Ddogのプログレッシブな日々@ライブドアブログ

政治経済軍事外交、書評に自然科学・哲学・聖地巡礼・田園都市ライフ、脳の外部記憶媒体としてこのブログを利用しています。2020/11/30以前はGoogle検索でキーワードを入れると常に上位にありましたが、日本のトランプ大統領デモを紹介した記事が米国でバズって以降検索アルゴリズムから排除され検索ヒットされにくい状態です。是非ブックマークをお願いします。このブログをご訪問していただいた方の知識や感性として共有できれば幸せに思います。

2008年12月

波乱の2008年はまもなく終わろうとしています。大納会東証の日経平均は +112.39の8,859.56円で終了いたしました。2008年1月4日14,691.41(ザラ場15,156.66円1/4が高値)、▼39.7% の下落です。

2008年に発生した金融危機については、証券金融に関して興味がある方であるならば、永く記憶されるとしになると思います。私も2008年2月ブログを開設して、少なからず時代の証人になれたかもしれません。ベアスターンズの破綻から信用不安が発生し、FRBバーナンキ議長が原油が上昇しスタグフレーション突入不可避の難しい局面で、インフレでなく、デフレへ備えた金融政策を断固とった事により世界は一度救われています。自分はこの英断を誰よりも早く賞賛したつもりです。また、原油価格の上昇最終段階で、原油の下落を予想し、ユーロの高値と暴落を予想し、秋に再度証券の下落危機を予想しました。

ブログを読み直していただければ、凡そ私の予想通りの展開であったことはご理解いただけると思います。ただ、原油も70~100ドル日経平均も10500円が下値予想でしたので、ここまでの下落までは予想できませんでした。

私の仕事の関係のめぐり合わせでしょうか、私がネット投稿始めたのは日経平均が奈落の底に落ち込む局面であった2002年~2003年頃でした。ド田舎に赴任しておりましたので、出かけるところもなく、ネット投稿の世界にはまってしまいました。当時、ネット世論は新円切り替えと国家破綻、超円高ドル安による米国経済の没落が多かったと思いますが、私は日本経済の復活と米ドルは暴落しない理由と米国経済好調論を主張していました。実際その後5年間は予想通りの動きであったと思います。(仕事が忙しく投稿は中断していた)

ネットには、様々な主張がはびこっているという幻想がありますが、実態は一定の意見を主張するオピニオンリーダーが存在し、そういった意見に付和雷同する意見が多く、サイトごとに世論が形成るので、ネット上の意見はけして百花繚乱ではないと思っています。私がお世話になっている阿修羅掲示板は2chより、左翼系反米系の主張をされる方が多数いらっしゃいます。私とはどうも意見を異なることが多いのですが、彼ら主張の多くは、米国のネット世論の一角、グルーグマンなどに代表されるリベラルな反米主義者の主張=米国資本主義の終焉論の焼き直しにすぎないと思っています。

米国資本主義と米ドルの崩壊を予想した議論は、10年以上も前から米国のネット上で広がっている。その根拠は次のようなものだ。
(胴颪虜眄赤字--年間赤字と累積赤字
∧胴颪遼念彑峪
J胴餬从僂療蟲\
な胴颪離疋覦
ゥ┘優襯ー危機石油資源の枯渇
κ胴饂駛楴腟船皀妊襪了?撹垈椎柔
Э袈醜饕羚颪覆匹梁翔
┗∨渡瀬轡ニスト、ユダヤ、フリーメーソン、金融支配階級、世界政府etc

崩壊論者はこれらを個別に、あるいは組み合わせてその論拠としていた。10年同じ主張すれば、経済やマーケットは循環する基本性質があるわけで、やっと2008年待望の当たりが来たにすぎない。10年間外し続けてきたので、左翼(リベラル)反米主義者の方々は今年に関しては愉快であったと思う。

例えば、ネバダレポートのような金貨屋さんが、プレミアム金貨以外は危険ですよといった、悲観論プロパガンダのホームページを作成していますが、2008年については永年の悲観論がやっと順番が着て、当たったように思えるだけである。

昨日投稿した2009年の悲観的予想では、そういった万年悲観論と変らないので、多少楽観的材料を列挙していきたいと思います。

”坩卒兇慮綢燹^娶が違う方も多いと思うが、日本人である私にとってはブッシュ大統領については、ドル基軸通貨体制を守った有能な大統領であったと思う。しかしながら、仮に私が米国市民であるならば、ブッシュ大統領は、功より罪が大きく感じ、オバマ新大統領へ希望を託していたかもしれない。ブッシュ時代の終焉と、オバマ効果による人心の一新は、不安感の後退とともに、経済にプラスアルファの気の流れを起こすと思います。多くの米国民が失望感を感じるまでの間は、景気の流れは一時的にチェンジすると思います。
米国経済が持ち直している間は、日本をはじめ新興国経済も持ち直す可能性がある。

⊃啓己資本規制導入の年は下落し、その翌年は、米国株式は高い。
2008年米銀は新しい自己資本比率規制バーゼル尭各?了邯各各?砲△燭辰董⊆腓糞制対象であるリスクマネーを縮小してきた。バーゼル尭各?鉾爾Ε螢好マネーの縮小が一旦峠を越えることが期待できる。これが昨年後半以降のクレジット市場や金融商品市場での買い手不在の背景であった。1992年バーゼル菊各?箸覆辰燭睛眷初からマネーサプライが増加している。

サブプライムローンの大きな峠は越えた。次2007年10月に借り替えた人達の山が到来するのが2009年10月、その間は住宅市況が改善する。

じ玉?然覆硫射邯擎未出始める、個人消費の改善が期待できる。

ニ綿独焼蛎寮渋ち?孱贈促譽轡が底入れしてきている。

μ閏臈淦権の1年目だけを見ると1977 年のカーター大統領就任時を除いての株価は全てプラスとなっている。

日本株式についてのプラス材料

∥莪貅(篝詰住擦嚢屬犬蕕譴振杁淙歉收度は効果的に機能し、銀行がリスクなく貸し出せた資金によってクレジットスプレッドは改善方向に動き出した。日本のクレジットスプレッドは米国のように差が開いてはいない。
第二次補正予算に期待が持てる。
テクニカルな底入れ終了 日経平均の調整は経験則から6割が目処
バブル崩壊1989年12月38951→92年8月14309 ▼63.3%
ITバブル崩壊2000年4月20833→03年4月7607 ▼63.5%
金融危機2007年7月18261→08年10月7162▼60.8%

10人中9人が同じ意見である場合は、相場に関しては少数派の意見が勝つ場合が多い。
これも経験則に過ぎないが、相場の格言「相場師と幽霊は淋しい方に出る」

昨日2008年の悲観的な面ばかり強調したが、年の前半に関しては、日経平均1万円超(52週平均近辺)、米国NYダウ1万ドル超 円/米ドルに関しては100円台まで戻す可能性は十分にあるのではないだろうか?特に10人中9人が同じ意見である場合は、少数派の勝ちになること

年の後半は良くも悪くもオバマの米国経済次第である。1月20日以降のオバマ政権を注視していきたいと思います。

世界経済が2009年前半一旦落ち着けば、豪ドルやNZドルなどの高金利通貨も買いなおしが起きるかもしれません。来年前半は年明け早々からの打診買いとその後戻り売りに徹する相場かもしれません。

相場については、順次また思いつくまま勝手に投稿します。これはDdogの個人的意見以外の何物でもありません。
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2009年は、如何なる年となるであろうか?ブログも更新せずここ数週間**以後とか、世界が変る、といったタイトルのリーマン破綻後に数多出版された書籍、経済誌の特集記事、経済研究所のレポートを読み漁った。正直に言うと、危機や米一極体制の崩壊であることは誰にでも理解できるのだが、2009年の経済と、新金融秩序がどうなるか、識者の意見もばらばらで、私も確信をもってこうなると予言できない。

10人のエコノミストやストラジストのうち9人が暗いストリーを語った場合、残りの1人の意見が正しいことが多々ある。通常私は少数意見を尊重するのだが、流石に今回ばかりは楽観論を語るのが難しい。それでも、テクニカル的には反発するかもしれないと期待し、多少気持ちが強気に思うこともあるが、トヨタですら相次ぐ決算下方修正、干支の丑年の年を調べたら、弱気になってしまった。丑年が過去あまり好ましくない干支であることも分ってはいるが、ちょうど60年前1949年がドッチデフレの年であったのには、参った。

今年の漢字は「変」であったが、流行語大賞にはノミネートされなかったが、金融関係者の間では間違いなく、グリーンスパン前FRB議長の自伝の「波乱の時代」で使った『100 年に一度の危機』ではないだろうか?

2008年米株式市場は、07年10/7高値14198.10ドルから11/8 安値7449.38ドルで47.53%の調整をした。過去、第一次オイルショック時1973年1月1051ドルから74年12月577ドル45.10%の調整とほぼ同水準である為、株価のテクニカル的には、ほぼ調整済みであるといえる。しかしながら、私はリベラルな米マスコミが抱く過度のオバマ大統領への期待および幻想を抱いていない。

クルーグマンに代表されるような、ケインジアン的大きな政府、新ニューディール政策は失敗すると思っている。過去ルーズベルトのニューディール政策はけして成功はしていなかったことは、経済史の知識がある者なら誰だって知っている事実である。第二次世界大戦による競争国経済の破壊と、戦争特需、復興需要によって大恐慌を克服し、米国内の格差の圧縮が可能になっただけである。

オバマ就任の1月20日プラス、新政権とマスコミとのハネムーン期間100日程度(4月末)までは、過度のオバマ新大統領への期待感により、米国市場は持ちこたえる可能性が高い。しかしながら、例えば、イスラエルのガザ地区への爆撃に対し沈黙したオバマ新大統領と、ヒラリー新国務長官のコンビで、あの中東政策を本当に対応できるのか、私は疑問を持っている。

実は、現在、米国の事業債と国債の利回り格差で計るクレジットスプレッドが、大恐慌以無かった水準に達している。もし、オバマに政策手腕が無く、バーナンキ議長がFRBで頑張っている間は、恐慌突入は無いと思っているが、万が一、サマーズやグルーグマンがFRB議長にでもなろうものなら、恐慌へ突入すると考えています。クレジットスプレッドから見た場合まさに100 年に一度の危機である可能性は高い。

クレジットスプレッドとは、投資家が米国債ではなく社債を取得したときに受け取る追加な利回りである。スプレッドは社債のイールドカーブとして描かれている。金利の期間構造は金利の動く方向と一般的な経済の状態を測定するものだった。固定利付の社債は連邦政府債よりもデフォルトのリスクが高い。結果として、社債の価格は通常より安く、よって利回りはより高いが、12/8時点で5.03%。1932年7.24% オイルショック後1975年に3.31%、ベアスターンが破綻した今年3月に3.79%があったが、通常は1.3%~2%台で推移している。

もし、グリーンスパンの言うよう100年に一度の調整であるならば、NYダウは、大恐慌時1929年9月381ドルから32年7月41ドルまで89%調整した。ということは、高値14189ドルの89%調整の1562ドルまで調整してもおかしくはないことになる。
ちなみに、1987年のブラックマンデーはNYダウで、2722ドルから1738ドルの36%の調整に過ぎなかったが、ブラックマンデー直後のNYダウの水準まで調整することを意味し、またその可能性が十分にあると考えた方がいいかもしれない。

私は、バーナンキFRB議長を信頼しているので、在任期間中は恐慌へ突入しないと思っているが、恐慌となる条件は何であろうか。

大恐慌の時代、大恐慌を引き起こしたのは資本主義が原因ではなく、政策の失敗が恐慌へ突入させたのである。金本位制にしがみつき、デフレであるにもかかわらず、通貨が供給できなかった点が最も大きな要因であったと思う。日本も。高橋是清の英断によって早期に金本位制を離脱したことにより、恐慌からいち早く脱出した。一方米国のように金本位制を遅くまで堅持した米国は、ニューディール政策などまったく効果をあげず、大恐慌後の主要国工業生産指数1929年を100とした場合、第二次世界大戦突入の1939年時点で約70強にすぎなかった。

