Ddogのプログレッシブな日々@ライブドアブログ

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2008年03月

給料はなぜ上がらない !
週刊東洋経済3月29日号を読む
http://www.toyokeizai.co.jp/mag/toyo/2008/0329/index.html
3/6福田首相は経団連の御手洗会長(キャノン会長)へ労働分配率を増やすよう要請した。
(福田偉い!世間は評価しなくともDdogは評価するぞ!)
日本の民間給与は8年連続低下←企業収益(5年連続増益)は株主配当+内部留保に使われた。=発展途上国型→賃金が増えないので個人消費が伸びない
先進国型経済?=欧米諸国のGDPの伸びは50%以上個人消費の伸び。
なぜ給料は上がらない?景気拡大の中で消費が低迷しているのには、構造要因があった。 
賃金の減少で消費が刺激されず、経済成長につながらない 

'''仮説1 グローバル化主犯説''' 
中国、旧共産圏インドから労働者が自由市場に参入 
「安価な輸入品に駆逐された産業→淘汰→生産性の高い産業へ労働者移動→日本全体の賃金上昇」⇒現実はグローバル化=賃金抑制 理由①将来の競争相手の成長②海外事業の成長は現地での再投資、現地人材確保などに優先的に資金が振り向けられる。

'''仮説2 隠れた人件費''' 
企業の年金負担が上がる =  人員構成の高齢化+退職給付費用+社会保険料の企業負担増
→賃金を上げると企業年金の将来の債務負担増⇒賃金抑制

'''仮説3 生産性の革命 '''
ITやアウトソーシングへの移行 
ITの技術革新陳腐化は早く、ついていけない労働者→賃下げ→転職となるが、日本の労働市場は正社員の解雇がしにくい労働市場である為辞めない→賃金抑制

'''仮説4 資源高騰の罠''' 
原油高で所得が海外に流出する 
従来の労働分配率の議論では実質GDPがベースとなっていたが、実質GDPは数量ベースの考え方であり、石油や原材料の輸入価格の高騰による交易条件の悪化は織り込まれていない=海外への所得流失
今回の景気拡大期は実質賃金上昇率が一貫して労働生産性の伸びを大幅に下回っているので、労働者側は不満に思っている。
しかし、交易条件の悪化を加味すると、実質賃金は上昇している。05年以降、所得流失の拡大で実質賃金は取りすぎにある。今後の原材料費の高騰で日本全体の賃金環境は一層厳しくなる。→賃金抑制

'''仮説5 中小企業“善戦説” '''
目いっぱい払っている中小企業 
日本全体の従業員の7割を占める中小企業は、もはや十分に高く、これ以上増加することは無理がある。
儲からない中小企業はすでに可能な限り目いっぱい賃金を支払っている。
原材料費価格の上昇を中小企業に負担させ、大企業が利益を吸い上げる構図。→賃金抑制

'''仮説6 非正社員急増の帰結 '''
低賃金の非正社員が平均を下げる 
企業が既存の正社員の雇用と賃金水準を守りつつ、新たな正社員採用の代わりに非正規労働者を一方的に増やした。非正規労働者の全体に占める割合は26%→33%へ拡大

日本の賃金減少=労働分配率低下=非正規労働者の増加

企業経営者が賃上げ=貯蓄増で景気回復に寄与しないとの主張は間違い。→年収300万円以下の非正規労働者の賃金底上げは貯蓄に回る余裕も無いので確実に消費に寄与する。→景気が活性化すれば正社員にもプラス

06年3月日銀の量的緩和政策解除→景気回復賃金上昇を見込む→企業はその後も労務費下げ製品価格下げ=非正規労働者活用→日銀の読み違いでデフレ脱却失敗→景気後退。

(労働市場の規制緩和が、給料が上がらずデフレ脱却を阻んだ最大の原因ではないだろうか!byDdog)

'''消費不振の原因はどこに? 2002年のトヨタショックを振り返る 
豪腕・奥田会長 日本の賃金を下げる'''

2002年03月期決算で経常利益1兆円に日本で初めて超し上場来最高益を出したトヨタが春闘で ベアゼロ→他企業追随→日本全体が賃金抑制となり今日の景気後退の元凶となる。

労使交渉において奥田会長が経営陣を一喝してゼロ回答となったとのことだ。

財界産業界は低賃金の中国脅威論が跋扈→賃金抑制

If:もしトヨタショックがなければ景気の牽引役は輸出産業でなく個人消費であった可能性がある。

私は、分類上大企業に勤務する正規社員ですが、今回の東洋経済の特集記事に付け加えたい。大企業の正規社員も、労働分配率の低下の影響がけして少なくない。

成果主義なる単語を覚えた企業経営者は、成果主義を振りかざし、労働分配率の引き下げに寄与している。一部の人間は厚遇されるが、その他の賃金は引き下げられ、全体の賃金のパイは縮小されている。

もともとの日本式経営には目に見えない形でであったが成果に対しては報酬が支払われる構造は存在していた。そして機能していたと思う。例えば、かつて企業に広く存在していた「交際費」だ。交際費は賃金ではないが、経営者の裁量で成果が上がっている人間部課へ配分されていた。公平性には欠けてはいたかもしれないが、ある意味で成果主義であった。

また、人事においてもかつての日本式経営に成果主義は十分に機能していたと思うが、昨今の成果主義は一見公平な成果配分のように見えるが、もともと成果を100%公平に評価できないという視点に欠けている。そのため今日の成果主義は一部の実力以上に評価された者のモチベーション向上には役に立つが、その他大勢のモチベーションを下げる結果となり、結果企業全体のモチベーションの低下をもたらしていると思う。

私は、小泉を宰相と評価しない。福田総理はだいぶ世間の評価は低いが私は小泉よりマシだと思う。政策を誤る政府なら余計なことをせず、何もしないほうがまだマシだからである。今回の賃上げ要請は小泉と真逆の立場であり、評価したいと思う。

小泉の「構造改革!」と叫んだパフォーマンスは、単にグローバリゼーションの流れの中で、緻密に政策国家構造を設計したのではなく、政策の流行の流れに沿って叫んだだけで、国家の大計を慮っていなかった。それに加え、トヨタ/経団連の奥田元会長の罪は重い。

もっともトヨタは自社の賃金抑制政策のおかげで国内の自動車販売不振を招いてしまい、自分で自分の首を絞めてしまっている。イッソップ童話にも出てきそうな話しだ。

マネー敗戦の東京裁判をするならば、小泉、奥田はA級戦犯である。
「日本の労働者の賃金を下げてしまった罪」だ!

日本の政治が惰眠をむさぼっていられるのは今のうちかもしれない。もっと国家の存亡にかかわるような事態にならない限り、優れた指導者は出現しないだろう。
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2008年3月26日日経新聞経済教室
日本の財政維持可能性の試算 『100年後の「破綻確率」6割』基礎収支悪化で債券市場は危険水域に

日本の財政を維持できる可能性が後退している。試算では、最も楽観的なシナリオをべースにしても、百年後の「破綻確率」は六二%と一年則より一八%も悪化した。債券市場ではこうした財政破綻の可能性の高まりが相場に織り込まれておらず、何らかの弾みに急落する危険がある。

金利と成長率の大小関係が重要日本の昨年末の政府債務残高は、八百三十八兆円と、国内総生産(GDP)の約一・六倍に達し、経済協力開発機構(OECD)諸国の中で圧倒的に高い水準にある。政府は、二〇〇六年度の『骨太の方針』で「11年度には国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバ一ンス)を確実に黒字化する」との目標を掲げた。だが、今年一月には早くもこの目標の達成が困難との見通しを公表した。政府の財政健全化へ熱意は後退しつつあるようにもみえる。

経済財政諮問会議でかつて「利子率・成長率論争」が繰り広げられたが、財政の維持可能性を考える上で重要なのは、国債の金利と経済成長率との大小関係である。金利が成長率を下回れば、公的債務のGDP比は減少し公的債務の維持可能は高まる。逆に、金利が成長率を上回れば、維持可能性は低くなる。

標準的なマクロ経済理論を使って試算すると、金利のほうが成長率より2~3%ほど高くなる。だが、下図が示すように、過去二十五年間の関係を見ると、その差はわずかで、日本では、成長率に比べ利子率はあまり高くない傾向がみられる。

標準的マクロ経済理論では、通常金融仲介のコストを考慮しない。しかし、日本の金利と成長率の関係を考える上で、この点は見逃せない。預金者と企業を銀行一仲介する際、資金がより円滑に流れるためにかかる審査や債権管理などの費用を負担すべく、預金金利は低く据え置かれる。国債は預金と代替的な金融資産であり、その金利も低い預金金利にさや寄せされる。このため、国債金利も、成長率をわずかに上回る程度に低く据え置かれがちになる。

こうした金融仲介コストを考慮して改良された理論モデルを使い、日本の財政が将来も維持可能かどうか調べるため試算を行った。まず政府の目標値に沿って、今後の平均的な実質成長率と基礎的財政収支を設定。次に成長率と整合的な金利を算定した上で、将来のG
DPと債務残高(GDP比)をシミュレーションし、最後に百年後の債務残高の分布を描き、それが現時点を上回り維持が不可能になる割合を「破綻確率」として算出した。

まず、昨年一月に公表された見通しのうち最も望ましい成長・歳出削減ケースである「11年度の実質GDP成長率二・五%、基礎的財政収支(GDP比)O・二%の黒字」を目標数値として計算した(〇七年試算)。

破綻の防止には厳しい努力必要
百年間の実質金利の平均は二・五七%と実質GDP成長率をわずかながら上回るが、百年後の公的債務残高(GDP比)は〇五年時点のO・九八倍とわずかだが下回り、財政は維持可能である。だが、この数字はあくまで経済成長率の平均が11年水準を保った場合であり、不況が続いた場合は必ずしもこの限りではない。

平均成長率が二.五%を下回り現状より公的債務残高が増えて財政が破綻する可能性(確率)は、我々の試算では四四%ある。

では、今年一月に公表された見通しをベースにするとどうか(O八年試算)。同見通しでは最
も望ましいケースの場合、〇七年見通しと比べ11年度の実質成長率はO・1%引き上げられたが、基礎的財政収支はO・三ポイント悪化し、黒字化は果たせないとの結果が提示された。試算では、平均実質金利は二・六四%と実質成長率をわずかに上回る程度だが、基礎的収支が赤字なため、百年後の公的債務残高(GDP比)は現状の一・二一倍となり、財政の維持は困難になる。さらに六二%の確率で財政は破綻することとなり、〇七年試算のと比べ18ポイントも増えた。このように日本の財政の維持可能性は確実に悪化しているのである。

いずれのケースも・財政破綻防止法に必要な基礎的な財政収支を計算すると(破綻確率を五%以下に抑える場合の試算)、対GDPで一%程度黒字にし続ける必要がある。これは消費税率に換算すると、約二・五%に相当する。今後、年金や医療、介護などの支出増や少子
高齢化の進展に伴う成長率や貯蓄率の低下が予想されることを踏まえれぱ、かなり厳しい努力が求められるといえよう。なおこの試算結果は、あくまで政府見通しの中
で、「最も楽観的なシナリオ」を基にしていることに注意すべきである。

さて、財政破綻の確率が二割近くも高まっているのに、昨年末以降、国債の利回りはほとんど変、化していない。破綻確率の上昇は、本来ならリスクプレミアムの高まりを映し、国債利回りの上昇圧力となるはずである。

そもそも、一九九五年度にGDP比約O・七倍だった公的債務残高は、いまや一・六倍とほぼ倍増するなど、バブル崩壊以降、国債残高は経済成長率をはるかに超えるペースで増え続けてきた。

一方十年国債利回りは、ほぼ二%以下で極めて安定して推移している。つまり、市場は財政破綻の可能性に関して、まったく楽観的であった。

この理由として、国民がこれまでの二倍の税金を支払う覚悟を決めたので、投資家も安心して国債を買い続けたという仮説が考えられる。その場合、国民は将来の増税に備えて消費を手控え、特に公的憤務残高(GDP比)が急上昇した2000年以降、消費の成長率は鈍化しているはずだ。実際は、むしろ景気が回復した〇三年以降、消費は堅調である。とする
とやはり、市場はこれまとやはり、市場はこれまで財政危機を楽観的に見てきた、換言すれぱ、国債の利回りは低すぎる(価格が高すぎる)のであり、債券相場はバブルということになる。

国債売り浴びせは財政破綻に直結

国債バブルが長期化した理由は、様々あるだろうが、日銀が買いオペを通じ、大量発行による値崩れを防ぐ「大口の買い手」として行動してきた側面が強いと思われる。

いざとなったら、日銀が引き受けるので国債は安心だという認識を投資家は明らかに共有している。割高感があれば、すぐ売りを仕掛ける外国人投資家の比率が少ないという事実も、バブルの存続を可能にしている。

ファンドの台頭で様変わりしつつある国際金融市場は、サブブライムローン(米国の信用力の低い個人向け住宅融資)問題を契機に不安定さを増している。

財政再建努力を怠ると、何かのきっかけで海外ファンドが売りを仕掛けてくるかもしれない。ファンドの売り浴びせに対し、日銀は国債買いオペで支えるだろうが、機動的に対応できるかどうか疑問である。

国債を大量に保膏する日本の機関投資家は、安全資産とみなしており、価格下落でリスクが表面化した国債に積極的に買いを入れる行動をとるとは思えない。機能していないゆえに、ファンドの動き次第でもろさが露呈する恐れがあるのだ。国債価格が暴落し、金利は
急騰すると、即座に財政破綻に追い込まれよう。

成長戦略で財政危機を克服しようとする考え方魅力的だが、過去の事例を見る限り、高齢化が進行する中で成長率を上昇させるのは容易ではない。財政再建路線の手綱を決して緩めてはいけないのである。

櫻川 昌哉 慶応義塾大学教授
細川 薫  学習院大学教授
財政破綻シュミレーション http://www.econ.keio.ac.jp/staff/masaya/index.html


100年前の1908年は明治41年 明治38年に日露戦争が終わりT型フォードがはじめて作られた年でした。はたして、明治41年に今日の日本の様子が想像できますでしょうか?ましてやその間、米国相手に戦争をし、敗戦となり、高度成長も経験し、ベビーブームや少子化など、100年前に今日を予測する意味があったのだろうか?

