Ddogのプログレッシブな日々@ライブドアブログ

政治経済軍事外交、書評に自然科学・哲学・聖地巡礼・田園都市ライフ、脳の外部記憶媒体としてこのブログを利用しています。2020/11/30以前はGoogle検索でキーワードを入れると常に上位にありましたが、日本のトランプ大統領デモを紹介した記事が米国でバズって以降検索アルゴリズムから排除され検索ヒットされにくい状態です。是非ブックマークをお願いします。このブログをご訪問していただいた方の知識や感性として共有できれば幸せに思います。

2009年11月

【THEハプスブルグ】
http://www.habsburgs.jp/index.html
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この曲はフランスを代表する作曲家ラヴェルの代表曲パリ音楽院在学中に作曲した初期を代表する傑作であり、ラヴェルの代表曲の1つと言える。ラヴェルがルーヴル美術館を訪れた時に、17世紀スペインの宮廷画家ディエゴ・ベラスケス(1599-1660)が描いた若い王女(マルガリータ・テレサ・デ・エスパーニャ)の肖像画からインスピレーションを得て作曲したという。「亡き王女」という題名はフランス語でinfante défunteとなり、言葉の韻を踏む遊びから命名された。ラヴェルによるとこの題名は「亡くなった王女の葬送の哀歌」ではなく、「昔、スペインの宮廷で小さな王女が踊ったようなパヴァーヌ」だとしている。パヴァーヌとは16世紀のヨーロッパに普及した王侯貴族のための行列舞踏である。

しかしどこか静かな幽玄な空間を作り出すこの曲は永年フランス革命の露と消えたマリーアントワネットへの追悼曲だとばかり思い込み、勘違いしておりました。

亡き王女の為のパバーヌをYouTubeでどれにしようか聴き比べていたら、Fujiko Hemmingさんのピアノに惹かれてました。ラベルが王女マルガリータの絵から感じたのイメージとは解釈がことなるかもしれませんが、Fujiko Hemmingの亡き王女の為のパパーヌはなんと心に染み入るのだろう。ピアノ一台でどうしてこんなに幽玄な世界広がるのだろう。そう、墨一色で森羅万象を描く水墨画のような亡き王女の為のパバーヌだ。
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「明神の精」鈴木墨章 http://www001.upp.so-net.ne.jp/pf6/sub1-6.htm
THEハプスブルグには関係ない絵ではございますが、なんと水墨画です。


イメージ 3THEハプスブルグ展を29日日曜日家族で観てまいりました。
ベラスケスの白衣の王女マルガリータとオーストリア皇妃エリザベートが見たくて乃木坂の新国立美術館まで出かけていきました。そこで一句
『乃木坂へ、枯葉踏み行く、絵画展 』
もう一句
『亡き王女、銀杏並木に すまし顔』
駄毒狗
ウィーン美術史美術館とブダペスト国立西洋美術館のハプスブルグ家秘宝の絵画というので期待しすぎてしまった。16世紀の絵画が多かったせいもあるが、宗教画人物画ばかりで、風景や静物画がほとんど無かった。シェーンブルグ宮殿に飾ってあって初めて絵が栄えるような絵が多く、入り口チケット売り場が空いていたのが嘘のように人混みのなか鑑賞するのは辛かった。

ハプスブルグ家の肖像画は意外に少なく11歳の女帝マリア・テレジア アンドレアス・メラー・オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世・オーストリア皇妃エリザベート・・・・皇妃エリザベートは人ごみ越しにじっくりと鑑賞させていただきましたが、その美しさは絵画になってもなおその瞳に吸い込まれるような感覚にとらわれてしまいました。

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しかし、ハプスブルグ家は風景画は好まないと思える。宮廷内を描いた作品もあったがその主題は人の動き。ハプスブルグ家の関心は人とその心のうち、宗教画もその人の内面を表すための教訓であろう。

ハプスブルグ家は13世紀に勃興して20世紀初頭までヨーロッパに君臨した。巧みな結婚政策によって勢力を拡大し、神聖ローマ皇帝も数多く輩出した名門王家です。政略結婚であったが、その割には夫婦仲が円満で子宝に恵まれたケースが多く、多産は伝統とも言える。そのため現代でもハプスブルク家に関して、陰謀などの血生臭いイメージはあまり無い。

有名なハプスブルグ家の家訓
「戦争は他家に任せておけ。幸いなオーストリアよ、汝は結婚せよ」

このTHEハプスブルグの展覧会に風景画が少ない。その理由を考えさせられました。ハプスブルグ家の賢さは絵画の選定にもあったのではなかろうか?もし、美しい外国の風景画が多くシェーンベルグ宮殿に飾ってあったのなら、美しい他国に対し領土的野心に燃え、戦争を引き起こしていった可能性がある。
意図的に風景画はコレクションしなかったのではなかろうか?ハプスブルク家の関心は人とその内面である宗教画なのであろう。
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バラク・オバマ米大統領のアジア歴訪は米国内で大ブーイングが起きている。1つは天皇陛下へのお辞儀が卑屈だというのだ。確かに下記写真は奴隷が主人に握手する姿に見えてしまうほど卑屈だ。
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日本の場合最も礼儀正しいお辞儀が、45度ほど腰を曲げてお辞儀をする最敬礼である。オバマの背が高こともあるだろうが、これは頭を下げすぎで最敬礼ではなく不適切である。最敬礼した後、上体を起し握手するのが正しい作法である。日本の礼儀作法を誰もオバマに教えていなかったのだろう。このことは、悲しいことにオバマの側近に日本通がいない証拠となってしまった。

【オバマ氏の天皇にお辞儀は不適切 米保守派が批判】
http://www.47news.jp/CN/200911/CN2009111601000125.html

そして11月17日に米中共同声明は世界にとって有害である。

中国で胡錦濤主席家主席との首脳会談後に発表したオバマの共同声明は、中国の人権、人民元、軍拡、チベット、北朝鮮、イラン北朝鮮、台湾等に加えて、人権問題でも従来以上に中国側に配慮した。ところが、中国側はその経済力を背景に従来以上に自己主張を強め、人民元の切り上げ問題や人権問題等諸懸案に関する米側の要求にほとんど応じなかった。

中国は、アメリカの支援がなくなれば台湾を滅ぼせるだけの軍事態勢を整えつつあるが。オバマ政権になって、アメリカは武器を台湾に売却していない。米台関係に関する政策も何等考案していない。

このような状況で、米中国交正常化文言のうち中国に最も有利な部分を強調することはなおさら、危険だ。台湾は中国の一部であり、台湾に対する中国の主権を尊重するべきだと、アメリカに認めさせたいのだが、今回の共同声明では、オバマは事実上それを認めたようなものだ。中国の台湾に対する主権を公式に認める段階にかなり近づいた。

「1つの中国」政策を再確認し、戦略的に重要な諸問題を話し合うことなどと、合意した。中国のような独裁国家の影響力拡大を歓迎することが米国大統領として、失政であり21世紀に禍根を残すことになると思う。アジア太平洋地域と世界の安全につき米中が共通の責任を持つことは、日米安保条約との整合性をどうするつもりであろう。

台湾について、「主権と領土保全を相互に尊重するという基本原則が、米中関係の基本となる3つの共同コミュニケの核心であることを再確認した。双方ともこの原則を壊すような、いかなる勢力のいかなる行動も支持しない。相互の核心的利益を尊重することが、堅実な米中関係の発展において極めて重要であることで合意した」と「1つの中国」政策を一歩踏み込んで再確認してしまった。

これまで米国は、台湾間題をもっと慎重に扱ってきた。台湾が中国の一部であることを、受け入れずに認識する。それがアメリカの基本姿勢だ、72,78,82年の3つの米中共同コミュニケは、確かに領土保全の尊重をしているが、アメリ力は台湾と非公式ながら緊密な外交関係を継続し、国内法の台湾関係調整法(TRA)に基づいて台湾の防衛を支援する義務を担う。これは台湾に対する中国のわがままを許さずに、中国との関係を正常化する方策だった。

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F-CK-1戦闘機「経国」

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ミラージュ2000

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F-16A

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F-16C

台湾にF-16C/Dを配備する事は、台湾海峡上での制空権の台湾の優位が崩れつつあることに歯止めが掛かる。米国も、軍事的に弱体化した台湾が軍事的にも非軍事的にも中国へ吸収され、台湾の香港化が進んでしまっては、東アジアの安全保障に少なからぬ影響を及ぼす懸念を持っていることは間違いないと思う。
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J-10

最終的には、オバマ政権は、中国訪問後まもなく、台湾へのF-16C/D追加供与を決断することになると思う。J-10はイスラエルのラビ戦闘機を拡大改良しロシアのSu-27に搭載しているAL-31Fターボファン・エンジンを搭載し、F-16並の空力性能を有する為、F-16供与の断り文句であった台湾海峡の軍事的バランスを考慮と云う理由が無くなる。

オバマ訪中で両国首脳が「戦略的信頼」を構築・深化させることで合意した点は評価してよい。だが、F-16C/D追加供与問題が示すように、台湾という要素が米中の間に横たわっている限り、米中の戦略的利害の一致はあり得ない。

将来的に米中で世界を「共治」する「G2」という構想は、喧伝されるほど現実味がなく、国際政治の現実の上で無理がある。G-2構想など21世紀版の「独ソ不可侵条約」といって過言ではないだろう。

F-16C/D台湾追加供与は、米中が軍事的同盟関係に無い事を意味することを思い知ると思う。そして建造を開始したと噂される中国製空母(サウンズグッド!安物のイメージですね・・・)
の仮想敵国は米第七艦隊である事を米国は忘れてはいない。

G-2といって米中関係に嫉妬しているのは日本人だけではなかろうか?オバマ大統領は中国の発展を賛美しているが、一種の褒め殺し的戦略ではないだろうか?二酸化炭素排出問題など都合が悪くなると直ぐに途上国だといってズルをする中国を「責任あるステークホルダー(利害関係者)」と持ち上げ、国際社会の責任を相応に分担してもらおうと、考えているのではなかろうか?事実、ジェームズ・スタインバーグ国務副長官(56)が「戦略的再確認」を掲げた。中国との間で共通の利益を追求しつつも、言葉だけではなく、具体的な行動を求めている。

このことは、中国を利用し覇権の維持の道具と冷徹に考える米国の巧妙な国家戦略ではなかろうか?

戦前に独ソ不可侵条約締結を「欧州情勢は複雑怪奇である」と声明し、責任をとって総辞職した平沼騏一郎同様、国際的なパワーゲームに不慣れな馬鹿マスコミを含む、我々日本の凡人からすればG-2は米中による世界統治であると早合点していると思う。

オバマが中国に対しているのは米中間の国際的なパワーゲームの一環であり、米国が中国を賞賛しようが、逆に批判を強めようが、「中国は決して警戒を解くべきではない」と米国は考えていると思う。

今後日本の国家戦略として、①日米同盟堅守(親米保守)、②日米同盟解消自主独立路線(反米保守)、③中国属国化:東アジア共同体(反米親中)の選択肢がある。

私の思想は保守本流である親米保守であるが、若干消極的親米保守であが、選択肢は①しかなく、②③はありえない。

小林よしのりの如き②の反米保守は空想度合いではかつて社会党が唱えた非武装中立と大差がないだろう。いったい核の傘なくして緊迫する東アジアのパワーバランスをどうしようというのか?また、日米安保条約は日本と米国が再び戦争を避ける為の条約でもあるのだ。それがわかっていない。

副島隆彦ごとき③の反米親中は論外だが、三角形外交や東アジア共同体などという虚妄を唱える鳩山首相、岡田外相、最高権力者小沢一郎には失望した。

かつて小沢が唱えた普通の国は大いに賛成であるが、現在小沢は憲法改正を考えているのだろうか?小沢が真の国賊か否かは憲法改正が踏み絵となるであろう。

しかし、保守本流を自称しているが、前ブッシュ大統領が、北朝鮮をテロ支援国から外し、F-22の売却を拒否、そして中国との融和を目指す行為は同盟国日本への背信行為である。

私は元第29代航空幕僚長田母神俊雄氏を言葉の重みが無い点、幸福実現党と接点を持ったこと、安易な核武装論で評価していないが、彼がもう少し賢明であったなら彼を強く支持していただろうに残念でならない。彼は航空幕僚長として、F-22をFXに選定する交渉の席で、尖閣諸島が中国から攻撃を受けた場合米国は日本と中国に対して作戦を行うのか問い詰めた。このことは愚かで彼の職権を越えるものであるが、評価したい。

駐沖縄第三海兵団司令官のスタック・ポール少将がワシントン・ポスト紙(1990年3月27日付)のインタビューに「在日米軍は日本が再び軍事大国化するのを防ぐ為のいわばビンの蓋」だと答えたことは、我々保守本流をいらだたせ、オバマのG-2構想には①の支持者である我々も②へ傾きたくもなる。しかし、涙を呑んで①でなければいけない。

日米安保はあくまでも米国を仮想敵国にしないためと割り切る必要があると思う。

親米保守派のもっとも問題点は、我々の国土は米軍に頼らず自分達で守るという意志が希薄である点だ。米軍の補助部隊に過ぎない自衛隊を国軍として、自立させるには、なによりも憲法改正をする必要がある。

現在の中国との関係を重視するオバマ民主党政権の政策の延長上と米国離れ東アジア重視の日本の鳩山民主党の三角形は日米が底辺の二等辺三角形から、正三角形へその距離が近くなり、両民主党の政策の延長線上には日米安保条約廃棄がもう間近に見えている。

米国がF-22を売却しないのであれば、安保条約は堅持したまま、我々日本は対地攻撃可能な長距離弾道ミサイルと巡航ミサイルの開発を始め、ATD-X心神を第6世代無人戦闘機として開発する道を模索すべきだ。

FXに内定ののF-35だがF-35AではなくF-35Bを買って日本も空母を持ってやろうじゃないか!
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【日本の「3D不況」】
http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/30435006.html

ついに、金満ドバイも年貢の納め時・・・平家物語冒頭の部分、皆さんで声を上げ音読しましょう!