ちなみに、ヒットラーの経済大臣シャハト博士の手腕により1931年7月平価切下げを実行したドイツが130、1931年9月金本位制廃止したスウェーデン145、1931年9月金本位制廃止した英国が110、1931年12月金輸出再禁止した日本は175である。金本位制を継続した国の回復は遅く、米国は1933年3月に金兌換停止して70強、1934年5月平価切下げたイタリア1936年10月に資本移動規制をしたフランスなど主要国工業生産指数が1929年を100とした場合1939年すべて100以下であった。

株式市場も同様で、1931 年に金本位制を放棄した日本は早くに底入れ回復するが、1933 年まで金本位制を守った米国株の底は遅く戻りも鈍かった。こうして見ると、大恐慌の元凶は金本位制にあったと考えられる。経済実態本位に流動性供給を決めるのでなく、保有する金に応じた額しか流動性を供給できなかった金融制度が問題だったと見られる。

最近金本位制復活などと、太田晴雄(浅井隆系)副島隆彦など経済のイロハも知らない三文文士達が、大衆を惑わす風説を流している。また、松藤民輔氏のような専門化ですら金の復活を主張している。中間の浜田和幸氏も新通貨と金の兌換の一部復活を唱えている。デフレもしくはスタグフレーション時に金本位制のような、通貨供給を絞るような金融政策をとれば、大恐慌以外ありえない。金本位制を復活するなどという寝ぼけた話は笑止千万である。ブッシュ大統領、バーナンキ議長、ポールソン長官が2008年におこなった金融政策は通貨を市場に供給した、そのおかげで世界は恐慌突入を回避しかつドル基軸通貨も防衛した結果となっている。

大恐慌時の相場展開を確認したい。①1929年2月クレジットスプレッドが2.04%から拡大方向へ転換し、②1929年9月株が天井を形成。③更に12 ヵ月後には事業債が天井を形成した。ここまでは不況期の株安事業債安と理解できる。株価の下落率が▲50%台を越え、④恐慌へ突入、米国債からも資金が流出した。(利上げや金融機関の世界的な破綻などが背景で、今日ではハイパワードマネーの供給が処方箋となっているが、自己資本『本位制』下では銀行の資金供給増加にはつながらない)。⑤回復過程は、国債→事業債→株式と理解しやすい。そして⑥1933年3月、再選を目指す共和党のフーバーを破って民主党のルーズベルトが大統領に就任。ルーズベルトが「就任100日」という短期間に、金融政策のレジーム転換を皮切りに主要な大恐慌克服対策を成立させ、不人気のフーバーに代わって、政府への信頼を取り戻し、国民の「悲観心理」を一気に吹き飛ばしてみせた。

現在は1930 年前後とほぼ同じ期間で、③~④の間に相当するかもしれない。今後の問題は米債売りとなるか否かだ。④の米債売りに移行するのは2009 年央以降となる可能性がある。FFレートのボトム圏でのパターンからは来年央に米債が売られ始めるのは早いほうで、上手くすると2010 年まで米債が売られる可能性は少ないが、バーナンキの任期満了と米国中間選挙の年(2010 年)には米株や景況感は悪化しやすいのでそれまでがタイムリミットと考えている。

1930年代の金本位制に相当する、デフレ期に金融引き締め要因となる恐慌の原因となりうるものを捜してみると、国際会計基準(時価会計)、BIS国際決済銀行基準の規制、そして日本の財政再建論、ユーロ通貨の財政赤字GDP3%以内ルール(2年間は猶予されることになった)、中国経済の大幅な減速にもかかわらず、政情不安を抱えているためにインフレ抑制に気を使い金融緩和に踏み切れない中国経済などなど、火種は沢山転がっている。

なかでも、国際決済銀行BIS基準が、日本及び先進国経済を恐慌へ突き落とす、現在の金本位制、いわば「自己資本本位制」が世界デフレの深刻な原因となるかもしれない。対応を間違うと、恐慌突入かもしれない。

本来、金融調節は経済実態本位で決められるべきであり、人間が作り出した金本位制やドル本位制が経済実態に対応できないことが流動性の制約条件となり、恐慌に導くかもしれない。現在は中央銀行より極めて低い金利水準で市中銀行に流動性を供給しており、この点では過去の恐慌とは明らかに異なるのだが、世界中で決済用のドルが不足し、米国内でも、事業債は極めて高い利回りとなっている。

日本でも、メガバンク等がBIS規制よって、日銀が通貨を供給しても、株価等の値下がりによって、流動性供給の障害となり、資金が循環しにくくなった。その制約要因は中央銀行ではなく市中銀行の自己資本の不足により、マネーを供給しても、資本が循環しない。

日本においては銀行の負担がない緊急信用保証制度や特別信用保証制度などでは、資金ニーズが顕在化している。ちなみに、金融庁は信用保証制度利用に係る自己資本比率規制(バーゼルⅡ)の緩和を発表している。

逆の見方をすれば、自己資本規制が流動性供給の障害となっているための処置と判断できる。

日本経済は1989 年以降の失われた20 年は銀行の自己資本『本位制』の罠に陥ったことが原因と考えている。たしかに、銀行の自己資本が十分厚ければ問題は無い。しかし、ひとたび自己資本比率が低下したら、銀行は十分なマネー供給が出来ずに貸出先やマクロ経済にデフレ圧力を及ぼし、貸出先やマクロの脆弱性が再び銀行資本を毀損するからだ。

米国株は2009 年1月20日+100日間一旦反騰するとかもしれないが、オバマ政権では景気が回復しないと見ており米銀の自己資本の毀損は続こう。よって、自己資本の充当だけではいたちごっこに終始してしまう。銀行の自己資本比率の規制が抜本的に見直されなければ、景気の悪化局面で金融恐慌的な状況に再び陥る懸念は払拭できない。景気悪化と同時に恐慌が頻発した19 世紀の米国や、1989 年以降の日本の様に世界中の経済が陥る可能性は否定できない。
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天木直人氏(小泉を批判し、イラク戦争に反対し事実上の解雇処分を受けた元レバノン大使)のへメッセージを送りました。

「タスキージーの梅毒研究ーオバマが背負う人種差別国米国の原罪」
http://www.amakiblog.com/archives/2008/12/19/#001301
を読みました。オバマ氏を応援しているようですが、私はオバマ新大統領に小泉のようなポピュリストの匂いを感じます。

彼の出生は誠に気の毒な「愛されない」子供であったのではないかと思っております。これは政治家として将来どのように作用するか少々懸念を抱いています。

母親が白人、ハワイではおじいちゃんおばあちゃんが白人なのに自分の肌は黒い。どんなにおじいちゃんおばあちゃんに愛されたとしても、両親の愛を受けていない子供にとっては、心に深い傷を負っているのではないかと思っています。

新しい父親はイスラム教徒、小学校は外国人として、異教徒としてインドネシアでの少年時代の孤独感は、想像を絶するだろう。新しい家族になじめず再び一人ハワイへ・・・実の父親は母親とオバマ青年を捨て、別の白人女と暮らしたすえ、アフリカへ逃げ帰っている。週刊新潮によれば彼の父親は3重婚で、酔っ払い、詐欺師で結局泥酔して交通事故死だという。

彼の生い立ちは、父親からも母親からも愛されず、心底から気の毒で孤独な少年であったろう。その彼が新大統領だというのだ。将来偉人伝として伝記が書かれるとは思うが、物凄く高潔で立派な人物であるかもしれないが、そういった人間は往々にして「深い心の闇(トラウマ)」があるはずだ。神ではない生身の人間にトラウマが無いはずがない。その証拠に選挙戦で白人の母親を前面に出せば、人種の壁はますます低くなり有利に働いたかもしれないのに、母親を表に出すことをしなかった。彼がトラウマを持っている証拠ではなかろうか?

偏見だと思われるのは結構、私には彼の「黒人も白人も無い」と訴えるのは、彼の深い「心の闇」が作用しているのだと感じてなりません。これが良い働きをしているうちは問題ないのですが、やがてどこかでトンでもない反作用が起きるのではないかと危惧しています。私のいらぬ思い過ごしであってほしい。
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日銀、0.2%利下げ 白川総裁「最大限の貢献行う」 
 日銀は19日の金融政策決定会合で、政策金利を年0.3%から0.1%に引き下げることを決め、即日実施した。長期国債の買い入れ増額やコマーシャルペーパー(CP)の買い切りなど、資金供給策も拡充する。海外経済の後退や円高の進行で景気がさらに落ち込むリスクが高まり、金融政策面で一段の下支えが必要と判断した。日銀の白川方明総裁は記者会見で「中央銀行としてなし得る最大限の貢献を行う」と企業の資金繰り支援策をさらに検討することも強調、景気の底割れ回避に全力で取り組む決意を表明した。 
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20081219AT2C1902L19122008.html

米FOMCが実質ゼロ金利政策に踏み込むサプライズとなったことで、日米の金利が逆転してしまうことになり、日銀もやむをえず金融政策への変更が求められることになった。

日銀が10 月8日の世界各国の協調利下げに参加せず、同月14 日の臨時の金融政策決定会合でも金利据え置きとしたことで為替の急速な円高進行の引き金を引いたので、今回は妥当なとこだろう。日米両国とも今回の利下げにより実質金利面で利下げの打ち止の可能性がある。

ECBは1月の政策会合では追加利下げは行わないとの考えをほのめかした。今のところ、さらなる利下は当面はないとの見方が強い。だが、マクロ経済動向が厳しいため、結局ECBも追加利下げに踏み切らざるを得なくなるだろう。そしてECBが量的緩和に踏み切るかどうかは不明だが、最終的には日米欧ともに先進7カ国の金利がゼロ金利になる可能性はゼロではない。

現状、円高・ドル安の一方向に集中し、円買い持ちポジションはパンパンになっているだけに、毎年年末年始に相場の波乱を手がける投機筋にとっては、日本の投資家不在の中で仕掛け易くなって大きな利益をあげるチャンスであることは間違いない。現状、政策金利の下げは、米国一国のみ利下げの如きトークが流されている。だが、景気が悪いのはむしろ米国以外の国で、これらの国は今後一段と利下げ余地がある。米国は今回下げればそれ以上の利下げは不可能で、あとはドルをいかに高くするかという政策を施行するのみである。

ということは、現状米ドルがユーロに対して売り込まれたが、米ドルは対ユーロで、売り込まれるのがここで限界の可能性も高い、シカゴ筋のポジションはさすがにユーロショートは減ったものの依然ユーロ売りのポジションである。
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ポンドショートも依然高水準だ
http://www.forexwatcher.com/cmepos.htm

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ユーロ/ドルの日足は200日異動線で止められている
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週足の一目均衡表はちょうど雲の下限でストップした。
http://www.forexwatcher.com/charts.htm
http://www.forexwatcher.com/index.shtml

米国の金融政策は9月のリーマン・ブラザーズ破綻以来、大量の資金を市場に供給し続けており、すでに実質的な量的緩和に入っている。

12日米ゼネラル・モーターズ(GM)などの救済法案の協議決裂を受けて、事体経済の悪化は避けられない、米議会での反対は強いものの、つぶせば300万人もの失業者が生まれるという状況は現状の米国経済からすれば、とても許容できる状態ではない。当面GMをつぶすことはできない。となるとまず年越え資金をGMに供給して、1月20日オバマ新大統領に託すことになるだろうが、オバマも就任早々GMの破綻の介錯をすることはしたくないだろうから、金融安定化法の公的資金枠7000億ドルをやりくりして、延命治療の処置はするだろう。しかし、遠からずその日は前触れも無く突然来るであろう。

その日とは、将来「セカンドインパクト(第二次ドルショック)」若しくは、オバマショックとでも呼ばれるかもしれない。GMの破綻とセットで徳政令、新ドル切り替えかもしれない。もしかしたら、大きな動乱が引き起こされることによって、政治経済にとどまらず国際的新秩序が構築されるかもしれない。

ただ、当面FRBは金融危機対応の為替政策として、1970年代に発行した、資金を独自に調達する他通貨建て米国債の発行をするかもしれない。もしこれが実現すれば、一旦ドル売りは急ブレーキがかかる可能性が高い。シカゴ筋のポジションを見ればわかるように再度ドル高に備える方がより現実的かもしれない。

