Ddogのプログレッシブな日々@ライブドアブログ

政治経済軍事外交、書評に自然科学・哲学・聖地巡礼・田園都市ライフ、脳の外部記憶媒体としてこのブログを利用しています。2020/11/30以前はGoogle検索でキーワードを入れると常に上位にありましたが、日本のトランプ大統領デモを紹介した記事が米国でバズって以降検索アルゴリズムから排除され検索ヒットされにくい状態です。是非ブックマークをお願いします。このブログをご訪問していただいた方の知識や感性として共有できれば幸せに思います。

2009年01月

日本国憲法について思う事

憲法とは国民が持つべき価値とか規範を表した文書だと思います。聖徳太子の十七条の憲法http://www.shoto9taishi.com/government/constitution.htmlというのはそういった点で、日本人の規範を最初に著した文書として価値あるものだと思います。(十七条の憲法は、近代憲法と異なり、当時の価値観や規範を文書化したというより聖徳太子の施政方針、役人に対する規制の文章であったかもしれません。)

護憲側の9条を守る論理として、憲法とは理想を示したものだという定義づけがあります。一見、尤(もっと)もらしい憲法解釈と思うが、私はこの点をまず異議を唱えたい。理想の無い論理も空疎なものにすぎないが、現実とかけ離れた理想は空理空論でしかない。現実と乖離したものは現実に即しその理想を示すべきであると思う。

護憲を叫ぶ人間は憲法議論する事すら、危険だと言って拒む場合が多いが、憲法論議というものは、国民の理想と現実を摺りあわす意味で大いにするべきであると思う。議論を避ける姿勢を示す護憲論者は、脳細胞が死滅しているか、政治的意図で国民の常識を侮辱しているように思えてならない。

現憲法は、米国が日本の弱体化、骨抜きにする為に押し付けた憲法である経緯はあるものの、その後60年以上改正せず放置しているのは、もはや日本人の責任である。日本の文化というものは、世界に優れて素晴らしいものではあるが、数少ない日本人、日本文化の欠点を挙げるとするならば、自ら規範を変える事が非常に不得意な民族・文化である点だと思う。

勤勉な国民が豊かな自然に囲まれた国土に住めば、大きく規範を変えることなくとも、生命は維持できた歴史風土が、そうさせたのであろうとは思うが、欺瞞の憲法を欺瞞したままで放置する状態は、けして誇れることではない。改憲に踏み切れない現状は、世界に日本の弱点を曝しつづけているようで、私にはとても耐えられない。

憲法といえば、9条問題しか語られていないが、99条(補足をいれ103条)まである全文 http://www.houko.com/00/01/S21/000.HTM を読めば、今の日本人的価値からすれば改憲すべきことは9条に限られたものではないことに気がつくであろう。特に問題なのは前文だ。

憲法前文の『これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。』この部分が、思考を停止する人間が多い日本人の性癖に悪影響を与えていると考えています。

終戦直後の日本が侵略戦争をしたという虚構の歴史観と価値観を持ったGHQ側の立場が近い人間が書いた価値観が、人類普遍の原理と言い放ち、議論すら認めない傲慢な前文はそもそも不要である。深層心理としてこの前文はこの日本国憲法を纏めた人間ですら、この憲法の欠点を認識していたからこそ、付け加えたのだとも読み取れる部分である。

『人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、』についても、平和を愛する諸国民など空想であって、当時のソ連や英国、米国を指すのであったら、その公正と信義は信頼してはいけないだろう。世界中がどこを捜しても、平和を愛する国など空虚な空想でしかない。

前文は、日本国民の合意のもとで、この憲法を発布するとでも書けばよい。長々と口上を述べるものほど怪しい存在だと思わないだろうか?長々と書いたその理由は、憲法を作成した人間達が、この憲法には、日本人が2000年以上の歴史を積み重ねた美徳や常識を破壊する毒素を本能的に感じた為、憲法の能書きを書かざるをえない心理になったのではないだろうか?

第一条から第八条についてだが、象徴天皇は古来からの日本の伝統であるので、この点はまるで問題ないが、日本国民統合の象徴、日本国民の総意とあるが、第十条において『日本国民たる要件は、法律でこれを定める。』にも絡むのだが、グローバル化が進んだ今日、この日本国民の定義をどうすべきか議論すべき点であると思う。当然日本国籍を有しない者は、この総意に含むべきではない。きちんとした日本人の定義、線引きをすることも必要ではないだろうか?(在日の問題であるが、彼らには日本国籍を選ぶか半島へ帰還すべきか自ら選択する時期にきたと思う)

憲法論議の枠ではなく、日本国民の定義について個人的な感情を少し述べたい。日本の歴史伝統に対して敬意を払わない人間(反日日本人)・日本の国益に反することを平気で行う人間には、日本国籍を剥奪しろとまではいわないが、私は日本人だとは思いたくないし、日本人と定義したくもない。また、生物学的に日本人ではなく国籍がどこであろうと、日本の国土伝統文化を愛する者は、広義の日本人であるとしても良いかもしれません。国籍を与える条件としても必要不可欠な点です。

第九条『正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。』とあるが、戦争とは何かを根本的に理解していないか、欺瞞の部分である。そもそも、戦争とは、正義と正義の主張のぶつかり合い意見の相違を最終決着させる最終手段であって、正義の正体が各国の国益であることを、隠蔽するか欺瞞していると思う。正義と秩序を基調とする国際平和などという概念を受け入れること自体、日本の正義(国益)を保てることが困難となるのである。その為拉致問題や、ソマリア沖の海賊退治問題にしても弊害が生じる元凶でもある。

世界中が戦力武力を持たない国際環境になるなどということは空理空論であって、相手国が武力を保持していないことなど無いのだから、日本が武力を保持しないということは、独立国であることを放棄するに等しい。幸いな事に、戦力を持たないなどということが空理空論であったことに気がついた時の政府と米国は、自衛隊(警察予備隊)を組織したのであった。その時に憲法を改正すれば良かったのだが、改正しないまま今日まで来てしまった点がこの九条問題の根本だと思います。

『前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。』明らかに自衛隊は憲法九条に対して矛盾する存在であるのだから、自衛隊を解散するのでなく9条を改正すべきなのであるのである。

もう一つ付け加えるならば、憲法九条は、護憲馬鹿が言う世界に誇る日本人の崇高な精神でもなんでもなく、1928年のパリ不戦条約の焼き直しにすぎないのである。
私はこの9条を実は米国が日本に与えた勲章でないかと皮肉的に思ってもいます。米国は真珠湾や神風特攻隊や硫黄島沖縄の戦いで強い恐怖感を味わった為、もう二度と日本と戦いたくなかった為に付け加えたと考えているのです。同じ敗戦国でも弱小のイタリアには9条みたいな憲法を押し付けなかったことからからして、日本軍の凄まじさを評価した結果ではないだろうか?

世界金融恐慌が、次の世界大戦の引き金にならないでいてほしいと切に願うところである。しかし、仮に日本が巻き込まれるような米中が激突するような対戦が起きたとするならば、この日本国憲法を改正していた場合と改正していない場合では、日本人が被る被害は、天地ほどの差が生じているであろう。攻撃されるまで何もしないのと、攻撃をけん制する武威を見せるのと見せないのとでは、日本が攻撃される確率が格段に違ってくるだろう。

学生時代不良(ヤンキー)の行動原理を理解できれば解りやすいだろう。不良連中は、弱そうに見える奴にしか絡まない。強そうな人間に手出しをするようなことは見たことが無い。また、不良同士が喧嘩になった場合でも、一方がその武威に怯むような場合、一方的な袋叩きになった場面を見たことはないか?国家間の問題であっても同じではないかと思う。これこそ普遍的な原理かもしれない。

もっとも護憲的発想をするような脳細胞が死んだ人間には、憲法改正せずにいたほうが戦争に巻き込まれないと思うのだから、議論がかみ合わないかもしれない。

第11条『国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。』この基本的人権と『第12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。 第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。』のなかで書かれた、公共の福祉との曖昧な、また矛盾に満ちた関係に関しても、議論すべき点があるのではないかと思う。

憲法を読み下っていくと様々なことを思いつく、そして時代に会わなくなっていたり、書き直すか議論すべき箇所がいくつか私が読んだだけでも幾つか見当たる。ここから103条まで書く気力も無いので一旦ここで筆を下ろすが、憲法論議というものは、タブーとすべきものではなく、おおいに議論すべき対象である。

この文章は、阿修羅掲示板憲法2板http://www.asyura2.com/07/kenpo2/index.htmlに張られた、私の「新世界秩序と日本の進むべき道」
http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/22018227.htmlに対する憲法改正の批判に対する回答として、私の憲法に対する今の考えを纏めた文章です。
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オバマ大統領に最初の試練、景気対策法案が下院通過
http://sankei.jp.msn.com/world/america/090129/amr0901292111027-n1.htm
2009.1.29 21:00 
 【ワシントン=山本秀也】オバマ米大統領が経済活性化の「切り札」とする大型の景気対策法案は、28日の下院本会議を通過し、焦点は上院での審議に移った。大統領は「300万人以上の雇用確保」を最重点に、2月中旬の法案成立を目指す。だが、下院での採決結果は、財政赤字が過去最大の1兆ドル規模となる中、巨額の財政出動による景気浮揚を目指す政策に批判が根強いことを見せつけた。高い支持率を誇るオバマ政権は、最初の試練に直面した形だ。
 公共投資を柱とした総額8190億ドル(約74兆円)の景気対策法案は、賛成244、反対188で下院を通過した。野党共和党は、賛成に回る議員が1人も出なかったのに対し、与党民主党では11人が反対する造反劇を演じた。
 オバマ大統領は、法案の下院通過を受けた声明で、急激な雇用情勢の悪化を前に、この法案が向こう数年間にわたり300万人以上の雇用を確保すると説明し、速やかな審議を上院に呼びかけた。
 これに対して、共和党は、(1)巨額の歳出は財政負担を膨張させる(2)減税に景気浮揚策の軸足を置くべきだ-と主張。同党は減税幅を広げた修正動議を提出したが、否決された。
 下院で採択された法案は、審議段階で修正が加わり、当初規模から60億ドルの減額となった。中身をみると、個人・企業向けの減税が2750億ドル見込まれているものの、道路交通網の整備など土木工事を中心とした大型の公共事業発注が約5440億ドルとトップを占める。
 法案の下敷きは、「世界恐慌」の打開策として、フランクリン・ルーズベルト大統領が打ち出した大型の公共事業を中心とするニューディール政策だ。今回の法案は、公共事業のほか、クリーン・エネルギー研究への開発投資や、失業者への医療保険補助などの福祉事業まで手厚く含まれる。
 この法案以外にも、オバマ政権は銀行の不良資産を買い取る「新たな機構」の設立構想を来週発表すると伝えられるほか、金融機関に対する公的資金注入を政権発足後初めて実施するなど、経済再建に歳出拡大を辞さない構えが鮮明だ。
 オバマ大統領は、27日に連邦議会に乗り込んで、「政争を棚上げして国民のために働こう」と訴えるなど、共和党議員に超党派での取り組みを促していた。
 大統領自身によるひざ詰めでの説得を拒んだ共和党側には、巨額歳出の背後にある「大きな政府」への反発が絡む。「法案の描く戦略は、官僚主義の流れに数十億ドルずつを注ぎ込むに等しい」(共和党のカルバート下院議員)という政治哲学をめぐる食い違いは、上院審議でも繰り返し浮上することが避けられない。

オバマ大統領が始動した、2月に成立を目指す景気対策法案は、下院を通過したのはよいが、共和党の全員が反対、民主党からも11人が反対投票を入れた事は、米国民の熱狂とは裏腹に、早くもオバマ政権が立たされた危険な状況を改めて認識されるものでありました。

大統領就任式についで慣例では1月最終火曜日に一般教書演説があるものだと思っておりましたが、今のところ日程は未定だと発表があり、少々肩透かしを喰らったような気がします。景気対策法案が可決した後に、一般教書演説を行う計算なのだろう。

就任式で、経済危機の克服に「大胆で迅速な行動」を宣言し一般米国民は熱狂した。オバマにとって国民の熱狂は、議会に対する強い武器である為、熱狂をなるべく持続するパフォーマンスを計算しているのだろう。したたかである。同じく就任当事国民の熱狂を背に受けた元日本の総理Kも、人気の持続を狙って様々なことを就任早々行っていた。オバマもKを彷彿とさせる点もあるが、元総理Kと違い、オバマは浮ついた言動はしていない。その点は頼もしい限りだ。「なんてったて小泉♪」「なんてったてオバマ♪」

悲惨の一言に尽きる米国経済の状況は、米国経済は回復する可能性について言及することがはばかられるくらいに厳しい。特に、金融、自動車、景気の悪化スピードは想定以上だ。

製造業景況指数、鉱工業生産、非農業雇用者、いずれを見ても2005 年辺りをピークとして緩やかに減速している。昨年は減税で押し上げたは良いものの、減税効果が剥落すると一気に急落信用収縮が加わり、急失速となってしまったのである。戻し減税は、即効性こそ高いが、持続性はない。ならば、日本の一時給付金など、公明党の「お経」に過ぎない。景気浮揚にはさほど効果は無く、へたをすると逆効果になるかもしれないのである。このご時勢に消費税を上げることを所信表明演説をしてしまった麻生政権は「狂気」なのか、たんなる「バカ」なのか区別がつかない。

麻生政権から比べればオバマ政権がまともに見えるのだが、残念なことにオバマ政権の景気対策も実はもう手遅れの可能性が高い。300万~400万人の雇用創出を狙った景気対策を出す前に、米企業がすでに雇用に手を付け始めてしまった。

米国企業はIT バブル崩壊以降、ウォール街を除いては、在庫も雇用も設備も抑制気味にし、慎重な経営姿勢であったが、非農業雇用者が2 ヶ月連続で50 万人超の減少を記録するなど雇用環境が急速に悪化した。さらに、消費と輸出の急激な冷え込みでさすがに在庫も積み上がり、在庫調整が本格化。設備投資の調整も本格化し始めている。国民の熱狂は、簡単に失望へと転化する可能性がある。

オバマもそのことは十分承知しているはずなので、人気を持続する次の方策は、貧困対策重視、景気対策として中所得層への減税、低所得層への補助金、失業者への雇用対策をする一方で、配当・キャピタルゲイン増税、贈与・相続税増税、個人所得税の累進課税の強化など富裕層への増税であろう。富裕層への増税が進んだ場合、富裕層のドル離れが待ち受けていることを忘れてはならない。

