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      F-35C

【航空宇宙ビジネス短信 T2】月曜日, 8月 08, 2016

海軍航空戦力の将来像がピンチという話題の続編です。なるほどこれだけの巨費をかけながら期待するような攻撃力を加えられないのなら空母は不要だ、というわけですか。短絡気味ではありますが、確かに10万トンの巨艦はかつての戦艦と同様に予算ばかり食う存在になっているのでしょうか。そこに空母=ステータスシンボルと勘違いなことを考える国があらわれているわけですが。

We go to war so you don’t have to

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共用基地パール・ハーバーに到着したUSS ジョン・C・ステニスAugust 2016.

Aircraft Carriers Could Be Obsolete in the 2030s Even With F-35s
That is, if flattops continue to lack long-range strike capabilities
by DAVE MAJUMDAR



「ハイエンド戦の初日にもし米海軍に空母航空隊投入するつもりがない、あるいは投入できないとしたら、納税者の130億ドルもの巨費を投じたフォード級空母の意味がなくなってしまうではないか。」

ワシントンの海軍関係アナリストたちがこう問いかけており、海軍には選択肢が多数あると強調し、ステルス長距離無人攻撃機や潜水艦部隊の増強もそのひとつだとする。

だが現行のボーイングF/A-18ホーネット中心の航空戦力は航続距離が短く、2030年代には適応できなくなる。たとえ若干長距離のロッキード・マーティンF-35C共用打撃戦闘機が加わったとしても。

「開戦初日に空母がA2/AD内で有効な攻撃ミッションを実施できないのなら130億ドルで何が手に入ったと言えるのでしょうか」と新アメリカ安全保障センターのジェリー・ヘンドリックスがThe National Interest取材で述べている。

「こんな主張をする人がいますよ。『一日目にできる仕事はない』というのなら、値段にあった仕事ができないとことになりませんか」

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太平洋でカナダ海軍フリゲート艦HMCSカルガリーがUSSジョン・C・ステニスに随走する。U.S. Navy photo

高額な空母予算を正当化し、戦力として活用するために米海軍には空母航空隊を再編し、接近阻止領域拒否に対応できる戦力にする必要があるというのがヘンドリックスの主張だ。

海軍に必要なのは長距離無人攻撃機なのは明白ではないか、とヘンドリックスは問いかける。「長距離攻撃を空母から実施する機材を作らないのなら空母予算は他に使うべきではないでしょうか」
ブライアン・マクグラス(海軍関係コンサルタンシー、フェリブリッジ専務)もヘンドリックスと同意見だ。

「海軍が空母航空戦力の将来に腰が重いままだと空母の存在価値が脅かされます」とThe National Interest誌にに語っており、長距離無人攻撃機の開発を提唱している。

「これはいつも忘れないでください。空母は浮かぶ空港です。航空機材がカギです。航空隊の構成を誤ればCVNへの投資は意味がなくなります」海軍上層部はこの点は理解している。ロッキード・マーティンF-35Cの開発が長引き高額になったことで海軍は慎重になっている。

「F-35調達で海軍の航空調達に悪影響が出ています。UCLASSがステルス攻撃機ではなく給油機兼ISR機材になった理由を調達部門が説明するのを聞くと背筋が寒くなります」(マクグラス)

「空中給油やISRは確かに重要ですよ。でもあくまでも付随機能です。機材構成に欠けているのは高機動セミステルス長距離攻撃能力です。

全く不足しています「ISR/給油機の方が技術課題の垣根が低いのは事実で、調達部門には高い目標に挑戦する意欲というか食欲という何かが欠けています」

F-35で海軍は無人攻撃機開発の意欲が萎えてしまっただけではくF/A-XXも構想が後退し今や「スーパーな」スーパーホーネットという存在になっている。

「F-35でこりごりしてF-35の再来はもうごめん、というのでしょう。でもこれではF-35から誤った教訓を得ることになってしまいます」(マクグラス)
「F-35で学ぶべきは『一つで全部』の解決方法でミッションすべてを全条件でこなす機体は実現できないことです。だからこそ無人セミステルス長距離艦載機は空母航空部隊専用に作るべきなのです」


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USSドワイト・D・アイゼンハワーから発進する第131攻撃戦闘機隊ワイルドキャッツのF/A-18C。 U.S. Navy photo

ただし、もし海軍が長距離侵攻攻撃機の開発に乗り出さないと言うのなら最低でも新型空中発射式巡航ミサイル(最終段階で超音速とするのが望ましい)で有効射程500カイリ以上の開発が必要となる。

このミサイルはスーパーホーネットあるいはF-35Cに搭載し、600マイル以上飛行してから発射する。

ヘンドリックス、マクグラスの両名は空母にはどうしても給油機で攻撃隊を支援する必要があるという。

「3万ポンドの給油能力が必要ですが、少なくともKA-6(26千ポンド)と同等の給油が必要です」とヘンドリックスは言う。

米海軍が米国と同等の戦力を有する国を相手にした開戦初日に空母を投入しないのなら、130億ドルを投じたフォード級空母の意味がなくなるというのがヘンドリックスの主張だ。

代替策としてフォード級の建造を中止し、安価なニミッツ級空母建造の再開すればよいとし、ヘンドリックスの試算ではニミッツ級最終艦のUSSジョージ・H・W・ブッシュ(CVN-77)は建造費が最高規模だったがそれでもUSSジェラルド・R・フォード(CVN-78)の半分程度だという。