現状の日本はけして楽観できるものではないことは確かだ。ただ、100年後日本は破綻していますという論法で、財政再建論を論ずるのは滑稽だろう。第一、最近の世論で、米国の紙幣は紙屑同然であるとの、ドル暴落論がでているが、それではユーロや円、まして人民元も紙切れにすぎないのではないだろうか?国債も、全部返済する意味があるのだろうか?100年後日本人の人口は半減している予測もあるが、人口減=衰退の構図は成立しているとは断言できないはずだ。

100年先の国家財政を予測するのは滑稽と表現しましたが、研究対象とするのは、間違っていませんし、国家百年の大計を考えるには重要な研究だと思います。それゆえ、わざわざスキャナーで読み込んでwebで保存しました。しかしながら、緊縮財政派の官僚政治家の自説補強材料とされてしまうと問題があります。それゆえ滑稽と表現しました。私はこの記事を執筆された先生をリスペクトしてますので、誤解なきようお願いします。
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バーナンキFRB議長は、米国が直面した危機の第一関門を適切な金融措置によって突破した。逃げ出したグリーンスパンの尻拭いを懸命にこなす、バーナンキ議長とFRBのここ数ヶ月の対応は、後の経済史において評価されるのではないだろうか。

しかし、問題山積の中国問題、緊迫する中東大戦争の危機、サブプライムプライム問題はどの程度飛び火するのか?米国のリセッション入りは避けられるのか?今後も次々と危機の火種は消えずまだ安心はできない。


昨年夏以来、米国と、世界経済を奈落の底へと追いやるかにみえたドル安・株安・原油金食品など国際商品の高騰の流れに3月18日を境に一定の歯止めがかかり、流れに変化が出てきた。

米国の金融市場は3月に入り、信用収縮の様相を強め、特に3月15日前後の世界株式市
場は悲観論一色で染まり、米国景気見通しは悲観のクライマックス局面を形成した。ネットでは、反米保守主義者と、左翼反米主義者が米帝国の終焉を高らかに宣言し狂喜していた。

市場では、原油食料の高騰に目もくれず、金利を引き下げたFRBの対応策が日本の金利差は縮小→「ドル暴落」の引き金を引いてしまったとの恐怖に包まれてしまった。

3月17日の東京市場では、一時ドル円で95円台と約12年7ヵ月ぶりの円高水準を示現した。金融工学を駆使した最近のマーケットではコンピューターには日米金利差縮小すると、
円買いドル売り→日本株の売りの自動売買プログラムが発動する仕組みらしい。

確かに円高は外需に頼る日本企業の収益を圧迫するが、バブル崩壊後の激しい淘汰の波を潜り抜けてきた日本企業は、円ドルが円高になっても格段に体力があり、10年前とは大違いの財務体質となっている。さらに、円高といっても、対ドルが円高であり、対ユーロでは大幅な円安水準であるため、むしろ為替差益を稼ぎ出している企業も多い。
円・ドルレートが1円変動すると企業の経常利益にどれほど影響を及ぼすか。いわゆる「為替感応度」は、1ドル=70円台に突入した1995年から確実に小さくなっている。
 野村証券金融経済研究所の試算によると、業種別では、95年には自動車業界は1円円高になると経常利益が5.3%減少していた。電機・精密業界では1.9%減少、製造業全体でも2.9%のマイナスだった。しかし、2008年になるとその割合は大幅に縮小する。自動車では0.8%、電機・精密では0.6%、製造業全体では0.6%だ。
これまで「円高になると輸出産業は大打撃を受ける」と言われ、政府・日銀は為替介入などを通じて円安を維持してきた。しかし、もはや日本経済を牽引しているグローバル企業が為替変動による影響を受けにくくなっているとしたら、今後、日本にとっては円安がよいのか、円高がよいのか。
 その答えを示唆する試算がある。第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミストが作成したもので、日本の貿易収支と企業内貿易収支の関係を示したものだ。ここからは、既に日本経済にとっては円安よりも、むしろ円高のメリットが大きくなる可能性が高いという、知られざる姿が浮かび上がる。
日本が抱える巨額の貿易黒字は、ほとんどが製造業の本社と海外子会社間といった企業内貿易によるものであることが分かる。2005年は企業内貿易の黒字額が日本全体の貿易黒字額を上回っている。つまり、企業内貿易を除けば、日本は貿易赤字なのだ。データは2005年が最新だが、熊野氏は「この傾向は毎年、強まる傾向にある」と分析する。
 グローバル企業の為替感応度が小さくなっていることを考えれば、むしろ日本全体では、企業内貿易を除いた場合の貿易赤字に対する効果に着目すべきではないか、というのが熊野氏の見方である。企業内貿易を除いた場合の貿易赤字は膨らむ傾向にあるので、輸入コストを減少させる効果を期待できる円高は、メリットが大きいはず。
(ビジネスウィークより)
円高→企業収益減の発想で日本株売りプログラムを放った機関投資家は痛手を被る可能性は高い。
金融不安の元凶となったベア・スターンズは、2ドルの買い取り価格が12ドルへ引き上げられ、ニューヨーク連銀とJPモルガンにマーケットはしてやられた可能性がある。3月危機はある程度予想はされていたので、派手に芝居を打たないと効果的ではなかった可能性すら感じるのである。

ベアースタンの破綻は日本の山一証券の破綻と同じ状況だ、日本のバブル崩壊の轍を踏まないように金融措置をとるとのFRBの姿勢は、金融緩和反対論を黙らせる効果は十分であった。

相場の最終局面の超悲観論クライマックス局面は半ば作られたと考えてよい。相場のクライマックスはこれをきっかけに、対外相場は逆方向に流れが変わるものである。

最高のタイミングを作り出すことに成功したFOMCでのフェデラルファンド(FF)レートのO.75%幅の大幅利下げと4月末FOMCでの再引き下げを示唆した声明文で、米国を始め世界市場が急反騰した。今回の米利下げでFF金利は年2.25%となった。悲観相場が渦巻いていた市場が一気に底入れ感が台頭し、FRBはスペードのエースは温存したままカードを効果的に切り、上げ切っていた原油も金も一気に値を消し、ドル円も100円台へ回復した。このゲーム一回戦はバーナンキFRBの完勝となった。

スペードのエースは公的資金注入であるが、今後に控える危機に対し温存することができた。バーナンキFRB議長をはじめとする米金融当局者は基軸通貨国のドルが日本のように不況が負のスパイラルとしてデフレ化して失われた10年を作らない強い意志を感じた。

米国は短期間にサブプライム問題に決着を付け終わらせるために、意図的に超悲観論を流布し、犠牲の子羊として最も罪深いが影響が少ないベアースタンを選んだ。人工的に米国の金融市場にクレジット・クランチ(信用収縮)の様相を作った可能性を感じる。

このことを、社会と接したことが無いネットの住人達(その多くはニートの諸君かもしれないが)は「陰謀」と呼ぶのかもしれないが、「陰謀ではない、立派な金融政策だ!」と、私は評価します。アメリカが日本のバブル崩壊後のプロセスを反面教師としてよく研究している証拠である。

空前のドル安は、アメリカ出身の多国籍企業に空前の利益を提供していることも忘れてはならない、米景気減速の大きな穴埋め役となっている。実質ゼロ金利はインフレ懸念をまるで無視する政策であるが、原油高に引きずられる農産物や金価格は実勢価格と大幅に乖離していることをFRBは見抜いているところに今回の金融緩和政策の要点であったかと思う。

4月中旬にはG7があり今までのドルの一方的な売りが解消されユー口が安くなることも可能性として十分ある。先月末初期費用だけで15億ドル(1500億円)にもなるビックプロジェクト次期空中給油機にエアバス社のA330をベースに作られたKC-45/A330を選定したことを発表した。 米空軍の次期空中給油機は当初、ボーイングが開発を進めたKC-767が採用される方向で準備が進められたが、米空軍の始めからボーイングありきの姿勢に反発した議会により計画の推進は中断した経緯はとてもグレーだ。
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200803050002
空前のユーロ高で競争力を失いかけ経営再建中のエアバス社にとってはまさに慈雨となる契約を結んでいる。空前のユーロ高ドル安のなかあり得ない決定である。
ドル安ユーロ高も一旦限界であることを頭に入れる時が近づいてきていることだけは間違いない。

ドル安の恩恵を受けて米多国籍企業の収益は急拡大していることも間違いない。金融機関の決算発表は4月中旬、金融機関以外のグロ一バル多国籍企業の業績発表は4月後半以降これら企業の業績発表が本格化すると、米景気の拡大基調が確認されてくる。それに1―3月期サブプライム問題の損失をほとんどはきだしてしまった金融機関の4―6月期収益は黒字回復となる。そうなってくると、「信用不安→ドル安・商品高」というシナリオの変化がはっきりしてこよう。

だが、喜ぶのはまだ早い。一連の政策は主要金融機関の流動性収縮だけに対応するものだということは、FRBの当局者が一番よく分かっている。米国経済が抱える最大のリスクに対しては何も手を打っていない。家計から財産と信用を奪い、銀行制度に多大な負担を強いている「空前の住宅価格暴落」には無策なのだ。
 現在の景気減速がどこまで悪化するのか誰にも分からない。これほどの住宅価格の急落は経験したことがないからだ。しかも、住宅の時価20兆ドルが家庭の保有資産の大部分を占めている状況での暴落である点だ。
このブログでも書いているように、今回のサブプライム問題に端を発した、経済危機は世界的経済の転換点であるこたは間違い無い。サブプライム問題はバブルに踊った米国景気の引き締めにはなるものの、崩壊をもたらすほどではない。むしろ、グローバル経済の新規参入者、BRICs諸国、特に中国の経済にとって、大きな試練、もしくは崩壊をもたらる可能性を考慮すべきではないかと思う。
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「1999年7か月、 空から恐怖の大王が降るだろう、 アンゴルモアの大王を蘇らせ、 マルスの前後に首尾よく支配するために。 」有名なノストラダムスの大予言百詩篇 第10巻72番に登場する有名な四行詩です。

日本では「とんでも作家」五島勉により、「1999年人類の滅亡」と解釈され1970年代に子供であった私の世代にとっては、非常に迷惑なことに取り返しのつかないトラウマを刷り込まれてしまった。(五島勉と関係者は国家騒乱罪に匹敵する犯罪を犯したのではないでしょうか?)

このノストラダムスの四行詩は過去、解釈する時代、人物により様々に解釈されています。抽象的な表現が多用される詩でも聖書でもお経でも本であれば、言葉を暗号だと言って、適当に自分に都合よく当てはめ解釈すれば、たちまち予言書にしたてあげることが可能です

2008年大予言を解釈するならば、「2001年9月11日、空から(WTCへ)恐怖の大王(テロリスト)が降るだろう、アンゴルモア(モンゴル=東洋人=中国人)の大王(主権者=中国共産党)を蘇らせ、マルス(戦争の神=米国)はその前後(1990年代から2000年代初頭)に首尾よく支配する為に」とも解釈できます。

そうか、「ノストラダムスは米国(マルス)の支配は1999年の前後は首尾よく支配するが、その先は首尾よく支配しないと予言していたのか!ついでに蘇った中国共産党もその前後までかもしれないぞ!」とでも解釈すると、本が一冊書けるかもしれませんね。

予言書といわれるものは、未来のことなど何一つ当たらず、過去のことばかり「実は予言されていた」との宣伝文句ばかりが目立つわけです。最近話題の9.11を予言した男、予言者ジュセリーノも週刊ポストに2月川崎で大地震!との記事が載っていましたが大ハズレでした。例えば5年後に関東で地震が発生したら「的中した」とでも宣伝されるかもしれませんが、それは予言ではなく単なる自然現象でしょう。

予言話はここまでにして、現実の世界の2008年は米国大統領選挙の年であり、北京オリンピックの年でもあります。米国と中国にとってはひょっとすると本当に予言とシンクロしますが、転換点になる年である可能性は多分にある年回りです。

ベアースタンの事実上の破綻により懸念されていた金融ドミノ倒しは、ひとまず起きずに済んだ。小休止ではあるが、いずれ休憩終了となるであろう。まだマーケットはすべての膿を出し切っていないと判断していると思う。最終的には公的資金の注入、各国中央銀行によるドル防衛の為の協調介入まで行った時にサブプライム(に端を発する)危機は終了するかもしれません。このまま一気にドル基軸通貨の崩壊まで突き進むよりも可能性は高いと思います。

日本は負のスパイラルに陥り危機終了までに10年を要しました。「失われた10年・ロスジェネ」と今では言われています。一方、米国は不良債権を隠さずに、先送りせず、決断すべき政策は迅速にいまのところ実行されています。迅速な定石通りの対応は、逆風下の操縦としては見事です。グリーンスパンの負の遺産を受け継いだバーナンキFRB議長の手腕は見事なものです。この危機を乗り越えることができたら、グリーンスパン以上の神通力を持ったFRB議長として金融史に名を残すかもしれません。一方日銀総裁がいまだに決まらない日本の場合、バブル崩壊時もそうだったが、常に決断が後手にまわり、そのうえ、経済金融政策に無知なマスコミの世論扇動に、不成熟な経済感覚しか持っていないヒステリックな世論が入り込み、政策決断できないまま日本は崩壊していった。米国は日本とは違い10年を要せず立ち直ることでしょう。

もし、オバマが大統領となった場合いままで、反米的な世論を喚起する情報発信者(民主党支持の大手メディア)をはじめ、反米(=反共和党)を宣伝する人達が経済改革の後押しをする可能性があります。

米国は、1960年代に繁栄のピークを迎えるとともに、ベトナム戦争を契機として、長期下降トレンドへ国勢が向かい始めた。ニクソン政権下で最初に下落を止める策を計ったが、その後の石油ショックは、更なる下降へと向かってしまった。カーター政権下米国は覇権すら失いかけたが、レーガン大統領がその流れを止め復活の礎を築き、クリントンがその成果を自分のものとした。私はクリントン政権の8年を評価しない。一見クリントン政権下、米国は繁栄したかのように見えたが、エンロン事件に象徴される構造疲労を引き起こし、復活した果実を食べつくして、今日に繋がる様々な禍根の種をばら撒いた後、ブッシュ政権が政権を引き継がれたものと思っています。

ブッシュ政権はクリントン尻拭いの政権であって、イラク戦争もその一貫であると認識しています。議会で民主党が優勢となりラムズフェルドが去った共和党政権下事態では、今日の米国の事態はある程度予想がついた。新大統領がマケインかオバマならそれほど杞憂するほどではないかもしれません。(ヒラリーの場合、中国のエージェントとして米国を更なる混乱へ突き落とすと予言しておきましょう。)

マーケットはルービン、サマーズといった金融界の利益代表者の再登板に期待して、共和党政権下でサブプライム問題の矛盾を一気に表面化させ、そして処理をしている最中なのかもしれません。(陰謀論的発想ですが、結果そう解釈できる動きと見ています。)それゆえ依然軍事力において圧倒的プレゼンスを誇る、米国に関しては、リセッション入りは回避できないだろうが、やがて回復期も訪れるのではないでしょうか?米国経済はもしかしたら、さほど心配をせずとも良いかもしれません。

