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中露に対抗、電子戦「無力化」狙う攻撃機開発へ
【読売新聞】1/13(日) 6:14

 
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   中露に対抗、電子戦「無力化」狙う攻撃機開発へ (写真:読売新聞)

 政府は、敵のレーダーや通信を無力化する「電子攻撃機」を開発する方針を固めた。自衛隊の輸送機や哨戒機に強力な電波妨害装置を搭載する。電子戦能力を向上させている中国やロシアに対処する狙いがある。複数の政府関係者が明らかにした。

電子攻撃機の開発は、昨年12月に閣議決定した防衛計画の大綱の内容を具体化するものだ。大綱は「(日本への)侵攻を企図する相手方のレーダーや通信等の無力化」を可能にする態勢の強化を掲げており、自衛隊は来年度から開発に向けた作業を本格化させる。

具体的には、航空自衛隊の輸送機「C2」海上自衛隊の哨戒機「P1」に電波妨害装置を搭載した型を開発する方向だ。C2を基にした機種は2027年度の導入を目指している。P1については開発スケジュールを含めて検討する。

P1は操縦の制御に、妨害電波の影響を受けない光ファイバーを使用している。電気信号を使う他の航空機に比べ、電子攻撃機として高い能力を発揮することが期待されている。

電子戦の装備はすでに自衛隊の艦艇や航空機に搭載されているが、ミサイル攻撃を受けた場合、妨害電波を出して方向をそらすといった防御面に重点を置いている。これに対し、新たに開発する電子攻撃機は、空中で広い範囲に妨害電波を照射し、相手の航空機や艦艇などをつなぐ通信ネットワークやレーダーを無力化させ、戦闘ができない状態に追い込むことを狙っている。
防衛官僚が匿名で読売リークにしていると思われるが、防衛省はリークして記事にしてもらうことで、世論の反応を見ています。

読売の飛ばし記事といえば、記憶に新しいところで、
※すでにリンクが切れているので下記記事より参照ください
でしたが、悪く言えば飛ばし記事、好意的に言えば世論や政治家、国際社会の反応を見る為の打診記事がありました。

今回もその手の打診記事の一つかもしれませんが、日本に本格的な電子攻撃機は必要であり、いままでなかったことがある意味で信じられないというか、脳天気すぎたのかもしれません。

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現代戦の帰趨を決するのは電子戦を制した側と言って良い。

電子戦は、敵のミサイル基地や軍艦を先制攻撃するのに先立って、敵レーダーや通信機器、コンピュータの電子機器、地対空ミサイルシステムを妨害・攻撃し、無力化にさせるものだ。

航空自衛隊には早期警戒機のE-2Cが13機、E-767が4機配備されており、かつE-2Dを9機導入が始まっている。これらの早期警戒機と、日本国産のP-1対潜哨戒機は先進的な電子偵察システムを持ち、他国のレーダー信号を監視できる。また自衛隊が配備を開始したF-35Aは、総合的に非常に高い電子進攻能力を持つ。

しかしながら現在のところ、日本の全体的な電子戦能力は限定的であり、敵国の電子戦を受けた友軍を保護できず、また電磁スペクトルにより敵の部隊と施設を効果的に攻撃するのも困難な状況だ。日本は早急に中国の電子戦能力を凌駕し、先進的な電子攻撃・電子保護能力を持つ電子攻撃機が必要なのである。

電子戦能力は機密設備の塊で、米中露など主要各国が技術開発にしのぎを削る。米政府は秘密保護の観点から、同盟国である日本への協力にも消極的で、防衛省は新たなシステムを国産で開発する必要に迫られている。

日本の現在の電子戦能力は、電子偵察と訓練に重きを置いている。これは米国が、航空自衛隊に対地攻撃能力を持たせたくなかったためだ。

海上自衛隊にはEP-3電子戦データ収集機が5機、OP-3C画像情報収集機が5機、UP-3C装備試験機が1機、UP-3D電子戦訓練支援機が3機配備されている。

航空自衛隊にはYS-11EA電子戦訓練支援機が2機、YS-11EB電子戦データ収集機が4機配備されている。

防衛省の計画によると、C-2改造電子戦機が電子戦データ収集機4機が老朽化したC-1改造電子偵察機・電子戦訓練機とYS-11EBの後継機になる予定である。

これに加え、P-1とC-2の改造機を電子攻撃機として新たに改造機を増やすという読売新聞ののリークなのだが、昨年のちょうど今頃自衛隊に電子攻撃機EA-18Gグラウラー電子戦機を導入するというニュースが流れて、米国からEA-18Gグラウラー輸入するという話でしでしたが、結局どうなったのであろうか?