別の代替策は60,000トンのフォレスタル級並みの小型艦としカタパルト数や高額な装備をあきらめることだ。

「空母を70機搭載とすれば設計もかわるはずです」とヘンドリックスは指摘し、10万トン級のニミッツやフォード級は90機以上搭載を前提にしていると指摘する。

選択肢はまだある。空母建造そのものを取りやめ、潜水艦建造に集中すればステルスで妨害をうけない運用能力が増強できるとヘンドリックスは言う。

フォード級空母の予算でオハイオ級後継(ORP)弾道ミサイル潜水艦二隻あるいはヴァージニア級攻撃潜水艦四隻が調達できる。

こうすれば海軍が必要とするオハイオ級弾道ミサイル潜水艦の後継艦作りにはずみがつき、攻撃潜水艦不足も迅速かつ予算的に無理なく解消できる。

さらに攻撃潜水艦がヴァージニア・ペイロードモジュールでトマホーク巡航ミサイル40発を搭載すれば相当の攻撃力となる。

ただし、ヘンドリックスはOPR潜水艦をまとめ買いで倍増し、半分はSSGN(巡航ミサイル搭載潜水艦)にし、トマホーク112発を各艦が搭載できる案を提唱している。
「空母航空隊で開戦初日に精密攻撃できないのならSSGN部隊が代わりを務めればよい」とヘンドリックスは述べた。

三年前の記事であるが、現在フォード級空母とF-35Cが晒されている状況は更に危機的状況である。まともに動いていたとしても費用対効果が釣り合わないと言われていたのに、フォード級は現在のF-35Cを運用できない状況である。「電磁式航空機発射システム(EMALS)」と「新型着艦制動装置(AAG)」が欠陥品で、現状フォード級はF-35Cが運用が依然出来ない状況である。建造費1.4兆円の最新空母は欠陥品の烙印が押され、米議会は「フォード級空母」受取り拒否の構えだ。

【航空万能論】2019.06.5

トランプ大統領は伝統的な「蒸気式カタパルト」と、艦載機を空母に着艦させる際に、油圧のパワーで艦載機を減速・制動させていた「アレスティング・ワイヤー」に戻すべきだと提案している。実に賢明な意見だと思う。

欠陥発覚から約1年、米海軍の新型空母「ジェラルド・R・フォード」が戻ってくる
【航空万能論】2019.08.16

その最中に日本も悲願の航空母艦の保有を果たそうとしている。
令和2年度予算においていずも型を空母化し、F-35Bを導入することとなった。
「F-35B10機でいったい何ができるというのか?」と、かなり懐疑的に考えてしまう。

私は、アンチF-35派として戦闘機らしからぬF-35を嫌っているが、F-35Aは伝統的制空戦闘機でもなく、F-35Bはヘリより見栄えがいい搭載機程度にしか思えてならない。

F-35支持者の言い分は理解しているつもりだ。確かに2019年の段階では第4世代戦闘機や4.5世代戦闘機は、
第5世代戦闘機を発見する前にすべて第5世代戦闘機によって撃墜されていることであろう。

ただ、第5世代戦闘機の最大の特徴であるステルス能力に関しては、賞味期限はあと数年程度である。日本が開発したマイモレーダーやステルス機がステルスにならないE-2D、中国もアンチステルスレーダーが登場し、アンチステルスレーダーで見えてしまえば、第4世代戦闘機の代表である日本の
F-15MISPは、そのデータリンクによって中露のステルス機は余裕で撃墜可能だ。ステルスの優位性を失えば、F-35はエンジン推力に余裕がなく、ドッグファイトが苦手なマッハ1.6クラスの戦闘機、いやAAMやASMも撃てるAWACSにすぎない。

F-35に限らず戦闘機は発見された場合、長距離から極超音速で正確に当たるようになってきたミサイルの標的にしかならない。

また戦闘機同様、
従来戦場を支配していた、戦車、戦闘ヘリ、航空母艦のミサイルの標的化は避けられず、航空母艦の存在意義も無いとは言わないが、費用対コストでいくと年々割りにあわなくなってきている。

日本海海戦 の日本海軍の圧勝を目の当たりにした、英国はその日本の勝因を分析してドーレットノート級戦艦を輩出した。世界の海軍は大艦巨砲主義の時代となった。
そして、1941年の帝国海軍の真珠湾攻撃は、大艦巨砲主義を終焉をもたらし空母機動艦隊の時代となった。

1960年代新兵器ミサイルの萌芽期にミサイル万能論が世に蔓延り、1970年代には航空母艦+有人戦闘機の時代は終わるかに見えた。

しかし、ベトナム戦争の教訓はミサイルは万能ではなく、湾岸戦争で、航空母艦+有人戦闘機の圧倒的なパワーの前に、航空母艦+有人戦闘機の時代はまだ永遠に続くかに見えた。

近年の誘導兵器のスタンドオフ化、命中精度の増大はジェット戦闘機や航空母艦を単なるマト・目標物に堕ちている。特に実際に今のところは正確に動く目標には当たらないとは思うが、対艦弾道ミサイルDF-21の登場は航空母艦の時代の終焉の始まりとなる可能性が高い。

ついに対艦弾道ミサイルを南シナ海に打ち込んだ中国
自衛隊に欠けている報復攻撃能力、海自艦艇は格好の攻撃目標に
【JBpress】2019.7.11(木)北村 淳

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    南シナ海で活動中の米海軍原子力空母「ロナルド・レーガン」(出所:米海軍)

中国国防当局が6月最終週に新型の潜水艦発射型戦略弾道ミサイル(JL-3と考えられる)の試射を実施した。続いて6月29日から7月3日の期間、再び軍事演習実施のための飛行禁止空域・航行禁止海域を設定し、国際社会に向けて通告した。