                祗園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
                娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理(ことわり)をあらは(わ)す。
                おごれる人も久しからず、唯春の夜の夢のごとし。
                たけき者も遂にはほろびぬ、偏(ひとえ)に風の前の塵に同じ。

そして一句

バベルの塔 今も昔も 崩れけり

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?H3>コンピューター 守りきれずに バブルの塔
バビル2世_OP&ED

?H3>閑散な 相場の陰で 歌を詠み
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?H3>週末(終末)と 溜息ひとつ 下げ相場
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?H3>円高く 鳩肥ゆる秋 冬間近
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?H3>年老いた 母の気遣い 9億円
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?H3>年の瀬に 金はあるかと 母の愛

?H3>天井と底が見えない宇宙人
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?H3>火の翼(くるま) 金がないのに ジャンボかい!
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?H3>刷新と 仕分けするふり 緊縮派

?H3>スパコンと 児童劇団 ハカリけり
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ドル/円は昨年12月と年初来安値である87.10円台を割り込む事はないと踏んでいた私の思惑は外れた。14年ぶりの86円台である。これは米国がドル高政策を変更した可能性が高い。米国は国家戦略としてドル安で製造業を復活させるのではないかという可能性を考えたい。

ドル売り圧力が円直撃、14年ぶり安値も下げ止まり感なし【reuters】2009年 11月 26日
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-12649520091126?sp=true
 [東京 26日 ロイター] 26日の外為市場では、かねてから他通貨に対して強まっていたドル売り圧力が、ついに円相場を直撃。ドル/円は86円台と14年ぶりの円高水準を付けた。しかし、複合的な理由を背景に続くドル安に歯止めがかかったとの見方は少ない。

 市場では、5年半ぶりの為替介入をめぐる観測もじわりと強まり始めている。

 <ドル/円急落のきっかけ、一部短期筋の読み違い>

 急速なドル売りが対円で強まり始めたのは25日。88円台と1カ月ぶり安値圏で下げ渋り続けていたドルが、相次ぐ短期筋の売り仕掛けにようやく10月安値を割り込むと、これまでドルを買い持ちにした向きが損失確定の売りに動くストップロスや、オプションに絡む売りを次々と巻き込んで87円台へ下落。テクニカル上の下抜けとなったことで、戻りを期待していた輸出企業や、プログラム売買を専門とする投機ファンド勢などが売り参戦し、ドルは26日東京市場で1月安値の87.10円を大きく割り込んで下げ幅を拡大した。わずか3分間で1円弱下落する値動きは、市場でも「背筋が寒くなった」(外銀トレーダー)との声が上がるほどだった。

 ドル安は今に始まったことではない。前週までに、ドルはユーロや豪ドルなどに対して1年3カ月ぶりの安値へ下落。低金利・低成長の円は買い手掛かりに乏しいため通貨高が進みづらく、主要通貨の中でもドル安が進行する下で出遅れ感が指摘され、多くの短期筋が「いつかは対円も(ドル安相場に)追いつく」と上値で戻り売りスタンスを続けていた。一方で、今週に入って米国の感謝祭でポジション調整のドル買い/円売りが入ると予想した向きのドル買い/円売りポジションがにわかに積み上がったことが、結果として「損失確定の投げ(となるドル売り)を強いられた」(都銀チーフ)形で売り圧力の増幅につながり、ドル/円急落の直接的なきっかけとなった。

 <円がドル売りレースのフロントランナーに>

 ユーロが対ドルで1年3カ月ぶり安値にとどまる一方、出遅れ感の強かった円が同14年ぶり安値と、一気にドル安の「フロントランナー」に飛び出したことで、今後のドル安ピッチを左右するのはドル/円相場になるとの見方も浮上してきた。

 市場関係者のドルへの見方は、米低金利政策の長期化見通しにドル基軸通貨体制の信認問題、世界的な株価の堅調さを背景に投資家がリスク選好姿勢を強める「リスク・オン」取引など、いずれのシナリオも結論はドル売りで一致。「どっちに転んでもドルは売っておけばいい」(外銀チーフ)として、ドルの下落基調はまだ続くとの見方が大勢だ。
 一方の円は、引き続き買い手掛かりがないとの見方が多いものの、14年ぶり安値とテクニカル上の下抜けとなったことで、主要な下値抵抗線は円の最高値にあたる79.75円まで「ほとんど見当たらない」(バンク・オブ・アメリカ)状況。

 市場では、目先的な下値めどを85円付近とする声が多いものの、その根拠はいくつかの移動平均線が通過していることと、キリのいい水準で心理的要素が強まりやすいことのみ。「ドルが85円を割り込む可能性もある」(バークレイズ銀行東京支店・トレーディング部長の小川統也氏)との声も少なくない。日米短期金利の逆転も、ドル/円の上値抑制要因だ。

 <デフレ宣言と株安、介入警戒感強める要因に>

 ドル/円が一段安となっても下げ止まりの兆しが見えないことで、市場では為替介入に対する警戒ムードも次第に強まり始めた。7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)などが介入に否定的な見解を繰り返し示していることなどから、多くの参加者が実際の介入は85円を割り込んで下げ足を速め、史上最安値の79円が視野に入った後と予想しているが、ここにきて目立ち始めた日本株の出遅れ感が、政府・日銀の背中を押す要因になりかねないとの見方だ。

 世界的な財政出動や景気刺激策を受けて、欧米や中南米など各国株は軒並み年初来高値を更新。日本だけが主要国の中で取り残されつつある。急速な円高に不快感を示す大手企業が増えてきた点や、新たに政権を担った民主党の政策に目立った効果が見られないことなどから、景気に与える直接的なインパクトがより強い株価の下落に歯止めをかける狙いで「まず為替を止めるとの判断が出てきてもおかしくない」(先出の外銀チーフ)との思惑が広がりやすくなっている。

 前週に政府が発したデフレ宣言も為替市場関係者には、デフレ阻止を旗印として04年まで行われた大規模介入を想起させている。

低金利の弊害懸念しつつドル安は「秩序ある」=米FOMC議事録【reuters】2009年 11月 25日
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-12617420091125?sp=true
[ワシントン 24日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)が24日公表した11月3―4日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録では、メンバーが景気の持続的回復を一段と確信していることが明らかになった。ただ、雇用は早期に回復しないとの見方が示された。
 また、金利を長期にわたり低水準に維持すると確約することで起こり得る金融市場での好ましくない投機的動きなどの悪影響に、一定の懸念を表明した。

 議事録は「大方のメンバーは現在、成長見通しに対するリスクが下向きに傾いているというより、おおむね均衡しているとみている」とした。一方で「非常に低い短期金利を維持することで、こうした政策スタンスが金融市場の過剰なリスクテークや、インフレ期待がしっかり抑制されない状況につながる可能性など、一定のマイナスの副作用が生じる可能性がある」と指摘した。

 議事録発表後、米株市場は下げ渋る展開となった。

 FRBは昨年12月に政策金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標をゼロ近くまで下げ、米経済が景気後退を脱し成長を回復するのを支援するため、大量の資金を供給してきた。

 11月のFOMC終了後に発表した声明は、政策金利を「長期間(for an extended period)異例に低水準とすることが正当化される可能性が高いと引き続き予想する」と表明した。ただ、有力投資家や一部当局者からは、FRBの低金利政策が、コストの低いドルで資金を調達しより有利な投資にまわすドルキャリーを引き起こしているとの指摘がでている。

 オバマ米大統領は11月のアジア歴訪中、これについて中国政府高官から説明を受けたとされる。

 FOMCは、これまでのところドルの下落は「秩序のある(orderly)」ものだとし、投機的動きはみられないと指摘。ただ「ドルの下落が加速する傾向やドル安によりインフレ圧力が大きく強まる傾向には注意深い監視が必要」としている。

 ドルは前週、主要通貨バスケットに対し15カ月ぶり安値をつけた。
 バーナンキ議長は先週ニューヨークで講演した際、ドルについて異例なほどの時間を割いた。議長は「ドルの価値の変化が及ぼす影響をFRBは注視(attentive)しており、雇用の最大化と物価安定を促すというわれわれの2つの責務に対するリスクを防ぐための政策を引き続き策定していく」と発言。ドル相場の動きを注視するものの、現在のところ政策に大きな影響を及ぼしていないとの考えを示した。

 <インフレの懸念なし>

 議事録は政策当局者が中期的なインフレをそれほど懸念していないことを示した。

 その姿勢は、最近のFRB要人の発言でも顕著になっている。ダラス地区連銀総裁やフィラデルフィア地区連銀総裁といった「タカ派」でさえインフレ懸念をほとんど示していない。

 FRBが24日発表した最新の米経済見通しによると、景気先行きに関する政策当局者の予想の中心傾向値(central tendency)はやや楽観的とみられる。


 (略)

利上げは先の話であることを示唆している。

 (略)
商品価格高はFRBが金融危機の深刻化に対応して講じたさまざまな緊急流動性供給措置の副産物と指摘するアナリストもいる。

 <タイミングがすべて>

 議事録によると、メンバーは、弱いものの持続的な景気回復見通しで概ね一致する一方で、緊急政策措置からの出口戦略についてはコンセンサスを作れなかった。

 FRBは、借り入れコスト押し下げを狙い、長期国債・機関債・MBSなどを買い入れてきた。
メンバーの間では、買い入れた資産の一部を再び市場に売却すべきとする意見が出た一方、資産売却は「長期金利の急上昇をもたらす可能性があり、FOMCの目標達成を危うくしかねない」として、リバースレポや銀行準備預金への付利などで金融システムから流動性を吸収すべきとの考えも示された。

政府がデフレ宣言しながら日銀はバランスシートを拡大していません。現在の日銀はデフレや円高を止めようという姿勢がみえない。

行政刷新会議の意義や精神はいい、予算の無駄をなくすことはすばらしいが、結果としてデフレ状況下で財政を縮小なのだ!これではバランスシート不況は続く鳩山政権は橋本政権と同じく日本をデフレ地獄へ突き落とす事となる。こんな鳩山内閣の日本円が買われていること自体不自然なので、鳩山3D不況は円高対策か!!もしらん。(冗談です)

日本は金利が上がるどころか円高でデフレで金利が上昇するわけがなく、先日FT誌で紹介があった日本国債を空売るしているお馬鹿野郎な外人は大損害であろう。ポジション整理しているかもしれない。お気の毒!

米国はドル安で製造業の復活を目論んでいると思うが、日本は円高のメリットを受ける国家戦略を立てるべきではないのか!円高で強くなった円で世界中を買い捲ればいいのだ!

米国は秩序あるドル安を容認し、輸出主導で景気の回復を目指す戦略を取り始めた。ドル安は日本とヨーロッパ先進国にとっては直撃するが、中国韓国のようなドルにリンクする通貨の国々には関係ないように見える。だが、それらの国々はインフレ圧力が高まり自ずと通貨を切り上げざるをえない選択をさせようといった思惑もあるようにも思える。

債務が膨らみバランスシート調整に苦しむ個人や米企業の現状を見れば、米国の個人消費による内需主導で景気を回復させるのは難しく、ドル安をテコに輸出拡大させ、産業構造を製造業復活へ舵を切る戦略だと私は思う。米製造業復活には競合する日本と欧州の輸出産業に打撃を与える思惑があるのではないか?

