Ddogのプログレッシブな日々@ライブドアブログ

政治経済軍事外交、書評に自然科学・哲学・聖地巡礼・田園都市ライフ、脳の外部記憶媒体としてこのブログを利用しています。2020/11/30以前はGoogle検索でキーワードを入れると常に上位にありましたが、日本のトランプ大統領デモを紹介した記事が米国でバズって以降検索アルゴリズムから排除され検索ヒットされにくい状態です。是非ブックマークをお願いします。このブログをご訪問していただいた方の知識や感性として共有できれば幸せに思います。

2016年02月


暗雲漂うマーケットに久々に一筋の明かりが差した。
バフェット氏が米経済を楽観的な見方をしているということだ。

一方ジム・ロジャースのような胡散臭い連中は3月10日大暴落だと我々を脅す。
[27日 ロイター] - 投資会社バークシャー・ハザウェイ(BRKa.N)を率いる米著名投資家ウォーレン・バフェット氏(85)は27日、毎年恒例の「株主への手紙」を公表した。

この中で、米経済の見通しについて楽観的な見方を示し、ドナルド・トランプ氏をはじめとする大統領候補者が語る悲観的な見通しは「全くの間違いだ」と指摘。「240年にわたり、米国への逆張り投資は大きな間違いだった。今も始める時期ではない」と述べた。バフェット氏は大統領選で民主党のクリントン候補を支持している。

また、発表が注目されている自身の後継者の名前には言及せず、100歳を迎える2030年8月30日まで経営を続ける意思を示した。

バークシャーが27日発表した通期決算は利益が21%増の240億8000万ドルと過去最高を記録。営業利益も5%増え、過去最高の173億6000万ドルとなった。

第4・四半期の利益は32%増加、営業利益は予想を上回る18%増となった。

バークシャーとブラジルの投資会社3Gキャピタルは2013年に米ハインツを共同買収し、昨年のハインツとクラフトフーズとの合併でも提携した。バークシャーは3G傘下のバーガーキングによるティム・ホートンズ買収にも出資している。

多くの株主は、積極的なコスト削減で知られる3Gとバフェット氏との相性を疑問視している。

バフェット氏は手紙で、自身と3Gは事業運営において「異なる手法を取っている」と認めた上で、3Gは「非常に成功している」と評価し、事業買収で再び組む可能性もある、とした。

シアトル・タイムズ紙が人種差別問題を報じた傘下のプレハブ住宅メーカー、クレイトン・ホームズについては、融資に慎重だと擁護。業界をリードするような業績を示している、と評価した。

報道によると、クレイトンは黒人や中南米系移民などマイノリティの借り手が返済できないようなサブプライムローンを借り入れるよう仕向け、借り手が債務不履行となった後で担保の住宅を差し押さえて地域社会に悪影響を与えたという。同社は人種差別問題を否定している。

バフェット氏は、12月31日時点で含み損が26億ドルとなったIBM(IBM.N)株については、売却する意図はない、と明らかにした。
バフェット氏の言葉はマーケット参加者が、トランプが・・・中国が・・・原油価格が・・・と弱気に傾くなかでまさに福音(ふくいん)と言えよう。
米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が自身の投資会社バークシャー・ハザウェイの株主に宛てて毎年出している手紙は、ビジネス界において最も幅広く読まれ、最も幅広く議論される文書の1つだ。

 毎年手紙が出されると、著名な投資アドバイザーも、取るに足りない個人投資家もそれに飛びつく。複雑なビジネスと投資の原則からその本質を絞り出すバフェット氏の能力に引き寄せられるようだ。中には、気の利いた言い回しを探すために手紙を読む人もいる。

 今回の手紙の注目点をいくつか挙げてみよう。

・米国の将来について

 
「今、子どもたちは自分たちほど良い生活ができないだろうと信じている米国人は少なくない。その見方は全くの間違いだ。いま米国に生まれてくる赤ん坊たちは史上最も幸運だ」

・米国のイノベーションについて

 「過去240年間、米国売りに賭けることはとんでもない間違いであった。今も売り始めるべきでない。米国の商業とイノベーション(革新)という金のガチョウは、より大きな卵をより多く産み続けるだろう」

・3Gキャピタルについて

 「3Gキャピタル(バークシャーが支援するブラジルの投資会社)の手法は、驚くほど大きな成功を収めてきた。それは、多くの不要なコストの排除機会を提供する企業を買収し、その後迅速に動いて仕事を成し遂げるという手法だ。彼らの行動は生産性を大幅に伸ばす。生産性は過去240年にわたる米国の経済成長において極めて重要な要素だ」

・近年の生産性向上のマイナス面について

 「1点目は、近年実現した生産性の向上で恩恵を受けているのが主に富裕層であることだ。2点目は、生産性の向上がしばしば混乱を引き起こす点だ。イノベーションや新たな能力によって世界がひっくり返ると、資本家も労働者も大きな犠牲を払う場合がある」

・調整後利益について

 「報酬が費用でないなら、それは何なのか。そして、実際に繰り返し発生する経常費が利益の計算に含まれないのなら、それは一体どこに含まれるのか」

・ディールメーキングについて

 「惨めな一生を保証されたいのなら、自身の態度を変えるつもりの人と結婚することだ」

・バークシャーの次の大きな案件について

 「バークシャーはこの(金属部品メーカーのプレシジョン・キャストパーツの)買収により、独立企業ならフォーチュン500のリストに入っているはずの企業を10社と4分の1社保有することになる(われわれが保有するクラフト・ハインツ株27%が『4分の1』にあたる)。この結果、米大手企業500社のうち98%弱がまだわれわれに電話をよこしていないことになる。オペレーターは待機している」

・アクティビスト(物言う投資家)と敵対的買収提案について

 「確かに、敵対的買収提案の中には正当化されるものもある。自分たちが株主のために働くべきであることを忘れている最高経営責任者(CEO)もいれば、ひどく無能な経営者もいる。どちらのケースにしろ、取締役は問題が見えていないか、単に必要な変革に後ろ向きであるかだろう。新たな人間が必要とされるのは、こういう時だ。ただし、われわれはこういった『チャンス』を他者に残したい。バークシャーはといえば、歓迎される場所にのみ出向く」

・自らのインターネット利用について

 「私はインターネットで週10時間(トランプの)ブリッジを楽しんでいる。そして、この手紙を書いている私にとって、『検索』は極めて非常に貴重だ(ただし、ティンダー<出会い系アプリの1つ>を試そうとまでは思わない)」

By STEPHEN GROCER

リーマンショックが大恐慌に発展しなかった最大の功労者はウォーレンバフェットであったと私は信じている。

暴落する優良株を買い向かうと宣言し、買い向かい大儲けをした。
あそこでバフェットが買いを宣言しなければリーマンショックは世界恐慌に発展していたかもしれない。

バフェットはマーケットが大底の時に買い向かうと宣言し買い向かい、長期投資を貫く。オマハの賢人と呼ばれる。

一方ジムロジャースは、常にイカガワシイ。インチキカルト宗教の教祖の香りがする。彼の言葉には一貫性が無く、スピリチャル詐欺が常に先祖の因縁が・・・とか、水子がいてとか常に人々を脅し、人の心の弱いところを突き。常に危機を煽る。
大好きな中国はどうなりました?21世紀は中国の時代でしたっけ?金価格は?原油価格は?2014年末に償還したジム・ロジャースファンドの成績は10年で辛うじて元本が戻ってきただけ・・・