問題は、中国です。

原油価格の高騰、インフレ懸念、輸出依存体質の経済構造の中国にとって、米国のリセッション入りは、過熱した中国経済にとっては深刻なダメージを受けると予想します。更にチベットの問題は、天安門事件発生後に対中投資が止まったように、すでに減少している対中投資のさらなる減少を招くこととなると思います。

私は、何年も前から「中国バブルは間もなく崩壊する」と信念のように思ってはいる。しかし、一向に崩壊せず、しかもここ数年の尋常ではない表の中国の変貌に、中国バブル崩壊は、単なる願望と人種的偏見に過ぎないかもと信念が揺らいでしまうことがありました。バブル崩壊待望論というのは中国経済が発展は日本人の嫉妬心から生じたもので、突出した軍事的増強に警戒し、反日運動を焚きつけた反日教育に対し憎悪する気持であり、中国バブル崩壊を望むのは素直な気持ちだと思います。

中国経済好調のレポートを読んでも、所詮チャイナコンセンサスの2008年までの経済発展にすぎないと思っていました。2008年、多発する幾多の問題は当初のお約束通りになるかもしれない、中国バブル崩壊は始まったと期待する出来事が起きています。

中国の上海総合指数は、2006年の秋頃には2,000ポイント以下だった。それが2007年10月19日には6429.68ポイントまで上昇した。わずか1年間で3倍に上昇する現象は、これはまぎれもなくバブルだ。そして、今、株バブルは崩壊しつつある。6000ポイントから2008年3月20日には3690.477まで下がっている。この先2000ポイント付近まで下落するかれるかわからない。

中国が年率10%以上の高度成長を遂げているので、それだけで中国経済はバブルだと言うわけではない。1978年の改革開放以来、中国は過熱と崩壊のサイクルを2度経験した。3度目の今回、中国で経済の過熱が言われ始めたのが2003年頃だが、物価上昇率はまだ過去2度の過熱の時ほどではない。昨年、物価は4.8%上昇したが、これはかつてのような全面的な物価上昇ではないが、トウモロコシなどの穀物や豚肉など食品関係は世界的な食料高騰の影響で物価が上がっている。今年に入って物価上昇率が前年同期に比べて8%以上高くなるなど景気過熱の局面に入ってきた。既に中国政府は金融引き締め政策を行っているが、引き締めが利かず、物価上昇率が10%以上上昇すれば、中国政府は本格的に金融引き締めのブレーキをかけ、景気が一気に冷やされるであろう。来年以降、中国経済は減速サイクルに入るのは避けられない。

不動産バブルの崩壊は、日本やアメリカのバブル崩壊の経験則からすると、株式市場の崩壊後、マネーが一時的に不動産へ流入するので、株式市場の崩壊より遅れてやって来る。

北京や上海の高級住宅地やマンション価格は日本のバブル期以上の平均年収との乖離だ。
「中国は公式人口の大半が農村人口であるため、貧しい農村に住む多数の農民達を解放し、都市に移動させれば、そこでインフラ整備の需要が膨大に発生する為中国には都市発展の余地が十分にある。」との中国不動産へ投資させようとする為のレポートを読んだが、噴飯ものである。

戦後の日本がそうであったように中国でも不動産全体がこのまま値上がり基調で行くのではないか。との説は一見説得性があるが、自由に都市に住めない農民の規制を解除すれば、都市のスラムを巨大化するだけで、貧しい農民工には上昇しきった都市部の不動産を取得させるだけの資産は無い。それこそ無理に取得させようとすれば、中国版サブプライム問題が発生するだけだ。

経済格差拡夫で労働者や農民の不満も鬱積し、チベット問題よりも同じ漢民族(中国語を話すヒトの集団)の叛乱を共産党は警戒しているのだろう。

共産党は表向き労働者の代表だが、江沢民時代から共産党員は労働者や農民ではなく、資本家、政治家、文化的エリートの代表が入党するようになり、元々そういった人達の多くは共産党員の子弟である場合が多く、特権階級になっている共産党は、労働者を代表する勢力ではもはやない。労働者や農民の不満のはけ口がないわけで、不満のベクトル反日運動に向けさせようとする共産党の努力空しく、何らかのきっかけで不満が爆発する危険性はある。

運よくオリンピックで中国は大量の金メダルを獲得し、世界の一流国になったと宣言できたとしても、オリンピック後目標喪失状態で中国国民は虚脱感を感じるかもしれない。

「オリンピック開催までは、共産党独裁の政治体制でもしょうがない」かと中国の人々も考えているかもしれないが、オリンピック後は、経済的に成功した人間と共産党の利害が対立する点が表面化するかもしれません。中国の政治体制は、一党独裁制で、民主主義がなく、言論の自由に対する規制があるので、問題は隠蔽するか賄賂で解決できてきたが、ネットで漏れ知った民主的な思考がネットを中心に燎原の火のように広がっている。

台湾人を中国人としてではなく中国文化圏であるとして定義すると、一党独裁解消後の台湾の凄まじい暴力的選挙運動は中国文化圏の本質かもしれません。台湾の選挙運動を見る限り、もともと、自己の利益を最大にしようとする中国民族の貪欲な意識が垣間見られます。「労働者、農民を控取して成立している今の中国の仕組みは次第に行き詰まってきている。極端に開いた経済的格差に不満を持っている人が多い中で、農民をもっと本格的に解放する、農民を大都市に移住させるなど経済格差の縮小を旗印として、自分に支持する政治的勢力を創ろう」と考える野心家が共産党の中と外から出てきてもおかしくない。もしかしたら、それが民主主義政治の本質かもしれないが、いずれ共産党政権の基盤がいずれぐらつくことになるのは必至だろう。

将来中国と米国を分けるのは、不利な情報を開示するかしないか、そして危機を先送りするか、即処理するかの違いであると思う。「昇竜の中国、老兵の米国」という認識をしているのであれば直ちに間違いであると気がつくべきである。
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3月18日NYはFRBの0.75%の利下げと、注目のゴールドマンサックスとリーマンブラザーズの決算が予想を上回る結果であったため、420ドル上昇した。

米国の大反発を引き継いだ東京マーケットだったが、朝方は流石に活況を呈し、一時円ドルも100円までドルが買い戻され東証も400円高まであったが、東京マーケット参加者は冷静だ。結局12000円台は回復したものの296円高。
で、12時(東京時間)のNYは、24ドル安、日経新聞記事 【モルガン・スタンレー、純利益42%減・07年12月―08年2月期】
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080319AT2M1903F19032008.html

モルガン・スタンレー、純利益42%減・07年12月―08年2月期 
 【ニューヨーク=財満大介】米証券大手モルガン・スタンレーが19日発表した2008年第1四半期(07年12月―08年2月)決算は、純利益が前年同期比42%減の15億5100万ドル(1500億円)だった。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)を発端とする信用市場の混乱による損失は24億ドル超に上った。 
 モルガンは07年9―11月期にサブプライム関連損失で最終赤字に転落したが、前四半期は黒字を確保した。粗利益に相当する純営業収益は、同17%減の83億2200万ドル。前日のゴールドマン・サックスやリーマン・ブラザーズに続き、事前のアナリスト予想(約72億ドル)を上回った。 (00:11)
とりあえず、一旦パニックは終息するかと思うが、一時的なことだ。米国の景気は年末商戦の不振をきっかけに消費者心理の冷え込みや産業景気の悪化を示す指標が相次ぎ、そして金融不安から一気にリセッション懸念が恐慌モードへ突入寸前である状況は変わらない。

住宅投資と在庫投資の減少が低成長の原因となっており、設備投資は増加が続いていることから直ちに不況の入り口に立っているとまでは言えないが、個人消費に勢いがなくなってきており、楽観は許されない情勢と言えるだろう。
忘れていたが、アメリカでは4月から配布される減税小切手が配られる。「オイオイどこぞの国の公明党」が98年にばら撒いたクーポン券と同じで、一過性の景気刺激に終わる可能性も否定できない。「当に焼け石に水」どこまでアメリカは日本のバブル崩壊を教訓としているのか疑問だ。

一方、これまで急減が続いた住宅投資はそろそろボトムに達する可能性があり、成長率の足を引っ張る要因ではなくなる可能性もある。名目GDP比で見ると、2000年頃の水準に戻っていること、住宅価格の低下とモーゲージ金利の低下で住宅の取得しやすさは回復し
ていることが指摘できる。通常の住宅ローンが借りられる層にとっては低金利で、購入のチャンス到来という見方もできるが、米国の持ち家率を考慮するといかがなものか?ただ、境界線上でローン返済を踏ん張っている層にとっては、実質ゼロ金利になった一連の金融緩和はまさに福音であったと思う。

もう一つ、一連のブログに書き込んだ内容以外で重要なことに気がついた。日本のバブル崩壊は、主に都心のオフィスビルや商業地の地価暴落であったが、米国のバブル崩壊は主に住宅ローンであることに注目したい。

債権回収をされたことがある方ならすぐにお気づきかもしれませんが、商業地や貸しビルの場合は容易に回収できずに不良債権が膨らんでしまい、競売にかけても二束三文でしか落札されません。ところが住宅の場合は、競売にかけることが容易で、おおよそ50%近く回収が可能です。日本はバブルの崩壊から終息までに10年をかけてしまいましたが、米国の迅速な動きは、バブル崩壊から終息のサイクルを早める結果となる可能性もあります。

米国の景気の方向性を決定付ける最大要因は企業の設備投資動向である。現在のところピークアウトの動きにはなっておらず、水準もGDPとの相対でみて過剰になっているといえない。リチャードクー氏も指摘しているように、恐慌は、皆が我先に借金を返済してしまい資金の借り手がいなくなると発生するのであれば、米国の設備投資動向は要注目である。
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「パックスアメリカーナ」の終焉? 我々は歴史的転換点にに立たされているのか!

17日の東京株式市場で日経平均株価は急落し、約2年7ヵ月ぶりに1万2000円を割り込み、前営業日比454円09銭安の1万1787円51銭。また、円ドル為替は一時95円台をつけ現在24時現在97円台の取引である。

きょうの下落は、ニューヨーク連銀が資金繰りに窮した米証券大手ベアー・スターンズの事実上倒産救済で、米銀大手JPモルガン・チェースによる買収価格が1株約2ドルだったことを発端に、欧米金融機関の経営悪化の懸念や金融システム不安が強まったことが背景だとみている。

ベアー・スターンズへの異例の支援 米政府に公的資金活用論 2008.3.15 20:42
産経新聞 http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/080315/fnc0803152042008-n2.htm
ベアー・スターンズへの異例の支援 米政府に公的資金活用論
 【ヒューストン(米テキサス州)=渡辺浩生】ニューヨーク(NY)連銀が14日、経営難が続く米証券大手ベアー・スターンズの救済を決めた。米連邦準備制度理事会(FRB)が銀行以外の個別金融機関に資金支援するのは、1929年に始まった大恐慌以来となる。低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題をきっかけにした信用不安が深刻化する中で株安とドル安が急速に進んでおり、金融機関に対する公的資金の注入観測も浮上している。
 今回の支援は、米銀大手JPモルガン・チェースが公定歩合による貸出制度を通じて資金を調達し、その資金を28日間の期限付きでベアーに迂(う)回(かい)融資する内容。JPモルガンが仲介するのは、証券会社が公定歩合を直接利用できないためだ。
 ベアーはサブプライム関連の金融商品で巨額損失を計上。金融市場で貸し渋りの動きが強まり、資金繰りが急激に悪化した。また、融資先の投資ファンド会社の経営破(は)綻(たん)の観測で信用不安に拍車がかかった。シュワルツ最高経営責任者(CEO)は14日の電話会見で「13日に大量の資金流出があった」と述べ、取り付け騒ぎが起きたことを明らかにした米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)によると、14日早朝、NY連銀のガイトナー総裁、バーナンキFRB議長、ポールソン財務長官が緊急電話会議を開催。同社に対する異例の救済策を決定し、財務長官がブッシュ大統領に報告したという。
 FRBの個別金融機関への支援決定で、政府にもサブプライム問題の抜本策を迫る声が強まるのは確実だ。ブッシュ大統領は14日、米CNBCテレビとのインタビューで「非常時の下では非常時の対応が必要」と述べ、消極的だった公的資金活用に含みを残した。
 FRBは1月以降、計1・25%の追加利下げに踏み切り、政府も減税などの緊急対策を決めた。しかし、昨夏のサブプライム問題を発端にした金融市場の混乱は出口が見えず、米経済は「戦後最悪の景気後退の恐れもある」(フェルドシュタイン・ハーバード大教授)と指摘されている。

ベアー株は、およそ1週間前までは1株60ドル付近で取引されており、半年前には120ドルまでつけ、私がよく読む、ぐっちーさんのHP http://blog.goo.ne.jp/kitanotakeshi55 でも株価の急激な下落でショッ苦を隠し切れない。

まるで、三洋証券が破綻、山一證券が破綻した10年前を見ているようだ。山一と違い、米国はベアー・スターンズを救済した。ぐっちーさん曰く、「ベアースターンズはMBS(Morgage Back Security) においては第一人者でありまして、仕組みがよく似ているCDOについても全米No.1であり、そのためベアーはCDO(サブプライムローンによる原債権担保債券を含む)のセカンダリーでの取引を半ば独占していた感があり、この会社を抜きにして今問題になっているCDOの解決を図るのは極めて難しいという現状があります。ベアが潰れたらCDOはそれこそ本当の紙切れになる訳ですから芸は身を助けるといいますよね。今回のベアーの救済はまさにこれ。生き残るにはやはり「オンリーワン」を持っている、ということに尽きますね。」山一が倒産した後、次は大和證券が危ないと、まことしやかにガセネタが横行し、その次は?とマーケットは疑心暗鬼になった。10年前の日本と同じ状況だ。

日本株はファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)面からは売られ過ぎの水準にあるとみられるものの、第2、第3の「ベアー」が出てくるのでは、との疑念から、今日が大底であるとは言えない。

欧米金融機関は、資産内容が劣化したヘッジ・ファンドから差し入れられている担保を投げ売って資金回収を進めているようで、そうした売りが引き続き株式相場の重しになりそうだ。1-3月期決算を発表する4月中旬ぐらいまで売り圧力は弱まりそうにない。

