防衛省は、航空自衛隊のF2戦闘機の後継機を新規開発する方針を固めた。政府関係者が明らかにした。米英の3社から既存機種の能力向上型の導入を提案されていたが、コストや性能面から日本側の要求に合わないと判断した。年末に策定する次期中期防衛力整備計画に開発方針を盛り込み、外国との共同開発を視野に入れながら、エンジンなどで日本独自の技術開発も進める方向だ。【秋山信一】

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共同訓練する航空自衛隊のF2戦闘機(下)と米空軍のB1爆撃機2機=九州周辺空域で2017年7月30日午前(航空自衛隊提供)

空自は現在92機のF2を保有するが、2030年代から耐用年数を超える。戦闘機の開発には10年以上かかるため、防衛省は(1)国際共同開発(2)国内開発(3)既存機の能力向上型の購入--の3案を検討してきた。今年末をめどに後継機の導入方針を定める考えだ。

16~18年度には国内外の企業や米英両政府に対し、戦闘機の新規開発や既存機の改修に関する情報提供を計3回求めた。今年7月までに、米ロッキード・マーチン社がF22、米ボーイング社がF15、英BAE社がユーロファイター・タイフーンの既存機をベースに能力を向上させる改修提案を行っていた。だが最新鋭のステルス性能を持つF22の改修はコストがかさみ、「米国政府による輸出禁止措置の解除の見通しについても、明確な説明がなかった」(防衛省幹部)という。他の2社の案も機体の性能が日本側の要求水準に及ばず、防衛省は既存機の能力向上型の採用を見送る方向だ。

ただ、数兆円規模の予算がかかる戦闘機の新規開発には困難が伴う。国内の生産・整備基盤を維持したい防衛産業団体や自民党の一部では国内開発を推す声が強いが、その場合は開発費全額が日本負担となる。戦闘機の開発実績が乏しい日本企業の主導は、技術面で不安が残るのも実情だ。

防衛省は09~18年度に約1900億円をかけてエンジン・電子システムなど次期戦闘機用の技術研究を行ったが、開発した国産エンジンはまだ基本性能を確認している段階で、飛行実験のメドは立っていない。

このため政府は、戦闘機開発を検討している英国や独仏連合との国際共同開発で、開発費を分担することも模索している。だが共同開発にも開発の時期や要求性能、開発分野の分担などを巡って調整が難航するリスクがある。一方、同盟国の米国は最新鋭のF35ステルス戦闘機を本格運用し始めたばかりで、次期機種の開発計画は具体化していない。防衛省では年末に新規開発という大枠を定めた上で、共同開発か国内開発かの最終判断は先送りし、技術開発や外国との交渉を進める案が出ている。
唐突に毎日新聞がF-2後継機は新規開発と決定したとの報道が流れた。
既存機は使わず、新規開発は決定したと報道。

「万歳!」と喜び毎日新聞の報道通りになってほしいのだが・・・、
ところが朝日・読売・産経・時事・共同・ロイター・NHK・その他地上波TVといった主だった報道機関から一切後追い記事が出ていない。

毎日新聞を読む人がいないのか、毎日記事を転載するネットニュースもけっして多くはなく、私も6日土曜日まで毎日の記事を気がつきませんでした。


<10/10追記>
それもそのはず、防衛省のHPで、5日の定例記者会見で岩屋新防衛大臣が、
「今の段階で何か決まっていると、確定的な方向があるというわけではありません。」と、何も決まっていないと、速攻で否定発言、おそらく各社の取材でも、同じような回答を取材先から貰ったので、後追い記事を出さなかったのであろう。
この記事は毎日新聞のフライング若しくはガセ情報の可能性が高い。

防衛大臣記者会見【防衛省・自衛隊】平成30年10月5日(12:00~12:39)
Q:F-2の後継機についてですが、既存機の改修ではなくて、新規開発をする方針を固めたとの一部報道がありましたけれども、現在の検討状況について聞かせてください。

