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【北ICBMの衝撃(上)】
米国で高まる「軍事行動」論 北のICBM開発進展受け
【産経ニュース】2017.7.29 19:34

北朝鮮が米本土に到達可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を次々と成功させ、来年にも実戦配備に乗り出すという「悪夢のシナリオ」は、もはや不可避の情勢だ。トランプ米政権がこれまで以上に危機感を募らせる中、米軍高官からは北朝鮮への「軍事行動」を検討するよう唱える声が高まってきた。

「軍事的な対応の選択肢についても話し合った」

米軍が28日に発表した、ダンフォード統合参謀本部議長とハリス太平洋軍司令官、韓国軍の李淳鎮(イ・スンジン)合同参謀本部議長との電話会談に関する声明は、今回の危機で北朝鮮に対する軍事行動の可能性に公式に言及した異例の内容となった。

対北朝鮮で「あらゆる選択肢を排除しない」とするトランプ大統領は国防総省に対し、北朝鮮問題の外交的解決が困難となった場合に備えて軍事行動の選択肢を用意するよう指示した。同省は既に複数の作戦案を提出済みとされる。

一方で米軍当局者は、米政権の現時点での正式方針である「外交による平和的解決」に矛盾しないよう、「命令さえあれば実行の準備はできている」(ハリス司令官)としつつも、軍事行動を自ら主張することは慎重に避けてきた。

しかし、7月4日に北朝鮮が米本土に到達可能なICBM「火星14」の発射に成功したのを機に、状況は一変した。米軍の現役将官が次々と軍事的選択肢を行使する可能性について公然と語り始めたのだ。

ダンフォード氏も今月22日にコロラド州で開かれた安全保障関連の会合で「多くの人が軍事的選択肢を『想像できない』と言うが、北朝鮮に核兵器を(米本土に)撃ち込む能力を持たせる事態こそが想像できない」と指摘した。

一方、ティラーソン国務長官は28日の声明で「国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁の維持・強化」を改めて打ち出した。

米政府は、核・ミサイル開発資金などの流入を断つため、北朝鮮と取引のある中国企業への追加制裁を来週にも実施する方針だ。

米軍高官による一連の「主戦論」発言は、「第二次朝鮮戦争」で半島が大混乱に陥るのを恐れる中国を揺さぶり、北朝鮮に圧力をかけるように仕向ける意図も込められている模様だ。

同時に、米軍が対北戦略の柱の一つとしてきた「ミサイル防衛体制の強化」が、北朝鮮のICBM技術の急速な進展に対応しきれなくなる恐れが出ていることも、軍事攻撃論の背景にあるとみられる。

しかし、米本土の国民を核の脅威から守る代償として、甚大な犠牲が避けられない朝鮮半島での「悲惨な戦争」(ミリー米陸軍参謀総長)の火ぶたを本当に切ることができるのか。トランプ政権の手詰まり感は深刻だ。(ワシントン 黒瀬悦成)

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【北ICBMの衝撃(中)】
金正恩氏、堅調経済に自信 「多弾頭」開発も
【産経ニュース】2017.7.30 20:44

韓国政府関係者によると、北朝鮮が4日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星14」を初めて発射した後、韓国当局は既に、通常角度なら射程が米本土の半分を収める1万キロに達する可能性があると分析していた。日米両政府もICBMだと認定していた。

ところが、ドイツで6日、日米韓首脳会談後に発表された共同声明では「大陸間に及ぶ射程を有する弾道ミサイル」という玉虫色の表現にとどまった。北朝鮮との対話を目指していた文在寅政権側が大気圏再突入技術が未確認であることなどを理由にICBMの認定に難色を示したためだ。

ICBM発射でレッドライン(越えてはならない一線)を越えたとの強固な警告を日米韓が足並みをそろえて発するタイミングをむざむざ逸したのだ。これが金正恩朝鮮労働党委員長の増長を招いた可能性がある。28日の2度目の発射後も金委員長は「米国に核戦力でたっぷり道義を教えてやろう」とトランプ政権を侮る強気の言葉を放った。

核開発についても日米韓は、北朝鮮が何度核実験を強行しても「核保有国」との主張を認めなかった。ICBMという“レッドライン”に関しても表現にこだわり、現実から目をそらす愚を犯したことになる。

時期逸した制裁

国際社会が制裁を強める中でも金正恩政権が相次ぎミサイルを発射する背景には、比較的堅調な経済がある。韓国銀行の推計では、北朝鮮の2016年の経済成長率は前年比で韓国を超え、3・9%を記録した。

特に電気ガス水道分野では22・3%成長。消息筋によると、停電が当たり前だった平壌の電力供給が大幅に改善され、レストランの数が増えるなど、消費文化も拡大しているという。

干魃に見舞われた15年の反動も指摘されるが、専門家は、企業の独立採算制を一部認めるなどした金委員長の経済政策が一定の効果を収めているとの分析を示す。地方では今年も干魃の影響も指摘されるが、少なくとも金委員長が日頃、目にする首都では、経済は好調に映り、金委員長が掲げる核・ミサイル開発と経済建設の並進路線に正当性を与える結果となっている。

核・ミサイル開発に必要な資材は制裁強化前に優先的に確保してきたともいわれる。今、泥縄式に制裁を強めたとしても、中国が原油供給の遮断などに踏み切らない限り、効果は限定的といわざるを得ない。

