Ddogのプログレッシブな日々@ライブドアブログ

政治経済軍事外交、書評に自然科学・哲学・聖地巡礼・田園都市ライフ、脳の外部記憶媒体としてこのブログを利用しています。2020/11/30以前はGoogle検索でキーワードを入れると常に上位にありましたが、日本のトランプ大統領デモを紹介した記事が米国でバズって以降検索アルゴリズムから排除され検索ヒットされにくい状態です。是非ブックマークをお願いします。このブログをご訪問していただいた方の知識や感性として共有できれば幸せに思います。

2009年04月

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                             [第三使徒サキエル]

人類は太古の昔より病原菌に襲撃され淘汰を繰り返してきた。ウィルスという神の審判により生存を許され、運よく生き残っているのが我々だ。ウィルスと人類は太古の昔より聖戦を戦ってきた。
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例えばネイティブアメリカンを絶望的状況に追いやったのは、白人達が土地を奪い更にカスター将軍の奇兵隊がバンバン銃で撃ち殺したからではない。白人がヨーロッパから持ち込んだウィルスだったことはもはや定説である。
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紀元前5世紀地中海都市国家群のリーダーアテネは全盛を迎えていた。ライバルのスパルが盟主のペロポネソス同盟と戦争を始めたが、アテネは包囲されていた頃エチオピア方面から入り込んできた疫病(チフスや猩紅熱に似ているが今日の病気ではない)で人口の半分が死亡し、結果その後の地中海の歴史は変わった。歴史書では、スパルタの兵士には罹らずアテネ市民ばかりが倒れたとある。まるで神が罰を下すように、ウィルスは特定の遺伝子を持つ人間を選好して発症することもあるのだ。
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英雄ナポレオンが20年間不敗の栄光の記録を保持して、1812年ロシアに30万の軍隊が侵攻した。ところがロシアに到着できたのは9万人に過ぎず、その9万人も有名な冬将軍に完膚なきまで叩きのめされ悲惨な末路をたどった。慣れぬ雪道に足を取られ補給が拙かった点もあるが、虱(しらみ)の大量発生による発疹チフスがその大敗の原因であった。日本のインパール作戦や南方で多くの日本兵の命を奪ったのは連合軍の銃弾ではなくマラリヤによる病死であったのだ。

ヒトの病原菌とのかかわりは黒死病(ブラック・デス)=ペストのことを語らなくてはならない。

村上陽一郎の『ペスト大流行』岩波新書
「ちょっと病人と話をしたり、ときどき訪ねて行ったりしただけでも、健康体に感染して、同じように死んでしまったり、甚だしきは、病人の着物とか、病人のさわったり使ったりしたものはなんでも、それにさわると、たちまち感染するのでございました。……一日千人以上も罹病しました。看病してくれる人もなく、何らの手当を加えることもないので、皆果敢なく死んで行きました。また街路で死ぬ人も夜昼とも数多くありました。また多くの人は、家の中で死んでも死体が腐敗して悪臭を発するまでは、隣人にはわからないという有様でした。
上に述べましたような移しい数の死体が、どの寺にも、日々、刻々、競争のように運びこまれましたものですから、…墓地だけでは埋葬しきれなくなりまして、どこも墓場が満員になると、非常に大きな壕を掘って、その中に一度に何百と新しく到着した死体を入れ、船の貨物のように幾段にも積み重わて、一段ごとに僅かな土をその上からかぶせましたが、しまいには壕もいっぱいに詰まってしまいました」

古代から欧州は4回ペストのパンでミック( pandemic )を経験した。

ペストが、最初にヨーロッパを襲ったのは、西暦542年~548年にかけて東ローマ帝国の首都コンスタンチノープルが、ペストの最初の洗礼を受けたのである。

わずか四ヶ月のあいだに20~30万人の死者を出し、東ローマ人全体の半分が死んだとさえ推定されている。当時の皇帝ユスティニアヌスの悪政のせいだということで、ユスティニアヌス病と名づけられた。

股(また)の付け根や脇(わき)の下のリンパ腺がはれあがり、全身に暗紫色の斑点があらわれて、ひどい膿疱(のうほう)ができる。中世ヨーロッパで名づけられた黒死病という名称は、死体の膿疱の「黒さ」からきている。

症状は急性で、1日から6日の潜伏期の後、あっというまもなく40度以上にも達する高熱を発し、熱のために脳神経系までもが冒されてしまう。ノミが媒介するペスト菌が原因である。

このため、ギリシア、ペルシア帝国、ローマ帝国と、もともとヨーロッパよりはるかに先進文化圏だった地中海沿岸は、この後、長いこと西ヨーロッパや北ヨーロッパに遅れをとることになる。7世紀、イスラム帝国は、この地中海沿岸の混乱に乗じて、かすめとるようにしてこの地域を占領したが、ペスト菌まで占領してしまった。ペルシャのクテシフォンに大流行が起きた(628年)。東ローマ軍に敗れたペルシャはペストに苦しめられ、ついにサラセンへ滅ぼされることになる。

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最大の流行は14世紀のもので、当時の全人口(1億人)のうち3千万人近くが黒死病で死んだと推定されている。ヨーロッパ中世に終焉をもたらした真の主役は、ほかならぬペスト菌だった。

【村上陽一郎の『ペスト大流行』岩波新書】
http://www7a.biglobe.ne.jp/~monadon/books150.htm
大流行の端緒は中国(元)だった。1320年代の終わりから天候不順が続き、1334年に杭州で大地震が起こり、この時「悪疫」で500万人が死んだとの記録がある。これが天山北路経由で西に持ち込まれた。1337年にはクリミヤ半島やエーゲ海沿岸でペストの流行が見られた。1347年にはコンスタンチノープルや地中海の主要な港町に広がり、アビニヨン、フィレンチェ、ロンドンに伝播した後、スエーデン、ポーランドそしてロシアまで拡大している。この時代の欧州人口は1億人とされるが、2500~3000万人がペストで死んだと推定されている。
結局、14世紀のヨーロッパ全体で2500~3000万人の死者が出て、全人口の1/4ないし1/3が死んだ。イタリア全土では1/12の人が死に、1349年 黒死病(ペスト)の大流行イングランドでは、全人口の半分もの人間が死に絶えてしまった。
ペストによる人口の激減は、ヨーロッパの中世農村社会の仕組みを根本からくつがえすことになった。ドイツの一部地域などでは、耕地や居住地が放棄される「廃村」現象がみられた。さらに、労働人口の激減の結果、労働者の賃金が上昇したのに対して、食料・穀物需要の減少は農産物価格の下落をひきおこしたので、農村における領主の所領経営(→ 領主制)は危機におちいった。これが14~15世紀のヨーロッパ社会を特徴づける「農業危機」とか「封建領主制の危機」とよばれる事態である。
【黒死病】
http://jp.encarta.msn.com/text_761572742__1/content.html

ペストは全ヨーロッパ~アラビア~中国に広がり、10年~14年の周期で流行を繰り返した。つまり、ペスト菌は、ある時、一気に活性を高めて大量にヒトに感染し致死させ、ヒトの免疫性が高まっているあいだは潜伏して、再び登場するという歴史を繰り返した、というわけである。

ヨーロッパにおける黒死病とヒトとの関係から、今日のヨーロッパ人は、ペスト菌が宿主として、「好む」タイプの人たち、すなわち感染してはいれるけど、発病しない人びとや、発病しても死なない人びとだけが残された。

病気は必ずある種の体質の人びと、ある一定の遺伝上の特質を持つ人びとのグループを直撃するこのも記録されている。つまリ、ウィルスやバクテリアが登場して活躍すると、死ぬべき体質の人は死ぬ。生き残った人の免疫は高まっており一旦鎮まる。しばらくすると、また発病すべき体質の人が出て死亡する。

その病原体たるバクテリアやウィルスをヒト全員に故意に接種したとしても、発病率は絶対100%にはならないし、もちろん、体力のあるなしが発病に影響することはあるが、100%の致死率には至らない。そうやって人類は病原菌やウィルスと戦って、淘汰され生き残ってきたのだ。

ヨーロッパであれだけの人が死んだということは、ほぼ100%の人が感染していたはずで、だとすれば、生き残った人は、ペスト菌という神か閻魔の審判によって生を許されたのかもしれない。大多数の宗教が崇め奉っている神とは、ペスト菌かもしれないのではない。
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日本の北里柴三郎がペスト菌を発見したのは、19世紀末の歴史上最後の大流行の最中であった。ノーベル医学賞の第一号となっても何等遜色のない偉業であったと思うが、西洋以外野蛮人の国だと思っていた時期に、ヨーロッパ人の天敵を東洋人に発見されたのは屈辱であったのかもしれません。
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ペスト菌が人類の手によって克服された後、神は新たなる使徒「インフルエンザ」を使わした。
Wikiより引用
インフルエンザと人類の関わりは古く、古代エジプト時代にはすでにこの感染症が知られていたことが記録に残っている。1876年のコッホによる炭疽菌の発見以降、さまざまな感染症についてその病原体が分離・発見されていったが、インフルエンザ病原体の発見は困難をきわめた。
1892年、北里柴三郎らがインフルエンザ患者の気道から病原体の候補となる細菌を分離し、Haemophillus influenzae(インフルエンザ菌)と名付けたが、コッホの原則に基づいた証明には至らなかった。当時はまだウイルス自体が認知されておらず、ディミトリ・イワノフスキーによってウイルスの存在が初めて報告されたのが、北里の発見と同じ1892年のことである。
1918年から1919年にかけて、スペインかぜの大流行が発生。人類は初めてインフルエンザの世界的大流行に遭遇した。このときの感染者数は6億人、死者は4000-5000万人にのぼると言われるが、候補となる細菌やウイルスが報告されたものの、マウスやウサギなどの一般的な実験動物で病気を再現することができなかったため、その病原体の証明には誰も成功しなかった。
1933年、ワシントンで発生したインフルエンザの患者から分離されたウイルスを使って、フェレットの気道に感染させてヒトのインフルエンザとよく似た症状を再現できることが実験的に示された。この実験によって、インフルエンザの病原体がウイルスであることが明らかとなり、インフルエンザウイルス(後にA型インフルエンザウイルス)と名付けられた。後に、この当時の流行株に対する抗体が、スペインかぜのときに採取されていた患者血清から検出され、スペインかぜの病原体がこれと同じもの(H1N1亜型のA型インフルエンザウイルス)であることが明らかになった。
1940年、インフルエンザ患者から従来とは抗原性が異なるウイルスが分離され、B型インフルエンザウイルスと名付けられた。
1946年、鼻かぜ症状を呈した患者からA、B型と異なるウイルスが分離され、1950年に病原性が証明されてC型インフルエンザウイルスと名付けられた。
1968年、香港かぜの世界的大流行。H3N2亜型に属する新型ウイルスであった。同時にH2N2亜型のものは姿を消した。
1977年、ソ連かぜが流行。これはスペインかぜと同じH1N1亜型に属するものであった。アジアかぜ以降姿を消していたH1N1型が再び出現した理由は明らかになっていない(一説には、アザラシなどヒト以外の生物が保存していたためとも言われている)。このときはH3N2亜型は姿を消すことなく、以後H1N1とH3N2が毎年流行を起こすようになっている。
1997年、香港でH5N1亜型という新型の、しかも高病原性インフルエンザウイルスが、トリからヒトに直接感染して死者が発生した。トリからヒトへの直接感染は起きないというそれまでの定説を覆すものであり、世界的大流行が危惧されたが、ヒトの間での伝染力が低かったため大流行には至らなかった。
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世銀は4月7日の「東アジア太平洋地域報告書」で、中国経済は09年半ばまでに底入れし、2010年に安定軌道に乗るという見通しを示した。

また、米国の経済指標の幾つかは改善の兆しがみえているる。ISM 製造業PMI、新築・中古住宅販売、自動車販売、チェーンストア売上高などの経済指標に改善の兆しがある。

意外に良好だった金融機関の決算、不良資産の買取、時価会計の緩和、そして大型の景気対策、その結果が、24日開いた7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議の共同声明につながった。世界経済の見通しについて「経済活動は今後年内に回復を開始するであろうが、下方リスクは継続している」と指摘した。

【7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)共同声明 2009年 04月 25日 09:08】
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK026559120090425

ただし、まだ今は景気悪化が緩和し、底打ちしたかもしれないという段階で、景気が拡大に転じたわけではないが、日本でも追加経済対策が漸く実施され、米政府が減税やインフラ投資を行うので、景気状況が改善しても不思議ではない。

豚インフルエンザは、2003年冬に発生したSARS騒ぎと同様に今後世界経済に少なからず悪影響を及ぼすであろうとは思うが、2003年もITバブル崩壊9.11による景気底入れ時期に発生しているので、豚インフルエンザの発生は、意外に世界経済の底打の瑞兆となるかもしれません。7~9月頃世界経済の底打ちを予測するアナリストも多い。

米国の景気と信用の収縮が収まり、金融機関に滞留していたマネーが非金融部門に循環し始めても、景気の回復が明確になるまではFRB の流動性吸収が急速には進められず、ドルが供給過剰となって下落するリスクがかなり大きいのではないかと思っています。

世界経済の底打がより明確となれば、年後半はリスク選好の円安を供給過剰のドル安が上回り、ドル円は下落に向かう可能性がある。

基本的に世界景気が底を打つとドルの実効為替レートは、基本的に世界景気や商品相場と逆相関関係にあり、ドル安となる傾向がある。

ドルが下落し、商品、原油、金などのコモディティの価格は上昇傾向に転じる可能性が強くなり、事実ここ一ヶ月ほどは、反転傾向だ。

商品・原油相場が上昇しだすと、最近決まって注目されるのはジム・ロジャース氏の言説である。

ジム・ロジャース氏(Jim Rogers、1942年生まれ)は、ウォーレンバフェット氏、ジョージソロス氏、と並ぶ著名投資家で、ジョージソロス氏とクォンタム・ファンドの共同設立者で伝説のファンドマネージャー。1990年代から商品市場が強気相場になることを予見するとともに投資を実践し、21世紀初めの商品相場の高騰を的確に捉えた。原油相場WTIが140ドルを超え、その後30ドル台まで暴落した後も、大型油田の発見が無いことをもとに強気相場の終焉を否定しています。

人物的には嫌いな人物ではないのですが、私は、彼の意見には違和感がある。詳しくは後で書きますが、コモディティ(商品1次産品)の強気相場を固く信じるロジャーズ氏の根拠は、原油の供給が減っていること、米国での生産設備への投資は35年間、低水準が続いていること、大油田も発見されていないこと、世界中の中央銀行が史上初めて同時に紙幣を増刷していることを挙げている。

【ジム・ロジャーズ氏インタビュー、金融危機後の投資術】
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20090420/192412/

私は、サマーズとガイトナーは強いドル政策を採り続けると思うのだが、4/26日高義樹のレポートを視ていて驚いた、オバマはこの後ドル安インフレ政策をするだと?寝ぼけて聴いていたので耳を疑ったが確認でき次第このブログは修正します。が、もし愚かにもオバマがドル安インフレ政策を採用するならば、世界は再び世界恐慌のリスクが再び訪れる事は必至だ。

インフレ政策を採用した途端、極端なハイパーインフレとなるか、スタグフレーションに陥り、再び恐慌の淵に立たされるはずだ。結局は日本が味わったデフレスパイラルへ陥るのではないかと懸念します。過剰な貯蓄をしている日本や中国ならば、理解できるが、貯蓄が無い米国でインフレ政策の効果が出るわけが無い。

コモディティや原油相場を語る時、一般的に原油価格が上昇する理由として、中国の需要の急上昇が挙げられるが、中国経済は米経済の1/3以下で世界経済に占める割合も6~7%にすぎない。中国が商品価格を上昇させているわけではない。実際中国経済は一要素にすぎないのである。

我々バブル崩壊を味わった日本人以外の投資家にとって、2008年までの世界的な好況な世界経済は永遠に続くような幻想を与えていた。経済は右肩上がりで成長し、新興国特に中国インドの経済発展は、石油、金、穀物などの商品はいずれ不足し必ず値が上がるという見方だ。ロジャーズ氏の相場観や昨年のコモディティ価格特に原油価格の異常な高騰は、そういった心理が底流に流れているのではないだろうか?