英国の元首相、マーガレット・サッチャー氏の言葉です。『格差社会への批判がお金持ちへの批判となったらそれは違う。お金持ちを貧乏にしても貧乏な人はお金持ちにならない。貧乏な人がお金持ちになるために必要なことは努力することだ。』昨今の新自由主義批判の嵐の中で、この例えを引っ張り出すと、ブログはともかく、阿修羅掲示板では、非難の書き込みが貼り付けられるだろうが、あえて、この言葉を引用する。

早くもオバマに醒めた視線を送る議会対策に、オバマ政権チームが国民の熱狂を利用するのなら、オバマの景気対策は単なるポピュリズム的貧困対策へ変質してしまう危険をはらんでいると私は思う。環境フロンティアを中心とした製造業の復活を目論むオバマ大統領の意図(初心)は無視され、民衆の熱狂は民主党の政策をリベラルという枠ではなく、社会主義的な所得の再分まで押し切ってしまうのではないだろうか?オバマが目論む米産業構造の変化(チェンジ)ではなく、行き過ぎた新自由主義的な風潮が、今度は逆に社会主義的逆不平等な社会を生み出す原動力となってしまうのではないだろうか?そうなった場合、アメリカ帝国は本当に没落してしまう可能性がでてしまう。

とはいえ、多くの経済評論家やエコノミストよりは、私は米国の覇権の復権の可能性があることを信じているつもりです。眼に見える数字は絶望的ではあるが、脳天気な米国民はオバマを選んだ我々は偉大なんだという、根拠の無い楽観を信じている。私も根拠は無いが経験則からすると、絶望が深いほど復活も劇的にやって来るものだ。

国民が、オバマに熱狂している間に最大の危機を乗り切るかもしれない。株式市場は、最悪を既に織り込み済みで、場合によっては米国のNY株式市場は1万ドル~12000ドルまでの戻り相場もあるかもしれない。が、早めに熱狂が覚めれば、今度は深い失望が絶望へとつながる恐れもある。

オバマ政権の政策を迷わす最大のリスクは、米国民の熱狂かもしれません。
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09年初場所、横綱朝青龍が復活の優勝を遂げた。初場所前引退の可能性!とかスポーツ紙に書かれ、品性が無いので私個人的には大嫌いなTVキャスター小倉智昭(偽善的反日的発言が多すぎるので顔も見たくない)が、「星が買えればいいのに」とまで発言して、本人も悔しかったのだろう。「朝青龍が帰ってまいりました」との万感が詰まった叫びに、私は素直に「おかえりなさい」と声をかけてやりたい。

横綱の品格の問題が取りざたされ、歴代横綱の美談と比べ、朝青龍は品格が無い、相撲道ではなくSUMOUだと、酷評する評論家もいる。例えば、ビデオ判定導入前、世紀の誤審と騒がれた、大鵬が45連勝で止まった試合、NHKのビデオを観た大鵬が、刺し違えられるような相撲を取った自分に非があると言ってのけた美談など、当時でも美談であったものを、朝青龍に期待するのも酷だろう。憎まれるほどの強さを兼ね備えた、完全なヒール役を演ずるだけで、今の相撲界に横綱は貴重な存在だと思う。

外国人横綱は曙・武蔵丸に次3人目ではあるが、日本の伝統的興業格闘スポーツのメーンイベンターが外国人に頼らなくてはならない現状において、異国の地で精進を重ね最高位に上り詰め、その地位を維持しているだけで十分に美談ではないか?曙・武蔵丸は本人と周囲の人間が賢かった、日本人の相撲に対する情念を理解していたのだろうと思う。また、先輩大関小錦のアドバイスもあったのだろう、常に意図して控えめに振舞っていた。特に武蔵丸の10勝5敗は計算性を感じたものでした。

曙・武蔵丸は、ハワイのヒーローではあったが、朝青龍のような国民的英雄として甘やかされなかった点も横綱としての品格を保てた理由の一つであったかもしれない。

巡業を休みながら自国でサッカーのイベントに出場したニュースを聞いた時には私も確かに、「舐められたものだ」とも思いました。しかし、今思うと、モンゴルにとっては日本で大成功を収めた自国の英雄である朝青龍が、本国でイベントに出場して欲しい要望や、頼まれた朝青龍の立場、モンゴル人の価値観を日本人は、まるで尊重していなかったのではないか?日本人都合の非難ではなかったのではないかと思います。

横綱の品格などという曖昧なモラルは、日本人的道徳および価値観が基準であって、いわばコモンロー、不成文憲法みたいなものである。日本人ではない横綱に、この日本人の無意識の規範を理解するには、相当難しいだろうと思う。横綱というものは、ただの格闘技のチャンピョンではなく、一種の宗教的司祭の役割にを果たしている。興業的見地から、朝青龍を横綱としたのは、我々日本人の都合ではなかったのだろうか? 外国人横綱に宗教的司祭が勤まっていないと、目くじらを立てるのは、逆に我々日本人が不寛容ではないか?

日本文化の特徴の一つは、海外より次々に文化・文物・人物を取り入れて、それを次々に取捨選択しながら消化し、日本的なものに作り変え、自分たちのものとしてきたことにあります。外国人力士達の姿立ち振る舞いを見ていると、十分力士として、日本文化になじみ、日本文化の一翼を担ってっている、まさに、日本文化の真髄を見ているような気がします。十分成功していると思っています。

朝青龍関に関して、やくみつるさんなど、厳しく当たる人達もいて、私はそういった方達の不満も理解できます。そのフラストレーションの根源は、日本文化、日本的精神ゆえに、朝青龍関にフラストレーションを溜めているのだと思います。

日本文化は、文字(ひらがな、カタカナ)にしても、文化芸術、刀剣などの例でもそうですが、何事においても、日本的にアレンジして、終わることのない改善を行い、オリジナルをはるかに凌ぐものへと究めていくところが最大の強みだと思います。

日本の文化の特徴は日本人の精神構造と深く関係していると思います。日本では、自己を絶対的なものとはせず、企業や社会などその機能集団において、自分の演ずる役割を考え設定し、その与えられた役割を極めていくことが美徳とされます。また、日本人は他人から見えないからといって手を抜くことは、役割の否定、すなわち、自己否定になります。
それゆえ、横綱は機能集団のトップとして求められるものは、その人の人格とは一切関係なく、非常に神に近い崇高な精神が求められてしまいます。

日本では、相撲に限らず個々人が自己の役割を精緻化する結果、世界でもユニークかつ優れたものができるといえます。改善は精緻化して行き、最も精神的な究極が、何々道といった、一つの求道精神が培われる特徴があるかと思います。モンゴルにおいて、モンゴル相撲は格闘技として発達はしたが、求道精神の精緻である武道へと発展したとは聞いていない。朝青龍も横綱だからといってその精神性を理解する事は容易でないはずだ。

日本人は「場の空気」KY「「空気が読めない」などと、場の空気(ニューマ)が重要視されます。
いわゆる、「場の空気を読む」といったものですね。そして、その「場」に属する個人は、まず「場」における自己の相対的な役割、位置を考え、役割を実行しなければなりません。日本では、誰かが役割と自我の同一化ができないと、空気を読むことができないと、非難され、空気が読めないと、その集団での居場所を失う恐れがあります。また、役割を自我を同一化できない機能集団は、旨く機能していない集団になってしまうおそれがあります。そのため、日本では空気を読めない人間を弾劾する傾向があります。朝青龍もまさにこのKY空気が読めないケースかもしれません。

最後に、面白い話を見つけました。日本人の祖先は、一説には古代イスラエルの消えた10支族だとかシュメール人の血も混じっている話があります。私は日ユ同祖論肯定派です。例えば神社の神の祭り方、神輿は、古代イスラエルの宗教施設、幕屋と、契約書の柩の関係とよく似ています。狛犬、鳥居、山伏の頭巾など古代ユダヤの風習そのもの、伊勢神宮にダビデの星がカゴメ紋として残るなど、日ユ同祖論は否定できないのではないかと思っています。2700年前に古代イスラエルが滅び、2600年前に建国した日本の古神道に古代イスラエルの足跡を数多く見ることもできます。

相撲も実は古代イスラエルにもその原型を見ることができます。ユダヤ人三代目の父祖ヤコブが、兄との確執から放浪し、放浪の末に故郷へ戻る時、天使と相撲に似た力比べをします。夜明け前ヤコブは天使に勝った。天使は祝福の意味で、ヤコブの名をイスラエルと改名した故事があります。イスラエルの民が神から選ばれたという「選民思想」のひとつの逸話であります。ヘブライ語で「スモー」「シュモー」は「彼の名前」という意味である。イスラエルの神事も清めに塩を撒くとのことです。

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http://mainichi.jp/enta/sports/graph/2009/hatsubasho/1.html
追伸:ただ、細木数子との関係だけは、ちょっと横綱は考え直した方がいいだろう。ヒール朝青龍と女親分細木数子のは似たもの同士かもしれない。写真では顔がそっくり、前世では姉弟かもしらん?だが見ていて気持ち悪い。
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防衛省 離島有事に無人偵察機 21年度導入へ今秋飛行試験
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090124-00000103-san-pol

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 防衛省は23日、独自に開発を進めてきた無人偵察機(UAV)を実用化する方針を固めた。固定翼の無人偵察機の導入は自衛隊では初めて。F15戦闘機から分離されて空中発進するタイプで、すでに2機が完成。今秋から飛行試験に入り、平成21年度に航空自衛隊へ引き渡す。国防費が20年連続で2ケタ増を記録した中国の脅威を念頭に東シナ海の離島防衛や、北朝鮮の不審船への対処能力が強化される。

(略)

 開発経費は103億円で当面の開発予定は4機。機体は全長5・2メートル、全幅2・5メートル、高さ1・6メートル。最大飛行高度は約12キロで、敵のレーダーに探知されにくいステルス性もある。

 無人機はF15の翼の下に搭載され、偵察地域に近づいた段階で切り離されて発進後、無人での自律飛行に入る。ラジオコントロール方式の遠隔操作ではなく、事前に設定されたプログラムに沿って飛行。GPS(衛星利用測位システム)で位置を補正しながら偵察し、終了後は滑走路に自動着陸する。

 これまで空自の飛行開発実験団が、日本海上空でF15からの分離やセンサーの作動試験を行ってきた。試験は順調に進み、実用化に向けた最終段階として、今秋から硫黄島(東京都小笠原村)での飛行試験に移行し、自律飛行と着陸の安全性などを確認する。

 空自の偵察航空隊には有人型のRF4偵察機が配備されており、災害時の情報収集などにあたっている。無人機を導入すれば、危険な空域でも人的被害を受けることなく偵察活動を行えるのが最大のメリットで、主要な任務に想定されているのが離島侵攻対処だ。

 東シナ海の先島諸島などが占領されると、地対空ミサイルで攻撃される恐れのある空域まで入り、敵の部隊配置や戦力規模を把握する「強行偵察」が不可欠になる。奪還に向け、リアルタイムの情報を収集し、迅速に作戦に生かす必要があるためだ。

 無人機は映像を撮影して即座に地上の指揮中枢にデジタル伝送することが可能だ。電波収集により、部隊の種別も特定する。赤外線センサーを搭載すれば、悪天候時や夜間でも映像を撮影できる。

 海上自衛隊のP3C哨戒機が主体の不審船に対する警戒監視も、無人機の投入で省力化につながる。無人機の飛行エリアは途中で変更できないが、不審船の予想針路を設定することで一定の追尾は可能という。

 飛行試験を通じ、運用方法や必要な機数も検討する。搭載するセンサーで航続距離が変わるため、任務に応じたセンサーの種類や飛行方法も見極める方針。
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このUAVはTRDIのHP平成14年4月 http://www.mod.go.jp/trdi/news/0204_01.htmlに掲載されている多用途小型無人機より発展したものである。平成21年から導入する今回の無人機は、TACOMより一回り大きく、F4ではなくF15に2機装備装備される。
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改めて無人機について、TRDIのホームページを読み返してみると、TRDI中長期技術見積もり見積もりhttp://www.mod.go.jp/trdi/data/pdf/chuchoki.pdfの25p(1)ロボット・無人機イ UAV技術 に
新たな脅威や多様な事態等に対応するため、情報収集を行う長時間滞空型や小型可搬性のある携帯型などの多様な形態の無人機システム及び情報収集や戦闘などの個々の任務にも対応できる無人機システムの自律性向上を実現する技術である。 
所要の研究を経て、弾道・巡航ミサイル対処や島しょ部侵略対処における情報収集のための長時間滞空性、空中自律行動能力を有するUAVは概ね5年後に、精密な攻撃のための空中自律行動・戦闘機能を有するUAVは概ね10年後に、また、ゲリラ・特殊部隊対処、テロ対処における偵察・監視のための小型可搬性を有する5cm級携帯型UAVは概ね15年後に実現のための技術課題を解明し得る見込みである。
以上の記載がある。P18
 島しょ部侵略対処 

(イ)コア装備等及び将来装備システム技術 
<情報収集> 
島しょ部の情報を安全に収集するためには、情報収集・探知装備や無人装備が必要であり、センサー技術とそれを搭載するためのUAV技術やUUV・USV技術を研究する必要がある。 
<海上・空中機動> 
対処正面へ迅速に機動するためには、プラットフォームが必要であり、先進的な高速ステルス艦艇技術、航空機技術及びヘリコプター技術を研究する必要がある。 
<精密攻撃> 
精密な攻撃を行うためには、精密攻撃武器及びUAVが必要であり、地形-位置データ整合技術を有し、高能力推進装置を用いた誘導弾を実現する誘導弾要素技術や、知能化、誘導化などによる多機能・高精度化、高安全性を有する弾薬を実現する弾薬技術や、指向性エネルギー兵器及びUAV技術を研究する必要がある。 
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10年後精密攻撃用の機体を構想しているという、TRDIのホームページにはあと2機無人機のイラストがある。

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これは明らかに長期滞空型の無人偵察機でプレデターに近いプロペラ機だ
http://www.mod.go.jp/trdi/data/pdf/youyaku.pdf
p15のイラスト●情報収集 探知装置◆ センサー技術
遠距離の艦船、航空機、地上の移動目標等の捜索、探知、追尾、情報収集、ミサイル誘導等を行うため、滞空型無人機や偵察用航空機等にも搭載が可能な電波/光波センサーシステムを実現する技術。