 航空機と艦船の通航制限区域の通告を受けて、アメリカ国防当局は何らかのミサイル試射を実施するものと考え、警戒監視態勢をとった。通告された海域とは離れていたものの、南シナ海には原子力空母「ロナルド・レーガン」を中心とした空母打撃群が活動中であったからだ(共同訓練を実施したヘリコプター空母「いずも」をはじめとする海自艦艇も航行していた)。

 そして中国軍は、予想通り弾道ミサイルを通告海域に打ち込む試射訓練を実施した。

「南沙諸島の人工島から発射された」と米国

 アメリカ国防当局は米メディア(NBC)を通して、今回試射された弾道ミサイルに関して詳細情報には触れなかったものの、中国ロケット軍による対艦弾道ミサイルの試射が実施されたと発表した(中国人民解放軍は陸軍、海軍、空軍、ロケット軍、戦略支援部隊の5軍で構成されている)。

 引き続いて、軍事情報では定評のある米メディア "The Washington Free Beacon" は米軍関係者からの情報として、対艦弾道ミサイルは中国が南沙諸島に建設した人工島から発射されたものであることを公表した。

 アメリカ国防当局は、南シナ海における弾道ミサイル試射、とりわけ米側が危惧している南沙人工島からの発射は、かつて習首席が明言した「南シナ海の軍事化は意図しない」という原則を踏みにじるものである、と中国に対する非難と懸念を強めている。

否定している中国

 アメリカ側の報道に対して、中国国防当局そして政府系メディアは「アメリカ当局の発表(人工島からの弾道ミサイル発射テスト)は事実無根であり、アメリカによる脅威の捏造である」と人工島からの弾道ミサイル発射を否定している。

 そして、「中国が一層南シナ海の軍事化を進めている」というアメリカ側の非難に対して、「このような偽情報を捏造して中国の軍事的脅威を同盟諸国や南シナ海沿岸諸国に押し付けているアメリカこそ南シナ海の軍事化の主役である。南シナ海に存在する最大の戦力は、巨大な原子力空母を中心とするアメリカ海軍であることは否定しようのない事実である」と強く反論している。

 アメリカ国防当局は今までのところ、今回の中国による対艦弾道ミサイル試射に関する詳細な情報を公式には発表していない。しかし、中国軍が対艦弾道ミサイルを試射したことまでが米軍側の捏造情報とは考えにくい。

 ところが、中国側は対艦弾道ミサイルの試射を公表しようとはしていない。これまで内陸砂漠地帯でテストが続けられていたと考えられている対艦弾道ミサイルを初めて海に向けて発射した事実を公表しないのは、おそらくは現在のところ中国軍だけが開発に成功した対艦弾道ミサイルを引き続き曖昧なものにしておいた方が、アメリカ側による対抗手段の開発を遅らせることができると中国当局が考えているからであろう。

発射された可能性がある対艦弾道ミサイルの機種

 今回の弾道ミサイル試射に関するアメリカ側と中国側の発表が根本的に食い違っているため、中国軍が試射したであろう対艦弾道ミサイルの機種についての特定はできかねる状況である。

 そもそも、対艦弾道ミサイルというのは、読んで字のごとく艦船を攻撃する能力を有した弾道ミサイルを意味する。もっとも、実際に飛翔する弾道ミサイル本体だけでは、海洋上を航行する艦船に命中させることはできない。そのため、艦船を捕捉する超水平線レーダーシステム、人工衛星ベースの突入段階制御システムなどがセットとなった対艦弾道ミサイルシステムと表現すべきであろう。

 中国軍が開発に成功したとしている対艦弾道ミサイルは(現在判明している限りであるが)以下の3種類である。

・東風21丁型対艦弾道ミサイル(DF-21D)

 DF-21Dは、日本など周辺諸国攻撃用のDF-21準中距離弾道ミサイルをベースにして開発され、すでに10年ほど前から中国内陸部で試射を含む最終テストが繰り返されている対艦弾道ミサイルで、最大射程距離は1500~3000キロメートル程度とされている。

・東風26型中距離弾道ミサイル(DF-26)

 DF-26の最大射程距離は 3000~5000キロメートルとされているため、米軍ではグアム攻撃用とみなして「グアムエクスプレス」などと呼んでいる。このミサイルに対艦攻撃能力を付与したものがDF-26対艦弾道ミサイルシステムで最大射程距離は4000キロメートルと言われている。

・CM-401対艦弾道ミサイル

 CM-401は、輸出を目指している対艦攻撃用短距離弾道ミサイルシステムであり、15~290キロメートルの射程にある艦船を攻撃することができるとされている。中国当局がCM-401の輸出を許可(もちろんアメリカや日本などに輸出されることはあり得ないが)したということは、対艦弾道ミサイルシステムが完成の域に達しており、かつ輸出先では複雑なシステムの複製を容易にはできないとの中国側の自信の表明とみなすことができる。これは、アメリカがイージスシステムを(特定の同盟国に)輸出しているのと事情は似通っている。

アメリカ海軍が恐れる理由

 アメリカ側の発表が正しいかどうか確認することは困難であるものの、中国軍による対艦弾道ミサイルの開発が一段と進歩したことは間違いない。そして、CM-401のような比較的小型の対艦弾道ミサイルが南沙人工島に配備される可能性も高まったことも事実である。とすると、ますます南シナ海の軍事的覇権がアメリカから中国へ移行する日が近づいたことになる。

 それだけではない。アメリカ海軍にとっては、これまで半世紀以上にわたってアメリカ海軍の威力を世界の海に示し続けてきた米海軍空母戦略が、少なくとも南シナ海ならびに東シナ海においては危機に瀕することを意味している。