製造業復活させる間、超低金利政策は持続され、ドル安となれば、堪らず通貨介入が実行され、ドル買い/円売りで増えたドルは、日本や中国で円や元で、どんどん米国債をファイナンスせざるを得ない。

ドル暴落と騒げばさわぐほど、逆に米債急落懸念を緩和させることにもなる、という筋書である。

米国も急激なドル安は望まないと思うが、今後はだれにもわからない。ドルの基軸通貨交代は暫くないとは思うが、ドルが暴落するようなことがあれば、基軸通貨の地位を失いかねない。FRBは危険な賭けをしているのかもしれない。
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世界の株式市場が軒並み年初来高値を更新する中、日本株の出遅れ感は一段と強まっている。売買高は減退気味で、先週の市場の様なエネルギーを伴った感じでもない。日本株が世界の株式市場に出遅れる理由は様々だが、これだ。↓

デフレーション(Deflation)・ダイリューション(Dilution)大量増資による株式の希薄化そして、 民主党(Democratic Party of Japan)=3D不況

日経新聞11月23日【新聞経済1】面に日本、3D不況に直面と書いてあり座布団一枚と思ってしまいました。
日本経済は「3D不況」に陥りつつある。デフレ、大量増資による株式希薄化(ダイリューション)が招く株安、そして英語でDPJと略す民主党政権の経済政策の不在だ。景気、市場、政策のリスクが立体的に増幅されつつある。

デフレの影長く

デフレの影 20日の記者会見での白川方明日銀総裁の姿と長い影を1面に掲げた英紙「フィナンシャル・タイムズ」は、そんなコメントをつけた。

2001年には政府のデフレ宣言に合わせて、日銀は金融の量的緩和に踏み切った。金融危機が背中を押した、今回は基礎体温が低下するようなだらだらとした物価下落。政府と日銀の足並みがそろわない。

今回の物価下落の直接の引き金は、リーマン・ショック後の需要蒸発と雇用悪化である。日銀は「金融を緩めたからといって、魔法のように需要は起きない」と考えている。

本音では、中国など新興国向けの需要が伸び、日本経済を引っ張ってくれることを期待している。「11年度あたりまでを展望すれば、国内の景気回復感のないまま、新興国景気の過熱に引っ張られ物価だけが上昇するスタグフレーション(不況下の物価上昇)だってあり得る」というのが胸の内だろう。

政府の懸念は10年前半にかけての景気の二番底。両者のズレを心配し株価の足取りが重く打っている。

景気・市場・政策にリスク

今年7月以降でみれば、主要株式市腸で下げているのは日本ぐらい。09年度上期に元本増加額が大きかった25の投資信託の中で、日本株投信はゼロ。国内勢さえニッポンにそっぽを向いているのだ。

年間5兆円にのぼる増資による株式の供給、つまりダイリューションも株価の重圧となる。国際的な自己資本比率規制の強化をにらみ、銀行は増資を急ぐ。

銀行に資本問題普通株比率の低い一部邦銀については、ハードルが高すぎ自力増資が難しいとの思惑が台頭し、公的資金の再注入に追い込まれるとの見方さえ出ている。

企業も、融資の蛇口が将来絞られるとの懸念から増資に走っている。赤字なのに増資に踏み切る企業が散見されるのは不安心理の産物であり、生産や投資の萎縮と裏腹の関係にある。

普通株の不足がデフレ下の信用収縮を招いているなら、自已資本規制の適用の一時延期を求めるか、貸し渋り対策を目的に公的資金を再注人するのも一考だ。

イングランド銀行によれば、金融システムに対する公的支援額は、米国が10兆ドル、英国は2兆ドルにのぼる。名目国内総生産(GDP)比では米国が7割、英国は9割だ。

経済と金融に北風が吹き荒れる。銀行に対しこわもてで臨むのではなく、資本不足という根本問題に取り組む必要があるまいか。

民主党政権のかじ取りがマクロ政策不在という批判は、日を追って高まっている。経済財政諮問会議を廃止したが、それに代わるマクロ経済の司令塔を用意していない。政府と日銀のトップが定例的に話し合う場も設けずに、どうやってデフレ不況から脱却しようというのか。

景気の二番底に備えた09年度の第2次補正予算の議論もしかり。景気や物価の見通しを据え置き、対策だけ打ち出すというのは、経済運営の常識に反する。

循環的な景気後退に、政策のミスが重なり、その弱点をグローバルなマネーが突く。そんな三重苦を避けることこそ政権の責任だ。(編集委員滝田洋一)

さらに、ドル安円高懸念は、東京市場の足を引っ張っている。世界的な超金融緩和政策が過剰流動性を生み出し、バーナンキFRB議長はドル安・円高には無頓着である。

強欲資本主義が復活しているようにみえる、世界株式市場では豊富なリスクテイクする投資マネーの流入を背景に金相場・海外の株式市場が上昇している。この局面でも、ファンドマネージャー達がバブルであるのを承知で、ライアーゲームを繰り返している。さらに円高進行+3D不況のせいで日本株は一人蚊帳の外である。

ただし、新BIS基準に備え世界的に金融株に変調が出ていることも確かだ。日本での節操の無いファイナンスは年末までに一服かと思うが、の世界の株式市場では銀行株の軟化が目立った。

NYダウ採用銘柄の中ではJPモルガンがもっとも下げており、米国の大手金融機関のチャート全般は5週MA13週MAがミニデッドクロスした水準を下回っていることから、直近安値を割り込むとかなり悪いチャートとなる。

中国でも中国銀行が増資に向け協議=関係筋【reuters.】2009年 11月 23日 21:34 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-12593220091123
中国銀行は、当局が求める新たな資本基準を満たすため、増資に向けて投資銀行と協議している。関係筋が23日明らかにした。
 およそ150億ドルの資金調達が必要になる可能性があるという。

 これより先、関係筋がロイターに語ったところによると、中国銀行監督当局は、2009年に融資が急拡大したことを受け、大手銀行に対し、2010年に自己資本比率を13%に引き上げるよう促した。

 中国銀行の現在の自己資本比率は約11%。一部のアナリストによると、来年には10%に低下するとみられている。

 関係筋によると、13%の資本基準を満たすためには中国銀行は約1000億元(146億ドル)の資本が必要になる見通し。

海外でもBIS規制に伴う懸念が台頭してきている。間接金融は多くの国の基幹金融システムで守るべきものだが、直接金融の比重(株式市場の厚み)は多くの国で間接金融より小さい。規模の小さな株式市場によって、より規模が大きく重要な間接金融の貸し出し余力が決まってしまうのならば、尻尾が体を支配しているように感じる。

自己資本比率規制は、金保有の量に応じて資金供給が可能であった金本位制に似ている。むしろ、景気が悪ければ輸入が減って金流出が減るので金本位制は景気にカウンター的で、自己資本比率規制のプロシクリカリティより良いかも知れない。

かつての大恐慌後には金本位制を早期に離脱した国の経済が早期に回復している。
ただし、短期的には、海外市場でもBIS規制対応による金融機関のファイナンス懸念があるのならば、年末までに資金調達するのが一つのメドと考えられよう。国内では事業会社のファイナンス発表も決算発表の終了と共に峠を越えた、年内には払い込みが一巡してくる。

エコノミスト誌は、金利を低く抑える中央銀行が間違っているのか、それとも回復を予想する市場が間違っているのか。どちらか一方しかあり得ない。といっている。

なるほど、中央銀行が利上げを行い、マーケットが下落する可能性、その余地は十分ある。

FRBが出口戦略に向かうのかまだ不明朗ではあるが、ドル安円高を放置せずドル防衛も兼ね、健闘するファンダメンタルズなどの経済環境の改善により、米国の利上げ機運が高まり、米国の金利が緩やかに上昇することもありえる。米FRBが利上げに踏み切るタイミングをエコノミスト・コンセンサス(ウォール・ストリート・ジャーナル11月調査)通り2010年3Q頃だとすれば、来年前半にも利上げ機運が高まり始めることになり、ドル高になる可能性はある。

出口戦略米利上げ機運の高まりは、新興市場株高を支えてきた過剰流動性の縮小を意味する。したがって、流動性の縮小が海外株安を招き、その悪影響が、円安による日本株の押し上げ効果よりも大きくなるのではと懸念もある。ただし、日本株は米国や新興国市場をアウトパフォームする可能性は高い。

現在の米S&P500の12ヵ月先予想PERは14.8倍(11/24現在)に留いるので、米国から崩れるリスクは今のところ低い。

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日経平均日足
ここを突き抜け下落すると日足上昇トレンドが終焉となる。

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日経平均週足
遅行スパンが実線を上からデットクロスしてしまい売りサイン点灯。しかし実線に沿って動く希望が少しだけ・・

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日経平均月足

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騰落レシオ

騰落レシオからすると50台に入れば間もなく底打ち。騰落レシオ上底打ちは近いことが読み取れます。
日足で(希望的)観測からすると、1/2押し8990円~1/3押し8270円あたりで止まってほしい。
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防衛省、次期戦闘機F35採用へ 約40機の導入想定
http://www.47news.jp/CN/200911/CN2009112201000383.html
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 防衛省は航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)について、次世代戦闘機F35を採用する方向で調整に入った。12月から選定作業を本格化させ、2011年度の概算要求にF35の契約金など関連経費を盛り込みたい考えだ。複数の防衛省・自衛隊関係者が22日、明らかにした。

 F35はレーダーに捕捉されにくいステルス機能が最大の特徴。中国が最新の第4世代機など航空戦力を増強させる中、防空能力の向上が不可欠と判断した。最終的には40機程度の取得を想定している。

 ただF35は開発中で配備が10年代半ばと見込まれる。このため性能の確定まで契約を先送りすべきだとの慎重論があり、12年度予算へ先送りされる可能性も残っている。

 政府は新たな「防衛計画の大綱」とそれに基づき部隊規模や経費などを明示する中期防衛力整備計画(中期防)の策定について、来年12月へ1年先送りを決定している。次期中期防には、F35の調達計画を明記する見通しだ。

 鳩山内閣は1年先送りに伴い、装備品や自衛隊の運用で暫定的な基本指針を取りまとめ、10年度予算にはFXの調査費だけを計上する予定。
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なんでだよー!馬鹿じゃねー!あほ!クソ!防衛省のオタンコナス!

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と、さんざん、言いたいところだが、F-35採用もある意味ではやむを得ない現実的選択かもしれない。


現実的選択としてはF15SEだと思うが・・・



しかし


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http://www.centurychina.com/plaboard/archive/3768512.shtml
アメリカ海軍情報部(ONI)や軍事情報誌JDWは、中国が次世代戦闘機計画を秘密裏に進めていると推測している。それらによれば中国航空工業第1集団公司(AVIC-I)傘下の成都航空機工業(CAC)第611研究所と瀋陽航空機工業(SAC)第601研究所が、それぞれステルス性を有する双発のマルチロール戦闘機を開発しており、早ければ2015年頃に就役するという。この機体は完成すればJ-13或いはJ-14と呼ばれるだろう。AVIC-Iは2002年の珠海航空ショーで公開したプロモーションビデオの中で、簡単に次世代戦闘機について紹介した。

1990年代初期に成都航空はカナード付き無尾翼デルタを設計する一方、瀋陽航空は後退翼と水平尾翼を組み合わせた通常形式の機体を設計した。また通常形式の機体にカナード翼を追加したSu-35のような三枚翼の機体も設計されたが、これは計画から除外されたという。どの形式の機体もレーダー断面積の低減を主眼に設計されている。エンジンはロシアのRD-33クラス、若しくは更に強力なAL-31Fクラスのものを搭載する予定で、中国航空協会(CAE)第606研究所は珠海航空ショーに推力偏向ノズル付きエンジンのプロトタイプを展示しており、開発が順調に進めばこのエンジンが次世代戦闘機に搭載されるものと思われる。機体の制御は瀋陽航空が開発した新型フライ・バイ・ワイヤで行われる予定で、このシステムは既にJ-8IIACTによってテストが行われている。次世代戦闘機はこの機体制御システムと推力偏向ノズル付きエンジンによって、格闘戦でも敵機を凌駕する超機動性(Super Maneuverability)を持つ事になるだろう。レーダーはKLJ-5(1475型?)と呼ばれるアクティブ・フェイズド・アレイ・レーダーが搭載される。この新型レーダーは対空・対地・対水上用のマルチ・モードを有しており、捜索・追跡距離も長く同時に多数の目標を追跡・攻撃できるという。

中国は独自の開発を進める一方で、ロシアからの協力も積極的に受けていると思われる。またロシアは第5世代戦闘機の共同開発・生産を中国に提案しており、ロシアによればこの機体が完成すればアメリカのF-22やF-35に対抗できるという。しかし現在まで中国がこの提案を受けたという情報はない。


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http://forums.liveleak.com/showt...page%3D2
(合成だと思うが、これだけはちょっと怪しい)


F-35戦闘機を導入したのは、視程外射程(Beyond Visusl Range:BVR)の現在の航空戦において、ステルス機は非ステルス機対し圧倒的優位に戦闘を進められることが大きい。

中国の第五世代戦闘機の就役が早ければ2015~20年に迫っている。

F-22の導入の見込みが断たれ、F-Xを用途廃止まで30年以上運用する以上、性能上の陳腐化を招かないためには、F-Xに第4~4.5世代戦闘機のF15-SE、BAeタイフーンではやはり対抗できないと判断したのであろう。

しかし、どんなに早くても2015年、常識的には2020年以降にならないとF-35の実機を配備する事は出来ない。その間の10年、どうするのだろう!やはりF-15SEとハイ・ロウミックスも検討すべきじゃないか?