中国とインドの成長、油田の多くは掘り尽くされ、ベネゼイラのチャベス大統領の台頭など資源ナショナリズムが激しさは資源価格の上昇をもたらすように思えた。

わたしは、米国の国家戦略を侮っては見ていない。逆に恐ろしく天才がシナリオを書いているように思えてならない。原油価格が上昇し、冷戦で完膚なきまでに敗北したロシアが再び米国の軍事的ライバルへ復活し始めた。そしてユーロが台頭し米ドル基軸通貨の地位が危うくなったところで、グルジア戦争が勃発、原油価格の暴落、リーマンショックの金融危機が立て続けて発生したのである。

結果だけを見れば、ドルは対ユーロで強くなり、ロシアは再び冷戦終結直後の経済状況へ追い込まれ米国の懸念は収まった。これは米国の国家戦略以外の何物ではないと思う。陰謀論者は国際金融資本が仕組んだと妄想しているが、金融危機の一番の敗者は国際金融資本である。原油価格下落の被害者は中東の石油王であり、ロシアであり、資源ナショナリズムを振りかざす反米指導者達だ。

私は、仮説金融危機自作自演説の立場である。
【金融危機自作自演説】
http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/19753668.html
【ビックスリー救済法案否決と、オバマ幻想 (仮説:金融危機自作自演説-②)】
http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/21154137.html


話はまた逸れだしたので修正する。

原油価格は人類が利用し始めた200年の長期波動で見れば、下落傾向にあった。テクノロジーの開発と採掘方法の効率化、そして代替原料の利用のおかげだ。原油市場が大きく下がるときの要因になってきたのは供給より需要だ。需要が盛り返し価格が上昇すると、新たな油田の開発と新たな資源の探査や開発がされる、原子カエネルギーや天然ガス、そして最近では風力やエコな環境エネルギー利用など新しいエネルギーが登場する。

長期的にはエネルギー価格の下落は新しい油田の開発が止まる、ジム・ロジャーズ氏の言わんとする大型油田の開発が無いことが原油価格の上昇要因となるのではなく、原油価格の下落が大型油田開発の停滞となっている。

実際に、原油の埋蔵量は減っていない、原油は有限ではあるが、その生成は従来の科学的定説は覆されようとしているので、ジムロジャース氏の考え方は間違っていると私は考えています。

詳しくは 原油無機説 『「石油の支配者」浜田和幸 著 文春新書』を読むをご一読されたし。「世界の石油は急速に枯渇する」という考え方が180度変わります。

日本とヨーロッパ諸国は80年代も高成長を続けたが石油消費は横ばいであった。その間に燃料効率を改善し、天然ガス、原子力など代替エネルギーへ移行した。

60~70年代には日本と欧州諸国の製造業の復活によって銅やニッケルなど工業用金属が値上がりした。世界経済に占める総消費量は銅が60年代半ばに0.45%ニッケルは70年代に0.2%とそれぞれピークに達したが、その後、アルミニウムやセラミック製品など高騰した金属の代役を果たす素材が出現し商品価格は高騰し続けなくなる。

同じように、米国やインド中国もバイオ燃料混合燃料や、燃料効率の改善、新エネルギー利用が発展すれば、国民1人当たりが消費するエネルギー資源や原材料は減る可能性もある。中国とインドの好景気で原油や他の国際商品の価格が急騰するというのはただの通説にすぎないのだ。

いつの時代も世界には新しい経済大国が台頭してくるが、商品相場は下がり続けてきた。90~00年代中国は平均9%で成長していたが、それでも大半の商品価格が共に上昇ラインを描くことはなく2008年の原油商品市況の高騰はむしろ例外であったと思う。

2003~2008年の国際商品に対する異常な需要増はロシア、中国、インドが自由主義世界経済に組み込まれ、世界経済が初めてフラット化する過程で発生した歴史的な世界成長によってもたらされた世界的な好況であって、似たような現象が近い将来また起こる可能性は無い。商品は好況の最盛期に世界経済が過熱して需要が供給を上回るわずかな間にだけ値を上げる傾向がある。今のところは逆で、ほぼすべての商品の供給が需要をはるかに超えている。

原油価格上昇主義者で世界経済に楽観主義のジム・ロジャーズ氏は原油や他の商品価格は上昇すると言う。世界経済悲観派は世界各国の中央銀行が資金供給を増やしていることから、インフレ対策として商品市場に投資しているが、どちらも私には違和感を感じてならない。

では、原油価格はどうなるか?結論として昨年ゴールドマンサックスが1バレル=200ドルを予想したレポートが出た昨年5/29に私が書いたレポートhttp://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/8723465.htmlで『1バレル50~60ドル台まで再び下落することもありえると思っております。」と予想したいところだが、少し弱気で中国インドの新興諸国をギリギリ生かさず殺さずのライン70~100ドルあたりではないか?』と書いています。70ドル近辺。どうもこれが来年の原油価格となりそうだと思っています。どうだ!ゴールドマンサックス!
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FXはF-15SEになるであろか?
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ロッキード社、米国防総省によるF-22生産停止の決定を受諾
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200904232000
イメージ 2【2009/4/23 20:00 - ロッキード・マーチンは21日、米国防総省が今月6日に発表したF-22戦闘機の生産停止の方針に対して異議申し立ては行わず、受諾する方針を明らかにした。

 ロッキード・マーチン側が米国防総省の基本方針を受諾したことを受けて、F-22の生産ラインは既発注分の合計187機の生産が終了する2012年をもって閉鎖となる見通しだ。

 米国防総省は9日に行われた発表では同時に、開発が進められてきた新型大統領専用ヘリコプター「VH-71」の生産中止も決定しており、ロッキード・マーチンにとっては今回の決定は大きな損失となるが、米国防総省では同時にF-22の代換としてやはりロッキード・マーチンが開発を進めているF-35を拡充する方針なども明らかにしており、会社全体としてみれば大きな損失にはつながらないとする判断が働いたことが、今回の決定につながった模様だ。

 ロッキード・マーチンでは今のところ、F-22の生産ラインに関与しているジョージア州マリエッタ工場の従業員、2000名に関してはリストラなどは実施せず、他の航空機の生産ラインに配置転換すること、また、2012年以降に関しては現在、テキサス州でフォートウォース工場にあるF-35の生産ラインの一部をマリエッタ工場に移すことによって、F-22の生産停止によって喪失した雇用を確保するとしている。

 ロッキード・マーチンが米国防総省によるF-22生産停止の決定を受諾したことにより、議員やロビイストを使った生産継続の嘆願交渉なども下火となる見通しだ。
残念な結果となってしまった。これで日本がFXとしてF-22ラプターを導入する目がほぼ無くなった。防衛省もF-22を断念すべき時が来たと悟るべきだ。そして日米同盟も翳りが見えた。

元々F-22の主要技術は日本の電波吸収剤や、カーボンファイバー技術により成り立っているにもかかわらず、議会が日本へ輸出禁止へ動いたのはおかしな話である。おそらく中国ロビーが暗躍したのだろうが、かつてのFSXであったF-2誕生の経緯を熟知する筆者世代以上の世代の軍事知識がある人間であれば、屈辱的で理不尽な忌まわしい記憶に追記される出来事だ。

最初から日本は純国産戦闘機を自主開発しようとしたところに横槍をいれ妨害した挙句、F-16改良型で涙を呑み妥協したにもかかわらず、今度は米国議会がFSXそのものを潰そうとした経緯には怒りを覚えた。
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                       幻の純国産FSX航空ジャーナル'85年6月号
                  http://www.geocities.co.jp/Playtown-Knight/9679/JASDF/F-SX.html

F-22Jの誕生しなかったのも米議会の横槍である。ATD-X心神はこの教訓を素に密かに新々戦闘機のデモンストレーターとして開発中である。単なる研究機を飛ばすだけで、日本が新戦闘機の開発をしないと考える方が不自然である。
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              【心神】

さて、F-22を断念せざるを得ない状況に追い込まれ、F-35、F-18、タイフーン、F-15FXの選択肢では一長一短があるが、最後はF-35か?などと考えたところに、突如出現したのがF-15SEである。

F-15サイレントイーグルはコンフォーマルタンク(CFT:conformal fuel tank)を再設計して、胴体内の兵器搭載を可能にする逆転の発想には感服した。機体のコーティングや表面処理などでステルス性能を向上しているほか、私が一番驚いたのは、ボーイングのHPのこの一文である。
【Boeing Unveils New International F-15 Configuration -- the F-15SE】
http://boeing.com/news/releases/2009/q1/090317a_nr.html
The aircraft's canted vertical tails improve aerodynamic efficiency, provide lift, and reduce airframe weight. Another aerodynamic improvement is the Digital Flight Control System, which improves the aircraft's reliability and reduces airframe weight.
垂直尾翼は斜度をつけて取り付けられているのは、ステルス性の向上以上に、空力性能の改善と揚力による機体重量の軽減を図るものらしい。1972年に初飛行して40年近くが経つが4.5世代戦闘機に生まれ変わったことに間違いはない。

依然F-Xについては、日本はF-22を望んでいるが、その可能性がゼロとなった今、F-15SEが最も有力なFX候補として躍り出たと言って過言ではないだろう。

Improvements in stealth include coatings and treatments on the aircraft. With the added advantage of redesigned conformal fuel tanks (CFTs) that allow for internal weapons carriage, the Silent Eagle becomes a very attractive fighter for Boeing's international customers.
ステルスの改造は、コーティングとコンフォーマルタンクと機体のステルス処理をしたとサラリと書いてはいるが、空気取り入れ口の中にも電波を遮断するフィルターをオプションとして考えているとのことだ。

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Boeing関係者のセールストークでは、機体に増装を付けない状態の正面からのレーダー断面積(RCS)はF-35と同等であるとの話だそうだ。魅力的ではないか!F-15SEの本当の名称はStealth Eagleらしいのだが、堂々とステルスを売りにすると、折角の営業努力も議会圧力で水泡に帰すのを防ぐ為に、Silent Eagleとしたとの噂もある。
BoeingはJSFにおいてX-32で破れ、戦闘機メーカーとして生き残るにはF-15SEは切り札だろう。折角の売込みが中国ロビー工作の息のかかった米議会に潰されない為にも、慎重な表現をしていると思われる。

【JSF(Joint Strike Fighter )統合攻撃戦闘機計画】
http://www.f5.dion.ne.jp/~mirage/hypams06/jsf.html

ボーイングとしては、米軍以外にF-15を採用している日本・イスラエル・シンガポール・韓国だが、日本と韓国が当面最大の売り込み先となるであろう。ボーイングはF35のプロジェクトに参加しているイスラエルとシンガポールの切り崩も狙っているが、その他の国で200機以上の受注を目指しているとのことだ。費用対効果を考える時、一機1億ドル程度と現行のF15Eと大差がない点は、単発のF-35より大きなメリットだ。

日本にとっては現行のF-15Jとの共有部分も有り自衛隊にとって扱いやすい、さらに国内航空産業への配慮を考えれば、F-15SEの選択肢は高まるのではないだろうか?

F-15SEの最大特徴であるCFTの内部搭載システムだが、上下2ヵ所ずつのウエポンベイがあって、空対空戦闘なら空対空ミサイル4発搭載できるうえに、このCFTは取り外しができ、従来型のCFTも装備可能である。

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テポドン騒ぎで、話題となった日本のBMD能力の穴を防ぐことが可能であることも魅力的だ。F-15SEにはALHTK(Air-Launch Hit-to-Kill)の搭載能力も持つ。
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http://www.globalsecurity.org/space/systems/patriot-ac-3-alhtk.htm
ALHTK(Air-Launch Hit-to-Kill)には現在2種類が開発中である。
AIM-120 AMRAAMを2段式としたレイセオン社の空中防衛システム(NCADE)とロッキードマーチン社が提案する、PAC-3の射程延長型PAC-3MSEの空中発射型である。
対弾道弾の大型ミサイルを搭載するには、単発で小型のF-35より双発で搭載量が多いF-15SEの方がよりベターな選択であると思う。F-15SEはFXのダークホースではなく、最もFXにふさわしい機体ではないだろうか?

F-15SEと同時に4/21に公開されたばかりの初の本格的、ジェットステルス無人攻撃機「Predator C『Avenger(アベンジャー)』」新型無人攻撃機を導入することを考えてみてはどうだろうか?
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http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200904232028

F-15SEを迎撃機として考えるならば正面のステルス性で十分に機能すると思われる。F-15SEのマルチロール機としての弱点である侵攻攻撃時のステルス性能の欠如はアベンジャーが補完してくれるはずだ。北朝鮮のテポドン基地を攻撃するには、トマホークなどの巡航ミサイルと同時に航空機による攻撃が不可欠である。

F15SEとアベンジャーの組み合わせはとても魅力的だ。F15SEのCFTには自衛のAAMだけで侵攻しアベンジャーをいわば誘導爆弾ランチャーとして使えば、F-22以上の能力は発揮できるかもしれない。

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心神CGhttp://yasunon01.sakura.ne.jp/koukalobby/archives/2007_3_26_308.html
心神ATDが第5世代戦闘機として発展する事を強く希望します。F-15SEを採用すれば、F-35ランサーⅡを採用せず心神戦闘機型へ繋げる深謀遠慮が働くような気がします。


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社会主義市場経済などキメラか、鵺(ぬえ)のような寄せ集めの化け物で、いずれ淘汰されていくものと確信していますが、金融危機後の失速する世界経済において、新たな資本主義を模索する米国や欧州各国が自由主義を捨て、逆に合体怪物キメラや鵺の中国の社会主義市場経済を見習おうとしている。

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                 キメラ                         鵺(ぬえ)
危機に臨んだ場合、独裁制や族長の絶対権力がある中央集権的国家の方が、民主主義より迅速で柔軟な対応が出来るのかもしれない。例えば、一時は電子立国日本と呼ばれていた圧倒的な力を持っていた日本企業が、ITバブル崩壊時に家族経営の延長でトップダウンの経営の三星財閥に煮え湯を呑まされ、現在ももたついている苦い経験をした。今度はG7国々が金融危機でもたついている間に、中国の狡猾で優秀な官僚達に煮え湯を呑まされるのかもしれない。

【ソースコード開示、中国強行…知財流出の恐れ】
http://www.yomiuri.co.jp/net/news/20090424-OYT8T00378.htm
新制度、来月実施を日米に通告
 中国政府がデジタル家電などの中核情報をメーカーに強制開示させる制度を5月に発足させることが23日、明らかになった。
 中国政府は実施規則などを今月中にも公表する方針をすでに日米両政府に伝えた模様だ。当初の制度案を一部見直して適用まで一定の猶予期間を設けるものの、強制開示の根幹は変更しない。日米欧は企業の知的財産が流出する恐れがあるとして制度導入の撤回を強く求めてきたが、中国側の「強行突破」で国際問題に発展する懸念が強まってきた。
 制度は、中国で生産・販売する外国製の情報技術(IT)製品について、製品を制御するソフトウエアの設計図である「ソースコード」の開示をメーカーに強制するものだ。中国当局の職員が日本を訪れ製品をチェックする手続きも含まれる。拒否すれば、その製品の現地生産・販売や対中輸出ができなくなる。
 どの先進国も採用していない異例の制度で、非接触ICカードやデジタル複写機、金融機関向けの現金自動預け払い機(ATM)システムなど、日本企業が得意な製品も幅広く開示対象になる可能性がある。
 中国側は、ソフトの欠陥を狙ったコンピューターウイルスの侵入防止などを制度導入の目的に挙げる。しかし、ソースコードが分かればICカードやATMなどの暗号情報を解読するきっかけとなる。企業の損失につながるだけでなく、国家機密の漏洩につながる可能性もあるため日米欧の政府が強く反発。日本の経済界も昨秋、中国側に強い懸念を伝えた。
 中国は当初、08年5月に実施規則を公表し、09年5月から適用する予定だった。各国からの反対で、中国当局が今年3月、制度実施の延期を表明したが、これは適用開始までの猶予期間を設けることを指していたと見られる。
 猶予期間はメーカー側が提出する書類を用意する時間に配慮したものだが、いつまで猶予するかは不明だ。日米欧の政府は詳細が分かり次第、中国側に問題点を指摘し、制度の見直しや撤廃を求めていくことになる。
失速する世界経済で唯一成長の見込める市場として、餌をぶら下げ理不尽な要求としか思えない。G7各国は協調して中国の不当な要求を拒まなければならない。これはナチスのラインラント進駐に匹敵する。
【ラインラント進駐】
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%88%E9%80%B2%E9%A7%90