ロシア製と酷似

金委員長はどこまでミサイル開発を進めるのか。韓国の軍事筋は、火星14がロシアのICBM「MR UR-100」と似ている点に注目している。火星14と同じ2段式の液体燃料ミサイルで、射程は1万キロ超。弾頭部に複数の弾頭を搭載できるのが特徴だ。軍事筋は「北朝鮮も最終的に多弾頭型開発を目指すのではないか」と指摘する。

米ジョンズ・ホプキンズ大の北朝鮮分析サイト「38ノース」も、北朝鮮のICBMについて30年には複数の弾頭を搭載できるようになると予測する。ただ、核弾頭ではない「おとり弾頭」を複数搭載する技術なら5年以内にも獲得する可能性があるともみる。

一発のICBMで複数のおとり弾頭を落下させれば、米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」でも迎撃が困難とされる。未知の脅威が現実味を帯び始めている。(ソウル 桜井紀雄)
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朝鮮半島情勢が緊迫する中、中国が7月30日に挙行した大規模軍事パレードが改めて関心を集めている。実戦に近い形式で行われた異例のパレードでは、最新の大陸間弾道ミサイル(ICBM)のほかにも、陸軍特殊部隊やNBC(核・生物・化学兵器)防護部隊が披露された。中朝国境付近では中国人民解放軍の増強も伝えられており、最悪の影響が自国に及ばないよう手を打っているもようだ。

 軍事パレードの冒頭を飾ったのはヘリコプター部隊だった。習近平国家主席ら軍首脳らが見守る中、武装ヘリ36機が飛来し、着陸するや数百人の兵士が銃を構えながら展開、敵陣に迫るという実戦さながらの演習が繰り広げられた。

 パレード初参加という陸軍の空中突撃部隊で、指揮官は中国メディアに「迅速な機動力と正確な攻撃力を兼ね備え、これからの戦争で重要な使命を担っている」と強調した。

 パレードでは、陸軍特殊部隊も登場。全地形対応可能な車両32台に乗った、顔に迷彩を施した兵士たちが習氏の前を通過していった。同部隊は2002年に創設された後、今年4月に改編を終えたばかりだ。

 国防省報道官はこの日のパレードについて「周辺情勢とは関係がない」とコメントしているが、朝鮮半島専門の軍事関係者は「最新のICBM・東風31AGが初公開されており、米国を意識したパレードとみていい。ただ、それだけではない」として、北朝鮮対応も念頭に置いているとみる。

 中国は、米国が制裁を通じた問題解決を断念し北朝鮮を限定攻撃した場合、(1)中朝国境から遠くない寧辺(ニョンビョン)などにある北朝鮮の核関連施設で事故が起きる(2)大量の難民が国境に押し寄せる-事態を懸念している。

 米紙ウォールストリート・ジャーナルは7月下旬、「中国が国境付近で軍を改編・増強し、核・化学兵器の攻撃に備えて地下壕を整備している」「最近、北朝鮮へ派遣される可能性がある特殊部隊などの訓練や、武装ヘリによる実弾演習が行われた」と報道した。

 さらに「米国が北朝鮮を攻撃すれば、中国は軍事介入しなければならなくなるだろう」とする軍事専門家の見方を紹介し、北朝鮮北部を占領した中国人民解放軍が、(1)核施設を管理下に置く(2)中国へ北朝鮮難民が押し寄せるのを防ぐため安全地帯を設ける-可能性を指摘している。

 ただ、朝鮮半島の混乱を恐れて強力な制裁発動を見送っている習氏にとって、米軍の対北攻撃と中国の軍事介入は最悪のシナリオ。制裁発動を受け入れるにしても、秋の中国共産党大会が終わり自らの権力基盤が固まるまで、時間稼ぎをする必要に迫られている。

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 「あれは中距離弾道ミサイルだ」。北朝鮮による7月28日のICBM発射をめぐり、ロシア国防省はこう一方的に発表し、反発を強める米国を牽制(けんせい)し、北朝鮮を擁護する姿勢を示した。

 北朝鮮のミサイルを故意に“過小評価”する露政府は、4日発射のミサイルに関しても北朝鮮発表の内容を大幅に下回る計測値を公表した。

 こうしたロシア側の態度に業を煮やすティラーソン米国務長官は28日、ロシアを「北朝鮮のミサイル開発を経済的に支援する主要国」だと中国と同列に扱って批判。だが、ロシアは米国が非難する北朝鮮との密接な経済関係は国連安全保障理事会の制裁決議に反していないとし、批判を受け入れる気配はない。リャプコフ外務次官は30日、北朝鮮経済を破綻させることに賛同できないと主張した。

 ロシアがこれほどまで北朝鮮の肩を持つのは、北朝鮮やシリアなど、問題を抱える国々に接近することで、「国際社会での発言力を高める」(露専門家)狙いがあると指摘されている。

 ロシアはこれまで、北朝鮮・羅先(ラソン)にある羅津(ラジン)港の改修を手がけたほか、同港につながる鉄道路線の軌道にロシア規格を導入するなど、着々と関係を強化。今年5月には、羅津港と露極東ウラジオストク間で、貨客船「万景峰(マンギョンボン)」を就航させた。両国間の貿易額は急増しているといわれる。