この流れを見事に解説しているのはリチャードクー氏である。
http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/koo.cfm
第7回「大恐慌もバランスシート不況だった」(2008/03/12)をご参照
大恐慌の原因も、日本のバブル崩壊もバランスシート不況だった。バブルが崩壊して企業のバランスシートが壊れたときにどこの国でも起きる危険で、信用不安から恐慌状態になると、企業は資金不足で困っているのではなくて、早く借金を返済しないといつ、どこで「債務超過」のレッテルを貼られてしまうかわからないという恐怖の下で借金を返済してしまい、預金と貸し出しが同時に減ってしまう。これは「企業が自発的に借金を返済していたから」「お金を借りる人がいなくなる」という現象であるとクー氏は発見している。
クー氏の発見が証明されそうな気配がする。もしかしたらノーベル経済学賞ものかもしれない。

ネットでは反米保守的若者を中心として語られることが多いが、「世界経済はこれまで、米国という『最後の(製品の)買い手』が支えてきた面が大きい。世界経済を支えてきたのも米国であり、世界秩序を支えてきたのも米国である。その他の国々は、パックスアメリカーナの基に繁栄と安定を享受してきたことを忘れてはならない。その米国の役割が、サブプライムローン問題をきっかけに、「終わりの始まりが」始まったかもしれない。但し、基軸通貨であることに変わりなく、20から30年は紙切れになると考えるのは早計だろう。

ドルは対ユー口に対しては減価がかなり進んでいるが、円やアジア通貨といった黒字国の通貨に対してはまだ緩やかで、もう一段の調整を迫られるだろう。

先ほどの12チャンネルのワールドビジネスサテライトでは、Mr円榊原英資氏が、1米ドル80円割れを示唆していました。長期的には無くはないとは思いますが、ここまでの米国の対応はけしてベストではないが、10年前の日本と比べ、迅速で適切な対応を行ってきているが、金融政策でもはやカバーできるものではなく、公的資金の注入が何時、どれくらいの規模で行われるかが問題になってくると思う。そうすると、円ドル、株すべてが急反発する可能性があると考えた方がいいでしょう。ただ、輸出企業中心に大幅な減益はさけられず、榊原氏の言うように4-6月期はマイナス成長になってしまうかもしれない。日本経済は、当面厳しいだろう。

原油食料の高騰も緩和され、原材料などの輸入コストが下がるほか、消費者の購買力も上がるかもしれない。

日本の公的資金注入の不味さは、米国の反面教師になっているかもしれない。
98年には国会でも宮沢喜一蔵相の元で、公的資金による金融機関への資本注入という公的資金の法制化が焦点となった時代である。この時宮沢蔵相は公的資金による資本の注入は、日本は公的資金の導入をしろと、米当局からの昼夜を問わない矢の様な電話攻撃の末、やっとのことで実行されたので、米国も、いざ自分のこととなれば、そう易々と公的資金は注入できないのだろう。

1980年台末~1990年に発生した米国の貯蓄金融機関(S&L)の整理で1000億ドルを超す公的資金を注入して、経営者を牢屋にぶち込んで立て直した実績もある。
ただ、今回の場合は銀行による間接金融ではなく、証券会社と証券市場そのものの、直接金融市場自体が変調もしくは崩壊しているので、公的資金が、すべての解決策になるのか、自分ではよくわからない。

ここ直近で起こっていることは、米国の金融証券市場の崩壊とともにドルの信認が失われ、世界のマネーはドルを売った資金で原油・金などの商品を買っているため、これらの商品が上昇している状況である。投資家達は、金融市場で加速する信用収縮の底の深さに震え上り、今回のベアーの救済劇は、FRB当局はついに市場全体への資金供給から、個別金融機関の支援に踏み込んでいかざるを得ない状況となってきた。14日、米大統領は演説で金融システムが非常時にあることを
認めざるを得ない状況であると発言している。先般、米下院ではフランク金融委員長がサブプライム対策で3000億ドル(約30兆円)の公的資金枠を提案したが、この案に対して大統領は「貸し手や投機家を利するだけ」と反発し、ポールソン財務長官は「税金を使うシナリオは全く想定していない」と明言しているだけに、ブッシュ政権でも公的資金投入へ動く兆しだと思う。

14日には元財務長官(民主党系)のサマーズ氏とルービン氏が討論会で発言しているが、それによると、「規模はともあれ、質の面では日本の山一とよく似ている」と、サブプライム問題を日本のバブル崩壊になぞらえて、両氏は公的資金活用の必要性を示唆している。現状米国の金融収縮は未知の水域に入ったと危機感を表明し、政府支援の拡大を訴えている。両氏の提言が民主党大統領候補の政策に取り入れる可能性を示唆した。また公的資金を使うべきかを検討する段階に入ったと言明し、米国が景気の後退局面に入ったのは明らかで、市場の仲介者が望もうと望まなくても、私的、公的な方法を問わず自己資本を緊急に増強する必要が出てきたと発言して、金融機関を支援するべく政府の資金を利用する案を示唆している。ルービン氏とサマーズ氏は民主党の大統領が誕生した場合には財務長官になることはほぼ間違いないだけに重要な発言である。

1998年3月「ジャパンプレミアム」が解消したのは日本政府の公的資金の注入によってであった。すでに今回の危機では英国は中堅銀行ノーザン・ロックの一時国有化で公的資金の投入を決断して英国内での金融危機は収まりつつある。ブッシュ政権は面目だけにとらわれずに世界経済の最大のリスクとなっている米国経済を救うために動きだす時ではなかろうか。

米政府による公的資金の全面的注入とともに想定されるのは、米国の大幅利下げと日・欧金融当局の協調利下げ、欧州と日本、中国、ロシア、韓国台湾など外貨準備を米ドルで保有する中央銀行世界連合でドルの協調介入も考えられます。日本単独でのドル円介入はまずないと思います。
80円を割るようなことが起きそうになって初めて介入するのではないかと思います。ただ当局による為替チェックは始まっているとのことです。

力一ライル・キャピタルや不動産系のソーンバーク・モゲージなど資金繰り悪化をきっかけにした投資会社の破綻懸念が相次いで浮上している。ヘッジファンドなどの経営悪化が今後も続けば株式相場に一段の下げ圧力がかかりそうである。米株式相場はすでに弱気相場に入っている米国の景気が後退局面に突入するであろうとの米国政府・FRBの独自の予測で市場の投機筋が米国売りを仕掛けている状況でもあるので、反発が始まったら反発も大きい可能性がある。
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1より
危機感駆動型ニッポンの危機!?ネガティブなニュースの濁流に流されるな
日経ビジネスオンライン 2008年3月12日 水曜日 竹中 正治
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20080310/149475/?P=1


'''「危機感駆動型」の日本と「希望駆動型」の米国'''

 この違いを類型化すると、日本人に多い類型は「危機感駆動型」であると言える。「このままではお前(日本)はダメになる!」「危機だ!」と言われると強く反応して動き出すわけである。一方、米国人に多い類型は「希望駆動型」である。「できるじゃないか!」「ステップアップできるぞ!」と励まされると強く反応して動く。こうして考えると、日米の様々な違いが説明できる。 
 例えば、米国のエコノミストには毎度楽観的な見通しを言う連中がなぜこうも多いのか。反対に日本のエコノミストには、どうして「危機の預言者」みたいな連中がわんさといるのか。 
 日本の歴代首相や政治家は、まず危機感の強調から始まるタイプが多い。「日本はこのままではダメになる!」方式だ。一方、米国の大統領、政治リーダーたちはどんな困難な状況でもまず希望を語ることから始める。「私のリーダーシップを受け入れるならば、難局は打開できる」と、まず希望を語るのが米国のリーダーの資質だ。 
 「危機・没落に直面しているのだから構造転換(改革)しないと日本はダメになる」なんて議論は、戦後を通じて何度も形を変えて繰り返されてきた。1960年代から70年代初頭に東京大学のマルクス経済学者らによって編集・発刊された代表的なシリーズは「日本資本主義の没落」である。高度経済成長の真っ只中で「没落」を強調する感性はピント外れを通り越して、超先見性とでも呼んだらよいのか。 

'''臥薪嘗胆、富国強兵、輸出立国に共通する危機感のエートス'''

 なぜ日本で「危機感駆動型」が主流になったのか。実証的に語ることは難しいので、これは筆者の空想的な仮説に過ぎないが、日本のたどった現代の歴史的な環境、「生い立ち」に負うところが大きいのかもしれない。 
 幕末、明治の日本人を駆動したのは危機感だった。幕末の攘夷論に始まり、明治には「臥薪嘗胆、富国強兵で欧米列強に伍していかねば、日本は立ち行かなくなる」という強烈な危機感をバネに展開してきた。「臥薪嘗胆」や「富国強兵」は中学の歴史の教科書で習い、私自身の心にも深く刻まれた
戦後の日本経済の「輸出立国」もやはり危機感駆動型を下地にしたものだ。 
 「日本は天然資源の乏しい小さな島国。だから資源を輸入して高品質の製品を製造、輸出して外貨を稼がなくては経済が立ち行かなくなる」 
 これは戦後の日本人の多くが共有した一種の「教条化された危機感」である。「臥薪嘗胆、富国強兵」は「輸出振興、高度成長」に代わったが、下地にあるエートスは同じ「危機感」である。 
 一方、米国は欧州で食いはぐれ、あるいは宗教的に迫害された人たちが「新大陸での希望」に賭けて移民してできた社会だ。16世紀には北米の植民者の半分ほどが最初の厳しい冬を越えることができずに死んだと言われるが、それでも彼らを突き動かしたのは「危機感」ではなく、「希望」だった。 
 東海岸地域であぶれた人たちも、西部・フロンティアへの希望に導かれて西海岸まで広がった。カリフォルニアのゴールドラッシュは、そうしたフロンティアでの希望の実現を象徴する出来事だったのだろう。 
 地理的なフロンティアが消滅しても、新ビジネスや技術開発がもたらすフロンティアの希望に駆られて走り続けてきた。現在でも、毎年不法入国も含むと100万人近い移民が「職を得る希望」に導かれて米国に流入する。 

'''「危機感駆動型アプローチ」では日本は良くならない'''

 ともあれ、危機感をバネにすることでしか変革できない性分ならば、「危機」や「没落」を強調する今日の風潮も、日本的な変革志向の一環ということになるのだろうか。しかし、どうも今日の日本で語られる「危機論」や「このままでは没落する論」は変革機運に結びついているというよりも、むしろ自己暗示的な自縛や閉塞を生んでしまっているような気がしてならない。 
 日本が今日直面している1つの問題は「危機感駆動型アプローチ」の限界それ自体なのではなかろうか。危機感駆動型の限界は「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ことにある。 
 幕末の西欧列強が武力で植民地獲得競争をしていた時代、あるいは戦後日本のほとんどの都市が空襲で焼け野原となった状態では、事態は切迫した危機そのものであり、危機感をバネにした変革も頑張りも長期に持続するものとなった。 
 ところが、なんだかんだ言っても豊かさを実現した今日、不良債権問題と不況が終焉するや大した改革もしていないうちに「改革疲れ」を語り、変革機運は後退してしまった。財政赤字、年金不安、少子高齢化、地球温暖化──。今日の日本の諸問題は放置しておけばやがて大禍となろうが、何もしなくても今日、明日に困るものではない。危機感駆動型アプローチが最も苦手とする代物なのだ。 
 アプローチを切り替えて希望駆動型にシフトし、個人レベルでは各人の弱点を強調、矯正するよりも、強みを伸ばす姿勢を取るべきではないだろうか。組織や社会のマクロレベルでは長期的な将来の目標を掲げて牽引する方策の方がよいのではなかろうか。そのようなビジョンを持った国政レベルのリーダーシップが不在であることは困ったことだが、各層でできることはあるだろう。 
 「お父さんの良い点を挙げなさい」。8歳と12歳の自分の子供に言ったら、まるで気乗り薄で「別に~。働いていることかなあ」「まあ、お金ないと困るしね」とのご回答。 
 「じゃあ、お父さんの悪い点を挙げなさい」と言うと、急に目を輝かせて「ビール飲み過ぎ!」「ワインも飲み過ぎかも!」「暖房の温度上げ過ぎ」「冷房の温度は下げ過ぎ」などとポンポン飛び出してくる。 
 う~ん、どうやら自分の家庭の意識変革から取り組む必要があるようだ
なるほど、「素晴らしい(Excellent)」な記事だ。
経済雑誌は、売れるタイトルを付けねば売れはしない。「××崩壊」「世界同時不況」「孤立する日本」「××危機」「××バブル」私も、そういったタイトルに反応して財布の紐が緩んでしまう。

東スポとか夕刊紙の発想と同じであることは、気がついてはいたが、蛾などの夏虫が集蛾灯に反応してしまうように、最もセンセーショナルなタイトルに私も引き付けられてしまう。これはDNAレベルの問題かもしれない。

日本人が、危機に敏感で、過剰反応するのは、幕末の志士や今の日本人に限られたものでなく、農耕民族であった日本人のDNAかもしれない。

農耕民族は、天災や凶作に備える為、危機に対して敏感に感じた者だけが淘汰されずに生き残り。狩猟民族は、山や谷の向こうには獲物がいるかもしれないと、絶えず励まし、明るい未来を信じて移動して獲物を獲た者だけが淘汰されずに生き残ってきたのだろう。

本屋さんのビジネス書籍コーナーでは、「コーチング」理論の書籍が溢れかえっています。これは欧米型の「褒める理論」の一つの形態だと思います。簡単に説明すれば、最近私もよく連発するのですが、「Good Job!」「You Can Do It!」です。「Excellent」も加えておきましょう。
これは明らかに、「日本が危機感駆動型社会」から、「希望駆動型社会」へ転換する過程にあるか、日本文明の特徴であるおいしいとこ取りの文明ならではの、日本文明の新たな変異(進化)なのかもしれません。

日本は成熟した伝統文化基盤を持った上で、外来の文化のおいしいとこを選択します。そして取り入れたものは、さらに既存の日本文明で磨き昇華させる特性があります。昨今のグローバル化で文化的地位はだいぶ上昇したと思いますが、政治経済の相対的地位は間違いなく下がった。依然世界第二位の経済大国の日本ですが、日本文明に欠けている点、欠点は「有能な野党」と、「有能なジャーナリズム」だと思います。

日本に「有能な野党」と「有能なジャーナリズム」をもてない原因は日本文明の「和」の精神が基盤にある為だと思います。「和」の精神がある為どうしても批判や相手を攻撃する伝統やスキルが不足しているのかもしれません。しかしネットが持つ力がやがてその欠点を補完していくのではないかと密かに期待しています。

日本文明が、危機駆動型から、希望希求型へ変容するには「国家目標」「日本の未来像」を設定することではないかと思います。今の日本には率直に言って一切無い。目標が無ければ、未来へのモチベーションが保てるわけもなく、新興諸国がフラット化した世界で、より豊かになりたいという強いモチベーションに負けてしまいます。新興国全体のレベルアップ(現在は新興国バブルだろうが)と新興国の一握りのエリートとの個人競争に日本と日本人は惨敗してしまうかもしれない(また、ネガティブな危機扇動だな)。

かつての日本には意識していなかったかもしれないが、坂の上の雲(見果てぬ目標)があった、幕末には「尊皇攘夷」、明治は「文明開化」「来るべき対ロシア戦勝利」「大東亜共栄圏」「八紘一宇」、戦後は「所得倍増」「高度経済成長」織田信長の時代にも「天下布武」、江戸徳川時代では「天下泰平」であったかもしれない。

現代は?「××改革」「「美しい国?」「政権交代?」お話にならない。若い世代の目標となりえない。私が総理であれば、「かけがいの無い地球と日本が守る!」としたらどうであろうか?

