■水上戦闘艦
FONOPに意味なし? 南シナ海で中国の勝利が濃厚
Ⅰ型
◇051B型 旅海 深圳(Shenzhen)級駆逐艦 同型艦なし
FONOPに意味なし? 南シナ海で中国の勝利が濃厚
何度繰り返しても、中国の領有権主張は覆らない
【JBpress】2018.3.29(木) 北村 淳
10回目のFONOPを実施した米海軍駆逐艦「マスティン」(写真:米海軍)■駆逐艦
3月23日、アメリカ海軍イージスBMD駆逐艦マスティンが南シナ海南沙諸島の中国人工島周辺海域で「公海航行自由原則維持のための作戦(FONOP)」を実施した。トランプ政権下で6回目の南シナ海でのFONOPであり、オバマ政権下が2015年10月から開始して以降10回目となった。
この2年半の間にFONOPは断続的に実施されている。だが、中国による南沙諸島の7つの人工島ならびに軍事施設を含む各種施設の建設は完成に近づき、人工島を中心とする軍事拠点化も着実に強化されているのが現状だ。
■中国は強く抗議
今回、アメリカ海軍マスティンがFONOPを実施したのは、南沙諸島中国人工島の1つであるミスチーフ礁の周辺海域である。海軍情報筋によると、マスティンはミスチーフ礁沿岸から12海里内の海域を通航したという。
ミスチーフ礁など7つの中国人工島を含む南沙諸島は中国固有の領土であるとの立場を取っている中国当局は、米側のFONOPに対して「アメリカが中国当局の許可を得ずに南沙諸島周辺海域に繰り返して軍艦を派遣するのは、中国の主権と安全保障を著しく傷つける行為であり、国際関係の基本的決まりをも踏みにじっているだけでなく、南シナ海の平和と安定を損なうものである」と、強い抗議の声明を発している。
そして、中国海軍はミサイルフリゲート「黄山」と対潜コルベット「六盤水」を派遣して米海軍駆逐艦「マスティン」を追い払ったと主張すると同時に、「アメリカ海軍による違法なFONOPは、単なる軍事的挑発行動にすぎず、中国によるさらなる主権と安全保障を防衛するための軍備を充実させ、南シナ海での防衛能力を強化させるという結果をもたらす」と警告している。
中国海軍フリゲート「黄山」(写真:海上自衛隊)
■米国はなぜFONOPを実施するのか
中国の法律である「中国領海法」などの法令によると、「南沙諸島周辺海域や西沙諸島周辺海域をはじめとする中国領海内を外国船舶が通航するには、事前に中国当局に通告しなければならない」と規定されている。中国側はそれを基に、アメリカの南沙諸島や西沙諸島でのFONOPを「違法」と非難しているのである。
これに対してアメリカ当局は、南沙諸島や西沙諸島、それにスカボロー礁などの南シナ海の島嶼環礁の全部または一部に関する領有権を巡っては、中国、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、そして台湾の間で係争中であり、中国による領有権(それら島嶼環礁全部の)の主張を認めないとしている。したがって、アメリカにとっては、南シナ海のそれら島嶼環礁周辺海域はあくまで公海であり、中国国内法の規定がおよぶ道理はないのである。
アメリカとしてこのような立場を明示し、中国による一方的な「南シナ海の大半の海域は中国の領海である」という主張と「中国の領海内を通航するに当たっては事前に通告せよ」という要求を断固として認めないことを行動で示そうというのが、南シナ海でのFONOPということになる。
■「公海」ならFONOPを実施しても意味は無い?ただし国際海洋法によると、軍艦が他国の領海内を沿岸国に軍事的脅威を与えるような行為(ミサイルの照準を合わせたり、機関砲の砲門を沿岸に向けたり、艦載機によって偵察飛行したり、といった軍事行動)をせずに、ただ単に他国の領海内を通航するだけの「無害通航」は認められている。