2008年末のこの急激な日本の経済の失速感、企業の景況感の悪さは何なのだろう。バブル崩壊直後の1990年にも感じなかった気持ち悪さがある。日銀も断崖を滑り落ちるような急激な景気悪化だと危機感を強めている。一時は「対岸の火事」的な見方が主流であったが、世界的不況に日本も無傷ではいられない。

日本の企業は中国経済・米経済の不振から輸出が減少し、円高も加わって3月決算も急速に悪化する見通しとなってきた。日本の金融機関の3月期末決算も米国発の金融商品を所有しているところがあり、これらの銀行の中から先般国会を通った金融支援法の適用を受けるところが出てきそうだ。このことが3月決算近くになればはっきりする。とても円をこれ以上買うのは無理だということになるかもしれない。

市場の為替の見方もすべての人達がドル売りを指摘している。相場とはおかしなもので円買い一色になってしまえば相場は逆回転を始めるものである。ドルが売られると言ってもさらに80円割れまで売られるものではなくアナリスト達のドル安も対円で85円程度とみる人達が多い。現状ではドル買いに動いた方が利幅は大きいそうだ。

米国の市場ではもはや米景気が後退の中にあって景気は下落過程にあるという超悲観論で
売られ、すでに株価は景気悪化を織り込み済みである。何か良い動きがでれば反騰の力を相場は貯えているようだ。従って、景気回復を示す経済指標・統計がでれば上昇するというカが生まれ始めている。米国では「不景気の株高」現象がすでに起こっているといわれだした。米国賢人ウォーレン・バフェット氏もポールソンと裏で繋がっているとの噂もあるが、既にバフェット氏の相場観が正しい可能性が出てきた。まさに「人の行く裏に道あり花の山」かもしれない。

ただ、米国では来年共和党から民主党に政権が移行することに留意しなければならない。過去の共和党から民主党に政権が変わった1年目のマーケットを見ると、金融は緩和傾向の中で為替はドル安推移となったことが多く、過去2回(1977 年カーター政権、1993年クリントン政権)では翌年の中間選挙の頃まで円高/ドル安傾向が続いていた。

1933 年のルーズベルト政権のドル切り下げをはじめとして過去の米民主党政権1年目には保護主義的な色彩が見られることから、ドルの動きには注意が必要だ。ルーズベルト政権は結局第二次世界大戦に参戦したことも一つの要素だ。

嫌なことに、来年の干支は「己丑」。十二支で最悪の干支である丑年である。相場格言では『辰巳(たつみ)天井、午(うま)しり下がり、未(ひつじ)辛抱、申酉(さるとり)騒ぐ、戌(いぬ)笑い、亥(い)固まる、子(ねずみ)は繁栄、丑(うし)つまずき、寅(とら)千里を走り、卯(うさぎ)は跳ねる』だが、2007年は繁盛しなかった。だが、危機が子(ねずみ)のように増殖した年でもあった。

ちなみに、過去の丑年相場は1949 年がドッヂデフレ、1973 年が第一次オイルショックの天井、1985 年はプラザ合意や男女雇用機会均等法、円高/ドル安で80 年代後半では最もパフォーマンスが悪く、1997 年は山一證、三洋証、北拓銀破綻の年だったアジア危機や消費税引き上げ。丑年はそろいもそろって最悪である。日経平均の平均騰落率は▲11.4%と十二支の中で最も悪い。

一方、十干でいくと、己(つちのと、西暦末尾が9の年)は強い年が多い。1999 年はITバブル、1989 年は日本のバブル、1979 年は東京サミット開催の年、1969 年はいざなぎ景気の中で外国人買いが積極化、1959 年は岩戸景気の中で投資信託がブームとなっている。
己の年は変革の年でもある。1889 年大日本帝国憲法が発布1919年ベルサイユ条約1929 年世界恐慌、1939 年第二次世界大戦開戦、1949 年東証再開、中華人民共和国成立、1959 年キューバ革命、1969 年人類初月面着陸、1979 年サッチャー政権誕生、1989 年天安門事件、ベルリンの壁崩壊、1999 年ユーロ導入。

前回「己丑」だったのは、1949年朝鮮特需前の日本経済が最も不景気だったドッヂデフレの年で大変弱い干支であった。東証が再開した干支で、ちょうど干支が60年で一周した還暦にあたり、来年は今年以上に波乱と変革の年になるかもしれない年回り(干支)に当たる。

金融危機以後の新経済秩序が如何なるものになるのか、著名な方々の本を読んだが、松藤民輔氏は金本位制の復活、浜田和幸氏は新通貨アメロの導入、新ドル切り替えを『「大恐慌以後の世界」副題:多極化かアメリカの復活』で述べている(明日以降書評予定)、中西輝政氏は新刊『「覇権の終焉」副題:アメリカ衰退後世界情勢を読み解く』(明日以降書評予定)において、アジアや欧州のプレゼンスは削減するが依然アメリカの影響力は維持する多極化した世界を予想、皆 次の世界秩序やセカンドインパクトが何かを考察している。

アカシックレコード 「イラク戦争は成功」の記事も私の「金融危機自作自演説」に近い。
オバマ政権は、少なくとも1~2年目までは財政規律を度外視して赤字国債を大増発し、日本や英国などの同盟国、中国などの新興国や、OPEC諸国に大量に売り付けるだろう。2008年9月の米証券会社大手リーマン・ブラザーズの破綻に象徴される「100年に一度」の金融危機から米国経済を救うには、さしあたり、米国内の有効需要(この場合は、個人消費支出および政府財政支出)を増やす以外に手がないからだ。
そして、2~3年後、あるいは4~5年後、彼の政権は突如、「人権問題」または「中朝戦争」、あるいはその両方を口実に、「二重通貨制」を悪用して、国債発行残高の数%ないし数十%を踏み倒し、あるいは、古いドル札を偽札扱いにして、ドルの流通量を一気に収縮させるデフレ政策(ドル高政策)を採って、米国の経済財政を再建するだろう(「中朝戦争」)
http://www.akashic-record.com/y2008/usdhr.html#02

ドル高政策は???だが、第二の「朝鮮特需」が近付いているかもしれない、これが世界経済、特に日本経済にとっても望ましいことかもしれない。中国の工場生産基地を遮断し米国内での殖産興業こそ、米国経済の起爆剤となる新ニューディール政策になるのではないだろうか?そのために日本企業が米国で果たす役割は大きいのではないか?とも思います。

世界中はガラス細工のように相互依存で成り立っているので、第二次世界大戦型の戦争は起き難いが、世界から最も孤立した朝鮮であれば世界経済の秩序は乱れにくいロストワールドである点も重要だ。

世界中で始まったチャイナフリー運動も中朝戦争(第二の「朝鮮特需」)の下準備かもしれない。
2010年金正日の死亡または暗殺による動乱の準備が2009年の世界かもしれない?
※これは「と」論です。
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左翼経済学者クルーグマン教授のノーベル経済学賞について批判を行いました。
【ポール・クルーグマンのノーベル経済賞受賞には異議あり!】
http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/18779403.html
【この金融危機にポール・クルーグマン教授にノーベル経済賞を授与する危険性 】
私は個人的信条で、クルーグマン教授や進歩的文化人と名乗る左翼の人達の言説は信用していません。米国人は「左翼」と呼ばれることを嫌い、「リベラル」と呼ばれたがりますがクルーグマン教授は筋金入りの「左翼」の論客だといえます。

本書は、経済学の本と思い読み出しましたが、異なります。クルーグマン教授のレーガン政権以降の共和党を批判する政治本でした。2008年米大統領選挙で民主党をサポートするプロパガンダ書籍にすぎませんでした。ちなみに、教授はレーガン政権時代1982年から83年までレーガン政権で経済諮問委員を務めて、教授が世に出る礎となったにもかかわらず、罵詈雑言をレーガン政権を浴びせている。教授が経済諮問委員を務めていた頃、教授はいわゆるレーガノミックスにそって自由貿易を推進していたのだが、レーガン政権の経済運営は失点続きでした。結局教授が辞職後85年のプラザ合意により、レーガン政権の経済立て直しは成功したのである。

教授は、クリントン政権で、大統領経済諮問委員会の委員長候補とされそれを望んだが、猟官に失敗した。今回のノーベル賞の対象となった、「戦略的貿易政策」は、そのとき猟官運動のために書いたものらしい。勃興する日本のIT産業を叩き潰す為に、国際経済学の常識である自由貿易を否定する理論を展開したが、猟官に失敗したと知るや1994年に「競争力という危険な幻想」という論文を発表して、今度は自由貿易主義者に変身したりしている。

私が思うに、クリントン民主党政権に比べオバマ政権は、政権の主要ポストをクリントン政権OBで固めてはいるが、オバマ本人と支持層の期待を合せるとクリントン政権に比べ大きく左旋回していることは、どなたも異論は無いと思う。

ところが、教授は本書P7~8にかけ、民主党が左に旋回したのではなく共和党が右に旋回しただけだと、中間層の抱きこみを意図した、事実と反することを書いている。確かにネオコン~ブッシュ政権は右旋回をしたのは事実だが、本書が発売(6/20)されたのは共和党が党内ではリベラル寄りの異端派マケインを大統領候補として選出した後であり、その事実を棚上げにしている。本書冒頭よりまったく公正な視点が欠けていることを宣言しているみたいであった。

教授は、米国における所得格差の発生は従来説のグローバリゼーションや技術革新といった時代の趨勢が所得格差を生んだという説を否定し、共和党とその支持者による邪悪な陰謀によって引き起こされたという、被害者意識を米国の有権者に執拗にプロパガンダしている。教授の呆れた主張は大きく分けて次の4つだ。

①戦後の比較的平等な中産階級は、民主党ルーズベルト政権の政策によって僅か数年でに作られた。この時代を「大圧縮の時代」(グレートコンプレッション)と呼ぶ。
政治的規制の方が市場による所得配分より平等になるとの主張だ。
(Ddog:所得を平準化するのは政治の力による方が市場に任せるより標準化するという主張に関しては異論が無い)

②政治と経済の変化したタイミングは、政治が経済より先行している。
教授は右派が共和党を乗っ取り、その後経済的な格差が拡大したと主張する。竹橋のM新聞や赤坂T放送のニュース同様の本当に真実なのか疑問だ。

③技術革新により教育レベルの高い労働者の需要が増え、レベルが低い労働者の需要が減ったことが、格差社会を生んだという説を教授は否定しています。教育レベルが高いアメリカジンのも所得が増えた人はほとんどなく、勝ち組となったのは非常に限られた小数のエリート(人口の1%以下)にすぎないと断言。
教授は、米国のもっとも優れた長所であるはずのアメリカンドリームを幻想にすぎないと切って捨てる非常にラディカルな主張をしています。良識のある賢人達が、国家を建て直すには教育の大切さを説いているのに、この馬鹿教授はアメリカンドリームが幻想にすぎないということを主張したいのだろうが、勉強しても無駄だと書いてしまっている。民主党政権になれば教育がよくなるかもしれないといいたいのであろうが、今まで勉強しても無駄だったと断言しているのである。

何でも見てやろうといって、昨年地獄へ先立たれたO実氏や、今頃地獄で赤鬼相手に多事争論をしているT哲也キャスターと同じくらいバカヤロウである。なぜなら、教授はあの悪名高きエンロンの顧問をやっておられた。その1%の勝ち組に媚びへつらっていたのだ。

④技術革新とグローバリーゼーションは先進国すべて同じであるから、米国で格差が生じたのは政治が右傾化した結果に生じたものだと教授は主張する。社会学や全ての諸要因を抜きにして、共和党の右傾化が諸悪の根源だと教授は主張するのである。まるで築地に本社があるA新聞や、D多賀子・Fみずほ・T清美みたいな論理の飛躍だ。

保守派ムーブメントは、民意でなく非常に裕福な一握りの個人が資金を出し、エリート層に都合が悪い政策を変えてきたと教授は主張しています。その代表的政治家がレーガン大統領であるというのだ。