F-35は9ヵ国が参画する国際共同プログラム故に、多国間共同開発という制約により、F-35は日本でのライセンス生産は事実上不可能。よくても国内での最終組み立ての実施にとどまるとの見方が関係者の間で有力である。完成機の購入が前提では日本の航空戦闘機産業が崩壊してしまう。

2012: ・F-35(米) 運用開始 ・韓国導入予定
2013: ・心神(ATD-X日)初飛行 F-35米空軍運用開始
2015: ・PAK FA(T-50露)運用開始?
2020: ・J-XX(中) 運用開始? 
2025: ・F-15J(日) 退役開始

周辺諸国の航空戦力の増強とは対照的に、F-15が主力戦闘機である航空自衛隊の戦闘機体系では将来・充分な航空優勢を確保できない事態が予想されている。

防衛省・航空自衛隊が第5世代戦闘機の導入を優先する一方で、航空自衛隊の戦閾機の高い可動率維持に貢献してきた国内の戦闘機生産・技術基盤維持は危機的状況に瀕している。

わが国の航空機産業界は現在、三菱重工が主契約会社となってF-2戦闘機を2010年9月には、F-2の最終号機が防衛省へ引き渡され、三菱重工の戦闘機生産ラインも閉鎖されるスケジュールだ。

防衛省ではF-2の生産終了する2010年以降、戦闘機を生産しない「空白」期間カ戦闘機の生産基盤の維持に与える影響や、その問題を整理するため、の「戦闘機の生産技術基盤の在り方に関する懇談会」を発足させヒアリングを行っているという。

戦闘機の生産に従事する人材の技能の継承が困難となり、関連技術や生産設備の廃棄は避けられないとの認識が共有されている。高度な整備業務をメーカーに依存している航空自衛隊にとっては、日常の部隊運用への支援はもちろん・既存機の能力向上改修や将来の戦闘機開発などに影響がおよぶことが予想されている。

F-4後継機として2個飛行隊分の機体は50機のはずだが40機だそうだ。中途半端な数字であることから、F-15SEを導入の可能性もあるのではないか?

3個飛行隊相当のF-15pre-MSIP機の後継機としてF15-SEを選択したならば、国産の99式空対空誘導弾(AAM-4)の運用能力を付与するための「アクティプ・電波・ホーミング・ミサイル搭赦の研究試作」、ステルス機探知こ活用される「三次高精度方探システムの研究試作」、デ-タリンク機能を付加するための「自衛隊デジタル通信システム(戦闘機搭載用)」の開発、などを搭載する事が可能となる。わが国航空機産業にとって将来の国産戦闘機開発に備えて技術力を磨くことにつながる。

その将来の国産戦閾機を見据えて、防衛省は、2009年度からATDーX「先進技術実証機の研究」事業に着手している。先進技術実証機は、ステルス機体形状をはじめ、新複合材料の機体構造、飛行制御、エンジン、アピオニクスなど将来の戦闘機等に適用カ潮待される各種先進技術をシステム・インテグレーションした高運動ステルス実験機である。趣味でATD-Xを研究しているのではないのだから、これが将来戦闘機へ発達しないとは限らない。

FSXが米国に潰された恨みは航空関係者全員持っているはずである。 ATD-XのXF5-1エンジンをなんとかF110(米GE)エンジン並みにできることが可能であると・・・どこかで読んだが立ち読みで読んだ「甦るゼロ戦」だったか?

2013年度に初飛行するATD-X計画では、導入が困難なステルス技術をはじめとする先端技術を習得するとともに、わが国唯一のステルス機として、レーダーサイトなどへのステルス機対策の訓練や、将来のF-35の技術移転に関する交渉でのバーゲニング・パワーとしての活用カ潮待されてい私この先進技術実証機の研究に加えて、F-35のライセンス生産ないし国内組み立てが実現すれば、国産ステルス技術を成熟させることも可能になり、将来の戦闘機開発に向けた布石にもなるのではないだろうか。

F-4の減勢は進んでおり、後継機の一日も早い導入カ特たれているが、航空自術隊がいまでも老朽化したF-4を運用できるのは、同機がライセンス生産機であり、国内に戦闘機生産・技術基盤が存在するところが大きい。航空自衛隊が周辺諸国に対し充分な航空優勢を確保するとともに、国内の戦闘機技術・生産基盤維持にも配慮したかたちでの総合的ならばF-15SEも併せて導入すべきだと思う。

F-35は、やむを得ない選択かもしれない。くそ!

この方のブログは参考になった。

【martyakunの耳はロバの耳】
http://blog.zaq.ne.jp/martyakunblog/category/12/

追記
F35搭載ソフト、共同出資国にも非公開へ=米国防総省【reuters】2009年 11月 25日 12:29
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-12621820091125
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p168~169
これまでの経済学には、残念ながらバランスシート不況という考え方は全く存在しなかった。

ケインズも処方箋としては正しいことを言ったが、なぜ財政出動なのかという説明は全くの的はずれだった。

財政出動というのはバランスシート不況のときにだけ効果を持っものであって、それ以外のときはむしろ逆効果になってしまうのである。

ケインズはそのことに気付かなかったために、ケインズが神様あつかいになった戦後20年は多くの国々でバランスシート不況でないときも財政が乱用されてしまった。しかしバランスシート不況以外での財政出動は高金利やインフレ、そして資源配分の歪み等の逆効果をもたらし、その結果、財政出動自体が全面否定されるようなことになってしまったのである。

1970年代に「ケインズは死んだ」などと言われたのは、まさにそこからきている。

だが、この十数年にわたる日本の経験で、財政出動という対応はバランスシート不況のときにのみ効果的であり、またバランスシート不況のときには不可欠であるということが立証されたのである。日本は15年前にこの問題を経験して、ある非常に重要な遣筋を、人類史上初めて示してくれたのである。

日本は戦争も起こさず、海外に迷惑をかけることもなく、政府が民間のデフレギャップを財政出動で埋める政策を15年間やってきたのである。この日本の経験を世界に伝えていくことは非常に重要である。

そういう意味では、バランスシート不況のコンセプトが一日でも早く世界に理解されることが重要であって、それはまさに身をもってそういう体験をしてきた日本が世界に対してできることであり、やらなければならないことなのである。
リチャード・クー氏は麻生政権のブレーンあった。麻生政権は正しい事をやっていたにもかかわらず結局自民党自ら自爆してしまい、非常に残念な結果であったと思う。

しかし、麻生総理を通じてクー氏のバランスシート不況論が米国オバマ政権へ伝えられたのは僥倖であった。
サマーズNEC委員長は財政出動に関してtimely,targeted,and temporaryと”3つのT”であったが、麻生総理との会談後バランスシート不況は一時的な財政出動で解決できないことを悟り、”3つのS”つまりspeedy,substantial and sustainedにスタンスを変えた。

既に認識済みのガイトナー氏とともにサマーズが「時期尚早の財政再建は危険だ」と認識したことは、オバマ政権が橋本政権が犯した愚を犯さずにすむ可能性がある。中国も早くからこのバランスシート不況論を認識していた為、巨大な財政政策を行っている。

日本はどうか?民主党はどれだけこのバランスシート不況理論をわかっているか不安であるが、経済通の亀井金融大臣がいるから心強い。亀井大臣は、橋本政権、小泉政権時代からずっと正論を言い続けている。

しかし、リチャード・クー氏は金融庁と銀行の相互不信が貸し渋りを増長していると言う。

金融庁が無理やり不良債権処理をやらせ、今度は不良債権処理から貸し渋り対策へ重点を置いてきている。金融庁は発足以来金融機能を円滑にするのではなく、麻痺させる方向にばかり動いているかのようにも見えることは事実だ。

私は今回のモラトリアム法案は日本の中小企業への支援の為には有益であると思うが、金融機関と金融庁の間に溝を更に作ってしまったのは事実かもしれない。

世界同時バランスシート不況はこの後p293まで続きます。

私のコメントを加えず、バランスシーと不況について、できるだけ多くの人に知ってもらい、本書を皆さんに読んでみたいと思わせる箇所をほんの少しだけ抜粋しました。これ以上ネット上でコピペすると、いくら個人ブログでも許されない範囲かと思います。本書はこのあと「金融資本主義に未来はあるのか?」「この危機は経済を根底から見直す大チャンス」と続きます。

続きもコピペしたいところですが、是非皆様も、本書をご一読することをおススメします。

【リチャード・クーのKoo理Koo論 NIKKEI NET・BIZ PLUS 】
http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/koo.cfm?i=20070911d8000d8
こちらも是非ともおススメです。


①『「世界同時バランスシート不況」副題金融資本主義に未来はあるか リチャード・クー&村山昇作』を読む。 その1 リチャード・クー氏にノーベル経済学賞を!
2009/11/18(水) 午前 3:34 http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/30352056.html

②『「世界同時バランスシート不況」副題金融資本主義に未来はあるか リチャード・クー&村山昇作』を読む。 その2.バランスシート不況は日本に学べ-1
2009/11/20(金) 午後 6:35 http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/30379017.html

③『「世界同時バランスシート不況」副題金融資本主義に未来はあるか リチャード・クー&村山昇作』を読む。 その3.バランスシート不況の原型大恐慌
2009/11/20(金) 午後 7:26 http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/30379526.html

④『「世界同時バランスシート不況」副題金融資本主義に未来はあるか リチャード・クー&村山昇作』を読む。  その4.バランスシート不況は日本に学べ-2
2009/11/22(日) 午後 10:58 http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/30404063.html
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世界がバランスシート不況を理解するまでまだ時間がかかりそう

私は以上のような説明を世界中でずっとしているが、残念ながらこのことが理解され浸透するにはもう少し時間がかかりそうである。というのも、例えばアメリカは低貯蓄国だ、日本は高貯蓄国だ、アメリカは経常赤字だ、日本は経常黒字だ、ということが何十年も言われ続けた結果、多くの人たちにとってこれらの「事実」は固定観念として強く定着しているからである。

しかし、民間がバブル崩壊で債務超過に陥り、債務の最小化に走っているときは、家計に1000円の所得があって、そのうちの900円を消費し、100円を貯蓄しても、その100円をゼロ金利でも借りる人はいない。

その100円を借りる人がいなくて銀行に滞ってしまうと、経済は900円規模になってしまう。その900円の所得を得た家計が9割の810円を使って90円を貯蓄しても、その90円も借り手がいない。それが繰り返されて、どんどん経済が縮小していくからバランスシート不況が起こるのであって、その100円や90円はいまのアメリカの金融機関のなかにちゃんとある。以前は低貯蓄の国であったとしても、そこには新たに貯蓄されて民問が借りてくれないお金がある。それはアメリカにもイギリスにもオーストラリアにもある。

そこで私が「あなたたちの国には、今回の財政赤字をファイナンスするだけの充分なお金がありますよ」という話をすると、彼らは青天の露震というか、本当にびっくりする。というのも、バランスシート不況という考え方が、これまでの経済学に全くなかったものだから、彼らにはあまりにも突拍子もないことに聞こえてしまって、体が受けつけないのだ。
p134~138要約
中国が心配しているのはバーナンキFRB議長の金融政策また財政赤字のファイナンスという点では、ガイトナー米財務長官が〇九年の五月末に中国を訪れているが、このとき中国は、同長官に対して米国における財政出動の必要性を認めているという話をしている。

これは、中国が以前から日本のバランスシート不況の実態を研究し、この種の不況では財政出動が不可欠であることを理解していたことを考えれば、当然の発言と言えよう。

当時の中国には株と不動産のバブルがあり、これらが崩壊したときに中国経済はどうなるのかという点について彼らはたいへん神経質になっていたからだ。ところがバブルが崩壊して人々の生活水準が落ち始めるといまの政権は瞬時にその求心力を失いかねない。中国は欧米より一足先にバランスシート不況という概念の重要性に気付いていたのである。

実際に中国は、米国や日本が本格的な財政出動に動く前の08年11月から、GDP比17%に匹敵する巨大な財政出動を打ち出しており、彼らからしてみれば、オバマ政権下の米国はそれは同国が、米国の財政政策ではなく米国の金融政策に懸念を持っているからではないかと思われる。

つまり昨年秋から、バーナンキ氏率いるFRBは巨額の資産を民間から購入しており、同行の急拡大したバランスシートには多くのリスク資産が含まれている。もしも中国が過去の日本の経験を正しく理解していれば、彼らはバランスシート不況下では金融緩和が効かないことを知っていることになる。

その彼らがいまのバーナンキ議長の非伝統的と言われるがむしゃらな金融緩和を見れば、彼らは当然、大きな懸念を持つだろう。同議長によるドルのトークダウンは、昨年春の国際商品価格の暴騰を受けて下火になったものの、本来金融政策では対応できないバランスシート不況をバーナンキ議長が無理やり、金融政策で対応しようとしているところに、人々が危機感を抱いても不思議はない。

この懸念は中国当局者に限ったことではなく、ドイツのメルケル首相もここに来てFRBに対して全く同じ懸念を表明している。この懸念が、商品価格バブルの崩壊後も金の価格だけが下がらないことや直近の金利上昇の背景にあるとすれば、かなりの人々がこの懸念を共有していることになる。ところが当のバーナンキ議長はこの懸念に対して、がむしゃらな金融緩和にブレーキをかけるどころか、財政再建が必要だと言い出しており、バランスシート不況克服に唯一効力のある財政出動にブレーキをかけようとしているのである。

バーナンキ議長は故ミルトン.フリードマンの直系と言えるぐらい、金融政策万能論を学者当のバーナンキ議長は09年6月4日の議会証言で、FRBは米国債の直接引き受けはやらないと発言しているが、実際のFRBの行動は人々の懸念を払拭するまでには至っていない。