24日開いた7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議の共同声明は、世界経済の見通しについて「経済活動は今後年内に回復を開始するであろうが、下方リスクは継続している」と指摘した。
【7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)共同声明 2009年 04月 25日 09:08】
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK026559120090425

漸く世界経済も底入れを確認してきたが、米国の個人消費に頼ることは今後不可能と思われるが、それに代わり中国経済が世界経済を支える事は現時点ではとても不可能であろうと思えるが、最近発表された中国経済指標は回復基調を示している。共産党が指導する国家の統計など所詮大本営発表と大同小異ではあるが、客観的事実として受け入れ、私も嫌中感情を多少抑え、中国と中国経済を考察してみたい。

製造業購買担当者景気指数(PMI)は2008年11月の38・8ポイントを底に、回復し、3月には景気拡大か後退の判断の分岐点である「50ポイント」を超えた。消費関連指標も好調だ。3月の新車販売台数は110.9万台と、単月で過去最高となり、09年では初の1000万台乗せの見通しで、中国が世界最大の自動車市場となる見通しだ。世銀は4月7日の「東アジア太平洋地域報告書」で、中国経済は09年半ばまでに底入れし、2010年に安定軌道に乗るという見通しを示した。

金融危機による世界経済が動揺する2008年11月に他G7主要国に先駆け、2年間でGDPの約13%にあたる4兆元(約58・8兆円)を投じる大規模な財政政策を発表した。鉄道、道路、空港などインフラ整備1・6兆元が最大で、四川大地震復興1兆元、低所得者同け住宅開発4000億元、個人消費の拡大に400億元が投じられる政策を発表した。

大幅な金融緩和に政策転換するのも早かった。基準となる1年満期の貸出金利は9月以降5回にわたり計2・16%引き下げられ、5・31%となった。
税制や融資の拡大など、鉄鋼、自動車、家電、造船、紡績など主要10大産業に対し振興計画を1月~2月にかけ発表した。

個人消費の刺激策も都市との格差が著しい農村部の需要を刺激する有効な手段を講じたと評していいだろう。「家電下郷」:テレビなど4品目について購入金額の13%の補助金を支給する。「汽車下郷」:農村部で、乗用車やトラックなどに買い替に、10%の補助金を支給する。
以上のような、政策が直近の中国経済の好調を示す数字につながったのだろうと思う。

農村ではTV、冷蔵庫、洗濯機の普及が進んでいない。耐久消費財の巨大な未開拓市場があり、個人消費の拡大余地も大く、簡単に政策で個人消費を喚起しやすい。

また、中国では輸送インフラが絶対的に整備されていない。国土面積は日本の25倍だが、鉄道の総延長距離はわずか約3倍、道路は日本の約15分の1である。インフラ投資などの需要は今後も堅調に伸びると期待される。対米国を中心とした輸出産業は壊滅的打撃をうけてはいるが、中国には潜在的国内市場が残されている。しかも、G7各国とは違い、鉄道や道路など投資することにより、経済的効果があげられるようなインフラ整備が可能なのである。

温家宝首相は3月の全人代で、雇用拡大や国民の収入増加のために8%の経済成長が必要と「保8」政策を至上命題として、いちはやく政策を総動員し景気回復に全力を挙げる姿勢は中国経済を辛口で評する私も認めざるを得ない中国の強みである。

私が考える中国の長所を纏めてみた。

第1に、政策対応のスピードが早い、素早い政策対応である。
第2には、これら景気対策に対し、敏感に反応する巨大な国内市場が存在することである。
第3に中国共産党による一党独裁という政治体制で、余計な政争に明け暮れる必要が無い。
第4に中国官僚(共産党幹部)が国益(党益)に対して非常に貪欲で長期的視野を持っている。

大規模な拡張的財政支出を打ち出すことができた背景には、高成長による歳入増加で生じた財政的余裕と、貿易黒字と為替介入で、中国は1兆9537億ドルの日本を抜き、世界最大の外貨準備を抱えたことによると思う。

さすがに、大型景気対策から、2009年度予算は9500億元の赤字を計上したが、温家宝首相は全人代後、「まだ弾薬はある」と語り、必要があればいつでも追加景気対策を取る用意があることを強調している。

インフラ整備で流通網が整備されれば、個人消費など内需拡大が高まり、一連の政策は、中長期的には、経済を外需型から内需型へ構造転換する効果が期待できるが、中国企業を支援する保護主義的政策でもある。

中国は中国共産党による一党独裁という政治体制である。中華人民共和国は、共産党が国家を指導すると規定しており、政策には党の意思が直接反映される。

政府・党の至上命題は国民の福利ではなく社会主義国家体制、いわば国体の護持であり、世界的な金融危機への魅力的効果的対処も、世界経済や国民の為であるのではない点を冷静に判断材料としなくてはならないのだ。

一党独裁体制では、G7の民主的国家、例えば日本のようにあまりにも下らない政争に明け暮れ、経済対策が後手後手となってしまう国家体制より、ほとんど議論なく、素早く実行に移すことができるのは確かに危機には優れている。

党内部の序列を決定するのは、政治的成果功績がものを言う。鄧小平以降経済的成果も政治的成果功績と考えられ、中央政府が迅速で大きく柔軟な景気対策を行えたのは、党内の序列競争が、資本主義社会の禁欲的資本家の創造に類似したような経済効果が国家に発現したと私は考えます。

1989年の冷戦崩壊後、中国は危機感を持って、経済国家運営を行った。国民の福祉の為ではない、党と幹部個人の生き残りをかけてである。その結果米国を中心とする市場主義経済に組み込まれ、グローバルスタンダードに恭順し世界経済の中に参入を許された。しかし、民主主義国家のルールのなかに、社会主義体制という国体を護持する中国を組み入れたのは失敗である。発展途上国である仮面と巨大市場の幻想をちらつかせ、巧みに国家運営をする中国は、がん細胞と同じである。グローバルスタンダードのルールを踏みにじって経済的成果を掠め取っている。

中国の世界経済への参入は世界経済の歪みを危機にまで押し上げる結果をもたらした。今回の金融危機は、自由主義、資本主義の盟主である米国経済を傷つけ、その回復にはなお時間がかかる。

世界経済は米国の個人消費というエンジンを失い、中国経済に一縷の期待をかけているが、中国に米国の個人消費需要を期待するのは極めて困難、無理である。

米国のGDP規模は中国の4倍。米国は70・1%を消費が占めるのに対し、中国の個人消費は35・9%。しかも、景気刺激策は国内企業振興という面があり、他国はその恩恵を受けにくい。中国経済の幻想から覚醒すべきと思う。

さらに、中国の過剰貯蓄は、世界経済にとって、著しい発展の妨げとなる。中国は社会保障らしきことを国営企業の福利厚生で代替えしていたものが崩壊し、社会的福利厚生システムが整備されていない。これは日本にも言える事だが、庶民が貯金しか自己防衛できない国家の国民は悲劇である。世界経済の中で、富を蓄積する一方で消費しないということは、世界経済の観点からすれば、お金が回らないのだから、デフレになるのは必然だ。

世界経済は、最悪期を脱したものの、V字回復は期待してはいけない、同時に過剰に中国経済へ期待するのも避けるべきと思う。中国の不当な要求は断固受け付けるべきではない。
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今年は選挙の年である、4年前の郵政選挙は小泉のパフォーマンスに私は正気を保っていた。反小泉票を投じたが、昨日ミニ統一地方選挙的に全国で選挙があり、自民党系の候補者の善戦が目立っている。注目すべきは、投票率が結構高いようだ。土曜日のブログに、「創価学会をこれ以上のさばらせない為に選挙へ行こう」と書いたが、私に限らず皆同じ気持ちの人間が増えてきたのだろうか?

無名のブロガーDdogは有名ブロガー「グッチー氏」に対し密かに勝利宣言をしたい。
【株談議09/03/09 3月20日までが日本株の勝負どころかも? 】
http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/24624486.html
【あたりまえだけどね・・・】(ぐっちーさんの金持ちまっしぐら )
http://blog.goo.ne.jp/kitanotakeshi55/d/20090306
https://image.blog.livedoor.jp/tadashi2/imgs/7/7/77fcfa57.jpg
相手にもされてないところで、勝手に勝利宣言しているのも滑稽ですが、まあ一人で喜んでいるので、ほっておいてください。

4月20日の東京株式市場は8,924.75円の+17.17円であった。過熱していた騰落レシオ(25 日)が一旦ピークアウトする見込みだが、依然高い水準だ。
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騰落レシオ(画像をクリック)
http://www.opticast.co.jp/cgi-bin/tm/chart.cgi?code=0188

2003年V字で回復していった時には、空売りの踏みあげがあったが、今回は今後「踏み上げ相場」があるのかどうか、考察してみた。

信用需給動向を考えるに東証の売買注文に占める空売りの比率は、2 月に24.8%と極めて高水準(2002 年9 月の25.3%以来)となった後、3 月は22.3%に低下した。3 月上旬以降の株価上昇は、空売りの買戻しが寄与していた可能性も高い。

空売り注文の比率は依然高水準であり、市場の見方は、麻生政権がばら撒き気味の経済対策の成果への期待と、先行き不透明の実体経済の弱気な心理で揺れ動いている。

今回の景気対策は、あの小渕総理が卸売市場で蕪を両手に抱え、「株よ上がれー」とオヤジギャクにもならない失笑パフォーマンスをした経済対策よりも規模が大きい。

この2009 年度補正予算は、マスコミは身勝手なもので「バラマキ」と批判しているが、「じゃあ、しなかったらどうするんだ!」と馬鹿マスコミに言いたい。「有効需要の創出」にはやむを得ない苦渋の決定で、選挙前ではあるが、私は頑張ったと思う。株価が底堅い動きとなっているのは当然だ。踏み上げ相場となる可能性を考えておきたい。(2003年とは同じではないが・・・)

2008 年秋の相場急落時は、「外国人の売り+証券自己の売り」であったが、今回は証券自己買いが一気に相場を押し上げた格好である。

米国の金融機関の決算が予想外に好調である為、外国人投資家の売買も、金融危機の終了期待で、日本株に対しての買戻しも期待できるかもしれない。目先、積極的な売り手がいない。

信用売買の買い残高を売り残高で除した「信用(貸借)倍率」は、4 月3 日の1.13 倍で底打ちしている。現在1.18倍
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貸借倍率(画像をクリック)
http://www.opticast.co.jp/cgi-bin/tm/chart.cgi?code=0405&asi=2&yy=1
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信用売り残(株数)(画像をクリック)
http://www.opticast.co.jp/cgi-bin/tm/chart.cgi?code=0404&asi=2&yy=1
信用の売り算を見て下さい、積みあがっています!
個人は中長期的に弱気の見通しをしていますが、踏みあげの素になりかねない裏腹です。
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信用買い残(株数)(画像をクリック)
http://www.opticast.co.jp/cgi-bin/tm/chart.cgi?code=0403&asi=2


買い残が減少し、漸く底打ちした程度だが、売り残が増加していたわけだが、それぞれの評価損益率のは買い方は改善してきているだろうが、売り方は損が積みあがっているはずだ。
踏み上げ相場に移行するためには、もう一段の株価上昇が必要となるが、東証はNYと15日間連動しているので、NY次第だが、昨年のNYダウの動きをここでチェックしてみよう。

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NYダウ週足(画像をクリック)
http://www.opticast.co.jp/cgi-bin/tm/chart.cgi
2008年1月13364ドルが初値でそのまま2008年の高値。3月にベアスターン救済の安値が12.2%下の11731ドルをつけ、5月第1週は13132ドルまで戻した。2009年1月高値9088ドルであるので、予想外に急回復している金融セクターとGMがチャプター11を発動すれば悪抜け出で5月第一週は9000ドルの回復も有りうる。

となれば、日経平均1月高値9325円ではあるが、1万円を越えるところまで回復する可能性はありうる。

となると、売り方の「踏み上げ」の可能性を考えておく必要がありそうだ。

また、輸出産業は円ドル為替を90~95円で予想しているが、ここもと100円近辺に回復しているため、決算が事前予想より良いこともありうる。その場合など、踏み上げが生じる可能性がありえます。

もっとも、信用売り残の増加も、市場の見方の綱引きだけではなく、リスクを取れる
ようになった結果という可能性もある。買い方の身軽さが増したことは、相場下落時
には損切りが容易になるとの考え方もできる。相場の方向性を増幅させるとしても、
信用需給への注目はリスクも伴う点に留意しなければならない。

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信用買い残(金額)(画像をクリック)
http://www.opticast.co.jp/cgi-bin/tm/chart.cgi?code=0406&asi=2
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信用売り算(金額)(画像をクリック)
http://www.opticast.co.jp/cgi-bin/tm/chart.cgi?code=0407&asi=2&yy=1
ただし、金額ベースで見ると、さほど売りも積みあがっていないことも考慮してほしい。

もう一つ考慮すべきは中国です。

金融緩和ひずみ警戒 4/17(金)日経新聞(国際2)
汚職バブル追加策に慎重論も
【北京=高橋哲史】1-3月の国内総生産(GDP)が前年同期比6.1%増にとどまり、中国以府は新たな景気刺激策を打ち出すタイミングを探る。ただ既存の4兆元(約58兆円)対策が動き出したばかりのうえ、昨秋からの急激な金融緩和は様々なひずみも生んでいる。政府内には追加策に慎重な声も出ているもようだ。
1-3月のGDPが発表になる前日の15日、国務院(政府)は温家宝首相の主宰で常務会議を開いた。市場に流れたのは「ここで追加策が決まる」とのうわさ。しかし16日公表の会議の公告は「これまでの対策は初歩的な効果が表れている」としただけで、追加策への言及はなかった。
今年に入って4兆元対策が本格的に動き出し、1-3月の都市部の固定資産投資(設傭投資や建設投資の合計)は前年同期比28.6%増と大幅に拡大した。ただ、鉄道や道路などの建設工事に絡む汚職の増加を指摘する声もあり、公共事業の積み増しはしにくいムードが強まっている。
一方、3月の銀行融資の増加額は前年同月の約7倍にあたる1兆8900億元(約28兆円)と、単月べースで過去最大。銀行が貸したカネの一部は株式や不動産市場に流れているとみられ、新たなバブルの芽が膨らむ懸念も浮上している。
15日の国務院常務会議は「予防的な政策の研究を強化する」とし、追加策の準備を続ける考えを表明した。ただ、具体策がいつ出るかはなお流動的な面が大きい。

エコノミストの見方
成長維持へ民間投資カギ
スタンダード・チャータード銀行(香港)エコノミスト劉健恒氏
中国の1-3月GDP伸び率は予想の範囲内で特に悪化しているとは考えていない。政府のインフラ投資が経済成長を支えている。もっとも輸出は落ち込みが続き、個人消費も力強さを欠く。景気減速から脱する兆候が見えたとは言い難い。
経済成長を維持するためには、民問投資の回復がカギを握る。さらに個人消費の底上げも必要で、中国政府は失業対策に力を入れるとみている。