共産主義の恐怖を煽り、公民権運動の帰結である黒人解放運動、福祉のタダ取りをする黒人層への白人の反発を巧みに利用した保守派ムーブメントは、基本的に非民主主義的だと教授は批判する。

民意としてレーガン大統領に選挙で民主的に投票した人の意思や思想をまったくリスペクトしない教授こそ、非民主主義者である!この言い方は、母国を裏切り続けてノーベル文学賞を貰った大江某とかいう日本人作家とタイプが似ている。左翼特有の考え方だ、敵対者が選挙で勝利したのは、投票した人間が無知蒙昧だと見下す典型的な例だ。

2008年の選挙で民主党政権が誕生した後、不平等と格差を是正し、社会のセーフティネットを拡大するニューディール政策を教授は提唱している。国民皆医療保険制度の導入は素晴らしいアイデアで、是非不幸な米国民の為実施されることを祈るばかりだが、財源は富裕層だそうだ。大恐慌時代と異なり、超富裕層は、カリブ海でもドバイにでもどこへでも容易に米国から脱出可能であることを教授は理解していない。

教授が夢見る、大圧縮時代とは、ヨーロッパではナチスが台頭し、アジアでは中国の動乱に日本が巻き込まれ、日米関係が緊張し、とても富裕層が海外へ脱出する雰囲気ではなかった。それどころか、金持ちのユダヤ人達は、米国が門戸を巧みに閉ざしているにもかかわらず、大挙して米国を目指して流入しようとしていた。

そんな時代と、現在とではまるで環境が異なる。格差を圧縮しようとすれば、その分富裕層は国外へ飛び出てしまう。共和党とてやむなく富裕層の税率を抑えているのである。例えばビルゲイツが過疎の町にでも転居しようものなら、一気にその自治体の財政が好転することは間違いない。税金を引き上げればタックスへブンへ富が流出するだけだ。そういった現実を、教授は如何に判断するのでしょう?
大圧縮時代最高税率91%だそうだが、今日そんな税金を払ってまで富裕層は米国に留まるわけがない。

ポール・クルーグマン教授は、本書においても、執拗に偉大なシカゴ派経済学者で、反ケインジアンのミルトン・フリードマンを批判するお約束は守られている。

政府の介入や規制を批判し、自由市場経済を主張し、大恐慌を市場の失敗ではなく政府の失策であるとフリードマン達が主張(Ddogはフリードマン支持)するのに対し、教授は彼らは、当てにならず、知的に不正直であったといわれても仕方ないと言い放つ。

話は少しだけ逸れるが、ミルトン・フリードマンと一緒に記念碑的な大著『アメリカの金融史1887-1960』を書いたアンナ・シュワルツ女史が、ポール・クルーグマンのフリードマン批判に、長文の怒りの反論を書いている。
ポールのエッセイは、最初から最後まででたらめよ。あたしはミルトンと50年近く一緒に仕事をしたけど、彼のことを何も理解してないくせに彼を侮辱するのは許せないわ。

ポールのいうには、「通貨供給の成長率を固定する"*%ルール"がマネタリズムの根本命題で、それは今ではどこの国の中央銀行も採用してないから、ミルトンはまちがっていた」ですって? ミルトンは一度もそんなこといってないわよ。彼がいってたのは、貨幣的な制約がインフレをコントロールするための必要十分条件だということで、これは50年前から死ぬまで変わってない。制約の方法は通貨供給だけじゃなく、金利でもいいのよ。

もっと許せないのは、ミルトンとあたしの書いた本がまちがってて、ケインズが正しかったというポールの話よ。1930年代のFRBの金融政策が大恐慌の最大の原因だったというのは、今では金融の専門家がみんな認めてることよ。名目金利がゼロになっても、通貨供給で資産価格をコントロールできるし、資本注入で銀行の破綻や取り付けも防げる。それなのにFRBは、ことごとくその逆の政策ばかりとったから大恐慌になったのよ。21世紀に「流動性の罠」なんて石器時代みたいな話をしてるのは、ポールだけ。だいたい彼は、日銀を批判して「もっとジャブジャブに通貨を供給しろ」といって、流動性の罠なんかないことを自分で認めてたじゃないの。

ミルトンは、金融政策というものを幅広くとらえてたのよ。ポールみたいに、通貨供給はきかないけどインフレ目標はきく、なんて何の根拠もない話はしなかったわ。そのうえ、日銀がインフレ目標を設定しなかったのに日本の景気が回復したのはなぜか、とあたしがきいたら、ポールは「IT革命のおかげ」だって!

ポールの話は、こういう論理的な矛盾と初歩的な誤解だらけで、訳がわかんないわ。彼は金融の専門家じゃないんだから、素人はよけいな口出しするんじゃないの。
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/d926343a65b75e0cfb5f4afc7bd4f986

左翼と呼ばれる勢力は、根底に資本主義と帝国主義への懐疑があり、自由競争が市場における「神の見えざる手」のように最大多数の最大幸福を自動的に実現するとは信じてはいない。具体的には不完全雇用均衡からの脱却のための経済政策が、政府によって実現されることを求めたのが、クルーグマンの言うところの新ニューディール政策なのだろう。

大圧縮時代にビックスリーとUAWとの間に、画期的な労使関係である「デトロイト協定」が結ばれた。教授が本書を書いて半年後の今日、ビックスリーはUAWとともに、破綻の危機に瀕している。その原因の一つこそデトロイト協定であり、その現実をこの馬鹿教授はなんと思うのだろう。

私(Ddog)も狂気じみた格差がある米国社会の格差が是正され、日々真面目に労働する市民が報われる社会になることが、米国の再生につながると思っています。このことは、この馬鹿教授が主張しなくても、同じ意見だ。先日会社が救済合併されても、破滅を免れたのは自分達の功績だと高額のボーナスを要求したという厚顔無恥なCEOのニュースがあったが、本書を読んでつくづく思ったが、このクルーグマンもこのCEO達と同じ穴の狢(むじな)である。高額のギャラを貰いながら庶民のふりをするTVキャスターと同類の大バカヤロウだ。

グルーグマンの信者諸君、もう一度彼の本性を確かめたほうがよかろう。
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米ビッグスリー救済法案は、上院で採決に持ち込むための動議に十分な支持を得ることができず、11 日夜に廃案となった。 1月20日オバマが大統領になれば、すべて問題が解決するというものではない。新たな失望が生まれるだけだ。

アメリカ議会はビッグスリー救済法案を断念しました。これは、逆オバマ効果なのかもしれません。GMとクライスラーは、10月上旬には合併交渉をしていたのに、オバマが勝ちそうなので、民主党政権に救済されるだろうと、経営陣が白紙に戻し、さらにこの期に及んで、UAWは条件面の切り下げを拒めば、米国の世論の支持があるわけがない。

米国は、本当にビッグスリー(実質GM)が破綻させるか否かをトータルコストで考えたら、やはり存続させて方が賢いと思う。オバマは「政府の投資により250万人の雇用を創造する」と言っているが、250万雇用しても、ビッグスリーを破綻させ300万人の失業者を出したのでは元も子もない。

ビッグスリー救済法案に関する年内の議会協議は議会としてはこれで打ち切りだ。年内ビッグスリーを救済する唯一実行可能な手段は、例のウルトラCしか残っていない。日経新聞によれば、実行されると断定しているが、私はそう安易ではないだろうと思う。

GMの自動車ローン用だった金融子会社GMACを銀行にして、10 月に議会で可決された金融安定化法に基づくTARP(不良資産救済プログラム)の資金を直接挿入する方法だが、ポールソン財務長官に委ねられる。しかし、同長官は、ビッグスリー(実質GM)の破たんは望ましくないとする一方で、破たん回避に金融安定化法を使うべきではないとの考えを示していたこともあり、先行きは予断を許さない。

緊急避難的な融資も得られない場合、GMは破産法申請に至る可能性もある。やはり、自家用ジェットで最初の公聴会にやって来たビック3の経営陣がオバマの当選に甘えていたとしか思えない。更に条件闘争したUAWも、オバマが救済してくれると非常に甘く考えていたのだろう。

オバマが何とかしてくれると考えているのは、ビックスリー(実質GM)やUAWだけではなく、閉塞感を感じる米国民すべてがそう考えているに違いない。2009年一段と景気が悪化した場合、オバマに期待をした人達が失望にチェンジするのも早いのではないだろうか?

エコノミストの米国雇用の今後の見通しとしては、景気の後退の深まりに伴い、失業率が7%に達するのは時間の問題との見方は強い。すでに10代の若者の失業率は20%、黒人はl0%を超えている状況からすると、来年前半には失業率は7%前半になると予想されている。失業率の急増につれて、失業不安から米国を中心に先進国では「劇的に貯蓄率が上昇し、消費が激減している」という現象が見られる。貯蓄は現状では景気の後退要因となるものの、将来的には景気拡大の元手となることは間違いない。

ただし、貯蓄率が上昇していく過程ではマネーが退蔵されていくことになり、マネーが必要なところにいきわたらなくなると考える。体力がある世界の金融機関や、体力がある企業は、増資、自社株買い、株式の持ち合い、M&Aをするだけで、設備投資には向かわないので、結局当局が資金供給しても意味が無いバランスシート不況は悪化だけではないだろうか?

表向きマネーは市中に存在するのだが、必要なところへは行き渡らない。どんなに当局がマネーを供給しても、結局体力がある企業や金融機関にしか向かわず、体力がある企業は逆に資金が過剰となり、市中で流通するマネーは増えないのではないだろうか?

来年の世界経済は、カナダ・オーストラリアを除く先進9力国がすべてマイナス成長に転落するとの見方がある。来年には潜在成長率を下回る1%台の成長率になるとの予測である。現状の世界経済は巨大な世界同時不況のまっただ中にある状態である。金融政策を根本的に、自由放任的な市場経済から、規制を強化した金融ビックバン以前のような状態に戻すような政策をとるか、新たに世界中央銀行を設立するか、IMFを昇格させるかどうかは今後の課題だが、そうでもしないと根本的な回復をしない状況となってしまった。

今回の金融危機は、ドルの基軸通貨維持の為に仕掛けた意図的な危機である可能性も高いのだが、ニクソンショック以来の世界金融政策の大転換を迎えたようである。米国のマクロ経済運営はここ20年近く、景気の急変動を避けることを中心のテーマとして、金融のグローバル化市場原理経済路線をとって目標を達成してきたが、ドルの基軸通貨としての地位はやがて退位を余儀なくされることを読み、米国は半ば意図的に今回の金融危機を招き、世界経済を不況のどん底へと追いやってしまった。

かつて日本は、米国と組んだ日銀の経済政策により、1980年代後半バブル景気が演出された後、1989年バブルが崩壊し長い苦しみを味わった。世界中で日本経済だけが落ち込み、「失われた10年」を日本は経験した。

今回の金融危機は、米国が日本のバブル崩壊を研究し尽くした上での、国家戦略があったとしか思えなくなってきた。ビックスリーの救済劇も所詮デキレースの可能性すらある。ただし、GMは結局は破綻した上で米国の製造業の再編は行われる可能性を考えています。もし、米国がUAWのような団体と、CEOみたいな泥棒を切り離すことに成功して、ドル安に転じたならば、BRICsより強力な新興工業国アメリカが誕生するかもしれない。

ITバブルのツケを払う為にとった政策である住宅バブルをどう着陸させるかは、実は住宅バブルが生成中に考えられていた可能性が捨てがたい。住宅バブルの破裂を予想した米国は、金融工学を駆使したサブプライムローンを組みこんだ金融商品を世界各国にばら撒くことにより、金融危機を引き起こし、日本経済が経験したような一人負けの経済後退と基軸通貨からの退位を免れた。地獄へ道連れである。

今回の世界的な金融危機は米国が主導で開発した金融の核爆弾と言われるサブプライムローンを巧みに織り込んだCDO、デフォルト回避の劇薬CDSによって、新基軸通貨として台頭しかかったユーロを打ちのめした。また、軍事的緊張が高まりつつあった、ロシア中国を、BRICsとして持ち上げておいて、経済面で叩きのめした。米国はサブプライムローンを巧みに使い、世界戦略を実行しているとしか思えない。