 なぜならばアメリカ海軍艦艇が、中国ロケット軍の上記3種類の対艦弾道ミサイルに加えて、地対艦巡航ミサイル、海軍航空隊の爆撃機と戦闘攻撃機から発射される空対艦巡航ミサイル、駆逐艦・フリゲート・高速ミサイル艇から発射される艦隊艦巡航ミサイルによる、大量かつ様々な速度(ハイパーソニック、スーパーソニック、サブソニック)の対艦ミサイル攻撃をかわすのは至難の業(というよりは、ほとんど不可能)と言ってよいからだ。とりわけ、超大型艦の原子力空母は、対艦弾道ミサイルにとってこの上もなく理想的な攻撃目標である。

日本にとってのほうが脅威度は高い

 もっとも、中国軍にとって、米海軍航空母艦よりもさらに攻撃しやすい格好のターゲットがある。海上自衛隊のヘリコプター空母である。

 開戦理由がどうあれ、アメリカが中国と戦闘状態に陥り、アメリカ海軍の象徴である航空母艦を、対艦弾道ミサイルをはじめとするミサイル飽和攻撃により撃沈された場合、3000名の将兵の命を失いメンツを潰された怒りから中国に対する核報復攻撃を敢行しない保証はない。なんといっても、ことあるごとに中国軍当局が(イラン当局も)指摘しているように、アメリカは“死に体”であった日本に対して原爆攻撃を2回も実施し、24万人以上もの人々を殺戮した事実がある。

 これに対して、やはり開戦理由がどうあれ日本が中国と戦闘状態に陥った場合、海自の誇る大型艦であるヘリコプター空母を対艦弾道ミサイルによって撃沈されても、アメリカの攻撃力に頼り切ってきた自衛隊には中国に対して効果的反撃を敢行することはできない。

 いくら日本が莫大な国費を投じて弾道ミサイル防衛システムをアメリカから購入していても、たとえば、呉軍港に停泊中の「かが」を中国側が赤峰市郊外からDF-21Dで攻撃した場合、中国と北朝鮮上空で弾道頂点に上昇したあとマッハ10で「かが」めがけて突入してくるDF-21Dミサイルを迎撃することは、日本側にはできない。そして、自衛隊には報復攻撃もできない。つまり、日本は「やられっぱなし」になるのだ。

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    中国・赤峰市郊外から発射されたDF21Dは7分以内に呉軍港の海自艦に着弾する

 中国による対艦弾道ミサイルの開発は、米中間の対立が激化した場合には、南シナ海のシーレーンは危険となるだけでなく、ヘリ空母をはじめとする海自軍艦も格好の攻撃目標になる。

南シナ海で、米艦を想定したミサイル事件を中国が7月に実施した。中国が南シナ海の南沙諸島の人工構造物からミサイルを少なくとも1発を発射した。射程距離が1500キロで「空母キラー」の異名を持つ「東風(DF)21」の可能性が高い。

自軍航空基地から遠方に航空機を展開するプラットフォームとしての空母の価値は現在もその戦術価値は現在も高い。それゆえ、航空母艦を攻撃する対艦弾道ミサイルが開発されるのだが、現状「東風(DF)21」は、張子の虎にすぎない。ただ、核弾頭が使用されたら、原子力航空母艦に被害が出る可能性が高く、5000人の人員と100機近くの戦闘機が同時に失えば、打撃は計り知れない。それゆえたとえ張子の虎だとしても効果は十分ある。

「東風(DF)21」は米国の原子力空母だけでなく日本の「いずも型」も対象となりうる。日本が何処まで権益を守るかによるが、現憲法下では「いずも型」が空母になる必要があるのか?「現行の日本本土防衛に限った防衛範囲」とするなら海自は空自の支援下で戦え、空母は当然不要となる。「いずも型」のF35Bの運用化は沿岸海軍から脱して南シナ海やインド洋でのシーレーン防衛を含めるとどうなるかという話になる。

シーレーン防衛は日本の貿易航路を守ると共に、中国の太平洋進出阻止という政治的役割もあり、強力な対潜戦闘能力に加えて、沿岸の敵対国家から来る可能性のある航空攻撃に対処する必要がある。島嶼防衛でも破壊された滑走路でも運用可能なF-35Bではあるが、僅か20機~40機で中国本土の航空基地を攻撃することは現実的ではない。


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May 15, 2019  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-35CarriersLight CarriersU.S. NavyAmerica


海軍が(F-35を使って)より多くの空母を獲得するという狡猾な方法

Think light aircraft carriers.
軽空母論

by David Axe
デビッド・アックス

As the Marines in recent years began replacing old AV-8Bs and other jets with "fifth-generation" F-35s, planners dusted off the "Harrier carrier" concept and rebranded it as the "Lightning carrier." Other naval experts simply refer to the Harrier and Lightning carriers as "light carriers."

近年、海兵隊が古いAV-8Bや他のジェット機を「第5世代」のF-35に置き換え始めたため、プランナーは「ハリアーキャリア」の概念を改め、「ライトニングキャリア」に改名しました。他の海軍の専門家は、ハリアーとライトニングキャリアを単に「ライトキャリア/軽空母」と呼んでいます。

The U.S. Navy is beginning to deploy its nine amphibious assault ships with large numbers of fixed-wing F-35B Lightning II stealth fighters, in essence transforming the 40,000-ton-displacement vessels into light aircraft carriers.

米国海軍は、多数の固定翼F-35BライトニングIIステルス戦闘機を備えた9隻の強襲揚陸艦を展開し始め、40,000トンの強襲揚陸艦を軽空母に本質的に改造しています。

Cheaper and easier to build and maintain than 100,000-ton supercarriers are, light carriers might seem like an attractive option for many navies that are trying to enhance their at-sea aviation capabilities.

