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■事業の概要等

○ 事業の概要

島しょ侵攻事態において、敵に占領された島しょに海上から水陸両用車等によって上陸するためには、敵が設置した水際部の地雷原等を処理する必要があるが、現在、当該機能が欠落している。そのため、着上陸部隊が、水陸両用作戦において、海上機動に引き続いて着上陸するのに先立ち、水際部の地雷原等を処理するために使用する水際障害処理装置(地雷原処理装置)を開発するものである。

○ 所要経費

約34億円(平成30年度概算要求額。後年度負担額を含む。試作総経費約34億円)

○ 事業実施の時期

平成30年度から平成33年度まで試作を実施し、平成33年度から平成34年度まで試験を実施する予定である。

■政策評価の結果 

○ 必要性

島しょ侵攻事態において、敵に占領された島しょに海上から水陸両用車等によって上陸するためには、敵が設置した水際部の地雷原等を処理する必要があるが、現在、当該機能が欠落している。なお、この際、海上からの上陸を容易にするため、海上で停泊した状態から水際部の地雷原等を処理することが必要であるが、諸外国類似装備品では要求性能等を満足しない。さらに、その用途が防衛用に限られることから、防衛省が実施する必要がある。

○ 効率性

本事業は、構成品、各装置の試作及び評価に必要なシステム設計を実施し、本装備を試作することとしているが、現有装備品である92式地雷原処理車等の試作成果及び試験評価手法並びに技術的知見を最大限活用するとともに、民生技術を適用することにより製造コストの抑制や開発期間の短縮等、効率化を図っている。

○ 有効性

本事業を実施することにより、水陸両用車が海上に浮航した状態から爆索等を投射する動揺抑制技術及び水際部に設置された地雷原等を爆破処理する処理技術に関する技術的知見を得ることで、島しょへの着上陸時における水際地雷による被害・損耗を抑制することが可能となり、水陸両用作戦能力の強化を図ることができる。

■総合的評価 

島しょ侵攻事態対処において、敵が設置した水際部の地雷原等を処理する機能が欠落していることから、水際部の地雷原等を処理し得る水際障害処理装置(地雷原処理装置)が必要な状況となっている。

かかる状況に適切に対応可能な水際障害処理装置について、諸外国から導入可能なものは存在しないことから開発によるほかない。このことを踏まえつつ、本事業を評価したところ、平成30年度に事業を着手すること
で、かかる状況に対応可能な水際障害処理装置を実現できる見通しがあり、また事業計画も効率的な計画となっているものと判断できることから、本開発事業は早急に取り組むべき事業である。

■政策等への反映の方向性 

総合的評価を踏まえ、平成30年度概算要求を実施する。

担当部局等名:防衛装備庁プロジェクト管理部事業監理官(情報・武器・車両担当)
評価実施時期:平成29年7月~平成29年8月
島嶼侵攻事態対処において、上陸作戦を実行する際、敵が設置した水際部の地雷原等を処理する機能を自衛隊は保有していない。