イメージ 6

こちらのX46に雰囲気が似ている、UCAV戦闘型無人機はUAVを発展させたものらしい。
http://www.mod.go.jp/trdi/data/pdf/setsumei.pdf P13

「精密な攻撃のための空中自律行動・戦闘機能を有するUAVは概ね10年後」とある。この機体は、すでに開発に着手しているのではないか?ひょっとすると現在開発中の「心神」がUCAV無人戦闘機と発展する事も十分に可能性はあるのではないだろうか?。ちなみに、心神のコックピットはF-1のコックピットを流用している点も怪しい!本気で有人機でステルスを考えるのなら、コックピットから開発するだろう。
イメージ 7

http://yasunon01.sakura.ne.jp/koukalobby/archives/2007_3_26_308.html
鋼花製作所謹製 心神のCG
イメージ 8

心神の構造


なお、富士重工は軽飛行機の自動着陸装置を開発して実験成功済みであることをHPで紹介しています。心神UCAV発展の可能性はDdogの空想だけではないかもしれません。
http://www.fhi.co.jp/jinji/guide/visionandvalue/technology/technology05.html
http://kwat.gooside.com/airshow/ja2004/subaru.htm

1/29追加 さすが週刊オブイェクト 皆さん鋭く解析しています。
【航空自衛隊は研究用無人偵察機TACOMをそのまま配備する方針】1/27
http://obiekt.seesaa.net/article/113220879.html

当初、TACOMは空中発射されて偵察任務を終えた後、パラシュートとエアバッグにより洋上に着水して回収される方式でした。これは後に「無人機研究システム」の時に基地への無人自動着陸方式へと改められています。この際に車輪式着陸装置を付けたりと様々な改修を行った結果、機体が若干大型化しています。パラシュート回収方式の時は全長4.7m、重量620kgだったのが、着陸装置を付けた事などにより全長5.2m、重量700kgまで増えています。また、「多用途小型無人機」の頃は主翼を折り畳み空中投下後に展開する方式でしたが、現在は取り止められているようです。主翼途中で上に跳ね上げてあるのに、どうやって落下中の空気抵抗に負けずに展開するのか謎な仕様でしたが、やはり無理だったようで・・・エンジンも途中で変更されているらしく、テレダイン製からアリソン製になっているようなのですがちょっと詳しい確認が取れません。ただ、以前には推力450kgだった表示が今ではそれより上がっているので、エンジン変更による出力向上があったようにも見受けられます。
chf_pack解説-TACOM
http://www.heinkel.jp/yspack/ysf_tacom.html
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機体概要
全長:5.2m
全幅:2.5m
全高:1.6m
エンジン推力:約0.5t
重量:約0.7t
速度:遷音速
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ターボファンジェットエンジンのエアインテイクを機体上面に設置するデザインはUAV(無人機)の定番といっても良い形です。人が乗ったコクピットを考慮せずに済み、空戦機動を行わないので大迎え角での飛行状態を考えなくて良いなら、自然とそうなります。RQ-4グローバルホーク、EADSバラクーダ、アレニアSky-Xなど、ターボファンジェットエンジンを搭載するタイプのUAVは多くがこの形式です。

このスペックを見て分かる事は、TACOMはあまりUAVらしくないな、という点です。機体サイズはストームシャドウ巡航ミサイルと同等で、それでいて重量は半分強、エンジン推力は同等です。つまりTACOMの巡航速度はストームシャドウ(1000km/h)より速いと見るべきですが、超音速までは出ないでしょう。TACOMはデルタ翼を採用しており、幅も短く、滑空性は全く良くありません。UAVとして長距離・長時間飛び続けることを目指しておらず、高速性を持って強行偵察任務を達成しようという腹積もりなのでしょうね。その為に主翼は小さく、エンジン出力は機体重量に比して高い機体です。他のUAVとは性格がかなり異なります。
週刊オブイェクトの投稿にこのUAVは巡航ミサイルに発展する可能性の意見が多数ありました。巡航ミサイルなら、着陸装置は不要ですので、このUAVの形が似ているからといって直ちに巡航ミサイルには発展するとは思えませんが、このUAVで培った技術を巡航ミサイルへ発展させる可能性は十分あると思います。 TACOMが当初翼を折りたたむ設計で試作されたことを考えると、巡航ミサイルへの転用も開発の深謀遠慮としてあるのかもしれません。
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全力公試運転中の戦艦大和型『大和』
(昭和16年10月30日宿毛沖標柱間)
http://blog.livedoor.jp/irootoko_jr/
「明るい話題 提供したい」 戦艦大和引き揚げ準備委 意義訴える
 「暗い世相に明るい話題を提供したい」。22日、呉市で開かれた「戦艦大和引き揚げ準備委員会」で、委員長の奥原征一郎・呉商工会議所会頭は、戦艦「大和」を引き揚げの意義を訴えた。構想は、その壮大さの一方、数十億円にのぼるとみられる多額の資金の確保など、クリアすべきハードルも多い。

 委員会は、大和ミュージアムの戸高一成館長、旧海軍や海自OBで作る呉水交会の大之木英雄会長ら5人。
 約1時間の会議の後、記者会見した奥原会頭は「亡くなった乗組員の鎮魂と、不況の今、当時の最高の技術を引き揚げ、もの作りの大切さを再認識するため」などと説明。引き揚げ資金の募金は今年中にも始めたい考え。奥原会頭は「技術的には大和全体を引き揚げることも可能だが、費用が天文学的になる。全体にこだわらず、何を引き揚げるか決めたい」と話した。

 さらに「引き揚げただけでなく、どのように保存するかが大切。今後、発足させる実行委で考えていく」などと述べた。

 引き揚げについて、乗組員の遺族に賛否両論があるといい、副委員長となった戸高館長は「意義を説明し、多くの人が賛成するという環境を整えたい」と話した。

 実行委については、政財界や文化人らに呼びかけ、大和が沈没した4月7日に設立したいという。

(2009年1月23日  読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hiroshima/news/20090122-OYT8T01136.htm

私は、個人的には引き上げに反対です。全体を引き上げるのなら賛成だが、船体の一部だけなら、むしろそっとしておいた方がいいような気がします。海底の墓標として英霊とともにそっとしておいておくべきではないか?「暗い世相に明るい話題を提供したい」のなら、原寸大のレプリカを建造する方がよほど明るい。原寸大の大和を作って軍事博物館にでもしたらどうだろうか?

個人的な思いなのだが、大和は宇宙戦艦に生まれ変わるまで、海底で眠っていて欲しいような気がします。引き上げてしまっては夢がなくなってしまう。そう思うのは私だけだろうか?
経済効果だけを考えるなら、「戦艦大和」より「宇宙戦艦ヤマト」のレプリカを作ってオタクの聖地にでもしたほうが、効果的かもしれませんね。費用の面では、宇宙戦艦ヤマトのレプリカの方が安く出来そうな気がします。

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全力予行運転中の戦艦大和型『大和』
(昭和16年10月20日 宿毛標柱間)

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アメリカ空母艦載機による攻撃を受ける戦艦『大和』
(昭和19年10月26日 捷号作戦時)

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徳山~呉間で公試中の戦艦大和型『武蔵』
(昭和17年6月~7月)

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公試中の航空母艦『信濃』
(昭和19年11月 木更津沖)

【ImperialJapanNavyWARSHIP】
http://blog.livedoor.jp/irootoko_jr/

検索して見つけたサイトですが、見慣れた白黒写真が着色してあります。あまりにもリアルで、感動してしまいます。大和級のほか旧海軍艦艇が駆逐艦潜水艦に至るまで、今まで見慣れた白黒写真が着色されています。帝国海軍ファン必見です!
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この本は、習作でしたが、ロシアとプーチン・メドベージェフの行く末を考えるには面白い一冊でした。2008年プーチンは欧米諸国に配慮し、大統領を任期満了で辞めるかたちをとりながら、任期のない実質的な最高権力者となる首相職に就任した。対外的にはロシアの政治的な進化を見せつけながら、他方でプーチンは絶大な政治権力を手に入れたのである。

プーチン・メドヴェージェフ体制の政治構造を解明すると、そしてその先に見えてくるのは、現在の二頭体制とロシアの伝統的な政治文化の整合性の問題である。本書では、新しい政治現象をテーマに据えることで、逆にロシアに古くから根ざす政治文化を浮き彫りにした。
P107
しかし同時に、民衆のなかの自己矛盾を読みとることができる。というのも、先の世論調査の結果からわかるように、プーチン政権発足後に、汚職がより深刻化していると実感している人が多くいるからである。プーチン政権下で公務員数が急増し、結果的に汚職の蔓延を引き起こしているが、それでも汚職の撲滅をプーチンに頼る以外に方法がないのである。プーチンに期待するか、それが無理ならばあきらめるしかないという閉塞感が人びとのなかに漂っている。
P131
ロシア人は怠け者か
多くのロシア人が以前古も豊かな生活を享受できるようになったといっても・しょせん、その豊かさ美然資源によるところが大きい。だから、ロシア人ははたして欧米諸国の労働者並みの勤労意欲を有するまでに成長したのかどうか、この伝統的疑問が蒸しかえされるのである。逆にいえば、労働一の勤勉さが生活水準を上昇させていると錯覚するロシア人もいる。
P136-137
プーチンはロシアに近代的な生産設備を導入すれば、段階的に国産品が欧米諸国の製品に対抗できる競争力を獲得できるという見とおしを立てているが、多くのロシア人は身のまわりから自国製の商品が消えていることに危機感を高めている。危機感はソ連邦への郷愁にもつながる。
(略)工業製品のみならず都市部の食料品はヨーロツパ諸国から輸入されており、スーパーマーケットの棚の多くは外国製品で占められているのである。(略)
しかし問題は、先にプーチン自身が指摘したように帝政ロシア時代、そしてソ連時代から続く官僚支配の弊害に一因がある。というのも生産設備を導入するにしても、その利権を目論んで官僚たちが口を出すからである。そのよラな事象はプーチンの監視が届きにくい地方に行けば行くほど、顕著のようである。
P140 驚く事に、ロシア太平洋側からシベリアへ抜ける道が一本も無い。P142極東部はヨーロッパロシアと分断され二つのロシアが存在している。P145特に北方領土に住むロシア人にとっては不安で深刻な問題だ。

私がこの本を読んでいて一番印象に残ったのはこの部分である。
「息子はロシアに生まれて幸運だったと思いますか」P149-149
ロシア人のもっとも深奥な悩みはまちがいなく、ロシアに生まれてきてよかったかどうかにつきる。
広大な国土は森林と平原-川によって覆われ、人びとの住む町はまるで大海の小さな点でしかない。その悲愴さは、厳しい自然の猛威で助長される。ロシア人は若いころに遅かれ早かれ、。ロシア人として誕生したことに疑問を抱き、成人しても、さらには死の病床でも問いつづけることになる。その問いにだれかが誠実に答えてくれることもなく、そもそもそのような問いかけに真剣に応じてくれる人もいない。
それでも多くのロシア人は真剣に、ときには大粒の涙を流しながら苦悩を深める。こうしてロシア人はおそらく一生、心にトゲのように突き刺さる解決できない深遠なテーマを抱きつづけることになる。
日本人と真逆の考え方だ。日本人に生まれて幸せだと感謝する国民には想像がつかない。
P172
ロシア人は生きていくうえで必要な規範や指針を盛りこんだ諺をしばしば口にする。そのひとつに「悲しみ多ければ神に近し」がある。人びとは受難の時代をじっと耐え忍び、苦悩を深めたが、その苦しみが深ければ深いほど、神によって救済される日が近いと信じている。苦境に陥るなかで、ひたすらに神の出現を欲していたのであろう。
プーチン人気はこのロシア人の考え方にある。
P185
二頭体制
プーチンの政治支配で生じたひずみは、既存の体制内に吸収されることになる。プーチン体制を維持する一方で、その体制が生んでいる負の側面を見逃すわけにもいかず、現実的な判断として選択肢の幅は広くない。けっきょくのところ、プーチン体制の維持を前提に
いくらかの修正を加えるという隘路を突き進むしかない。こう考えると、プーチンの後継者でありながらも、かれと微妙に違う立場を表明するメドヴェージェフ大統領はプーチン支配に不信感をつのらせる人びとにとって現実的な改革者に映る。
そこで本書では、メドヴェージェフ大統領とプーチン首相が形成する支配体制を「タンデム型デモクラシー」と名づけることにする。タンデムとは日常的には二人乗り用自転車をさすことが多いが、もともとは縦並びの二頭の馬やそのように馬をつないだ馬車の意である。
p191
ロシアで民主主義といえば、プーチンの強権的な政治スタイルを強く響かせる「主権民主主義」に結びつけて考えられる。ロシアに必要なのは強い権力による政治的な安定であり、その目的に適合しない民主主義は切り捨てられるという議論である。ロシアを統一国家として維持することが最大の政治的な課題であり、その路線にそったひとつの政治的な手段としてならば民主主義を受け入れるというのである。
プーチンは欧米諸国と違って民主主義そのものに政治的な価値を見いだしているわけではなく、統一国家を維持するためのどこまでも手段なのである。メドヴェージェフが就任式で民主主義に言及しなかったのは、プーチンの用いる文脈で捉えられることが多いこの用語を避けたかったからだろう。
p196-197
衝突か、移譲か
この差異は将来的に二人のあいだのほころびを生むと予測する見かたがある。
いますぐというわけではないが、メドヴェージェフとプーチンの本格的な権力闘争に発展するのではないかという議論である。
たとえ二十年間に及ぶ個人的な信頼関係が築かれていても、かれらの側近たちが黙っていない。大統領府と政府の権限強化をめぐる権力闘争がかれらの周囲で勃発し、激しい政治闘争を展開することになると予想する。すると二人のあいだに見解の齟齬が広がり、プーチンもメドヴェージェフも自分の側近を守ることを優先する。けっきょく二人を巻きこんで権力闘争は炎上し、タンデムは崩壊することになるというのだ。
もうひとつの予測はメドヴェージェフが少しずつ権力を拡大し、将来的にひとり立ちするのではないかという見かたである。
メドヴェージェフには政治家としての経験が浅く、外交・防衛機関での勤務経験もない。かれが支配者としての政治手腕を身につけるには時間が必要であり、プーチンがいま政治権力を掌握しているのは政権移行期の政局の不安定を回避するためであるという。政局運営が軌道に乗れば、プーチンの有する実質的な政治権限は段階的にメドヴェージェフに移譲され、かれは本格的な政権を樹立することになると見る。ただこの議論では、政権移譲の時期については触れられていない。
前者の議論が現在のタンデム体制の行く末にプーチンとメドヴェージェフの激しい権力闘争を見据えているのにたいして、後者はタンデムをメドヴェージェフの本格政権への時間稼ぎと考えている。両者はタンデムの将来について真っ向から対時する見解を打ち出しているが、はたしてこの二つ、どちらが的を射ているのだろうか……。
P216-217
リベラルな発言を繰り返すメドヴェージェフはプーチンを支持することに疲れ、かれを突き抜けるプーチン支持者の動きを取りこむ。メドヴェージェフはロシア人の30%を占める西欧志向の人びとによって支持されているが、かれらに加えて流出するプーチン支持者を吸収しようとする。
これとは反対に、プーチンはもともとロシア独自の価値観を追求する人びとに支えられているが、同時にメドヴェージェフの西欧的な発言を嫌悪する人びとからも支持を集める。プーチン支持者にとって、欧米的なリベラリストとは優柔不断な政治姿勢をとる人のことであり、プーチンのような権力集中を志向する政治家に、かれらは魅了される。欧米の価値観を受容できない人びとが、プーチン人気を下支えする。構図的に見れば、西欧派のメドヴェージェフとスラヴ派のプーチンという表象が描かれる。
たしかに「タンデム型デモクラシー」は人びとの不満を吸収しあい、既存の政治体制を維持するための効果的な施策かもしれない。大統領の任期が切れたプーチンは首相として政界に君臨しつづけることができるという点としてもこれを卓越した方策と考えるのであろう。かれとメドヴェージェフのあいだにいくらかのスタンスの相違が明らかになっても、その乖離はタンデムの弱点にならない。むしろ逆に強さになると考えられる。二人のほどよい見解の差異が、社会の多様性を吸収する独自のデモクラシーを機能させている。
だから、かりに二人の一体感が強調されたり、その反対にかれらの見解の相違が過度に広がったりすると、二人がそれぞれに生みだす負の要素を互いに回収しあうことができなくなってしまう。プーチンとメドヴェージェフに必要なのは、微妙な距離感なのであろう。要するに「タンデム型デモクラシー」を機能させるには二人の見解の絶妙なズレこそが重要なのであり、このような政治的な戦略は意図的に編み出されているようである。
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ダウ平均(YAHOOブログの検索ワードではダウ平均が検索ワードNO1なので・・・)
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 <日経平均週足一目均衡表> ※画像をクリックしてください