巨額の財政赤字と流動性供給でも全くインフレにならなかった日本■p147~150

しかし、歴史を細かく見れば、政府が巨額の財政赤字を出し、中央銀行が国債を買いながら巨額の流動性を供給したにも拘わらず、全くインフレにならなかった事例がある。そしてこの事例こそが、まさに過去15年問の日本である。日銀は1990年からの15年間で、中央銀行が供給する流動性であるハイパワード・マネーを三倍にしたにも拘わらず、物価は全く上昇しなかったばかりか、九〇年代末からは上昇率がマイナスになり、デフレが騒がれる事態となった。本来ならハイパワード・マネーを三倍にすればインフレが300%になっても不思議はないのに、全くそうならなかったのである。
また、そのデフレを止めようとクルーグマン氏のような欧米の学者たちは日銀に量的緩和を要求し、最後は日銀も渋々それを受け入れて、2001年から銀行準備を当初の5兆円からその6倍の30兆円にまで拡大した。それにも拘わらずこの問、経済活動も資産価格も減少を続け、当初欧米の学者たちが想定したようなインフレは全く発生しなかった。本来なら銀行準備を6倍にすればマネーサプライも6倍になって不思議はないのに全くそうならなかったのである。
しかし、その彼らもどこかの時点で、心配したほどのインフレにはならないどころか・景気も回復していないことに気付くだろう。そうなって初めて、彼らも今回の不況はこれまでの不況とは違うことに気付くことになると思われる。
財政赤字もインフレ要因にはならない■p150~152
その一方で、巨大な財政赤字の存在はどうかということになるが、これがインフレをもたらすには、政府支出と民間支出の合計が経済の生産能力を大幅に超えていなければならない。

ところが、バランスシート不況下の米国では、ゼロ金利下でも貯蓄率が急上昇しているように、民問の需要が激減している。そのようななかで発生した民間の過剰貯蓄(=民間の資金需要を超える民間の貯蓄)は、借り手不在のなかで経済の所得循環から漏れることになり、それが経済のデフレギャツプということになる。しかも民間の需要は前述のように1000円から900円、900円から810円、810円から730円と減少していく危険性が高い。

このデフレ.スパイラルを止めるには政府が民問の過剰貯蓄を借りて使い、再度、経済の所得循環に戻してやる必要がある。だからこそ、バランスシート不況下では政府がお金を借りて使う財政出動が経済の安定に不可欠になるわけだが、この政府の財政出動がインフレをもたらすには、政府が民間の過剰貯蓄をはるかに上回る金額を借りて使わなければならない。

しかし、過去の日本の例や今回の欧米の例を見ても、戦争以外の平時に政府がそこまでやるのはきわめて困難であり、むしろリスクは、政府の財政出動が民間の過剰貯蓄を埋めきれない方にある。

つまり、政府が財政赤字の大きさや財政再建至上主義者からの非難を恐れ、充分な期間、充分な規模の財政出動を維持できなくなる危険性が民主主義の国々ではきわめて高いのである。

実際に日本も1997年の橋本政権時にこのワナに陥って財政再建に走り、5期連続マイナス成長というデフレ.スパイラルに突入してしまった。アメリカでもルーズベルト大統領が全く同じ間違いを1973年に犯している。
前述のように、ゼロ金利下でも米国の貯蓄率が急上昇する一方で、同国の資金需要が減少しているということは、米国政府の財政赤字をファイナンスするお金は米国内で充分調達できるということを意味している。このことは、バーナンキが金利上昇を抑えるために国債を買うということは本来必要ないということになる。

ただ、前述のインフレ問題と同様、昨今の米国で、新たに増えた財政赤字は実は米国内でファイナンスできるということに気付いている人たちはまだ少数であり、大半はまだ米国が低貯蓄の国であるという固定観念から脱却できないでいる。その低貯蓄国である米国は、自国の財政赤字をファイナンスできないので日本や中国に買ってもらえない場合には、中央銀行が自ら買わないと金利が上昇してしまうという発想になる。しかしFRBがそれを買うと中央銀行による国債引き受けとなりインフレを心配する人が出てくる。

しかもここを心配する人々はFRBが国債を買えば買うほどインフレを心配するので長期金利が上がり、そのことはFRBが金利上昇を抑えるために国債を買ったことがかえって金利上昇要因になってしまうことを意味する。

しかし、これらはすべて、バランスシート不況のメカニズムを理解していないことから出てくる(間違った)懸念である。15年前の日本でも、巨大な財政赤字で金利が上昇したり、インフレになることを心配した人は大勢いたが、結局、彼らの心配はすべて杞憂に終わった。

今回の欧米でも、十数年前の日本と全く同じドラマが繰り返されているが、どこかで彼らも当時の日本と同様にゼロ金利下で貯金が増え、民間資金需要が減少している事態の重要性に気付くと思われる。
少し景気が上向いても財政出動を外したらすべてが崩壊する
P162~163
問題は効果が出てきた後である。効果が出てきて景気が上向いてくると、「もう経済はちゃんと機能しているから財政出動というポンプの呼び水はもう不用であろう。それより大きな財政赤字が心配だから早急に政府支出をカットしろ」という勢力が必ず台頭してくる。そういう大合唱が始まったとき、景気が悪いから財政出動だと一言っていた人は、「そうだ。効果はあったのだから、もうこのへんで財政赤字はカットしなければだめだ」と財政を切ってしまうことになる。

しかし、バランスシート不況ということを理解していれば、景気が良くなったのは政府支出があつたからで、民間は依然としてバランスシートの修復をやっている可能性があり、その場合は財政をカットしたら再び景気は落ち込むという判断になる。景気回復を支えていたのは財政なのだから、それを外したらすべてが崩壊して景気が再び急降下することは目に見えているからだ。

もしもここで間違えて財政再建に走ると景気は二番底目指して落ち込んでいく。この二回目の落ち込みというのは、実は最初の落ち込みよりもはるかに恐ろしいものである。なぜかといえば、最初の落ち込みはバブルの崩壊などいろいろな理由があって、バプルに踊った自分が悪かったとか、金融機関が無理をしたということで説明できるが、二回目の落ち込みになると金融政策も効かなかった、財政政策も効かなかった、もはや何をやってもだめだと、一気に民間は萎縮してしまうからだ。

1997年に橋本龍太郎政権が財政再建をやって大失敗したのがそのいい例である。それ以前に日本では、バブルの崩壊があったし、阪神大震災や円高などいろいろなことがあったが、とにかくなんとかやってきた。ところが橋本政権が財政再建を打ち出したとたん景気は五期連続マイナス成長という急下降に陥り、そこから出て来た悲観論は九七年以前の悲観論とは比べものにならないくらい深刻なものになっていた。
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YouTubeをサーフィンしていたら先日投稿した

①『「ジオン軍の失敗」 岡嶋裕史 著(アフタヌーン新書)』を読む その1
2009/10/20(火) 午前 2:52 http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/30004933.html
②『「ジオン軍の失敗」 岡嶋裕史 著(アフタヌーン新書)』を読む その2
2009/10/20(火) 午後 10:56 http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/30015388.html

以上の動画バージョンに相当する投稿を発見、番外編としてUPしました。


③「ジオン軍の失敗」番外編ジオン公国
2009/11/21(土) 午前 10:32 http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/30386501.html



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YouTubeをサーフィンしていたら先日投稿した

①『「ジオン軍の失敗」 岡嶋裕史 著(アフタヌーン新書)』を読む その1
2009/10/20(火) 午前 2:52 http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/30004933.html
②『「ジオン軍の失敗」 岡嶋裕史 著(アフタヌーン新書)』を読む その2
2009/10/20(火) 午後 10:56 http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/30015388.html

以上の動画バージョンに相当する投稿を発見、番外編としてUPしました。

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p109~115要約
1933年から36年までの間にアメリカの景気は回復していったが、それはFRBが33年に政策を変えて、マネーサプライが増えたからである、という主張である。

大半はこのクリスティン・ローマーから始まった、FRBがマネーサプライを増やしたから景気が回復したという理解になっている。

確かにアメリカでは33年から36年までにマネーサプライが増えるが、マネーサプライの大半は銀行預金である。銀行預金は銀行の負債であるから、ここが増えるには同時に銀行の資産である貸し出しが増えなければならない。そこで銀行の貸し出しでどこが増えたのかを見てみると、全部、政府向けなのである。

政府向けの貸し出しは増えていたが、民間向けは41年まで全然増えていない。なぜかと言えば、民間はみんな必死で借金返済をやっていたからである。

その結果、バランスシート不況に陥つたアメリカでは毎年毎年民間の貯蓄と借金返済を合計した金額が借り手不在のなかで経済の所得循環から漏れ、米国のGDPは急速に縮んだ。

その結果、同国のGDPは4年間で46%減少し、みなが借金返済に回った結果、同国のマネーサプライは33%減少した。その政府が発行した国債を民問銀行が購入することで政府にお金が回り、政府がそのお金を使ったことで銀行システムには預金が増えた。その預金が増えた銀行は、民間の借り手が不在なままで増えた預金を政府に貸し、また政府がこれを使うことで再び銀行の預金が増えた。これがずっと繰り返された結果、銀行の預金は増え続け、それがマネーサプライが増えるということになった。

しかしそれはマネーサプライが増えたから景気が回復したのではなくて、政府がニューディール政策でお金を借りて使ったからこそ、景気とマネーサプライの両方が増えたのである。

資産価格が87%下がってもGDPを落とさなかった日本の経済政策は正しかった■p115~124
私が欧米を回って15年前の日本の経験を話すと、「日本の例アとんでもない。あんなばかな真似を自分たちがやると思うか」という反応を示す人は多い。なかには冷静に聞かなけれぱならないという人も何人かはいるが、そうでない人たちもまだ多いのである。
イメージ 1
そういう人たちに対して、私が使う最も有効な反論材料は図16のグラフである。これは1980年からの日本のGDPと商業用不動産価格の推移を表したもので、これを見ると商業用不動産価格が急騰していく1980年代後半はみんなリッチになっているからGDPも急速に伸びている。これは誰にでも説明できる話である。 しかし日本のすごいのはバブルが崩壊してからである。1990年を境に商業用不動産価格は大暴落する。一挙に価格が87%も下がってしまった。ところが、日本のGDPは落ちていないのである。落ちないどころか、過去18年間一度もバブル期のピークを下回ったことがない。一時的にマイナス成長はあったものの水準は名目でも実質でもバブルのピークを下回ったことはないのである。 このグラフを見せ、もしアメリカでマンハッタンの不動産が87%下がって、サンフランシスコが87%も下がったら、アメリカにどんな経済が残っていると思うかと質問してみると、みんな真顔にならざるを得なくなるのである。日本はそこまで資産価格が下がったにも拘わらず、GDPは落ちなかったし、失業率は6%に達することなく反転した。これでも日本の経済政策は間違っていたと思うのかと言うと、彼らは初めて「あっ」となるのである。 この15年間、日本の経済政策が海外にどのように伝わっていたかというと、何もしなくてもゼロ成長なのに、景気対策に150兆円も使ってやはりゼロ成長だったというものである。 日本はよほど無駄なモノにお金を使ったに違いないというのが世界の大半の理解なのである。 そこで、私は最初に図16のグラフを見せて彼らの注目を集め、それから日本がバプルの崩壊でどれくらいの損失を被ったのかという図17のグラフを示してやる。
イメージ 2
図17は、バブルの崩壊で日本が失なった富を示しているが、その金額は一五〇〇兆円にものぼる。土地と株だけで一五〇〇兆円である。ゴルフ会員権やその他もろもろを含めたらもっと大きな金額になるだろう。 1500兆円といえば、日本のGDPは500兆円だからGDPの三年分である。アメリカが大恐慌で株が八分の一になったときでさえ、当時同国で失われた国民の富は1929年のGDPの一年分であった。ところが日本は三年分のGDPを失ったのである。ということは、日本はあの大恐慌よりもっとひどい事態に見舞われてもよかったのに、そうはならなかった。 なぜかと言えば、日本では当初から政府が財政出動ということで民問の過剰貯蓄(=家計の貯蓄プラス企業の純債務返済額)を借りて使ってくれたからである。政府がこの金額を借りて使ってくれれば、経済の所得循環は維持されGDPが落ちる理由はなくなる。日本は結局それをずっと続けてきたのである。つまり本来なら景気が悪くなって税収が落ちれば政府は支出も減らそうとするが、日本では逆に図18にあるように政府は支出を増やした。そのことが1500兆円の富を失ったにも拘わらず、日本経済がGDPを落とさずに済むことを可能にしたのである。 もちろんその結果として日本は巨額の財政赤字を出し、その累積額は1990年から2005年の25年間で462兆円、バブル期にも財政赤字があったことを差し引いても315兆円という大きな金額になった。ここでバブル期の赤字(1990年に9.2兆円)を除外しているのは、この部分は経済学で言う完全雇用赤字と考えられ、景気とは関係ない構造的な赤字だと思われるからだ。 315兆円とは大きな金額だが、私はこの赤字は「良い財政赤字」であり、「悪い財政赤字」ではなかったと思っている。その理由は、もしもこの315兆円が使われていなかったら日本のGDPはバブル崩壊で激減した可能性があり、その水準は少なくともバブルが始まる前の1985年ごろの水準まで落ちた可能性が高い。 1985年のGDPが330兆円であったことを考えると、GDPの落ち方にもよるが、現実のGDPとその落ちたかもしれないGDPの差は優に3180兆円あることになる。これが15年間続いたと考えると、150×15で2250兆円になる。ということは日本は315兆円の財政出動で2000兆円のGDPを確保してきたわけで、これはたいへん安い買い物であったと言えよう。土地本位制と一言われたこの国で地価が87%も下がり、1500兆円も富が失なわれ、民間が一斉に借金返済に回ったにもかかわらず日本のGDPが落ちなかったのは、この315兆円のおかげであり、これは人類史上最も成功した財政出動と言っても過言ではないのである。