したがって、南シナ海でFONOPを実施する米海軍艦艇が「無害通航」の範囲内で中国人工島沿岸12海里内海域を通航した場合には、人工島をはじめとする南シナ海に浮かぶ島嶼環礁が中国領であろうがあるまいが、領有権紛争とは無関係にFONOPを実施する艦艇は国際法上は全く合法ということになる。
ということは、FONOP実施艦艇が「無害通航」を繰り返しているかぎり、中国の領有権の主張に関してはFONOPは直接には何の影響も与えないことになる。
これまでの10回の南シナ海FONOPでは米海軍駆逐艦は、「無害通航」の範囲内で12海里内海域を速やかに通過しただけである。もっとも、アメリカの伝統的外交方針として、第三国間の領有権紛争には関与しないという原則があるため、FONOPを実施しても領有権紛争には関与しないというのが米政府の基本姿勢だ。
とはいうものの、アメリカ側が事前通告なしに人工島などの12海里内海域に繰り返し接近して中国側に警告しているのは、「中国の領海と認めたうえで、事前通告を求めている中国国内法が国際海洋法に照らして違法だから」ではなく「中国国内法の規定があろうがなかろうが、そもそも中国の領海と認めていない」からである。言い換えると「公海上を通航するのに中国当局に事前通告する必要などあり得ないし、中国側から非難される言われもない」から、中国が生み出した人工島の12海里内海域に軍艦を派遣しているのである。ということは、公海上であるならば、「無害通航」などは必要なく、軍事演習を実施しようが、軍事的威嚇とみなされるような活動をしようが、誰に遠慮をすることもないということにもなる。
そこで、少なからぬ米海軍関係者などの間から、南シナ海で米海軍艦艇を中国当局が中国領と主張している人工島や島嶼環礁に接近させても、「無害通航」の範囲内で通過しているかぎり、FONOPなど実施してもしなくても意味が無い、という批判が生ずるのも無理からぬところである。
■あと数年で勝敗は決する実際のところ、「意味が無い」どころか、米海軍が「無害通航」とみなせる範囲内でのFONOPを実施すればするほど、中国側は「アメリカによる軍事的挑発を受けた」ことを口実として、ますます大っぴらに、そして加速度的に、南沙諸島人工島や西沙諸島の軍備を増強しているというのが現実だ。
中国がそれらの島嶼環礁を要塞化すればするほど、米海軍が南シナ海でのFONOPにおいて軍事的威嚇行動を実施することなどますますできなくなり、「無害通航」に遵い12海里以内海域をできるだけ直線的にかつ速やかに通航するのが関の山といった状況になってしまう。
このような悪循環を断ち切るには、軍事衝突覚悟で、「無害通航」とはみなせないFONOPを実施するしかないが、トランプ政権には、中国との経済戦争の危険を冒す覚悟はあっても、中国との軍事衝突の危険を冒す覚悟はないであろう。したがって、あと数年後も経たないうちに南シナ海での軍事的優勢は完全に中国のものとなることは避けられない趨勢である。
◇055型 人海 南昌(Nanchang)級ミサイル駆逐艦 同型艦0+建造計画中6隻
2014年に起工され、2017年6月28日に上海の江南造船所で1番艦が進水した新型ミサイル駆逐艦。2019年の就役予定。055型は中国海軍史上で最大の水上戦闘艦で、ステルスについてもかなり意欲的なデザインを採用している。駆逐艦というよりは、巡洋艦クラスである。6隻の建造が計画されている。
世界の艦船より
要目
基準排水量 12,000トン 満載排水量 13,200トン
全長 182.6m 全幅 20.9m 吃水 7.2m
機関方式 COGAG方式 主機関 QC-280ガスタービンエンジン×4基
推進器 スクリュープロペラ×2軸 出力 152,000馬力
