り外した。

だが、1980年代に調達したF15以降の戦闘機は空中給油装置を外すことなく、飛びながら燃料供給できる空中給油機も導入、航続距離の問題は解消した。

戦闘機を指揮する管制機能を持つ空中警戒管制機(AWACS)については、1976年に函館空港へソ連の戦闘機が強行着陸した事件をきっかけに、まずE2C早期警戒機を買い入れた。次にE2Cでは能力不足として、高性能のAWACS導入を実現した。

敵基地攻撃は、戦闘機が空中給油を受けながら長距離を飛行し、AWACSの管制を受ける。敵基地が近づくと電子戦機が妨害電波を出して地上レーダーや迎撃機をかく乱させるなど複数の航空機を組み合わせる必要がある。

航空自衛隊で保有していないのは、電子戦機だけだったが、2008年から2人乗りのF15DJ戦闘機を改修して電子妨害装置を搭載する開発に取り組み、成功した。

最後は敵基地への爆弾投下である。航空自衛隊は2005年から日本の演習場ではできない実弾の投下訓練をグアムで開始した。当初は通常の爆弾だったが、2012年から衛星利用測位システム(GPS)衛星を利用した精密誘導装置付き爆弾(JDAM)に切り替え、精度を増した。

より正確な爆撃のため、2014年にはイラク戦争で米軍が使ったのと同じタイプのレーザー光線で誘導するレーザーJDAMを導入。この年の日米豪共同訓練で、F2戦闘機が投下し、目標に命中させている。

現在、自衛隊が保有する航空機や爆弾を組み合わせれば、米軍に近い敵基地攻撃能力を持つことになる。自民党提言は巡航ミサイルの保有も挙げており、攻撃態勢はさらに充実することになる。

だが、北朝鮮の基地攻撃は簡単ではない。

日本が壊滅するおそれがあるならば

攻撃対象となる弾道ミサイル基地は、日本海に面した東岸の舞水端里(ムスダンニ)、黄海に面した西岸の東倉里(トンチャンニ)である。どちらも中国国境に近く、航空機で攻撃に向かえば公表されていない中国の防空識別圏に接近、もしくは入り込むおそれがある。

とくに2000年以降に建設された東倉里の基地は、中国国境の鴨緑江河口から約80キロと近く、東倉里を狙った攻撃が中国を刺激するのは確実となる場所に置かれている。

また2014年以降の短・中距離弾道ミサイルが発射された地点は、東岸の元山(ウォンサン)付近、西岸の粛川(スクチョン)付近、平壌(ピョンヤン)の南方約100キロ、南部の開城(ケソン)付近、西岸の海州(ヘジュ)の西方約100キロ、西岸の南浦(ナンポ)付近と散らばり、攻撃された場合を想定して目標を絞らせない実戦的な運用が始まっている。

2015年以降は潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の開発が進み、16年5月新浦(シンポ)沖からSLBMの発射に成功、攻撃能力の多様化と残存性の向上を図っている。

航空自衛隊の元将官は「北朝鮮の基地は7割が地下化されており、偵察衛星でも完全には補足できない。山に横穴を空けて移動式の弾道ミサイル発射器を隠した場所もある。地上部隊の派遣を抜きにすべてのミサイル基地を破壊するのは困難だろう」と話す。

自衛隊が装備体系を攻撃型に変えたとしても実効性に疑問符が付くというのだ。攻撃目標を探す間に弾道ミサイルは日本列島に飛来することだろう。

(略)

米国、北朝鮮どちらの国が軍事オプションを選択したとしても、全面戦争に発展しかねない。そうなれば北朝鮮の弾道ミサイルが飛来し、日本が壊滅してしまうおそれがあることはみてきた通りであるからだ。
残念ながら、日本にはまだ覚悟がないし、準備がない。憲法改正の議論すら出来ない現状では膨大な死者負傷者が予想されても何もできない。

日露戦争に備えたように、国家の総力を注いで初めて、対北朝鮮戦に完勝できる。
せめて、真珠湾の時のように、緒戦だけは完勝して北朝鮮を潰す戦略が必要だが、
現状ではトランプ政権による北朝鮮攻撃で、日本は膨大な死者負傷者を覚悟しなくてはならない。

膨大な死者負傷者を出したくなければ、まずは憲法改正から始めなくては座して死を待つようなものだと思う。