もう一つ、米国がとった手法は1980年ジャパンアズNo1と持ち上げ、バブルを発生させ、高いところから一気に落とし経済を破壊するココナッツクラッシュ的経済政策を、ロシア中国に仕掛けていた。石油価格が暴騰して回復したロシア経済を一気に叩くのは簡単ななこと、金融危機を演出し、石油を暴落させれば「ハイ、一丁上がり。」中国経済も、米国自ら不況となれば、輸出が止まり、「はいもう一丁出来上がり」。

米国が世界中にグローバリズムの名の下に、「金融のグローバル化とデリバティブ経済」を容認する政策を世界各国に求め、時限爆弾であることを承知で、リスクの高いサブプライムローンなどを金融商品に潜ませ、世界中の金融機関、特に欧州の金融機関に売りまくった。その結果、金融危機は世界中に分散して、世界各国の金融・財政は疲弊し、特に欧州金融機関ではサブプライム爆弾は、金庫奥深くで誘爆を引き起こし、欧州の不動産バブルが吹き飛び、ユーロ経済も延焼中である。

欧州でも欧州連合(EU)の欧州委員会が2000億ユーロ(24兆円)の対策を各国に提示したほか、各国が景気対策を矢継ぎ早に発表している。英国は付加価値税の税率を17.5%から15%に2.5%引き下げ、さらに住宅ローンについて返済額を最長2年間減免する制度を導入し、金利の繰りのべ分を政府が保証することを決定し、なんとか経済が踏みとどまれるかどうかのところである。

2008年前半、ドルが明日にでも紙切れになると主張していたエコノミストやアナリストは少なくとも2008年末のこの時点では敗北した。現状世界決済通貨としてのドルは逆に円以外の通貨に対し上昇したのである。

とはいえ、長い好景気と短い後退期を続けてきた米マクロ経済学も完全に敗北宣言をせざるを得ない状況となったのも事実。今日の米国経済の苦境は、ブッシュ政権より、クリントン政権を批判すべきだだと、私は考えています。

名声が地に堕ちたマエストロ・グリーンスパンにせよ、クリントン政権が残したITバブル崩壊のツケを、如何に回復させるかが課題であった。グリーンスパンは住宅バブルを、ブッシュ政権は9.11アフガン戦争、イラク戦争を引き起こさざるを得なかった。

その選択が正しかったかどうかはここでは議論したくは無いが、いずれにせよ、このマクロ経済を主導してきたブッシュ政権もあと1ヵ月を余すところとなった。ブッシュ政権は、今日この時点で頗(すこぶ)る評判が悪いが、10~20年後の評価はドルの基軸通貨を防衛した偉大な大統領となっているかもしれないと思っています。

オバマ政権は実質クリントン政権に過ぎない、ITバブルを引きおこし、世界中にグローバリズムを押し付け始めた張本人たちである。まともな政策ができようか私は疑問に思うが、ブッシュ政権が最後に仕掛けた自作自演金融危機によって、ドル基軸通貨延命策は成功する可能性が高い。民主党政権はクリントン政権同様共和党の蒔いた種の果実をタダ食いする可能性も高い。

米国の経済成長率は2008年7-9月期に年率換算でマイナス0.5%となり、2008年10-12月期も大幅マイナスがほぼ確実となり、米経済は戦後最悪・最長の景気後退となる可能性が高まった。12月5日午前、オバマ次期大統領は緊急声明を発表した。議会指導部と歩調を合わせ、5000億ドル(約46兆円)の景気対策を準備しているようだ。

オバマ政権が、5000億ドルの景気対策を準備していることは既にマーケットでは折込済みとなってしまい、オバマが正式に経済対策を発表するときには、6~7000億ドル以上で発表しない限り、効果がなくなってしまった。マーケットでは景気対策が発表された途端、材料で尽くしとなってしまうからだ。オバマ=救世主の幻想はいつまでもつことやら?

米国が20年近く続けてきたマクロ経済運営は、ノーベル賞のクルーグマンは、一方的に共和党が悪いと、「格差は作られた」で主張しているが、クリントン政権時代の民主党政権であっても、共和党政権でも結局はアメリカ人にとって、金持ちはアメリカンドリームを実現したヒーローであるといったことに変りはなかった。世界は今後劇的な変化をしようとも「金儲け主義」観念が骨の髄まで浸み込んだアメリカ人にとってオバマ政権に変ったからといっても短期間に「金儲け至上主義」に決別できるとはとても思えない。

米国のオバマ新政権では、1950 年代以来で最大規模の公共投資を実施する方針と伝えられている。アイゼンハワー政権下で建設された高速道路等が約50 年を経て順次修復、更新が必要とのこと。なんてことは無い、米国は日本の失われた10年と同じ政策をとるだけだろう。そして、結局米国・欧州と新興国は日本と同じくロスジェネを経験するかもしれない。

面白いジョークを見つけました、私は何がおかしいのか笑うのに、10秒か15秒ほどかかりましたが・・最近 FRB内で ”Mr.Bernanke” と呼ぶ人はおらず、もっぱら ”Bernannki SAN”または”BAANANKI SAN" と呼ばれているらしい。
http://blog.goo.ne.jp/kitanotakeshi55/e/0240ae9cc9c29e341c566778ddab9b23
なるほど、このジョークでいくと、そのうちObamaSANもしくはPrime MinisterOBAMAと呼ばれるかもしれませんね。
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サイエンスインポシブルPhysics of the Impossibleは、今年3月にNew York Times Best-seller listに5週の残っただけのことはある本当にエキサイティングな本でした。

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英語圏の本によくありがちな417P+用語解説44pは、少々厚かっかった。英語圏の本はどうしてかくも長々となってしまうのか?ただ分量があればいいものではないと思っているのですが、本書に限って言えば、しっかり中身が詰まっています。本書は文才に恵まれた科学者が書いた未来のサイエンス・ノンフィクションとでも表現したい読みやすい本でした。最後まで読み終わった時には、なんだかSF小説を5.6冊読んだような気になりました。SFのバリアーの話から最後のパラレルワールド並行宇宙の話まで、本当に最初から最後まで飽きさせない本でした。
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Dr. Michio Kaku (加來道雄)氏は、1947年1月24日カリフォルニア生まれの日系2世
ニューヨーク市立大学シティカレッジ物理学部教授, 超弦理論の研究者であり、ベストセラー作家にして科学番組のパーソナリティを努めるタレント学者である。マスコミ露出も多く、カールセーガンと米村でんじろう先生に星新一(に、ちょっと大槻教授は・・ないか)を足しような先生ですかね?またSF作家や映画の科学考証にも活躍していることでも有名です。21世紀のカールセーガンがふさわしいかもしれません。

この本は今日可能でないが、今後可能かもしれないものと見なされた透明化、念力移動、予知、恒星間宇宙船、反物質エンジン、タイムトラベルなど空想SFの世界の技術が具体的に可能となる可能性があるか、現代の理論ではなく、将来の技術革新も見込んで可能性がどの程度あるか、一つ一つ現在はまだハリウッド映画やSF小説上のSF技術が可能か否か検証した力作です。これらの技術が現実になるかもしれない可能性をカク博士が温かい目で検証した力作です。

p19~21
未来を予測する
予想というのはいつでも多少の危険をともなうものだが、数百年後、数千年後の未来の予想はとくにそうだ。物理学者の二-ルス・ボーアは、よくこう言った。「予想はとても難しいものだ。とりわけ未来の話となると」しかし、ジュール・ヴェルヌの時代と現在とでは、根本的に違うところがある。今では、物理学の基本法則が本質的に明らかになっているのだ。今日の物理学者には、そんな基本法則が、陽子の中身から膨張宇宙に至るまで、なんと四三桁ものスケールにわたって成り立つことがわかっている。そのため物理学者は、未来のテクノロジーがおおまかにどんなものになるかについて、そこそこ自信をもって語れ、ただ単にありそうにないテクノロジーと、本当に不可能なテクノロジーとを、昔よりきちんと区別できるようになっている。

そこで本書では、「不可能」なことを三つのカテゴリーに分ける。
第一のカテゴリーを、「不可能レベルⅠ」とする。これは、現時点では不可能だが、既知の物理法則には反していないテクノロジーである。だから今世紀中に可能になるか、あるいは来世紀にいくらか形を変えて可能になるかもしれない。テレポーテーション、反物質エンジン、ある種のテレパシー、念力、不可視化などがこれにあたる。

第二のカテゴリーは、「不可能レベルⅡ」としよう。これは、物理的世界に対するわれわれの理解の辺縁にかろうじて位置するようなテクノロジーだ。かりに可能だとしても、実現するのは数千年から数百万年も先のことかもしれない。タイムマシン、超空間飛行の可能性[超空間とは3時元を越える高次元のこと]ワームホールを通過する旅などがこれになる。

最後のカテゴリーは・「不可能レベルⅢ」だ。これは、既知の物理法則に反するテクノロジーにあたる。意外にも・この種の不可能なテクノロジーはきわめて少ない。もしもこれが本当に可能になったら・物理学に対するわれわれの理解が根本的に変わることになる。

このような分類は重要だと思う。SFに登場する多くのテクノロジーは、まつたく不可能なものとして科学者に切り捨てられているが、実のところ、われわれのような原始的な文明にとっては、不可能という意味なのだ。たとえば異星人の訪問は一般に不可能なことと考えられてしるが、それは星々のあいだの距離があまりにも莫大なためだ。恒星間旅行は、今の人類の文明には明らかに不可能でも・われわれより何百年、何千年、何百万年も進んだ文明には可能なのかもしれない。だからこうした「不可能」のレベル分けは重要になる。現在の文明に不可能なテクノロジーが、ほかの文明にとっても不可能とはかぎらない。可能・不可能について議論するには何千年何百万年も先のテクノロジーを考慮に入れなければならないのである。

            (略)
私白身の研究の話をすれば・アインシュタインの夢だった「万物理論」の完成を目指し、専門家として一心に力を注いでいるところだ。タイム・トラベルは可能なのか、ブラックホールの中心には何があるのか?ビッグバンの前に何が起きていたのか、自分としてはこうした現代科学の最難関とも言える「不可能」問題のいくつかに最終解答を与えられる「究極の理論」に取り組むというのは、実に心躍らされるものがある。今も私は、生涯にわたって不可能なことへの情熱をもちつづけていたいと思っている。そして、そんな不可能なことがらのなかに、日常的なことがらの仲間入りを果たすものはあるのか、またそうなるのはいつのことだろうと考えをめぐらせている。



◆不可能レベルⅠ 現時点では不可能だが、既知の物理法則には反していないテクノロジー

○フォース・フィールド、
*スタートレックなどで、俗に言う「バリアーを張れ」と防御バリアーについて。マイケル.ファラデー理論でいけば可能かもしれない。/四っの力/プラズマ・ウィンドウ(空気と真空を分ける窓)/磁気浮上(リニアモーターではなく常温超伝導による人間の磁器浮揚)

○不可視化
透明人間や、透明マント
すでに東大の川上直樹が光学迷彩により初歩的なものが出来ているが、ホログラムを使った3次元によるものが今後数十年~今世紀中。四次元を使う不可視化はまだ先。

○ライトセーバーとデススター
今日光線銃やライトセーバーは何らかの形で作れるが、スターウォーズのようなものとなると現在のテクノロジーでは無理。不可能レベルⅠ
惑星を爆破するデススターのエネルギー源候補ⅰ慣性閉じ込め方式核融合ⅱ磁気閉じ込め方式核融合ⅲ核爆発型X線レーザー1983年実験に成功しているが現状では信頼性が無く、 
SDIやミサイル防衛には向いていないが、対小惑星システムには向いているかもしれない。ⅳ.ガンマー線バスター ブラックホールのバーストを兵器に応用
.
○テレポーテーション
テレポーテーションとSF/テレポーテーシヨンと量子論/EPR実験/量子テレポーテーション/からみ合いのないテレポーテーシヨン/量子コンピュータ

○テレパシー.
超能力研究/テレパシーとスターゲート/脳スキャン/MRIの嘘発見器/ユニバーサル・トランスレーター/携帯式MRIスキャナー/ニューラル・ネットワークとしての脳/思考を送る/脳の地図をつくる

Ddog:このテレポーテーションとテレパシーの科学的な量子論に関する可能性を読むうちに、まったく非科学的に感じる霊魂の正体を考えてしまった。
素人の無責任な思いつきにすぎないが、人間の脳で発する電磁波の一種である脳波が、電気的に同調した電子を保って分離した場合、片方の電子と同調するならば、量子論で霊魂を説明できる可能性があるのではないか?と思う。本人が生きていれば生霊で、死んでいれば死霊の正体なのかもしれないな・・と一人納得してしまった。


○念力
念力と現実/念力と科学/念力と脳/ナノロボット

○ロボット(機械の生命、若しくは意識を持った機械としてのロボット)
人工知能の歴史/トップダウン方式/ボトムアップ方式/感情をもつロボット?/ロボットは意識をもつか?/ロボットは危険な存在になりうるか?