バランスシート不況下では財政赤字が拡大しても長期金利は上昇しない■p125~128
ところが、こういう話をすると、海外で必ず出てくるのは「日本は財政出動ができたけれど、自分たちにはできない」という反応である。彼らは「日本は高貯蓄率の国で国債をすべて国内で消化できたが、われわれは低貯蓄率の国だから日本と同じことはできない」と言うのである。

確かにアメリカもイギリスもオーストラリアもこれまでは低貯蓄国で、しかも経常赤字国であった。アメリカなどは世界最悪の経常赤字国である。だから日本と同じようには考えられないというわけである。
しかしながら、実はこうした問題に対しても、日本はすでに答えを出しているのである。

1990年から2005年までのバランスシート不況の問に、日本の国債残高はGDP比で当初の40%から140%まで拡大した。

こうした財政赤字の大幅な拡大が続くなかで、当時の大蔵省や、IMF,OECD、それにムーデイーズやスタンダード&プアーズといった格付機関は、こんな状況で財政赤字が拡大していったら、どこかの時点で金利は大幅に上昇する、金利が大幅に上昇したらすべてが破綻するということを盛んに言い続けていた。これはいまのアメリカやイギりスが自国の財政出動に対して持っている懸念と全く同じ懸念であった。

欧米の格付機関などはあまりにも自分たちの「日本破綻シナリオ」に自信があったのか、日本の国債をどんどん格下げしていって、一番ひどいときにはアフリカのボツワナ以下にまで格下げした。日本はボツワナに経済支援をしているにもかかわらず、日本のほうがボツワナよりも国債の格付けが低くなるという、たいへん屈辱的な目に遭ったのである。

では、彼らの予測が正しかったのかといえば、この十数年間、彼らの予測が当たったことは一度もない。日本の国債の利回りは上がるどころか、ずっと下がり続けて、過去10年問、人類史上ほぼ最低の水準が続いている。大蔵省、IMF,OECD、格付機関が、なぜこれだけ見事に間違えたのかというと、それは彼らがバランスシート不況のメカニズムを全く理解していなかったからである。

続く
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この覆面報道機関の編集員バジョット氏の日本国債に関する考察は見事である。

ガイジン達は何を勘違いしたのか日本国債を空売りし、大笑いである。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/2145

長期金利に影響を与えるものとしては、経済成長率やインフレ期待が大きく、財政赤字と長期金利の関係は逆相関であるがあまり影響は大きくない。

財政赤字が金利上昇をもたらさない理由は、本書と≪②『「ジパング再来」副題:大恐慌に一人勝ちする日本 三橋貴明 著』を読む その2 国家破綻の欺瞞 http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/29887068.html≫を、ご参照いただきたい。

世界最大の債権国の日本国内でファイナンスされている国債の金利がたかだか財政赤字が多少増えそうだというだけで、デフレ宣言をした日本にはインフレは縁遠く、経済成長もまったく期待できないのに、長期金利が上昇すると考える方が愚かしい。

国債市場で重要なのは、財政赤字の額そのものではなく、財政赤字がファイナンスされる資金循環の構造がしっかりできているか否かだと思う。いかに国家財政の赤字が巨額であっても円滑に資金が循環すれば良いだけの事である。

日本が巨大な財政赤字を出してなお、金利が上昇なかったことを理解していないようだ。バブル崩壊後、日本がここまで財政赤字を出しても金利がなお低金利である事実をいったいどう説明するのであろうか?

ガイジンはサブプライム問題で露呈したS&PとMoody'sの格付けがいかにいい加減であったか、日本国債の格付けを最上位から下げた無能さを未だに理解できない馬鹿だったのである。

同様に国家破産だと騒ぎ、国家破産を唱える三文文士・売文屋も同じく同類である。

個人金融資産→金融機関→国債→財政政策→国民と資金が循環すれば問題にならない。

ただ早く 個人金融資産→金融機関/社債等有価証券→企業設備投資等→個人
 
と、いった正常な資金循環に戻す努力もしなければならないの言うまでもない。

日本の国債需給を支える構造は、経常収支が常に黒字で、民間の貯蓄超過は常に財政赤字を上回っており、マクロ的なバランスシートから言えば、財政赤字は国内貯蓄で賄って余りある状態である。また日本ではリスクよりも低金利であろうとも安全性をとり貯蓄が生まれる。この貯蓄が金融機関を通じ国債に投資される。

ただ、長期的には金利上昇リスクは高齢化等により民間貯蓄が減ることは予想される。その場合、民間貯蓄<財政赤字となり、差額分は経常赤字と一致し、財政赤字が海外資金=経常赤字でファイナンスされることを意味する。

ただ、経常赤字となったら即、財政破綻する訳ではない。財政破綻は経常赤字が累積されて、ある臨界点に達するまでは起きない。その臨界点とは過去の金融危機からみると、累積経常赤字/GDP 比がマイナス30%~マイナス40%に達した時である。現在の日本の累積経常赤字/GDP 比はプラス43%である。

日本が10年後から経常赤字に陥り、毎年20兆円の経常赤字が続いたならば、累積経常赤字/GDP 比が臨界点マイナス40%に達するのに20年は掛かる。日本の国家財政破綻は最短でも30年後以降ということになる。日本国債は空売りしたガイジンさん達はホース&ディアー(馬鹿)!リチャードクーの本書を読めば少しは間違いに気がつくであろう。

■やっとここからが本文■
バランスシート不況は日本に学べ
p98~101要約
かつてバーナンキは日本の景気低迷に対して「日銀はトマトケチャップを買ったらどうか。そうすれば景気は良くなる」と、日銀をボロクソにこきおろしたことがある。

民間がバブルに踊った失敗に気づき、必死に財務の健全化を取り戻そうとゼロ金利でも借金返済に走っていることで起きている不況を金融政策で止めるには、そのバブル期の資産価格を永久に維持しなければならない。しかし現実問題としてそれは100%不可能である。人々は既にバブル期の資産価格は間違っていたことに気付いてしまったからだ。中央銀行がトマトケチャップを買えば解決するような問題ではないのである。

米大手投資銀行はバブル期に自己資本に対して30倍~40倍の借金をして収益を上げていた。ところがその彼らは証券化商品で大きな損失を被り、いまや自己資本に対して借金の比率を大幅に下げなければならないところに追い込まれている。このように自己資本に対して借金を減らす行動をディレバレッジと言うが、それには借金とそれで購入した資産の両方を減らす必要がある。だが、ディレバレッジしようとしている銀行が売ろうとしている金融資産を誰も買ってくれないのである。そこに中央銀行が来て、買ってくれたら、その分、ディレバレッジができる。バーナンキのやっていることは、金融機関のディレバレッジングをスムーズにする、という意味ではプラス効果があるのである。

しかし、それだけでは根底の問題は解決できない。金融機関がFRBに資産を売却して得た資金でまた以前と同じものを買うことはあり得ないからだ。FRBに資産を売却して得たお金を新たな融資や投資に回すとしても、FRBに買ってもらわなければ売却できないような流動性の低い資産には二度と投資しないであろう。彼らはその資金を現金で保有するか、もっとリスクの低いもので運用するだろう。ということは、どんなにFRBががんばっても、金融は元の状態には戻らないことになる。

中央銀行のバランスシートを毀損させるのはきわめて危険■p102~105要約
中央銀行のバランスシートが急速に劣化していることを見逃してはならない。中央銀行が民間のリスクアセットを購入した後にそれらのアセットの価値が下がれば当然中央銀行の財務内容も悪化するからだ。

中央銀行のバランスシートの健全性はほとんど話題にならなかった。中央銀行が民間のリスクアセットを購入することはなかったし、必要になったときは、中央銀行ではなく政府(=財務省)が購入していたからだ。

中央銀行がバランスシートを使うのと、財務省がバランスシートを使うのとでは、全く意味が違うと考えている。中央銀行がバランスシートを使うと直接、通貨の信認につながるリスクがあるが、財務省のバランスシートを使う場合はそのリスクが大幅に減少するからだ。

いまの通貨というのは金でバックされているわけでも、銀でバックされているわけでもない。人々が中央銀行を信用しているからという信用によって支えられているのである。

そういうなかで、「どうも中央銀行は債務超過じゃないか」とか、「FRBはシティバンクよりもひどい不良債権を抱えてるようだ」とか、そういうことが民間で言われ始めたときに、何が起きるかは誰にも予測できない。世界中の投資家がドルから逃げ出し、ドルが暴落するかもしれない一方で、FRBのバランスシートとFRBの金融政策は関係ないということで何も起きないかもしれない。

本来、民間のリスクアセットを買うというのは財政政策であって金融政策ではない。したがってトマトケチャップを買う、あるいはCP(コマーシャルペーパー)を買うのだったら財務省が買うべきなのである。

それでバランスシートが膨らんだ財務省を中央銀行が国債の購入増などでサポートするというのなら、まだ一つクッションがあって、購入したリスクアセットが発行体の破綻などで不良債権化しても中央銀行のバランスシート自体は毀損されない。

レーガン時代のアメリカや90年代以降の日本が膨大な財政赤字を出しながらも通貨の信用を失わずに、これまでやってこられたのは、金融政策と財政政策が分離されていたことで、どんなに政府が財政赤字を出しても、中央銀行が国民の信認に値する行動をとってきたからである。

つまり中央銀行さえしっかりしていれば財政赤字はそれ以上の問題にはならない。ところが両者が一体で運営されてしまったら、中央銀行は国民の信認に応えられないこともやらされることになりかねず、そうなると第一次世界大戦後のドイツとかオーストリアが経験した悲惨な状態になってしまう可能性が高いのである。

中央銀行の独立というのは、人類の知恵の産物である。三権分立ということはよく言われるが、私は実は四権分立だと思っている。司法・立法・行政に加えて四つ目が中央銀行なのである。立法・行政府と司法は同じ政府といえば同じ政府に違いないが、分かれているから人々は信用しているのであって、分かれていることにこそ意味がある。同様に財務省と中央銀行が分かれているから、中央銀行は国民の信認が得られているのである。

ところが実際に財務省のバランスシートで民間のリスクアセットを購入しようとすれば、すぐにその財源をどこから持ってくるかという政治問題が起こる。つまりこれは本来、財源がいる話であり、そこにはどうしても政治という時間のかかるプロセスが不可欠となる。

ところがいまの金融危機は一分一秒を争う世界であり、何週間も何か月も与野党が救済策を立法化する
まで待ってくれない。つまり財務省のバランスシートには機動性がないのである。その一方で、中央銀行はやろうと思えばすぐにできるから、いまのような局面ではどうしても機動性ということで中央銀行のバランスシートを使わざるを得ないところがあるのである。

できるだけ早い時点でこれらのリスクアセットを政府のバランスシートに移すか、または政府の保障をこれらのリスクアセットにつけるという処置が必要だろう。

バーナンキに代表される学界の金融政策万能論者には四権分立という発想は全くなく、中央銀行のバランスシートは無限に拡大してもそれで景気が回復すればよいと考えている人たちが多い。しかしこの考え方は、それこそ一つ間違えて国民の信用を失ったら通貨が大暴落に陥る恐れがあるのである。
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先ほど文部科学省の中川正春副大臣 と 後藤斎政務官 へ下記メールを送信した。

文部科学省
中川正春副大臣 殿
後藤斎政務官 殿

このたびは、文部科学省のホームページに行政刷新会議事業仕分け対象事業についての意見募集があり、私も早速ですが意見を述べさせてください。

今回の行政刷新会議事業仕分け対象事業は、財務相主導の呈のいい財政再建政策です。

9.独立行政法人理化学研究所1(次世代スーパーコンピューティング技術の推進)
10.独立行政法人理化学研究所2(大型放射光施設SPring-8、植物科学研究事業、バイオリソース事業)
11.独立行政法人海洋研究開発機構(深海地球ドリリング計画推進、地球内部ダイナミクス研究)
12.競争的資金(先端研究)
13.競争的資金(若手研究育成)
21.独立行政法人宇宙航空研究開発機構1(GXロケット)
22.独立行政法人宇宙航空研究開発機構2(宇宙ステーション補給機(HTV)等)
23.競争的資金(その他分野特定型(原子力システム研究開発事業、先端計測分析技術・機器開発事業))
24.競争的資金(ライフサイエンス分野)
25.競争的資金(女性研究者支援)

以上とくに9.スパコンと21.GXロケットを政刷新会議事業仕分け対象事業っとするとは何事ですか!まさか日本の唯一の希望である技術優位政策・技術立国を捨てるような行政政策をするとは思っていませんでした。

児童劇団に対する補助金は、子供に夢を与えるとの理由ので満額回答だったということを聞いていますが、真に我々の孫子達に夢と希望、いや、我々の世代から財産として残してあげられるのは科学技術立国としての科学技術ではないでしょうか?