100,000トンのスーパーキャリアよりも安価で簡単に建造でき保守できるため、軽空母は、海上での飛行能力を強化しようとする多くの海軍にとって魅力的な選択肢のように思えるかもしれません。

(This first appeared in April 2019.)
(これは2019年4月に初めて登場しました。)

But the U.K. Royal Navy, which is struggling to afford the two 70,000-ton Queen Elizabeth-class carriers it’s building for a total of $10 billion, should ignore light carriers, U.K. Defense Journal’s George Allison argued. This despite the Royal Navy having operated 22,000-ton Invincible-class carriers as recently as 2014.

しかし、英国王立海軍は、2つの70,000トンのクイーンエリザベス級空母を合計100億ドルで建造するのに苦労しており、軽空母を無視すべきである、と英国国防ジャーナルのジョージアリソンは主張した。これは、2014年まで英国海軍が22,000トンのインビンシビル型の航空母艦を運用していたにもかかわらずです。


“Operational experience shows that larger carriers have significant advantages,” Allison wrote.

「運用上の経験から、より大きな通信事業者には大きな利点があることがわかります」とアリソンは書いています。

For example, the Invincible class typically hosted around 12 Sea Harriers and with that their decks were fairly crowded. Tabloids often like to quote 12 as the maximum number of F-35Bs the new Queen Elizabeth class will be able to carry, however this is nonsense.

たとえば、インビンシビル型は通常、約12機のシーハリアーを搭載しており、空母の甲板はかなり混み合っていました。タブロイド誌によれば、新しいクイーンエリザベスクラスが搭載できるF-35Bの最大数として12機を引用したいと考えていますが、これはナンセンスです。

The smaller the carrier, the fewer aircraft it can support and the greater waste of resources it becomes when compared to larger carriers. The smaller the carrier, the more the vessels size restricts the performance of the aircraft on board.

空母がより小さいほど、サポートできる航空機の数が少なくなり、大型航空母艦と比較するとリソースの無駄が多くなります。

The three Invincible-class carriers, which the Queen Elizabeth class will replace, operated small and relatively low-performance Sea Harriers. The larger F-35 that will operate from the new carriers is more effective than the Sea Harrier. It carries much more and it flies much faster and much farther.

 クイーンエリザベス型が置き換える3隻のインビンシビル型は、小型で比較的低パフォーマンスのシーハリアーを運航していました。新しい航空母艦で運用される大型のF-35は、シーハリアーよりも効果的です。(F-35はシーハリアーより)それははるかに多くを運び、はるかに速く、はるかに遠くに飛びます。

It’s also a more complicated aircraft, requiring more equipment and personnel. A carrier accommodating as many F-35Bs as the Invincible accommodated Sea Harriers would be far larger by necessity in order to effectively operate the modern, larger aircraft.

また、より複雑な航空機であり、より多くの機器と人員が必要です。インビンシビル型に搭載されたシーハリアーと同数のF-35Bを搭載する航空母艦は、現代の大型航空機を効果的に運用するために必要に応じてはるかに大型化した。

The U.S. Navy might object to this line of reasoning. USS Wasp in March 2019 deployed to the Indo-Pacific region with no fewer than 10 F-35Bs on board. An assault ship usually embarks just six F-35s or older AV-8B Harrier jump jets.

 米海軍はこの一連の推論に反対するかもしれない。2019年3月に米海軍がインド太平洋地域に配備され、10機以上のF-35Bが運用した。強襲揚陸艦は通常、6機のF-35またはそれ以前のAV-8Bハリアー垂直離着陸機を搭載していました。

As the Marines in recent years began replacing old AV-8Bs and other jets with "fifth-generation" F-35s, planners dusted off the "Harrier carrier" concept and rebranded it as the "Lightning carrier." Other naval experts simply refer to the Harrier and Lightning carriers as "light carriers."

近年、海兵隊が古いAV-8Bや他のジェット機を「第5世代」のF-35に置き換え始めたため、プランナーは「ハリアーキャリア」の概念を打ち消し、「ライトニングキャリア」と改名しました。他の海軍の専門家は、ハリアーとライトニングキャリアを単に「軽空母」と呼んでいます。

A Lightning carrier would embark between 16 and 20 F-35s, compared to the roughly 40 strike fighters that a supercarrier normally carries. A Lightning carrier should be able to sustain 40 sorties per day, the Marines estimated. A new Ford-class supercarrier, by contrast, is supposed to be able to sustain 160 sorties per day.

大型空母が通常運用するおよそ40機の戦闘攻撃機に対して、軽空母は16~20機のF-35を搭載しています。海兵隊は、軽空母が1日に40回の出撃を維持できる必要があると推定しています。対照的に、新しいフォード級の大型空母は、1日あたり160回の出撃を維持できると想定されています。

"While the amphibious assault ship will never replace the aircraft carrier, it can be complementary, if employed in imaginative ways," the Corps stated. "A Lightning carrier, taking full advantage of the amphibious assault ship as a sea base, can provide the naval and joint force with significant access, collection and strike capabilities."

「水陸両用強襲艦が空母に取って代わることはありませんが、想像力に富んだ方法で採用された場合、補完的なものになる可能性があります」と軍団は述べています。「水陸両用攻撃艦を海軍基地として最大限に活用するライトニングキャリアは、海軍と共同部隊に重要なアクセス、収集、攻撃の能力を提供できます。」

And a light carrier could help the Navy shift to a more survivable fleet design. Worrying over the increasing lethality of Chinese and Russian anti-ship missiles, in early 2019 the Navy proposed to decommission the supercarrier USS Harry S. Truman 25 years early in the 2020s, dropping the fleet of large flattops to 10 in the medium term and as few as nine in the long term.