 ロシアは人権上の問題なども指摘されながら、大量の北朝鮮労働者も受け入れている。北朝鮮への影響力行使に利用する思惑があるとみられる。

 露政府は6月末、北朝鮮問題解決に向けた「ロードマップ」を作成したと発表した。他国とも協議する用意があるとし、同問題の解決を主導する姿勢を示している。

 ただ、北朝鮮への経済支援は同国の核開発を“加速”させかねず、ロシアは結果として、核保有大国としての地位を押し下げられるジレンマに直面しかねない。

(モスクワ 黒川信雄、北京 藤本欣也)

さあ、いよいよ北朝鮮は、米軍からの攻撃を招くレッドラインに到達してしまった。
結局中国は北朝鮮に対して、何もしなかった。石油を止めれば、一発で北朝鮮は干上がるのに、止めていない。

トランプの、北朝鮮を攻撃するというのはヤルヤル詐欺であるという疑惑もあるが、中国の北朝鮮に影響を行使するしますという。スルスル詐欺は酷いものだ。

金正恩は狂った若造独裁者だと誰もが決め付けているが、彼はある意味で、小さな領土を守るため、あの手この手を考える戦国時代の戦国大名としては、有能である。

金正恩はアメリカ本土への核攻撃も辞さないと脅しをかける一方で、自分を裏切りそうな旧臣を次々に処刑。異母兄まで暗殺し、残忍さを見せつけた。戦略はぶれず、その資源資金を核開発一点に絞り集中して資金をつぎ込む戦略は北朝鮮の金王朝を存続させるという目的を遂行する為であれば実に正しい。勿論私は金正恩を擁護するつもりもなく、過去の醜い朝鮮の歴史が繰り返されるのであれば、部下か身内の誰かに裏切られ残酷な方法で殺害されると思っている。

メディアは金正恩をバカ扱いしているが、生まれた時から独裁者としてその存在を見下してはならない。

狂った指導者とメディアは決め付けているが、北朝鮮という国を本当に理解しているのか疑問である。願わくば、トランプ政権やCIAや米軍までそうした見方に基づいて北朝鮮政策を立案すれば、破滅的な事態を招きかねない。
          
全日成、金正日、金正恩と3代続く金王朝の支配体制は異様としか言いようがない。だが、金一族は2000年間嘘と裏切りの連続である朝鮮において三代続けて権力を保持することは、奇跡的だ。政治的な生き残りにかけては究極の巧者だ。権力の座にとどまる目的のために冷徹かつ合理的に判断を下す。金正恩を狂人と見なすのは過ちであるばかりか、危険でもある。

1994年金日成死去後、30数年北朝鮮経済は崩壊し苦境にさらされたのは確かだ。大規模な飢饉で国民が食糧難にあえぎ、いつ崩壊するのかと期待していた我々からすると、期待外れもいいところ、日米から経済制裁を受け、国際的に孤立状態であり、中国にも表向き見放され、それでも国民を米国との決戦という虚構と、祖国統一と言う架空の目標を与え、体制を維持しているのだ。

 金正恩は、自分と自分の血を引く後継者が支配する北朝鮮の現体制を維持してくために、核があれば、米国に攻撃されたり、国内で反乱が起きたときに介入されたりする心配はないと考えており、北朝鮮の究極の目標は米国攻撃ではなく、体制維持なのだ。北朝鮮はニクソン元米大統領の「狂人理理論」を国家戦略として実践しているにすぎないのだ。

「狂人理論」とは、核を保有するだけでなく、核があることを世界にたびたび思い出させ、この国は予測不可能だから、うかつに手を出せないと相手国に思わせる戦略――であるが、忠実に金三代はやってのけたのである。

「狂人理論」に対抗するには、「狂人理論」がもっとも有効な手段なのかもしれない。ドナルド・トランプの大統領選挙はまさに「狂人理論」であった。

休戦中の朝鮮戦争が再び戦端を開く危機がヒタヒタと迫っている。

米国のリチャード・ニクソン元大統領(1913~94年)はベトナム戦争を終わらせるにあたり、副大統領として仕え、朝鮮戦争を休戦に持ち込んだドワイト・アイゼンハワー(1890~1969年)大統領の情報戦に学んだ。そして今、ドナルド・トランプ大統領は、現下の朝鮮半島危機を、ベトナム戦争を終結させたニクソン氏の情報戦に学び、血路を見いだそうとしている。一連の情報戦は、「核戦争も辞さぬ狂人」を装い、敵国の譲歩を引き出す瀬戸際戦略で《マッドマン・セオリー=狂人理論》と呼ばれる。

しかし、《狂人理論》の実践には絶対的前提条件がある。

まず、「あらゆる選択肢が検討対象」だと、核攻撃を含む武力行使の可能性を公言し、警告を発する米政権のトップや側近=戦略立案者が「狂人」ではなく「狂人を装っている」ことと、情勢次第で核攻撃をも敢行するハラをくくること。

一方で、敵対国・北朝鮮の指導者が冷静な最終決断を引き出す分別や指揮・統制能力を備え、かつ、政治・軍事・経済上の合理性を指導者に進言できる人材を含有する国家体制が不可欠だ。国家指導者と彼の側近=戦略進言者が「狂人」ではなく「狂人を装っている」ことが眼目となる。

ひるがえって北朝鮮と朝鮮労働党の金正恩委員長はどうか。金委員長は後見人でナンバー2であった叔父・張成沢氏(1946~2013年)ら、側近の政治家や将軍、官僚の大量粛清を続けている。もはや、周囲はイエスマンばかりで、合理性に基づき進言する腹心は存在しない。