日銀のマイナス金利政策導入により、日本の株価は大幅に下落し、日本国債(10年)の利回りは史上初めてマイナスとなった。同時に円高が進み、将来なにが起こるか分からない前代未聞の状況だ。円安によって輸出を促進し、また外国人観光客の増大で国内消費を増やすことを狙ったアベノミクスにとって大きな痛手である。そこで今回は、著名投資家の相場見通し、海外の市場アナリストが予測する次の市場暴落の時期を紹介する。(未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ/高島康司)


「2016年3月危機」に備えよ。著名投資家・海外シンクタンクの警告



今回の株価急落原因は「マイナス金利政策」の予想を超えた副作用

今回の株価急落と急速な円高の原因は、日銀の新たな量的金融緩和策であるマイナス金利政策の予想を超えた副作用であると見られている。

周知のように日銀は、すべての銀行に対し日銀当座預金の口座を持つことを義務づけており、口座は0.1%の金利だった。だが日銀は新規の当座預金には逆にマイナス金利を課し、銀行から手数料を徴収することにした。このため当座預金から資金の引き出しが急増することが予想された。

しかし銀行の資金量が増えたところで、やっと0.5%程度の成長率の日本では企業の貸し出し需要は増えない。むしろ、日銀の当座預金から得ていた0.1%の金利は銀行にとって大きな収益の源泉であった。マイナス金利の適用でこれが消滅すると、銀行は新たな運用先を確保しなければ収益が悪化する。

そこで銀行は、日銀の口座から引き出した資金を、当面は安全な資産と見られている米国債と日本国債の購入に向かわせた。その結果、日本の10年物国債の利回りは大きく下落し、史上初めてマイナスになった。

国債の金利は住宅ローンの金利や預金金利、そして企業ローン金利の基準である。これが下がると、すべての金利は同時に下がる。これは、住宅ローンや企業へのローンの金利に依存している銀行の収益を悪化させる要因となった。

そしてこの収益悪化が原因となり、9日には銀行株は平均で6%を越えて下落した。

銀行株は日本経済全体の指標として見られることが多い。銀行株が堅調なときは企業ローンも伸び、企業の投資が活発な証拠だと理解される。他方、銀行株の一斉の下落は企業の業績が思わしくなく、投資が不活発である示唆として見られる。

そのため、日銀のマイナス金利導入にともなう銀行の収益悪化と銀行株の下落は、他の企業の銘柄の一斉売りにつながった。これが9日と10日の大幅な株安の背景と原因である。

米国、中国、ドイツ…世界中に広がる金融不安

しかしこの株安は、日本に限ったことではない。昨年の5月には史上最高値の1万8000ドル台になったニューヨークダウは1万6000ドル台に下落し、またロンドン、フランクフルト、香港、上海なども軒並み大きく下落している。

特に、日本よりも早くマイナス金利を導入したEU諸国の下落幅は大きい。日本と同様EUでも銀行の収益は一気に悪化し、そのためバークレー、クレディースイス、ドイツ銀行などの主要銀行の株価は8%を上回る下落幅を記録した。なかでもドイツ最大の金融機関、ドイツ銀行は史上最大の赤字を計上し、経営的に非常に困難な状況にあることを露呈した。

このように見ると、9日から始まった株安は、マイナス金利の導入という日本独自の背景があるものの、世界経済の本格的な減速にともなう世界同時株安という世界的な現象の一部であることが分かる。

そもそも日銀がマイナス金利の導入を決めた理由は、中国経済の減速による世界経済全体の低迷、そして世界同時株安を受け、日本経済の減速が強く懸念されたことにあった。その意味で日銀のマイナス金利の導入は、世界経済の低迷に対する反応だった。ということでは、今回の日本の株安は世界的なトレンドの反映であることは間違いない。

新たな金融危機の予測

むしろ今回の日本の株安は、これから始まる世界的な金融危機の予兆である可能性が高い。

そのようななか、さまざまな方面から新たな金融危機を予想する記事や発言が相次いでいる。以前の記事では、国債決済銀行のチーフエコノミストで、現在はOECD開発検討委員会議長であるウィリアム・ホワイトの警告を掲載した。

ホワイトは、次の金融危機が起こると、その規模は2008年のリーマンショックよりもずっと大きいとしながらも、量的金融緩和ですべての方策を使い切ってしまった各国の中央銀行は打つ手がないとして、次の金融危機は大変に厳しいものになることを警告していた。
※OECD要人「現状は2007年より悪い」まもなく再来する世界経済危機シナリオ

そして1月の終わりから2月の初めにかけて、ホワイトよりもさらに厳しい警告が方々に散見されるようになっている。

ジム・ロジャーズの警告

まずは世界的に著名な投資家、ジム・ロジャーズだ。

2月6日、ジム・ロジャーズはネットラジオのインタビューに答え、2016年に新たな金融危機が起こると警告した。次ページでその要約を紹介する。

ジム・ロジャーズの警告(1)市場の崩壊について

過去20年間、主要国の中央銀行は利子率を低下させ、通貨を増刷し、不良債権を買い取る量的金融緩和を続けていた。これは大変に間違った政策だ。巨額の債務だけが残った。いずれ誰かがこの債務を支払わなくてはならない。

2016年と2017年はこれが要求される年となるので、市場は大変なことになるだろう。

すでに昨年の末から株式市場は大きく下落するトレンドに入っていた。市場の下げトレンドに入るときは、上がる銘柄よりも下げる銘柄の数が圧倒的に増えるが、すでに昨年の終わりからこのトレンドに入っていた。だから、2016年に入った市場の乱高下は予告されていた。

今回の下げの原因はFRBの利上げではない。利上げは散々喧伝されており、誰もが知っていた。サプライズではまったくない。

FRBは市場が大きく下げると再度量的金融緩和をやる可能性はあるだろう。

ジム・ロジャーズの警告(2)中国について

中国はリーマンショックのとき政府債務はほとんどなかった。しかしながら今回は異なる。中国政府の債務は大きくなっているので、破綻の影響はあるだろう。

一方、中国政府は政府債務の多くをインフラの建設に充当してきた。これは将来の競争力を維持するために必要な条件だ。中国は不動産バブルの崩壊から厳しい状態になるだろうが、政府がただ通貨を増刷してきたような国よりもはるかにましだ。

だが、中国は経済構造の転換の最中だ。これまでのように安い労働力を利点に安い製品を生産する方法は成り立たない。ベトナムやミャンマーなどの東南アジアの国々にその位置が脅かされている。

ジム・ロジャーズの警告(3)ドルと金・銀について

ドルは過剰に評価されている通貨だ。それは、危機に陥るとドルが逃避通貨として好まれ、ドルが買われるからだ。これと反比例して金と銀が売られる。将来、ドルが売られ、金と銀が買われる局面があるだろう。

私は正しい判断でその波に乗りたいが、いまはそのどちらも買ってはいない。

いま銀が最安値を記録している。将来は金よりも銀のほうが激しく上昇する可能性がある。

以上である。要するに、2016年から17年にかけて、主要国が実施していた極端な量的金融緩和による債務の支払いが要求され、危機に陥るはずだという予測だ。

さまざまな警告が出ているが、そのなかでもジム・ロジャーズのこのような警告は比較的に穏健なほうである。もっと強い口調で警告しているのは、かつてリーマンショックを的中させたことで知られるハリー・デントだ。