正月明け節分天井彼岸底になるのではないかと思ったが、ダウ平均(日経平均)1月7日9325円が今年の高値になってしまいそうな低迷、冬の曇天と重なり寒々しい。

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 <日経平均日足一目均衡表> ※画像をクリックしてください

日足のダウ平均(日経平均)を見る限りテクニカル的には基準線と転換線がデットクロスし、おまけに遅行スパンまで実線を下抜けています。折角形成されかけた上昇波動雲も萎んでしまったが、目先そろそろ一旦底打ちをする可能性があります。
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 <騰落レシオ>※画像をクリックしてください
 http://www.opticast.co.jp/cgi-bin/tm/chart.cgi?code=0188
騰落レシオ読む限り、今回は50%台まで落ちこむのではなく、80%台で反発するかもしれない。

アジア市場が旧正月の時期を迎えています。中国市場は春節休みで1/26~1/30 が休場です。過去、中国の春節休み中の日本株式市場では外国人投資家が買い越しとなることが多く、株価も堅調に推移することが多かった。節分天井ほどは期待しないが、テクニカル的には目先そろそろ底打ちする可能性はある。

春節期間中の日本株堅調の背景としては、中国をはじめアジアの各市場がまとまって休場になることで、一時的に日本市場に資金が集まりやすいことなどが考えられる。ただ、春節明け後には逆に日本市場から資金流出となり、株価が短期で反動安となることも多いことから注意です。決算発表に対してネガティブな内容は覚悟のうえだが、マーケットがネガティブな材料にどの程度反応するかが注目です。

オバマの就任演説には失望まではしなかったが、オバマ政権の経済運営に一抹の不安を抱いたのは私だけだろうか?1月の最後の火曜日に行われるState of the Union Address一般教書演説の中身に注目したい。
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<USD/円日足>

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<USD/円週足>
http://www.forexwatcher.com/
米ドルの動きにも目が離せない、資本の大量の資本が流出すれば金融緩和を行うことが難しくなる。アメリカにおいては資本流出は起きていない。むしろ流入が拡大している。アメリカは危機と不況に対して金融緩和で立ち向かうことが今のところは可能であり、実際にそうしているということである。となると、円ドルでの円高はやむを得ない副作用だ。
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<ドル円シカゴ筋ポジション>

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<ユーロ/ドルシカゴ筋ポジション>

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<ドル/スイスフランシカゴ筋ポジション>

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<豪ドル/ドルシカゴ筋ポジション>

http://www.forexwatcher.com/
シカゴ筋の為替先物のポジションを見る限り、ドル売りポジションはドル/円だけだ。ユーロもユーロショート スイスフランもスイスフランショートだ。
皆さんはあまり注目されてはいませんがスイスフランとドルの関係をたまには確認して見ましょう。
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<USD/CHF日足>

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<USD/CHF週足>

http://www.forexwatcher.com/
国際社会における永世武装中立国スイスの地位により、スイスフランは「金よりも堅い」といわれ、世界で最も安定した通貨として知られています。国際決済通貨ハードカレンシーとして米ドル、ユーロ、円、ポンドの次ぐ取引規模を有し、その重要性は、ユーロが発足し、通貨の孤島となってしまった今でも、いささかも変っていません。
もし、米ドルがいよいよ崩壊するのであれば、世界の富裕層の資産の逃避先として最後の砦となる通貨です。
スイスフランドル相場を見る限り、ドルからの急激な逃避は起きていません。ドルが暴落した時、米国国債の相場とあわせ、スイスフランの為替レートをチェックしてみて下さい。ドル売りが本物かどうか分るはずです。ちなみに2008年3月14日1ドル=1スイスフランを記録してしまいましたがネ

ユーロとドルの関係を見ても、ドルは売られてはいない、むしろ買われそうだ。
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<EUR/USD日足>

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<EUR/USD週足>

http://www.forexwatcher.com/
今回の世界金融危機は、アメリカが失われる十年になるのではないかという議論があるが、回避される可能性も十分にある。世界の多くの金融危機のうち、十年間回復しなかったのは日本のバブル崩壊だけだからである。日本の場合は金融緩和が遅れたことがその後の回復を妨げたが、アメリカは早期に大胆な金融緩和をしているからである。87-98 年のアジア通貨危機の状況など、急激な資本の流出があって金融緩和が困難になったが、アメリカの金融緩和政策に制約はない。
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200万人以上の人達が首都ワシントンに集まり大統領就任演説を聴いた。そのニュースについて、TVのキャスターは歴史的シーンを目撃しましたとか、熱気が伝わり感動しました、歴史的名演説でしたなど、好意的なコメントをしていましたが、皆本当にそう思ったのだろうか?
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私は、200万人の衆愚を見て、気持ち悪くなった。新大統領が就任する一種のお祭りに集まった観客だと思えばそれまでなのだが、気持ち悪く思った理由は幾つかある。オバマが政権を執ったからといっても米国が抱える現在の苦境はそう易々と解決できるものではない。にもかかわらず、皆、オバマであればこの苦境を乗り越える事が出来る、個人的な不幸も救われるといった信仰にものを感じた。そして、式典開場に集まった人達は宗教的な恍惚感をもってオバマを拝んでいるのだ。

これは、超巨大なカルト教団の集会じゃないか!皆、必死に叫んでいる、オバマ!オバマ!YesWeCan! YesWeCan!・・・念仏以外のなにものでも無い。そう思うととても気持ち悪く感じてしまった。

オバマ就任演説は、今までのオバマスピーチとは違うものを感じた。極度の緊張から宣誓の言葉にも詰まったし、演説の途中に今までのようにあった演説に酔い熱狂する市民のオバマコールも無かった。オバマ米大統領の就任演説原稿首席スピーチライターは、ジョン・ファブロー氏弱冠27歳で選挙戦から代わっていないとのことだが、今回はオバマ自信で書いたとの報道もある。

選挙期間最中には、短いキャッチフレーズと希望の匂いがついた言葉を撒き散らした演説であったが、その延長線上の演説ではなかった。選挙期間中の演説は、有権者の1票を獲得する為に政策の中身より言葉が主の演説であるが、当選後は言葉より中身が問われるもの、演説が変質するのはむしろ当然かもしれない。

今後就任演説で残るとすれば「60年前レストランに入って食事することすら許されなかった男の息子が、最も神聖な宣誓を行うためにあなた方の前に立っている、これがわれわれの自由と信念の意味だ」になるのだろうか?

演説の中身に関し、何か具体的で内容があったかと確認しても、あったようにも思えない。
就任式典終了後、その日のNYダウは332ドル安を示し、翌日279ドル戻したのだから、マーケットはオバマ就任演説に不満を示したように思える。

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この大統領就任式典は、オバマの選挙キャッチフレーズChange より、伝統の重視conservativeが目立った。フィラデルフィアからワシントンまでの、リンカーンが大統領就任の際に辿ったルートを列車で通った。また、このルートは、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺の2年後に、次の大統領に立候補した弟のロバート(ボビー)・ケネディもまた、ロサンジェルスの民主党大会で凶弾に倒れ、その棺が辿ったのと同じ運命のルートでもある。
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リンカーンの就任演説で使用した聖書を博物館から引っ張り出して使用するなど、王権の引継ぎに必要な儀式をしているみたいで、とても時代の変革者のタイプではない。好意的に考えるならば、オバマは、保守的で健全な、アメリカンスピリットの再生を目指しているのかもしれない。だが、米国の危機にリベラルも保守も団結し立向うのなら、むしろ簡素に無駄な出費を抑えるべきだろう。オバマが掲げる大きな政府とは、せいぜい大統領就任式典に70億円近くの無駄使いをする大きな政府なのだろう。新政権の出だしから気前よくばら撒くのだからこの先が思いやられる。
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鳩山総務相が、かんぽの宿オリックス売却問題で異議をとなえた。鳩山邦夫大臣は、福田内閣では法務大臣として、国賊朝日新聞などの妨害工作に凛として臨み、職務責任を全うした。鳩山大臣が法務大臣であった2007年6月に「犯罪対策閣僚会議」が設置され、企業が反社会的勢力による被害を受けることを防止するための指針が策定された。ビジネスや契約書に「暴力団排除条項」を盛り込むことや、反社会勢力データベースの構築。2007年9月施行の金融商品取引法の改正には、反社会勢力を株式などのマーケットから闇勢力を排除するという、強力な官民の強い意思が感じられる。(事実証券会社の約款には反社会的な勢力と判明した場合は、一方的に口座を解約できる条項が盛り込まれている。)鳩山大臣も十分熟知したうえでの、オリックス排除発言であったと思う。もし私が鳩山氏の選挙区であれば、今回いかに自民党に逆風でも鳩山氏に投票したい。日本の政治家も捨てたものではないかもしれない。

今日のヤクザの経済界の進出のきっかけを作ったターニングポイントは、1992年(平成4年)3月1日に施行された暴対法である。

暴対法によって、暴力団員の数そのものは減少し、暴力団事務所の撤去も進んだ。また、対立抗争事件数も減少した。問題は、暴力団員による従来型資金獲得活動=「シノギ」(金融・博打・売春)も困難になったことによる弊害だ。いわば、暴対法という抗生物質に耐性をもつものに変異してしまったのだ。暴対法が暴対法耐性暴力団を作り出す結果となってしまった。

弱肉強食的感覚、仁義道徳を叩き込まれ、鍛え上げられた強固な組織を背景に、組の為自らの欲望の為、腑抜けなサラリーマンより、企業舎弟は金儲けに対してウォール街の連中同様貪欲に、金儲け活動を行った。特にまやかしの小泉改革時代、勘違いのホリエモンらが跋扈した間違った新自由主義的風潮(私は反ケインジアン)は彼らの追い風になった、一般企業社会への進出(企業舎弟の増加)や組織擬装が増加するなど、組織の不透明化・マフィア化(一般人との区別がつかない)が進んだ。ブラックマネーは金融工学を駆使し国際化した結果、山口組の一人勝ち状態となってしまった。

BRICs経済研究所の門倉氏の推計によるとは、日本の地下経済は23兆円に達しているという。新興市場に投資され自己増殖をしていた。ここまで来ると、裏も表も境界が曖昧になりそうだが、暴力団マネーは普通の投資資金と違って「ノーリスク、ハイリターン」の「損を認めないカネ」である。(※暴対法施行前Ddogがお付き合いがあった博徒の流れを組む土建屋の社長さんは、株の負けに関してイイガカリをつけるようなことは一度も無く、極めて男気のある紳士的な方だったが・・・)

マフィアと暴力団のとの違いは、暴力団の方は、道の反対側からでもすぐに判別できる自己主張がある服装や、わかりやすい事務所を構えるのに対し、マフィアは特別な事務所を持たず、普段は一般市民と見分ける事が極めて困難な点にある)

暴対法以降暴力団がマフィア化していったのである。マフィア化は、暴力団本体だけに留まらず、暴力団関係者が経営するフロント企業(その利益は暴力団の活動資金となる)も及んでいる。

フロント企業自体、もともと堅気の企業と見分けがつかない事が多く、新興市場に公開した企業が、暴力団関係企業であってはならない。投資家がフロント企業を判別する事は難しい。暴力団関係者だとわざわざ書く会社側公開資料などあるわけ無い。フロント企業を公開させた取引所側の責任は非常に大きい。

堀江貴文の国策逮捕は、ブラックマネーの資金の流れを白日の下に曝す目的があった、野口英昭氏は東京地検特捜部の重要なキーマンだった。
自殺した野口氏はアイ・シー・エフ(現オーベン)幹部や関係者の資金100億円を香港などで運用していた。その中には出所不明の資金もあり裏社会との繋がりが噂された。