そして、軽空母は海軍がより生き残りやすい艦隊設計に移行するのを助けるかもしれません。中国とロシアの対艦ミサイルの致死性の増加を心配して、海軍は 2019 年初頭に、2020年代艦齢わずか25年の大型空母USS ハリーS.トルーマンの廃艦を提案しました。長期的にはわずか9隻です。

A new Ford-class supercarrier costs around $13 billion. An America-class assault ships costs just $3 billion. A light carrier based on an amphibious ship "might be a low-risk, alternative pathway for the Navy to reduce carrier costs if such a variant were procured in greater numbers than the current carrier shipbuilding plan," California think-tank RAND explained in a 2017 report. "Our analysis suggests a two-to-one replacement."

新しいフォード級のスーパーキャリアは約130億ドルかかります。アメリカ級強襲船はたったの$ 30億です。強襲揚陸艦をベースにした軽船軽空母は、「現在の空母造船計画よりも多くのバリアントが調達された場合、海軍が空母コストを削減するための低リスクの代替経路になる可能性があります」とカリフォルニアのシンクタンクRAND は説明しました2017レポート。「当社の分析では、2対1の交換が提案されています。」

Japan, too, is converting two assault ships into light carriers embarking F-35Bs. South Korea in theory could do the same with its own two assault ships. But the British fleet should stick to large carriers, Allison wrote.

日本も、2隻の護衛艦をF-35Bを搭載する軽空母に改造しています。理論的には、韓国は自国の2隻の船で同じことを行うことができます。しかし、英国海軍は大規模な空母に固執すべきだとアリソンは書いた。

Larger vessels do not have to be resupplied as often, impacting both the effectiveness of the carrier and her vulnerability. Because a carrier is more vulnerable when being replenished, the vessel typically withdraws from station for that function. Much of the time lost is the time spent heading away from station and returning. The smaller the carrier, the more time lost and a bigger logistics chain required in support.

大型船は頻繁に補給する必要がなく、空母の有効性と脆弱性の両方に影響します。補給された場合、空母はより脆弱であるため、通常、船はその機能のために補給拠点から引っ込めます。失われた時間の多くは、補給拠点から離れて戻ってくるのに費やされた時間です。航空母艦が小さいほど、より多くの時間が失われ、サポートに必要な大きな補給が必要になります。

A larger ship is likely to survive damage that will sink or disable a smaller one. The smaller the proportion of a ship that gets damaged, the better the chance that the ship can survive the damage and keep on fighting. It takes sheer size to provide enough protection against all the weapons likely to be used against a carrier, from bombs to cruise missiles to torpedoes.

大きな艦は、小さな艦を沈めたり無効にしたりする損傷に耐えることができます。損傷を受ける艦の割合が小さいほど、損傷を乗り越えて戦闘を続けることができる可能性が高くなります。爆弾から巡航ミサイル、魚雷まで、空母に対して使用される可能性のあるすべての武器に対して十分な保護を提供するには、かなりのサイズが必要です。

The Queen Elizabeth-class carriers “are not the largest class of carrier in the world but they are most likely the smallest and least expensive carrier the Royal Navy could build which still have the advantages that large carriers offer,” Allison concluded.

エリザベス級空母は「世界での空母の最大のクラスではなく、彼らが最も可能性の高い最小と最も安価な空母の海軍はまだ巨大空母が提供していることの利点を持っている構築できるが、」アリソンは締めくくりました。

David Axe serves as Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels  War Fix, War Is Boring and Machete Squad.

Image: U.S. Department of Defense


 
世界の艦船 2019.6
装備体系に激震!空母削減と大型無人水上艦
米海軍2020年度予算要求 (竹田純一 笹川平和財団客員研究員)
p146-147

●早期退役/ 空母トルーマン

 ニミッツ級原子力空母は、設計寿命50年の折返点、約25年でRCOH:ReRlelingandComplexOverhaul(核燃料交換を含む総合オーバーホール)を順次、受けてきた。HIIのニューポート・ニューズ造船所のドライ・ドックで炉心を冷却、核燃料を交換する。近代化改修も含め約4年かかる長期工事で、その間はいわば戦力外通告になる。フォード級は新型原子炉AIBを採用し、RCOHを受ける必要がなくなった。

 現在は6番艦ジョージ・ワシント ンGeorgeWashingtonCVN-73のRCOH。17年に入渠した。20年度予算で7番艦ジョンC.ステニスJohn C.StennisCVN-74に進む。従来計画では、次は24年度予算で8番艦ハリーS.トルーマンHarry S.Tmman CVN-75の番だった。だが今回これを中止し、核燃料が切れる20年代後半にトルーマンを前倒しで早期退役させることに決めた。

 現役空母はフォード級1隻とこミッツ級10隻の合計11隻体制。RCOHなしでトルーマンがいつまで働くかは不明だ。だがフォード級2番艦が就役する24年度以降も数年は現役でいても、25年度には1番艦ニミッツCVN-68が艦齢50年を迎える。甘く見積もって空母が瞬間的に12隻になっても、すぐ11隻さらに10隻に減る線表である。艦載航空団や護衛部隊もこれを見込んだ体制になる。

 ではなぜ早期退役か。海軍省の説明資料は「むずかしい決断だった」としたうえで「無人/部分的有人システムを含む次世代・先進・分散型の能力に積極投資する国防総省の公約に合致させた」とする。つまり決定はトップダウンで下りてきたことを示唆している。「(将来的に)ハイエンドで残存性が高い有人プラットフォームと、数が多く廉価で敵を消耗させる補完オプションのバランスをとるアプローチになる」とも述べている。