水際部の地雷原処理能力の欠落を補完すべく、水際部の地雷原等を処理し得る水際障害処理車輛が必要 な状況となっている。

 かかる状況に適切に対応可能な水際障害処理装置について、諸外国から導入可能なものは 存在しないことから開発によるほかないとのことで、開発することとなった。

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92式地雷原処理車
73式けん引車を改良した車体の上に2連装の92式地雷原処理用ロケット弾の箱型発射装置が装備されている。地雷原処理用ロケット弾内には、ワイヤーで数珠繋ぎにされた26個の爆薬(導爆索)が収納されている。                   
地雷原を処理する際には、まず発射装置に仰角をかけ、ロケット弾を発射し、空中で末端部のパラシュートが開き、ロケット弾本体の中から数珠繋ぎ状になった爆薬がパラシュートに引き出される。爆薬は縦一列に地雷原上に落下し、26個が同時に起爆して付近に埋設された地雷を爆破処理する。この作業により、地雷原内に車両が通行可能な通路を確保する事ができる。                  
ロケット弾で紐状の爆発物を引き伸ばし、地雷原を爆破する処理機材は従来から存在するが、専用車両として開発されたのは92式が初となる。車両による地雷原処理には、戦車などの前方に取り付けたローラー型機材で地雷を踏み潰して起爆させたり、ローラーから磁気を発して地雷を反応させる方式が第二次世界大戦中から確立されており、陸上自衛隊では92式地雷原処理ローラが存在するが、ローラー型処理機材は装備した車両の戦闘力を低下させる欠点があった。                                                    92式地雷原処理車は、地雷処理専用の車両を導入することで戦闘車両に地雷処理の負担をかけず、ローラー型よりもさらに広範囲にわたって迅速に通路を確保することができる。



(92式地雷原処理車+AAV-7)÷2=新水際障害処理車

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新水際障害処理車イメージ(作画合成byDdog)


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キャンプ・ハンセン=昨年10月、沖縄県金武町、朝日新聞社機から

日本版海兵隊、2020年代前半に沖縄へ 米部隊移転後
【朝日新聞】土居貴輝2017年10月31日03時03分

イメージ 7 陸上自衛隊に離島防衛の専門部隊「水陸機動団」(日本版海兵隊)が来年3月、新設される。防衛省はこの部隊を当初、長崎県の相浦(あいのうら)駐屯地をはじめ九州に置くが、2020年代の前半には沖縄県の米海兵隊基地キャンプ・ハンセンにも配置する方針を固め、米側と調整に入った。在日米軍再編に伴って沖縄に駐留する米海兵隊の一部が米領グアムに移転した後を想定しているという。

                                複数の政府関係者が明らかにした。尖閣諸島に近い沖縄に置くことで、中国への抑止効果とともに、九州の南端以西の南西諸島で何か起きた際の展開を早める狙いがあるという。一方、沖縄にとっては、海兵隊の移転後に自衛隊が駐留することになり、「本当の基地負担の軽減につながらない」といった反発も予想される。

 陸自が来年3月末に発足させる水陸機動団は約2100人。相浦駐屯地には、司令部のほか普通科(歩兵)を中心とする2個の水陸機動連隊を置くことが決まっている。

 政府関係者によると、キャンプ・ハンセンへの駐留が検討されているのは、20年代前半までに発足させる予定の三つ目の水陸機動連隊。規模は約600人程度を想定しているという。

 日米両政府は8月の外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)の際の共同発表で、南西諸島を含めた自衛隊の態勢を強化し、米軍基地の共同使用を促進することを確認し合った。キャンプ・ハンセンの共同使用を念頭に置いていたという。

 共同発表を受けて日米両政府は、在沖縄の米海兵隊の一部がグアムに移転した後に陸自の水陸機動連隊の一つをキャンプ・ハンセンに配置する基本方針を確認。在沖縄米軍は日本側に、この部隊の規模や編成など具体的な検討を進めるチームの設置を申し入れたという。

 日米両政府は06年、沖縄の米軍基地負担の軽減と抑止力の維持を両立させる目的で、在日米軍再編の「ロードマップ」を策定した。12年には、在沖縄の海兵隊員のうち約9千人の国外(このうち約4千人をグアム)移転に合意。13年には、グアム移転を20年代前半に始めることも公表している。

 日本政府は来年末までに策定する予定の新たな防衛計画の大綱や中期防衛力整備計画に、キャンプ・ハンセンへの陸自部隊駐留を盛り込みたい意向だが、来秋には沖縄県知事選があり、沖縄側の反応も見ながら検討を進める方針だ。(土居貴輝)