兵装
H/PJ-38 130mm単装速射砲 H/PJ-11 CIWS HHQ-10 近SAM
VLS 前部64+後部64計116(128)セル
レーダーをはじめ装備を含めステルスを考慮した船体・服装である。船型は長船首楼型であるが後部の飛行甲板位置が低い。主船体は艦首上部から艦尾にかけ顕著なナックルを設けている。艦首の錨甲板をはじめ服装はすべて土船体内とし、前後の上部構造は外舷まで広げ、搭載艇揚収部などもカバーを設けるなど外舷に余計な開口はない。艦首水線下にはバウ・ドーム、船体中央部にはツイン・スタビライザー2組を装備する。
前部の艦橋構造の4面にはフェーズド・アレイ・レーダー(Sバンド)、側面にも電子戦アンテナ、また上部には塔状の複合マストおよびレーダー用の支筒が設けられ、支筒にもフェーズド・アレイ・レーダー(Xバンド)が装備されている。この構造に続いて煙突2本を合わせた構造物が続く。後部は格納庫を含む上部構造物で、頂部には衛星通信川アンテナを装備する。その側面には電子戦アンテナを装備。艦橋構造、マスト、上部構造にいずれに装備されるアンテナにも回転式は見当たらず、高性能化か図られるようだ。
兵装は、前甲板に130ミリ単装砲(PJ-45A)、艦橋直前に11銃身30ミリCIWS(PJ-1 1)、両者の間に64セルのVLS、後部土構の前部に48セルVLSを装備。 この後部玉樹には近接防御用SAM(HHQ-10)、側部両舷にチャフ発射機を装備。魚雷発射管は主船体両舷に装備している。搭載するミサイルは各種(対空、対艦巡航、対地巡航、対潜)が考えられるが、詳細は不明。
機械室は2区画に分かれ、その間に中間区画を置く。ガスタービンの排気は前後機械室から煙突を構成する上部構造に導かれる。ガスタービンはQCT280 4基。主発電機等は不明。
中国海軍の水上戦闘艦として初めてフェーズド・アレイ・レーダーを装備し、2004年8月に1番艦が就役した旅洋II(0520型の能力向上型である。 052D型が最初に確認されたのは2012年で、この時は上海の江南造船所で建造中であった。中国海軍は2000年代に入り、何タイプものミサイル駆逐艦を少数ずつ建造してきたが(最多でも052C型の6隻で他は多くても2隻)、052D型に至って一気に建造隻数が増加し、2014年3月の1番艦就役を手始めに、2017年6月には6隻目が就役した。さらに12番艦まで建造中である。建造所はいずれも江南造船所。
世界の艦船より
主要目
満載排水量7、500トン、全長157メートル、幅17.0メートル、吃水6.0メートル、生鉄coDOG方式、ガスタービン(Qc280)2基56、000馬力、ディーゼル(MTU-20V956)2基8、840馬力、2軸、速力30ノット、航続距離4、500涯/15ノット、搭載機2機(zhi-9AまたはKa-28)、乗員280名。
船型は中央船楼型、上甲板や船楼の舷側はステルス性確保のためブルワークを設けている。船体は最近のこの種の艦艇としては珍しく長さ幅比が大きい。格納庫両舷に設けられた搭載艇揚収部の開口にはカバーを装備し、ブルワークと合わせてステルス性の向上に努めている。艦首端上部から後部の飛行甲板上端までナックルが設けられており、船体と上部構造の外板は逆傾斜になっている。
兵装では艦橋構造前の上甲板と格納庫前の甲板にVLSを装備。各4基(32セル)で合計8基64セルとなる。
ロシア海軍方式の円周状に6基配列するものではなく、矩形状に8セル単位で配列している。ミサイルの発射はコールド発射方式。 VLSに搭載するミサイルは不明であるが、HHQ-9A SAM、対潜ミサイル、YJ-18A SSMなど各種。なお「ジェーン年鑑」はYJ-18Aの専用VLSを有すると記しているが、写真で見る限りこれは確認できず、SAM用VLSと兼用の公算が高いっ削納庫トップに近接防御SAM HHQ-10の24連装発射機1基を装備。