暴力団関係者は、新興市場が出来る前からすでに動いていた。マザース初の上場企業リーキッドオーデオジャパンは、公開前から食い物にされていた。

【リキッド・オーディオ・ジャパンの闇】
http://j_coffee.at.infoseek.co.jp/kabutochou3.html#liquid

関西アングラマネーのキーマンの一人、パチンコ梁山泊の豊臣春國氏、同じく梁山泊のキーマンで、京都駅前の地上げで名を馳せた同和団体役員川上八巳(やつみ)氏、元ライブドア取締役で日本人初のソユーズ観光宇宙旅行者になるはずだった、榎本大輔氏そのほかにライブドア堀江とその周辺の人物たちが、ICFがらみでの入り組んで、いかに錬金術をおこなったか、わかりやすく書いてあります。

【アドテックス事件】
http://blogs.dion.ne.jp/albatross_works/archives/5120068.html
コンピューター関連機器メーカー「アドテックス」が06年4月民事再生法を申請し、違反事件。元副社長の下村容疑者は、指定暴力団山口組弘道会系の元組長(2001年ごろまで)だった。元社長前田大作容疑者(51)は格闘技雑誌「週刊ゴング」の社長も務めていた。民事再生手続き中の06年5~6月、下村容疑者が経営する別の会社から不必要なコンピューターシステム(ERP)を購入し、アドテックスの資産から計6300万円を支払い債権者に損害を与えた疑い。
【ゆびとま事件】
その下村容疑者が06年4月、前田容疑者から、インターネット上の同窓会サイト「この指とまれ!」の運営会社の経営権を取得したうえ、半年後に他社に売却しようとしていたことも分かった。
プライムシステム(現サンライズテクノロジー)事件
マチ金から資金調達して手形が暴力団に流れてしまい闇勢力に乗っ取られてしまった。
マチ金から資金調達した60億円は東証の子会社TCS買収に使われた。

新興市場で繰り広げられた事件簿が書いてある。ただし発覚したものだけで、暴力団に蚕食されている実態に比べれば氷山の一角らしい。

本書は、メガバンクと闇勢力のことに関しても説明がある。

『みずほ銀行で多発する問題融資』の理由は興味深かった。
みずほがデイワンダーランドに不正に融資の問題、TBSのメーンバンクのみずほコーポレーションだが、TBSを買収しようとする楽天に同じグループのみずほ銀行が融資するような構図になってしまったケース、先のスルガや、グッドウィル社など問題が多い企業への融資はみな、みずほが絡む。興銀と第一勧銀と富士銀の3社合併の為、合併後ホールセール(大企業)のみずほコーポレー銀行とリテール(個人中小)に再分割し、支店間の横の連携に欠け、融資の要である審査能力まで極端に低くなってしまいさまざまな問題が勃発している実態がかかれています。

極めつけは巨額詐欺事件を起こし07年10月380億円の負債を抱え倒産した伊豫商事への融資である。保証書の偽造や書類の偽造による粉飾決算を見抜けず、やすやすとみずほ銀行は265億円の資金を焦げ付かせたのである。当然裏社会へその資金の一部は流れている。

みずほ銀行がこのありさまなら、石原都知事が始めた、新銀行東京は、闇社会からすれば、まさに財布代わり、1000億円が消えてなくなるのは、経営の失敗や、行員の無能というよりも、失うべくして失ったようなものだ。私(Ddog)個人的には石原都知事の理念は賛成で、セーフティーネットは必要だと思うが、結果的に闇社会の勢力に対し新銀行の審査能力など無いに等しかったのだ。闇社会と新銀行東京では、最初から相撲にならなかったのだ。

日本の銀行は、多額の焦げ付き、巨額詐欺事件に巻き込まれ、再び貸し渋りを行っている。
しかし問題なのは、中小企業融資や、ベンチャー企業への融資など、リスクを適切に算定できない日本の金融機関のバンカーとしての能力不足に問題がる。その弱点に闇勢力が付け込んでいくのである。

本書は、少し懐かしい平成電電詐欺事件とドリームテクノロジーの件なども取り上げ、とても内容が濃い。
P244
日米同時不況がいよいよ本格化しそうな雰囲気となっているが、不況というのは暴力団など闇勢力にとっては・大きなビジネスチャンスにもなりうる。
多くの場合、闇勢力は経営陣の内紛や経営状態の極端な悪化による資金不足などに乗じて企業に食い込んでくるものだが、不況期にはこうしたことが起きやすくなる。そして、一且企業に取りつけば、僅かに残った資産を売り払ったり手形を振り出させたり、様々な方法で食い尽くすのである。
一方、不良債権化した不動産も闇勢力にとっては大いに狙い目となる。特に銀行などの大手金融機関ばかりではなく、金融ブローカーなど複数の業者が絡んだ物件では抵当権をめぐるトラブルが発生することも考えられるから、つけいる隙ができる。
また、差し押さえ前の所有者から賃借権を手に入れ、それを盾に不動産に居座り法外な立ち退き料を求めるというようなやり方も、バブル崩壊後にはしばしば見られた。現在では暴対法により露骨には出来ないだろうが、暴力団系企業による地上げが復活していることを考えれば、今回のミニ土地バブルの崩壊局面で占有ビジネスが息を吹き返してもおかしくはないだろ。
P246-247
現在の金融界で主流となっているフアンドの組成や証券化のためのSPC(特定目的会杜)を駆使した様々な投資活動自体が、匿名性を大きな特徴としていることもあって、暴力団マネーには格好の隠れ蓑となりかねない。さらに、最新の金融工学のテクニックを用いてデリバティブを利かせることで、匿名化された暴力団マネーは何倍にも増幅される。
こうした資金が、前述した山口組旧五菱会系のヤミ金融グループによるマネロン事件で見られたような手法により海外に持ち出され、タックスヘイブンを絡めることで、極めてトレースしづらくなるのだ。
規制や税金を逃れた巨額の資金が、ものすごいスピードで世界中を駆け巡っているというのが近年の「ファンド資本主義」の大きな特徴だが、闇勢力の共生者となった金融マンたちの協力により、暴力団マネーも完全にその流れに乗っかった形となっている。
そして、海外の秘密口座に隠された暴力団マネーの大部分も、さらなる投資先を求めてホットマネーとして世界中を駆け巡ることになるのである。
すでにこの種の暴力団マネーが中国やインドなどを中心とする経済成長著しい新興国に相当規模で流入していることは、常識となっている。

暴力団は「機を見るに敏」新興証券市場から不動産へ恐るべき情報力で、巨額な資金力を迅速に動かす。逆説的に考えると、ブラックマネーは一種のHOTマネーの役割を演じている。この金融危機でブラックマネーも相当打撃はうけているはずである。しかし、闇経済の住人達は挫けていないはずだ。次の波に備えて、したたかに準備していることだけは、間違いない。
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『「ブラックマネー」副題:20兆円闇経済が日本を蝕む 須田慎一郎 著 新潮社』を読む。
「オリックス―スルガ社―光誉―闇社会」編
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昨年、東証二部上場スルガ社が、反社会的勢力と癒着した地上げを行った事が発覚し、破綻した。また、アーバンコーポレーションを引き金に新興市場上場銘柄が次々と泡のように消えていった。

日本の新興市場を破壊した犯人は、ほりえもんこと堀江貴文と村上世彰が筆頭であげられるが、ヒルズ族と呼ばれた修羅どもと、それを食い物にした闇社会。そしてこの「ブラックマネー」を読むと、スルガ社の後ろで糸を引いたのが、本書では「酒を呑ませたやつ」として、「オリックス」であることを暴露している。オリックスといえば平成の政商、宮内義彦だが、今日日本の格差社会を加速させた小泉政権下の「規制改革民間開放推進会議」座長として、そのA級戦犯である。

ちなみに、宮内義彦はMBAをニチメン時代の早くに取得したアメリカかぶれで(「ウォール街の自爆」でもふれられているような、社会を顧みない強欲な人種)であるとともに、彼は裏社会の総元締め山口組の本拠地がある、神戸出身だ。神戸出身者は皆山口組と関係が有るなどと言っているのではない。本書にも書かれているようにヤクザは、機を見て敏、金の匂いがするところに入り込む習性がある。本書にはかかれていないが、オリックス宮内が一介のサラリーマンだった人物が伸し上がった理由は、裏社会とのパイプがあるようにしか思えない。本書を読むと、直接的には宮内と裏社会との繋がりは書かれていないが、オリックスと裏社会の繋がりが垣間見え、宮内は裏社会のフロントである可能性を否定できない。ちなみに、裏社会は弱肉強食の実力社会、宮内-小泉ラインが作った社会風土だそのものだ。本書を読む限り、オリックスにかんぽの宿を引き渡してはならない!
総務相「納得の可能性ゼロ」 「かんぽの宿」売却問題
 日本郵政による宿泊・保養施設「かんぽの宿」のオリックスグループへの一括譲渡を巡り、鳩山邦夫総務相は14日、総務省内で日本郵政の西川善文社長と会談した。西川氏はオリックスの受注が決まった入札の経緯を説明。弁護士ら専門家による調査組織を社内に置くと述べた。総務相は会談後、「納得する可能性は限りなくゼロに近い」と記者団に明言した。
 オリックスへの譲渡は27社が参加した競争入札で決まった。個別売却では、売れ残った施設の従業員が職を失う可能性がある。
 だが、同日の自民党の総務部会郵政政策小委員会では、オリックスの宮内義彦会長が郵政民営化を推進した点を念頭に「経済人は自らの利益のみを追求するのか」といった批判が出た。民主党の総務部門会議でも「総務相の疑問は至極当然だ」との意見があがった。(07:01) 
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20090115AT3S1401J14012009.html
これは絶対に許してはいけないだろう。鳩山総務相頑張れ!

それでは、本書の中身だが、ベンジャミンフルフォードの軽薄なヤクザと経済の関係を表層的(新聞と週刊誌を読んでいる人間にはなんら目新しい事実が無い)に扱った「ヤクザリセッション」のような机の上で書いただけの本と違い、須藤氏の永年の人脈と足で調べた重みがあるリアルな本だ。

2005年頃から始まった都心のミニバブルは、REITによる強引な地上げによる結果ではあるが、REIT自体は素晴らしい金融商品で、健全に組成運用されたのなら、批判されるべきではないと思う。オリックスも早くからRIET(不動産投信)を手がけていた、オリックス不動産投資法人(REIT)の上場も3番目か4番目で比較的早い時期であったと思う。公開時の目論見書には三軒茶屋のキャロットタワーがでかでかと写真を飾り、オリックス不動産投資法人(REIT)http://www.orixjreit.com/ 自体は何等違法性がないかもしれない。

しかしながら、本書を読むとこそに組み込まれているビルの取得には裏社会を使ったと非難されてもしかたがない。
P2
東証二部上場の中堅不動産会杜スルガコーポレーシヨンから、東京千代田区の秀和紀尾井町TBRビルの地上げを依頼された大阪市の光誉実業という不動産会社が、弁護士資格がないのにテナントの立ち退き交渉を行なったとして、2008年3月に弁護士法違反容疑で光誉の杜長ら十二人が逮捕されたものだ。(略)、要点だけを述べておくと、実は光誉実業は山口組系の有力暴力団の企業舎弟だといわれる会社だったのである。この事件の発覚により、07年夏あたりまで続いていた東京都心部のミニ不動産バブルの中で、上場企業が反社会的勢力に地上げを依頼するという、かつてのバブル時代に頻繁に見られた表経済と闇勢力の癒着の構図が復活していたことが、白日の下に晒されたのである。
p109
それまでスルガ社は共同都心を経由することにより、光誉とは直接的な関係を持たないようにしてきたが、このランディツクのケースではスルガと光誉の直接的な関係が明白となっている。
さらに、この物件の信託目録やスルガが発表した調査報告書の内容を総合すると、スルガはオリツクス不動産投資法人から地上げ目的で物件を受益権の売買という形で手に入れ、地上げ完了後にはそれを「ジヨイントアーク10」に転売しているが、前述した通りこのSPCはオリックス系列だとみられるのである。
スルガからの直接の依頼により地上げを実質的に仕切ったのは光誉で、この会社は警視庁から山口組系の有力暴力団の企業舎弟だと認識されている。
一連の土地取引によりオリツクスサイドからスルガ社へ約49億5000万円の利益がもたらされ、スルガ社から光誉へは諸経費など込みで12億9000万円が支払われた。警察が光誉を企業舎弟と睨んでいる以上、光誉から闇杜会に資金が提供された可能性は高い。
そうなると、地上げビジネスを介在として「オリックス―スルガ社―光誉―闇社会」という、資金の流れが存在した可能性が出てくるのである。
ここまで説明すれば、前述した警察幹部が述べた「酒を飲ませたヤツ」が誰なのかは明白だろう。
和製はげたかオリックスの急成長の原点には、孫正義に誘われ、あおぞら銀行に投資したのが原点であるらしい。あおぞら銀行とは1998年不動産融資の焦げ付きから経営破綻した旧日本債権信用銀行(日債銀)であるが、その設立は1957年旧朝鮮銀行の残余財産で設立された日本不動産銀行であった。日債銀の残した人材と不良債権を元に再びミニバブルを起こし破裂させている。自業自得、一部にはオリックスの経営自体危ぶむ声も聞かれる。(公表されている財務諸表に不正が無ければ、経営危機では無い)必敗朝鮮の法則恐るべし!

