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US Navy will start making super-destroyer class ships in 2023
【nextbigfuture.com】brian wang | August 29, 2018  

The US Navy will buy a new ship in 2023 which will be larger than a destroyer but which is not yet called a cruiser. It will be bigger and more expensive than the Arleigh Burke Flight III design and will have more room.

米海軍は2023年に新型水上戦闘艦を導入する予定です。この新型艦は駆逐艦よりも大きくはなるが、巡洋艦とは呼ばれていない。アーレイ・バーグ型フライト III(9560トン)よりも大きくて高価になり、より多くの余力スペースを確保される予定です。

The US Ticonderoga class of guided missile cruisers was first ordered and authorized in the 1978 fiscal year. The cruisers displaced 9600 tons.

米国のタイコンデロガ型ミサイル巡洋艦は、1978年度に(大型駆逐艦スプールアンス級にイージスシステムを載せ)建造された。9600トンだが巡洋艦扱いとなった。

The most recent Arleigh Burke Flight block III displace 9600 tons.

最新のアーレイ・バーグ型フライト ブロックIIIは排水量9600トンに達しています。(フライトⅠは排水量8850トン)

The US Navy bought three super-advanced Zumwalt destroyers which displace 15,000 tons.

米海軍は、1万5000トンに相当するズムウォルト型超駆逐艦を3隻導入したした。

It seems likely that the US will go for a 13,000-ton to 20,000-ton ship design with an integrated power system to support railguns and lasers. The US will build a larger hull and fill in the railgun and lasers and power systems at a later time.

米海軍は、レールガンとレーザーを登載するための統合された電力システムを備えた1万3,000トンから2万トンクラスの設計を行う可能性が高いと思われます。米国は、大型の船体を建造し、就役後にレールガンとレーザーと電力システムを順次改修し搭載する方針と思われます。

The US previously canceled the CG(X) cruiser project. This would have been a 20,000 to 25,000-ton ship.

米国は以前にCG(X)新巡洋艦計画をキャンセルした。これは2万〜2万5千トンの船であった(ので、新型艦は巡洋艦と呼ばないのであろう)。
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CG21はタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦の更新用として、2011年ごろより発注する新型ミサイル巡洋艦計画≒SC21計画の一部であったが、オバマ政権下2010年度の国防4年計画(QDR)において計画はキャンセルされてしまった。

4年に一度の国防計画見直しである2018QDR( Quadrennial Defense Review)においてCG(X)の代替として、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦の後継型として具体化すれば、このスーパー・デストロイヤーがもしかすると2023年実現する可能性が高い。

本艦は、レールガンやレーザー砲にエネルギーを供給するのに必要な革新的電機システムを搭載し、ズムフォルト級のような奇をてらったような船体構造ではないので、1972年に建造されたスプールアンス級のように、将来装備を搭載する大きな発展余力を持ち、21世紀の米海軍の水上戦闘艦のベースとなる艦になると思います。

この新しい艦艇計画は実現すると思いますが、米ソ冷戦後期から今日に至る経過を見れば、スーパー・デストロイヤーが出現する必然性が理解できると思います。

■米海軍大型水上戦闘艦開発小史

かつてロナルド・レーガン大統領が米ソ冷戦に勝ち抜くために600隻艦隊構想(600-ship Navy initiative)をぶち上げた。

ところが、ソビエト連邦が崩壊し、米ソ冷戦が集結すると、イージスシステムの導入と
重なり、最後の原子力巡洋艦バージニア級の後継が定まらず、米海軍の水上戦闘艦構想はバージニア級原子力巡洋艦以降二転三転し頓挫計画中止が続いた。

混乱の切っ掛けとなったバージニア級後継問題以降の米大型水上戦闘艦開発の概略を簡単に紹介します。


バージニア級の後継艦として計画されたのが世界初のイージスシステムを搭載した原子力打撃巡洋艦( CSGN: strike cruiser)であった。

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CSGN 

原子力推進に初のイージスシステム搭載艦の建造費は当然高騰した。このことから、当初ズムウォルト大将がCSGNの代わりに検討させていたようなガスタービン主機のミサイル駆逐艦の案が復活することになり、CSGN 8隻と在来動力型ミサイル駆逐艦(DDG)16隻によるハイローミックスが予定された。