艦首甲板には130ミリ単装砲(PJ-38)1基艦橋前の構造物上に7連装30ミリCIWS(PJ-12)1基、格納庫両舷にデコイ18連装発射機合わせて4基を装備。 324ミリ対潜魚雷3連装発射管2基も装備する。
艦橋構造の4面に装備されているフェーズド・アレイ・レーダーは052C型に装備されている346型より大型の346A型で、アクティブ・フェーズド・アレイ方式の三次元対空捜索レーダーである。煙突後方の上構上に装備されている八木アンテナが517型長距離捜索レーダー、マストの上部レドーム内には364型対空水上捜索目標指示レーダー、艦橋トップのレドームにはMR331型ミネラルME射撃管制レーダー、その後部のマスト基部の構造物上には344型射撃管制レーダーが装備されている。
データリンクは052C型のHN-900に代わりJSIDLSを装備しているという。不明なのは052D型の戦闘指揮システムで、中華イージスと称されるように米海軍のイージス・システムのような能力を有するのか判然としない。
52型シリーズは建造隻数が多く,中国が進めている空母打撃群の編成では、対空護衛の重要な構成艦となると考えられる。
世界の艦船より
満載排水量 7,112トン
全長 155メートル
幅 17メートル
吃水 6メートル
主機 CODOG(ガスタービン2基/ディーゼル2基),2軸
出力 48,600馬力
速力 29ノット
兵装 HHO-9 SAM用VLS(6連装)8基,YJ-62 SSM 4連装発射筒2基,100mm単装砲1基。
30mmCIWS 2基,324mm3連装短魚雷発射管2基,対潜ロケット発射機4基
搭載機 Zhi-9Aヘリコプター1機
乗員 280名
2004~15年に6隻が就役した最初の「中華イージス艦」である。中国海軍の水上戦闘艦として、初めてフェーズド・アレイ・レーダーを備えた艦隊防空艦として知られる。2番艦と3番艦では就役時期に8年の差があるが、この期間に各種運用試験や不具合対策を進め、3番艦以降にその改善策を適用している。本級の搭載するHHQ-9
は、射程150キロのセミ・アクティブ誘導式の艦隊防空SAMで.SAN-6を参考に開発された。
よく052型駆逐艦を中華イージスと呼ぶが、中国版イージスと呼ばれるのは、346型アクティブ・フェーズドアレイ・レーダーを備えているからだ。
だが本家イージスシステムとおおきな溝がある。本家イージスは最大探知距離324キロ以上、200個以上の目標を同時追尾可能とされるが、中華イージスは、81カイリ(約150キロ)から17カイリ(約31キロ)までの間に存在する空中および海上の目標を200個まで追尾できるが、米海軍のイージス艦が搭載するSPY1Dレーダーと比較し、レーダー反射断面積(RCS)0・01平方メートル(巡航ミサイル・トマホークと同程度)の物体の探知距離は、米海軍のイージス艦が177カイリ(約330キロ)なのに対し、052D型は84・6カイリ(約160キロ)。性能差は歴然としている。
日本のミニイージスFCS-3改および後継機は、探知距離が370 km (200 nmi)以上あるので、日本のイージス艦と比べるのではなく、あきづき型以下の能力である。
旅洋Ⅱ型蘭州級およびⅢ型昆明級の就役数は計13隻で、さらに増勢が続けられており、中国の中核駆逐艦となっている。
日本も30DD3900トン型が年間2隻づつ就役するようになれば、中国の怒涛の軍拡に何とか対抗できると思う。
世界の艦船より
満載排水量 7,000トン
全長 155メートル
幅 17メートル
吃水 6メートル