本書を読むと、許永中受刑者、田中森一元弁護士(ヤメ検)最後の大物仕手筋西田晴夫、など、闇の紳士達が次々登場し、その暗躍した痕跡を次々に解説し、実に中身が濃い。

ライブドア事件強制捜査2日後に怪死した、元HS証券副社長 野口英昭の事件に関してもなぜ自殺したかの事情が詳細に書かれている。本書では自殺説だ。
時代の兆児(日本人を愚弄した)ほりえもんは国策捜査で逮捕されたが、国策捜査の真の目的は、ほりえもん逮捕ありきであった、その真の目的は、証券市場を財布代わりに使った、闇社会、ほりえもんと宮内氏、裏のマネーの流れの摘発にあった。金の流れ全体を把握していた野口の死は、オウム事件で金の流れを把握していた村井秀夫が刺殺された事件と重なり、自殺であろうと、自殺に追い込んだ裏社会の深い闇を垣間見える。
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第7章 「バブル崩壊にいかに立ち向かうか」

下村博士の卓見

アメリカの双子の赤字に早くから警鐘を鳴らしていた経済学者に下村治博士がいる。下村博士は池田内閣時代に「所得倍増計画」を構想した。オイルショックを契機に「ゼロ成長論者」となり、前川レポートを「日本の健全さを捨てるものだ」として受け入れなかった。1987年には「日本は悪くない。悪いのはアメリカだ」と断言し、レーガノミックスを批判した。
下村博士が指摘したことは次の通りである。
①消費狂いになってしまったアメリカ人と、レーガンの大減税は、虚構に虚構を重ねる経済政策である。
②日本商品はアメリカの異常膨張に吸い込まれ、繁栄しているかのように見えるが、この異常膨張した経済に合わせて設備投資すると、これからは過剰設備がやがて深刻な問題(重荷)になる。
③財政赤字を減らすには、大幅な歳出削減と増税以外に道はない。しかしアメリカは本気で財政収支均衡法をやる気がない。
④アメリカの要求に合わせた日本の内需拡大論は、日本経済を破滅させる。
⑤ドル崩壊の危険性は常にあり、もう日本は何兆円も損をしている。
⑥日米は縮小均衡から再出発せよ。世界同時不況を覚悟するしか解決の道はない。
下村博士がこのような主張をしたとき、誰も耳を傾けなかった。それどころか、潮笑すら聞こえてきた。やがて土地バブルが起こり、それが崩壊して、下村博士の指摘通りになった。だが、その後も下村博士の主張は無視された。それどころか「小泉・竹中時代」になると、まったくのアメリカ型強欲資本主義を追随する思想が日本を席捲し、「勝ち組・負け組」論が人々の心を支配する勢いとなったことは詳述した。
「六本木ヒルズ族」なるものが生まれ、「売るための会社づくり」が若手起業家を魅了し、大ブームとなった。当時の日銀総裁は、やがて逮捕されるヘッジファンド・マネージャーに資金運用を依頼していたことが発覚し、やはり塀の向こうの人となるホリエモンを自民党幹部が代議士になるよう応援する時代になった。
同時に「格差は正しい」、「東京をウォール街のような国際金融都市にし、モノづくりよりも金融国家となることを目指すべきである」といったことが喧伝された。現在も、その延長線上にあり、下村博士が提一言した厳しい処方嚢を受け入れようとする声は、経済界はもちろん、政界の中心からもまったく聞こえてこない。
Ddog:少しだけ、前川レポートを擁護したい。前川レポートが書かれた当時、日米貿易摩擦がピークに達し、日本の内需振興は、経済的な側面より政治的側面があった。前川レポートを一方的に悪者にするのもいかがかと思う。

Ddog:また、双子の赤字批判についても、ではもしレーガンが登場しなければ、米国がこの30年弱享受した繁栄は無く、また、米ソ冷戦は終結せず、危険な核の均衡にたったパワーゲームを展開していたに違いない。新興国は発展せず、ある意味日本一人勝ち経済が続いていたかもしれません。前川レポート(1986年)批判も、その間の日本経済のバブルの興隆とバブル崩壊を考えた場合、単純に前川レポート批判は的を得たとは思いません。内需拡大、市場開放、金融自由化はグローバル化、フラット化しつつある世界経済の流れや、貿易立国である日本にとってはやむを得ぬ選択としか思えない。

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今日の日本は、雇用する側とされる側、銀行と預金者。銀行と企業、企業と消費者、政府と納税者、ありとあらゆる信用の輪が失われ、切れてしまった。だが、日本は取り返しがつかないような状況に追い込まれたわけではない。冷静に判断すれば道が開ける。

日本の政治家は、特にこの「日米という世界一、二位経済連合時代の終焉」を明確に自覚すべきであろう。
この三、四十年にわたって空気の存在同様、当たり前のこととして受け止められてきたことゆえ、頭の切り換えは非常に難しい。しかし、一つの時代が終わろうとしているのだ。
加えて、日本は少子高齢化が急速に進みつつあり、経済が縮小してゆくのは当然のことだ。

日本国内で電車に乗る人の数は、過疎地帯に限らず、多くの地方都市ではすでに減り始めた。今後は家の数も、自動車の数も少なくて足りるのである。スーパーマーケットもコンビニも銀行店舗も、日本全国津々浦々に行き渡り、今後、新規出店を増やして「成長する」ということなどは、もう経営戦略として描けないのである。多くの小売業が、このように「成熟」し尽くしているということだ。
この状況の中で拡大政策は、技術革新をする以外に望めない。市場規模が縮小する日本国内市場だけで商売するなら、毎年0.6%ずつ人口が減ってゆく社会で、どのように縮小均衡点を見出してゆくのかということこそが、経営テーマなのである。

「ゼロ成長」時代の生き方
これからは、内需振興、輸出振興(特にアメリカの浪費を当てにした)ともに、多くを望める状況ではなくなる。
石油の価格は上昇する一方である。多くの資源が同様だし、地球温暖化問題もある。加えて国と地方の長期債務の合計は七百七十八兆円、GDPの約一・八倍と世界で断トツの借金大国であり、これ以上の財政支出で経済を拡大するという選択肢は取りえない。一言で言えばもう「数宇を追っかけること」ができない。すなわち、下村博士が指摘したもう一つのこと、「ゼロ成長」を現実のものとして受け止めなければならないのである。
日本に課された課題は、現実を直視し、アメリカの子分であることも止め(子分であるということは、従属するとともに面倒を見てもらうことでもある)、身の丈にあった新しい生き方を見つけることではないだろうか。「ゼロ成長時代の生き方」、「ゼロ成長時代に目標とする新たな指標」「何を以て成功とするのか、その成功の定義」を自ら見出さなければいけない時代となった。
Ddog:確かに、従来通りの日米関係の見直しは必然てきであると思うが、日米同盟の廃棄には賛成しかねる。「アカシックレコード資本主義は70年毎に戦争でリセットされるネズミ講「70年周期説」を読んで思うこと。」 http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/22294383.htmlにおいても書いたが日米同盟は第三国の脅威から日本を守るためにあるのではない。米国の脅威から日本を守るためにあるのだ。本書を読めば、戦闘民族アングロサクソンの血を引く米国の倫理観の無さを改めて認識されます。米国は、自国の経済政策上の都合で、適当な理由をでっち上げて他国に戦争を仕掛ける野蛮国だ。だから、日本は常に米国の味方でいなければならない。米国と距離を置くような政策を採って、言いがかりを付けられて戦争を仕掛けられない為の日米同盟でもある。その点は、神谷氏と意見が分かれます。子分ではなく対等な同盟関係を模索するべきというのが私の意見です。日本が核兵器を保有することには時期尚早、現時点では私も保有する環境が整っていないとは思うが、短期間で核兵器を作成可能な準備を行い、それを外交カードとして使うべきだと思っております。核兵器の保有する覚悟無しで、日米同盟解体を論じる意見は賛同しない。

以前私は、人口の減少に対して、ある程度管理された、優秀な人材だけを受け入れる、移民政策をやむを得ないと考えていたことがある。人口の減少=GDPの減少だからだ。しかし、日本にこれ以上中国人や朝鮮人を入れるべきではないと考えるようになりました。最近都内を歩いていると、中国語やハングルの会話が聞こえ、どうも生理的に受け付けません。奴らに美しい日本の国土を蚕食されるくらいなら、人口減少の事実を受け入れ、GDPの減少もやむをえないのではないかと考えるようになりました。GDP成長率ではなく、クオリティの高い身の丈にあった経済活動をするべきではないかとも、考えています。また、どうせ移民を受け入れるのであれば、近く滅亡するかもしれないイスラエルの民を四国剣山周辺で受け入れるのも一計かもしれないとも考えるようになりました。
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「フィレンツェよ。成り上がり者と、にわか成金どもが、おまえの中に傲岸不遜の風を生み出し、その為におまえは嘆き苦しんでいる」(ダンテ「神曲」地獄編)

名門投資銀行の一つとされていたリーマンブラザーズが、2008年9月15日に連邦倒産法第11章(チャプター11)の適用を申請し、破綻した。2008年は色々な金融危機本が出版されたが、リーマンブラザース破綻の前か後かで中身の重さが違ってくる。本書は運よくリーマン破綻前後に執筆され、破綻直後いち早く出版された本であった。
リーマン破綻により、本書では「強欲資本主義」と表現されているが「ウォール街資本主義、」の終焉前に出版された経済本は、もはやブックオフで100円の値段で叩き売られてもおかしくはないだろう。その点本書は運が良い。中身も面白い。

著者の神谷(ミタニ)氏は1953年生まれ、早稲田大政経学部卒1975→住友銀行1984→ゴールドマンサックス1992→ロバーツ・ミタニ・LLC設立(投資銀行)NY在住
著者は絵に描いたような、黒い目の外人のサクセスコースを歩んだ、現役のウォール街の住人である。本書を読む限り、神谷氏は良心的なバンカーとしてお客様本位で活動してきたとのことです。確かにお客様本位の仕事をしてきたエピソード満載です。大変面白く、また、机上の空論を振り回すエコノミストには書けない、地獄の蓋の縁を歩んできた叩きあげのバンカーが書いた一冊である。しかしながら、なぜ面白いかといえば、言い方は悪いが、泥棒が書いた、空き巣予防の指南書だからである。誤解しちゃ困ります、著者は実業を営む方たちの名脇役に徹してきた良心的なバンカーです。

金融本来の仕事は、実業の事業構築を助けるのが役目で、「経営の相談に乗るバンカー」であるべきものが、近年のウォール街では「顧客第一主義の原則」は消え、顧客は証券の仕入先か売り先にすぎなくなってしまい、「いかに利益を抜くか」がすべてになってしまった。金融機関の中心にいるのは「スクリーンを見て証券の売買をするトレーダー」達になってしまった。

ずる賢く阿漕な仕事をする輩は昔から存在したが、近年は阿漕なビジネスをしないと職務怠慢とされてしまう風潮がある。

p23宴の終わりの始まり
アメリカの金融機関が抱えた不良債権は、最新情報で一兆三干億ドル一約百三十八兆円一に上っている。毀損した資本金の補填も、そろそろ限界にきている。ベアー・スターンズやリーマン・ブラザーズが潰れ、メリルリンチも商業銀行に吸収合併された。
一つの時代が終わりを告げようとしている。それはまた「一つの資本主義」の終焉の到
来を意味していると思う。
これまでの資本主義、そう「強欲化した資本主義」は一部の人たちが巨大な富を形成し、
一方で大多数の人々が搾取される仕組みと化した。そうした「強欲の仕組み」が崩壊しつ
つある。当面世界経済は縮小せざるを得ず、誰もが苦しい困難な時代を迎えよう。その後
に、万人を幸福にする経済社会を築く仕組みを新たに考え出さなければならない。
P33~35
投資銀行の再編と変質が載っています。 「最近名前を聞かないあの会社はここに買収されていたのか!」と改めて気がつき備忘録代わりにちょっと載せます。

ファースト・ナショナルシティバンク(商業銀行:米)→1998トラベラーズ(保険会社:米)合併→ソロモンブラザーズ(証券:米)吸収

ケミカル銀行(元は化学メーカーだったのが、本業を捨て業態変換し銀行となった)→マニファクチャラーズ銀行(商業銀行:米)買収→チェースマンハッタン銀行を買収→チェースと改名→JPモルガン銀行(商業銀行)買収→ハンブレヒト&クイスト(投資銀行)買収→JPモルガン・チェース(商業銀行:米)と改名→ベアスターンズ(投資銀行:米)吸収

モルガン・スタンレー(証券:米)はディーンウィッター・ディスカバー(クレジットカード・証券小売ブローカー:米)が買収し、モルガン・スタンレー(投資銀行→商業銀行:米)を名乗っている

一時期合併しシェアソン・リーマン・アメリカンエキスプレス社であったものが、分離しリーマン・ブラザース(投資銀行:米)破綻

メリルリンチ(投資銀行・証券:米)もバンカメ(商業銀行:米)に吸収合併

ドイツ銀行(独)→アメックスブラウン(マーチャントバンク:米)+モルガングレンフェル(マーチャントバンク:英)を買収

ドレスナー銀行(独)→クラインウォートベンソン(マーチャントバンク:米)+ワッサースタインペレラ(マーチャントバンク:米)を買収

クレディスイス(銀行:スイス)→ファーストボストン(証券:米)+ドナルドソン・ライフキン&ジェンレット(マーチャントバンク:米)を買収

ソシエテジェネラル(銀行:仏)→カウエン(マーチャントバンク:米)を買収→再度分離
UBS(銀行:スイス)=スイス・ユニオン銀行+スイス銀行コーポレイション{SGウォーバーグ(マーチャントバンク:英)を買収}+ぺインウェバー(証券:米)http://japan1.ubs.com/about/history.html

ナショナルウェスト・ミンスター通称ナットウエスト(商業銀行:英)→カウンティ(マーチャントバンク:英)

ING(保険:蘭)→ベアリングブラザーズ(マーチャントバンク:英)を救済合併

投資銀行の合従連衡がすすんだが、それまでの投資銀行と生き残った投資銀行とは大きく違って変質した。→株式公開→他人の資本受け入れ→多大な借金をしてバランスシートを巨大にしていった。⇒投資銀行はBIS(国際決済銀行)の自己資本規制対象外なので自己資本の20~30倍も借り入れた。→アドバイス業務であった投資銀行自らが投資家となってしまった。

ゴールドマンサックス→株式非公開の無限責任パートナーシップ会社で自己資本をさほど必要としない投資アドバイスをする業務が主→有限責任株式会社⇒1999年株式公開、他人資本受け入れ→巨大なヘッジファンドへと変質していった。

大きな問題の一つとして、チャイナウォールが機能しない点だ
顧客サービス部門と自己投資部門は明確に分離され、万里の長城のように隔てれられ、別会社であると顧客に説明する為の自己倫理規定であったが、顧客サービス部門が得た情報で投資部門が大きな利益を上げるようになり、チャイナウォールが社内的には機能しなくなった。(社内の情報を顧客に還元する事はできない反対方向のチャイナウォールは厳格に機能していた?)