 〈水陸機動団〉 離島が侵攻された際、戦闘機や護衛艦などの支援を受けながら、水陸両用車やボートなどを使って島に上陸し、奪還する「水陸両用作戦」の実施部隊。米海兵隊をモデルにしている。13年に閣議決定された防衛計画の大綱で部隊の創設が盛り込まれ、中期防衛力整備計画で水陸両用車など部隊が使う装備の導入が明記された。陸自が導入を進める輸送機オスプレイも水陸機動団の展開に使われる。


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■事業の概要等 

○ 事業の概要

防衛省・自衛隊の移動系システムを標的としたサイバー攻撃への対処手法の検討・評価に資する移動系サイバー演習環境構築に関する研究を実施するものである。

○ 所要経費

約46億円(平成30年度概算要求額。後年度負担額を含む。)

○ 事業実施の時期

平成30年から平成32年度まで研究試作を実施し、平成32年度から平成33年度まで試験を実施する予定である。

■政策評価の結果

○ 必要性

防衛省・自衛隊のシステムは、様々なサイバー攻撃により効果的な指揮統制及び情報共有が妨げられる危険にさらされている。クローズ系システムであるイランの核燃料施設のシステムにおいても可搬記憶媒体経由のサイバー攻撃が発生しており、防衛省・自衛隊のクローズ系システムもサイバー攻撃を受ける危険がある。

このため、クローズ系システムにおいてもサイバー攻撃対処の効果について事前に検証を行い、運用継続の観点から効果的な対処措置について明らかにするとともに、サイバー攻撃対処に関する隊員の練度向上を図り、被害拡大防止と部隊運用継続を両立させ、システムの安定的な利用を維持することが求められており、平成25年から固定系システムにおけるサイバー演習環境構築技術の研究を実施している。

防衛省・自衛隊の移動系システムにおいてもサイバー攻撃発生時に適切な対処を行うための効果検証・演習を行う必要があり、平成34年に予定されているサイバー演習環境の機能強化に成果を反映し、移動系サイバー演習環境を実現するためには研究を当該年度に実施しなければならない。

○ 効率性

本事業は、サイバー演習環境構築技術に関する先行研究の成果を活用することにより、設計期間を短縮し、経費を抑制することで、効率的な研究を実施する予定である。

○ 有効性

防衛省・自衛隊の移動系システムを標的としたサイバー攻撃への対処について効果検証を行う移動系サイバー演習環境構築に必要となる移動系システム環境復元技術、移動系サイバー攻撃模擬技術及び移動系サイバー演習統制技術に関する技術を確立することで、サイバー攻撃対処効果について検証可能となる。

■総合的評価 

○ 当該事業の技術的位置付け

サイバー攻撃への抗たん性を有し広域分散したシステム・オブ・システムズを実現する情報通信技術は「平成28年度 中長期技術見積り」における、特に重視する取組の一つとして位置づけられている「スマート化、ネットワーク化への取組」に該当し、我が国の装備品の研究開発の方向性に沿ったものである。

○ 研究開発を実施する必要性

防衛省・自衛隊の移動系システム環境におけるサイバー演習を実施しうるシステムは諸外国や民生に存在しないため、研究開発せざるを得ない。

○ 当該事業の技術的成果の評価

COTS品と有線ネットワークで構成される固定系システムへのサイバー攻撃への対処について効果検証を行う固定系サイバー演習環境構築に関する技術は平成25年から研究されてきている。一方、ソフトウェア無線等の専用品と無線ネットワークで構成されている移動系システムに対するサイバー攻撃への対処について効果検証を行う移動系サイバー演習環境を構築することは我が国の強みとなる。移動系サイバー演習環境は民間には存在しないものであり、防衛省・自衛隊の移動系システム演習環境を早急に取り組むべき事業である。
なお、事業の推進にあたり効率性の確保には十分留意する。


■政策等への反映の方向性
 総合的評価を踏まえ、平成30年度概算要求を実施する。

担当部局等名:防衛装備庁技術戦略部技術計画官
評価実施時期:平成29年7月~平成29年8月