主機 CODOG(ガスタービン2基/ディーゼル2基),2軸
出力 48,600馬力
速力 29ノット
兵装 SA-N-12 SAM単装発射機2基,YJ-83 SSM 4連装発射筒4基,100哨単装砲1
基,30mmCIWS 2基,324mm3連装短魚雷発射管2基,対潜ロケット発射機4基
搭載機 Zhj-9Aヘリコプター1機
乗員 280名旅洋Ⅱ型と並行して建造された艦隊防空艦。対空ミサイルは単装発射機を用いたSA-N-12(SA-N-7の改良型)、そのFCSはフロント・ドームで。対空レーダーはトップ・プレートであるなど、ロシアのソブレメンヌイSovremenny級をベースとした保守的な設計である。旅洋||型と比較検討またはバックアッブ用に建造されたと思われるが、同型が一定の成功を収めたことで、本型は2隻のみの整備にとどまった。
旅洋Ⅰ型およびⅡ型に続く艦隊防空艦。本型も旅洋両型と比較検討用のために建造された試作艦的な性格が強く、2隻のみの整備に終わった。防空システムはロシア27)キーロフKirov級ミサイル巡洋艦などと同じSA-N-20 SAMとツーム・ストーンFCSの組合せで、推進プラントは近年の水上戦闘艦には珍しく蒸気タービンを採用している。旅洋Ⅱ型および同Ⅲ型の整備が定着するまで、中国の艦隊防空艦は試行錯誤の連続であったようだ。
世界の艦船より
満載排水量 7,112トン
全長 155.0メートル
幅 17.0メートル
吃水 6.0メートル
主機 蒸気タービン2基,2軸
兵装 SA-N-20 SAM用VLS(8連装回転式)6基,Y」-83 SSM 4連装発射筒2基。
100㎜単装砲1基,30mmCIWS 2基,324mm3連装短魚雷発射管2基
乗員 266名
対艦攻撃と艦隊防空を重視した旧ソ連/ロシア製水上戦闘艦。同海軍が建造を中断していた艦を購入したⅠ型2隻と、新規にロシアに発注したⅡ型2隻の計4隻がある。 Ⅱ型は後部の130ミリ連装砲を撤去して飛行甲板を延長し、さらにCADS-N-1近接防御システムを搭載するなどの改良が施されている。本級は大型の超音速対艦ミサイルSS-N-22を搭載することから「空母キラー」と喧伝されたが,その射程は160~240キロ程度で、米空母打撃群と対峙するには能力不足と思われる_
世界の艦船より
Ⅱ型<建造途中購入艦:Ⅰ型>抗州 Hangzhou(旧露ヴァズニーex-vazhny) 136 1999年12月就役 東海艦隊福州 Fuzhou(旧露アレクサンドル・ネフスキー) 137 2001年1月就役 東海艦隊ex-Alexandr Nevsky
<新規発注艦:Ⅱ型>
泰州 Taizhou 138 2005年12月就役 東海艦隊
寧波 Ningbo 139 2006年9月就役 東海艦隊
満載排水量 8,067トン 速力 32ノット
全長 156メートル 兵装 SA-N-7 SAM単装発射機2基、SS-N-22SSM 4連装発射筒2基、130mm連装砲2基幅 17.3メートル (Ⅱ型は1基)、CADS-N-1近接防御ら4ステム2基(Ⅱ型のみ)、30mmCIWS 4基吃水 6.5メートル (Ⅰ型のみ)、RBUIOO0 6連装対潜ロケット発射機2基, 533mm連装魚雷発射管2基
主機 蒸気タービン2基、2軸 搭載機 Zhi-9AないしKa-28ヘリコプター1機
出力 99,500馬力 乗員 296名
次掲の旅滬Luhu型の拡大改良型。短SAMやSSMに加えて対潜ヘリコプターを搭載し、相応の汎用性を有していたが、やはり試作艦としての性格が強く・1隻のみの建造にとどまった。しかしHHQ-7短SAMを中射程のHHQ-16SAM用VLS(32セル)へ換装するなどの大規模な近代化改装を2016年8月に終え、その戦闘能力を向上させている。
世界の艦船より