CSGNは1978年度計画からの建造が予定されていたが、議会はCSGNの建造を差し止た。
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カーター政権はCSGN計画の見直しを指示した。かわってバージニア級を発展させたCGN-42の設計が着手されたものの、当初5隻が予定されていた建造数は、1978年3月には1983年度計画の1隻のみに削減され、1981年2月にはその建造も中止された原子力推進水上戦闘艦は高コストであり、その存在意義が議論され、結局航空母艦以外原子力推進水上戦闘艦は中止となった。

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CGN-42

海軍内では70年代初頭に却下されたSCS制海艦復活派と大型原子力艦や大型空母の優位を主張するグループが対立しスプールアンス級を基にしたSCS制海艦復活を潰し、その妥協案としてCSGN Mk.IIなど紆余曲折があった。


CSGNMkⅡは原子力打撃巡洋艦計画にヘリコプター2機+垂直離着陸機6機の搭載STOVL軽空母としての機能をもたせた試案が作成された。

米ソ冷戦後期半米海軍はスプールアンス級という傑出した大型駆逐艦を建造した。
1972年 - 1983年に31隻が建造され1975年 - 2005年運用された。

スプールアンス級は軽荷排水量5,825トン、満載排水量7,800トン、米海軍の大型艦として初めてガスタービンエンジンを搭載した大型駆逐艦であった。

就役当時排水量が7000トンを超える大型駆逐艦にもかかわらず、武装が4000トンクラスのノックス級フリゲート大差がなく、これでもかと兵器を満載したソ連の水上戦闘艦との落差に失望したものだった。

だが、スプールアンス級は遮浪甲板船型の採用など新機軸が多く、発展余力が大きかった為キッド級ミサイル駆逐艦、タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦(満載排水量9,763~1010トン)のベースとなった。

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Spruance-class destroyer

元々イラン向けに建造した艦隊防空型スプールアンス級がイラン革命で引き渡せず
米海軍が引き取りキッド型4隻となった。

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Kidd-class guided missile destroyers

大型ミサイル防空駆逐艦キッド型にイージスシステムを搭載したのがタイコンデロガ級である。

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Ticonderoga-class guided missile cruiser USS Vincennes (CG-49)

発展余力が大きいスプールアンス級を更に発展させるプロジェクトSpruance-classを発展させたDXプロジェクトの中から対潜ヘリに加えV/STOL機も搭載する案が出た。
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次第に搭載機数を増やす航空駆逐艦案となり
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フォークランド紛争でハリアー戦闘機の活躍もありAV8BハリアーⅡも搭載する案となりった。

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1970年代初頭に護衛船団や洋上補給グループの護衛にあたる軽空母計画だったSCS計画を復活させようとする動きが起きた。
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SCS制海艦

結局、大型原子力艦や大型空母の優位を主張するグループによって前述のとおり
小型空母を多数建造する案は葬り去られた。その大きな理由が、画期的なイージス防空システムの登場が大きいと思う。

最初にイージスシステムを搭載する計画であった打撃巡洋艦(CSGN)計画が頓挫し、タイコンデロガ級巡洋艦の整備が開始されていたが、極めて高コストの艦であり、もともと基準排水量6000トン弱のスプールアンス級を発展させ9,000トン級の巡洋艦へと発展していったという経緯もあり、これ以上将来への発展性も困難であった。

タイコンデロガ級巡洋艦より小型で安価なイージス駆逐艦(DG/Aegis)の必要性から1978年5月より海軍作戦部長府(OpNav)にDDX研究グループが設置され、コンセプトを練り、1979年より次期ミサイル駆逐艦DDGXの研究を開始させた。

コンセプトは
・攻勢的な長射程のウェポン・システム
・イージスシステムに準ずる強力な対空戦システム
・船体装備ソナーおよび対潜哨戒ヘリコプター
・29ノット以上の速力および5,000海里の航続距離
・十分に強力な残存性