みどりの党みたいな偏狭な「環境保護原理主義者」とは一線を引いたうえで、このスローガンを掲げたいと思います。ただその前に、日本が環境問題で攻撃を受けている鯨に関しては、鯨は魚資源の減少原因であるとプロパガンダする戦略を持つべきと思います。「皆!スシ喰ってるカイ?スシ好きか?」と「スシを食べたいならネタを食い荒らす鯨は害獣だぞ!」とプロパガンダしたら良いかも知れないと思っています。

日本の国家戦略としての産業育成を「環境関連産業」として、地方の里山保全(地方振興を含め財源とともにいくつかのアイデアをいずれ紹介したい)目標とする国家目標、加えて、環境破壊国家への1.忠告2.対決3.制裁4.戦争を辞さないとステップを踏んだ外交姿勢が必要だと思います。だいぶいいと思うのだが

日本人に崇高な使命を与えよ!
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危機感駆動型ニッポンの危機!?ネガティブなニュースの濁流に流されるな
日経ビジネスオンライン 2008年3月12日 水曜日 竹中 正治
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20080310/149475/?P=1

'''危機感駆動型ニッポンの危機!?ネガティブなニュースの濁流に流されるな'''
日経ビジネスオンライン 2008年3月12日 水曜日 竹中 正治 

 2003年、米国ワシントンDCに赴任し、DCに隣接するメリーランド州のカーディーラーで自動車を買った時のことである。購入してから2~3日後に自動車メーカーから顧客満足度アンケート(Customer Satisfaction Survey)にご協力くださいと電話がかかってきた。販売店のサービスに対する購入者の満足度を調査するものである。 
 諸項目について「素晴らしい(Excellent)」「とても良い(Very Good)」「良い(Good)」「普通(Fair)」「不満足(Unsatisfactory)」の5段階評価で選べと言う。普通に満足していたので「とても良い」と「良い」を中心に「素晴らしい」も少し交ぜて回答した。 

'''褒める米国、けなす日本'''
 1~2週間してから、販売店の営業担当者から私に電話があり、「買った車に何か問題がありますか?」と聞かれた。「問題ないよ。新しい車を楽しんでいるよ」と答えると、「それじゃ、満足度調査でどうしてあんなに悪い評価をくれたのですか?」と言う。 
 「悪い評価なんて回答してないよ。おおむね“とても良い”と“良い”で答えたよ」と言うと、「あんた! そりゃひどいスコアってことだよ」と愚痴られた。「素晴らしい(Excellent)」以外は「問題あり」のバッドスコアなのだそうだ。 
 だが、日本人はよほど感動でもしない限り「素晴らしい」なんて言わない。 
 これは顧客満足度調査に限った話ではない。学校で先生が生徒を指導する時も米国では「Excellent! Great! Perfect!」の連発である。ゴルフ練習場でもお父さんが小学生の息子にクラブを振らせて、ちょっとでもボールが前に転がれば、「Excellent! Great! Perfect!」を連発している。日本人だったら上手にできても「よくできた(Well done.)」でおしまいだ。 
 米国で数年育った帰国子女が日本の学校でよく感じる不満は、「学校の先生が全然褒めてくれない」ことだという。これは企業でも同じであり、海外の日系企業で日本人上司と部下の米国人の間で相互不理解の原因によくなる。 
 日本人上司は米国人スタッフの勤務態度や実績に特に問題を感じていない場合でも、米国人スタッフは「日本人上司が自分のことを全く評価してくれていない」と感じて不満を鬱積させる。 
「危機感が足りないぞ、おまえ!」と子供に言う異様さ
 要するに米国人は相手のパフォーマンスを評価する立場にある場合、ポジティブな表現に気前が良く、日本人は極めて禁欲的である。その反対にネガティブな表現を米国人はあまり使わない。最悪でも「OK」であり、それ以下の表現は相手と喧嘩する(あるいは部下ならクビにする)つもりでなければ普通は使わない。米国映画を見ていると頻繁に「fuck you」なんて台詞が出てくるので、米国人は気軽に罵り合うようなイメージを抱いているとすれば、それはちょっと違うのだ。 
 一方、日本人の方が職場や教育現場でもネガティブな表現を気軽に使う。学校の先生が勉強の足りない受験生に「危機感が足りないぞ、おまえ!」なんて言うのは常套句だろう。 
 表現に関する文化的な違いと言ってしまえばそれまでであるが、どうも根がもっと深いのではないだろうか。日本人の某教育アドバイザーがある雑誌で、生徒の親と面談した時のことをこう書いていた。 
 「自分の子供の良いところを3点挙げてくださいと言うと、困ってしまって真剣に考え込む母親が多い。反対に良くない点を挙げてくださいと言うと、自信あり気にスラスラと答える。困ったものだ。お母さんにはもっと子供をポジティブに見る眼と言葉を持って欲しい。それが子供の内発的な動機を高め、向上感、有能感、他者受容感、自尊感情を育てることになる」
 
'''「危機」「崩壊」の文字で溢れ返る日本の経済誌'''

 最近の日本の経済誌の表紙を思い出してみていただきたい。「危機」「崩壊」などの見出しがなんと多いことか。 
 そこで実際に数えて比較してみた。日本の週刊経済誌(エコノミスト、東洋経済、ダイヤモンド)と米国のBusiness WeekとTIMEの2007年1年間の表紙の見出しから、明らかにポジティブ、ネガティブと分類できる用語を拾った
日本の雑誌からはネガティブ用語が73、ポジティブ用語が23で、割合は76%対24%となり、圧倒的にネガティブ用語に傾斜している。一方、米週刊誌からはネガティブが32、ポジティブが25で、割合は56%対44%となり、ネガティブ用語がやや優勢だがおおむねバランスしている。 
 日本の雑誌で最も頻繁に登場したネガティブ用語は、「崩壊」が9つ、「バブル」が8つ、「危機」が8つである。一方、米国では「crisis」が3回登場したほかには、頻繁に繰り返されるネガティブ用語は見当たらなかった。もちろん「危機」も「crisis」も2007年に顕在化した米国のサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)危機に絡んで用いられている場合が多い。 
 おっと、うっかり! 肝心の日経ビジネスを数えるのを忘れていた。数えてみて驚いた。日経ビジネス(本誌)だけは、ネガティブ用語36%、ポジティブ用語64%で比率が逆転している。ポジティブトーン、私は好きだ。しかし日本のカルチャーの中では一歩間違えると「能天気」と言われかねない。 
 日本のメディアは「危機」や「崩壊」などのネガティブ用語を多用して世間の雰囲気を悲観的な方向に傾斜させている──などと言うつもりはない。私はメディアの編集者らが日本人読者の強く反応しそうな用語を選んでいる結果に過ぎないと思う。 
 日米を問わず、一般にメディアは良いニュースよりも悪いニュースに紙面を割き、センセーショナルに報道する傾向がある。これはメディアの偏向と言うよりも、ある程度までは、良いニュースよりも悪いニュースにより敏感に反応する傾向が人間(読者、視聴者)にある結果だと思う。 

'''悪いニュースを求めるのは生き延びるための本能?'''

 行動ファイナンスの研究によると、人間にとって「損」と「益」に対する感覚は対称的ではない。損が生じる苦痛は同額の益が生じる喜びを上回ることが実験で確認されている。これから類推すると、悪い情報と良い情報についても、同様に人間の感覚は非対称的のように思える。 
 これは、進化──淘汰と適応──の結果生じた人間の性向だと考えると納得できる。特定の場所に「実をつけた木がある」という情報(良いニュース)と「捕食動物がいる」という情報(悪いニュース)のどちらに強く反応する性向の方が生き延びる確率が高くなるだろうか。「木の実情報」を聞きもらせば、食べ損ねるだろうが、すぐに餓死するわけではない。一方、「捕食動物情報」を聞きもらせば、今にも襲われて死ぬ確率がぐんと高くなる。 
 しかし、米国人より日本人が「危機」に代表されるネガティブ表現を好むのはどうしてだろうか。 

つづく
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シティ傘下の企業の噂話。

40代男性社員:数年前東京の東の郊外にある某有名ニュータウンへご自宅を新築直後、転勤で実家がある某県の県庁所在地勤務となり、実家より通っていたそうです。昨年倒れ緊急手術をして、一命をとりとめたとのことでした。その後職場へ復帰していましたが、3月のはじめに再度手術をしたそうです。ところが、先週異動が発表され東京の西の郊外にある部署勤務となったそうです。来週には赴任するとのことです。会社は手術のことも当然承知しているとのことでした。

会社は、自宅から通う前提での異動とのことで、本当に通えるのかと思い調べたところ、Yahoo!路線では所用時間1時間58分でした。通えなくも無い距離かな・・・。ただでさえ過酷な職種で、超長距離通勤・・・これは、私だったら「死ねってことか?」と泣いてしまいそうな過酷な人事だ、日本の会社では流石にそこまで過酷な人事をしないと思う。

この話を聞いて、「その手術って簡単な日帰り手術なのか?」と聞いたら、入院を伴う手術だそうでした。仮に日帰り手術であったとしても、酷なことである。この異動はよくある合併された企業の社員を待ち受ける粛清人事で、「会社を辞めるか」「リアルに死ぬ気で働くか」の選択を迫る過酷な人事なのか、それとも、シティグループのリストラ策なのか定かではない。シティ傘下社員にとっては生きた心地がしないだろう。私も他人事には思えず、「くわばらくわばら」(あくまでの噂話で、事実確認はしていません)

最近の日本企業による買収防止策は、国の国益に反すると思っていましたが、日本企業ではありえない人事をする外資企業の傘下になることの不幸、考え直す一つの実例だと思う。

そこの前経営陣らは、自ら外資企業と提携を結び、国内提携企業グループと縁を断ち切ってしまいった。本当に罪深い決断であった。⇒法人営業に決定的な悪影響をおよぼしてしまった。⇒また日本的な義務観念と日本人固有の平等主義(ねたみ・嫉妬)を解決しないまま中途半端な半外資企業の成果評価(実際はまったく公平性に欠ける)で企業全体のモチベーションを引き下げるばかりであった。⇒その挙句にライバル企業に差をつけられてしまう。⇒虚偽の決算報告と意味不明の株式合併による株価底上げ。⇒虚偽記載の発覚⇒上場廃止、会社存続の危機⇒つい1年前までは世界一の金融機関であったシティに合併救済⇒サブプライム問題⇒シティグループの危機⇒下記記事

米シティグループに何が起きている?3兆円の支援でも立ち直れず、新たな資金調達の必要性も
2008年3月13日 木曜日 日経ビジネスオンライン記事
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20080311/149710/

米シティグループに何が起きている?3兆円の支援でも立ち直れず、新たな資金調達の必要性も

Ben Steverman(BusinessWeek誌、投資欄記者)

米国時間2008年3月4日更新 「What's the Matter with Citi? 
 ほんの1年前まで、米シティグループ(C)は世界最大手の銀行だった。それが今では、新たな資金調達の必要があるとも噂されている。 
 3月4日、シティ株は一時8%下落し、ここ10年近くの最低水準に達した。米メリルリンチ(MER)などのアナリストが相次いで悲観的なリポートを発表し、シティの危うい財政状態への不安をあおったことも、株価急落につながった。 
 シティは既に中東のソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)から数十億ドルの出資を受けているが、その中東からも警鐘の声が上がった。アラブ首長国連邦(UAE)の政府系投資会社ドバイ・インターナショナル・キャピタルのサミール・アル・アンサリCEO(最高経営責任者)は産油国投資界の内情に通じている人物だ。そのアンサリ氏が、シティ存続にはさらなる資金が必要との発言をした。 
300億ドルの資金調達では足りない?
 シティは信用危機による損害から立ち直るため、300億ドル近く(約3兆円)の出資を受けている。経営陣は3月4日、自己資本水準は十分で、新たな資金調達は必要ないと回答したとされる。 
 だがアンサリ氏によれば、「シティ救済には、これまでの資金調達だけでは足りない」(米ダウ・ジョーンズの報道より)。 
 シティが受けた信用危機の被害はとどまるところを知らない。今四半期だけでも、サブプライムローン(米国の信用力の低い個人向け住宅融資)関連債務から150億ドル、その他融資・投資先の不良債権から30億ドルの損失を追加計上するだろうと、メリルリンチのガイ・モスコウスキー氏は見ている。 
 4月18日に行われる第1四半期決算発表を待たず、大方のアナリストは2008年の利益予想について厳しい見方をしている。 
 モスコウスキー氏による当初の第1四半期業績予想では、1株当たりの利益は55セントだった。しかし現在は1.66ドルの損失に修正し、通年の利益は24セント程度と見ている。 
 同じく3月4日、米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の株式アナリストもシティの通年利益予想を1株当たり2.99ドルから1.05ドルに下げた(S&PはBusinessWeek同様、ザ・マグロウヒル・カンパニーズの事業部門である)。米ゴールドマン・サックス(GS)もこれに追随し、「計算モデルに問題があった」として、第1四半期業績予想を1株当たり15セントの利益から1ドルの損失に下方修正している。 
没落のきっかけは信用収縮と住宅ローン危機
 シティの問題を挙げればきりがないが、そのほとんどは信用収縮と住宅ローン危機に端を発している。モスコウスキー氏はリポートの中で、「住宅価格の暴落と米国住宅・商業ローン市況の低迷、企業の債務超過、主要投資銀行の業績悪化」を理由に挙げている。 
シティは日本の個人向け金融業務でも苦戦している。しかし一番の問題は、米国で債務、特に住宅ローンの支払いが滞っていることだ。これがシティのバランスシートで貸付金が急速に不良化している原因となっている。 
 「シティの土台はあまりにも危うい」と、モスコウスキー氏は3月4日のリポートに書いている。 
 信用危機による巨額の損失が見込まれる以上、SWFなどの投資家に再出資を求める手もある。だがそうすると、現株主が保有する株の価値を大幅に下げかねない。 
 では、コスト削減や資産売却はどうだろう。米CNBCテレビは3月4日、シティが37万4000人の従業員の約8%に当たる3万人余りの人員削減を今後1年半の間に行う可能性があることを未確認情報として報じた。 
「この状態から抜け出すのは困難」
 米オッペンハイマー(OPY)のメレディス・ホイットニー氏(シティに対して非常に厳しい見方をしており、これまで予想を的中させているアナリスト)は、1000億ドル相当の資産売却を余儀なくされる可能性もあると考えている。とはいえ、信用問題の吹き荒れる市場でこのような大規模な売却は難しい。 
 「手放すべき資産ではなく、買い手のつく資産から売らざるを得なくなるだろう」(ホイットニー氏の2月25日のリポートより)。また、配当を再度削減する必要性にも触れている。株価が最近下落した後も配当率は5.4%のままで、これはやや高すぎると指摘する。 
 シティが近い将来に破綻すると考えるアナリストはいないものの、信用市場の回復が遅れ、融資の焦げつきが続けば、シティにとって今後も険しい道が続くとの見方が多い。 
 スイスのクレディ・スイス・グループ(CS)のアナリスト、スーザン・ロス・カツケ氏が最近のリポートで述べた通り、「経営陣がどれほど優れていても、この状態から抜け出すのは困難」だ。 
 しかし、これ以上どう悪化するというのだろう? シティ株価は既に過去最低水準で推移している。3月4日の終値は4.3%の値下がりで22.10ドル。取引中には過去1年の最低値21.23ドルも記録している。1年前に比べ、株価は56%も下落した。 
 米キーフ・ブリュイエット・アンド・ウッズ(KBW)のアナリスト、ダイアン・マーディアン氏は最近、実際に起こる確率を10%としたうえで“最悪のシナリオ”を想定した。サブプライム関連やそのほかの高リスク債権をすべて処理するには税込みで320億ドルの資金が必要で、200億ドルを追加調達しなければならない。そうなれば、シティ株価は15.19ドルまで落ち込む恐れがある。 
 さらに30%以上の株価暴落――。信用市場かシティの経営状況に好転の兆しが見え、そんな悪夢は杞憂に過ぎないと分かるまで、投資家をシティ株に呼び戻すのは難しそうだ。 
© 2008 by The McGraw-Hill Companies, Inc. All rights reserved. 
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やさしい経済学 21世紀と文明 生命的な情報組織-6・7
東京大学教授 西垣一通