予想上回るも個人消費に懸念
東亜銀行・首席エコノミスト鄧世安氏
中国のGDP伸び率は予想を上回る水準といえるだろう。政府の景気刺激策が功を奏し始めている。ただ、個人消費の伸び悩みは気掛かりだ。消費者物価指数(CPI)も下落しており、デフレに陥る可能性は否定できない。消費者物価の下落が続けば、小売売上高の減少につながる。結果的に所得の減少や失業率の上昇を招く恐れがある。中国が追加経済対策を導入する場合は、消費刺激に重点を置く可能性が高い。
(香港=-吉田渉)
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上海総合指数(画像をクリック)
http://www.miller.co.jp/chart.cgi?0305I
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ハンセン指数(画像をクリック)
http://www.miller.co.jp/chart.cgi?0300I
もう一つ、中国株式の先行指標であるバルチック海運指数
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http://investmenttools.com/futures/bdi_baltic_dry_index.htm
目先、少し反発したが、力強さに欠け、ここからバルチック海運指数は横ばいに動きそうな雰囲気である。そうなると、中国株も脳天気に買ってもいられないはずだ。社会保険が不十分な中国は、消費より貯蓄されてしまい、折角の内需刺激策も玉切れと同時に失速する恐れもあると考えています。

私はこの後円高ドル安に振れると踏んでいるので、ドル安といえば資源がらみの動きが面白そうです。

チャート的にはどちらも分厚い雲を抜くだけのエネルギーがあるとは思えないので、厳しい。以上の要素を踏まえ、目先の日経平均の動きを予想してみました。
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NY市場がしっかりとした動きで、GMがチャプター11を受け入れ決着がつけば、信用のふみ上げが始まり、青い点線のような相場展開をする可能性がある。NY市場が失速すれば赤い点線の相場展開も予想されます。

今後の相場展開のファクター
・円高ドル安、意外に強い米国経済、中国経済の頼みの空振り、ちなみに、6月4日 - 天安門事件から20年。 6月12〜13日 G8金融相会合(ベニス)・7月7~8日イタリアのラ・マッダレーナでサミット。たぶん、7月選挙!10月2日 - 国際オリンピック委員会総会で、2016年夏季オリンピック開催都市[東京に]決定。 東京に決まればよし、過剰な期待が盛り上がっていた場合はサンパウロ・シカゴに決まると秋風が厳しくなるかもしれません。

※このブログはDdogの個人的相場観を纏めたものです、ご参考にされる方は自己責任でお願いします。
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脳の「共感スイッチ」:情報の氾濫は共感能力を阻害する?
http://wiredvision.jp/news/200904/2009041623.html
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人間はもともと利己的だという見方もあるが、最新の研究によって、共感は恐怖や怒りと同じように脳の深いところに根ざしているらしいことがわかった。
4月13日付け『米国科学アカデミー紀要』(PNAS)に掲載された、南カリフォルニア大学の神経科学者Antonio Damasio氏などによる研究では、13人の被験者に対して、マルチメディアによるドキュメンタリー形式で、共感をかき立てるように意図された物語を提示し、被験者の脳の活動を記録した。
この結果、共感や賞賛といった感情は、大脳皮質よりさらに深い部分の、視床下部や脳幹に根ざしていることがわかったという。こういった領域は、生物としての活動自体を統御する根本的な部分だ。
「少なくとも、社会的な感情は、皮層的な領域ではなくもっと内側に根ざしているということが言えるだろう」とDamasio氏は語る。「共感や賞賛といった感情は文化的なものだという印象があるが、これらは脳の領域としては、恐怖などの生物進化的に古い感情と、そう遠くない部分に根ざしている」
一方、この研究は、現在のメディアのあり方についての興味深い議論も引き起こした。研究者によれば、共感を呼び覚ます脳のシステムが作動し始めるまでには平均で6〜8秒かかるのだという。研究者がこの事実をメディア利用の習慣と結びつけているわけではないが、この研究の報道は、『Facebook』世代がやがて社会的に好ましくない行動をとるようになるのではないかという憶測をあおっている。
たとえば、「Twitterで道徳に鈍感に? 速射砲的なメディアが倫理的な指針を狂わせる可能性」と題された記事は、この研究が、「テレビやオンライン・フィード、『Twitter』のようなソーシャル・ネットワークなどから急速に流れ込む断片的な情報にどっぷりと依存することによる感情的な代償、とくに発達途上の脳にたいする影響」について、問題を提起していると論ずる。
メディアの中でもいろいろな種類があるが、映像によるニュース報道については、同情という感情が神経生物学的に短絡的になってしまうという可能性があるかもしれない。たとえば、エピソードが連続的に語られていくときは、場面が次々に切り替わる形で語られる場合よりも共感の度合いがはるかに高くなる、という既存の研究がある。1996年に『Empirical Studies of the Arts』誌に掲載された論文では、研究者たちが120人の被験者に、涙を誘うと思われる物語を3つのバージョンで示した。「被験者が、敵方の男に対するよりも、虐げられた女主人公にはるかに好意的な共感を示したのは、物語が連続的に構成されていた場合だけだった」とこの論文は結論づけている。
また、『Journal of Broadcasting & Electronic Media』誌に掲載された、タブロイド[扇情的な大衆紙]的ニュース形式についての考察によれば、矢継ぎ早で刺激的な、視覚的な語り口は、生理的な刺激を与え、見たことを記憶させる度合いを強めるが、これは本来の題材が面白くないものであった場合に限られるという。すでに興味を引かれている題材の場合、タブロイド風の語り口は認知的に過負荷となり、深く心に刻み込まれるのを妨げてしまうというのだ。
タブロイド風の語り口が増えているかどうかははっきりしないが、事例証拠的には、放送メディアにおいてはそういう事態が起こっていると言えそうだ。フリーランスのビデオ・プロデューサーJill Bauerle氏は次のように語っている。
「素早いカット割りは、コンテンツが面白くない場合でも視聴者の目を引き、彼らの意識を引きつけたままにしておける。連続性を無視したMTV風のカット(ジャンプカット)は、多くのエディターが普通に使うようになっているが、画面にいつも目を向けさせる役目を果たす」
テレビニュースのアーカイブに取り組んでいるサイト『Vanderbilt Television News Archive』でディレクターを務めるJohn Lynch氏は、「今われわれが感じているのは、各シーンがどんどん短くなっていることだ」と語る。例えば今年1月にハドソン川に墜落した航空機の報道についてLynch氏は、プロデューサーたちが「レポーターの話や、何人ものニューヨーカーの目撃者たちのあいまに航空機の映像を少しずつ散らばらせては、また別の地点からの航空機のショットに戻していく」ことに着目している。「20年前に同じような事件が起きたとしたら、ずっと(航空機の)映像を追い続けたはずだ」
同情の念が、持続した注意を向けることでのみ引き起こされるとするなら、速いカット割りの編集ではこれが妨げられる可能性がある。そうなれば、他者の物語によって心底から感情が動かされる能力が退化するおそれがある。さらには子どもの適切な発達を損なうかもしれず、そうなれば形成過程にある子どもの脳には、生涯にわたる影響が残るだろう。研究をもっと進める必要があるのは明らかだが、この仮説には説得力があるように思える。
「物事があまりに速く起こると、人は他の人の心理的な状態についての感情を十分に体験しなくなる可能性があり、このことは倫理に影響する可能性がある」と、元々の論文の共著者であるMary Helen Immordino-Yang氏(南カリフォルニア大学)は語っている。
この記事を読んで、なるほどと思った。私はこの記事から感じ取ったのは、なぜ日本人が怒らないのか、アメリカで暴動が起きないのか、なぜ先進国で格差が広がっても革命が起きないのかその理由の一端が窺われるような気がした。

出典がアヤフヤで申し訳ないが、生まれてからずっと目が見えない人を手術を施し、完治したにもかかわらず、目が見えないケースがあるらしい。患者には映像を単なる光の刺激の束にしか感じず、映像を映像として脳で認識する事ができないらしい。その為に起こるとのことだ。光を感じても、脳で情報が上手く処理出来ない為である。多量の情報をハードとして受けてもソフトがなければ認識して処理できない。

人類が言葉を獲得して以来、情報伝達手段はフェイストゥーフェイスであった為、言葉を発する為の情報処理速度と、それを理解する脳の処理速度は同じであったのだが、文字を持ち印刷技術が発達するようになると、脳は発信するより受信する比率が高まっていったと思う、そしてWIREDの記事にあるように、「テレビやオンライン・フィード、『Twitter』のようなソーシャル・ネットワークなどから急速に流れ込む断片的な情報にどっぷりと依存することによる感情的な代償、とくに発達途上の脳にたいする影響」新聞、ラジオ、TV、インターネット、人間が受信する情報量が増え続け、脳の処理がより表層的な部分でしか処理されなくなり、共感のメカニズムが発動しにくいのではないか?

私が感じる現代日本の最も大きな悲劇は、「共通の価値観の喪失=アノミー状態」であることだ。かつて日本には、庶民には村落や地域の所属共同体、武士階級には御家(藩)という共同体があった。信長以降日本では宗教と政治が分断され宗教が道徳規範ではなく、葬式仏教へ変質していった。日本には宗教と言う共同体が消失しかけたところに、明治維新が起き、明治以降教育勅語が、宗教に代わる道徳規範として取って代わられた。ところが敗戦により唯一の道徳的規範であった教育勅語が廃止され、道徳規範の消失は真性のアノミー状態(無規範状態)と、憂えるべき事態となった。

戦後日本では、村社会や、地域共同体が消失して、村社会の代用として機能した、企業という最後の所属共同体ですら、小泉政権以降、労働基準法の改正で、多くの日本人は共同体を失った。現在多くの共同体を失った日本人が存在する状態である。現代の日本は真性のアノミー状態(無規範状態)であると断じる。
【アノミー】
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%8E%E3%83%9F%E3%83%BC

アノミー状態(無規範状態)の日本人には共感のメカニズムが発動しにくいのは自明の理である。わずかに、日本では価値観の共有化としてTVの高視聴率番組があったが、価値観の多様化と、多チャンネル化「地デジ」による地上波廃止は、TVすら価値観の共有化できないことに陥るような気がします。そして日本においては共感性が低下し、さらに多くの共同体が消滅するのではないかと危惧しています。

インターネットの掲示板に最初に出会った時、擬似共同体の可能性を期待したことがあった。しかし、阿修羅掲示板においては、誰もが顔が見えない匿名性の為かもしれないが、価値観の相違を文章だけで埋めることは至難の業であり、普段は身につけている社会性が取り除かれることにより、自分でもつい攻撃的になり、妥協が生まれにくい性質のメディアと感じた。顔が見えない匿名性は、擬似共同体としては無理があることを早々に悟り、闘論家Ddogになってしまった。その後本業が忙しく、5年ほど空白期間を置いてしまったが、ホワイトカラーエグゼプションの妙な効用で、昨年よりブログを開設して、再び擬似共同体を求めているのかもしれません。(コメントくださーい!)

でも、傲慢な文章が災いして、どうも自分のブログは閲覧数に比べコメントを頂くことが少なく、ブログでも擬似共同体は難しいようです。ミクシーは、無理やり盛り上がろうとするコンサート会場のような雰囲気を感じ、招待状を貰いに動いていません。私はちょっと躊躇してしまいます・・・また、ブログが叛乱し、ネット掲示板の存在価値が相対的に減少し、広場が消失していることも危惧すべき点かも知れない。

私が参加していた阿修羅掲示板も掲示板数が増え、破産板で一寸気が利いた記事を書けば1000~1500ビューあった閲覧数が減少している。情報を共有しにくい細分化は日々進行していると思います。2chは広大な宇宙と化し、全体を俯瞰するのは至難の業WIRDの記事の『脳の「共感スイッチ」:情報の氾濫は共感能力を阻害する』以前に、ネット社会が発達するとスイッチに辿り着けない環境に追い込まれている事も見落としてはならないとおもいます。
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北野誠 無期限謹慎処分 【2ちゃんねるより抜粋】
北野誠は特段に好きなタレントというわけでもないが、もはや看過できない!北野誠といえば噂の東京マガジンや探偵ナイトスクープで無難に役割にこなすタレントであることは承知している。最近はテレビをあまり視ないので芸能ゴシップに疎かったが突然の無期謹慎処分、いったい何が起きているのかさっぱり解らなかった。が、どうやら創価学会の虎の尾を踏んでしまったとの観測が流れているらしい。

だいたい、何で謝罪するのか自から語らないのだから、皆まったく何故謝罪するのか理解できない。自分の為に犠牲になる家族や周囲の関係者への謝罪だと言えばそのとうりなのだろうが、巨大な圧力に怯えている発言で察しはつく。

もし、YouTubeにUPされていることが事実ならば、我々普通の市民ははもう、創価学会に対し「NO!」を突きつけるべきではないだろうか!真相を語らず、中途半端に謝罪するなら、北野誠を支援する気も無くなる。もし本当に悪い事をしたなら記者会見を開き謝罪すべきであるし、悪いことをしていないなら謝罪する事はない、最後まで己を貫き通せばいい。しっかりしろ北野誠!

詳しい事情を語らず番組降板したり、芸能界を引退しなければならない失言とはいったい何か?憶測として流れている一つにある芸能プロダクションの社長の悪口程度ではこのような事態はありえないと考えるのが普通だ。


朝鮮総連は拉致事件発覚以降圧力団体の力を失い、考えられるのは被差別住民団体と、創価学会に絞られる。運動車(街宣車)を用いる団体はこのような姑息な事はしないはずだ。

私は個人的偏見と一方的な決め付けと憶測でこの記事を書いているので、万が一創価学会が絡んでいない場合はこの記事を削除して反省文を載せることとするが、芸能界に勢力を持つのは創価学会の線が一番濃厚である。創価学会が絡めばおよその事は察しがつく。

問題は一切が伏せられていることだ。北野誠も人間だから、自分が復帰する為には何があったか言えない、それも理解できるが、北野誠を使用していたマスコミも芸能関係者も恐怖のあまり、一切口を割らない、このことが異常だ!日本は言論の自由が無いのか!ふざけている!これは日本のマスコミの死だ!

大手マスコミは創価学会の軍門に下ったのか!我々も看過してはいけないのだ!この問題はやがてこういったブログにも危険が及ぶ恐れすらある!学会員以外のブロガーは強く発言すべきと考えます。

私はこのブログを読んでいる方ならお分かりだと思いますが、私は保守主義者であり民族主義的な思想を持っています。国を心から憂う者です。選挙権を貰ってから自民党へ投票し続けたが、しかし最後に自民党に投票したのは何時の頃かもはや忘れてしまった。

もちろん郵政選挙の時にも民主党へ投票した。次の総選挙でも自民党へは投票するつもりはありません。創価学会というカルト宗教集団と絶縁しない限りけして自民党を応援したくはありません。

今日日本がここまでおかしくなったのは、自民党が政権にしがみつく為、公明党や社会党と節操無く合従連合した政治の責任、その政治を腐敗させたのは選挙に行かない我々日本人自ら招いた人災なのです。

今日の日本の衰退は、アメリカや中国の外国のせいではなく、ロスチャイルドの陰謀のせいでもない、選挙に行かない我々が、カルト集団をのさばらせ政治腐敗を生み、官僚がのさばらせたのです。ある意味では自業自得なのです。

日本人はいい加減に目を醒まし、SGカルト集団にマイノリティであることを思い知らせなければならない。日本を良くするには政治からカルト集団を追い出すことから始めなければならないと思います。

もっとも、池田大作の余命もあとわずか、有力な後継者がいないこの組織の寿命もあとわずか、ほって置いてもいずれこの組織は内部抗争の末、瓦解することになるだろう。創価学会は実は池田大作後の先が見えないために、組織的に焦っているのかもしれない。

この北野誠無期謹慎事件の底流に流れている闇を私の偏見と憶測で考えるならば、後継者を狙う者がイベントなどで創価学会批判ネタで人気を取っていた北野誠を血祭りに上げることで組織内での勢力を伸ばそうとした事件ではないだろうか?