1981年、レーガン政権下で、レーマン海軍長官は600隻艦隊構想を掲げており、海軍力の増強が求められるようになった。

DDGXとタイコンデロガ級、またタイコンデロガ級の計画段階で検討されていた改バージニア級(CGN-42級)、そしてDDGXより小型・高速で6インチ砲搭載の外洋駆逐艦(DDGY)の4案を代表例として、具体的な選択肢の長所と短所をすべて考慮したうえで比較検討が行われた。DDGX研究を踏まえた実用艦として設計され、1985年度計画で発注されて、建造が開始されたのがDDG-51アーレイ・バーグである。


アーレイ・バーク級は、2017年までに65隻が完成し、2018年9月現在12隻が建造中もしくは計画中という戦後米海軍水上戦闘艦最大の同型艦数となった。


その後も継続的な改設計を受けており、「フライト」として区別されている。最初に建造されたのがフライトI(21隻)満水排水量8850トンだが、フライトII(7隻)ではヘリコプター甲板でのLAMPSヘリコプターへの補給能力、JTIDSやTADIXS-Bへの対応、AN/SLQ-32(V)3電波探知妨害装置の搭載、トマホーク巡航ミサイルの運用に対応した電波方向探知機の搭載、SM-2ブロックIVミサイルの運用への対応を図ったとなった。フライトⅡの満水排水量は9,033トン。

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arleigh burke class flight iia  USS Oscar Austin (DDG79) / Photo c6f.navy.mil

1994年度より開始さたのがフライトIIA(37隻~)である。コスト低減からヘリを搭載していなかったがLAMPSヘリコプター2機を搭載し、フライトⅠ~Ⅱでは VLSが29+61の90セルであったものが、32+64の96セルに増設された。(但しハプーンSSM発射筒4×2は撤去された)フライトⅡAの満水排水量は9,515トンへとなった。

フライトIIAの建造は、2005年度で一度中断した。本来はここで打ち止めになるはずだったが、ズムウォルト級ミサイル駆逐艦の建造数削減に伴って2010年度より再開されており、これ以後の建造分は「フライトIIAリスタート」と称される。また同年度でCG(X)計画が中止されたことから、その代替も兼ねて、2016年度からは、フライトIIIの建造も開始されることになった。これは1988年に検討されていたVLS数122のフライトIII案と直接の関連はなく、フライトIIAをもとに装備の更新などを図った改良型となる予定である。ただし、スーパーデストロイヤー計画(仮称)との兼ね合いで流動的である。


話を少し元に戻します

1988年アメリカ海軍協会誌プロシーディングスに多数のVLSを搭載し自艦には射撃管制装置を搭載しないが500セルのVLSを搭載するアナーセルシップ構想の元が提案された。

外洋航行能力を備えた比較的大型の船体に、主に対地攻撃用の大量のミサイルをVLS内に搭載するが、戦闘用レーダーを搭載せず、自衛用兵器も最小限度に留めているなど、意図的に兵器搭載量のみを拡大させた艦とされた。