ハリー・デントの警告

ハリー・デントはリーマンショックや昨年8月24日の上海から始まった世界同時株安を事前に予測し、有名になった市場アナリストだ。

人口動態の変化から実態経済の動きを予測し、市場変動の見通しを立てることで知られる。以下は1月28日にアレックス・ジョーンズのインタビューに答えたものだ。

現在、米経済はバブルのさなかにいる。このバブルはまさにいま弾けようとしている。これは2008年のリーマンショックをはるかに上回る規模の金融危機となるはずだ。

2016年は1931年以来の最悪な年となるだろう。だが、具体的にいつ崩壊が起こるかは分からない。

本来このバブルはもっと早く崩壊するはずだったが、FRBが実施した極端な量的金融緩和により、破綻の時期が遅延されてきた。

そのためバブルの規模ははるかに巨大になっている。今後1年から1年半でバブルは崩壊し、ダウは6000ドルから5500ドル近辺まで暴落するだろう。

相場の下落は2016年から始まり、2022年くらいまで続くはずだ。そうなる理由ははっきりしている。主要国の中央銀行は極端な量的金融緩和を実施して通貨を増刷し、市場に過剰な資金を放出してきた。

その資金のほとんどが株や債権、そして不動産に投資されてきた。これは大変なバブルである。これが破綻するのだ。

2011年から2015年7月までダウは右肩上がりだった。なんの調整局面もなかった。それがやっと2015年8月24日と26日で大きく下落し、調整の時期に入った。もし昨年の8月の相場よりもダウが下落するとそれからは一気に下がると私は予測したが、いまそのようになっている。

昨年私は株価が下落するきっかけは中国と原油価格になると予想したが、昨年の下落のきっかけはまさにそうであった。今年の下落の引き金を引くのはドイツになると私は見ている。

以上である。


ジム・ロジャーズとハリー・デントの共通認識~それはいつ起こるか?

ジム・ロジャーズもハリー・デントも、金融危機と市場崩壊が起こる原因の認識は共通している。

リーマンショック以降、先進国の中央銀行は、ゼロ金利政策や国債の買い取りという量的金融緩和策を実施して通貨を増刷し、市場に資金を流していた。

この結果、政府の債務は極端に増大している。しかし、このような金融緩和策にもかかわらず、成熟期を過ぎた先進国の経済の成長率は構造的に低い。

そのようななか、世界経済を牽引したのが中国を筆頭とする新興国経済である。新興国経済の成長は著しい。10%地階成長率の国も多い。自律的な成長が困難になった先進国経済は、新興国の増大する需要に引っ張られ、成長率をかろうじて維持することができた。

その結果、極端な金融緩和にもかかわらず成長が困難になった先進国経済の実態は覆い隠され、成長が維持されているかのような体裁が保たれた。

このような主要先進国を直撃したのが、新興国経済の急減速である。これで主要先進国は失速し、量的金融緩和によっても成長が困難になった本来の実態を露呈させた。

そのため、先進国経済に対する市場の信頼は失墜し、相場が暴落する可能性が高まっている。

このような認識だ。この見方は、以前の記事で紹介した高い的中率を誇るボー・ポルニーも共有している。

3月上旬の暴落から危機は開始か?

すると、やはり気になるのは市場の暴落と危機が始まる具体的な時期だ。いまのところ、危機の引き金になる要因はあまりに多い。

中国経済の失速と人民元の切り下げ、米シェールオイルバブルの破綻、ドイツ銀行などの欧州の金融機関の破綻などさまざまだ。いまのところ、なにがきっかけになってもおかしくない状況だ。

だが、先に紹介したウィリアム・ホワイトのコメントを待つまでもなく、暴落と金融危機が迫っていることは間違いない。ではいつ決定的な危機は始まるのだろうか?ボー・ポルニーは2016年10月3日までに市場の暴落はあるとしている。

そのようなとき、筆者が情報を交換している海外のシンクタンクの複数のアナリストから、これに関する情報が送られてきた。だいたいみんな一致した暴落の時期を予測している。それは、次ページで紹介するような段階で起こるとしている。

シナリオ(1)2月に下げた相場は一度戻す

まず、ニューヨークダウや日経は2月の終わりころには上昇し、2月は1月末の相場まで値を戻す。日経であれば1万7000円の水準である。

シナリオ(2)3月8日から10日にかけて大暴落

だがこれで安心してはいけない。3月8日から10日にかけて暴落する。暴落の大きさはリーマンショックの水準を越える可能性がある。

シナリオ(3)5月24日から25日にかけてさらに暴落

その後、相場は変動するものの元の水準まで値を戻すことはない。そして、5月24日から25日にかけてさらに大きく暴落する。3月と5月の2度の暴落で、株価は下手をすると50%以上も下落する可能性すらある。

この暴落の後、既存の金融システムは本格的な調整過程に入り、2022年くらいまで下落は続く。

このようなシナリオだ。これはハリー・デントやボー・ポルニーの予測と非常によく似たシナリオだ。

デントとポルニーはこの暴落は金融危機を引き起こし、危機の後は新しい金融システムに移行せざるを得なくなるとしているが、今回情報をくれたシンクタンクのアナリストたちも同じような見方をしている。

この予測は、株価のチャートのテクニカルな分析によって導かれたので、きっかけとなる出来事がなんであるかは分からない。あと1ヶ月である。このようなシナリオ通りになるのだろうか?注視していかなければならないことは間違いない。
まあ、どちらを信じるかはあなた次第です。

ウォーレン・バフェットの、人生と投資に関わる「5つの至言」を紹介しよう。

アインシュタインは人間の知性には5つのレベルがあると言った。「smart(利口)」から始まり「intelligent(知的)」、「brilliant(輝くばかりに優秀)」「genius(天才)」と段階が上がり、行きつくのは「simple(シンプル)」であると。ウォーレン・バフェットの5つの至言はどれも、人生と投資における真実を、この上なくシンプルな言い回しで教えてくれている。

1.「金持ちになる方法を教えよう。皆が貪欲な時に臆病に、皆が臆病な時に貪欲でいることだ」

安く買って高く売る、という投資の要をこれ以上ないほどシンプルに言い表した言葉だ。長年にわたって投資で大成功をおさめてきたバフェットの根幹をなすものであり、投資家たちがわずかな気の迷いを起こさないように救う言葉でもある。

2.「大学生諸君に申し上げる。今の私の年齢になった時に、自分を愛してほしいと思う人が、本当に自分を愛してくれていたなら、君たちの人生は成功だ」


バフェットは生涯を通じて、あまたの成功者たちについて研究してきた。1日の終わりに思い出そう、人生でもっとも大切なものはお金なんかじゃないと。

3.「成功者と真の成功者との違い、それは真の成功者たちはあらゆることに『NO』と言えるということだ」

スティーブ・ジョブス、ビル・ゲイツそしてウォーレン・バフェットなど、多くの達人たちは、ひとつのことに集中することで成功を手に入れた。より多くの成果を生み出そうとして、長い「やることリスト」をつくる人が多いが、偉業を成し遂げたいなら「やらないことリスト」をつくることの方が実は大切なのだ。

4.「私は多くの人が酒とレバレッジで失敗するのを見てきたー借金でてこ入れするレバレッジだ。そうまでする必要などどこにもない。賢明でありさえすれば、借金などせずに大金を手にすることはできるはずだ」

成功する者がその人生でたどる道はさまざまで幾通りもあるが、失敗はわずかなパターンに限られる。学ぶべきものは、他者の成功例よりも失敗例の中に多く潜んでいる。

5.「投資家に必要なのは選び抜いたビジネスについて正しく評価する能力だ。『選び抜いた』という言葉に着目してもらいたい。あらゆる企業についての専門家である必要はないし、ましてやその数が多ければよいというものでもない。自分の力量の範囲内で、企業の見極めをすればよいのだ。その範囲の大小は問題ではないが、その限界を知ることは非常に重要だ」