 歯切れが悪いが、要はA2/AD(接近拒否/領域拒否)能力を含め中窟両国が軍事力を高度化させるなか、空母の隻数を揃えることがもはや「最適解」ではないということだろう。空母減勢は、艦載機、護衛、兵端コストも節約できる。だが今回の決定は財政事情が理由ではない。対艦弾道ミサイルASBMなどの出現と空母の脆弱性を総合的に天秤にかけ、苦渋の選択をしたと映る。

 米海軍は、トランプ氏当選と軌を一にして、2016年12月に戦力組成目標を355隻(うち空母12隻)にリセットした。わずか2年前の2014年に決めた308隻目標(うち空母11隻)からの上方修正だった。

 だが制服トップのリチャードソン海軍作戦部長は3月13日、「戦力目標をアップデートするため、各艦隊司令官にグローバルな作戦環境と作戦目標の分析を求めている。年内に完了する」と明らかにした。「空母増勢が必要との判断になれば、トルーマンの決定を再考する柔軟性はある」と一応の留保はつけたが、355隻目標は下方修正される可能性が高い。


 ●成るか!?「無人艦隊」

 その一方での大型無人水上艦LUSV。海軍の装備体系はどこまで変わるのか。実像はまだ見えない。予算要求の説明で海軍省財務副次官補クリテス海軍少将は「LUSVは全長200~300フィート、2,000トン級とされるだけ。その他は自分も確かでない」と述べたにとどまった。

 ただLUSVは幻の幽霊船ではない。というのも米海軍はこの1月、中型無人船にサンディエゴ~ホノルル往復の自律航走を成功させているからだ(監視艦は伴走)。もともと国防高等計画局DARPAが対潜継続追尾無人船ACTUV計画で2016年に取得し、シー・ハンターSeaHunterと命名していたフネだ(本誌2016年7月号181頁参照)。

 構造は主船体の外部両側にアウトリガーを付加したトリマラン(三胴船)型。全長132フィート(40メートル)、基準排水量135トン。ディーゼル2基2軸。最大速力27ノット。航続距離1万浬という。海軍研究局ONRに2018年に移管され、中型排水量無人水上船MDUSVと改称されていた。

 同船は航走用以外のセンサーや兵装は未搭載。ONRでは兵装モジュール(特にミサイル垂直発射装置VLS)や艦隊での運用法などの実証へ進むという。大手国防メーカーが大型のシー・ハンターⅠⅠを自主建造中で、この船がLUSVの1番艦になるとの情報もある。

 国防総省の編制・資源・評価部長(J8)イエラルド陸軍中将は予算要求の会見で「米軍全体での無人システム推進のなか、LUSVは海軍の一大公約。現行の武器体系が10年はては30年後に無用化するわけではない。だが敵が作戦手段を変えるなか、われも対策をスタートす
る必要があるとの認識を共有している」と強調した。

 これに加え海軍省は、無人水中航走体UUV:UnmannedUnderseaVehicleの開発加速も今回、計上した。大小のUUV合計56隻を要求。うち21年度に2隻を初度取得する特大型無人水中艇ⅩLUUVは攻撃型ミサイル能力をもつと注記している。陸上攻撃型トマホークとMk48魚雷の水中発射が可能な攻撃型無人潜水艦を目指していると米専門紙は伝えている。

 また以上と別に海軍省は、揚陸予定海域の機雷偵察などに使うMk18小型UUVを5年間で合計135基、運用費枠で要求する計画だ。

 ●航空機一世代交代とUAV化

 最後に海軍と海兵隊の航空機調達をぎっと見る。20年度要求は、概数は19年度より14機増の148機だが、金額は17億ドル減の186億ドルになった(第6表)。これは、取得単価が安いヘリコプター練習機および仮想敵役に使う戦闘機の各代替機をまとめ買いすることが、ひとつの要因になっているようだ。

[固定翼]FYDYの5年間全体で見ると、艦載機は22年度からF-35C戦闘機ライトニングの調達機数がほぼ倍増する。F-35Cはこの2月にようやくIOC(初度作戦能力)を獲得した。他方F/A-18E/Fスーパー・ホーネットは調達が漸減、世代交代が進む。

海兵隊飛行隊VMFAのF-35Cは海軍飛行隊VFAを補完するかたちで空母へ派遣される。海兵隊が強襲揚陸艦で使うSTOVL型F-35Bの調達も続く。

 CG/DDG発射のミサイル誘導支援も可能に なった艦載早期警戒機E-2D先進型ホークアイは18機調達。哨戒機P-8ポセイドンは20年度の6機で取得終了。空中給油多任務機KC-130Jハーキュリーズは海兵隊の装備で、輸送/通信中継/偵察/近接支援も行なえる。性格が異なるのは戦線機F-5N/FタイガーⅠⅠ。

空中戦訓練で仮想敵部隊がアグレツサー役に使う。22磯をスイス空軍から買い戻す。06年度に同軍から戻したF-5E/Fを代替する。空中運動性が高いとはいうが、もともとは旧ソ連のMiG-21と同世代機の発展型だ。

[回転翼]海兵隊の垂輸送ヘリコプターCH-53Kキング・スタリオンは調達要求が5年で74機と多いが、前年度計画より減勢になっている。CMV-22B海軍型オスプレイは空母への輸送連絡用でC-2Aグレイハウンドに代替する。海兵隊VH-92AはⅤIP専用の新型機。大統領が搭乗中はマリーン1(ワン)のコールサインを使う。