児童演劇を馬鹿にするつもりはありませんが、行政刷新会議事業仕分目的は何の為に行われているのか?疑いたくなります。

サブプライムローン問題に端を発しリーマンショックに至った今回の金融危機は、リチャードクー氏の世界同時バランスシート不況論が最もよくこの金融危機を説明できていると思っています。

通常の不況とバランスシート不況は別物です。企業が借金返済で需要が減った分政府が財政政策をする以外減った需要を補填できないのです。
しかもバランスシート不況下では財政赤字が拡大しても長期金利は上昇しないのは日本の失われた10年で十分証明出来ています。

バランスシート不況では一時的な財政出動では解決しない、民間のバランスシートが修復するまで政府は財政を出し続ないと恐慌へ陥る可能性があるのです。

今ここでは、財政再建をしてはいけないのです。そして未来への投資は必要不可欠。

貴殿達は文部科学行政の責任者として、毅然とした態度で予算復活をして下さい。

貴殿達に良心や愛国心があるのであれば、以上の事業が行政刷新会議事業仕分け対象事業に載せる事自体間違っている!

文部科学省HP11/16に「行政刷新会議事業仕分け対象事業についてご意見をお寄せください」と記載されていました。

皆さんも是非ご意見メールを山のように送り付けましょう!

送信先は[nak-got@mext.go.jp]です。

【行政刷新会議事業仕分け対象事業についてご意見をお寄せください】
http://www.mext.go.jp/a_menu/kaikei/sassin/1286925.htm

世界最速スパコン:景気刺激策で新研究を支援する米政府2009年11月18日【wiredvision】
http://wiredvision.jp/news/200911/2009111823.html
米国の夜明けに伴う炭素フラックスを示した超高解像度モデル。緑は炭素の流入、赤は流出を示す。
イメージ 1
Image credit: ORNL 米Cray社製の『Cray XT5』(名称『Jaguar』)が、世界最速スーパーコンピューターの『TOP500』最新ランキングで首位に立った。同システムは今回、アップグレードによって、1.759ペタフロップスという驚異的な数字をたたき出した(1ペタフロップスは、1秒間に1000兆回の浮動小数点演算[FLOPS]が行なえるコンピューターの能力)。 テネシー州の米エネルギー省オークリッジ国立研究所(ORNL)にあるJaguarは今年、景気刺激策の一環としておよそ2000万ドルの支援を受け、プロセッサーを4コアから6コアにアップグレードした。新たなプロセッサーを得たCray XT5は、最新のTOP500ランキング[半年に1度発表]で、ついにトップに躍り出た。 それまで1位だったエネルギー省ロスアラモス国立研究所(ニューメキシコ州)の米IBM社製『Roadrunner』の速度を69%以上も上回り、3位のスパコン[同じくCray社製の『Kraken XT5』]には2倍以上の差をつけた。 Jaguarが今回、世界最速の座を獲得したことは、エネルギー省の民生用コンピューターにとって初の栄誉となる。Roadrunnerが主に核爆発のモデリングなどを行なっているのに対し、Jaguarは地球の気候など、多量の演算を要する科学分野の研究に用いられている。 「スパコンを用いたモデリングやシミュレーションは科学の様相を変え、米国の競争力を高めつつある。オークリッジをはじめとするエネルギー省の各国立研究所は、エネルギーや気候に関する主要問題を解決し、米国をクリーンエネルギーの未来へ導く手助けを行なっている」と、エネルギー省長官のSteven Chu氏は述べている。 [Chu長官はノーベル賞を受賞した物理学者。ローレンス・バークレー国立研究所とカリフォルニア大学バークレー校は、世界の代替燃料の研究の中心となっているがその中心者として活躍、オバマ政権のもとでエネルギー省長官となった(日本語版記事)。 今回のランキングでは、上位10位のうち8つが米国の国立研究所等に存在する。4位はドイツ『JUGENE』、5位は中国の『天河』。日本勢はNECの地球シミュレータが最高で31位] Jaguarを運用するORNLの計算科学センターは、気候モデルの専門家であるJames Hack氏が責任者を務める。 「計算能力は、1980年代初めと比べると100万倍近く向上していると思われる」とHack氏は語る。 1980年代初めの気候モデルでは、地球の表面を、約1万平方キロメートルずつの大きな範囲にしか分割できなかった。それが現在では、わずか25〜50平方キロメートルほどの細かい範囲に分けてシミュレーションを行なうことができる。 解像度の進化も、シミュレーションの精度向上に拍車をかけている。今年7月には、スパコンを用いたモデルが、過去の急激な気候変動を正確に捉えることに初めて成功したモデルとなった。
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リンクの「 日本を襲う国債のツナミ 外国勢が空売り」だが、FT誌を含め所謂ガイジン(害人)勢は、バランスシート不況のメカニズムがわかっていないため、斯様な馬鹿な博打を張っている。

リチャードクー氏の「世界同時バランスシート不況」を読めば日本国債が下落(金利上昇)しない理由も理解できるだろう。今回S&Pの格付けように財政出動=デフォルト懸念増大といった単細胞な理由で、日本国債を売り込めば大損する事間違いなし!

イメージ 1

『「世界同時バランスシート不況」副題金融資本主義に未来はあるか リチャード・クー&村山昇作』を経済に興味のある人間すべてに読んでいただきたい。

今回の金融危機も1930年代の大恐慌も日本のバブル崩壊後失われた10年も、リチャード・クー氏の唱える「バランスシート不況」説が最も上手に説明できていると思います。

経済学において不況とは1種類である前提であったが、クー氏は、

通常の不況とバランスシート不況は別物

であることを発見した。

バランスシート不況下では財政赤字が拡大しても長期金利は上昇しない


財政出動というのはバランスシート不況の時だけ効果を持つものであって、それ以外のときは逆効果である


バランスシート不況では一時的な財政出動では解決しない、民間のバランスシートが修復するまで政府は財政を出し続ける必要がある


上記発見はノーベル経済学賞受賞に該当するのではないかと私個人的には思うのであります。

バランスシート不況とは
P18~22
バランスシート不況とは借金でファイナンスされたバブルが崩壊し、借金に見合う資産がなくなった民間が一斉に利益の最大化から債務の最小化にシフトすることで起きる不況である。

この不況は、借金でファイナンスされたバブルが崩壊したときにのみ起こる特殊な不況である。「特殊な」という意味は、大きなバブルはまれにしか発生しないので、バランスシート不況もめったに起こらないということである。

この不況ではバブルに乗って借金までして投資に走った人々が、バブルの崩壊によって資産価格が暴落すると、負債だけが残り、債務超過という状況になる。資産より負債がはるかに大きくなるからだ。そのような状況に置かれた企業や個人はどのような行動をとるかというと、当然のことながら毀損(きそん)したバランスシートを修復するため必死に債務を減らすようになる。

これはもちろん個々の個人や企業にとっては正しい選択である。しかし個人や企業が一斉に自己防衛に走り、みんなが同時に借金返済に走ると、それまで投資や消費に回っていたお金が借金返済にあてられるため、お金の借り手がゼロ金利でもいなくなってしまう。同時に債務超過に陥っている借り手に新たにお金を貸す金融機関も激減する。しかし一国の経済というのは誰かが貯金や借金返済をしていたら、別の誰かがその貯金や借金返済分を借りて使わなければ回らなくなってしまう。ところがバランスシート不況では貯金する人はいるのに、そのお金を借りて使う人がゼロ金利でもいなくなってしまうことで、人々の貯金や借金返済のお金が借りて使われなくなり、経済の所得循環からもれてしまうのである。

お金が回らないから内需はどんどん減少し、実体経済は悪化の一途をたどるのである。つまり個々の個人や企業は正しく責任ある行動をとっているにもかかわらず、みなが同時に債務の最小化を目指すことで、景気が悪循環に陥り、どんどん悪くなっていくという事態である。

このような状況を、「合成の誤謬」というが、1990年から2005年ぐらいまで日本経済を襲ったデフレ圧力の正体は、まさしくこの「合成の誤謬」によるものであった。過去15年にわたって日本で起こったと同じことが、いまは米欧中で起きている。しかも、かつては日本一国の問題として起こったことが、今回は全世界で起きている。今回の問題の深刻さはそこにあるのである。

【経済産業省:通商白書 2009年版】
http://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2009/2009honbun/
【バランスシート調整に直面する米国経済】
http://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2009/2009honbun/html/i1210000.html

リチャード・クー氏の認識は上記経済産業省の通商白書にも正しく認識され取り上げられている。

アメリカの貯蓄率の上昇分だけ世界の輸出が打撃を受ける
p30
アメリカ人はこれまで、住宅を「貯蓄」と考えてきた。アメリカでは、住宅はメンテナンスさえしっかりやっておけば半永久的な資本財であり、土地だけでなく建物も価格が上昇するものであると考えてきた。

実際に同国の住宅価格は、土地だけでなく上物を含めて2006年まで70年間一回も下がらず、上昇を続けてきたのである。それだけに彼らは住宅の資産価値を高めるために数年ごとのペンキの塗り直しや屋根のふき替えなどに莫大なお金を使ってきた。

アメリカの統計で消費と計上される多くの支出は実は住宅のメンテナンスに使われる「投資」であり、実際に人々もその種の支出を消費だとは思っていない。米国の住宅の価値が半永久的なものであることは、同国の中古住宅市場が新築の三・五倍もあることに端的に表れている。

つまりアメリカ人にとって住宅そのものが貯蓄の代替物であり、住宅価格が白分たちの当初想定したものより上がれば、その分彼らは貯蓄しなくて済むということになる。そしてこのことが2006年までアメリカが好況にあった最大の理由であった。
p33~34
2008年第4四半期からアメリカ人の貯蓄率が急上昇していることを示している。実際に直近(2009年5月)のアメリカ人の貯蓄率は6.9%まで上昇しており、これはGDP統計などから想定れる日本の貯蓄率よりずっと高い。このアメリカ人の貯蓄率の上昇だけで、日本を含む全世界の輸出が大打撃をこうむってしまったのである。

一方、アメリカの企業はどうかというと、金融や自動車を除いて、企業のバランスシートは概して非常にきれいである。しかし、アメリカの企業は需要に対してとても敏感であるから、これだけ需要が落ち込んでくると、彼らが設備投資をする可能性はきわめて低くなる。既に米国企業の設備稼働率は戦後最悪と言える水準に下落しており、このような状態で彼らが設備投資を増やす可能性は低い。ということは、企業の設備投資が落ちるだけでなく、企業の消費も落ちるということである。

バランスシート不況対策は常に二正面戦争
p34~35
前述の貯蓄率の上昇はアメリカだけでなく全世界で発生しており、そこからくる実体経済の落ち込みにブレーキをかけるには各国政府の膨大な努力が必要になる。これだけでも大変だが、バランスシート不況対策は、過去の日本でも経験したようにいつも二正面戦争である。実体経済と金融の両方で対策が必要になるからだ。15年前の日本ではバブル崩壊以降、実体経済の落ち込みが先に表面化し、金融問題が銀行の貸し渋りという形で表面化したのは1997年後半からであつた。ところが今回のアメリカはサブプライムローンを含んだ金融商品の問題が先に表面化し、実体経済の悪化はその後に続いた。しかも今回は米国当局の金融問題への対応に大きなミスが重なったため、事態は本来の何倍も悪化してしまった。

住宅バブルが崩壊して住宅価格がどんどん下がっていけば、住宅価格の上昇を見込んで家を買った人たちのデフォルト(債務不履行一率はそれだけ増えるが、これらの住宅ローンを含んだ証券化商品も大幅に値下がりする。それに伴ってそれらの商品を保有していた金融機関の損失が拡大し、彼らの自己資本比率を悪化させる。しかしここが悪化すると銀行はカネを貸せなくなり、貸し渋りが発生する。この貸し渋りは実体経済や資産価格にマイナスに効き、さらに悪化させることになる。

p38から
リチャードクー氏はポールソンがリーマンを救わなかったのは失政だと指摘しているが、私はそうは思わない。あそこで、リーマンを救えばモラルハザードになってしまったと思う。

ポールソンが何故リーマンを潰したかといえば、システム危機の恐ろしさを正しく理解していなかったせいもあると思うが、リーマンのリチャード・フェルドマンという鼻持ちならないCEOに対する私怨、LTCM破綻の時に奉加帳に加わらなかったリーマンへの報復の可能性であると私は思う。

クー氏は怪我の功名と表現していますが、リーマンの破綻は日本で10年かかった金融システムの正常化過程を一気に推し進めたのではないかと思うのでありますが、実は意図的ではなかろうかとも思うのです。

p49から

金融危機を悪化させる3つの問題
1つに簿外帳簿オフバランス資産問題
日本でもかつて不良債権が後から後から明るみになり、不良債権の規模がなかなか明確にならなかったせいで10年15年と時間が過ぎてしまった。