投資に関して私がもっとも嫌いな語録のひとつに、ピーター・リンチが投資の極意をシンプルに語った「自分の知っているものを買え」という言葉がある。バフェットの言葉もほぼ同じ概念を表しているが、企業を評価する能力をもち、よくわからない会社への投資を避けることが大切、と強調している。よりシンプルでわかりやすい。

ウォーレン・バフェットの語る言葉が多くの人に引用されるのは、彼が生涯を通して莫大な量の金言を残してきたからだ。彼はどうしてこのようなことができたのか。


    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック



多くの日本企業や欧米の金融機関が中国から逃げ出す一方、人民元がIMFのSDR構成通貨入りを果たすなど、「沈む中国」と「昇る中国」2つの動きが同時進行しています。どちらが本当の中国なのでしょうか?『ロシア政治経済ジャーナル』を発行する国際関係アナリストの北野幸伯氏が解説します。

「沈む中国」と「昇る中国」2つの動きが同時進行する理由


「昇る中国」はまぼろし?人民元のSDR構成通貨入り

最近最大のニュースといえば、これでしょう。

(ブルームバーグ):国際通貨基金(IMF)は中国の人民元を特別引き出し権(SDR)の構成通貨に加えることを正式決定した。これまで欧米・日本が支配してきた世界の経済システムに中国が仲間入りすることにお墨付きを与えた格好。

188カ国が加盟するIMFは30日に理事会を開き、人民元は「自由に使用可能である」という基準を満たしていると判断。ドルとユーロ、ポンド、円に加わってSDRを構成することを認めると声明で発表した。ラガルド専務理事は11月13日、IMFのスタッフが提案したSDR構成通貨への人民元の採用を支持したことを明らかにしていた。


出典: IMF:人民元のSDR構成通貨採用を承認-国際通貨の仲間入り(1) – Bloomberg 12月1日(火)3時33分配信


これは、「人民元」が立派な「国際通貨」になったことを意味しています(少なくとも「名目上」は)。そして、中国は「覇権に一歩近づいた」とも言えるでしょう。

ところで、当メルマガは、「中国は沈みつつあるタイタニックだ」という話をしています。まず「日本の大企業が逃げ出している例」として、

NTTコム
カルビー
パナソニック
エスビー
サントリー
ホンダ
を挙げました。
 ある理由で中国から逃げ出した日本の大企業一覧 – まぐまぐニュース!

また、「米の金融機関が中国から逃げ出している例」として、

シティグループは、広発銀行株を売却する
ドイツ銀行は、華夏銀行株を売却する
ゴールドマンサックスは、「ブリックスファンド」を閉鎖した
シティ、バンク・オブ・アメリカ、ゴールドマンなどは、2012年から中国株を売りまくっている
ことを挙げました。
人民元が主要通貨になっても、「国際金融資本」は中国を見捨てる – まぐまぐニュース!

これらは、「中国が沈んでいること」を示しています。一方で、「人民元がSDRの構成通貨に採用された」のは、明らかに中国が浮上している例です。「沈む中国」「昇る中国」どっちが真実なのでしょうか?

ドル基軸体制への挑戦~冷戦終結後、欧州がアメリカに反逆


現状を理解するため、過去にさかのぼってみましょう。

1991年12月、ソ連が崩壊した。このことは欧州にとって、2つのことを意味していました。

東の脅威(ソ連)が消滅した
もはやアメリカの保護は必要ない
そして、欧州のエリート達は、大きな野望を抱きます。

「欧州がもう一度世界の覇権を握ろう!」

方法は2つありました。

EUをどんどん東に拡大しよう
ユーロをつくり、ドルから基軸通貨の地位を奪おう
「基軸通貨」とは、別の言葉で「世界通貨」です。

アメリカは、当時から世界一の「財政赤字国」「貿易赤字国」「対外債務国」だった。しかし「世界通貨の発行権を持つ」アメリカは、いくら借金しても「刷るだけ」で返済できる。

欧州は、アメリカから、この「特権」を奪おうとしたのです。

欧州エリートは、上の戦略に従って、EUをどんどん東に拡大。そして1999年「ユーロ」が誕生します。この時点で、ユーロは、まだドルの敵ではありませんでした。「欧州の地域通貨」に過ぎなかった。

ところが、2000年9月24日、「裏世界史的大事件」が起こります。イラクのフセイン大統領(当時)が、「原油の決済通貨をドルからユーロに変える!」と宣言したのです。そして、同年11月、実際かえてしまいました。

それまで、石油取引は「ドル」でしかできなかった。フセインは、この体制に「穴」を空けた。フセインがその後どうなったか、皆さんご存知です。

「大量破壊兵器を保有している」(実は、保有していなかった)
「アルカイダを支援している」(実は、支援していなかった)
ことを理由に攻撃され、処刑されました。

ところで、フセインの後ろには、「黒幕」がいました。フランスのシラク大統領(当時)です。戦いは第2幕に移っていきました。

フランス、ドイツ、ロシア、中国~「多極主義陣営」の形成


フランスのシラク大統領(当時)は、同じ野望をもつシュレイダー首相(当時)と共に、イラクのフセインを守ろうとしました。

具体的には、02~03年にかけて、「イラク戦争」に反対したのです。これに同調したのが、プーチン・ロシアと、中国でした。フランス、ロシア、中国には、

国連安保理で「拒否権」を持つ「常任理事国」である
イラクに石油利権を持つ
という共通点がありました。

彼らは国連安保理で一体化し、アメリカの戦争に「お墨つき」を与えなかったのです。アメリカは「ドル体制を守るため」に、国連安保理を無視してイラク攻撃を開始しました(03年3月20日)。

この時、「アメリカ一極主義」に対抗する勢力、すなわち「多極主義陣営」が形成されました。核になったのは、フランス、ドイツ、ロシア、中国です。

戦いの舞台は、イラクから旧ソ連圏へ


「アッ」という間にイラク政権を打倒したアメリカ。イラク原油の決済通貨を「ユーロからドル」へ戻し、一安心(しかし、イラク戦争は、その後も長期にわたってつづいた)。

次に狙いをつけたのが、ロシアと旧ソ連圏でした。アメリカとロシアは03年から、

ユコス事件(03年)
グルジア・バラ革命(03年)
ウクライナ・オレンジ革命(04年)
キルギス・チューリップ革命(05年)
などなどで、対立を繰り返します。

ロシアは05年、中国との(事実上の)「反米同盟結成」を決意。上海協力機構を「反米の砦化」することで、「アメリカ一極主義」に対抗していきます。

さて、アメリカとロシアの対立はその後もつづき、結局08年8月「ロシア-グルジア戦争」が起こりました。グルジアは当時、親米傀儡のサアカシビリ大統領。この戦争の結果、グルジアは、「アプハジア」「南オセチア」を失いました。

ロシアは、この2つの自治体の独立を承認したのです。

「多極主義陣営」の大戦略は「ドル体制崩壊」にあり


さて、1999年のユーロ誕生からはじまった戦い。「多極主義陣営」は、

アメリカ、強さの源泉は、「ドル基軸通貨体制」にある
「ドル基軸通貨体制」をぶち壊せば、アメリカは没落する
ことを「常識」として共有していました(います)。それで、「意図的」にドルへの攻撃を行ってきたのです。アメリカは、イラク原油の決済通貨をドルに戻すことに成功しました。