30代前半で軍歴も政治歴もない金委員長がまともな判断や指揮・統率をできる道理もない。だのに、核実験やミサイル発射訓練を止めようとしない。米国に核保有国と認めさせ、政権の維持を確約させるために「狂人を装っている」つもりが、特殊作戦部隊やピンポイント(精密誘導)爆撃などで「金王朝」排除を目指す米軍の《斬首作戦》に脅え、錯乱。朝鮮人民軍が謀反を起こしかねぬ疑心暗鬼も加わり、半狂乱となった…との分析をする安全保障関係者は少なくない。

米トランプ政権の《狂人理論》に屈服しなければ、朝鮮半島有事は現実となる。かかる危機を前に、民進党など野党は国会で、森友学園問題以外に眼中にない。政治姿勢が完全に狂っている。

以下、ニクソン氏の首席補佐官ハリー・ハルデマン氏(1926~93年)の回想録《The Ends of Power》や、米紙のワシントン・ポスト&ニューヨーク・タイムズに力を借りながら、日米外交筋などへの取材でフォローし、小欄を進める。

核ボタンに触れながら怒りまくる大統領

ハルデマン氏は、こんなふうに回顧した。

《ニクソンはベトナム戦争をただ終わらせたかったのではなく、大統領就任1年以内に終わらせられると頭から信じていた》

《彼はアイゼンハワー大統領が戦争終結に向け採った行動に伍する案を描いていた。アイゼンハワーが大統領になったとき、朝鮮戦争は膠着状態に陥っていた。アイゼンハワーは核兵器を投下する用意があると密かに中国に伝えた》

《2~3週間の内に中国は休戦を呼びかけ、朝鮮戦争は終わった》

ニクソン氏は、朝鮮戦争を終わらせたアイゼンハワー大統領にならい、北ベトナムを「核脅迫」した。が、北ベトナムは屈しなかった。すると、《ニクソン政権が前政権に比べ「タフ」だと、北ベトナム政府に見せつけるべく》戦線をカンボジアへと拡大した。

同時に、側近を使って北ベトナム側に《狂人理論》をリークする。

《北ベトナムに、私が戦争を終わらせるためなら、どんなことでもやりかねぬ男だと信じ込ませてほしい。我々は彼らにほんの一言、口を滑らせればいい。『皆さんもニクソンが反共に取り憑かれていることは知っているだろう。怒ると手がつけられなくなる。しかも、核のボタンに手をかけた状態でだ』と、ちょっと漏らせばいい。そうすれば2日後にはホー・チ・ミン(北ベトナム初代国家主席)自身がパリに飛んできて、和平を懇願するさ》

《大統領就任1年以内》ではなかったが、ニクソン氏は任期中にベトナム和平(パリ)協定を結び、米軍の完全撤退を実現させた。

北ベトナムに対するニクソン氏の《狂人理論》と、トランプ氏の《狂人理論》には、共通性を認める。

実業家時代のトランプ氏は、ニクソン氏に手紙をもらっている。ニクソン氏は手紙の中で、テレビ出演中のトランプ氏をニクソン夫人が《素晴らしい》と評し、《選挙に出馬すれば勝つ》と称賛した…と伝えた。トランプ氏は手紙を大切に保管し、ホワイトハウスの執務室に飾る。尊敬するニクソン氏が用いた《狂人理論》もまた、信奉しているというが、確かに学習しているフシがある。

ニクソン氏は大統領就任までの政権移行期間中は無論、共和党の大統領候補時代においても、既に《狂人理論》をリークしていた。

例えば、1968年の共和党大会。オフレコのブリーフィングの席上、党幹部に「ベトナム戦争の終結方法」を尋ねられ、アイゼンハワー大統領が朝鮮戦争で採用した情報戦を持ち出して答えた。

「『米国は果てしない地上消耗戦にもう我慢できない』などとする発言(核兵器投入方針)を、アイゼンハワー大統領は中国と北朝鮮に流させた。結果、数カ月で交渉にのってきた」

戦況のシミュレーションや軍高官の見立てが「軍事的勝利」を導き出さぬ以上、《核脅迫=狂人理論》でフォローする他は無かった部分はあろう。

トランプ氏も選挙中の大統領候補段階~政権移行期間中に、経済・金融問題だけでなく、外交・安全保障問題でも、過激な発言や実現のハードルが高い政策を乱発してきた。日本など同盟国の駐留経費を「不公平」と主張。台湾の蔡英文総統と超異例の電話会談を行い、「台湾は中国の一部」だとする中国共産党が堅持する「一つの中国」政策の否定すらにおわせた。

北朝鮮の「狂人進展度」

北朝鮮に対しては現在、警告を連発している。レックス・ティラーソン国務長官も言い切った。

「ハッキリとさせよう。過去の戦略的忍耐(北が非核化の意思を示さぬ限り対話に応じない)戦略は終わった。軍事行動を含め、全ての選択肢がテーブル上にある」

「北朝鮮が(大量破壊)兵器開発計画の脅威を、我々が行動を必要と考えるレベルまで高めるのなら(軍事)オプションを検討する」 

対する北朝鮮側の「狂人理論の進み具合」を論じてみる。

3月6日、北朝鮮はわが国のEEZ(排他的経済水域)内を含む日本海に弾道ミサイル4発を発射したが、発射2日前に「狂人理論の進み具合」が加速している証拠が突き付けられた。証拠の概要はこうだ。