A:報道は私も承知しておりますが、現段階で何かを決めているということはございません。当然、国内開発あるいは共同開発、新型機あるいは派生型にするかというオプションはありますが、それぞれについて検討を深めているところでございます。F-2が退役・減勢をしていく15年後位を目途に、これから大綱・中期防の議論などを通じて、将来のわが国の戦闘機体制のあり方について検討を深めて判断をしてまいりたいと思っておりますが、今の段階で何か決まっていると、確定的な方向があるというわけではありません。
だそうだ・・・・

まじっすか!この夏には純国産か、国際共同開発か、既存機導入か決定するって・・・また決められない病かよ、岩屋君クビ!・・・小野寺五典ComeBackAgain!

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航空自衛隊が現在90機あまり配備しているF-2の後継機としてF-3の開発計画が進んでいるものの、機体に関してF-22などを改修したものを配備する案がいくつか出されていたものの防衛省は開発コストや基準に満たさないとして何れも見送ったと報じられています。
 
防衛省は、航空自衛隊のF2戦闘機の後継機を新規開発する方針を固めた。政府関係者が明らかにした。米英の3社から既存機種の能力向上型の導入を提案されていたが、コストや性能面から日本側の要求に合わないと判断した。

毎日新聞

F-2戦闘機の後継機として航空自衛隊への配備計画を進めているのはF-3というステルス戦闘機です。現在これに搭載するというエンジンや機体設計は過去にいくつか出されており、風洞モデルも製造されていました。一方で、F-3の開発製造に向けて防衛省は『国際共同開発案』と『国内開発案』そして『既存機の能力向上型の購入案』の3つの考え方を示し、将来の導入を目指すとしていました。

今回報じられたのは『既存機の能力向上型の購入案』になるのですが記事によるとアメリカのロッキード・マーティンはF-22を改修しF-35の装備を搭載したようなハイブリッド型、ボーイングはF-15の改修型、イギリスのBAEシステムズはユーロファイター・タイフーンの改修型した案を提案してきたといいます。

パット見た感じ素人目にも最も高性能なロッキード・マーティンのF-22改修案が最有力視されるのですが、防衛省によるとF-22の改修案は改修コストがかかるほかアメリカによる禁輸措置解除の見通しが示されなかったとして導入に支障をきたす恐れがあるとして見送られたという趣旨の内容が書かれています。他のF-15、ユーロファイター・タイフーンの改修案は防衛省側が望む性能に達していないとして同じく見送られました。

「近代化されたF-22の再生産は検討していない」ー米空軍長官 : ZAPZAP!

したがって『既存機の能力向上型の購入案』はF-3からは消えたことになるのですが、一方で国際共同開発案として現在は同じような新型戦闘機の開発を検討している英国、もしくはドイツ・フランス連合との国際共同開発で開発費を分担した上で開発、導入を模索しているとのことです。ただ、求められる性能など日本と共同開発国との折り合いがつかない可能性と担当する分野の調整が難航することも考えられ一筋縄では行かないという事が記載されています。

▼イギリスの第6世代戦闘機 テンペスト(モックアップ)
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ちなみに国際共同開発案として挙げられているイギリスについては、現在F-22やF-35といった第5世代戦闘機の更に上をいく第6世代戦闘機の開発を発表しています。機体はユーロファイター・タイフーンの後継機に位置しする機体で『テンペスト』と呼ばれており、ドローンを運用できるなどF-3に近い構想(参考)になっていることから、具体的に報じられていないものの防衛省も興味を示しているものと考えられます。テンペストはイギリスのBAEシステムズのほかロールス・ロイス、イタリアのレオナルド、欧州のミサイル大手MBDAが参画するといわれており導入は2035年を目標にしています。

英国 第6世代戦闘機『テンペスト』、モックアップを一般展示 : ZAPZAP!