満載排水量 6,096トン
全長 154メートル
幅 16メートル
吃水 6メートル
主機 CODOG(ガスタービン2基/ディーゼル2基)、2軸
出力 48、600馬力
速力 29ノット
兵装 HHO-16 SAM用VLS I 基(32セル)、YJ-83
SSM 4連装発射筒4基、100mm連装砲1基、
30㎜CIWS 4基、324mm3連装短 魚雷発射管2基
搭載機 Zhi-9CないしKa-28ヘリコプター2機
乗員 250名
世界の艦船より
中国が西側技術と装備を大幅に取り入れて建造した初の大型水上戦闘艦。対潜、対空、対水上兵装を備えた汎用艦で,対潜ヘリコプターも搭載する。本級2隻は2009~11年頃に大規模な近代化改装を施され、レーダーやSSM,VDS、ガスタービン主機(2番艦のみ)など多くの装備が換装された。
満載排水量 4,674トン
全長 144メートル
幅 16メートル
吃水 5.1メートル
主機 CODOG(ガスタービン2基/ディーゼル2基)、2軸
出力 55、000馬力(2番艦は48,600馬力)
速力 31ノット
兵装 HHO-7(クロタル)短SAM 8連装発射機1基、
YJ-83 SSM4連装発射筒4基、100mm連装砲1基、
30mmCIWS 2基、FOF2500 12連装対潜ロケット発射機2基、
324mm3連装短魚雷発射管2基
搭載機 Zhi-9Cヘリコプタ一2機
乗員 266名
旧ソ連のコトリンKotlin型(1950~60年代に就役)をベースに中国が国産建造した駆逐艦 旅大型で、1971~91年に同型17隻が就役した。建造が長期に及んだうえ、就役後の近代化改装によって多くのバリエーションがあったが、在籍するのは4隻のみである。現役にある艦は、いずれも対艦ミサイルを新型のY」-83に換装しているが、センサーや対空、対潜能力は限定的で、その対水上火力を発揮できる局面は限られると思われる。
開封 Kaifeng 109 1982年12月就役 北海艦隊
大連 Dalian 110 1984年12月就役 北海艦隊
湛江 Zhanjian9 165 1990年 就役 南海艦隊
珠海 Zhuhai 166 1991年11月就役 南海艦隊
世界の艦船より
満載排水量 3,790トン
全長 132メートル
幅 12.8メートル
吃水 4.7メートル
主機 蒸気タービン2基,2軸
出力 72,000馬力
速力 32ノット
兵装 HHO-7(クロタル)短SAM 8連装発 射機1基,Y」-83 SSM 4連装発射筒4基,130mm連装砲2基(165,166は100mm連装砲2基),57mm連装砲3基(165,166は37㎜連装機銃2基),FQF250012連装対潜ロケット発射機2基,324mm3連装短魚雷発射管2基
乗員 280名
■フリゲート
◇054B型 江凱III型(054B型) 計画中
中国は1970年代から沿岸水上戦闘艦として、対艦ミサイルを装備したフリゲイトを建造してきた。 1980年代には江滬JianghuIII(053H2)型を建造、この後船体を大型化、対空ミサイルも装備、ヘリコプターも搭載する江衛JiangweiⅠ型、同II型(053H2G型/053H3型)を建造した。 2000年代にはさらに船体を大型化、ステルスにも意を払った江凱I型(054型)を2隻を建造、その改良型として建造されたのが江凱II型である。 2008年1月に1番艦が就役。現在までに26隻が完成し、3隻が艤装中1隻が建造中で計30隻が整備される。
世界の艦船より
要目
基準排水量3、556トン、満載排水量3,933トン、
全長134.0メートル、幅16.0メートル、吃水5.0メートル。
主機ディーゼル4基、出力28、200馬力、2軸、速力27ノット、