《北朝鮮は3月4日、朝鮮半島東部海域に、午前と午後の2度にわたりロケット弾を計7発撃ち込んだ。航空機などに向け航行禁止警報を発出しておらず、成田発瀋陽行きの中国南方航空機が午後、ロケット弾の飛翔軌道を通過してしまった。乗客・乗員は220人。中国南方航空機が数分早く軌道にさしかかっていれば、ロケット弾に撃ち落とされていた》

中国はなぜか沈黙したが、ロケット弾発射は、最高権力機関・全国人民代表会議(全人代)開催の前日で、習近平指導部に揺さぶりをかけ、「経済・安全保障上の支援を求め催促した」との見方も浮上する。

核・ミサイル開発や武力による威嚇を止める兆候もない北朝鮮だが、北の国営メディアは「好戦狂」という表現を好んで使う。北朝鮮が自らを表現したのではない。「北南間の軍事衝突を防止し、緊張状態を緩和しようとする我々の真摯な努力に、傀儡好戦狂は無分別な軽挙妄動で逆行している」といった具合に、米韓合同軍事演習を実施する「米国傀儡」の韓国政府を批判する。

どう考えても「南北間の軍事衝突をあおり、緊張状態を激化しようとする無分別な軽挙妄動に走っている好戦狂」は北朝鮮の方だ。中国南方航空機にロケット弾を故意に「ニアミス」させたとすれば、「狂人理論の進み具合」ではなく「狂人の進み具合」と言い換えるべきだ。

実際、米国のニッキー・ヘイリー国連大使も「我々が相手にしているのは理性的な人間ではない」と公言している。

米国が求める「非核化」と「大量破壊兵器の放棄」という米朝対話の条件を、「理性的な人間ではない」金正恩氏が受諾するとは思えない。 

結局、朝鮮半島の命運は米トランプ政権の「正しい戦略」にかかっている。トランプ氏は、ニクソン政権における国家安全保障問題担当大統領補佐官や国務長官を歴任した超現実主義者のヘンリー・キッシンジャー氏と選挙前より会い、度々教えを請うてきた。キッシンジャー氏のごとき名演出家の存在も「正しい戦略」を左右する。果たして、トランプ氏を操るスティーブン・バノン首席戦略官は名演出家たりえるのか?

最終的には、トランプ氏が、名将の誉が高く「マッド・ドッグ=狂犬」と畏敬される退役海兵隊大将ジェームズ・マティス国防長官ら合理的判定を下せる専門家の知見に、どこまで耳を傾けるかにかかる。

和戦いずれにせよ、トランプ氏は「マッドの演技者」として「正しい戦略」を選ばなくてはならない。そうではなく「真のマッド」ならば、北朝鮮の暴走を許し、世界史に永遠の汚名を刻む。

金正恩氏のみマッドでも、マッド(正恩氏)VSマッド(トランプ氏)でも、わが国にミサイルが飛んでくる。まさか、ミサイル襲来危機時に、国会で森友学園問題の追及を続けているとは思わぬが、国防戦略への思考を停止してきた日本の政治はマッドそのもの。

特に、左傾した野党は憲政史に名を刻む。「日本国憲法の守護神」としてではない。国民を巻き込み、日本国憲法との無理心中願望を抱き続ける「マッドの中のマッド」として、である。
 マッド(狂人)Vsマッド(狂人)、正恩Vsトランプも計算された狂人じみた政策を取っているように見える。決して馬鹿Vs馬鹿ではない。トランプと正恩が馬鹿だと思っているメディアの方が私には尾炉kぁ荷見える

4月末、トランプが本当に北朝鮮を攻撃するのではないかと、世界中で、緊張が走った時、世界で一番焦っていたのは、やはり北朝鮮だったらしい。カールビンソンの不可解な動きは、北朝鮮攻撃が、フェイクと見せかけておいて、実は攻撃準備カウントダウンが始まっているのではないかと、北朝鮮は感じたらしい。

4月25日には北朝鮮は普段は使わない軍事用の通信チャンネルも使い、緊急物資の運び込みなど、慌ただしい動きがあったという。米軍は衛星などで、運び込み先など、つぶさに観察し、重要度、隠し施設がないかとチェックしていたとの話だ。実際に北朝鮮攻撃に際し、攻撃の優先順位を決めるマップが作成されたと言う。

私が思うに、北朝鮮の核は、本質的には金王朝の維持ためとみるべきだ。実際米軍が核兵器を使用しても、北朝鮮国民がどんだけ死のうと、体制を維持さえすればそれでいいのである。外国の攻撃は抑止できても、国内の軍事クーデターを防ぐ手段にほかならない。金正恩が疑心暗鬼になるのも無理はない。若くて未熟な彼の支配に、軍高官が不満を募らせている可能性は大いにある。

 クーデターを防ぐ最も確実な手段は恐怖支配だと、金正恩は考えている。彼の指導下で軍と警察幹部の処刑は史上最多を記録した。著名な将軍が次々に消され、軍参謀長や人民武力部長(国防相)まで粛清の対象になった。
北朝鮮国民の蜂起は、歴史的に見て、起きる確率は依然低い。永年属国の地位と奴隷の地位に甘んじてきた朝鮮国民のDNAなのであろう。