ZAPZAPも後追い記事を書いたので、私も更に後追い記事を書こうと思った。

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F-3の肝はXF9-1ハイパースリムエンジンであるから、XF9-1エンジンの完成により、大推力で口径が小さいエンジンを生かしたければ、既存の機体の再開発再生産の選択肢はもともとなくなる。


また、高性能半導体を使った三菱電機のAESAレーダーの採用を生かすには、国際共同開発ではなく、国内設計は規定路線なのでしょうが・・・・だが、これではまた振り出しに戻っただけである。

堂々巡りしたあげく、最後の最後にF-2後継機開発中止、F-35追加配備という最悪の結末を迎えるのではないか?毎日新聞のリークの後に続かない各社の動きを見ていると、なにやらいやな予感がしてならない。

トランプ政権の米中貿易戦争の余波で、F-2後継機が人身御供にされるのでは・・・

日本側は日米国際共同戦闘機F-2開発で、米国に対し拭い難い不信感を得た記憶が消えてはいない。その拭い難い不信感が共同開発案すら厳しい。

元々F-2は、今から30年以上前、FSX・次期支援戦闘機として、開発計画が持ち上がりました。当初、政府や産業界は、国産による開発を目指していました。1980年代は、「ジャパンアズNo1」と日本経済の強がが世界的に高く評価された時代。日本経済が世界の頂点を極めつつある時代でした。

かつて「ゼロ戦」を生み出した、伝統の技術力を活かし、日本の航空機産業を再興発展させるには、機が熟したと、当時、計画に携わった関係者は考えていた時代でもありました。

しかし、FSX国産化の計画は、日米の深刻な経済摩擦に巻き込まれ、巨額の対日貿易赤字に苦しむアメリカは、日本に、米国製戦闘機を買うことで貿易赤字を減らすよう迫ります。

執拗な圧力の結果、日本は国産を断念。アメリカ製のF-16戦闘機をそのまま購入する事態は避けたものの、最終的にアメリカ製のF-16をベースにFSX開発の日本の技術、を加える、日米共同開発となった。

共同開発と決まった後も、米国のえげつない日本航空機産業つぶし、日本の高度な炭素繊維技術も米国に移転させられたあげくの果てはベースとなったF-16のフライトソースコードまでリリースを拒否、日本はF-2のフライトソースコードを独自の開発を余儀なくされた。

F-2の共同開発も妨害してきた米国のやり方には防衛省やメーカーは抜きがたい不信感を抱いていて、その為に、国際共同開発に強い嫌悪感があってもふしぎではない。

だが、戦闘機の開発費は莫大で一国で賄うにはあまりにも巨額になり過ぎている。
国産の場合の開発費は数兆円規模になるとみられており、戦後、日本企業による戦闘機の開発実績が乏しいこととあわせ、現実的な選択肢ではない、複数の国が集まって共同開発を行うのは技術だけの問題ではなくこの開発費負担を軽減するためもある。

今のところF-2後継戦闘機1機あたりの価格は200億円を優に超えるとみられ、防衛省が目安にしていた150億円を上回ります。また予算の鍵を握る財務省からは、費用対効果の点から、日本単独開発で、大丈夫なのか?

英国もしくは欧州が開発パートナーになるとは私は信じがたい。特に英国のテンペストはロールスロイスエンジンを載せるための戦闘機なので、XF9-1エンジンを載せるF-2後継機とは国際共同開発する相手としては、いかがなものか?欧州との国際共同開発もいままで日欧間での技術交流の実績が無いだけに、非常に難しいと思う。

米国との国際共同開発にしても主導権を取れない共同開発では金を出すだけになってしまう。FSX/F-2当時とは状況が異なるので米国は日本が戦闘機の自主開発を推進しても口を出さないとは言うが、やはりFS-X/F-2開発の苦い思いはトラウマであるから、共同開発相手は見つからず、結局は単独で開発という選択をとらざるを得なくなるだろう。

毎日新聞「防衛省 空自F2後継機は新規開発」との情報だが、その通りになるかもしれないが、情報のリーク元も政府関係者?では不明確で、確かな情報なのか?
もし本当であれば、もっと各社後追い記事をだしてしかるべきなのに無く、今のところ私は、不明確な情報だという解釈をしておきたい。