しかし、「ドル離れ」の動きは、止まるどころか、ますます加速していったのです。例をあげましょう。

06年5月10日、プーチンは、「ロシア産原油は【ルーブル】で決済されるべきだ」と発言
同年6月、ルーブル建てロシア原油の先物取引が開始される
同年12月、ユーロの紙幣流通量がドルを超える
07年6月、プーチン「ルーブルを世界通貨にする!」と宣言(当時、ロシアは原油高でイケイケだった)
07年12月、イラン、原油のドル建て決済を中止
同年12月、湾岸協力会議、「共通通貨をつくる」と発表
08年1月、ソロス「現在の危機は、『ドルを国際通貨とする時代の終焉を意味する』と宣言
これが「リーマン・ショック」直前に世界で起こっていたことです。

「アメリカ不動産バブル崩壊」
→「サブプライ問題顕在化」
→「リーマンショック」
→「100年に1度の大不況」

というのも、もちろん事実でしょう。しかし、一方で、「多極主義陣営からの攻撃で、ドル体制が不安定になっていたこと」も危機の大きな原因なのです。

そして、中国が「人民元の国際化」を進めていく(IMFのSDR構成通貨になるのもその一環)。これは覇権を目指す中国として、当然のことなのです。

沈むアメリカ、昇る中国


さて、08年8月の「ロシア-グルジア戦争」は、短期で終わりました。理由は、翌9月に「リーマンショック」が起こり、「100年に1度の大不況」がはじまったこと。米ロは和解し、いわゆる「再起動の時代」がやってきます。

さて、この「100年に1度の大不況」。ロシアでは「歴史的大事件」と解釈されています。なぜか?

「アメリカ一極時代が終焉した」から。

では、09年から、世界は「何時代」に突入したのでしょうか?ロシアでは、「多極時代になった」と言われます。しかし、現実には「米中二極時代」でしょう。

しかも、二極のうちアメリカは沈んでいき、中国は昇っていく。実際、不況が最悪だった09年10年、中国は9%台の成長をつづけた。まさに「一人勝ち状態」でした。(正確にはインドと二人勝ち)。アメリカの影響力は、ますます衰え、中国の影響力は、ますます拡大していく。

人民元のSDR構成通貨化を止められなかったアメリカ

さて、過去を振り返り、ある程度流れが理解できたでしょう。

私たちは、「常に一体化している」という意味で、「欧米」と言います。しかし、冷戦終結後、欧州はアメリカに反抗的でした。むしろ、「反米多極主義陣営」をフランスが率いていた時期すらある。

そして、私たちは、「米英」という言葉を使います。「アメリカとイギリスは、いつも一緒」という意味で。ところが、この用語すら、いまでは「不適切」になっている。

たとえば2013年8月、オバマは、「シリアを攻撃する!」と宣言しました。イギリスのキャメロン首相はこの決定を支持した。しかし、イギリス議会はこの戦争に反対したのです。

フランスも反対に回り、オバマは孤立。シリア戦争を「ドタキャン」せざるを得ない状況に追い込まれました。

2015年3月、「AIIB事件」が起こりました。イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、イスラエル、オーストラリア、韓国など「親米国家群」がアメリカを裏切り、中国主導「AIIB」への参加を決めた。アメリカは、欧州やイスラエル、オーストラリア、韓国の裏切りを止めることができませんでした。

そして、今回「人民元をSDR構成通貨にする」件。アメリカは、やはり止めることができなかったのです。

ちなみに、主要な「国際金融機関」は2つあります。

1つは、国際通貨基金(IMF)。もう1つは、世界銀行。

そして、IMFのトップは、いつも「欧州人」。

世界銀行のトップは、いつも「アメリカ人」。

今回のIMFの決定は、アメリカ一極支配をぶち壊したい欧州が主導。アメリカは、「同意せざるを得ない立場」におかれてしまったのでしょう。

2つの動きが同時に進行している


このように、中国の影響力が強まる動きが起こっています。そして、

アメリカの一極支配を打倒したい
中国と仲良くして儲けたい
距離的に遠いので、中国の「脅威」を感じない
欧州が、中国パワーの拡大を後押ししています。

しかし、一方で、「中国経済は、沈みゆくタイタニック」というのもまた事実。「昇る中国」と「沈む中国」。この2つが同時に起こっている。これは、「国家ライフサイクル」で言う、「成長期後期」の特徴なのです。
つっこみどころ満載なロシア政治経済ジャーナル北野幸伯氏の記事ですが・・・・結論を端的に言えば、多極主義側の完敗ではないか?ドルの基軸通貨の地位はぶれていない。昨日の記事でも書いたが、米国は人民元のSDR構成通貨化を止められなかったのではなく、あえてSDR構成通貨化させて中国を国際金融のトリレンマ(国際金融の三すくみ)の罠に嵌めたのである。

1999年のユーロ誕生は同時に米国もユーロ潰しも始動したと考えるべきで、私がこのブログで何度も書いてきた。

20世紀後半経済力で米国を凌駕し、軍事力さえあれば21世紀の覇権を握りそうであった日本を米国は叩き潰した。米国は21世紀から22世紀にかけてもあと120年覇権を握る為の国家戦略を仕掛けている。

米ドルの基軸通貨を潰そうとする欧州、ロシア、中国。一方米国は、欧州、ロシア、中国潰し戦略を仕掛けことごとく返り討ちにしている。どう見ても私の眼には米国の圧勝にしか見えない。

米国の国家戦略は巧みである。米国は日本80年代基軸通貨の地位を米ドルに取って代わる勢いがあった。米国は1985年のプラザ合意を仕掛け円高にしても日本は潰れなかった。ドル安円高に修正し、過度な円高を防ぐ為に、低金利となり、バブルが発生した。新BIS基準や、日本の誤った政策(土地の総量規制)で、バブル崩壊⇒日本の銀行を叩き潰し、国際決済銀行BIS規制の強化によって、日本円と日本経済を巧妙に叩き潰した。90年代、年次改革要望書、アジア危機によって完膚なきまでに日本経済を潰した。
 
米国は2000年ITバブルが崩壊しITバブル崩壊で生じた需要不足を補うために意図的に不動産バブル発生させITバブル崩壊により失った需要不足を補った。

しかも、結果としてか、不動産バブルの原動力である、金融商品クレジット・デフォルト・スワップCDSを欧州の銀行に大量に買わせたることに成功し、たっぷり欧州系銀行が抱え込んだところでリーマンショックを意図的に発生させ不動産バブルのツケを合法的に欧州に転化することに成功した。

リーマンショックの発生は偶然ではなく、計算されつくされた国家戦略ではないか?
私はリーマンショック自作自演説ではないかと、リーマンショックを疑っている。

リーマンショックによって金融立国であった米国の国内産業構造をドル安を興し製造業の復活に成功した。中国に移動していた製造業の工場が米国内に一斉回帰を始めた。製造業の基盤が無ければ軍需産業が死滅してしまい、中国の部品でミサイルや戦闘機を製造するようでは覇権を維持することなど不可能だ。

めでたく、リーマンショック後米国の産業構造は金融業消費関連主体から死に絶えた製造業が復活し始めた。そのうえいつのまにかシェールガス・シェールオイルが採掘可能となり米国はエネルギー需給問題も解決してしまったのである。

ユーロはアキレス腱であるギリシャの格付けをチョちょいと操作しただけで、ユーロの矛盾が噴出、ユーロの存続すら危ういことが露呈してしまったのである。

原油価格が下がれば中東とロシアが疲弊、難民はなぜか米国を目指さずヨーロッパに向かい、もはや米国から再び覇権を奪取を試みた欧州は崩壊寸前。

VWの不正ディーゼル車問題、ドイツ銀行のCoCo債による経営危機、そのうえドイツは中国に肩入れしすぎて、今後中国の経済崩壊の巻き添えを喰らうのは目に見えている。

IMFのSDR採用問題では中国を巧く嵌めた。詳細は昨日の記事

アングロサクソンの本家イギリスの動きに注目だ。政治巧者というか、ある意味蝙蝠であり、リアリストゆえ超エゴイストのイギリスがEUが沈みそうだとEUを見切った動きであることは間違いない。