ちなみにアナーセルとは武器庫という意味である。

通常の戦闘艦は、対空・対水上・対潜用のレーダーや光学センサー、ソナーといった多様なセンサーを備え、友軍からの情報も電波によって入手して、戦闘時にはこれらからの情報を総合的に整理統合した上で、攻撃対象を選択し、攻撃指示を受けた射撃管制装置がミサイルや艦砲を制御し発射・誘導を行うのが基本である。
レーダーをはじめとする電子機器類は高価であり、情報を分析した上で攻撃を決定するためには高度な訓練を受けた多数の乗組員と高価な戦術情報支援システムが必要とされ、艦隊を組んで対地攻撃を行う場合にもすべての艦にこれらの能力を付与することの必要性に疑問が生じてきた。
アーセナル・シップは建造費を抑えるため、データリンクシステムを除けば自艦に高価な電子機器を搭載せず、目標の探索・追跡や攻撃目標の決定に関わるあらゆる機能を省いて、決定済みの攻撃目標データを僚艦となるイージス艦やそれに類する司令部機能を備えた友軍から受けることで、攻撃を行うものであった。
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自らの武器使用の判断機能を他に委ねることで、電子機器類と共に人員も、操船と通信、搭載兵器の保守程度と大幅に削減できるために、艦内容積が搭載兵器へ集中でき、人件費を含めた運用コストも削減できるとされた。
だが、僚艦によって管制を行うシステムは理論上は機能するとしても、実際には予期せぬシステムの故障や運用上の障害がおこる可能性があり、機能が複数艦に分散する点でも信頼性が高いとはいえない。
また1隻にミサイルを集中させてしまうこともリスク分散の面から考えても好ましくない。もしアーセナル・シップのデータリンクシステムが故障すれば、搭載する全てのミサイルが使用できず、他艦が健在であっても艦隊の攻撃能力が激減してしまう。
アーセナル・シップはミサイルを最大500発以上搭載可能で投射能力は通常の水上艦に比べれば遙かに大きいが、艦載機によって反復攻撃を行える空母には遠く及ばない。
アーセナル・シップが長期間持続した攻撃を行うことは技術的にも予算的にも困難で、活躍の場は湾岸戦争初日のような敵国に対しての第一打にしかない。
対空対艦戦闘能力も持つことになっていたが目標の探索などは他の艦や航空機に頼るため、持続性の向上にはつながるものの艦隊としての対処能力向上につながるものでもなく、対地対空ともに活躍できる空母には遠く及ばないなどの理由で、結局建造されることはなかった。

やがて、
オリバー・ハザード・ペリー級ミサイルフリゲートスプルーアンス級駆逐艦アーレイ・バーク級タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦の後継となる水上戦闘艦で、自らもイージスシステムを搭載するアナーセルシップのように大量のミサイルを積む水上戦闘艦SC-21(Surface Combatant for 21st Century)構想へと発展した。 

SC-21の起源は、 1987年に2つの研究(船舶操縦特性調査(SOCS)と地上戦闘力要件研究(SCFRS))において水上戦闘艦に要求される操縦特性を特定し、艦隊が必要とした艦の数を推定することが求められた。 

センサーと武器のネットワーキングのために、アナーセルシップのように個々の船舶レーダーを積まず、広い兵器搭載スペースと、将来搭載兵器(レーザー砲、レールガン)の発展余地を持った艦が研究された。 両方の研究は1989年に報告されたが、冷戦の終結によりほとんど直ちに廃止された。

1991年12月のDDV(Destroyer Variant)計画が立ち上げられ、アーレイ・バーグ級後継艦の研究が開始された。

1992年、「駆逐艦」と「巡洋艦」の古いカテゴリーに合致しない艦艇のファミリー化が意図され同一の設計にもとづいて、フリゲート・駆逐艦の後継となるDD-21と、巡洋艦の後継となるCG-21が開発される計画、21世紀の水上戦闘艦(SC-21)と呼ばれる新しいプログラムが始動した

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Alternative Overall Architectures for SC–21 Ships (SC–21, 1997)

まずDD-21を開発し、それを拡大してCG-21が開発される計画とされた。先行して計画されたDD-21は、既に巡洋艦級と評されるまでに肥大化してCGの代役となったのがズムフォルト型であった。


ズムフォルト型もお約束通り建造費が高騰し、32隻の計画が次第に減らされ結局3隻が承認されるに留まったが、逆に3隻も実現した方が奇跡かもしれません。
SC-21計画はオバマ前大統領によって頓挫させられてしまったのである。


同型艦数が70隻を越えてきたアーレイ・バーグ級ではあるが、レーザー砲やレールガンや、新型アクティブ・フェーズド・アレイレーダー(AESAレーダー)によるマイクロウエイブ照射が実用化すると、その発電能力には限界がある。

そこで21世紀後半の水上戦闘艦として大きな発電能力と、新兵器に対応できる広い余剰スペースを持つ新しい艦艇が必要となるのである。

まだ、2018QDRが出されていない為、具体的計画名が判明していない。
便宜的にスーパー・デストロイヤー計画とこのブログでは仮称します。

スーパー・デストロイヤー計画は2023年以降アーレイ・バーグ後継水上戦闘艦として、米海軍の主力艦艇として出現すると思われます。