米国は、EA-18Gグラウラーを売らなかったのか?しかし、近年米国は日本の能動的な策源地攻撃能力を持つことを歓迎しはじめており、日本独自で電子戦機を開発したかったのか現時点では判断できない。

だが、当初防衛省は米国へEA-18Gを購入したいと打診したが、米国防省あたりから拒否された可能性も高い。

EA-18Gグラウラーは最新技術との軍事技術の塊で、オーストラリアが今後導入する予定にはなっているが、現在運用しているのは米海軍だけであり、米空軍は電子戦機を保有していない。

EA-18Gグラウラーがどんな能力を持つかは詳しいことは分かりませんが、簡単に売れるような代物でないのは確かです。

米空軍は、F-22とF-35がEA-18Gグラウラー専用電子戦機並みの能力を持っているため不要だという話であるが、F-18を保有するオーストラリアがEA-18Gグラウラーを導入するのは自然だが、オーストラリアは良くて日本にはEA-18Gグラウラーを提供できない決定的な理由がある。

米国とオーストラリアは軍事機密共有協定(UKUSA協定)通称ファイブアイズに加盟しているが、スパイ防止法がない日本は加盟したくてもできないのである。

UKUSA加盟国は非加盟国に盗聴やサイバー攻撃などを仕掛けて得た情報を共有しているとされ、日本がファイブアイズに加盟するには日本がスパイ防止法を制定が必須となる。

近年緊密化してきた日米英の3カ国は軍事同盟へ発展する可能性を秘めており、

もっとも、オーストラリアがEA-18Gを導入しても同レベルの電子戦機は作れないが、日本だったら簡単にEA-18G以上の性能の電子戦機を作られてしまう可能性もあるので、提供を拒否された可能性もある。

読売の記事によれば、

>相手方のレーダーや通信等の無力化」を可能にする態勢の強化
新たに開発する電子攻撃機は、空中で広い範囲に妨害電波を照射し、相手の航空機や艦艇などをつなぐ通信ネットワークやレーダーを無力化させ、戦闘ができない状態に追い込むことを狙っている。

高出力マイクロ波を、対象物のアンテナや電磁的隙間等から侵入させ、電子機器を故障、破壊させるるのだが、 その電子機器への電磁波侵入は FrontDoor Coupling と Back Door Coupling の2つに分類される。フロントドアとはアンテナからの侵入のことをいう。バックドアは電磁的な隙間外部との接続信号ライン、電源ライン等からの侵入のことをいう。電子機器を壊す指標である電界強度は前者で 2kV/m、後者で 15kV/m といわれています。 

今回導入しようする電子戦機は、単なるFrontDoor Coupling の電子戦機ではなく、敵国上空まで侵入し、EMP(電磁パルス)攻撃を仕掛けるBack Door Couplingのようだが、C-2改造機に加え、海自のP-1改造機にも、電磁スペクトルの中で稼働するセンサーと通信システムを持った、新たに電子攻撃能力を持つ機体を製作するようだ。

Back Door Couplingを仕掛ける強電磁界を発生させるには、EA-18Gでは小型過ぎるので、大型機を使用するという考え方もあるだろうが、EP-1やEC/RC-2が、朝鮮半島上空や、中国大陸沿岸部上空~南シナ海南沙諸島上空まで飛ぶと言うのか?

戦闘機より重鈍で敵に発見攻撃されやすいが、完璧に敵レーダーを目潰しに成功すれば確かに問題はないかもしれないが、完璧に潰しても、有視界飛行の迎撃機に発見されればひとたまりもない。戦闘地域上空を亜音速でP-1やC-2改造の電子戦機が飛行危険すぎる。ゆえに、この読売の記事は額面通り信じられないリーク記事の可能性が高い。だが、とりあえず後方より電子攻撃を行うP-1やC-2改造の電子攻撃機は製作され配備される可能性は低くはない。

現在、F-15PreMSIPが100機あり、防衛大綱ではF-35を追加取得する方針なので順次引退させていく方針のようだが、EA-18Gグラウラー電子戦機を投入しないのであれば、最前線の戦闘空域を飛行し、数百キロ内の敵の防空・指揮システムを妨害・破壊し、電子攻撃任務を行うのであれば、超音速機であるF-15PreMSIP機を機体延命措置を施し、電子攻撃機に改造するべきではなかろうか?