しぶとく生き延びてきた王朝はそう簡単には滅びそうにない。

トランプは狂人理論を持っている。トランプ大統領のツイートの矛先は中国に向かっている。

北朝鮮が、2回目のICBM=大陸間弾道ミサイルの発射実験に成功したと発表したことを受けて、アメリカのトランプ大統領は、29日、みずからのツイッターに「中国には大変失望している。中国は北朝鮮に何もしていない」と書き込み、北朝鮮への影響力を行使していないとして、中国への強い不満をあらわにしました。
トランプ大統領は、29日、みずからのツイッターに「中国には大変失望している。アメリカの過去の愚かな指導者たちが貿易で中国に大金を稼がせたのに、中国は北朝鮮に対して口先だけでわれわれのために何もしていない」と書き込みました。

さらに「われわれはもはやこの事態が続くのを見過ごすわけにはいかない」と投稿し、今後、中国に対して何らかの措置を取る可能性を示唆しました。

トランプ政権は、これまで中国政府に対して北朝鮮への影響力を行使して挑発行為をやめさせるとともに、資金源を断つため、北朝鮮と不正に取り引きしている中国企業を取り締まるよう求めてきました。
しかし、北朝鮮は、2回目のICBMの発射実験に成功したと発表したほか、中国政府による北朝鮮と不正に取り引きをする企業の取締りも進んでいないものと見られています。

アメリカ政府は、中国政府の協力が得られない場合、北朝鮮と取り引きする中国企業や中国人に独自制裁を科す方針を示していて、トランプ大統領の今回のツイッターは、こうした制裁の可能性を示唆したものと言えそうです。
北朝鮮をここまで放置した責任は中国であり、石油を止めない中国を狂人として、罰する方向に向かうと思う。具体的には中国人民銀行はじめメガバンクを北朝鮮支援の容疑で取引停止とする方向で中国を脅すのだと思う。

核・ミサイル開発で挑発を繰り返す北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長。トランプ米大統領は4日の弾道ミサイル発射について、大統領得意のツイッターでも「たぶん中国が重く動いてこのばかげた行動を終わらせるだろう」と発信した。トランプ氏は中国の習近平国家主席からは裏切られっ放しなのだが、今度ばかりは何やら確信ありげである。本当にそうなるのか。

伏線は、6月末に米財務省が発表した中国の丹東銀行への金融制裁である。中朝国境の遼寧省丹東市にあるこの銀行は北の核・ミサイル開発を金融面で手助けしたという。ドル取引が禁じられ、国際金融市場から締め出される。

米国が北朝鮮関連で中国の金融機関を制裁対象にしたのは初めてだが、中国側の反応は抑制気味だ。「他国が自身の国内法に基づき、中国の企業や個人を統制することに反対する。米国側が直ちに誤りを是正するように求める」(6月30日、中国外務省の陸慷報道官)と、反発も紋切り型だ。

ワシントン筋から聞いたのだが、米側は丹東銀行について、事前に中国側と打ち合わせしたうえで「制裁」を発表した。当然、丹東銀行が米側の容疑対象であることを中国側は事前に察知しており、米側制裁に伴う混乱を回避する対応措置を取っている。

混乱とは、丹東銀行への信用不安から預金者による取り付け騒ぎが起きることなどだ。もとより、丹東銀行のような地域に限定された小規模な金融機関なら、カネを支配する党の手で信用パニックの防止は容易だ。丹東銀行制裁は米中の出来レースなのだろう。

そんな現実なのに、中国がトランプ氏のつぶやき通り「重く動く」だろうか。トランプ政権は制裁の切り札を温存している。中国の4大国有商業銀行の一角を占める中国銀行である。

米ウォールストリート・ジャーナル紙によれば、国連の専門家会議も、中国銀行のシンガポール支店が北朝鮮の複数団体向けに605件の決済を処理していたことを把握している。今年2月には米上院議員有志が、中国銀行が北の大量破壊兵器開発に資金協力してきたと、ムニューシン財務長官に制裁を求めた。

米財務省は言われるまでもなく、オバマ前政権の時代から中国銀行の北朝鮮関連の資金洗浄を調べ上げてきたが、何しろ相手は資産規模で世界第4位、三菱東京UFJ銀行の1・5倍、米シティバンクの2倍もある超メガバンクで、国際金融市場で中国を代表する。

制裁対象になれば、米金融機関ばかりでなく外国の金融機関とのドル取引が禁じられる。中国側の反発の激しさはもちろん、国際金融市場への波乱は丹東銀行の比どころではない。

米外交専門誌「フォーリン・ポリシー」によれば、オバマ前政権時代でも中国銀行は俎上にのぼったが、金融市場への影響や中国との関係悪化などの事態に対応準備ができない、ということで、おとがめなし。ビビったのだ。トランプ政権はどうするか。(産経新聞特別記者・田村秀男)
北朝鮮の石油を止めるか、メガバンク制裁の二者選択を迫られたのであれば、ようやく中国も動くかもしれない。

しかし、中国がもし石油を止めれば、中朝国境が一気に緊迫化することを意味する。その兆候は出ている。

中国、北朝鮮との国境で軍備強化
【グノシー】WSJ日本版更新日:2017/07/25

【北京】中国は北朝鮮問題で有事が発生した場合に備え、1400キロ余りにおよぶ国境沿いの軍備を強化し、周辺地域の兵力を再編している。米軍による攻撃の可能性も視野に入っているもよう。