マーケットの不信感を払拭するには問題をすべて把握しなければならない。

商業不動産問題
金融の問題が再び注視されるようになるのは時間の問題

2006年央を境に米国の住宅価格が下がり始めたころ、多くの人たちは、価格は一割程度下がってその後は安定するなどと言って、依然として楽観的だった。しかしその後の経緯を見れば、当時の楽観論は"ディナイアル"(現実直視を拒否すること)以外の何者でもなかった。

同様に、8月時点の株式やCDS市場は、足元で月間7.6%も下がっている商業用不動産の問題を軽視または無視しているが、それを彼らがいつまで続けられるかは疑問である。

米国の住宅価格はピークから約35%下がったと言われているが、それで金融界がこうむった損失は1.5兆ドルと言われている。これでガタガタになった金融機関に対して、これから商業用不動産が35%も下がった問題が乗っかるわけだから、今後、金融の問題が再び市場で注目されるようになるのは時問の問題だろう。

               (略)

日本では結局、商業用不動産は六大都市で1990年のピークから87%も下がってしまい、1973年の水準まで落ちてしまったのである。

ただ今回の米国の商業用不動産は、80年代後半の日本の商業用不動産バブルに比べると小さく、87%も価格が下落することはないと思われる。

また、同国の商業用不動産市場が住宅市場と違うのは、後者は過去70年間、一回も全国べースで下がらなかったことに対して、前者は何回か下落を経験しているという点である。例えば、同国の商業用不動産は、日本人の買いも一因となって膨らんだ80年代後半の(米国の不動産)ミニバブルが崩壊して大きな落ち込みを経験している。

そのため、過去に全く価格下落を経験したことのない住宅分野に比べれば、人々の動揺は少ないだろう。過去に価格の下落を経験していれば、銀行や投資家はその分だけ慎重になるからだ。

例えば、香港の不動産は昔から価格の振れが大きいが、市場関係者が慣れているせいで、価格が大きく落ち込んでも大きな経済や金融問題にならなくて済んでいる。

ただ、住宅問題で米銀の体力が極度に疲弊しているなかでの商業用不動産価格の下落は米銀にとっても厳しく、今後とも細心の注意が必要だと思われる。
その後香港の不動産は中国本土からの資金が流入し再爆騰中である。

その2へ続く
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【週刊エコノミスト:11月17日号 ◇【特集】2番底の深さ】
http://mainichi.jp/enta/book/economist/news/20091106org00m020021000c.html
・失速する日本経済 マイナス成長再び  枩村 秀樹
自律的なものではなく景気回復は政策に頼ってきた、景気指標が失速しだしてきた。景気対策の持続性と、最終需要の回復力に掛かってくる。
長期化の外需低迷と内需は一段減加えて原油高と円高が重なりより深い2番底の可能性がある。
・「悪い金利上昇」の懸念  対木 さおり
国債市場の需給悪化懸念は、長期金利の高騰を引き起こす可能性がある。更に懸念すべきは、長期の財政リスクだ。
・政策効果切れ、需要先食いに反動  山本 康雄
輸出に失速懸念が出ている。3月以降もち直した輸出だが、自動車の購入支援などの需要を先食いする政策が打ち切られ、(愚かにもヨーロッパは出口政策にさきばしり)各国の景気刺激策の効果がこの先無くなる懸念がある。
・デフレ長期化、あと3年半を覚悟  熊谷 亮丸
デフレが再燃している。需要低迷や雇用悪化をみれば、長期化の様相だ。企業物価の下落には需要サイドの要因による「悪い物価下落」と、供給サイドの要因による「良い物価下落がある」
最近の下落は、世界景気の悪化による需要低迷を受けた、石油・石炭製品、鉄鋼・非鉄金属の値崩れに起因する悪いほうだ。
・「特需」剥落で、地方の倒産急増か  友田 信男
・「マネー供給バブル」は続かない  草野 豊己
実体経済に比べ回復が目立っていた株式市場。そのギャップは相場下落で縮まりそうだ。

日本株の動向に影響を与える米国株は、金融株の上昇が際立った。
リーマン・ショック以降の急落の反動に加え、FRBの信用緩和政策による市場へのマネー供給が大きい。

資金調達が容易になったことで最も恩恵を受けたのが、借入金でレバレッジを利かせて投資する投資家だった。米金融大手6社の7~9月期決算は、モルガン・スタンレーを除く5社が前年同期比で増収になった。利益の大半を株式・債券・商品などの自己売買投資で稼いだのだ。

個人や企業向け貸し出しなど商業銀行部門は実体経済の悪化で損失が増えている半面、市場に供給された巨額のマネーを背景に、レバレッジ投資で業績を回復させている。金融機関の業績回復と、それに伴う株価上昇は、財政出動による「マネー供給バブル」と表現できる。

このバブルに乗ったのは金融機関だけではない。ヘッジファンドもそうだ。
米調査会社バークレーヘッジによると、ヘッジファンドは昨年、運用成績がマイナス21.63%と急激に悪化。ピーク時で2兆2000億ドルあった運用資産も09年6月時点で9777億ドルと半減した。生き残ったヘッジファンドにとっては、FRBの信用緩和政策は恵みの雨となった。

金融機関からの資金調達が復活したからである。レバレッジ投資を再開させたヘッジファンドは、株式・債券・商品とありとあらゆる市場で、昨年の損失を取り戻すための大博打に打って出た。

一般にヘッジファンドのファンドマネジャーは、固定手数料の他に20%の成功報酬を受け取る。しかし、前年に損失を出した場合は、その損失額を埋めた後でしか成功報酬をもらえない。前述したように、ヘッジファンド全体の昨年の運用成績はマイナス21・63%。損失で穴が空き約78%に減った資産で成功報酬をもらうためには、今年は最低でも約28%の運用成績を出さなければならないことになる。

9月末現在でヘッジファンド世界全体の運用成績は20・2%。損失穴埋めには利益が足りず、昨年の損失を埋め切ったヘッジファンドは全体の2割に過ぎない。金融市場の好転を受けて、8月に167億ドル、9月には78億ドルの資金流入があったが、目標に到達できていないヘッジファンドは、否応なしにレバレッジ投資をするしかなかったのである。この動きも世界的に株価を上昇させる一因となった。

案体経済との乖離は臨界点に

FRBの金融緩和政策は、リーマン・ショックをくぐり抜けた金融機関とヘッジファンドなどに、新たなバブルを生み出させた。これが株式市場と実体経済とのギャップを拡大させた犯人だ。
しかし、年末の決算を目前にしてヘッジファンドも利益確定に走り、ポジションを解消する。各市場で一斉に潮目が変わってきた可能性がある。

しかも、各国の財政・金融政策はともに、限界が近づいている。穫的な財政出動を統けてきた米政府は09会計年度(08年10月~09年9月)の財政赤字が前年度の3・1倍となる1兆4171億ドルと、第2次大戦後最大になったことを発表した。信用緩和政策を拡大させてきたFRB内にも、短期的なデフレ懸念と中期的なインフレ懸念が混在してきた。

日本の今年度税収が当初見込みの46兆円から40兆円台を下回る可能性がでてきた。その一方で、10年度の予算規模が概算要求段階で95兆円超に膨らむなど、財政悪化が思念されている。いわゆるソブリン・デフォルト(政府の債務不履行)リスクにまで焦点は移り始めている。株式市場と実体経済との乖離は臨界点に達した感がある。現実をよそに、溢れかえったマネーに酔うパーティーがいつまでも続くはずがない。

・日銀は国民のデフレ期待を解消せよ  白川 浩道
・日本経済の問題は「過少消費」にある  河野 龍太郎

【BusinessWeek:米株式市場、回復が顕著】
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20091030/208478/
ただし、米国民は景気回復の実感なし


最近、わが国の金融市場では「景気二番底」への懸念を声高に唱える向きが増加している。

2008 年秋口以降の景気急減速は、世界恐慌すら視野に入れた、ある種の「パニック」であった。「リーマンショック」後に主要国政府、及び、中央銀行は通貨を供給し、各国政府は景気刺激策を実行すると共に、大手金融機関の破綻を断固として阻止し世界恐慌は免れた。

そして、中国経済の回復、麻生政権による大型経済対策の成功、在庫調整の進展、米国経済の予想以上の底入れの兆し、グローバル金融システムの崩壊の回避により、世界的に株価は持ち直している為、株価の回復には自己実現的に景気を好転させる効果がある。

二番底が来るか否かといえば、上記の議論の流れでは、着けるで有ろうとは思うが、巷の弱気筋が喜ぶような、昨年に匹敵するようなパニックは、現在復調する世界景気の歯車が完全な逆回転を始め、「リーマンショック」に匹敵する位の新たな爆弾が破裂しない限り、「景気の絶対水準がリーマンショック後を下回る」という意味での「景気二番底」は回避されると見るのが自然であるといえよう。


マスコミや心無い無知なブロガーが連日民主党政権の経済政策の悪口を書き立てる。実はこれが、先行き不安感を誘い、景気を悪くしている元凶だと、皆自覚していないから最悪である。

次回の参議院選挙は自民党に投票しようと思って入るが、民主党政権の経済政策について擁護しておきたい。

民主党が行う無駄な公共事業の削減でわが国の実質09年のGDP 成長率は0.2%ポイント押し下げられる。これに対して、10 年度・11 年度は、民主党の目玉政策である「子供手当て」により個人消費が押し上げられることを主因に、それぞれ0.1%ポイント、0.3%ポイント程度ずつ、成長率が高まる計算である。

自民党と民主党の経済政策の根本的な違いは、自民党が、経済の供給サイドの政策に注力し「組織を通じた個人への所得再配分」を行なっていたのに対して、民主党は経済の需要サイドに働きかける政策をし、「直接的な個人への所得再配分」を行なうという点だ。

歴史的に、わが国では、家計部門に直接働きかける本格的な政策が行なわれてこなかったので、今回の民主党の政策は「壮大な社会的実験」と言っても過言ではなく、過去のデータを用いた計量モデルでは測定不能な形で、日本経済に前向きな構造変化が生じる可能性がある。

さらに、民主党政権は、従来のわが国の政治の根本的な問題は、政府と与党という「権力の二重構造」であったものを、内閣に一元化し、意思決定の仕組み自体を抜本的に変革しようとしている点は、内閣の能力に限界説があるが、優秀な官僚を使いこなせば、閉塞感が打開される可能性もある。

ところが、無能なマスコミとネット世論において馬鹿が多数存在し、まるで理解せず日本経済の悲観論を垂れ流し、景気回復に悪影響を及ぼしている。


しかしながら、日本経済が二番底をつけるリスクとして、米国経済・中国経済の失速、雇用情勢の悪化、デフレの進行、円高・原油高には注意が必要である。

米国では景気に明るい兆しが見られる。しかし、米国経済の回復は期待先行の感が強く、今後の米国における個人消費の回復は極めて緩慢で、米国の貯蓄率は現状の3%レベルから9%程度まで上昇する予想だ。貯蓄率の上昇は消費の抑制を意味する為、米国の経済成長率を当面押さえ込む効果を持つと考えられる。

中国の「設備バブル」の崩壊もリスクである。ストック循環から見ると、2007 年時点で中国では12%弱の期待成長率のもとで設備投資が行なわれており、「設備バブル」が生じている可能性が否定し得ない。中国は「社会主義・市場経済」である為、向こう1~2 年程度は財政・金融政策によって問題を先送りすることは充分可能であるが、中長期的(3~5 年程度のスパン)には、中国で日本のバブル崩壊にも匹敵するような、大規模な設備ストック調整が起こる可能性すら否定し得ない。

前回の失われた10年デフレ局面より悪い側面もある。日本を取り巻く外部環境は遥かに厳しい。また、2000年以降の円安進行を受けた輸出の増加がデフレ脱却の起爆剤となった。

これに対し、現在の世界経済にはリーマン・ショック後、爪あとが依然として残っている。
民主党政権が、輸入物価下落を通じて個人にメリットを与える円高を容認するとの思惑がくすぶっていることもあり、為替市場では、円高圧力がくすぶっている。

今後は雇用環境の悪化が厳しい。

今後の賃金調整は、労働分配率がいかなる推移になるかである。これは企業が生み出した富のうち労働者に分配される割合のことで、この数値が高いほど、企業にとって逆に追加的なリストラ余地が大きいことを示す。
労働分配率の適正水準は65%程度と見られるが、試算では10年度末時点で同比率は70%程度で高止まりする見通しだ。

この5%のギャップを埋めるためには、企案は雇用者数を1100万人削滅し、総人件費を2割程度削減する必要がある。あるいは、過去の人件費削減は、雇用調整と賃金調整が概ね1対1・9程度の割合で行われてきたことから、雇用者数を380万人削るとともに、時間当たり賃金を13%削減するケースが考えられる。いずれにしても、今後、雇用者所得に対する未曾有の調整圧力がかかるため、個人消費の低迷とデフレの長期化が懸念される。

私のような中高年ホワイトカラー労働者の首筋は寒い・・・

ということで、下記ニュースを読んでください。

GDP高成長で二番底回避の公算、デフレ警戒の声も【reuters】2009年 11月 16日 14:50
http://jp.reuters.com/article/jpeconomy/idJPJAPAN-12483120091116

安心は出来ませんが、副島某とかベンジャミン某の本を買うと損することだけは間違いない!
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