北野誠無期謹慎事件がもしかすると池田大作後の創価学会のターニングポイントなる可能性がある。次の選挙で勝ち残らなければ、創価学会は存亡の危機に曝される恐れがあり引き起こしたと想像できる。

しかし、この事件に創価学会がかかわっていたことが白日の下に曝された時、彼らはこれが自爆行為であったことに気がつくはずだ。我々中産階級のルサンチマンの矛先を一身に受けることとなるかもしれない。悪役となってもらうには最適な集団だ!所詮利権集団、瓦解する過程で中産階級の憎悪を衰退する創価学会に向ければ、中産階級は勝利の幻想を味わう事も可能であろう。

いずれにしても焦る事はない、池田大作氏の閻魔大王との会談まで時間はいくらも残されてはいない。


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転載してます ブログUPのため
【騒音おばさんの真実】泣きます、そして日本のマスコミの欠陥と創価学会への怒りがこみ上げます。

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この2枚のピサの斜塔の画像は、実際にはまったく同じものだが、異なるアングルから撮影されたかのように、右の塔の方が傾きが大きい印象を受ける。

この現象が起こるのは、視覚系がこの2つの画像を、1つの風景の一部であるかのように処理するためだ。通常は、2つの隣り合った塔が同じ角度で建っている場合、遠近法により、塔の輪郭線は視界の中心部にある一点に収束するようなかたちになるはずだ。視覚系はこのことを計算に入れている。そのため、輪郭が平行関係にある2つの塔の画像を突きつけられると、視覚系は2つの塔が上に行くに従って離れているはずだと思い込む。そのためこの錯視が生まれるのだ。

仮面の裏側が見える人・見えない人:「ホロウマスク錯視」研究
http://wiredvision.jp/news/200904/2009040923.html
お面の裏側に存在する凹んだ顔を、普通の凸面の顔として知覚する、「ホロウマスク錯視」と呼ばれる錯視がある[Hollow face錯視、凹面顔錯視とも呼ばれる]。

下の動画でこの錯視を経験することができるが、それが目の錯覚だと分かっていても、凹面の顔を凹面と見ることができず、脳が凹面を凸面ととらえてしまう。


この錯視は、人間の脳が視覚世界を解釈する際の戦略によって起こる。それは、実際に目に見えるもの(ボトムアップ処理と呼ばれる情報処理法)と、過去の経験に基づいて見えると予想されるもの(トップダウン処理)を組み合わせて判断するという戦略だ。

「トップダウン処理では、ストック写真のモデルのように記憶が蓄積されている」。『NeuroImage』誌に掲載された今回紹介する論文の執筆者の1人で、ドイツのハノーバー医科大学に所属するDanai Dima氏は説明する。「脳内のモデルでは、すべて顔が凸面になっているため、どんな顔を見ても、当然凸面のはずだと考えてしまう」

この予想の影響力が強いせいで、顔が反転していることを示す視覚的な手がかり、たとえば影や奥行きといった情報は無視されてしまうのだ。

この錯視は、顔を使った場合にはよく成功するが、他の物体ではそうでもなく、顔を逆さにしただけでも効果が下がる。これはおそらく、人間が顔に対して持っている特別な関係性によるものと考えられる。神経科学者の多くは、人間の脳には顔を専門に処理する領域があると考えており、そのため、脳の損傷の仕方によっては、視覚や他の記憶には何の影響もないのに、顔の認識だけができないということも起こり得るという。

興味深いことに、統合失調症の患者はこの錯視を起こさない。彼らは凹んだ顔を凹んだ顔として知覚する。米国では1000人中7人ほどが患っている統合失調症は、幻覚や妄想、計画能力の低下などを特徴とする疾患だ。このような現実からの解離は、ボトムアップ処理とトップダウン処理のバランスが取れていないことが原因ではないかと、一部の心理学者は考えている。この仮説をテストするべく、ホロウマスク錯視を使った研究が行なわれた。

Dima氏と、ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(UCL)のJonathan Roiser氏は、統合失調症患者がなぜこの錯視にだまされないのか突き止めようと考えた。そこで、統合失調症患者13人と、比較対照群として健常者16人を被験者に、fMRI(脳スキャン)を使って脳の活動を測定し、凹面と凸面の顔の三次元画像を見せた。結果は予想通りで、統合失調症患者は凹面の顔を凹面と知覚したのに対し、健常者は誰も知覚できなかった。

Dima氏とRoiser氏は、動的因果性モデリング(DCM)という比較的新しい技術を用いてfMRIのデータを分析した。この技術によって、被験者がタスクを実行中に、脳の領域間での結びつきに違いがあったことが突き止められた。健常者が凹面の顔を見ているときには、トップダウン処理に関与する前頭頭頂ネットワークと、目から情報を受け取る脳の視覚野との間で結びつきが強くなった。一方、統合失調症患者にはそのような結びつきの強化はみられなかった。

錯視において健常者の脳は、この結びつきを強めることで自らの予想する視覚(通常の凸面の顔)が優勢になるように処理し、それによって、実際には見えているが自らの想定には存在しない視覚情報を圧倒するのだと、Dima氏は考えている。一方、統合失調症患者の場合は、このような脳の経路をうまく調整できず、その結果、凹面の顔を現実として受け入れている可能性があるという。

凹面の顔が凹面として見えるのは、統合失調症患者だけではない。酒に酔っている人や、ドラッグでハイになっている人も、この錯視には引っかからない。この場合もやはり、脳が見ているものと、見えると予想されるものとがうまく結びつかない状態が、アルコールやドラッグによって引き起こされている可能性がある。

[以下は、ホロウマスク錯視の一例とされる「首振りドラゴン」動画。

Paper dragon illusion

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先日wiredvisionで見かけた記事ですが、驚きませんか?
最後の種明かしの構造の写真を下に貼り付けて観察しても、私の脳は騙され、ドラゴンの視線が追いかけてきているように私の脳では情報処理されました。WIRDの記事によれば、私は統合失調症ではないようなのでホッとしました。(笑)

人間であるならば錯覚を、錯覚として共通の認識を持つようです。このことは、人間が神の分身といった霊的な存在であるよりも、脳という中央演算装置と記憶媒体を備えたたんぱく質のパーツで出来ている機械にすぎないことを示唆しているのかもしれません。

サルトルやハイデガー、メルロ=ポンティの師匠に当たるドイツの哲学者フッサールの残した言葉
認識は、それがどのように形成されていようと、一個の心的体験であり、したがって認識する主観の認識である。しかも認識には認識される客観が対立しているのである。ではいったいどのようにして認識は認識された客観と認識自身との一致を確かめうるのであろうか?認識はどのようにして自已を超えて、その客観に確実に的中しうるのであろうか?(『現象学の理念』講義)
「世界は客観的に存在する」という前提で、それはどう「意識」(人間の脳の情報処理)するかを考える時、これは脳科学や哲学的問題に限らないのではないかと、私は考えるのです。

金本位制や貨幣価値、株式の時価総額なども同じく錯覚から成り立っている気がするのです。

例えば、株式の時価総額ですが、これも実は「ホロウマスク錯視」のと同じですね。株式会社の発行株数の何千分の1が毎日取引された値段によって残りの大部分の価値があるものだと錯覚しているに過ぎないのです。発行株数1億株で1000円の株の時価総額は1000億円ですが、実際に1日に市場売買されているのは20~30万株ですから0.2~0.3%で残りの時価総額があると錯覚しているに過ぎないとも考えられます。
実際に5000万株を市場で売ろうとすると、1000円ではなくストップ安で値がつかずそれこそ100円以下にしかならないかもしれなくなるのです。

ジンバブエの状況を見れば紙幣は紙切れにすぎないことをつくづく考えさせられますが、紙幣も単に紙切れに福沢諭吉の肖像画を印刷して、壱万円と書き込んだ紙切れかと思いますが、私は有難くてなかなか手放したくない紙切れです。壱万円札が諭吉の肖像がで錯覚だと言う方がもしいらっしゃるなら喜んで諭吉の肖像画を引き取りに出向きますのでご一報下さい。※偽札は逮捕されますので、論外です。

株券や債権紙幣がどんどん電子化されていますが、株式や債券通貨の価値・富というものは、株券や債権紙幣に価値があるのではなく、幻想を共有できるシステムそのものではないかと考えます。

昨今の金融危機で市場価値もけして万能ではないとシステムそのものを否定し、「蟹工船」ブームなど共産主義復古を主張する短絡的な意見がみうけられますが、共産主義復古を主張する短絡的な意見には賛成しかねます。共同幻想される富の尺度を測るとき昔マルクスは労働価値を基準に考察しましたが、マルクスの時代には無かったロボットや農業、工業機械発達すれば労働価値で富の尺度では測ることはできません。複雑な現代社会においては、共産主義が復活することは不可能ではないでしょうか?それでも共産主義に魅入られるという人達は、チャップリンのお面のように単に錯覚しているだけなのかもしれません。

脳という中央演算装置を持った、たんぱく質で出来た機械である人間にとって、錯覚とは健常者であれば共通されるものであると積極的に肯定する考え方を社会に啓蒙するのも一案です。錯覚を受け入れられない人は統合失調症の人間であると考えるのは、少々極論過ぎますが、皆で共同幻想を共同幻想として受け入れる新たなシステムを模索すべき時に入ったような気がします。

例えばマジックショーを見に行ったとします、皆マジシャンの種明かしは皆が見たいのは確かです、しかし種明かしを知ってしまえば興ざめしてしまい、見に行く価値がなくなってしまいます。種を知らないからこそマジックショーを見に行く価値があるのであって、マジシャン自ら種明かしをしては、もはや誰もマジックショーは見に行かなくなってしまいます。マジックショーを成り立たせるには、密かに種を作るマジシャンと錯覚を錯覚として楽しむ観客によって成り立っているようなものです。

錯覚は錯覚かもしれませんが、皆で共通にこれは錯覚にすぎないが、皆が錯覚を共有しているとして錯覚を受け入れる事が大切ではなかろうか?現代文明を維持しようとするならば、現代文明と言う夢を維持する為に、我々は、映画マトリックスのように胡蝶の夢の中の住人に過ぎないという認識を持つことこそ、今は大切な時なのかもしれません。


私と意見が相違されるかたも多いと思いますが、マトリックスに置き換え考えた時、キアヌ・リーブス演じるところのネオにとって、現実に目覚めたことが本当に幸せだったのか?私には疑問です。もし、ネオが生命維持装置の夢の中で天寿を全うできたなら、それはそれでもしかしたらネオにとって幸せだったのかもしれないと私は考えてしまいます。覚醒と引き換えにネオは現代文明を失い過酷な現実に直面し、元の文明生活に戻ることなく死んでいくことになっていくと思いますが、果たして本当に幸せだったのだろうか?覚醒した一握りの人間が、己のエゴの為に、生命維持装置の中で生きる人間の幸せを一方的に破壊することが許されるのか?考えさせられます。
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p189~195
「金為替本位制」

ところで第一次大戦後、ようやく1925年になって、イギリスは金本位制に復帰する。しかし、それは本当の意味の金本位制ではなく、「金地金本位制」という変形であった。金貨は発行されなかった。兌換については、イングランド銀行券は金地金(インゴット)と交換することが一応保証されていた。しかしそれは、たいへん大きな単位でのみ可能だった(イギリスの場合1699ポンド以上)。したがって、一般大衆とは縁のない制度であった。

かくて、金地金本位制は真正の金本位制成立要件のうち、①金貨鋳造・鋳潰しの自由が否定され、②ぺーパー・マネーとの兌換の自由が、事実上制限されていた。

フランス、ドイツをはじめ、ほとんどの国は、1925年から28年にかけて金本位制に復帰する。日本の復帰はさらに遅れた。問題だったのは、これらの国の金本位制は、金地金本位制からさらに縮退した「金為替本位制」だったことである。

これらの国では、金があまりにも不足していたので、金貨を発行できなかったのはむろんのこと、通貨(中央銀行券)発行に必要な準備のための金地金にも不足していた。そこで、ドルおよびポンド建ての外国為替を金の代用とし、通貨発行の準備に加えたのである。ドルは金貨本位制で、ポンドは金地金本位制で、一応金との見換が保証されていた。

そのため、ドル為替とポンド為替を「金為替」と称し、金の代替物と見倣したのである。

その本位制を金為替本位制と呼んだ。

この苦しいやりくりで、金為替本位国の通貨も、間接的に金とリンクしたことになる。

しかし、金為替は、その性格上「両刃のやいば」であった。たとえば、フランスが保有するポンド為替を考えよう。それはフランスにとっては金為替であり、金と等価の資産であった。同時にそれは、フランスにとってはイギリスに対する債権であった。つまり、フランスは、いつでもそれをロンドンヘ送り、イギリスの金本位制を利用して金と交換することができた。

もちろんフランス以外のポンド為替を持つ国も同じことができた。そして、為替である以上、金本位制がうまく機能しないと、一定の枠内とはいえ、その交換レートが変動した。そして、ポンドが安くなり、為替ロスが発生する恐れが生ずると、ポンド為替がイギリスに大量に還流して、もともとぎりぎりの金量で無理に無理を重ねていたイギリスの金本位制を、たちまち危機に陥れたのである。

そればかりではない。イギリスの金本位制は、1925年に復活した当初から、問題を含んでいた。それは、イギリスがポンドの金価値を戦前の平価に据え置いたことである。

それに対しフランスは、戦前の平価の五分の一の価値しかないフランで金本位制に復帰した。明らかに、ポンドは過大評価で、フランは過小評価であった。そしてこの事実は、フランス商品のポンド価格が、フランス国内のインフレーションを考慮に入れないとすると、5分の1になったことを意味した。割安になったフランス商品の輸出は急増し、割高となったイギリスの商品輸出は低迷した。その結果、海外のイギリスに対する債権、つまりポンド為替はますます増大したのである。

この時期、国際金融をめぐって、はっきり強者と弱者が分かれていた。強者はアメリカとフランス、弱者はイギリスとドイツである。アメリカはともかく、フランスが強い立場にあったのは、フランスが金本位制に戻る前、フランス政府がフランをどんどん下がるにまかせたため、フランスの資本家たちが海外、主としてロンドンヘその資産を待避させていたためである。換言すれば、ポンドの形をとっていたフランスの資産が多かったのである。

これらのフランス資産は、一時的にポンドに避難していたのであり、それでなくてもフランスに帰ろうとしていた。その上、経済の実態から見て、フランがポンドに対して騰貴しそうな情勢になっていたのである。投機家あるいは短期資金の運用者たちは、イギリス人もフランス人も、一斉にポンド為替をフランスヘ持ち込んでフランに換えた。

その結果、フランス銀行(フランスの中央銀行)のポンド為替の保有高が、1926年11月の530万ポンドから27年5月の1億6000万ポンドヘ、たった半年間で30倍も急増した。

フランス銀行は、手持ちのポンド為替をイギリスヘ送って金と交換し始めた。ポンド為替を保有したままにしておくと、フランに対してポンドが下落した場合、損失を生ずるからである。しかし、そのことは、イングランド銀行の保有する金を減少させて、イギリスの金本位制に大きな危機をもたらした。

もちろん、フランスもイギリスの金本位制を破壊することは望まなかった。そこでフランスは、イギリスに金利を上げることを要求した。そうすれば、相対的に高い金利に魅かれて、ポンド資金がイギリスに滞留し、フランスヘ流れて来ないからである。

しかし、当時のイギリスは、政治的に金利を上げることが困難だったのである。なぜならば、当時イギリスの景気は、割高な為替レートのため輸出が伸び悩んだ結果、ただでさえ不況に苦しんでいたからである。そんな情勢では、それ以上景気を悪化させることが確実な、金利の引上げはできなかった。このイギリスとフランスの問の、どうにもならない難問を解決するために乗り出したのが、アメリカであった。

「アメリカの金利引下げ」

1927年7月初め、イングランド銀行総裁モンタギュー・ノーマン、ライヒスバンク(ドイツ中央銀行)総裁ヒャルマール・シャハトおよびフランス銀行副総裁シャルル・リストという、ヨーロッパ金融界のVIPたちがアメリカヘやって来て、ニューヨーク連邦準備銀行総裁ベンジャミン・ストロングと会議を開いた。その結果、イギリスが金利を上げる代わりに、アメリカが金利を下げることにした。そうすれば、アメリカからイギリスを含むヨーロッパヘ短期資金が流れて、イギリスおよびドイツの窮状を救うことができると考えられたのである。ニューヨーク連邦準備銀行の金利は4%から3.5%へ引き下げられた。