航続距離3,800浬/18ノット。
搭載機1機(Ka-28)、乗員180名。
兵装
HHQ-16 SAM用VLS(8セル×4基、計32セル)(艦橋前上甲板)
対艦ミサイル(YJ-83)4連装発射筒2基(中央部上構造上ブルワーク内)
対潜ミサイル(CY-3)用VLS、6連装対潜ロケット発射機2基(艦首甲板)
76ミリ単装砲(PJ-26)、18連装デコイ発射機(726型)2基(格納庫上)
短魚雷YU-7 3連装発射管2基も主船体内、7銃身30ミリCIWS 2基(730型)
船型は中央船楼型、艦首部は大きなシアを有する。ステルス性を重視したため、上構は全般に角張っており、格納庫前の搭載艇揚収部はカバー付き、マストも塔状である。ソナーは艦首にバウ・ドーム、さらに曳航ソナーを装備するほか、VDSを装備する艦もある。
2005年に2隻が就役した中国海軍の新鋭フリゲイト艦、前級053H3型江衛IIと比較すると、排水量が1500トン以上大型化しており、船体には本格的なステルス対策が施されている。フランス系の兵装武器システム、レーダー通信機器を搭載し、船体もフランスのラファエット級から大きく影響を受けたフリゲート艦である。
054型は中国海軍の新世代フリゲイトとして多数の建造が行われると予想していたが、実際には054型の調達は「馬鞍山」と「温州」の2隻で終わり、改良型の054A型フリゲイト(ジャンカイII型/江凱II型)の建造に移行した。
054型は、次世代フリゲイトに必要なステルス性を強く考慮した船体設計、新しいフランス系ディーゼル機関、兵器システムの統合などの各種技術の開発と実地試験を行うために建造された試験艦としての性格の強い。
世界の艦船より
満載排水量 3,900t
全長 132.0m
全幅 15.0m
主機 CODAD 2軸
SEMT-PIELSTICK 16PAC STCディーゼル 4基(42,000馬力)
速力 27kts
航続距離 3,800nm/18kts
乗員 190名
【兵装】
対空ミサイル HQ-7(紅旗7/CSA-N-4)/ 8連装発射機 1基(予備8発)
対艦ミサイル YJ-83(鷹撃83/C-803)/ 4連装発射筒 2基
対潜ロケット 87式250mm6連装対潜ロケット発射機(FQF-3200) 2基
魚雷 YU-7 324mm短魚雷/B515 324mm3連装魚雷発射管 2基
砲 87式55口径100mm単装砲(H/PJ-87) 1基
近接防御 AK-630 30mmCIWS 4基
搭載機 Ka-28対潜ヘリコプター(ヘリックス) もしくはZ-9C対潜ヘリコプター 1機
江衛Ⅰ型(1991年~就役4隻全艦が2015年以降海警に移管済み)の改良型で、1996年就役。短SAMを国産のHQ-61からフランス製HHQ-7(クロタル)に改めたのが特徴である。
バランスの取れた兵装と対潜ヘリコプターを有し、実用性の高いクラスと評価され、10隻を建造した。しかし、海洋進出を進める中国海軍にとって航洋性はやや不足気味であったため、フリゲイトの整備は江凱Ⅰ/Ⅱ型に移行している。
世界の艦船より
満載排水量 2,286トン
全長 111.7メートル
幅 12.4メートル
吃水 4.8メートル
主機 ディーゼル,2軸
出力 24,000馬力
速力 27ノット
兵装 Y」-83 SSM 4連装発射筒2基,HHO-7(クロタル)
短SAM 8連装発射機1基、
100mm連装砲・1基、37㎜連装機銃4基、
RBU1200対潜ロケット発射機2基
航空機 Zhi-9Cヘリコプター2機
乗員 170名
江衛Ⅰ型4隻退役(海警へ移管)
1970年代中期に1番艦が起工され。1990年代半ばまでに4タイプ合計32隻が量産された。近海作戦用フリゲイト。