英国のEU離脱で危機! G20議題に急浮上 欧州不安再来か
【産経ニュース】2016.2.26 07:42

 欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う英国民投票が6月23日に決まり、市場関係者からは「(投資家の)リスク回避に拍車が掛かる」と懸念する声が上がり始めた。英国とEU双方の経済的ダメージが大きく、欧州不安の再燃が危惧されるからだ。中国・上海で26日開幕する主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の議題に急浮上する可能性もある。

英国がEUから離脱すれば欧州経済に打撃となるとの懸念から、英ポンドとユーロは対円で売られた。「対ユーロでの円買いが対ドルにも波及」(為替ディーラー)し、円高ドル安も進みやすくなっている。英国のEU離脱が現実化すれば、投資家は「欧州不安の再来」を意識し、市場の混乱が長引く可能性もある。

英国のEU離脱で、まず懸念されるのが英国経済への悪影響だ。英国は輸出入とも約半分が関税や非関税障壁のないEU向けだ。離脱した場合、これらの恩恵がなくなる恐れもある。

米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、最上位の「トリプルA」を付与している英国の格付けについて、EU離脱後は1段階以上の降格があり得るとし、他の格付け大手も格下げを示唆している。

BNPパリバ証券の中空麻奈チーフクレジットアナリストは「英国債を保有する邦銀や日本の生命保険会社に悪影響が出るだろう」と分析。ニッセイ基礎研究所の櫨浩一専務理事も「英国に進出する日本企業にも不安材料だ」と指摘する。

一方、EU側の危機感も強い。ドイツに次ぐ経済規模の英国が抜けると、域内総生産(GDP)は2割弱縮小し、競争力の低下は必至だ。第一生命経済研究所の田中理主席エコノミストは「EU解体の一歩と受け取られかねない」と危惧する。(藤原章裕)
2015年英国がAIIBに参加を表明し、習近平が英国を訪問し英国は日米を裏切ったのではないかと思ったのですが、実はそうではない。えげつない英国王室の習近平への態度を見れば一目瞭然です。

イメージ 1
まったく失礼きわまりない習近平のスピーチなど聞く価値がないと・・・英国王室の皆さまは人が悪い(笑)。
イメージ 2
・・・・・・・中国の儒家、道家の思想と4大発明は英国の文化と科学技術発展の歴史に影響を与え、「富国論」「進化と倫理」など英国の名著は近代中国の思想界に新たな視野を開きました。
中国のシルクと陶磁器はイングランド全域で珍重されるところとなり、英国に始まった工業革命は世界のシルク産業と製陶業を一変させました。中国の茶は英国人の生活に雅趣を添え、英国人が丹精を凝らして英国式の紅茶としたのです。中英の文明交流は互いの文化を豊かにしたのみならず、社会の進歩を促し、人類社会の発展にも貢献しました。・・・・・・・・・・
以上は習近平のスピーチの一部だが、なんだか上から目線で失礼に感じるのは私だけ?

26分50秒、習近平のスピーチがあまりにもひどいので、英国のアンドリュー王子のが習近平をにらみつけている。28分10秒、習近平の話が終わったあと、拍手が無くシーンと静まって終りです。

イメージ 3
イギリスは屏風(びようぶ)を置く習慣はないのだが、トイレの前に屏風を置き、トイレを隠し、英中の国旗で、トイレマークをはさみ、トイレの前で習近平は接待された(笑)。.イギリスでは、すぐに帰って欲しい客は、レストランに限らずトイレ近くの席に案内される習慣がある。

イメージ 4
エリザベス女王陛下は、帽子を脱がす、手袋を取らすに握手して、習近平を平民扱いにしています。
今後、注意して見ておくとよいと思います。階級社会の英国では、英国の王室の方々は、平民と握手する時には、絶対に手袋をはずしません。天皇陛下皇后陛下と接する際には脱帽し手袋をはずしています。


外交巧者の英国が、相手に表立って素顔を見せることはまず皆無で、1921年先の大帝(昭和天皇)が皇太子時代に欧州を歴訪された際、特に英国の歓迎ぶりは、2015年の習近平訪英の比ではなかった。
イメージ 5

第一次世界大戦後、日英同盟があったにもかかわらず、度々の出兵要請を拒み、欧州に出兵しなかった日本を同盟こくとする意味を失くした英国は、日本との同盟を解消する方向で動き出した。昭和天皇が訪英した時には日英関係は冷却化の方向にあり、同盟の廃止が決まった日英同盟が失効されるのは1923年、英国はそ知らぬふりをして日本の皇太子を熱烈歓迎したことになります。

ですから邦貨換算5兆円を上回る商談も、しょせんは習主席の「空手形」、英国がロンドンで人民元建て起債を認めたのも「手切れ金」と理解して差し支えないと思われます。

英国はEU、特にドイツを見限ったと考えるべきではないか・・・
アングロサクソンはナチス・ドイツの「第3帝国」と同じくEUドイツの「第4帝国支配」を許さないと思う。

政治的にも経済的にも欧州ではドイツが抜きんでる存在になってしまった。欧州のリーダーは英国でも仏でもなく、ドイツのメルケルである。

ドイツは、もはや米国の言うことを聞かなくなった。米国は欧州の景気回復のために、ドイツに何としても財政拡張による景気支援を期待しているが、いっこうに動かない。特に、最近ではドル高が米国経済の負担になっているだけに、ECBの追加緩和よりも、ドイツの財政拡大を求めて続けているが、今回の上海G20でも反応が悪い。

ドイツは割安なユーロを活かして輸出を拡大し、景気が堅調で、特段の景気対策は必要がないので当然だが、これはギリシャなど南欧諸国の犠牲の上に成り立つ繁栄であり、ドイツのエゴイストぶりのが際立っている。

米国は中国経済を叩き、ドイツも叩き潰しかかっています。フォルクスワーゲン問題は偶然にあらず、ドイツ銀行も間もなく血祭にあがります。これは覇権主義を強める中国自体を抑え込むとともに、中国市場でビジネスを急拡大するドイツの自動車産業をも狙ったものです一石二鳥でもある。

ドイツの基幹産業である自動車が、トップのフォルクスワーゲンの弱体化により、ドイツ経済全体を揺さぶり始めた。中国経済の悪化で、最も影響を受けると見られたフォルクスワーゲンの業績が大きく下落しているところで米国はフォルクスワーゲンのディーゼル・エンジン排ガス規制逃れの不正ソフトを意図的に暴いた。

フォルクスワーゲン社は1100万台のディーゼル・エンジン搭載車のリコールなどで、4兆円以上のコスト負担を強いられる。ドイツ銀行のCoCo債問題も、リーマンショック同様の金融危機の導火線になる可能性も否定できない。

ドイツを苦しめる難民問題も実は仕組まれたのではなかろうか?そもそも難民が米国に向かわずなぜドイツを目指すのかも誰も疑問を抱かない。

この難民問題も、オバマが無能でシリア問題を放置したのではなく、意図的に放置して悪化させたのではなかろうか?米国CIAの訓練を受けたアルカイダから分派したISISによって、シリア難民が大量に流れてきたことが背景にあり、かつてナチスを逃れて大規模なユダヤ人の難民、亡命を経験したドイツだけに、難民を無視するわけにいかない国情に付込んだ可能性がある。これも米国vs欧州戦略の一環と考えて差し支えないだろう。