○地球外生命とUFO
生命の科学的探査/ETのメッセージを聴く/どこにいる?/地球型惑星の探査/どんな姿をしているのか?/怪物とスケールの原理/先進文明の物理学/UFO

○スターシップ
破滅の到来/イオンェンジンとプラズマェンジン/太陽帆/核融合ラムジエツト/熱核ロケットと原子力電気推進ロケヅト/核パルス推進ロケツト/比推力とエンジンの効率/宇宙エレベーター/スイングバイ/天空へのレールガン/宇宙旅行の危険/仮死状態/ナノシップ

○反物質と反宇宙
反物原子や反化合物を一つくる/反物質ロケツト/自然に生じている反物質/反物質の父/ディラックとニュートン/反重力と反宇宙



◆不可能レベルⅡ 物理的世界に対するわれわれの理解の辺縁にかろうじて位置するようなテクノロジー
○光より速く
落伍者アインシュタイン/アインシュタインと相対性理論/アインシュタインの理論の抜け道/アルクビエレ・ドライブと負のエネルギー/ワームホールとブラックホール/プランクエネルギーと粒子加速器/

○タイムトラベル
過去を変える/タイムトラベル/物理学者の守備範囲/タイムパラドックス

○並行宇宙
超空間/ひも理論/マルチバース/量子論/量子字宙/ほかの宇宙とのコンタクト/実験室でベビーユニバース?・/増えゆく宇宙の進化?



◆不可能レベルⅢ 既知の物理法則に反するテクノロジー
○永久機関
エネルギーから見た歴史/永久機関の歴史/いかさまと詐欺/ルートヴィヒ・ボルツマンとエントロピー/エントロピーの総和はつねに増大する/三法則と対称性/真空からエネルギー?

○予知能力
未来を見通せるのか?/時間をさかのぼる/未来からのタキオン




◆終章「不可能」の未来
ビッグバン以前の時代を知る/宇宙の終わり/万物理論/ひも理論への批判/ひも理論は検証不能なのか?・/物理学は不完全か?


先日マクドナルドVSラーメン屋で紹介したように、危機を語る総理ではなく、希望を語る大統領の国の書物ですが、可能性を追求する文化と、日本人の得意な物事を極めようとする文化が上手く融合した傑作が、Dr. Michio Kakuなのかもしれません。

PS明日以降少々相場についてUPする予定です。とりあえずバルチック海運指数をウォッチ下さい。
http://www.dryships.com/index.cfm?get=report
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金曜日に銀座の居酒屋で食べたホタテの貝柱の刺身に付着したと思われるノロウィルスのおかげで、金、土、日、ブログをUPできませんでした。いや、金曜の夜から土日は寝たきりでした。それでも病床で、ポールクルーグマンの偏見に満ちた共和党非難本、「格差は作られた」を半分ほど読みましたが、この本の批評は後日として、先週は面白い本を4冊読ませていただきました。「勝海舟を動かした男、大久保一翁」「サイエンスインポッシブル:SF世界は現実可能かミチオ・カク」「巨龍中国がアメリカを喰らう:欧米を欺く日本式繁栄システムの再来 エーモン・フィングルトン」「ウォール街の闇:富はどこへ移転するのか堀川直人」の4冊です。

NHKの大河ドラマ篤姫も次週12月14日が最終回、7日放送分の江戸城明け渡しでしたが、この江戸城明け渡しにおいて、幕府方最重要人物がまったく欠落しておりました。
大久保一翁公です。私も『勝海舟を動かした男、大久保一翁』副題:徳川幕府最大の頭脳 古川愛哲 著グラフ社』 を読むまでは、大久保一翁公のことをさほど意識していませんでした。

明治維新の主役として小松帯刀の名は、今回の篤姫で国民の記憶に残ったであろう。しかし、大久保一翁の名前は、司馬遼太郎の竜馬がゆく(文庫本四巻)にも登場するが、竜馬が観光丸を神戸の操船所の軍艦として入手する下りにわずかに登場しただけで、小松帯刀同様、竜馬がゆくでは、維新の重要人物として描かれてはいませんでした。また、同じく司馬遼太郎先生の「最後の将軍」においても、大久保一翁公の名は見かけませんでした。確かに、一翁公を前面に出してしまうと、徳川慶喜・勝海舟・榎本武楊・そして坂本竜馬ですら彼らの先進性が翳んでしまうのである。また、一翁を調べると甲陽鎮撫隊とし新撰組を江戸城無血開城の為にわざと犬死させた事実に向き合ってしまうため、なかなか描きにくい人物でもある。
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しかし、本書を読む限り左遷と登用を繰り返した人物、大久保忠寛(一翁)こそ、勝海舟の頭脳どころか、幕末日本の頭脳であった。大政奉還、坂本龍馬の船中八策の元祖は文久2年(1862年)10月の一翁の「大開国論」そのものであった。

大久保一翁の功績は、有能な人材の登用で、何よりも勝海舟を引き上げた人物である。また、勝が幕末の志士や諸侯に説いて回った話の大部分はこの位一翁が授けた話である。さらに、日本が内戦によって諸外国による干渉を極力避ることに腐心した一翁の功績は非常に大きい。

十四代将軍家茂の信任を得た一翁は「大目付」兼「御側御用取次」兼「外国奉行」であった。その人物が、攘夷断行を朝廷が撤廃しないのなら、徳川家は駿河・遠江・三河の旧領三州を請い受け大政奉還すると言い、松平慶永、横井小楠の度胆を抜かせた。文久3年(1863年)晩春、神戸操船所の勝門下生として尋ねてきた、坂本龍馬に直接大開国論を語った記録が残っている。船中八策は一翁直伝だったのである。

過激な「大開国論」は慶喜の不興を買い、再々々々左遷させられたが、一翁を遠ざけた慶喜は結局一翁の「大開国論」二番煎じ「大政奉還」を申し出るはめになる。しかし、時既に遅かった。

一翁が春嶽宛へ竜馬に託した手紙が残っている。内戦の愚かさを説き、世界に通用する公明正大な政策を立て、これを朝廷に誠意をもって申しあげること。さらに、奉還後徳川は蝦夷地を開拓、国防する蝦夷共和国構想を榎本武楊より早く述べている。

元治元年(1864年)「公議会」論を唱えた大公議会(国会)小公議会(県議会)の設置である。政治家官僚による空論ではない初の構想である。驚くべき先見性である。

松平春嶽(慶永)は、後に「はたして越中守(一翁)の先見たがわず・感ずべき事なり。徳川家第一の功臣は大久保一翁・勝安房なり」と記し、竜馬も兄権平への手紙に「一、当時天下の人物といえば、徳川家にては、大久保一翁・勝安房守 越前にては、光(三)岡八郎、長谷部勘左衛門 肥後にては、横井平四郎(小楠)薩摩にては、小松帯刀、西郷隆盛 長州にては、桂小五郎、高杉晋作」と書き記している。

江戸城無血開場したのは、司令塔一翁、行動部隊海舟であった。海舟=アーネストサトウのパイプが役に立ち、イギリス公使パークスも内乱反対論で意見が一致していたことも西郷の耳に入り、江戸城攻撃前に一度西郷が一翁と勝に面会する決断をした。

会談一日目は西郷と勝二人きりで、「官軍が砲火をもって江戸城を攻撃すれば、静寛院宮(和宮)、天璋院(篤姫)の身の上はどうなる。おふた方とも徳川家の者として殉じるとおっしゃってる。その他のお話は、いづれ明日まかり出で、ゆるゆるいたそう、それまでに貴君もとくとご勘考あれ」と、一言海舟が言捨て終了したとある。そしてパークスの恭順した慶喜を死罪にする道理がないとパークスが言った話が加わり、翌日一翁と海舟は二日目の会談に臨み、無血開城が成ったのである。

一翁公は、その間、城内の抗戦派を説得し、もっとも好戦的な近藤勇の新撰組を「甲陽鎮撫隊」とし軍資金2394両を渡し江戸を遠ざけ甲府に向かわせたのも一翁である。こうして江戸無血開城が成功したのである。江戸幕府の幕引きは、三河以来代々殿(しんがり)を努めた大久保忠利を家祖とした一翁が立派に努めたのも歴史の皮肉であろうか?

明治5年、大久保一翁公は明治政府へ出仕東京府知事に任じられる。府知事として、寺子屋家熟をそのまま学校として存続させる決断をして、文部省と対立、さらに、東京会議所の設置を画策したが、旧幕臣達による自治は問題外と大久保利通達に潰されてしまった。知事退任後、明治10年元老院議員となり、明治21年死去。

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①『「強い円は日本の国益」榊原英資 著 東洋経済新報社』を読む-1
http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/20684249.html 
より続く。

本書は途中如何に日本は米国の圧力により為替に振り回されてきたか、急激な円高を阻止しなければならなかった、そして如何に円高阻止をし続けてきたか、経済史に財務省(大蔵省)の弁明をちりばめた文章がp60~185まで続いた後、ようやく本論だが、結論は、
p235~239「強い円は日本の国益」に集約されている。
①21世紀は天然資源の時代

まず我々がはつきり認識しなくてはならないのは、21世紀に入っての世界経済の大きな構造変化です。水野和夫の言う価格革命が世界経済システムを抜本的に変えているようなのです。19世紀から20世紀は製造業の時代であり、特に、20世紀後半はハイテク商品の時代でした。そして、エネルギーや食糧等の資源は安価に大量に市場から調達できたのです。これに比して、21世紀は天然資源の時代です。かなりの乱高下はあるものの、天然資源は稀少商品化し、その価格が上がり続ける可能性があります。逆に、工業製品.ハイテク製品は陳腐化し、その価格は大きく下げていくでしょう。まさに、19~20世紀の傾向の逆転現象が起きているのです。

②現在は円安バブル

こうした構造的要因を背景に持ちながら、今の日本経済は低金利・円安バブルの状況にあります。1971年から95年までトレンドとして上昇し続けた円は、21世紀に入って、実質実効為替レートで大変な円安に転じています。長く続いたゼロ金利と低金利、そして2003~2004年の超大型介入がその直接の原因です。

③日本企業に忍び寄る構造変化

日本の企業も投資家もまだ円安シンドロームのなかにいて、世界の大きな構造変化と円安バブルに充分気づいていません。しかし、資源価格の高騰とハイテク商品のコモディティー化は、バブル下で好調だった企業業績を次第に虫食み始めています。また、資源価格の上昇をある程度は転嫁せざるをえませんから、日本でもインフレの気配がじわじわと強まってきています。
しかし、インフレといってもスタグフレーション状況なので日本銀行は金融正常化に踏み切れず、低金利・円安バブルは続いています。こうしたなかで投資家も過去のパターンで高金利の外国通貨建て資産への投資を続けています。

④脱・ものづくり

企業.投資家・当局ともにパラダイム・シフトをしていかないと、日本経済の先行きは大変暗いものになってしまうでしょう。まず企業。いわゆるものづくりシンドローム・売るシステムから脱して、エネルギーや農業に重点を移し、買うシステムに転換する必要があります。ものづくりについても、資本集約型から技術集約型に移っていく必要があります。大量生産の拠点は外国に移し、国内では少量生産・ブランド化を目指すのも、一つの方向でしょう。いずれにせよ、資源を有効に確保する道を急速につくっていかないと、21世紀に生き残っていくことは難しくなります。