しかし、このときのニューヨーク連邦準備銀行の政策が、どれほど所期の目的を達したか不明である。佳美教授は、「世界大恐慌の発生過程(Ⅲ)」(『経済学論集』50-3)で、アメリカの短期資本移動について、1927年から28年にかけて、アメリカ白身の短期資金の海外流出が12億5000万ドルから2億3000万ドルに減ったこと、また同じ時期に、海外の短期資金のアメリカに対する出入りが、27年の9億3000万ドルの流入一アメリカから見て)から28年の1億2000万ドルの流出に変わったことを示している。

この統計を信用するかぎり、アメリカの金融政策は、アメリカの短期資金よりも、海外(その大部分はヨーロッパ)の資金の動きに大きな影響を与えたことになる。

一方、長期資金の動きでは、最も注目しなければならないのは、アメリカの対外債券投資の推移である。その主体は、外国の政府または企業がアメリカで債券(国債やら社債)を発行して、それをアメリカ人の投資家が買うものである。

このアメリカの対外債券投資は、1926六年の22億ドル、27年の28億ドル、28年の15億ドルと推移したが、29年には7億ドルヘ急減した(『アメリカの大恐慌』1930)。

国際金融システムに与える直接的な影響では、債券投資ほどのインパクトはもたないと思われるが、アメリカの対外直接投資(アメリカ企業の海外投資が主体)は、1926年、27年両年の3億5000万ドルから、28年の5億6000万ドル、29年の6億ドルと増え、1930年には3億ドルヘ急減した。

いずれにせよ、短期資金の場合に比較して、アメリカの公定歩合の0.5%の引下げが、アメリカの対外長期投資に与える影響はそれほど大きなものではなかったろう。長期資金は、短期資金ほどには金利の動きに鋭敏ではないからである。
ここで指摘しておかなければならないのは、アメリカの対外投資、とくにドイツや南米諸国に対する投資は、めぐりめぐって、これらの諸国に対するアメリカの商品輸出を支えていたということである。
第二章で触れた、19世紀のイギリスにおける古典的パターンはここでも見られる。したがって、もしアメリカの対外投資が急減すれば、アメリカの商品輸出も急減せざるをえないという宿命にあった。この点は、最近の日本とアメリカの関係との比較において、重要な意味をもっている。

ところで、問題だったのは、連邦準備銀行の金融緩和政策が、同時にアメリカ国内に大量のイージー.マネーを創出してしまったことである。このイージー・マネーは、結局他に行きどころがなくて、ウォール街へ流れ込んだ。
ウォール街へ資金が流れ込んだ後は、ご存知の通りの結果であった。この経済学だけでは理解できない歴史的推移は、今日の金融危機の原因を考察するにあたり、示唆に富む内容であった。

本書は、第7章にて富とは何かの考察を展開する、これもご一読する価値はあるだろう。
そして、第8章において、1989年夏の時点で日本のバブル崩壊と、今日のアメリカ発の金融危機の警告として、大恐慌の再来はあるのかと、考察は予言といってもいいくらいの慧眼である。

関岡氏はクルーグマンより遥か前から警告し予言していた事になる。本書も推薦の一冊です。

『「1929年大恐慌」の謎:副題:経済学の大家たちはなぜ解明できなかったのか関岡正弘著』を読む。
その1
http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/25962973.html
その2
http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/25994735.html
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また、トンでも本の「金融の仕組みはロスチャイルドが作った」の批判となるが、本書で解き明かす歴史的背景を理解すれば、この時代の流れは経済学的な必然性があり、陰謀論者が妄想する陰謀説の本は、無学な連中を洗脳そそのかす目的の危険な本としか思えなくなります。

それでは、金本位制について、続きです。

P184~188
ぺーパー・マネーの供給の責任は、国家の手から銀行へ移された。イギリスは17世紀末、諸国に先駆けて、イングランド銀行を設立し、銀行券を発行していた。

ここで、重要なのは、兌換の保証といっても、銀行は、発行したすべての銀行券と同額の金を常に準備しておく必要がないという点にある。そんなことをしていたら、金銀の不足を埋めるというぺーパー・マネー本来の目的を果たすことができない。それに人びとは、いっでも金に替えられると信じているかぎり、あえてぺーパー・マネーを金に替えようとはしなかった。重い金よりも、ぺーパー・マネーのほうが扱いやすかったからである。

それは確率の問題であった。銀行は、保有する金以上の銀行券を発行することができた。ここに「準備率」.という概念が生まれた。準備率とは、発行済みの銀行券の総額に対する保有する金銀の比率である。準備率としては、三分の一が経験的に妥当であるという意見が、1830年頃、イングランド銀行のパーマー総裁によって主張された。

1844年のピール銀行条例は、最終的にイギリスの金本位制を確立した法律だが、イングランド銀行に対し、保有する金貨、金銀地金の総額に加えて、1400万ポンドまで銀行券を発行することを許した。逆にいえば、1400万ポンドと決めたのである。これは、以後、ポンドの信用は著しく高まった。
金銀の裏付けのない銀行券の上限を法律でかなり厳しい規定であった。そのせいか、以後ポンドの信用は著しく高まった。

「イギリスのパラドックス」

1870年以降、イギリス以外の諸国も次々に金本位制を採用する。1872年、普仏戦争に勝ち、フランスから50億フランの賠償金を得たドイツが、まず金本位制に踏み切った。1874年にはオランダが、78年にはフランスが続く。そして79年には、アメリカが一応法的に金本位制に移行する。しかしアメリカの金本位制が確立するのは、ようやく1900年になってからである。1892年にはオーストリア、1897年には、日本とロシアが続いた。

1870年代以降、国際的に金本位制が急速に普及したのは、時代が必要としていたからである。当時、イギリスでは、急速に「過剰流動性」つまり使い道のないマネーが蓄積されていた。一方、遅れて産業革命に入ったイギリス以外の国は、資本主義経済を発展させるための資金をのどから手が出るほど必要としていた。

しかし、ある国から別の国へ、長期貸付けという形でマネーを流してやるためには、為替レートが安定していなければならない。そうでなければ、貸し手は安心して長期の貸付けをすることができない。金本位制は、当時それを実現する唯一の方法であった。第一次大戦前の国際的な金本位制は、イギリスを世界の銀行にするための必要な条件だったといえる。

重要な点は、この時代のイギリスの金の保有高が、意外なほど少ないことである。『文明の血液-貨幣から見た世界史」(湯浅赴男著、新評論)は、1890年代から1922年までのイングランド銀行の保有する金は、2000万ポンドと4000万ポンドの間を上下していたにすぎないという。それに対して、フランスやロシアは1億ポンド以上保有していたという。オーストリア帝国も5000万ポンド保有していた。

金本位制の全盛時代、その宗主国、イギリスの金保有高が意外なほど少なかったという一見して矛盾に思える事実は、しかしじつは、金本位制成立の真の条件を示唆しているのである。

イギリスの金保有量が少なかった事実は、イギリスが積極的に海外へ金を投資していたことを意味する。当時のイギリスの海外投資家は、金利生活者など多数のいわゆる小金持ちから構成されていた。彼らは、国内で資金を運用するよりも海外で運用するほうが金利が高かったから、それを好んだのである。

その上、彼らは海外へ投資することに不安をもっていなかった。19世紀には、イギリスは世界で圧倒的な海軍力をもっており、そして地球上どこへでも、砲艦や兵上たちを送ってイギリスの権益を守ることができたからである。イギリスの海外投資が、多数の比較的小規模な投資家によって行なわれていたことは、その資金のフローを安定化するのに役立っていた。

結局、イギリスあるいはポンドの信用は、単に金の保有高といったハードウェアで裏付けられていたわけではない。数百年の蓄積である「イギリスの世界システム」というソフトウェアによって、その信用が支えられていたのである。パラドックスだが、イギリスが保有する金の量が少なかったという事実は、イギリスの弱さではなく、強さを、そして当時の金本位制の安定性を表わしていたのである。

ここで、金本位制の目的、マネー価値の安定には、犠牲がともなったことに注意しなければならない。よくいわれる金本位制のメカニズムは、次のようなものである。

<なんらかの原因で、ある国で景気がよくなり、所得が増えるとする。商品に対する需要が増え、価格が上昇する。すると輸出が減って、輸入が増える。その結果、金が外国へ流出する。一方、国内の商品流通が増大する結果、金貨の需要が増える。それは中央銀行の手持ちの金貨の流出を意味する。

かくて、国内と国外への二つの流出により、その国の中央銀行が保有する金の量が減り、準備率が下がる。そのため中央銀行は、手持ちの公債を売って銀行券を回収するのである。

この中央銀行の操作を「公開オペレーション」というが、それによって回収される銀行券は、流出した金の準備率の逆数倍(準備率が3分の1であれば3倍)となる。かくて、国内に流通するマネーの量が急激に下がるので、景気が悪化し、物価が下落する。所得も減る。輸入が減って、輸出が増える(物価が下がったため)。

その結果、金が再び外国から流入してくる。国内で流通していた金貨も、中央銀行へ還流してくる。中央銀行の手持ちの金が増大する。準備率が高くなるので・市場から国債を買い上げて、銀行券を増発する。かくて、景気は再び回復に向かう>

国内で流通するマネーを金にリンクしているかぎり、マネーの価値は安定している。上記のプロセスでわかるとおり、インフレーションを防止するメカニズムが経済システムにビルトインされているからだ。これこそ、古典派経済学が理想とする経済システムであった。

半面、それは、実物経済のダイナミズムが、マネー・サイドの事情によって制限されることを意味している。それは、昭和三十年代、四十年代の日本経済を思い出させる。当時は、国際収支の天井があって、少し好況が続くとドル(当時は金と同じと考えてよかつた)不足になるので、泣く泣く不況政策(引締め政策)を採らざるをえなかった。金本位制の場合は、それが政策的にではなく、自律的メカニズムで行なわれたのである。

マネーを安定させるための代償は、「景気」であった。そのせいだろうか、国際的な金本位制が機能していた1870年頃から1890年代の半ば過ぎまでの間、世界は「生産」の増大の一方で、「価格」の長期低落傾向に悩んだ。

『「1929年大恐慌」の謎:副題:経済学の大家たちはなぜ解明できなかったのか関岡正弘著』を読む。
その1
http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/25962973.html
その3
http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/25996450.html
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イメージ 1

関岡正弘氏は2002年阿修羅のTORAさんの投稿/ 20世紀石油資源論 ではじめて知りましたが、かくも素晴らしい本を出していたとは知りませんでした。そして、「拒否できない日本」の/ 関岡英之氏はその息子さんであったとは知らなかった!

関岡正弘氏は石油有限派であるため、石油問題に関しては私と意見が異なりその為、少々批判的に読み出しました。金融危機後に「雨後の筍」のごとく出版された経済学書と「どんぐりの背比べ」程度かと思い読み出したのですが、本書は関岡氏が偉大な碩学の学者であるかを私に知らしめる本であった。金本位制1920年代、そして大恐慌がなぜ起きたかをその時代背景とともにわかり易く解説しています。なるほどなるほどと読み進んでいくうちに、「サブプライムローン」問題とかCDOとかCDSなど金融危機の問題に言及していないことに気がつき、最後まで読んで驚いてしまった。「本書は1989年9月にダイアモンド社より出版された『大恐慌の謎の経済学―カジノ社会が崩壊する日』を改訂・改題したものです。

「恐れ入谷の鬼子母神!」本書は20年前、しかも日本がバブルの絶頂期に書かれた本であった、経済に関する新刊は1年もすれば100円で売られることが多いのだが今日読んで古さをまったく感じないどころか、逆に新鮮に感じる驚くべき本だ。英之氏の「まえがきにかえて」にもちゃんと1989年の本だと書いてあったのだが読み落として読んでいた。

20年前に書かれた本だと知らずに読むのも面白いかもしれないが、知って読むと関岡氏は偉大だ。今思えばバブル時代には何か変だとは感じても、「その当時の最中にこの時代が変だ!」と確信できるのはけして容易ではないと思います。当時20代であった私は残念ながら変だと確信できませんでした。戦中戦後苦労された世代の方にはバブル時代は奇異に思えたのでしょう。沈み行く日本の現状はバブル時代以上に日本にとって特異な時代であってほしいものです。

「一般的な恐慌のメカニズム」
P73~75
ここで、1825年と36年の2回の恐慌についての分析をもとに、
一般的な恐慌のメカニズムをまとめてみよう。

1徐々に富が蓄積されていく。
2なんらかの景気始動要因が働く。
3商品価格が上がり始める。
4生産拡大が始まる。
5原料輸入の増大、工場・機械の増設など実物経済の拡大が始まる。
6その過程で、資金調達のための株式、債券の新規発行が始まる。
7好況が進み、商品価格が一層上昇する。
8商品に対する投機が始まる。
9マネーが忙しく回転し、信用が急速に膨張する。
10投機が過熱する。商品投機のみならず、株式、債券などに対する投機が盛んになる。蓄積されていた富が本格的に動き出す。
11投機ブームによる臨時のキャピタル・ゲイン一あぶく銭一が、実物経済に追加需要をもたらす。
12国内の経済活動の増大、輸入の増大などにより、金貨本位制のもとでは中央銀行の金準備が急激に減少し始める。
13金準備が一定の水準以下へ落ちると、中央銀行は支払不能という事態を避けるため引締め政策を実施する。
14膨張した信用の基盤に水がかけられ、信用の収縮が始まる。
15信用の収縮は、過熱していた投機を一挙に崩壊させる。
16実物経済の消費のうち、臨時のキャピタル・ゲインで支えられていた部分が一挙に消滅する。
17その結果、実物経済で発生した生産の減少、価格の下落、失業などが、タイムラグをもちながら加速度的に、実物経済全体に波及していく。
18実物経済のコントラクション一収縮)は、信用が頼っていた実物的塞盤、担保などの価値を減じ、一層の信用の収縮を招く。
19信用と実物経済の双方の収縮が悪循環し、恐慌を一層激化させる。

「1920年代の検証」
焦点は、なんといっても、1929年10月にアメリカのウォール街で起きた株式市場の大崩壊を、どのように位置づけるかという点にある。なぜなら、それこそが、あらゆる点で時代の転換点になっているからだ。
ここで、これまで検討してきた1920年代の時代的背景を整理しておこう。
1.1870年以降、アメリカとヨーロツパの経済距離が著しく短縮した。木造の帆船から蒸気鋼鉄船に移行して、海上輸送費が革命的に下落一約十分の一へ)したからである。
2.以後アポカ経済は、ヨーロツバヘの輸出を基礎に大発展への道を歩み始める。
3.石油による照明革命は、「知的大衆」という歴史上初めての存在をアメリカ社会に生み出した。
4.巨大株式会社と科学的生産管理技術がアメリカの生産性を飛躍的に高めた。
5.巨大株式会社の誕生は、一方で株式市場という理想的な投機の場を用意したが、過大な水増し株式発行の穴埋めが必要だったため、すぐには投機を誘発しなかつた。
6.第1次大戦は、アメリカに巨大な富をもたらしたが、アメリカの大衆もまた大きな分け前にありついた。
7.アメリカ連邦政府の戦時国債キャンペーンは、大衆に証券投資の味を覚えさせた。
8.石油を燃料とするトラクターによる農業革命は、農業労働者を失業させ、巨大な潜在的余剰労働力を生み出した。
以上のような時代背景の歴史的認識なくては経済学のみで、恐慌を理解することは不可能に近い。関岡氏は歴史学者のガルブレイス氏の恐慌の歴史学的観点から読み解いた「大恐慌」をたたき台に関岡氏の碩学な知識を加え、この後金本位制について、非常にわかりやすく解説しています。