英国はドイツが支配するEUから離脱を模索しているのも、英国の意志かもしれないが、同じアングロサクソンの米国が仕組んでいるかもしない。戦争責任をナチスに押し付け「今のドイツはまったく別の国」として振る舞い、再び米国を嵌めようとしたドイツをこれ以上自由にさせておくわけにはいけないと米国は判断したのだと思う。




    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック



【上海=河崎真澄】上海での主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、議長国の中国が防戦に回っている。中国の成長鈍化が世界経済に影を落としたとの指摘や、証券市場や外貨管理の未熟さが震源となり、株式や為替で国際的な混乱を招いたとの批判から“集中砲火”を浴びている。中国は財政出動などで切り抜けたい考えだ。

 初めてG20議長国となった中国。開幕に先立つ26日午前、楼継偉財政相と中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁はそれぞれ、シンポジウムや記者会見でG20参加国へ反撃を試みた。

 楼氏は構造改革がテーマのシンポジウムで、「中国は財政出動への余地があり債務を拡大させることができる」と、中国経済を懸念する国際社会に“公共事業の再加速”を表明した。

 周氏は「輸出規模のなお大きい中国が通貨安競争に加わることはない」と人民元安を求める動きに反論する一方、「中国からの資本流出は正常の範囲だ」として資本移動では現状維持を示唆。米利上げとドル安を背景に中国から資金が逃げ出し、外貨準備高の大幅減につながったが、人民銀行は資本移動の規制強化と自由化のいずれにも消極的姿勢をみせた。

 そこには、(1)独立した金融経済政策(2)為替相場の安定(3)自由な資本移動-という3つの政策は同時に実行できないという国際金融のジレンマに陥っている中国の苦境がうかがえる。

 成長鈍化への不安感を拭い去ることができれば資本逃避は低減するが、利下げなど金融緩和も伴う景気テコ入れ策で財政出動を拡大すれば、重大な構造問題である過剰生産や不良債権を悪化させる副作用は避けられない。利下げなど金融緩和が人民元安に結びついた苦い経験もある。

 人民元の国際化に向けて資本取引の自由化は欠かせないが、しばらく封印せざるを得ない。反対に資本規制の強化に動けば、国際通貨基金(IMF)から人民元の特別引き出し権(SDR)通貨入りを認めてもらった際の金融市場の自由化という条件にも逆行する。

 G20の攻防戦を通じて中国のこうした構造問題があぶり出されそうだ。
上海で開催されているG20は中国の経済停滞と為替政策に対し注目を浴びた。
2016年10月1日からSDRに人民元は採用されるが、人民元の自由化が条件であった。しかし、人民元を切り下げようものなら為替戦争が勃発して、中国は為替操作国認定されてしまう。

G20会合、5つの注目点
【WSJ】By MARK MAGNIER 2016 年 2 月 26 日 13:43 JST

中国の上海で26日・27日に20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開催される。経済成長の低迷、大きな相場変動、為替レート、伝統的な経済政策手段の有効性などをめぐり懸念が広がる中、議論の行方が注目される。以下に五つの注目点を挙げる。

1.中国は懸念をぬぐい去るために何をすべきか

経済運営の統率力にかけては屈指とされてきた中国だが、株式市場への強引な介入や為替政策が一貫性を欠く様子が混乱を呼ぶ中、いまやその手腕が疑問視され、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事から中国には「コミュニケーション(対外説明)に問題」があると警告されるほどのありさまだ。中国共産党指導部はこれからの数日間で、政府として金融改革の推進にコミットしていること(24日に海外機関投資家による債券購入の制限を緩和する方針を発表した)、そして政策や意図に関するコミュニケーションを改善する方針であることをはっきり示す必要があるだろう。中国の世界における地位が上昇する中で、それに見合った体制を整えなければならない。

2.「通貨戦争」回避のために何ができるか

 欧州連合(EU)や日本などでは中央銀行の緩和政策を受けて通貨安が進み、輸出てこ入れを通じた成長浮揚策の一つと受け止められている。エコノミストらはこうした戦略について、通貨安競争の引き金になりかねず、世界経済を不安定にし、最終的に世界全体を苦境に陥れる恐れがあると警告する。G20諸国は今週の会合で、大幅な人民元切り下げは行わないとの確約を中国に求めつつも、通貨の競争的な切り下げを回避すべきとの従来の方針をあらためて強調する見通しだ。

3.世界経済成長てこ入れに向けて何ができるか

 世界金融危機から7年が経過したいま、コモディティー(国際商品)市場は落ち込み、貿易は低迷し、経済成長には引き続き弾みがつかない。IMFは2016年の世界の成長率見通しを何度も下方修正し、直近では1月に予測を3.4%に引き下げた。信用緩和に頼り過ぎた金融政策は限界に達している。こうした中でG20諸国は、構造改革とインフラ支出の拡大で合意を図る見通しだ。ただ、政治的反発や債務問題が懸念され、各国間の調整は難しそうだ。

4.協調的な通貨政策で合意する可能性はあるか

 あまり期待できない。G20の国内総生産(GDP)を合計すると世界のGDPの80%超を占め、G20の財務相や中銀総裁はもっとうまくコミュニケーションを取って政策協調を図るべきとの声が高まっている。エコノミストからは、先進5カ国による協調的なドル高是正宣言となった1985年の「プラザ合意」と同様の合意を求める意見もある。ただ、G20は2013年に通貨介入は為替操作だと事実上宣言しているため、人民元版「プラザ合意」を取りまとめる公算は小さいとの見方が大勢だ。とはいえ、山積する経済問題に対処するためのロードマップ(行程表)で合意する兆しを市場は探り求めるだろう。

5.中国は議長国として何を達成しようとするか

G20議長国は持ち回りだが、議長国にとって会合は世界の経済システムに自国の影響力を反映させる機会となる。中国は今年の議長国として、中国の時代が到来したこと、中国は世界経済をけん引する信用のおけるリーダーであること、中国のファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)は健全であることなどを強調しようとするだろう。同時に、自国も含め世界銀行やIMFにおける新興国の発言権の拡大を求めるほか、「シルクロード経済圏(一帯一路)」構想と呼ばれるアジアインフラ計画を宣伝し、改革や持続可能性を推進する見通しだ。
人民元を早期切り下げを行えばSDR採用もドタキャンになる可能性は否定できない。少なくとも今年の10月1日までは猫を被り人民元切り下げは行わないだろう。

中国当局、早期の人民元切り下げを否定
【ロイター】2016年 02月 25日 20:14 JST 

 2月25日、複数の中国当局者は、人民元の早期切り下げはないとの認識を示した。今週開幕するG20財務相・中央銀行総裁会議を控え、各国の懸念を払しょくする狙いがあるとみられる。

 2月25日、複数の中国当局者は、人民元の早期切り下げはないとの認識を示した。今週開幕するG20財務相・中央銀行総裁会議を控え、各国の懸念を払しょくする狙いがあるとみられる。写真は中国国旗、北京で2015年10月撮影(2016年 ロイター/Jason Lee)
[上海 25日 ロイター] - 複数の中国当局者は25日、人民元の早期切り下げはないとの認識を示した。今週開幕する20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を控え、各国の懸念を払しょくする狙いがあるとみられる。

チャイナ・デーリーによると、楼継偉財政相は人民元切り下げの提案がG20の議題になることはないと発言。

朱光耀財政次官も「管理フロート制」を維持して為替レートの安定を図る方針を示した。

同次官は国際金融協会(IIF)の会合で「われわれは世界経済が直面するリスクを認識している」と発言。「市場と正しく対話することがいかに重要かも認識している」と述べた。