[無人機]MQ-25スティングレイは空母発着の初の無人空中給油機。20年度にデモ試験機を3機導入、23年度から取得を開始する。給油ポッドで僚機を支援しているF/A-18の負担を軽減する。ISR(情報収集、監視、偵察)機としても使える。MQ-4Cトライトンは空軍RQ-4グローバル・ホークの海軍版に相当する。MQ-9Aリーパーは海兵隊の戦術偵察機で20年度が初度調達に
なる。

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           *      *      *

 以上のとおり、20年度予算要求は海軍装備体系のシフトへの胎動を示した。気になるのは今後の影響だ。

 政権が「大国間競争」復活を強調するなか、米海軍は大西洋正面でロシアを念頭に2018年に第2艦隊を復活させた。同じく改称したインド太平洋軍正面では、中国を念頭に南シナ海の「航行の自由作戦」や軍艦の台湾海峡通過の頻度を上げている。ただ装備体系のシフトが作戦運用をどう変えるのか、予算書だけでは読み解けない。

 もう一つ読めないのは、米軍の海外駐留や前方展開への影響だ。シリアやアフガンからの撤退は、政権内と周辺国や同盟国の慎重論でトーンダウンした。在韓米軍の撤退は表向きには議論されてないが、米韓合同演習は大幅に縮小した。トランプ氏は、同盟国のNATO諸国に軍事費増額を重ねて要求、日韓両国には駐留経費の負担をさらに増額するよう水面下で求めていると伝えられる。

 国際政治や安全保障の合理性ではなく、損得勘定だけで「アメリカ第一主義」にひた走ることはないのか。複眼的な視角での見極めが必要だ


ミサイル万能論は、ベトナム戦争で化けの皮が剥がれてしまったが、まだ今日ほどの技術がなかったということが、万能ではなかった理由だ。現在でもイージス艦主体の防空では飽和攻撃を受けた際には限度があり、艦隊航空戦力を保有しなければ、第二波・第三波と攻撃が来れば厳しい展開が待ち受けている。敵機もイージス艦の射程外から攻撃する事を目指す事から、発射母機/母艦の数を減らさなければ、攻撃が継続する事が予想される。やはり、F-35B搭載のいずも型に期待するところは、艦隊防空を行いつつ発射母機/母艦攻撃など柔軟に対応できる対応力かもしれない。

一概に空母不要とは言えない。海洋に権益を持つほとんどの国家で空母建造の企画が度々出るのはそれが理由だと思っている。

だが、誘導兵器は長距離化、極超音速化、命中精度の正確化が進んでいるのも事実である。
従来戦場を支配していた、戦車、戦闘ヘリ、戦闘機、航空母艦が標的となり、発射する側は歩兵であったり、小型戦闘車両や無人戦闘機や潜水艦と言った、攻撃しづらい兵器からからとなり、戦車は高速の装輪装甲車、無人ヘリ、ドローン、無人戦闘機、無人潜水艦に置き換わっていくでしょう。

もしかすると、もっと未来となると、それすらもなく、ひたすらコンピューターと通信のみサイバー上で戦争が戦われることになり、極端なことを言えば戦争のTVゲーム化、最終的にはeスポーツ化してしまうことも無いといえるだろうか?

水中防衛システムの構成要素-無人機母艦(USV)
 無人機母艦(USV) 

小型UUV, USVを投入・揚収し、UAVを発着艦させるとともに、これらの無人機にエネルギーや物資等を補給するこ とで、無人機による広域にわたり常時継続的な警戒監視を支援する。また、水中アセットと衛星との通信の中継を 行うことで、多数のアセットの有機的協調を可能にする。

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  主要機能   
• 自律航走(荒天下での安定した運用)
• 水中通信(有人機、無人機、海底センサー等)
• 衛星通信
• 小型UUV, USVの自動投入・揚収、UAVの自動発着艦
• 無人機への物資(電池、水中機器等)補給
• UUVへの水中給電

  主要性能  

○滞洋性
目 標:数ヶ月の安定的な運用
技術課題:耐候性、自艦防護(ステルス性)

○管制能力
目 標:発着、補給、給電等を効率的に実施するため、母艦近傍にある複数の無人機(UUV, USV, UAV)を管制
技術課題:近傍無人機の管制(位置の把握、通信の確立)、水中通信(大容量レーザー通信、長距離音響通信)


https://www.mod.go.jp/atla/soubiseisaku/vision/rd_vision_kaisetsu04.pdf 25P


将来ATLAで研究中の無人機母艦の出現余地は大である。
また、もしかすると、米国は第6世代有人戦闘機はつくらず、B-21を母機として、多数の無人戦闘機が戦うスタイルになる可能性があるという。

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空対空能力を備えたB-21」、ドローン、将来の空戦を支配する第6世代戦闘機ではない

次世代航空優位プログラム(NGAD)では、「忠実なウィングマン」ドローンとネットワーク化された有人航空機、完全自律型無人戦闘航空による低コスト無人航空機群という考え方が提案されています。

開発中のB-21レイダー爆撃機自体を意味するのか、それともその派生型となるのかは不明ですが、実用化段階に達した指向性エネルギー兵器を搭載するようです。

兵器やテクノロジーの発達の歴史を考えれば、登場時は大型で、時代が過ぎれば小型高性能化するという流れとなります。

エンジンに余力が無いF-35が指向性エネルギー兵器の発射母体になるには、発電能力に余力が無く、今の技術では無理がある。大型ステルス機に搭載するのは至極当然のセオリーであると思う。

今後有人(戦闘)機は中央集中型前方制御装置として機能する可能性があります。 

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2019-03-21 16:12:50