人民解放軍および政府の公式ウェブサイトや、中国の軍備を調査している専門家の話によると、政府はここ数カ月の間に軍備を大幅に見直している。ドナルド・トランプ米大統領が北朝鮮の核兵器開発プログラムの中止を狙い、繰り返し軍事行動をちらつかせてきた中での動きだ。米国は北朝鮮政府の抑制に一層尽力するよう中国にも圧力をかけている。

サイトによれば、見直しの中には、国境防衛のための旅団の新設や、山岳地帯の国境での24時間の監視体制が含まれる。監視には無人機による動画撮影を利用する。また、核・化学兵器による攻撃から守るための掩体壕(えんたいごう)を整備する。

人民解放軍はそのほか国境地帯の部隊の合併・配置換えや近代化を行い、特別部隊や空挺部隊との合同訓練の詳細も公表した。専門家は、これら部隊が有事には北朝鮮に送り込まれる可能性があるとみている。中国は6月に武装ヘリコプターによる実弾演習を実施。今月は、最近東部から移動させ、新兵器で武装させた機甲歩兵部隊による実弾演習を行った。

米中の衝突場所がどこになるか予測するのであれば、台湾でも南シナ海でもなく、朝鮮半島になると思う
中国国防省は、ここ最近の軍備の見直しと北朝鮮との関連性についての質問に直接は返答しなかった。書面を通じ、国境周辺で「通常の戦闘即応体制と訓練を維持する」と回答するにとどまった。中国は、国境地帯への数千人規模の部隊の追加配備を進めているとの報道を否定している。中国外務省報道官は24日、「軍事的手段は朝鮮半島の問題を解決する選択肢にすべきではない」と語った。

しかし、中国政府の計画について詳しい米中の専門家によると、中国当局は経済崩壊や核汚染、軍事衝突など、北朝鮮有事に備えた準備を進めている。

それら専門家によると、最近の中国軍の体制や設備、訓練に関する変更は昨年に着手した大規模な改革に関係したものだ。旧ソ連をモデルにした命令系統を見直し、中国国外での戦闘への準備を整えることが改革の狙いだ。

一方で、中国北東部では、改革はもっぱら北朝鮮危機への対応を軸に進められているという。
かつて米国防情報当局で東アジアを担当していたマーク・コザド氏は、中国の有事に向けた準備は「単なる北朝鮮の緩衝地帯の掌握と国境警備の域を超えている」と指摘する。

現在は米シンクタンクのランド研究所に所属するコザド氏は、「(有事の際に)国外勢力、特に米国や韓国による北朝鮮の安定化や核兵器または大量破壊兵器(WMD)の奪取に向けた取り組みが検討され始めれば、中国はより強硬な反応を見せ始めるだろう」とし、「米中が最初に衝突する場所がどこになるかを予測するのであれば、私は台湾でも南シナ海でもなく、朝鮮半島になると思う」と述べた。

軍事行動の可能性は低いものの

中国は依然、多くの外国政府と同様に、米国が軍事攻撃に踏み切る可能性は低いとみている。米国の同盟国である韓国の首都ソウルは北朝鮮の長射程砲の射程内にあり、報復を受けるリスクがあるためだ。

米国防総省は米国の計画についてコメントを差し控えた。中国が講じている措置について米当局者に尋ねたが、回答は得られなかった。しかし、複数の米高官は外交的・経済的圧力を重視しており、軍事行動は最終手段だとの見解を示した。

米中の専門家は、中国は北朝鮮と同盟関係にあるものの、必ずしも体制を保護するとは限らないとみている。しかし、北朝鮮から中国北東地域への難民流入を防ぎ、同地域の住民を守るという意志は固いという。
また、それら専門家によると、米国または韓国が中国国境に向けて進軍を始めた場合に備え、中国は北朝鮮の核施設や同国北部一帯を掌握できる能力の増強を進めているもようだ。

そのためには、中国は単なる国境封鎖以上の大規模な作戦が必要になると専門家は話す。まずは特殊部隊と空挺(くうてい)部隊が北朝鮮の核施設を確保した上で、地上部隊が上空援護を受けながら進攻していくといった作戦だ。

そうなれば、米中は1953年の朝鮮戦争休戦以来、初めて朝鮮半島で対戦することになるかもしれない。そうした可能性が、トランプ政権による北朝鮮対応策を一段と難しくさせている。

米当局者らによると、米国は中国に有事対策に関する協議実施を何度も要請しているが、中国は拒否している。

中国は以前から、北朝鮮で経済が崩壊すれば難民危機が生じ、中朝国境にまで米軍が迫り、民主主義で親米の統一朝鮮が誕生する可能性を懸念してきた。しかし、北朝鮮が1月以降、米本土を射程に収める大陸間弾道ミサイル(ICBM)を含む複数のミサイル発射実験を繰り返しているのを受け、米軍介入に対する警戒感を一段と高めている。

越えてはならないレッドライン

元モスクワ駐在武官の王海運・退役少将は「時間はあまりない」とし、「中国が戦争に巻き込まれるような事態にしてはならない」と述べる。

現在は複数の中国シンクタンクに所属する王氏は5月に発表した論文で、中国は米国に対する「レッドライン(越えてはならない一線)を引く」べきだと主張した。異例なほど率直な見解だが、これはつまり、米国が中国の承認を得ずに北朝鮮を攻撃した場合、中国は必ず軍事介入に踏み切るということだ。