6.
進化史をふりかえると、ヒト(ホモサビェンス)という生物種が地上に出現したのは十数万年前のことだった。あらゆる生物はもとをたどれば親類同士であり、チンパンジーの祖先と枝分かれしたのは五百万年ほど前だったようだが、それから進化を重ねヒトが誕生したわけだ。言いかえれば、大脳の容量や身体能力などは十数万年前から基本的に変わっていな
いことになる。

文字ができたのは約五干年説前で、それ以前の様子は、考古学的に推測するほかはない。
さらに、詳しい記述が残っているのは、印刷技術が広まったせいぜいここ数百年くらいのことである。われわれは近代以降の出来事ばかりについ目を奪われがちだが、自分たちがいったい何ものなのか見抜くには、まず想像力をはたらかせ、太古の暮らしを思い描いてみたほうがいいだろう。

今でも狩猟採集民はいるが、農耕牧畜がはじまるまでのヒトは、数十人から百人程度の群れをつくり、移動しながら生活していたのではないかと考えられている。この人口規模は割合に大切だ。よく知られているのは人類学者ロビン・ダンバーの「百五十名が群れの上限値」という仮説である。

霊長類は哺乳(ほにゅう)類のなかでも大脳新皮質がよく発達した動物だが、ダンバーはさまざまな霊長類について調査し、大脳新皮質のサイズと群れのサイズとのあいだに明確な相関関係があることをつきとめた。群れが大きくをなると、個体どうしの相互コミュニケーションが複雑化し、その処理の負荷が一挙に増大するので、大脳も大きくならざるをえない。ヒトの場合、大脳新皮質のサイズから計算すると、群れのサイズは百五十になるというのだ。

言いかえると、われわれヒトとは、せいぜい百名程度の共同体をつくり、そのなかでコミュニケートしあいながら生きる生物なのである。何千万、何億の人々と一緒に共同体をつくるほどの脳は、残念ながら遺伝的に持っていないのである。

ではいったい、人口一億以上の近代的国家共同体というのは何ものなのだろうか。いや、そればかりではない。二十一世紀には、インターネツトをべースにして地球村ができ、そこでは六十数億の全人類が互いに情報を共有し、コミュニケートしあえるという夢がよく語られる。だがヒト本来の脳の容量からすれば、そんな考えは幻想のような気もしてくる。

7
本来はせいぜい百人程度の群れで生きていたヒトという生物を、何千万人、何億人という単位の共同体にまとめあげたのは、言うまでもなくメディアの威力である。

ヒトの言語は約五万年前に現れたという。文字が約五干年前、活版印刷技術が約五百年前、そしてコンピューターが約五十年前に出現した。やや強引だが、インターネットの本格的普及.をおよそ五年前とみなして対数をとり、共同体規模との関係を表すと、面白いグラフが描けそうな気がしてくる。

インターネットやウェブという発明は、たしかに近未来に途方もない飛躍をもたらす可能性が高い。私がコンピューターを学び始めた四十年ほど前、まさか地球上の個人同士が互いにパソコンやケータイで交信できる日が来るなどと予想していた専門家は誰もいなかった。

コンピューターはあまりに高価で、しかもメーカーの異なる二つのコンピューターを結ぶことさえ難事だったのである。しかし、驚異的なIT(情報技術)の進歩発達にくらべて、それを真に使いこなすための原理的な研究はむしろ低迷しているのではないだろうか。人間とITとの関係がうまくとらえられていないのである。

平たく言えば、われわれ人間をまるで情報処理機械のようにあつかう風潮が最近ますます強くなりつつある。毎年のように新たなハードやソフトが売り出されるが、ようやく操作を覚えた頃(ころ)にはすぐに消えていく。機能は満載だが、頻繁に不具合がおきる。昔は簡単にフリーズするコンピューターなど存在しなかった。今は自己責任で修理しなくてはならない。

情報とはわれわれに「意味のある内容」をもたらしてくれるもののはずなのに、それ以前の形式的な処理ばかりに振り回されているのだ。

われわれが生きる上でもっとも大切なのは、心の通じ合う少数の仲間との、暗黙のうちにおこなわれる濃密なコミュニケーションである。それが知恵をはぐくみ、生きる勇-気を与え、創造活動の源泉となる。ヒトとはそもそもそういう生物なのである。

何も「昔の共同体に戻れ」などと世まい言をいうつもりはない。ウェブで見知らぬ多くの人々と会話しビさまざま.な知識をえるのは楽しいことだ。だが、ITを本当に活用する道は、人問や動植物を機械と同一視するのではなく、生態環境を形成している生命的なネットワーク上のコミュニケーションをもっと尊重するだろう。

「なるほど」と今週最も感心した日経新聞記事(やさしい経済学)の一部でした。

ヒトは150人くらいが群れとしての上限とはよく言ったものだ。

私のつたない経験をもとに、この説を照らし合わせると納得性がある。営業職のころ、一部店で担当したお客様は500~600名であったが、頻繁にお取引があったのが確かに150~200名のお客様(実質は100人弱)だ、1000名以上のお客様を担当した時があった。毎日一人コールセンター状態で朝の6時に会社へ出社し、6時15分にはデスクに座っていた。帰るのは10時過ぎが当たり前だった。その時でさえ実数は150名のお客様とコミュニケートするのが精一杯だったような気がする。(とてもブログなど出来ないな)

最も小さかった地方支店で20~30人の人員構成であった。そうすると、時々社員同士の家族も加わってバーベキュー大会や花火大会で最大100名程度集まり、居心地はよかった。人口百万都市の支店で人員が100名を超えると、家族同士の付き合いは稀で、フロアーが違えば話したことも無い。そして本社においては、自分のブース近辺と関係部署、食堂のヒト、警備・掃除のおばさん合わせると100名程度しかコミュニケートしていないことに気づかされた。地方支店が家族的な付き合いができるというのは単に、ヒトの集団150名理論からくる現象とも考えられる。

プライベートで家族の会話に出てくる登場人物は、家族で会話が成立することを前提にすると、プライベートな友人、近所の方、子供の学校関係 稽古関係、親戚など合わせるとやはり100名~200名かもしれない。少なくとも1000人はいない。

ということは、このブログの常連のコメントをいただく方が150名程度あれば比較的居心地がいいのかもしれない?今後の目標として150名の方のコメントをいただけるようなブログにしていけたらと思うのでありました。
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イメージ 1

円急伸、一時99円台・95年11月以来の高値 
 外国為替市場で13日、円が一時、1ドル=100円の大台を突破し、99円80銭台まで上昇した。1995年11月以来、12年4カ月ぶりの円高・ドル安水準。 (17:41)
http://markets.nikkei.co.jp/kawase/summary.aspx?site=MARKET&genre=m2&id=AS2C1302E%2013032008

円ドルは過去、およそ9年間に渡り大きなもみ合い圏(三角保合い?)をつくり、もう少し1ドル101.40円の壁は突破せずに踏ん張ると思ったが、あっさりと徳俵を割ってしまった。一度土俵を割ってしまった円ドルは、次の居場所をさがす展開となるのだが、大きな抵抗線は少ない。
さて、輸出企業は105円で為替予約を入れているらしいので、105円以上の円高は大きな減益要因となる。しかし、原油価格・穀物価格の高騰の折、この円高は悲観すべき円高ではないかもしれない。99年11月と05年1月、政府・産業界・マスコミ世論は1ドル100円の攻防に一喜一憂をしていた。今回は99年や05年ほどのヒステリックな危機感は感じられない。さすがに歓迎とまでいかないが、100円突破を黙認しているかのようだ。大規模な円売り介入は今のところ実行されそうにない。

今回、米国の政策当局は、日本のバブル崩壊の学習効果から、適切な素早い対応を行っていると評価していると思っている。一昨日FRBは各国の中央銀行と協調し、市場に潤沢な約20兆円規模の通貨をすると発表した直後だけに、巨大化した投機マネーの前には中央銀行が協調したとしても非力である印象だ。

もしかすると、バブル崩壊を引き起こした元凶として、世界中からボロクソに貶されている日本の政策当局だが、たとえ過去正しい対応をしたとしても、大きなマネーの流れの前には無力だったかもしれない。(日本のバブル崩壊は人災であり、崩壊の元凶は誰あろう我々国民であることは忘れてはならない。:国賊の三重野日銀総裁を昭和の鬼平ともてはやし、地価のハードランディング・クラッシュを招いた馬鹿達だ!)それと同じく、FRBといえどもリバイアサンかヒビモスのごとき投機マネーの前ではどんなに賢く戦ったとしても、ゴジラを迎え撃つ自衛隊程度かもしれない。

円ドルの100円突破と関係ないようにも思えるが、下記引用のニュースは円ドル相場に限らず、世界に影響する可能性がある、重大ニュースかもしれない。あまり好ましくない兆候だ。

米中央軍司令長官が辞任へ イランめぐり意見対立化か

ゲーツ米国防長官は11日、中東地域を担当する米中央軍のファロン司令官が3月末に
辞任すると発表した。米誌でイランヘの武力行使に慎重な司令官とホワイトハウスが対立
していたと報道されて「誤解」を招いたことが理由とされたが、「政策対立が原因なのは
疑いない」(ニューヨーク・タイムズ紙)と、実際に意見対立があったとの見方が強い。
ファロン氏は声明で、「私の考えと大統領の政策に食い違いがあるとの報道で職務遂行
が難しくなった」と説明。先週発売のエスクワイア誌は、ファロン氏が対イラン開戦に傾
きつつあったホワイトハウスに抵抗してきたことなどを大きく報じていた。
ブッシュ政権はイランに対して外交的解決を優先させるとしつつ、「軍事行動の可能性
も排除しない」との立場をとっている。ファロン氏は「もう一つの戦争という事態は望ん
でいない」と、より慎重な表現を繰り返していた。
ファロン氏は太平洋軍司令官を経て、昨年3月に海軍出身者として初の中央軍の司令官
に就任した。 Quicニュースより

遂に本格的政策の発動か!軍の意見としてホワイトハウスの暴走を抑止してきたファロン司令官だけに、レイムダック化したブッシュ政権は最期ッぺの暴挙に出るリスクが高まったことを示唆するニュースだ。
国家戦略としての地政学的には、対イラン戦争準備の考え方も、景気対策としての戦争行為もホワイトハウスの立場からすると、理解できる。(Ddogは、賛成しているわけではない)

米国区経済をリードしてきた米個人消費に蔭りが見え始めた今、日本の道路建設の公共投資と同等の公共投資が米国では、軍事行動なのかもしれない。自動車産業も斜陽となり、消費もダメ、米国の残された基幹産業は戦争行動なのかもしれない。

確かにこの時期にイランを攻撃すれば混迷する世界が一気に炎上し混乱を極めるだろう。ドル安を食い止める切り札は、「有事のドル」しか残っていない。イラン戦争を開始するのは非常に危険な賭けだが、9・11と同じく(太平洋戦争の真珠湾と同じく)大義名分が必要だ。

その為にはまさかとは思うが、米国の大都市で巨大なテロ(最悪は小型核爆弾の都市部での爆発もしくは未遂)の可能性があるかもしれない。(9・11の真相は永遠に闇のなかだろうが・・実に都合のいいタイミングだった)今年の夏米国へ行く予定をキャンセルしようか真剣に悩む。
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米政府とバーナンキFRB議長など金融当局関係者がは、サブプライムに揺れる米金融市場へ資本増強の必要性を連日訴えている

バーナンキ議長は、最近超弱気だ。日本のバブル崩壊後のデフレに苦しむ日本に、プリンストンの学者の立場で、「バーナンキは以前、デフレが脱却できない日本の経済危機への処方箋として、ヘリコプターから紙幣をばらまくことを提唱(減税と金融緩和のたとえ話)」と発言し手以来ついたあだ名が「ヘリコプターべン」ばらまかれたマネーを「ヘリコプターマネー」と言われているが、操縦席へ座ってみると両手両足を同時にばらばらに動かすヘリコプターの操縦にだいぶ苦労しているようです。