顧客アドバイス業務はリスクが低いが、微々たる収益しか上げられない。一方金融危機までは金融工学を駆使しリスクコントロールに成功した自己勘定投資部門のトレーダーの方が相対的に収益を上げた。→社内的発言力地位が変動→米国はバンカー不足に陥る

これは、目から鱗だ!金融機関が興味があるのは大口取引のみ。→手間がかかる中小企業の小さな取引に無関心→小さな会社を一生懸命大きく育てるかつての投資銀行の精神が無い。(筆者の言いたい事は、自己弁護のようにも見えるが、まさにこの点だろう。)→大手金融機関が顧客向けサービスが機能不全→金融立国のはずの米国にバンカー不足と言う皮肉な結果が生まれた

物が作れなくなったアメリカ

ビックスリー・GEが、かつて化学部門の本業を捨て、JPモルガンチェース銀行になったケミカル銀行と同じ動きをしている。物を作る部門を不採算部門として縮小し、金融部門が収益を上げ、金融部門を偏重してきた。→ものづくりが出来なくなってきた。
逆説的に考えるとアメリカの金融業は物作りができなくなったから発達した。

日本はアメリカのようになるべきではない。→モノ作りで生きていく。金融立国になる必要は無い。私もそう思う。

今日の儲けは僕のもの、明日の損は君のもの

人間には際限の無い「欲」というものがあり、ウォール街の金融機関はその「欲」をコントロールするのに失敗した。金融業で最も大きなリスクは「人」と「人の持つ欲」

Ddog:読んでいてウォール街の強欲は人々吐き気が出るほど倫理が荒廃し、アメリカという国は・・・と思ったのだが、あることに気がつく。米国で一番のエリートはウォール街へ行くが、日本では霞ヶ関へ行く。日本の官僚の倫理荒廃とウォール街の倫理荒廃はエリートによる国家破壊行為だ。ちなみに戦前、大日本帝国で一番のエリートは軍人であった。

結局エリートの失敗の尻を拭くのは、納税者・庶民なのだ・・・。Ddogやはり組織や仕組みは定期的にリセットするのが望ましい。

Ddog:日本の金融行政を見ると、アメリカの後を追って監視しなければいけない点を見逃し、逆にどうでもいい部分は重箱の隅をつつき重箱を叩き壊すような行政を行っている。日本の悪い部分と米国の悪い部分を踏襲しているようにしか見えない。

強欲資本主義のメカニズム
先日「ブラックマネー―副題20兆円闇経済」が日本を蝕む―」須田慎一郎著 新潮社を読んだが、この章でも、日本でも、ほりえもん・ヒルズ族みたいな暴力団資金のカモにされ自社を設立し売り抜けるようなことしか考えない新規公開会社が相次いだ。私Ddogもそういったわけも解らない新興市場の株式に興味がなかった。アンチ:ホリエモンの側でしたので、新興企業アドバイスを求められたときは、私も、経営者の資質を調べるようにお話しました。二階堂ドットコムや論壇など裏の世界に通じているようなネット情報に名前を見かけるような企業は絶対にダメですね。まだ幾つかの企業は退場していません。経営者の資質は、松下幸之助・本田宗一郎の道を歩むか、横井英樹や堤義明の路線を歩むかは、経営者の顔、文章に表れてくる。

この章で印象だったのは、ポールソン財務長官の評判だった。昨年ポールソンが金融危機でバーナンキとともに大車輪の活躍で、(特にECBの利上げを最低限に抑えた功績は非常に大きい。)Ddogとしては彼を財務長官として評価しているが、ボロクソに書かれている。
そりゃ、ゴールドマンを変質させた張本人、並みの大悪人とは格が違う。

MBAの学生が「買収想定価格が高すぎたり、問題企業買収後、経営面に不安が生じると想定した時どうアドバイスしますか」の質問に対し投資部門のヘッドだったポールソンはこう答えたらしい。P106
「顧客が高い金額を出すことになったり、問題企業を買うことは、我々にとってはいいことだ。手数料収入が増えるからだ。買った企業が問題を起こせば、やがて売らなければならなくなる。我々にとっては二度儲かることになる。会社の売り買いを何度もさせるのが当社にとっては一番望ましい」と言ったという。
通常、企業買収の手数料は価格の数%程度である。買収価格が高ければ、それだけ手数料も増える。だから高値で買わせるのが望ましいやり方だというのだ。研修をしただけだったことが幸いした。学生は、健全な心を失わなかった。「こんな阿漕なビジネスはできない」とうんざりしていた。
一方、彼の質問に答えた部門ヘッドは、驚くなかれ、現在は政府高官になっている。彼が政府高官になった時、マンハッタンのあるコーヒーシヨップで、こんな会話が曝かれた、「あんな欲深いヤツが政府の高官なんて、まったく政府の人事はどうなっているんだ」とあるビジネスマンがいうと、「いい人事じゃないか。ウォール街にいる欲深い連中を監視するには、そのなかでも一番欲深い男を政府高官にして監視させるのがもっとも有効だろう。ジミー・カーター一信仰心の強い元大統領一じゃ務まらないよ」と連れの男が応え、二人は「そりゃそうだ」と納得した。

もう少し書評を書きたかったがリミットの5000字を越えそうです、後は面白いので是非読んで下さい。
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http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/22332884.html ②より
http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/22332759.html ①へ
第五部ロシアはどうなる?

日高:最後はロシア問題です。長い間あなたが関わってこられた問題です。石油価格が下がったため、ロシアの影響力が2008年に比べ落ちていますか?

キ博士:ロシアの影響力は、ある程度までは石油価格に関連しているので、その力は低下している。だが根本的な問題は石油問題だけで解決されるものではない。ロシアは人口が減り続けている平均寿命は58歳だ。日本は70歳代後半だと思うが・・・。インフトラクチャーは完備しておらず教育制度は改善と改革、近代化が必要だ。国境地帯は非常に不安定だ。こうした問題を全て合わせればロシアが大きな問題を抱えている事が分る。だが、ロシアがソビエト体制に後戻りしているといっては誇張になる。ロシアはいつも隣国とうまくいかない。ロシアと米国は世界の核兵器の95%を保有している。大災害を起こす力があるが核戦争の問題を解決する力もある。機会と危険という複雑なバランスが続く・・・。ロシアと米国が地政学的な争いを起こすとは思わない。新政権はロシアと良い関係より良い関係を持ちたいと願っている。米露関係が改善される事を願っている。

日高:彼らは強大な核兵器を持っている・・・
キ博士:その通り
日高:通常兵力はなくなりつつある、人口が減っているので予算もない、すると危険になりつつある。ロシア軍の首脳が「核による先制攻撃の戦略を持つ」といいましたが、準備しているのでしょうか?
キ博士:私は核兵器について研究を続けてきた。
日高:その分野の専門家でおられます。

キ博士:50年以上に渡って、私の初期の本の主題がこの問題だった。理論の上では、核による先制攻撃には十分な意味があった。だが実行する立場、政策をつくる立場になると意味が大きく違ってくる。現代の条件化で核戦争を起こすのは第二次世界大戦の終期に一個か二個の核兵器を使うのとは大きく違う。数日間で世界中に数千万人の死傷者がでるのだ、ロシアが先制攻撃を行うとは思わない。相互の自殺行為になる、一方が他方をより多く殺すかもしれない、だが生き残っても仕方がない。

日高:ロシアはなぜ米国がポーランドに設置しようとしているミサイル防衛体制に反対しているのですか?古い領土を守りたい?

キ博士:ロシアはポーランドとチェコのミサイル防衛施設が、攻撃の為に使われるのではないかと考えている。二つの見方があるまず軍事的な見方そして政治的な見方だ、私にはロシアの懸念が理解できる。一方NATOは、NATOの領域を防衛するのをロシアが阻止する事は許せない。NATOの影響力を損なう事になるからだ。話し合いによってチェコとポーランドから攻撃を受けネイとロシアを説得する事は可能だと思うが、防衛網設置をあきらめるわけには行かない。

日高:ご専門の歴史の中でも長い間問題になっていますが、ロシアは中国とどのような関係にありますか? 

キ博士:ロシアは中国と如何なる関係にあるか?非常に複雑だ。まず現在ロシアがアジアに持つ大きな領土は19世紀に中国から取り上げたものだ。次に人口の差が甚だしい。
中国に接するロシアの6つの県には600万人が。住んでいるが、ロシア6県に匹敵する中国の県には1億2000万人が住んでいる。シベリア全体に済んでいるのはたったの2400万人だ。中国には10億人以上住んでいる。心理的な不均衡をもたらしている。一方、中国とロシアは米国に対抗する時に手を結ぶ。だが自然な同盟ではない、そう扱われた事はない。

日高:2008年にプーチンは米国に敵対的でした、これは中国に近付いている事を意味しているのですか?

キ博士:色々な違いがあると同時に協力し合うという関係なのだ。だが、アメリカに敵対する為のロシア中国同盟ではない。中国が自分の利益を考えるなら米国と敵対しようとは考えないからだ。

【2009年10の予測】

日高:いつものように2009年10の予測を伺います。っまず新大統領の人気は何時まで続きますかハネムーンは、どれくらい続くでしょう?

キ博士:ハネムーンは普通2.3ヶ月で終わるが、オバマ大統領は今年末になっても人気があるだろう。

日高:次に彼の仕事です、彼は未経験で国際問題を知らないと言われています。失敗をやりますか?彼の基本的な国際政策とは何ですか?強硬派?妥協派?

キ博士:これまでの大統領とまるで違う大統領の政権の始まりだ。以前の彼の主張は普通より弱く見える。だが彼のチーム構成を見れば強くなる可能性を持っている。強い外交政策を取ると思う。
日高:強い・・・。

日高:2009年米国経済ですが、失業率が高くなり景気は更に悪くなるといわれています。そう思われますか?

キ博士:年の前半は大変だろう、後半は回復が見られる。
日高:良くなる?
キ博士:良くなる・・・。

日高:米ドルの予測は難しいと思いますが弱くなりますか?
キ博士:経済が回復に向かえばドルは強くなると思う。
日高:強くなる・・。

日高:石油はどうでしょうか?2008年夏に比べると極端に安くなっています。1バレル50ドル以下になるでしょうか?
キ博士:石油は今年後半には75ドル程度で安定すると思う。

日高:中国です。若者や反政府活動家達が騒動を起こしますか?反政府運動が起きる?

キ博士:中国は国内で難しい問題が起きるが、若者達が大規模な反政府運動を起こすとは思わない。だが国内情勢が難しくなる。

日高:北朝鮮については既にお聞きしました。2009年北朝鮮は国を維持できますか?何か起きますか?

キ博士:あのような国では何が起きるか誰にも分らない。だが北朝鮮政府は国を維持するのがこれまで以上に非常に難しくなる。
日高:なるほど。

日高:ブッシュ大統領がいなくなり、彼らは活動的になってアメリカに奇襲攻撃をかけるのでは?

キ博士:奇襲攻撃というのは奇襲だから誰にも予測できない。テロリスト達が世界的なテロ攻撃を行う可能性はなくなりつつある。攻撃がないといっているわけではないが、テロリスト達は干渉を受けずに訓練所や本部をつくれなくなっている。大規模な攻撃はないが小規模な攻撃は続くだろう。

日高:アジアから米軍の撤退が2009年に始まりますか?

キ博士:アジアの米軍の大部分は2009年、これまで通りの展開を続ける。

日高:全体的に見て、2009年はどのような年になりますか?

キ博士:2009年は非常に複雑な年になる。大きな危険がある、だが同時に大きな機会に恵まれる。私は驚くほど楽観的で2009年初めには多くの困難があるが終わりまでには進展がある。

日高:経済が良くなる機会もある?

キ博士:経済が良くなる機会、工業国が協力し合う機会、核兵器拡散問題が進展する機会、エネルギー問題で協力し合う機会、そういった機会が訪れる。あらゆる機会に恵まれるとは言わないが我々全員が難しい時期にある。現政権が終わろうとする時に大きな危機がやってきたが、現政権は動きが取れない、間もなく終わりになるからだ。2009年はムードも調子も変ってくるだろう。

日高:有難うございました、来年もこの番組にきていただきたいと思います。
【テレビ東京】
http://www.tv-tokyo.co.jp/program/detail/13470_200901041600.html
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http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/22332759.html ①より
第三部:イランは核兵器を持つか?

日高:2009年イランは核兵器を持つようになるでしょうか?

キ博士:持たないよう願っている。イランの核化は世界平和に対する脅威だ、そう考えなければならない。アメリカだけの問題ではない。我々よりロシアインド中国などは距離的に近く、危険な立場に立たされる。

日高:イランの宗教指導者は核兵器の製造を決意しています。どうやってやめさせますか?

キ博士:アメリカではイランと交渉するべきだという統一見解がでてきている。圧力を強めるにしても、米国民にあらゆる努力をしている事を示す必要がある。話し合いの努力をするべきだ。だが、イランに圧力をかける場合は国際社会の意見統一を図らねばならない。今、言ったように国際社会の方が米国よりも脅威に曝されるのだから・・・。

また、話し合いにはイラク・アフガニスタンなど同じ懸念のある地域を加える必要がある。だが、イランのシャーに友好的だった米大統領達について、批判される覚悟しておかねばばらない。

そうだとしてもこれは個人的名問題ではない。イランのシャーに便宜を図ったわけではない。国際体制安定の要素として強力で豊かなイランが大事だという考え方を反映しただけだ。イラン現政府は、我々が国際社会の利益を基盤として同じ様な関係を新しいイランと結ぶ用意がある事を理解しなくてはならない。数十年の記録から見て、私が話し合いに希望を持つ理由がここにある。

日高:イランは中東全体に影響を及ぼしたいと思っています。これが彼らの究極的野望ですか?