F-15PreMSIP改造電子攻撃機であれば、戦闘空域上空で高出力無線周波パルスによりレーダーと通信システムを妨害し、ミサイル攻撃をそらす、敵の通信ネットワークやレーダーを無力化させ、対輻射源ミサイル等を携行し、レーダー施設を破壊することなどが想定可能だ。

最初から米露に匹敵する国産電子攻撃機を作れるとは思えないが、似たような装置は作れるでしょう。F-15PreMSIPを改造するのであれば、無人機型の電子攻撃機へ改造すべきではないのか?また、新たに電子攻撃機をC-2やP-1を改造する場合も、無人機にするべきではないだろうか?

リーク記事だとしても、政府は防衛大綱に基づき新型電子攻撃機の開発を検討しており、ATLA内で、電子情報の収集・分析を行っている。自動化された警報・防空指揮制御システムである「空中・宇宙防衛地上ステーション」ネットワークを活用するとのことです。
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防衛省による電磁波攻撃装備の導入方針が11日、明らかになった。宇宙・サイバー・電磁波は陸海空という従来の領域を越えた「新たな領域」と位置づけられる。政府が防衛計画の大綱改定で各領域を横断的に活用した防衛力を構築することに主眼を置くのは、人体にたとえれば「目」と「神経」をめぐる攻防を見据えたものだ。

「ウサデン」。防衛省・自衛隊では宇宙・サイバー・電磁波の頭文字をとり略称し、一元的に扱う。新防衛大綱では人工衛星への攻撃を防ぐ宇宙部隊創設とサイバー防衛強化も掲げる。防衛省が9月にまとめた報告書では中露両国の衛星攻撃兵器と電磁波攻撃能力の脅威を指摘し、サイバー攻撃では中露に加え北朝鮮の能力強化も明記した。

新たな領域を一元的に扱うのは中朝露の軍事的な動向を平素から正確に把握し、動向を自衛隊の司令部や部隊へ即座に伝え、部隊と装備を的確に運用するためだ。相手の攻撃で、この一連の流れに齟齬が生じれば自衛隊は機能しなくなる。

具体的には、動向を監視するレーダーや情報収集衛星は自衛隊の「目」で、相手の電磁波攻撃でレーダーが機能しなくなったり、衛星破壊兵器で無力化されたりする恐れがある。目で得た情報を司令部や部隊に伝える情報通信ネットワークは「神経」にあたり、電磁波妨害やサイバー攻撃で遮断される危険性がある。破壊や電磁波妨害で衛星利用測位システム(GPS)と通信衛星が麻(ま)痺(ひ)すれば自衛隊の部隊運用で重要な指揮・統制は壊滅しかねない。

これらの事態が現実となれば司令部という「頭脳」も働かず、戦闘機や艦艇などの「手足」も動かせない。情報収集・警戒監視・偵察で相手の位置を把握し、GPSとネットワークも駆使して目標に命中させる衛星誘導爆弾に代表される戦闘は20年前から米軍が主導してきた「(情報)ネットワーク中心の戦い」と呼ばれ、自衛隊も採り入れてきた。

だが、その強みが相手の妨害により一瞬で弱みとなる時代に入った。

新たな領域の攻防はその後の戦いの優劣を決め、生殺与奪の権を左右する。自衛隊の機能を守るには「相手の機能を妨害することも不可欠」(政府高官)とされ、電磁波領域では一定の攻撃的装備の導入に踏み切る。(半沢尚久)



P-1やC-2改造の電子攻撃機は、日本版の接近阻止・領域拒否(A2/AD)能力を強化となるだろう。その目的は、「日本に干渉する南北朝鮮と中国海軍・空軍へのけん制」用に使われる。電子戦能力の強化により日本本土に侵攻しようと言う意図のある南北朝鮮・中国に対し、「コスト効果計算」を複雑にすることだ。これは他国の先制攻撃の阻止を促し、領域拒否能力により抑止力を強化できることとなるであろう。