最近弱気になったバーナンキFRB議長は、2008年2月29日「小規模な金融機関の破綻があるかもしれない」という無責任な発言をしてしまい、ニューヨーク市場で一気にドル安と株安が加速した。3月4日には2月中の3回に亘る議会証言で超悲観論に加え、モラルハザードとも捉えられかねない・借り手救済の為の元本カットにも有効な手段であるとの判断を出すに至ってしまった。住宅の値下がりを食い止める為になりふり構わない政策は、悪あがきなのか、すべて後手後手にまわり失敗を重ね「失われた10年」に陥ってしまった日本の教訓を反面教師とした素早い動きなのか、現時点ではまだ何人も判断がつかないはずだ。

しかし、サブプライム問題は日本のバブル崩壊と類似することが多い。 テレビ東京3月11日放送 日経スペシャル「ガイアの夜明け」は興味深かったが、まさにそんな事例が多く紹介されている。
【マネー動乱 第2幕 ~中国バブルの行方とオイルマネー~】
http://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber/preview080311.html
米国では空売り屋が横行しているという。『問題を抱える企業を探し出して、その会社の株を売り浴びせて儲けるスタイルのヘッジファンドである。ウォール街では50社程度あるといわれているが、その実態は秘密のベールに包まれている。彼らは、サブプライムローン問題にいち早く目をつけていた。ニューヨークの大金持ちを回り、「間もなく住宅バブルは崩壊し、米経済は大恐慌以来のパニックに陥る。今すぐ投資しなければ、あなたは人生最大のチャンスを逃すことになりますよ」と言い放ったという。ある空売りファンドは、去年1年で6倍にも膨れ上がり、驚異的な儲けを叩き出した。いわば自分の国を売って儲けを出す“空売り屋”』何やら15年前、日本のバブル崩壊時、外資系証券(黒い目の外資系証券)や、目先が利く大手証券営業マンはそうやって手数料を稼いだ。いやそうするしかなかった。

また、中国人の愚かな投資家達は、バブルに踊った頃の日本人の方がまだとても賢く思えるほど、未熟で愚かであった。サブプライムローン問題で不透明な世界経済を支えるのは中国などの新興国の「好調な経済」だと期待する「デカップリング論」は、まやかしである。基軸通貨のドルの紙切れの印刷工場が止まれば、影響が出ないと主張するほうが正気ではないと思う。

今回、FRBはバブル崩壊後に、日本の金融機関が長引く不良債権処理に苦境に陥ったすえに遂に長いデフレの中に埋没してしまった日本を反面教師としていることだけは確かである。今のところ素早い利下げ措置、資本注入、場合によっては公的資金の注入、景気刺激政策の発動など、早め早めの措置だけはしている。

ガイアの夜明けでの、サウジアラビアのアルワリード・ビン・タラール王子(50歳)の発言には自信に満ちて、シティバンクへ多額の出資をした理由を語った。総資産約240億ドル(2兆5000万円)。世界5本の指に入る大富豪の彼は、シティバンクへ多額の出資をした理由として、シティバンクは今苦境であるが、必ず克服して復活すると力強く語っていた。そんなアラブの王子が新たな投資先として、リップサービスかもしれないが、日本を挙げていた。

そのサウジの原油相場だが、1バレル110ドルに迫ろうとしている。金相場も1トロイオンス1000ドル 円ドルも100円寸前である。

リセッション入りが見えてきた米国経済は、金利が引き下げられ、ドルが弱要因のオンパレードであるが、投機筋は更にドル安に繋がるドルキャリートレードをはじめだしたようだ。ドルを売ってドル以外の通貨(ユーロ)へ投資したり商品市場へ資金シフトしていることが次第にはっきりしてきた。ドル安の進展でドル取引される原油・金に割安感が出てきている為だ。明らかに、原油円・米ドルは限界点に達している。
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第九章[「大中華経済圏」構想は実態なき幻想に終わる]★どこまで続く中国市場経済の繁栄

19世紀末「20世紀は中国人の時代だ」という夢に浮かれていた。現在「21世紀は中国人の世紀だ」と浮かれている。ふくらんでは消える夢である。中国は「眠れる獅子」といわれたが実際に目覚めると「彷徨える豚か、酔いしれる獅子」になっただけだ。

「大中華経済圏」論者の主張:中国人・華人が持つ経済力は、EUをはじめとする世界の経済圏構想と比べても、人的資源・高貯蓄率・高成長率という条件で優れているだけではない。世界最大の巨大市場である上に同文同種であり、更に優れた「天人合一」「倫理道徳」の伝統がある。」したがって、「大中華経済圏」は必ず世界最大の地域経済圏となる。

Ddog:上記の「大中華経済圏」論者の主張は噴飯ものである。倫理道徳の欠如社会、同文ではあっても文盲が多く、同種の社会ではない。高成長率も海外からの投資あっての成長である。高貯蓄率でも全く未知数の不良債権に飲み込まれ換金することは出来ない。優れた人材は中国を脱出する。腐敗賄賂が横行する市場はいくら巨大でも魅力に欠ける。契約概念がなく、市場と見なせるかどうか疑問である。

「大中華経済圏」は共同幻想である理由
中核である中国・香港・マカオ(台湾も含まれる場合がある)の経済制度、経済条件・政治体制・理念・法体系・思想・経済格差・賃金体系・産業交易構造が異なる。相互依存・相互補完の関係どころかお互いに対立矛盾している。
「一国両制」に中国政府は固執し「台湾解放」にしても、絶対に武力放棄はしないと主張している。台湾政府の「相互不可侵条約」の提案も拒否している。
実現すると中台両国にとって有害無益:台湾は安い農産品と盲流の直撃で経済崩壊。中国の民生企業は台湾企業の競争力にハイテク産業などが一気に瓦解する。
華人資本のほとんどは不動産・流通サービス関連産業・労働集約加工産業しか持っていない。日米両国を圏外に排除したら自立どころか、存在すら難しい。(Ddog:朝鮮でも入れてやったとしても日本のデッドコピーが出来なきゃおしまい)
東南アジア諸国からみれば、華人華僑資本化の居住国に対する裏切りとなり、華僑華人と東南アジア諸国民との民族的対立となる。

Ddog:大笑いなことに、大前研一などもひところ主張していた『「大中華経済圏」に日本も乗り遅れないように一枚加わる』ような、学者主導の台湾統一前の「大中華経済圏」構想は中国政府の目指す1つの中国政策とも相反し2つの中国の肯定の陰謀として警戒されてもいる。

中国の巨大市場は「穴場」ではなく「墓場」だ。
中国は伝統的な人間不信社会である。民衆は政府を信用しないだけでなくお互いを信用しない。詐欺や不正が横行し、商取引の法体系がなかなか確立しない。→現金商売が原則
中国は売り上げが好調でも売り上げ代金の回収が困難→売り上げ高が大きいほど回収困難=現金以外の売り上げの80%は回収困難

中国の「三角債」が悪化拡大
三角債とは企業間の「売り掛け債務」「買い掛け債務」、代金の付回しで連鎖的に焦げ付き債権である。中国政府推計約12兆元(約180兆円)である。中国の巨大市場は深刻な危機に立たされている。(3/6のDdogのブログ【中国ロシア崩壊のカウントダウン】参照、三角債は不良債権に含まれてないのではないか?定かではない)

中国共産党は改革解放以来「四つの原則の堅持」{※ 「四つの原則」とは、1979年に鄧小平が打ち出した“四つの現代化”実現のための思想、政治面での「四つの基本原則」。
1.社会主義の道の堅持、2.プロレタリアート独裁の堅持、3.共産党の指導の堅持、4.マルクスレーニン主義、毛沢東思想の堅持。のこと}を建前としたが、本気で堅持したのは共産党一党独裁だけで、社会主義の理念は捨て去っている。そして、「富国強兵」策を国家の最優先課題として「中華振興」を行っている。

東西冷戦後中国だけが軍拡へ狂奔し関係諸国(特に東アジア)に緊張をもたらしている。
軍事力だけでは世界覇権の確立は無理。
米国の覇権が「パックスアメリカーナ」として認められているのは、「自由・民主・人権」の守護神としての魅力があるからである。

中国には中華文明の魅力は無く、「社会主義の優越性」は自画自賛に過ぎず、(Ddog:そんなことしていることすら知りませんでした、世界中で、有害食品や毒入り薬からおもちゃまで輸出し、傍若無人な資源獲得行動に世界中で嫌中ムードが盛り上がっている。多分北京オリンピックで嫌中世界世論は爆発すると予想します。過去の歴史から陰謀論的な国際政治の裏舞台を考慮すると、「単なる勘ですが」とにかく何か絶対事件は起きると確信しています。)中華文明には何一つ魅力を感じない。世界各地で中華文明が広がっているのは「中華料理」だけだ。

Ddog:改革開放政策が中国にもたらした変化は世界を驚嘆させたが、中華文明が優れていたからではない。フラット化した世界で、ボーダレスな社会が実現したとき、まがいなりにも国連の常任理事国でもあり、たまたま、一番賃金が低く、設備投資を受け入れる政治状況であったこと。隣国の日本が円高で世界中へ工場を分散する政策を取ったことなどの理由により偶然に中国へ資本が投下されたにすぎない。

反西洋主義者の未来学者トインビーが「21世紀は中国の世紀」と予言し「西洋の没落」後の中国(中華文明)に期待したような、農工の調和による西洋文明の克服された文明(空想のユートピア)は実現されなかった。 西洋文明はまがいなりにも存続し、現実の中国は山河が崩壊し国土が「黄泉化」「穢土化」した、当に「文明の自殺」した醜悪な姿であった。

3/5より開催されている2008年の全人代で成長は8%に設定されたが、
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2008&d=0305&f=business_0305_011.shtml

Ddog:経済発展に伴う社会格差を是正するため、民政安定化策を打ち出してきた。消費者物価が急騰し、低所得者層が影響を受けていることを率直に認めるものだった。米国のリセッション入は中国経済に影響を及ぼさないわけにはいかず、原油価格や食糧価格の高騰に加え、米ドルにペッグさせている人民元レートがドル安の影響まともに受け輸入価格がさらに割高になっている。(自業自得だ!)温首相が表明した08年通年のCPI上昇率目標は、07年の通年実績と同じ4.8%。しかし、07年11月は6.9%、12月は6.5%、08年1月は7.1%など、CPI上昇率は高い水準で推移しており、08年の通年目標を達成するために、政府は思い切った対策を打ち出すとの見方も出ている、との希望的観測もあるが、今年のCPI上昇率を昨年実績の4・8%前後に抑えることは不可能だろう。インフレ抑制に失敗すれば、ただでさえ暴動が頻発し社会不安が増大しているなか、共産党の政権基盤が危うくなる。そして、遂に20年連続となった軍事費の増大は、すでに日本の防衛費を昨年時点で上回り、2008年度は対前年度比17・7%増の4099億元(約5兆9800億円)となった。米国の推計では、実質国防費はこの2~3倍と推計され、米国に次いで2位である。何やら「国防費」の増大の負担に耐えられず崩壊したソビエトの崩壊と、日本のバブル崩壊が同時に中国で発生しそうな予感がするのはこのDdogだけではあるまえ。チャイナコンセンサス(少なくとも2008年まで中国経済は持つという暗黙の証券界のコンセンサス)は、オリンピック後ではなく、米国大統領選挙でヒラリークリントン(中国のエージェントであると皆さん言ってます)が撤退した時点でタイムリミットだ!

最期にまでこの読書感想文を読んでいただいた皆さん、どうもありがとうございました。黄文雄先生の 日本人が知らない中国「魔性国家」の正体 を是非購入してください。中国の本質を知るうえで大変秀逸な本です。もっと簡単にまとめた文にするつもりが、ついつい熱が入り後半だいぶ紹介しすぎてしまいました。あくまでも書評ですから・・・

【成甲書房】
http://www.seikoshobo.co.jp/

副島隆彦の本は・・・・ノーコメントです。

実はもう一冊今週読んだ川原崎剛雄の<司馬遼太郎と網野義彦「この国のかたちを」を求めて(明石書店)>の書評が書きたかった。川原崎剛雄は左翼主観をもって、司馬遼太郎と網野義彦を侮辱しまくった!司馬遼太郎ファンの皆さん、絶対に買ってはダメです。司馬先生の思想を左翼に都合がいいように曲解し、司馬先生の志を土足で踏みにじる国賊の本です。
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第7章[近代化を妨げる漢字文化の呪縛]★原始的な表意文字はハイテク時代に不適合

Ddog:私は大学時代中国語を選択し、開放政策直後80年代初頭の中国を2ヶ月ほどバックパッカーとして旅行したことがある。香港から広州に入った直後、大学で学んだ普通話(北京語)が全く不通話で、自分の発音の基本が全くダメなのかと自信を消失してしまったが、すぐに北京語は基本的に全く別の言語で北京近辺以外ではほとんど音声言語では通じないこと、世界最大の言語人口=中国語は全く虚偽であることを知りました。その代わり、漢字による筆談は何処へ行ってもあまり不自由なくコミュニケーションできた思い出があります。

漢民族の定義をすれば、「漢字を識っている人の集団、または識ろうとしている人の集団はすべて漢民族である」というかなり曖昧な定義となってしまう。(Ddog:ユダヤ人の定義が、ユダヤ教を信じる人の集団と定義されるのに近い・DNA的には漢民族を定義することは難しいらしい、ユダヤ人はあきらかに別民族の集団総称だ。)
【漢民族】
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BC%A2%E6%B0%91%E6%97%8F

ユーラシア大陸の西側で中国とほぼ同じ広さのヨーロッパに存在する複数の言語以上に中国国内の言語は複雑に分化している。異なる言語の表記を共通の文字漢字で表現する為、中国における非識字率は30%台に上ってしまう。

広大な東亜大陸で、視覚的にコミュニュケーション出来るように工夫したのが漢字であり、中国を統一する原動力とされる。

日本、朝鮮、ベトナムが中国に飲み込まれなかったのは独自の発音文字を開発したことが最大の理由であったかもしれない。

漢字は字数が多く、音読が一定していない。「一字多音」で「一字多意」のために文字教育に多くの時間がかかる。漢族にとって漢字による古典を修得するのが知識人の条件の為、知識人は、漢字を習得しなければ、そこから一歩も踏み出せない。」四書五経は43万1286字。1日100字を暗記できたとしても約12年かかってしまう。科挙に合格するにはさらに数倍の注釈も暗記しなくてはならなかった、科挙実施後の中国に何も文明が発達しなかったのには、知識人が四書五経を覚えることで一生が終わってしまった為である。