キ博士:究極的な野望にはなり得ない。1つはっきりさせておくが、世界のいかなる先進工業国も、中東の石油生産、エネルギー生産を一つの政権に独占させることは許さない。そうした前提から出発すればエネルギー消費国が協力し合う基盤が出来る。

イランともだ・・・イランの原子力発電に反対する必要がなくなるからだ。我々が反対しなければならないのは、核燃料の再利用だ。だがこれは世界中で問題になる。我々がイランに譲歩すれば、サウジアラビアやエジプト、トルコもやりだして収拾がつかなくなる。

日高:オバマ大統領はイラン指導者と直接話し合いたいといっています。もっとニンジンをやれば核兵器開発をやめるだろうと言っています。そう簡単にいかないと思うのですが・・。

キ博士:ホワイトハウスの外にいる時は中にいる時よりも事が簡単に見えるものだ。勿論話し合いは複雑なものになる。イランの安全保障、周辺の国々に絡むイランの利益や、産油国にかかわる米国や他の国々の利益も絡ませなければならない。だが、歴史を見ると、新しい国際体制を作らねばならない時がある。他の時代の方が良かったとはいえないのだ、これが現在、我々が住んでいる時代なのだ。

日高:でも、キッシンジャー・チームとも共和党ブッシュ・チームともかなり違っているようです。敵対的名な中東の国に対して十分に強い姿勢をとれない・・。

キ博士:私はブッシュ大統領の友人だ、大統領には幾度となく会い、それを名誉だと思っているし、大統領を高く買っている。彼は任期が始まった当初に厳しい試練があった。間違いをやったかもしれない・・・。オバマ大統領はブッシュ大統領がイラクで遂げた成功を基盤に出来る恩恵を与えられた。イラクについてはやるべき事をやった。今後は、さらに厄介なパキスタンやインド、アフガニスタンに取り掛からねばならない。

第四部北朝鮮は崩壊するか

日高義樹:北朝鮮について伺います。北朝鮮との交渉は難しく、大統領は皆、騙されました。若く未経験な大統領が登場しましたが彼もまた騙されるのでしょうか?

キッシンジャー博士:ひどく騙したわけではないがある程度は騙した。とにかく試行錯誤でやってきたのだ、ある時は交渉し、ある時にはしなかった。交渉した時、米国は時に辛抱強くなり過ぎ、ある時はには辛抱が足らなかった。

米国はたくさんの間違いをやった。核問題を話し合うときにマカオの凍結資産をどうすべきか一年間も討議していた。北朝鮮が核兵器の開発をあきらめたくない事は明らかだ。日本、中国、アメリカそれにロシアと言った周辺国すべてが、単一の画期的な政策に同意した時にのみ、あきらめるだろう。

オバマ大統領が次のような事実を理解しているよう願っている。もし交渉が終結するまでに北朝鮮が8個あるいは何個でも核兵器を持つことになれば、新しい事態が生じてくる。交渉をしながら核兵器を造り続けてよいと認められたことになるからだ。これはあなたがたの方がよく知っているだろうが、日本に大きな影響を与える事になる。オバマ政権の最優先事項は彼らの核兵器を廃棄させる事だ。また騙されるか?そうならないよう願う。

日高:問題はブッシュ政権は中東や他の事はではうまくやりましたが、北朝鮮に対しては大幅に譲歩しました。後継者のオバマ大統領は交渉を始めるに当たって重大な問題を抱える事になると思うのですが・・・。

キ博士:大幅に妥協したというのは公平な言い方ではない。だが交渉を引き延ばし過ぎたのは確かだ。日本に対する配慮も十分ではなかった。オバマ大統領がその点を正すよう願っている。ナポレオンがこう言った「ウィーンが欲しければウィーンを奪え」。核兵器が狙いなら核兵器に集中すべきだ、

日高:2009年はどうなるでしょう?北朝鮮は国を維持できますか?

キ博士:北朝鮮は難しい時にきている、予測は難しい。専制主義というのは堅固で東欧がそうだったが、同時にあっという間に崩壊する。日本、韓国、中国、アメリカは政治的に妥協し合う事が大切だ。しっかりした安全保障上の対策をとり、大混乱を起こしそうな国を巡って対抗し合うような事は防がねばならない。

日高:するとアメリカ政府、オバマ政権は、朝鮮半島の新しい情勢に備えているのですね?北朝鮮と韓国と言った事ですが・・・。

キ博士:北朝鮮情勢がどうなるか分らないが、もし何か起きたらアメリカ中国日本韓国が影響を受ける。こういった国々は、危機的な状況に備え、必要とあれば同じ対処法について話し合っておかねばならない。

日高:すると、あなたはオバマ政権が着た朝鮮問題については六カ国協議というやり方を維持すると希望されるわけですね?

キ博士:私は二カ国間協議よりも六カ国協議を支持している。六カ国協議ならば利害関係のあるすべての国に役割が与えられるからだ。二カ国間交渉だと米国が自分の利益のために交渉していると疑われたり、他国の利益を無視していると言われたりする。私は常に二カ国間交渉よりも六カ国協議を支援してきた。

日高:日本人としての私の観察では、カーター大統領クリントン大統領は北朝鮮に同情的でした。私の観察は間違っていますか?

キ博士:彼らが北朝鮮に同情的だったとは思わない。緊張を避ける事に力を入れただけだ。だが、ある程度の緊張が無ければ達成できない目標がある。オバマ大統領がこれまで以上の事をやらなければ北朝鮮が6~10個の核兵器を製造するという現実と向かい合う事になる。そうなれば、私が何度かこの番組で繰り返したように、日本は自分の安全保障について考えるようになり、韓国も自国の安全を考えるので新しい状況が生まれてくる。そうした事は避けなければならない。

日高:それに関連しますが、米国の大統領は皆在韓米軍を引き上げたいと考えてきました。オバマ大統領も米軍を朝鮮半島から引き上げたいと考えていますか?

キ博士:聞いた事がない。やるとすれば驚きだ、彼はやらないと思う。韓国から米軍が引き上げれば新しい問題が生まれてくる。韓国の立場はどうなるか、在日米軍の立場はどうなるか・・・。中東で米軍の展開について問題を抱えている時に新たにもう一つの問題を作り出す事は考えられない。それは後で考える事だ。今ではない。

日高:でもアフガニスタンでもっと部隊が必要です。韓国から撤退する必要があるほかには場所が無い・・・。

キ博士:イラクの部隊を持っていける。それにアフガニスタンに必要な部隊はそれほど多くはない。アフガンに送るのは2万~2万5千だ、大国にとって大して難しい問題ではない。

日高:すると2009年に、朝鮮半島で大きな変化は起きないと思っておられる?

キ博士:北朝鮮が急速に崩壊して情勢が変ったり、核兵器について協定が成立すれば変化が起きるだろう。

日高:可能性は高いですか?
キ博士:そうなる可能性はある。


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@ウォルドルフ・アストリア・ホテル

日高義樹:全体的に2009年はどのような年になりますか?

キッシンジャー博士:非常に複雑な年になる。大きな危険がある。だが大きな機械に恵まれる。私は驚くほど楽観的で2009年初めには多くの困難があるが終わりまでには進展がある。

第一部オバマ大統領はアメリカを救えるか?

日高:去年と同じように2009年がどのような年になるか伺います。まず、アメリカの問題です。オバマ大統領はなぜ国民にこれほど人気があるのでしょうか?

キ博士:アメリカの人々はアフリカ系アメリカ人が大統領に選ばれたという事実に誇りを持っている。アフリカ系アメリカ人が大統領が候補になった事はなかったが、「変化」というメッセージを携え彼は候補になり当選した。彼はアメリカジンの心構えや希望、そして民主主義システムが驚くほどうまく機能した事に対する誇りを反映している。

日高:彼は変化をもたらす、経済を変えるといっています。公共事業に予算を投じるといいましたが、マスコミは彼の新しい政策が、Fルーズベルトと同じように経済を活性化させるといっています。彼はルーズベルトが1930年代にやったような事を実行するのでしょうか?

キ博士:オバマ大統領が経済を活性化させようと努力するのはそのために選ばれたのだから間違えない。ルーズベルトとの比較はむしろ心理的なものだ。ルーズベルト大統領は非常に難しい時期に大統領になり、大胆な計画でアメリカ人に希望を与えた。わたしもそう思うが、オバマ大統領はおなじ機会を与えられたと信じている。おなじ問題ではないし、方法も同じではないだろう。だが、アメリカ人に新しい希望を与え、アメリカ社会に新しい方向を与えた点でルーズベルトと非常によく似ている。

日高:この経済状況は1297年に似てますか?それとも大きく違っている?

キ博士:貪欲が常識的な計算を圧倒し大きな危険を冒させる点では、どの危険の原因も同じだ。その点では同じだ。だが、ある点では違う、1930年代には大きな工場があった、経済が回復するにつれ産業も回復した。今我々のいる時代は非工業化が進んでいる。今度の危機はほとんど金融界で起きているが、雇用を推進するような大きな工業が無い、サービス分野で経済を推進するのは、工業分野でおこなうよりも難しい。

日高:ルーズベルトは経済を回復させるためにニューディール政策を実施したといわれてますが、世界の活性化の決定的要素になったのは、第二次世界大戦でした。第二次世界大戦と同じ効果を与えるには何をしたらよいでしょうか?

キ博士:また戦争をおこすわけにはいかない。問題は経済が戦争無しに回復したかどうかだ。徐々に回復していたか、あるいは戦争が起きたときにまさに回復をはじめていたのかもしれない。だが戦争によって工業製品の膨大な需要が生まれたのは事実だ。問題は今回の莫大な好況資質が人々の購買意欲を刺激し、銀行が貸し出しを開始するような心理効果をもたらすかどうかだ。銀行の貸し渋りという現況をあらためなければならない。

日高:博士はよく歴史をご存知でいらっしゃる。歴史上2009年に似た例がありますか?2008~2009年をどう分類されますか?

キ博士:歴史上、類似する例はみあたらない。世界各地で同時に変化が起きしかもお互いに関連しあっている。19世紀のおわりまではアジアの発展はヨーロッパの発展とは無関係だった。あるいは単一的にヨーロッパの影響を受けていた。だが今、アジアで起きている事、中東で起きている事、ヨーロッパで起きている事はすべてお互いに関係しあっている。動きが同時に起こる、これは以前にはなかったことだ。中国が興隆し、世界の重点がアジアに移ると同時にイスラム聖戦革命が続く。その上に、エネルギー、環境、核拡散と言った重要な世界的問題が立て続けに起きる。

日高:では2009年には何が起きるでしょうか?1971年を覚えておられますか?金本位制を撤廃し、1980年には広大な国有地をサウジアラビアに売りました、今度は何ができますか?オバマに何ができるでしょうか?

キ博士:彼に何が出来るかわからないが、彼が金融システム改革の責任者にした人々は極めて優秀だ。ラリー・サマーズはアメリカで最も優れた頭脳を持つ一人だ。ティム・ガイトナーは私の下で働いていたのでよく知っている。ポールボルカーは誰もが認める偉大なエコノミストだ。我々は国際金融体制を立て直さねばならない。第二次大戦後につくられた国際金融体制は、おおむねアメリカが単独で決めたもので優勢なドルが基盤になった。この状況は変るだろう。各国の通貨が、同等の地位を持つようになる。アメリカ以外の国々が金融体制でより重要な役割を務めるようになる。2009年に、この新しい体制の構築が始まるだろう。

日高:オバマ政権の金融チームは信頼できる。2009年に何かすると期待されるわけですね?

キ博士:並外れて優秀なチームだ!勿論、これは新しい状況で、間違いをやるかもしれないが、これ以上優秀なチームは考えられない!

第二部:中国は混乱するか?

日高:今度の経済危機に対する中国の反応についてうかがいます。中国はどうするでしょうか?

キ博士:他の国々と同じように経済危機は中国にとって大きな衝撃だった。中国は米国が時々政治的に常識外れの事をやるのは知っていた。だが、国際金融システムは米国によって効率的に運営されていると考えていた。今や彼らの投資と世界的なシステムが投機の対象にされたために、世界的な重大事を引き起こした。中国にとっては衝撃的な経験だ。中国の輸出が根本的な影響を受け経済体制を、ある程度作り変える必要が出ている。海外投資を国内の雇用とインフラに回して、問題を解決しようとしている。米国と同じ努力をしている。

日高:輸出奨励策がなくなった?

キ博士:なくなったわけではない、他に優先してやるべき事が出てきた。
日高:国内で?
キ博士:国内の優先事項だ。

日高:どうやって国内消費を促進するのですか?依然としてまずしいでしょう?

キ博士:中国の国内消費が少ないのは、中国人が貯金を沢山するからだ。国内に資金が流入しても、危機が来るとわかれば、さらに貯金してしまう。国内消費を増やすのはやさしいことではない。他にも問題がある。中国内陸部では一人当たりの収入が非常に少ない事だ。中国は難しい時代に入るが、何とか乗り越えると思うが難しい。

日高:外国から輸入を迫られるという問題もあります。中国は金本になり国内消費が増えていると思われています。「我々の製品を買わねばならない」と迫られるデトロイトの車を・・・?

キ博士:あらゆる国にとって試練なのだ。無論、我々は中国の状況を理解しなければならない。日本・中国、誰もが態度で示さねばならない。国際化というのはお互いの国を考える事を意味しているのだ。中国は米国の必要とするものを理解しなければならない。だが今、起きている問題を利用していると思われないように注意せねばならない。「西側はいつも中国を利用する」という印象を中国が持つ可能性がある。中国は出来る限り輸入政策を維持しなければならない。だが、我々も中国にかける圧力を規制しなければならない。

日高:するとデトロイトの中国叩きをあまり心配してはおられない?

キ博士:中国叩きには断固反対する。中国は4000年を生き延びた国だ、将来にわたってこの同じ地球上で中国と共にある。中国叩きは短期的な政策で長期的な政策ではない。

日高:2009年米中関係はどうなりますか?ブッシュ政権は貿易とビジネスでは中国を甘やかしましたが、ブッシュ大統領は核拡散問題では厳しい姿勢をとりました。どのような関係になるでしょうか?

キ博士:米中関係は多かれ少なかれ今の状態が続くだろう、さらに良くなるかも知れない。ニクソン大統領が中国を訪問してから8つの政権を経過したが、どの政権も最初は中国と距離を置こうとした。だが指導者達は、中国は世界のなかでカギとなる国の一つであり、良い関係を持つことがアメリカの為になると悟るようになった。従って中国との対話はオバマ政権の外交政策の重要な部分になり、協力して問題をかいけつしていくと期待している。

日高:すると米中関係は、オバマ大統領の下で安定を続ける?

キ博士:安定を続けると期待している。オバマ大統領が半年のうちに中国に対して積極的に動かなかったら私は驚く、中国を訪問するかもしれない。

日高:それは世界のために良い事ですよね?

キ博士:そう思う。私は彼が任命した政府高官達を大勢知っている。その何人かとははなしをしたがオバマから直接連絡を受けた事はない。


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