今日の金融危機を理解し、資本主義の行き着く先を考察するには絶好のテキストです。

この本で私が興味深かったのは以下の部分です。

「金為替本位制の弱点―第6章国際金融システムの果たした役割」

金本位制の問題点

第一次世界大戦前の金本位制は金貨本位制で実際に金貨が流通していたがその期間は1870年頃~1940年のわずか40年しかないのである。

Ddogがここで気がついたことだが、金本位制が可能となったのは日本の金ではなかったのだろうか?幕末日本から流失した金こそが19世紀末から20世紀初頭の欧米帝国主義経済を支えてのかもしれない。

1920年代の金本位制は世界経済が一気に拡大し、金不足で第一次世界大戦前の金本位制は復活できなかった。
P180~184
ガブルレイスは「マネー」のなかで1867年に主要ヨーロッパ諸国は、パリに会して、金を彼らの通貨に対する基礎的で唯一の準備とし、彼らの間の支払い手段とすることを決定した」と述べている。(略)

イギリス以外、まだ金本位制を採用していた国はなかつた。イギリスだけが、すでに十九世紀前半、いろいろと試行錯誤を重ねた後、金本位制を確立していたのである。

ところで、真正の金本位制といわれる金貨本位制の成立の要件は、次の三つにあるといわれる。
①金貨鋳造・鋳潰しの自由
②ぺーパー・マネーとの免換の自由
③金貨および金地金の輸出入の自由
(略)要するに、金本位制というのは、すべての商品の「価値ないし価格」を、金の「価値ないし価格」を尺度として決める社会制度なのである。価値と価格の問題については、次章で詳しく述べる。

イギリスでも、ほとんどの国と同じように、昔は銀本位制であった。中世のヨーロッパは金が不足していたし、また商品の流通がそれほど発達していない時代には、金は、日常の取引の価値の尺度としては、あまりにも高価すぎたのである。

その後、十字軍の遠征を契機としてイタリアの商人が勃興すると、1252年にはフローリン金貨が鋳造される。中世ヨーロッパとしては、初めての金貨であった。そしてだんだんと、金と銀が並んで尺度に用いられる金銀複本位制の時代に入る。当時のヨーロッパの辺境、イギリスが金銀複本位制に入るのは、ようやく1666年である。
しかし、両雄並び立たずという諺どおり、複本位制は、不安定で、長続きしない。金も銀も商品であることには変わりはないから、それぞれ需給バランスによって、別個に価格が変動する。したがって、「本位制」で金銀問の交換比率を固定すると、かならずどちらかが割高になったり、割安になったりする。そして、流通するのは割安になったほうの金属であり、割高になったほうは退蔵されてしまう。

さらに、国によって両者の交換比率が違う場合には、より有利な国を求めて、金と銀が反対方向に移動するという問題が生ずる。イギリスは、当時他のヨーロッパ諸国に比べて、金を割高に評価した。銀を虐待したのである。そのため、イギリスから銀が流出し、金が流入した。

偶然かもしれないこの歴史的事実が、イギリスを早い時期から事実上金本位国にしてしまったのである。正確には、1717年の法令が事実上、イギリスを金本位制に移行させたといわれている。

金貨本位制の第二の重要なポイントは、「兌換」という点にある。この兌換という要素は本位制固有のものというより、歴史的な過程において、半ば必然的に金本位制に付け加わったものといえる。

近世ヨーロッパは、「マネー不足」という難問に直面していた。人類は、紀元前数千年も前から金と銀をマネーとすることを決めていた。そうなった最も重要な理由は、この二つの金属の「稀少性」にあった。半面、金と銀をマネーにしたこのそもそもの理由が、問題を発生させた。

稀少性は、「不足している状態」ということでもある。近世ヨーロッパ経済が、テイク.オフして、商品の流通量が増大すると、まず流通手段としてのマネーの不足が深刻な問題となった。

そこで人類は、不足したマネー「金銀」を補うために、「紙」のマネーを発明したのである。ぺーパー・マネーは、いくらでも作れた。その意味では、「不足」を補う手段として理想的であった。半面、その利点が重大な欠点ともなった。人びとは、どんどんぺーパー・マネーを印刷するという誘惑に勝てなかったからである。

ガルブレイスは、アメリカ建国の父の一人、ベンジャミン・フランクリンも、若き日、経営していた新聞社の印刷機を転用しては、ぺーパー・マネーを印刷していたと『マネー』に書いている。植民地時代のアメリカでは、とくに流通手段としてのマネーが不足していたのである。

しかし、マネーも本質的には一種の商品である。印刷されすぎたぺーパー・マネーも、需要と供給の法則の免疫性はもっていない。かくて、近世の資本主義勃興の歴史は、発行され過ぎて無価値となったぺーパー・マネーの実例に満ちあふれている。
このぺーパー・マネー固有の欠点を抑えるためには、ぺーパー・マネーをいつでも必要なときには金と見換する制度が必要であった。見換の保証によって、ぺーパー・マネーは金と等価になったのである。

兌換制度が確立する過程で、ぺーパー・マネーの二人兄弟のうち「紙幣」は廃れ、「銀行券」が生き残った。紙幣は多くの場合、政府によって、それ自体が法貨(国家が認めた正貨)として発行され、見換が保証されていなかったのに、銀行券は、本来銀行が発行した約束手形であり、正貨(金)との兌換が保証されていたためである。
その2
http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/25994735.html
その3
http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/25996450.html
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すいません、こいつらの芸にはまって、ブログの更新ができません。
いいかげん、笑い飽きたので、さてこれから執筆します。しばしお待ちを。

とってもシュール!で私は大好きです。寺山修司にもつながる世界観で、お笑いと言うより現代アート、見事なパフォーマンスでした。彼らは所属が吉本興業所属の芸人さんですのでやっぱり「お笑い」ですかね?これを笑えるのは平和な国日本だからなんですよね・・・ガザとかイラク・アフガンやアメリカなんかではあまり笑えないかもしれません。

でも5回目は1・3・4回目と同じネタだったらちょっと辛いかな・・・
椿鬼奴さんも単独ではいまひとつですが、キュートンだと輝いてましたね。
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株談議 09/04/07 テポドンも株価の打ち上げも2段目3段目がどうも不調かもしれない。

テポドンも無事打ち上げたはいいが、今回もお約束どおり高度も485Kmまでしか達せず、衛星は軌道に乗らず、太平洋上に落下した。人工衛星としても、ミサイルとしても失敗であった可能性が高い。このテポドン2には最初から人工衛星など積んでいなかったと私は思う。人工衛星を軌道に乗せるのはミサイルに加え別な技術ノウハウが必要です。北朝鮮では資金も技術も無い上に、人工衛星を利用するような目的が本当にあるのだろうかという国です、本気で人工衛星を開発したとは到底思えません。核兵器にしても、ミサイルにしても高田純次さん(江頭2:50とともに私は芸人of芸人と評価しています)もびっくりの半島人の適当精神「ケッチャナヨ」精神で打ち上げてしまったのではないだろうか?

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さて、本題の株の話です。4月に入り寄り前の外人動向は4月6日を除き連日、外資系証券の買い越し姿勢は継続しております。個人も信用取引が活発化しているので、今のところ、当初懸念していた年金資金が消え、需給が大幅に悪化した印象は少ない。とりあえず株価は1段目の点火には成功したようだ。

為替の個人的相場観として、中長期的円高と思っています。目先については98~99円に到達後円高と読んでいましたが、少々外れました。目先円安ドル高を予測したシカゴ筋や外人さん達の予測がどうやら当たってしまいました。しかし、中長期に円高と予測はまだ引き下げません。

ただ、円安が1ドル=105円になってくると90~95円業績予測を出している輸出産業の業績が急回復するであろうから、心情的には決算期の発表までは、円安ドル高でいてほしいものです。

しかしながら、米国のクレジットスプレッド(BBB社債-米国債利回り)は未だ8%台であり改善しておらず、ここで世界的な金融危機の終了を宣言する状態ではない。NYダウもちょうど昨年秋のの抵抗水準にあり戻り売りが当然出るので、厳しい水準です。
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【NYダウ工業株30種】
http://chart.miller.co.jp/chart.cgi?0200I
迂闊にもバルチック海運指数をチェックし忘れていたところ、3月半ばから連日続落中です。
昨年11月には早くもバルチック海運指数が底打ちした事により私は、株式の底が見えたと昨秋には心強い指標として観測していました。ところが今回は、中国株式の上昇中に下落しています。バルチック海運指数は実体経済の先行指標であり、最近では株式、特に中国経済の先行指標と考えてもいい指標となっています。
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http://investmenttools.com/futures/bdi_baltic_dry_index.htm
【バルチック海運指数】

ということは、回復中の中国株香港株などの先行きがこのままV字で回復しない可能性が高い事を示唆しています。私は常に「中共滅びろと呪詛」している為、中国株相場を悪いほうにしか考えない癖があります。私の中国経済に対する見通しは常に辛口に見ているので、その分を差し引いてもチャートを見る限り、香港ハンセン指数、上海総合指数は雲に阻まれ、テクニカル的には反騰は難しいる可能性もある。

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【香港ハンセン指数】
http://chart.miller.co.jp/chart.cgi?0300I



半導体株(SOX)指数や香港、中国市場は堅調ではあるが、世界マーケット全体のリバウンドではなく、マーケットが弱い時期の、幕間的な現象かもしれない可能性が高いと思います。足もとの景気悪化には一服ムードではありますが、私は本格回復とは思っていません。経済を支える2段目3段目に不安がある。

昨年末から年初にはドル・円相場は1ドル=65-70円台は必至、ダウ平均は5000-6000ドルになるとのトークが市場を支配していました。わずか1ヶ月前とでは、投資家の心理は雲泥の差ではないだろうか?3月の初旬は世界の投資家の心は不安と信用リスクがいつまで続くか底が見えない状態で、投機筋から流れる超悲観論は、絶望的にも思いました。しかし、経験則からすると、こういった場合はいつも買いのチャンスであった。(Ddogも借金して現物株を買いました!)

金融危機自作自演説という妄想を私は抱いていますが、リーマンの破綻は、ポールソンの私怨(LTCM奉加帳の拒否の仕返し)説とも思っているが、AI・Gメリルは救ったがリーマンを破綻させたのは米金融当局の策謀の為の「犠牲の子羊」であったのかもしれません。
※陰謀論者がロスチャイルドの陰謀だとの噴飯ものの妄言を垂れ流していますが、リーマンはFRB大株主のNY連銀設立時の大株主で、ロスチャイルド系である。

金融危機は、米国がドル防衛と、覇権の維持を狙った大博打を打ちであり、人為的に演出した可能性を疑っています。サブプライム問題、サブプライムローン、CDO、CDSは、最も効率的に米ドル、米経済の覇権に挑戦なするライバルのユーロ欧州経済、人民元中国経済、円日本経済に打撃を与える意図があったような気がする。さらに、ロシア、産油国経済も瀕死状態まで追い込み、意図的であったら天才的な策士である。

この究極の米国経済、ドル防衛策は、謀略ではなく、神の見えざる手による結果論にすぎないのかもしれないが、できすぎである。クリントン政権時代、ガイトナー財務長官の師匠のルービンが米国経済に魔法をかけた「強いドル政策」である。本来ドル安に向かうべき経済を、経済常識を破ってドル高を演出し、世界中から資金を吸収し、米経済を、カジノ化した。今回もポールソン、バーナンキのお膳立てもあったろうが、ドル高の演出もありうる。ガイトナーは「強いドル政策」を推し進めたルービンの盟友サマーズがNEC(国家経済会議)議長とともに当面「強いドル政策」を推進しそうだ。

世界経済はルーズベルト政権下行われたニューディール政策以上に、過去に経験したことのない膨大な財政支出という人為的なテコによって回復が進んでいる状態である。デフレに落ちいった日本がとった政策の踏襲である。この政策は定石中の定石であると思うが、私を含めて、多くのエコノミストが予測したドル暴落は現時点では起きていない。むしろ、いまのところドルの本国復帰逆流現象が起こっている最中である。G20で指摘されたカリブ海諸国や、スイスなどに預けられた資金が、米国内へ還流している可能性も否定は出来ない。これも強いドル政策の一環かもしれません。

そのドル逆流現象によって、このままドル高に推移することになれば米国が目指している金融危機後のドル基軸体制の再構築による、ドル価値の維持は可能のように思えます。

国家の策謀か、天才的経済運営なのか、神の見えざる手かは定かではないが、結果として輪転機で刷られ続けるドルの価値を維持する共同幻想は、金融危機を経る前より確実に延命されていると思う。

超悲観論を唱えていた米国経済は、米政府・FRBの景気予測には1-2月頃までの総悲観論的な見方は完全に姿を消してきている。四半期の国内総生産(GDP)成長率は最近では5%台前半になるとみられ、米国の経済は2009年下半期に再び景気拡大局面に入り、との意見もある。

オバマ政権は強い姿勢で景気を支える決意を示しているが、2月に議会で承認された景気対策法案は、GDPの6%近くに相当する大規模なものである。財政支出だけで需要の落ち込みを穴埋めするには難しいが、経済成長を力強く後押する要因になることは間違いない。

ところがである、北朝鮮のミサイル発射直後にオバマ政権のゲーツ米国防長官がF-22の生産中止を提案した。これには私が軍事オタクで、F22を愛しているからかもしれないが、オバマの経済問題に対する素人さ加減に私は、あきれ返ってしまった。
ゲーツの意図は国防長官としてやむを得ないところもあるが、オバマが大統領としてフォローすべき由々しき問題ある。
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【F22戦闘機生産中止提言へ 米国防長官 日本のFX選定に影響】2009.4.7 08:41
http://sankei.jp.msn.com/world/america/090407/amr0904070843003-n1.htm
【ワシントン=有元隆志】ゲーツ米国防長官は6日の記者会見で、米空軍の最新鋭ステルス戦闘機F22Aラプターの生産中止をオバマ大統領に提言することを明らかにした。このほかミサイル防衛(MD)計画予算の大幅削減方針も決めた。F22は日本の次期主力戦闘機(FX)の有力候補であり、ゲーツ長官の決定は今後のFX選定作業にも大きな影響を与えそうだ。議会からはF22の生産中止に反発が起きており、曲折が予想される。
 ゲーツ長官は厳しい財政事情を踏まえ、兵器調達について「根本的に見直しを行わなければならない」と語った。
 具体的には、(1)F22を現在計画されている183機から4機増やして187機として、生産を終了する(2)MD計画への支出を約14億ドル(約1400億円)削減する(3)計画が遅れている新しい大統領専用ヘリコプターの購入を見送り、導入計画を検討し直す-ことなどを挙げた。
 ゲーツ長官はF22の生産を中止する一方で、開発中の高性能戦闘機F35への支出を増やすほか、現行のミサイル防衛網の強化を図る方針を示した。F35も日本のFXの候補になっている。
 ゲーツ長官はF22について「打ち切りではなく計画の完了だ」と述べたが、これまで米空軍は240~250機は必要としてきた。上下両院議員238人は今年初め、オバマ大統領に書簡を送り、F22の生産や部品供給には計44州で2万5000人以上が携わっており、雇用維持のためにも生産継続が必要と訴えていた。
 地元に工場を抱える議員からは、「生産中止は米国の安全保障、経済を危険にさらす」(共和党のギングレー下院議員)と、ゲーツ長官を批判する声が出ている。
 下院軍事委員会のスケルトン委員長(民主党)は声明で、「(ゲーツ長官の)提案を支持するかどうかの責任は議会にある」として、最終的には議会が決定すると強調した。
数少ない米国の国際競争力がある商品を生産中止にして、日本をはじめ友好国にも供与しないというのは、雇用面からも考えるとこの提案は、オバマ政権の経済運営センスを疑いたくなる。しかも、国際的に制裁しようとする北朝鮮へ誤ったメッセージにもなり、同じく中国に対しても誤ったメッセージとなる可能性が高い。

何が何でも経済を回復させる強い意思がオバマにあるならば、F-22の生産打ち切りはすべきではないと思う。失策だろう。やはり世界経済の回復の2段目3段目はどうも怪しいのではないだろうか?