中国近代化に貢献した日本製「新漢語」
「八股文」:古来、四書五経に記されていない熟語は漢文とは見なされなかった。漢文を共通コミュニュケーション手段とする共通の辞書(四書五経)にない言葉は、中国語として通用しなかった。

「八股文」に固定化された「瀕死の漢字文化圏」では西欧列強の新思想、科学・文化を取り込むことは困難であった。中国の近代化できなかった最大の理由の一つであった。

幕末から維新期にかけて西周(にし・あまね)福沢諭吉などが多くの「新漢語」を作りあげ、日本の近代化に貢献した。

【西周(にし・あまね)Wiki】
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A5%BF%E5%91%A8_%28%E5%95%93%E8%92%99%E5%AE%B6%29

その「新漢語」を中国・朝鮮は輸入したのである。
【日本産新漢語の一例】
国会・憲法・立法・司法・行政・三権・権利・義務・議決・自治・科学・心理・論理・哲学・経済・景気・銀行・消費・補償・条件・抽象・象徴・概念・主観・客観・宗教・自由経済(学)・物理(学)・幾何(学)・言語(学)・政治(学)・生理(学)・論理(学)・生物(学)・化学・算術・数学・資本・金融・原子・社会・進化・淘汰・科学(者)・革命・改革・開放・闘争・運動・進歩・民主・思想・同志・階級・批評・計画・右派・左派・人民・共和国・社会・主義・歴史・文明・国家などなど。

(Ddog:大笑いだが、国名である「中華人民共和国」で中華を除くとすべて日本産の漢語だ。
中国が発明した新漢語「コカコーラ/可口可楽」「電脳」などはGood Jobでしょう)

【和製漢語】
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%92%8C%E8%A3%BD%E6%BC%A2%E8%AA%9E

【漢字が表す二つの世界】
http://www.peoplechina.com.cn/maindoc/html/200303/fangtan.htm

文化人類学者「梅棹忠夫」氏<漢字文明の特質について>
『文字の体系という点では、ローマ字は完結している。ところが漢字の文字体系には余計なものがいろいろ入っている。例えば、漢字は古典の知識がないと読めなかったり、読めても意味がわからない。漢字一字はすなわち、中国のあの長い歴史そのものである。ローマ字にはそんなことはなくまるで道具である。』
漢字を応用するには古典にかなり教養がなければ正確に文章を書くことも字義を正しく使うこと(理解すること)もできない。→ 漢字=中国の歴史そのもの。(上記)

近代中国思想界の重鎮 胡適氏:「仮に儒教同郷が没落・衰亡しても、中国人にはなお漢字を拝む『名教』が残る。中国人にとって漢字はただの交信手段ではなく、民族精神を規定する宗教である」

ところが、中国語を電脳化する最大の妨げは漢字である。表音文字を普及させた為漢字文明は衰退するベクトルに向かっている。

漢字族が漢字文明の拡散とともに発展し漢字文明の衰退とともに没落するのも、漢字を交信メディアとする漢字族の歴史の宿命ではないだろうか。

第八章[中国に民主主義は絶対に育たない]★政府から民間に至るまで横行する保守主義・秘密主義

中国は社会資源の争奪がきわめて激しい社会で、個人的な利益の流失を守る為には、政府から民間まで「祖伝秘方主義(秘密主義)」が横行している。海外で技術を修得しても周りに教えない。大学教授も知識を学生に教えない。「飯のタネの消失」を何よりもおそれてのこと。当然企業間の情報秘匿は激しい。(Ddog:外国の特許は勝手に無断コピーするくせにと思うが、中国人からすれば、知られるほうが悪いぐらいにしか思っていないのだろう)

この思考は伝統的なものだ。古代中国の剣客格闘家は弟子にも秘伝の奥義を教えなかった。医学もそうだ。東洋医学は祖伝の秘法を直弟子以外には誰にも伝授しないものだ。東洋医学の神秘とは、神秘的な医療効果でなく、誰にも教えない神秘主義によるものだ。

神秘主義は民衆に知識と知恵を教えない愚民化政策による統治手段としても用いられた。

世界の民族で中国人ほど尚古主義(昔は良かった)的思想を持つ人種はいない。
中国人の思想形成は、自分の経験よりも先人の経験の学ぶことから始まる。(Ddog:これはこれでとてもよいことだが、ここに相場の格言がある。「賢者は歴史から学び、愚者は自分の経験から判断する」)

Ddog:文明の停滞とは、すべて先例から答えを求めようとして、先例に無いことは認めないようになっていくことだと思う。原理主義とも言うが、繰り返していくうちに、「述べて作らず」創造性が欠如していく。そして、中国朝鮮なら四書五行・キリスト教なら聖書・イスラムならコーランに書いてあること以外は認めない社会が出来上がる。新しい思想科学は入り込む隙間が無く、原理主義を採用した集団は没落していく歴史的法則が存在している。

中華文明の決定的要素の一つに「師承」がある。「師承」とは、「学生の言説は、教師の言説を超えてはならぬこと」→古典絶対視の精神は古典に対する批判の精神の欠如喪失、合理的思想の窒息→過去の理想化=自然と現在・未来に対する堕落と退廃の観念を生み、悲観的未来否定の中国思想

中国はその歴史において「統一王朝」でいられた安定期は極稀で、戦乱と分裂の歴史であった。(1/3に満たない)⇒「統一中国」=「天下泰平」は中国人の願望であり、戦乱期「天下泰平」を夢に託した一種の宗教意識でもある。

統一中国願望による弊害
〇彖枦に「一宗」を独尊:他のすべての思想言論を弾圧する。→文化の衰退
中央集権的独裁体制:一君万民制は統一国家の歴史的産物=民主化は絶対に無い
C羆獷斑亙?瞭瓜???琉循環:経済的に中央の利益一極集中→地方の貧困化→地方の崩壊→同時に中央の崩壊をもたらす悪循環の歴史
じ沈否定で人権蹂躙:中国思想は仁義道徳を語り尽くしたが、個人の自由・基本的人権の尊重を語っていない。
ゼ然原理に逆行する統一運動:統一願望により社会の多様化を阻止するのに多大なエネルギーを要し社会の変化多様性を阻止するので、天下騒乱が絶えず、社会の発展が停滞した。

恐るべき「統一思想症候群」に陥った中国
EUの統合は統一思想の中国の大きな焦りを与えてしまった。
当時の朱鎔基首相の発言:「皆がしっかりしないと世界統一はEUに先に越されてしまう」よく党幹部に発言していた。⇒「統一=絶対善」は中国全土に定着し統一論の前には思考停止盲信常態となる。「統一」を崇拝する、絶対神的宗教と化している!(Ddog:危険この上ない思想である) 「統一の実現」=「聖戦」

Ddog:中国の台湾独立阻止は「聖戦」である為に、中国が今後経済的混乱に陥った場合、100%間違いなく武力行使をする。「聖戦」の前にはすべてが思考停止する。万が一、米国が中国との紛争を恐れ台湾有事を見殺しにした場合、その余波は「尖閣列島」・「沖縄(琉球)」へ波及し、朝鮮・ベトナム・ロシア沿海州も「聖戦」の対象とならざるを得ない!中国は世界統一制覇をたくらむ悪の結社である。どうも中国=「ショッカー」or「ギャラクター(世界の悪魔♪)」と理解したほうが理解しやすい。

中華民族主義の本質は、チベット人モンゴル人など中華世界の諸民族をはじめ、すべての民族を飲み込み、大融合する意でおるぎーであり、民族の浄化をめざす近代民族主義ではない。(もっと悪質)一種のアンチ・ナショナリズムであり、「華化」(中国化)主義である。

中国の民主活動家もその言動から、(西側民主主義国家のデモクラシストとは異なり)中国人の民主主義は中国人にのみ「自立」「自由」の獲得を目指す民主主義であり、国内諸民族の自決自主を許さない民主主義である。→そんな中華風土で作り上げた民主主義は民族主義を乗り越えない限り、真の民主主義が中国に根付かない。

その4へ続く
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第四章「自然破壊環境汚染で自壊する中国」★中国の高度成長が続けば世界の集団自殺に
木を伐っても植える事を知らない中国人
【空から見る中国/Google】
http://maps.google.co.jp/maphp?ie=UTF8&ll=34.994004,115.070801&spn=24.099336,40.166016&t=h&z=5

中華文明発祥の地黄河流域黄土高原は古代は森林と湖沼が多い自然豊かな土地であったと古代の文献には、記されている。農耕によって地力が奪われ土地がアルカリ性で退化し砂漠化していった。
中国人は木を伐っても植える事を知らなかった。植林はそこから恩恵利益を得るには長い時間がかかり少なくとも自分の代には何の利益も得れない行為である。戦乱が常態の中国ではその日を生きるのに精一杯の人々に植林という発想はなかった。文明の人々が生活するのに必要なエネルギーは主に薪で、森林の伐採から得られる。
中華文明の発生と同時に大量に森林が伐採され華北の黄土高原には荒れた黄土が残るだけとなった。→華中華南へ中華文明が広がり→禿山だらけとなっている。→21世紀半ばには中国から森林が完全消滅するかもしれない。

中国は「汚穢(オワイ)の国」と化し「黄泉国化」の危機に直面
森林の消失→洪水の頻発・水資源の消失→環境汚染に蝕まれる国土←工場排水など経済成長に伴う公害
市場に溢れる毒入り食品・大気汚染・酸性雨・汚染される河川海洋・都市部では幾重にも産業廃棄物をはじめとするゴミの山に囲まれている。⇒世界に伝播する伝染病拡散センターとしての中国

第5章[幕を閉じつつある「改革開放」政策]★このままでは中国経済崩壊の危機もある

デモ暴動参加者が毎年1000万人民衆の不満は日に日に高まっている→社会不安
中国の経済問題社会問題は構造的制度的改革が必要なのだが、政治問題の領域を超えもはや生態系の問題の領域まで達している。

鄧小平の「先富論」「先富起来:一部の人間地域が先に裕福になればその波及効果で中国全体が豊強になり、格差も縮む」はずであったが、人的地域格差は拡大の一方⇒先富論の破綻=社会主義精神シンボルである「平等主義」の放棄⇒「改革開放政策」の修正見直しが必要とされる。

経済特区ブーム→「地方経済の経済発展」=地方主義⇒地方の中央への離反⇒30の一級行政区と2000の県=30の公国と2000の諸侯と同じ状態⇒中国が四分五裂する兆候

1989年天安門事件で対中投資が抑制され経済失速→92年春.鄧小平「南巡講話」→「大胆な外資導入の優遇政策」→経済過熱→歪みを生む:以下列挙
〇宛一極集中:一人の国家指導者が軍・党・政の三権掌握=伝統的な中国の国のかたちとしての「皇帝制度」をとらないと国が崩壊する。
官僚汚職の蔓延:不正額はGDPの20~25%との推計数字もある。 
3搬腓垢覦貶?良鷲戮粒丙后Э邑1%の党幹部高級官僚が国富の5半分以上を持つ
た執鏖修垢觴唆般簑蝓大学専門学校卒業者の半分近くに職がない
ダこ最悪の医療衛生環境:世界の疫病発生拡散センター
成長にともなう環境汚染の拡大:公害病の蔓延
Ю直年の凶悪犯罪の拡大:年間400万件以上、精神異常者も急増
─峪闇戚簑蝓廖頁戚韻良郎ぁη逝爾旅喃僉η醒呂猟秬源裟):ますます深刻化
国防費の20年連続二桁増:中国の軍拡と軍事的海外進出が止められない。
強化される一方の言論統制:国内だけでなく対外的に実施され世界各国のマスメディアや中国専門家を恫喝買収→事実を隠蔽
その他・資源の枯渇・治安の悪化・反政府でも・暴動の頻発・強盗の跋扈・麻薬の流行・チャイナマフィア、歪みによって生まれた問題は枚挙しきれない。

国内の盲流から国際的も盲流となり中国人の群れが毎年百万人単位の規模で地球全体に拡散している!

【p188の参考数字】
中国共産党創建からの運動革命の犠牲者:香港「争鳴」誌(2001年7月号)
文化大革命2500万人反革命分子の一掃2470万人大躍進で2215万人抗日戦争の内部粛清600万人反革命活動鎮圧87万4000人 総数7900万人

第六章[過大評価されている中華思想の正体]★常に自国中心で自己中心的、相対的思考が欠如
中国人の価値観
世界意識:「天下主義」中国は一つ世界も一つ
自我意識:「唯我独尊」われこそ天下一
空間意識:「中心主義」中国は天下の中心にある
伝統意識:「正統主義」中華文明の正統なる後継者という見方
種族意識:「華夷主義」文明の中華と野蛮な夷狄を分ける
政治意識:「尚古主義」昔は今よりすばらしい
優越意識:「文化主義」中華文化は天下無双
国家意識:「大国主義」国家は大きいほど良い
理想国家:「天下統一」天下万民をすべて一つの統一国家にする
理想社会:「大同社会」大同・平等主義的同一性と同質性のユートピア世界
中華思想は以上の価値観により形成されている。
その中心は「華夷思想」:中国は天下の中心であり、その周辺民族優越意識により東夷(とうい)[朝鮮・日本]西戎(せいじゅう)[チベット・ウイグルなど]北狄(ほくてき)[匈奴 鮮卑 契丹 蒙古 など] 南蛮(なんばん)[ベトナム・タイ・ビルマなど] とみなす思想。 
華と夷は本質が異なるのだから、「戎狄というものは、これを欺いても不振とはいわず、殺してもそれを不仁とはいわず、奪っても不義とはいえない」という考え方だ!ゲルマンの優越主義に酷似する。

理想社会を「大同の世界」とする「大同思想」も注目しなくてはならない。
大同思想:「小異を棄てて大同につく」の格言の大同である。「大同」とはすべてが平等・同質とする考え方、原始社会の村落共同体を理想とする。なぜ、中国で、共産主義もどきの「毛沢東主義」のような新思想を受け入れられたかの謎解きがある。「毛沢東主義」=「中華思想」 (Ddog:中華思想が昂じると世界を大同にしようとする覇権主義が地球を征服しようとする思想に通じる。)大同の世界はすべてが同一化された世界であるため競争の原理が働かない静止の世界である。(Ddog;現実は中国は過酷な競争社会で、中国人の成功者は、競争が働かない大同の世界へ到達したと本人が自覚したとたんに進歩を止め享楽に耽る理由が垣間見られる)

【中華思想・Wiki】
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E8%8F%AF%E6%80%9D%E6%83%B3

その3へ続く
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