⑤投資家も円安反転に注意

投資家も円安シンドロームから抜け出す必要があります。いずれ円安バブルははじけます。日本の金融資産をどう有効に投資していくかを考える時期に入ってきています。円安ではなく、むしろ、円高を背景に、いかに海外の実物資産を買い進んでいくかを考えるべきでしよう。

⑥金融政策も転換を迫られる
当局は、円安バブルをどうソフトランディングさせていくかを考えるべき時期に入ってきています。明確な円高政策の表明や金融正常化等、慣重に実行する必要はありますが、ここ数年余りの政策の大転換を図る必要があります。

⑦エネルギー・農業に必要な政策支援

エネルギーや農業政策も大きく変更するべきでしょう。化石燃料を持たない日本の電力供給の基本は、原子力発電でなくてはなりません。政府はその安全性には万全を期しながらも、この点を明確にする必要があります。過剰なポピュリズムに陥って、エネルギー戦略を暖昧にすることは許されません。また、太陽光・風力発電についても日本は技術を持っているのですから、補助金をつけてでも、技術の広汎な利用を促進すべきです。
農業政策についても従来の防衛的スタンスを改め、積極的な自給率向上に努めるべきです。農業補助金を、当面、増やすことをためらうべきでもないでしょう。また、農地法の改正等、企業の農業への参人についても積極的に取り組むべきです。
以上、論点は多岐にわたりますが、ポイントは円安シンドロームから円高政策への転換です。「強い円は日本の国益です」と財務大臣が明確に言い切って、産業構造の大転換、投資行動の変更を強く後押しすべきなのです。為替レートがすべてを決めるわけではありませんが、為替レートに関する日本全体の考え方を変えることが、今、極めて重要になってきているのです。

①の21世紀は天然資源の時代だが、大枠で中国インドの経済成長により資源食料エネルギーの需要が増大することは正しい。しかし石油エネルギーに関しては、前の記事のブログで照会した「石油の支配者」に書かれてあるように、石油資源の逼迫は情報操作であり、革命的技術革新によって克服される。また、リサイクルや海洋資源の開発、革新的新素材の登場によって、その他鉱物資源もクリアーできそうだ。問題の食料だが、日本の優れた技術により一定の解決は可能である、本書でも言及しているように、①は2008年のインフレ世界観で通用する過剰な危機感の可能性が高い。

②確かに円安バブルである、世界中ゼロ金利に陥る世界で、もっとも信用できる通貨としての円ではあるが、世界中がゼロ金利でスタグフレーションが続いた場合、円高は避けられないとしても、外需の減速は、日本経済に大きな打撃となり、現状では、80円台を越えるような極端な円高も考えにくい。榊原氏の円高は40.50円を考えているようだが、もしそうならば輸出産業は一斉に海外逃避してしまう。

③高金利の外国通貨建て資産への投資を続くのは必然。また国内に滞留した資金は世界経済の停滞を加速してしまうこともありうる。

④脱ものづくりは絶対反対だ。「大量生産の拠点は外国に移し、国内では少量生産・ブランド化を目指すのも、一つの方向でしょう。」正論だが、榊原氏は日本の中小企業が如何に国益となっているか、まるで理解していない。

⑤円高は米国の国益である。極端な考え方をすれば、大量に保有する米国債の借金棒引きになる。
⑥それもそうだが、トレジャリーはどうすんだ。
⑦いかに、円高が国益に合致しようが、榊原英資の口から「円高国益論」は言ってはいけない!言うべきではない !!

①『「強い円は日本の国益」榊原英資 著 東洋経済新報社』を読む-1
http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/20684249.html 
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『「強い円は日本の国益」榊原英資 著 東洋経済新報社』を読む

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発効日は9月18日だが前書きが7月1日になっている。昨日紹介した浜田和幸氏の「石油の支配者」同様に、基本的にまだ経済が原油高のインフレの世界で書かれた書籍でした。

2008年に経済本を出版した評論家、エコノミストなどの執筆者にとっては、厄年であったろう。金融危機を説明を試みるが、年の後半にはことごとく内容が陳腐化してしまったのだ。まさに討ち死状態である。

執筆した内容が、出版された頃には、まるで頓珍漢な本になってしまっているのだ。2008年ほど世界観が劇的に変化した年はない。年の前半と後半は、まるで違った年であった。前半はドルの暴落、米ドルの基軸通貨からの退位かで議論された。また、原油やコモディティが高騰しインフレの到来を警戒することが盛んに議論された。米国景気とBRICs経済のデカップリングシナリオが主流をしめていました。8月のオリンピックを境に、世界は急変してしまった。リーマンショックなど、信用危機とデフレ警戒、米ドルは反転円を除く通貨に対し急騰そして、デカップリングシナリオは否定され、世界同時不況へ突入して行った。本を執筆して製本し売り出す頃には内容が陳腐化してしまう、誠に気の毒な年ではなかったかと思います。

本を出版する以上に、企業戦略はより深刻である。今年の前半までは、キャッシュを持つと、配当を増配せよと村上ファンドのような連中が経営を批判していた。日本でも、キャッシュリッチ企業がTOBの危険性に曝されていた。現金を溜め込むトヨタや任天堂は批判され続けていた。リーマンショック以降金融危機には、米国式のレバレッジ」経営は破綻し、投資銀行やビッグスリーの以外の多くの米国大手企業も一気に経営危機を迎えているのが現状である。

さて、本の内容ですが、さすが榊原英資氏、今年前半の世界観で陳腐化した分を差し引いても、読んでみる価値はあります・・・と言いたいところだが、「榊原さん肝心の日本が保有する大量のトレジャリーボンド(米国債)はどうするのでしょうか?」日本が保有する大量の米国国債が円高ドル安となった場合の為替差損については、全く言及していない。
本書ではほとんどスルーしています。

確かに書ける訳も無い。大蔵省国際局長、財務官であったMr円こと榊原英資こそ円高阻止のために巨額為替介入をした当事者であり、過去101円~106円でトレジャリーを買い支えた最高責任者であるのだ。当時の円高阻止は、理解できるし、よくぞ阻止してくれたとも思っているが、その榊原氏が、円高国益論に言及するにあたり、日本が保有するトレジャリーボンドに言及することなく、円高国益論は無責任すぎる。

ここで、榊原氏を非難しこの本を貶し締め括ってもよいが、Mr円の榊原氏の円高国益論のエッセンスを紹介したい。

2009年、世界経済の危機の中心は米国ではなく、新興諸国であると思います。はたして、新興諸国はこの危機を克服することはできるのであろうか?新興国に、先進国が豊かになったと同様の経済発展をして、豊かな国になれるプラチナチケットがまだ残っているのか?それとも先進国同様の経済発展過程を新興諸国が通過して豊かになれるのは幻想にすぎないのか?今のところ私にはどちらとも断言できないが、榊原氏は、グローバリーゼーションはデフレからインフレの時代に入り、いずれは新興国が先進国をキャッチアップしてくると言う、まさに、2008年前半のデカップリング的思考でこの本を執筆しています。

20世紀は日米欧で約6~7億人が中産階級として存在してきたが、BRICs諸国で新たに仲間入りした中産階級が約20億人に増大する見込みだ。そうなるとエネルギーや食料が不足するのが目に見えている。(この本の執筆中)投機資金が流入しているとはいえ、エネルギーや食料など資源価格が上昇すると榊原氏は断言しています。(これも異議あり!)
{Ddog:私は、地球が閉じた社会である為、資源が有限であるのと同様、世界に用意された、豊かな国の椅子は有限であると考えている。}

高騰し、希少品化する資源を如何に買うか、強い円は輸出競争力を削ぐが、強い通貨は調達能力、コストを低下させることが可能となる。「強い円は、日本の国益である」(Ddog:、異議あり!巨大為替介入し保有する日本が保有する米国債の為替差損は国益とでも?)

榊原氏のこの本には、水野和夫氏の「100年デフレ」(日経新聞者2003年)の世界観が盛り込まれている。21世紀は16世紀と同様の「価格革命」が起きると予想している。16世紀と21世紀の比較は非常に面白い。

16世紀は産業資本主義が始まった世紀であり、21世紀は産業資本主義が、サブプライム問題リーマン破綻の一連の金融危機とともに終焉し、ポスト産業資本主義が始まりつつある点が興味深い。
16世紀は欧米の世界経済の支配の始まりで、16世紀の経済大国は中国とインドであった。
ゴールドマンの予測では2050年までに中国が世界第一のGDP,インドが2位か3位の経済大国となるという。(異議あり!:このまま順調に彼国は発展するわけない)

1820年の世界(1840年アヘン戦争)では中国が世界のGDP28.7%インドが16.0%を占めていた(インドは大英帝国の植民地)と推計されている。(P190)

榊原氏原文p191では「トムフリードマンのフラット化する世界」(「ぷっ」笑:原文のママ)ではグローバリゼーション1.0(1492~1800)を大航海時代、グローバリゼーション2.0を(1800~2000)多国籍企業の時代、グローバリゼーション3.0は個人が世界を相手に活躍する力を持つ時代)欧米の個人でなく多種多様な非欧米・非白人の個人の集団に動かされる。(トーマス・フリードマン「フラット化する世界」P20~25より引用のようです)
16世紀ヨーロッパが持っていたのは軍事力と貿易インフラであり、アジア・アフリカ・アメリカの食料資源を支配していった。
p192~193
世界にはまだまだエネルギーや資源のフロンティアがあり、それをべースにしながらヨー
ロツパが世界に先駆けて産業革命を達成し、近代化・産業化を進めていったのです。短期
的にはともかく、中長期的にはこの時代、資源や食糧のボトルネックはありませんでし
た。
それでは21世紀はどうでしょうか。再登場しつつある中国やインドは世界で最も古い文明国であり、かつての経済大国です。そこそこの資源や耕地は持っているものの、資源大国や食糧大国ではありませんし、かつてのヨーロッパのように、中東やアフリカ、あるいはアメリカ大陸といった後背地.ヒンターランドを持っていません。中国やインドの成長が持続し、経済規模が加速度的に膨張すれば、資源や食糧に対する需要は幾何級数的に増えていきます。エネルギーや食糧の供給が新たな技術革新等で急速に増加しない限り、エネルギー不足、食糧不足は16世紀に比べて圧倒的に厳しいものになる可能性があります。
それに加えて、この数百年の近代化・産業化で環境は悪化し、地球は疲弊してきています。エネルギー開発や食糧増産は、この点からも過去に比べ困難なものになってくるでしょう。
このように考えていくと、エネルギーや食糧等の資源の将来は決して明るいものではありません。そして、価格革命による原材料の価格の上昇も、かつてのものよりかなり激しくなると予測されます。地球が有限であるということはここ数十年言い続けられてきたことですが、環境の悪化を背景に、資源の有限性が経済システム内部でもいよいよ強く意識されるようになるのでしょう。
p24
水野和夫はこれが16世紀に地中海世界の人口が2倍になった状況と類似している点を指摘し、21世紀には16世紀と同様、「価格革命」が起きるだろうと述べています。
ちなみに16世紀には、人口増に対する相対的稀少性から小麦は6.5倍、バターは5倍雌鳥.鶏卵は4.3倍(1510~1640年にかけての上昇率)に上昇しています。
(略)
21世紀の世界経済の趨勢的特色はハイテク製品のコモディティー化「陳腐化」とエネルギー・穀物の稀少商品化です。
p55
ちなみに、「『価格革命」が起きた『長い16世紀1477~1650年)』(F・ブローデル)』において、英国の実質賃金は年率0.5%で下落し、最終的に当初の43%の水準にまで低下しています。現在の日本でも「5~29人の事業所規模での一人当たり賃金は、97年をピークに07年まで14・7%下落している(年率1・6%減)。」のです。(原文のママ)
21世紀の世界経済がそのまま16世紀の大英帝国の経済が当てはまるとは思わないが、気が重くなる16世紀の大英帝国の経済状況です。私は、 産業革命との関連で、単に第1次囲い込み運動、第2次囲い込み運動が、農民の生活を追い詰め産業革命の原動力となったとしか知らなかった。恥ずかしながら。また、21世紀の世界経済も16世紀大英帝国の国民が経験した塗炭の苦しみを味わう覚悟が必要なのかもしれません。