※このブログはDdogの個人的な相場観です。ご参考にされる方は、自己責任でお願いします。
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G20が1.1兆ドルの危機対策で合意、規制強化やIMFへの資金拠出も
2009年 04月 3日
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-37311420090402
[ロンドン 2日 ロイター] 20カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)は、大恐慌以来最悪の世界的な経済危機に対処するため、総額1兆1000億ドルの対策を講じるとともに、危機の再発を防ぐため規制を強化することで合意した。
 オバマ米大統領は、今回のG20会合について、世界経済の「転換点」と位置付けた。
 エコノミストの間では、楽観ムードの広がりをけん制する声も出ているものの、世界の株式市場はG20の大胆な措置を歓迎し、上昇した。
 オバマ大統領は、記者会見で「われわれは、成長回復と危機の再発防止に向け、前例のない一連の措置を講じることで合意した」と語った。また「現在の危機を深刻化させる可能性のある保護主義を否定した」とした。
 G20会合では、制裁につながる可能性のあるタックスヘイブン(租税回避地)のブラックリスト公表や、初めて大規模なヘッジファンドや格付け機関を監視することで合意した。
 オーストラリアのラッド首相は「この日の合意は、世界の市場を崩壊させた金融市場の『カウボーイ』摘発を始めるもので、あらゆる面に影響を与える」と述べた。
 議長国である英国のブラウン首相は「きょうは世界的なリセッション(景気後退)に立ち向かうため、世界が一致団結した日だ。言葉ではなく、世界経済の回復と改革に向け、明確なタイムテーブルを設定した」と述べた。
 ブラウン首相によると、各国は2010年末までに総額5兆ドルに上る財政刺激策を実施することで合意した。
 各国の株式市場はG20の決定を好感し、欧州株式市場は4.9%、米国市場ではダウ工業株30種が2.8%、ナスダック総合指数が3.3%、S&P総合500種が2.9%上昇した。
 ブラウン首相によると、G20首脳は、IMFや他の機関を通じて利用できる新たな資金源として1兆1000億ドル拠出することで合意した。それにはIMFの特別引出権(SDR)2500億ドルが含まれる。
 IMFは5000億ドルの新規資金を得て、独自財源は3倍に拡大する。新規資金のうち400億ドルを中国が拠出することで合意した。
 このうち多くは特に東欧の困難に陥った貧困国の支援に充てられる見通し。
 スタンダード・チャータードのシニアエコノミスト、サラ・ヘウィン氏は、貿易の大幅減少で打撃を受けている貧困国が支援されるとの見方を示した。
 G20はまた、IMFに対し、最貧国向け融資資金の調達や保有する金の売却を加速するよう求めた。さらに、世界の貿易を促進するため、2年間にわたり2500億ドル規模の貿易支援策を講じることで合意した。
 サセックス大学欧州経済学部のジム・ロロ教授は「貿易大国である中国や、ブラジルなどその他の新興国にとって良いニュースだ。ドイツにとっても朗報だろう」と指摘した。
 ただ、エコノミストの中には、楽観ムードの広がりをけん制する向きもある。
 ロイヤル・バンク・オブ・カナダの新興市場ストラテジスト、ナイジェル・ランドール氏は「IMFの財源拡大は予想以上で、困難に陥った国の支援に充てる資金が増加したことは好ましいニュースだ。だが、特に東欧諸国などが抱える問題は一夜では解決できない」と指摘した。
 ブラウン英首相も「早急な解決策はない」としながらも、今回の措置でリセッションが短期化し、雇用喪失も食い止めることができる、との考えを示した。
 G20の声明は、今回の措置により、世界の生産が来年末までに4%押し上げられるだろう、との見通しを示した。
 オバマ米大統領は「声明で示された措置は必要なものだ。これらが十分かどうかは成り行きを見守らなければならない」と語った。
 フランスのサルコジ大統領は、G20で予想以上の成果が得られたと評価するとともに、世界経済は「アングロサクソン型モデル」から変化しつつある、と指摘した。
 ドイツのメルケル首相は、一段の景気刺激策の実施が義務づけられることがなかったことを歓迎する考えを示した。
 独仏が市場の規制強化を求めて英米と対立していた問題について、英国のブラウン首相は「要求に応じて情報を明らかにしないタックスヘイブンはなくなるだろう。これまであった銀行の秘密主義は幕を閉じた」と述べた。
 ロイターが入手した書類によると、コスタリカ、マレーシア、フィリピン、ウルグアイが、非協力的なタックスヘイブンのブラックリストに載せられた。

私は、G20に強い懸念を抱いていた。自由主義の国アメリカの最も平等主義者であるオバマ大統領が、欧州の平等主義のサルコジ仏大統領、メルケルドイツ首相に日和(ひより)、より規制強化するのではないか?その結果、規制の強化による資金循環の動脈硬化=景気悪化効果(プロシクリカリティ)になるのではないか?金融恐慌へ陥るのではないか、そんな恐怖を感じていた。幸いな事にG20での議論は、規制の強化に関して結果的に曖昧なままで終わった。

20カ国・地域(G20)首脳が顔をあわせるが、1日の会議でもあり、セレモニーに近いものでもあり、各国に何かをやれというようなことにはならないかもしれないが、一同に会することにより国際的協調体制を確認するだけでもプラスであったのかもしれない。ただし、保護主義の牽制にはなったが、追い詰められた国から保護主義に陥る懸念は完全に否定されたわけではない。

かつての大恐慌では各国は協調体制も無く、保護主義に走った。世界は大恐慌の再来を恐れているが、当時の金融政策の失敗や保護主義などのかつての失敗について確認し、今回のG20では、保護主義の回避が確認できたことと、雇用創出もうたっており、マーケットに安心感を与えた。

昨年秋の第一回G20で、銀行の自己資本比率規制等による景気悪化効果(プロシクリカリティ)について、話し合われたものの、第二回のG20までに国際的な投機資金の規制強化をどうすべきか合意が予定されていたはずだった。年明け以降は欧州勢が規制強化に傾いていた。

G20以降NYダウも連日戻ってはいるものの、現在のプロシクリカリティの扱い次第でどちらに行こうかと見定めている感がある。G20で規制強化となれば、貸し出しや社債購入は見送られる圧力がかかり、暴落するのではと思っていただけに、とりあえず何事も無く一安心した為、反騰したのだろう。

2011 年3月には米国は銀行の自己資本厳格化凍結が解除される予定ではあるが、銀行が利益剰余金で自己資本を積み上げるまでの期間はいくら中央銀行が資金を供給しても、肝心の銀行で資金循環が止まってしまっている。この点はこの反騰が持続的なものか、私は懸念が残っています。

史上最低の日銀短観には驚いたが、景気はV時ではなくL字型に近い回復の可能性大とは言え、近く景気は底をつける可能性があると、マーケットはこれを逆に底打ちの確認と捉えた。

現在、欧州以外の財政出動が執行段階に移ること、国際的に協調して、中央銀行の流動性供給の積極化、自然治癒的な金融機関の健全化が進むことが期待されての反騰であると考えられる。

日本株についてもう少し考察すると、2008 年度の主体別売買は、最大の買い手が信託銀行(年金資金)、売り手が外国人となった。08 年度の2 番目の売り手であった証券自己の買戻しが活発化している。過去の実績からは、裁定買い残はもう少し積み上がる余地があると考えられる。

2009年は 主体別買い手筆頭であった年金資金は、年金積立金取り崩しに伴い、買い手としては期待できない。しかし、 最も売り越した外国人の09 年度は、これ以上の売り圧力とはならない可能性があるが、需給関係から考えると、このまま反騰に向かうか少々不安だ。

為替市場での100 円/ドル乗せを受けて株式市場も国際優良株に戻り高値を更新する動きが拡がり、不動産株も戻り高値を更新してきた。

金融危機や信用不安の後退を期待させる動きの、日経平均のチャートでは、昨年11 月戻り高値:9521 円や今年の1月戻り高値:9325 円を上抜けることでダブルボトムが完成するが、価格帯別出来高分布や26 週線への接近から8800 円を抜けることもかなり重要に見える。ここを抜けないと、下降トレンドに終止符が打てない。

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日経平均日足チャート(グラフをクリックしてください)

このチャートで見る場合、一旦金曜日の寄り付き直後付近が戻りの限界の可能性は拭いきれない。回帰チャート下降トレンドを脱出するには1/2戻しの8919の突破、9000円台乗せが必要だ。


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日経平均週足チャート(グラフをクリックしてください)

マーケットは過熱し一旦は下落するであろうが、次に戻り相場を試す場合の目標は1/3戻りの10763円~11000円が目標であろう。

※このブログはDdogの個人的相場観を綴るものであり、個人的な趣味のものです。投資等の参考にされる方は個人責任でお願いします。
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29日午前11時ごろ撮影された北朝鮮・舞水端里のミサイル発射施設の衛星写真。中央の発射塔手前に長距離弾道ミサイル「テポドン2号」とみられるミサイルが設置され、地面にはその影も写っている(デジタルグローブ・ISIS提供・共同)
http://sankei.jp.msn.com/photos/world/korea/090402/kor0904020753000-p1.htm

【北ミサイル】「迎撃には報復の打撃」と警告【産経ニュース】
2009.4.2 14:02
http://sankei.jp.msn.com/world/korea/090402/kor0904022028008-n1.htm
 北朝鮮の朝鮮人民軍総参謀部は2日、「衛星」打ち上げを長距離弾道ミサイル発射として警戒態勢を強める日米韓の動きに対し「高度の戦闘準備態勢にある」とした上で、「衛星」を迎撃すれば「報復の打撃を加える」などと日米韓に警告した。朝鮮中央通信が伝えた。
 「重大報道」形式で発表された警告は、特に日本に対し「われわれの平和的な衛星に対し迎撃行為を敢行するなら、容赦なく(日本の)迎撃手段だけでなく、重要な対象にも報復を加える」と表明した。米国にも、「(報復の)被害を避けようとするなら、展開している武力を即座に撤収させるべきだ」と述べた。(共同)
ミサイル迎撃ありえないと専門家【東奥日報】3/31
http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2009/20090331095628.asp?fsn=eb33f76037153e93cde084f7e7644d6f
北朝鮮が「人工衛星」として発射準備を進める長距離弾道ミサイル問題が緊迫している。三十日までに、自衛隊に初の破壊措置命令が出されたほか、米軍三沢基地の弾道ミサイル情報処理システム「JTAGS」(統合戦術地上ステーション)と、車力通信所(つがる市)の移動式早期警戒システム「Xバンドレーダー」が監視態勢を強化。「高い確率で迎撃できる」(キーティグ太平洋軍司令官)と日米関係者が対応に自信を見せる中、ミサイル迎撃という緊急事態は起こり得るのか。国内外の専門家の間では「『迎撃』は日米の政治的なポーズ。実際はそういうことにはならないだろう」との見方が強い。

 「迎撃は百二十パーセントありえない」と断言するのは、北朝鮮の軍事情報の分析で知られる国際ジャーナリストの恵谷(えや)治さんだ。恵谷さんは「日米の国防当局が『迎撃』を公言するのは政治的な意味合いにすぎず、ミサイル防衛の優越性を強調するためにほかならない」と続ける。

 迎撃しない理由として挙げるのは、今回の発射が北朝鮮のミサイル技術の最新情報を、日米が収集する絶好の機会である点。

 「発射するものがミサイルであろうと、衛星運搬用のロケットであろうと、性能を探るチャンスであることには違いない。打ち上げられたミサイルから送られるさまざまなデータを傍受することが、軍事的に最優先される以上、日米は宝の山を破壊したりしない」

 破壊措置命令に基づいて、最新のイージス艦と地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を緊急配置した防衛省の姿勢を「矛盾をはらんだ政治ショー」と説明するのは、軍事評論家の前田哲男さん。

 「第一に技術的問題として現在のシステムでは長距離弾道ミサイルに対応できない。それなのに多額の税金を注いでいる以上、『迎撃できる』と言わざるを得ないところに防衛省の苦悩がある。半面、これまでやりたくてもできなかったPAC3などの緊急展開を訓練代わりにできる。複雑な気持ちなのでは」

 北朝鮮が発射を計画しているのはテポドン2の改良型。射程は最大八千キロとみられ、高度は千キロをはるかに超える。高度百-二百キロ程度しか届かないイージス艦のミサイル(SM3)では、そもそも迎撃が不可能なのだ。恵谷さんと前田さんが「技術的に迎撃不可能」と口をそろえる理由がそこにある。

 米ワシントンDC在住のジャーナリストで、ジョージタウン大大学院フェローの平田久典さん(安全保障論)は「米国では冷静な受け止め方が目立つ」と、迎撃態勢構築にひた走る“現場”との温度差を指摘する。

 「米国民の多くはミサイル問題の存在すら知らない」と平田さん。「米政府も『発射は挑発的行為』と一応、北朝鮮をけん制。発射した場合にはそれなりの抗議はするものの、大ごとにする気はないのではないか」と話す。

 背景には北朝鮮が今回の発射を「衛星打ち上げ」と公式に説明。国際海事機関を通して事前通報するなど「国際的な手続きを踏んでいるため、抗議しづらい状況がある」(前田さん)とみられる。加えて、「米国はイラク、アフガニスタン問題で手いっぱいで、北朝鮮までとても手が回らない」(平田さん)状況もあるという
国内外の専門家の間では「『迎撃』は日米の政治的なポーズ。実際はそういうことにはならないだろう」との見方が強いようだが、私は日本がここで毅然とした態度をとるか否かであると思う。私は「これ以上日本を甘く見るな」とした毅然とした態度をとるべきであると思う。
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麻生政権の破壊指令は保身行動の一種であったと思うが、防衛省が本気で迎撃行動に出た場合は思わぬ波紋となるような気がしてなりません。
麻生政権もここで、毅然とした態度をとるか否かで運命が変わってくる。毅然とした態度で臨み、迎撃行動にでたら支持率が10%~20%は一気に上昇するかもしれない。北朝鮮が日本に本気で日本に向けミサイルを撃ち込むとは思えないが、仮に打ち込んだとしても、それを迎撃できたら、日本は大金星となる。

そこまで読むと、もし、私が金正日であったなら、ギリギリまで発射のポーズをとり、じらし、日米を非難しカードを引っ込めるかもしれません。そして、それをネタに今度は日米を強請る。その可能性が高いと思います。そうされたら、逆に日米は金正日に嵌められた事になると思います

国際ジャーナリストの恵谷治氏が言うように、北朝鮮のミサイル技術の最新情報を、日米が収集する絶好の機会である点は、確かに説得力はある。

しかし、「報復的軍事攻撃を行う」と北朝鮮は、軍事的恫喝を加えてきた。これは日本に対する許し難い挑発であり、これ以上世界の最貧国である北朝鮮の“砲艦外交”に屈するべきではない。情報を収集している場合ではない。そして、中国に対して日本をとるのか、北朝鮮をとるのか選択するよう外交的に突きつけることも必要だ!

この左翼系のマスコミのように、「撃っても当たらない」防衛省の姿勢を「矛盾をはらんだ政治ショー」と説明する、軍事評論家の前田哲男らの論法は、国益を無視した無責任な意見としか言いようが無い。

自衛隊法第82条の2による「ミサイル迎撃」は総理の権限である。自衛隊法に基づく破壊措置命令が発令を麻生総理が決断した事を高く評価したい。

【北朝鮮のミサイル動向について:防衛省】
http://www.mod.go.jp/j/library/bmd/pdf/090331.pdf
P8 (9/25) 参照

1998年8月31日、北朝鮮が無警告でテポドン1号を発射し、日本列島上空を飛び越し、飛んだとき、米海軍はこれを捕捉できなかった。警戒配備に当たったイージス艦「みょうこう」のみこれを補足し、人工衛星ではなくミサイルであると解析した実績がある。
今回は「こんごう」「きりしま」「ちょうかい」の健闘を祈りたい。
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「こんごう」
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「きりしま」
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「ちょうかい」
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「みょうこう」

こんなことを書くと不謹慎としかられるかもしれないが、金正日が愚かで、ミサイルを日本に撃ち込んだとしたらむしろ日本にとっては、普通の国になるチャンスかもしれない。むしろ、歓迎すべきチャンスかもしれません。
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