旅大型の小型版というべき性格で,長く中国海軍を支えたが,海外売却。海警への移管,解体などで隻数を減じており、現役にとどまっているのは13隻である。一部の艦は就役後にSSMをY」-83に換装するなどの近代化工事を受けている。
世界の艦船より
満載排水量 1,729トン(Ⅲ型は1、955トン)
全長 103.2メートル
幅 10.8メートル
吃水 3.1メートル
主機 ディーゼル2基、2軸
出力 14,400馬力
速力 26ノット
乗員 200名
兵装 HY-2 SSM連装発射筒2基「lll型はY」-83 SSM連装発射筒4基、
V型の一部は同4連装2基)、100mm単装砲ないし連装砲2基、
37mm連装機銃4基、RBLJ1200対潜ロケット発射機2基
■コルベット
◇056型コルベット 江島(Jiangdao)型 コルベット艦
054A型フリゲートと022型ミサイル艇の間を埋める近海防御用の艦艇であり、1番艦が2013年3月に就役し、2017年中に39隻が竣工、年間5~10隻が4ヶ所の造船所で建造中といわれ、もっか、大増殖中である。最終的には同型60隻が整備される計画といわれる。
船型は中央船楼型次が船楼はかなり艦尾側まで伸びており、その上部が飛行甲板となって艦尾まで続く、全体にステルス性能を重視した設計で、要所にブルワークを設けている。 タイプシップはタイ海軍のパッターニPattani級コルベット(2005、06年に中国で建造、満載排水量1,463トン)といわれている。
なお、056型コルベットは建造時期により細部が異なっており、一部装備の変更もある。古いフリゲイトや哨戒艦艇の代替もあって多数の建造となったもので、隻数はさらに増加することも考えられる。
世界の艦船より
要目
排水量 基準1,300トン / 満載1,500トン
全長 88.9 m (292 ft)
最大幅 11.14 m (36.5 ft)
吃水 4 m (13 ft)
主機 ディーゼルエンジン×2基
推進器 スクリュープロペラ×2軸
最大速力 25ノット
航続距離 2,000海里(18kt巡航時)
乗員 60名
便乗者 コマンド部隊30名
兵装・ H/PJ-26 76mm単装速射砲×1・ H/PJ-15 30mmRWS×2
・ HHQ-10近SAM 8連装発射機×1
・ YJ-83 SSM連装発射筒×2
・ 3連装短魚雷発射管×2基 (Yu-7用)
搭載機 Z-9哨戒ヘリ×1機※露天係止
レーダー ・ 364型 対空/対水上捜索用・ 347G型 砲射撃指揮用ソナー ・ 船首装備式
■ミサイル艇
◇022型 紅稗(ホウベイ: Houbei)型ミサイル艇
中国海軍はソ連のオーサ型のデッドコピーであった021型ミサイル艇(ホアンフェン型/黄蜂型)110隻など多数のミサイル艇をはじめ、哨戒艦艇の整備に力を注いできた。現在も増殖中のミサイル艇がこの紅稗型である。
オーストラリアで開発されたトリマラン船型を採用している。 船質はアルミ合金で、ステルスを重視し速力性能を確保して、局地防衛には適 しているが、能力には限界がある。全体に傾斜平面で構成されたステレスを意識した外形である。2005年から就役が始まっており、建造数は83隻ともいわれる。
主要目
満載排水量224トン、全長42.6メートル、幅12.2メートル、吃水1.5メートル。
機はディーゼル2基、出力13、730馬力、推進器ウォータージェット4基,速力40ノット(50ノットの資料もある)、乗員12名。
兵装
対艦ミサイル(YJ-83)4連装発射筒2基
30ミリ6 銃身機銃(PJ-13)1基
レーダー等は対水上 捜索レーダー(348型)1基、航海レーダー1基
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