榊原氏は、この本中で小泉純一郎を一貫して呼び捨てにしている。ルービンやサマーズは呼び捨と財務長官と敬称をつける場合があるが、小泉は、小泉・竹中のポピュリズム政治p202と元高級官僚は小泉に対する怨念なのか正しい評価か判然としないが、この点は私と意見が一致する。

小泉が非難されているのは、本来国や公的機関が担うべき戦略性を持った国の政策を大衆迎合で切り捨ててしまったことが、もっとも非難されるべき点であるとしている。特に資源・エネルギー政策、政府系金融機関の統合、農業政策支援などを挙げています。
エネルギー(原子力)や農業技術をアジア諸国と協調して日本がイニシャティブをとって協調していくことが国益につながるとしています。この点に関しては私も同意見です。

②『「強い円は日本の国益」榊原英資 著 東洋経済新報社』を読む-2
http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/20684563.html
へ続く
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『「石油の支配者」浜田和幸 著 文春新書 』を読む

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浜田氏は、時として彼のダークサイドが発動して、陰謀論信奉者に近い「トンでも論」に走ってしまうこともあるが、この本については、浜田和幸氏の正常な見識機能が働いた書籍です。

もっとも、この本は石油が高騰している最中に執筆をはじめ、急落した相場に対応し、次々に内容を修正していった箇所が、随所発見でき、だいぶ苦闘した跡が見受けられ、浜田氏の修正の苦労を想像すると思わず苦笑してしまいます。しかし、石油ピーク説を否定する第4章「石油はいつまでもつのか」だけでも十分に読む価値がある、皆様に推奨する1冊です。

参考になる箇所を抜粋して少々論評を加えます。

p32 「ドル安」に対応して原油価格を上げた!⇒なるほど、原油国の立場からすると、ドル建で原油取引をするため、米ドルの価値が下がればドルが下げた分だけ原油価格を値上げしたい動機がある。当然、次のドル安時の原油価格も要注意ということである。

p57 カーライルの巧みなマネーゲームに着目したCIC(中国投資有限責任公司)では、その資金力をバックに、一気にカーライルを買収しようとする動きをみせている。すでに、有望資源株や有望株に投資している、投資ファンドグループのブラックストーングループにCICは10%の出資をして筆頭株主だ。⇒国富ファンドが金融資産やエネルギー企業株を根こそぎ買収される恐れがでてきた。⇒世界各国で透明性を求め規制をする動き。

p74~75 原油価格が上昇すると経済が減速し石油の需要が減り、やがて原油価格が下落する。⇒今回は原油価格が上昇しても、未だ世界全体では成長が続いている。⇒石油を大量消費しなくとも経済成長できる社会構造となりつつある。

p82アメリカは2005年にサウジに見切りをつけた。サウジ+クウェートを合せた分量以上をギニアから輸入することとした。アメリカは今後10年先の輸入計画は中東諸国からアフリカへ軸を移す。中国にとって最大の石油供給国はアンゴラである。米中はアフリカの原油を巡り対立する可能性がある。

p87~89 この箇所は石油危機の発生と、今日のドルの行方を考察する上で非常に参考となります。
1973年2月12日、ニクソン大統領は再び世界を驚かす政策を発表したのである。それは、他の主要通貨に対する10%ものドルの切り下げであった。

絵図を描いたキッシンジャー

今から振り返れば、この決定の背後にも実は原油価格の高騰という隠された環境変化に対するアメリカの予防線を張る戦略があったことが読み取れる。なぜなら、その八カ月後、1973年10月6日、エジプトとシリアがイスラエルに対する軍事侵攻を開始したからである。偶発的に起きたといわれるが、極めて疑わしい。

というのも、この戦争勃発により、OPEC加盟国は一夜にして原油価格を四倍に跳ね上がらせた。これは出来すぎといえるだろう。アラブの産油国は莫大な原油収入を得ることになった。中でも世界最大の産油国であったサウジアラビアの収入は天文学的水準に達したといわれている。
しかも、この莫大なオイルマネーはそっくりそのままアメリカに還流しアメリカの不動産や企業の株式に吸収されたのである。見ようによっては、「アメリカの経済危機を救うために中東の戦争が計画され、その結果四倍という極端な原油高がもたらされ、その原油収入はアメリカに還流することでアメリカを経済破綻から救った」という構図が浮かび上がるのである。

もし、アメリカ経済を苦境の極みから救うために誰かが中東における紛争を演出し、戦争までけしかけたとすれば、おそらくその構図を描いたのは当時の国務長官であり、ニクソン大統領の知恵袋であった、ヘンリー・キッシンジャー氏をおいて他には考えられないだろう。当時キッシンジャー氏はウォーターゲート事件で瀕死の状態に陥っていたニクソン大統領に代わり、実質的な大流領職にあったと言っても過言ではない。

1974年、OPEC加盟国の収入は原油高で大幅に膨らんだが、そのうち70%近くがアメリカに還流したのである。その時、死に体状態にあったニクソン大統頷に代わりキッシンジャー国務長官はOPEC加盟諸国との問で「原油取引の決済に当たってはアメリカの通貨、ドルに限る」とする密約を交わしたと言われる。これが、今日まで続くペトロダラーの始まりであった。ここで最後に笑ったのはアメリカというわけだ。

1956年ピークオイル説を発表したハーバード博士に対して、大反論および、従来の理論では説明できないインド、ペルー、ブラジル(石油大国の仲間入りするだろう)コロンビア、ボリビア、エクアドルの大油田の発見が相次いでいる。また、アメリカ国内の油田には依然潤沢な油田が手つかずのまま眠っている。

ケンブリッジリサーチアソシエーツのダニエルヤーギン氏によれば、ピークオイル説をとなえる学者の石油埋蔵量見積もり1兆2000万バレルに対し、4兆8200万バレルの見積もりを出している。

p126~127
ロシアの「原油無機説」

ピークオイル説を、科学的根拠のない極端な悲観論に過ぎないとみなす最右翼がロシアである。ロシアの科学アカデミーが中心となり、ウクライナの研究者と共同で進められた「原油無機説」の信奉者たちである。この原油無機説は1951年にニコライ.クルリャーツェフ博士が理論をまとめ、旧ソ連邦石油地質学会議において発表した。

そのポイントは西側の研究者の問で定着していた「原油有機説」を全面的に否定するものであった。1956年にロシアのウラジミール・ポルヒィエフ博土は「原油は地球のマグマに近い超深度地帯で自然発生的に形成された資源である。これを有機物ととらえる発想は資源有限説を理由に原油の価格を高くしようとする西側石油資本の陰謀としか思えない」とまで述べている。

ロシアの研究者たちはこの原油無機説に基づく研究成果を応用し、既に枯渇したと思われていた原油や天然ガス田の再開発に相次いで成功したのである。特に1990年代、ロシアとウクライナは両地域にまたがるドニエプル・ドネッツ油田において驚異的な油田再開発を成し遂げた。

当時、枯渇したと思われていた61の油田のうち37の油田で再び原油を生産することが可能になったのである。これは今日の西側の油田探査技術と比べても圧倒的に成功率が高い結果と言えるだろう。このようなロシアの油田再開発技術は、近年まで西側に知られることがなかった。

しかし、相次ぐロシアにおける油田の再開発や新規油田の発見のニュースに驚いたアメリカの政府、特に国防総省が中心となって調べた結果、このロシアの油田開発事業の成功の裏にはロシア・ウクライナの研究者たちが進めてきた原油無機説が影響していることに気づいたのである。これを知ったアメリカの国防関係者の問には大きな衝撃が走った。下手をすれば原油争奪戦や資源確保競争においてロシアに大きく水を開けられることになるかもしれない。そんな不安と恐れがアメリカの政策立案者の間に広まった。

それ以降、アメリカはロシア周辺に軍事拠点を相次いで設置し始め、ミサイル網やレーダー網の整備等、攻撃的な軍事戦略に軌道修正するようになったのである。これは明らかに「ロシアが新たな原油大国としての力を背景に、西ヨーロッパや中国、その他ユーロアジア圏に対する影響力を拡大するのではないか」との恐れを高めた結果に他ならない。

アメリカとすれば、いかにしてこの新生ロシアの膨張を防ぐべきか、検討に迫られたわけだ。
その対策として生まれたのがロシア包囲網であったと思われる。
p134
スターリンの秘密計画

実はこのような原油無尽蔵説はロシアの科学者たちが1946年から研究を進めていたものである。当時、旧ソ連の指導者スターリンの下で大規模な原油に関する研究が開始された。なぜなら、スターリンにとって西側の国々と戦争を行う場合に石油が欠かせない資源であるとみなされたからである。近代的な戦争を遂行するためにはエネルギーとして石油資源が欠かせない。

そこで・旧ソ連は国内の研究者を総動員し原油に関するあらゆる側面を研究し尽くしたのである。いかにして原油が生まれ、いかにして原油が蓄積されるのか。そのような原油をいかにすれは最も効率よく開発、抽出できるものか、研究か進められた。アメリカは原爆の開発に取り組み、マンハッタン計画と呼ばれる研究プロジェクトを推進したものであるが、スターリンの進めた原油生成メカニズムの解明というプロジェクトはアメリカのマンハツタン計画を資金面でも研究者の層の厚さという面でも遥かに上回るものであった。
p138~139
一方で、人工的に地下100キロメートルのマグマに近い環境を作り、1500度近い高熱と大気圧の五万倍という圧カをかけることで原油の生成過程を再現する実験も行われた。これはテキサス州ヒューストンにある原油資源研究所のJ・F・ケネア博士が主導した実験である。その結果、原油の自然生成過程が徐々に明らかになった。このような科学者による実証研究が積み重ねられた結果、急速にピークオイル誰は根拠を矢うことになりつつある。

中東やアフリカなどでは地表に近い油田からこれまで大量の原油が抽出されてきたが、なぜ一部の地域だけに太古の恐竜や動植物の死骸が密集していたのか、化石燃料説では説明のつかないことがあまりにも多かった。しかし、地球内部で常に原油や天然ガスが生成されていることが科学的に明らかになってきたため、今後は油田の探査や開発は従来とは全く違った取り組みが可能になるだろう。

原油は「岩石」から人工的に作れる

原油はけっして過去の恐竜や動植物の死骸から生まれたものではなく、地中深くに存在する岩石が高温と高圧により資源化したものであることが解明されるようになったことの意味は大きい。

また、石油の埋蔵量は、大本営発表であり、真実の数値は公表されていないとの指摘がありました。

私もこの石油ピーク説には非常に懐疑的です。なぜ、石油がプランクトンの死骸が何億年も堆積してできたという説は、石炭が植物が炭化し化石化したことに由来していると思うが、石油の生成過程が解明されていないという説も実に怪しい。旧ソビエトで解明された研究プロジェクトこそ、正しいと私は思います。そうでなければ、ブラジルの大西洋沖や、アフリカ西岸沖の海底油田の生成理論が、従来の浅い暖かい海が安定的に続いた説と合致しない可能性が高い。確かに大陸が分裂して間もない間にはそういった時期もあったと思うが、従来説では説明がつかないとのこと。

それならば、日本周辺にも、石油が埋蔵されている可能性は高いではないかと思う。中国が推定する大陸棚で埋蔵されている石油の量は、西側が推定している量と格段に違う。

1970年代初頭に、五島列島周辺に巨大な油田があるのではないかという説が囁かれたことがある。当時石油ショックの痛手から、願望とも妄想とも批判され、いかに石油は出ないかと当時の専門家の解説を読んだ記憶がある。 となると、ひょっとして五島列島周辺地域、中国が魔の手を伸ばしつつある、鳥島周辺海域に油田が発見される可能性も高い。

今後、中国が石油権益目的の覇権主義を強めた場合、尖閣諸島周辺がきな臭くなることは確実である。
今次オバマ政権が、ヒラリークリントン女史を国務長官に任命すると発表したことは、まことに憂慮すべき事態と思います。
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