さらに王氏は、米国の軍事攻撃が放射能汚染や南北軍事境界線北部の米国による占拠、反中的な体制の誕生に結びつかないよう中国は米国に要求すべきだと指摘。

「戦争が発生したら、中国はためらうことなく北朝鮮北部を占領し、北朝鮮の核施設を掌握し、安全地帯を定めて難民や逃れてきた兵士が中国北東地域に流入するのを阻止すべきだ」と訴えた。

王氏は、自らの見解は政府を代表するものではないと述べた。しかし、中国政府が認めなければ、同氏の論文はネット検閲で削除される可能性が高いが、そうはなっていない。また、他の中国の学者や軍関係者も最近、同じような見解を示している。

ここ数週間、軍や政府のウェブサイトからも中国の有事対策の一部を確認できるようになっている。
人民解放軍の機関紙によると、国境防衛のための新旅団が6月、国境一帯を巡回し、集めた情報を基に危機時の封鎖計画を策定したという。

同紙の別の記事には、ドローンを使って24時間の監視体制を補完し、「情報アクセス、迅速な移動、指揮統制」に関わる問題に対処すると書かれている。

中国北東部に配備された他の多くの部隊は最近、戦闘を意識した新たな訓練を実施した。専門家によると、その作戦は北朝鮮内での介入に必要とされるようなタイプのものだという。

国営テレビが6月に伝えた訓練では、新しい「混成武装旅団」が大砲、戦車、ヘリを使用して「青組」との戦闘をシミュレーションしていた。

北東地域の軍隊を管轄する新たな「北部戦区」には今や東部の部隊も組み込まれている。専門家は、それら部隊を黄海経由で北朝鮮に派兵する可能性もあるとみている。

一方、北朝鮮との国境に位置する吉林省では、空爆や核攻撃、化学兵器を使った攻撃に耐えられる地下シェルターや指揮所のネットワークの補強・拡大を当局者が進めていることが、地方政府の公示で確認できる。
吉林省当局はウェブサイト上の公示で、そうした設備は「吉林省周辺の複雑な治安状況に対応するため」に必要なものだと説明しており、そこには米軍機の写真や仕様も掲載されている。

同省政府は5月、核または化学兵器攻撃を受けた際に軍や政府の重要なデータを保護する「戦闘即応型ビッグデータ防災準備センター」の地下設置を明らかにした。同省政府によると、そうした施設が設けられるのは中国初だという。

同省当局者は慎重な扱いを要する話題だとして、コメントを差し控えた。
一部専門家は、中国の軍事改革は完了しておらず、人員解放軍は依然、北朝鮮向けの作戦準備が不足していると指摘する。

元北京駐在武官のデニス・ブラスコ氏は「人民解放軍は現時点では、近い将来に北朝鮮で任務遂行を任される構えが十分できているとは思えない」と述べた。

しかし、中国は米国と同様、北朝鮮の核開発計画が急速に進んでいることに衝撃を受けていると外交当局者や専門家は話す。また中国は、北朝鮮の行動が今や中国の安全保障上に悪影響をもたらしていることも懸念している。米国が4月に韓国に配備したミサイル防衛システムについて、中国は自国の核ミサイルが追跡される可能性を危惧している。

中国の北朝鮮有事計画を調査したジョージタウン大学のオリアナ・スカイラー・マストロ助教は、中国の利害は「今や明らかに難民問題だけにとどまらず」、核の安全や朝鮮半島の長期的な未来にも及んでいると指摘し、さらの次のように述べた。

「中国指導部は、(北朝鮮に)何が起ころうとも、その結果が中国の勢力拡大の野心を後押しし、米国の影響力を拡大または長引かせることにならないように確実にしたいと考えている」
長さ1400キロの中朝国境が4月以来緊張しているとWSJが伝えている。国境地帯の中国軍は強化され、大規模な配置換えや兵力増強が行われたという。

国境の中国側の村には、核兵器や化学兵器を防護するコンクリートの避難施設が建設されているという。

米国が中国に対し北朝鮮への石油供給停止をするか、中国のメガバンクへの制裁をとるか迫られ、石油の輸出停止を選択した場合、当然中朝国境が緊迫化するだろう。

石油制裁と同時に米軍が北朝鮮を急襲するシナリオがあるかもしれないと思っているが、その時中国が中立を保つ事ができるか、不安定要因だ。

中朝友好協力相互援助条約にもとづいて、中国が北朝鮮に味方してアメリカと戦うシナリオがあるが、中国が最後まで静観していると北朝鮮が民主化されたり米軍に占領される可能性がある為、中国は北から侵攻するだろう。

北朝鮮が崩壊し、最悪の場合は米軍が駐留したり韓国と統一されてしまう。中国にとって北朝鮮はアメリカや日本から防衛するための、軍事的緩衝地帯であるから、中国は出来る限り北朝鮮の金体制を維持させたい。

米軍の攻撃前に、中国軍が国境を越えて北朝鮮に進軍し、占領してしまう方が合理的かもしれない。中国が北朝鮮の抑圧された人民を「解放」すれば、欧米から制裁されず、むしろ世界から賞賛される。中国が、北朝鮮を占領したほうが良いと思えば侵略するで可能性がたかいのではないか?