ルー米財務長官はウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙とのインタビューで「明確なコミュニケーションが必要だ」と指摘。「(中国)政府は大幅な通貨切り下げのようなことをするつもりはないと言明しなければならない」と述べた。

中国工商銀行(ICBC)の姜建清会長も、人民元の下落が続く根拠は存在しないとの認識を示した。

中国人民銀行(中央銀行)の易綱・副総裁はIIFの会合で「安定した状況は誰にとっても良いものだと思う」と発言。人民銀行は依然として独立した金融政策を運営できるため、国内の金利をまだ管理することができると述べた。

朱財政次官は、今年、財政赤字を拡大する余地があるとの認識も示した。

G20で人民元切り下げを否定したのでなにがなんでもSDR採用は果たすつもりなのだろう。
いまやすっかり有名となった国際金融のトリレンマからSDRに採用されるには金融自由化で中国から資金のキャピタルフライトを阻止することが出来ない。そして人民元下落は避けられない。

仮に人民元がSDR採用を諦め、資本取引を規制し、自由な資本移動をあきらめれば、キャピタルフライは阻止できる。従来通り独立した金融政策と固定為替相場制にもどせばよい。そうすれば、国内物価の安定のために金融政策を使うことが可能となり、為替相場も安定可能なのだが、すでに賽は投げられてしまったのである。

国際金融のトリレンマ(国際金融の三すくみ)
マンデルフレミングの法則から、自由な資本移動*為替相場の安定(固定相場制)*独立した金融政策3つの政策は同時に実現することができず、同時に2つしか実現できない。

中国からの資金流出が止まらない。

 中国の公式統計によれば昨年の資金流出額は5170億ドルである。だが、1月25日付ブルームバーグは、「昨年全体の資金流出額は前年(1343億ドル)の約7倍の1兆ドルに達した」と報じている。

 2月11日付フィナンシャル・タイムズによれば、2016年1月だけで1100億ドル以上の資金が国外に流出したという。資金流出は非公式なチャンネルでも起きており(海外との貿易額の数字を粉飾するなど)、実際の流出額はさらに大きいようだ。

「中国経済のハードランディングは不可避」とソロス氏

 その主な要因は中国経済の低迷である。

 中国の富裕層は、国内の不動産価格の低迷や株安の状況の中、利回りの高い投資商品(米ドル資産など)を求めて資産を海外に移し始めている(2月18日付ロイター)。

 中国企業が昨年(2015年)1年間に海外企業の買収に投じた金額も、約680億ドルと史上空前の規模に達した。今年1月の新規融資額は過去最大の約2.5兆元(約43.5兆円)となったが、増加分の大半は外貨建て債務返済のためである。

 昨年8月の中国政府の人民元切り下げによる通貨の先安感も資金流出に拍車をかけており、「人民元が紙くずになる前の駆け込み的な資金流出」との観測が高まっている。

 その矢先の今年1月に「世界経済フォーラム」年次総会(ダボス会議)で著名な投資家であるジョージ・ソロス氏から「中国売り」発言が飛び出した。ソロス氏と言えば、1992年の「ポンド危機」、1997年の「アジア通貨危機」の仕掛け人と言われている人物である。ソロス氏は「私は予測を口にしているのではない。今それを目撃しているのだ」と発言し、「中国経済のハードランディングは不可避だ」と述べた。

 昨年秋から投機筋が人民元売りを仕掛けている最中の発言だけに、中国側は悪意ある挑戦と受けとめ、国営メデイアを総動員して反論に出た。メディアは「人民元の空売りは袋小路に陥る」(新華社)、「単純な経済的衝撃をもって中国を覆すことは不可能だ」(人民日報)と必死の主張を繰り返した。しかし「資本流出は始まったばかり」と鼻息が荒い投機筋の勢いが衰える気配はない。

人民元のSDR入りが重い十字架に

 中国政府にとって最後の砦は、世界の約3分の1を誇る外貨準備(昨年末時点で3.3兆ドル)である。だが、その外貨準備は昨年1年間で約5130億ドルも減少した。

 3.3兆ドルあるといっても、「使える外貨準備はせいぜい1兆ドルにすぎない」という見立てがある。「中国政府高官の持ち出しで約1兆ドルの資金が消え、アフリカや中米諸国への融資で約1兆ドルが焦げ付いている」(中前忠中前国際経済研究所代表)からだ。仮に今年1月のように毎月1000億ドルのペースで減少すると、年内にも外貨準備が底をつき中国政府は人民元を支えられなくなってしまう。

 中国政府としては資本規制を強化したいところだが、「人民元のSDR入り」という決定が重い十字架としてのしかかっている。

 昨年11月、国際通貨基金(IMF)理事会は、特別引き出し権(SDR)の算定基準となる通貨に中国・人民元を今年10月から組み入れることを決定した。

 中国政府は人民元をSDR入りさせるために、昨年夏から人民元相場を従来よりも市場実勢に従って変動させるなど一連の改革を行った。これによりIMFから「人民元はSDRの基準を満たした」というお墨付きをもらうことができた。しかし、一連の改革によって、8月に人民元が急落した。合法的に海外に資金を移せるようになったため、国内企業や個人投資家がかつてない規模で海外へ資金を流出させたからである。

 そこで、人民元の下支えのために中国政府は、約4000億ドルもの外貨準備を費やすことを余儀なくされた(昨年の外貨準備減少分の約8割)。

「人民元のSDR入り」に尽力し、「中国の最も偉大な改革者の1人」とまで評価されていた周小川人民銀行総裁は、いまや窮地に追い込まれている。

 周氏は、中国誌「財新」のインタビュー記事の中で、海外のヘッジファンドをはじめとする投資家が人民元の売り持ちに殺到している現状を批判すると同時に、人民元の底堅さをアピールして「元安が続く根拠はない」と主張した。

 人民銀行は2月15日に、2005年7月以来最大となる人民元切り上げを行った。しかし、市場関係者にとっては「人民銀行は外貨準備の減少を懸念している」というマイナスのメッセージになってしまった。周氏はこれほど緊迫した状況でも「資本規制を引き締めるつもりはない」としているが、その対応には疑問を感じざるを得ない。

 筆者が以前のコラム(「人民元のSDR採用に潜む落とし穴」)で「人民元のSDR入りの代償は極めて大きい」と懸念したとおり、そのリスクが早くも顕在化してしまったようである。

危機対応能力がない中国の指導者

 ソロス氏は中国政府の無策ぶりを指摘していたが、昨年後半以降、「中国政府の指導者たちは危機対応能力がない」との認識が世界中に広まってしまっている。

 中国共産党はもともと市場との対話の重要性をあまり認識してこなかった。中でも習近平体制は有無を言わさず強権で、すべての問題を抑え込む姿勢が強い。2月18日、人民銀行は1月分の月次報告を行ったが、外貨購入の残高など資金流出の目安となるデータの公表を取りやめた。

 2月20日、中国政府は証券監督管理委員会(証監会)の肖鋼主席を解任した。

 中国の株式市場は、昨年、約5兆ドルの時価総額が失われ、証監会は今年1月に株価が一定の値幅を超えた場合に取引を止める「サーキットブレーカー制度」を導入した。だが、市場を安定させることができず、わずか4日で停止した。そうした状況に対して、個人投資家が「投資家らの財産権を保護する職責を怠った」として肖氏を提訴するなど、証監会に対する国民の不満が高まっていた。政府は肖氏の首を生け贄に差し出した格好である。

 習近平政権は金融業界に対して、全面的な反腐敗キャンペーンを加速させている。同時に、金融業界を監督管理する3つの委員会である証監会、銀監会、保監会、そして人民銀行、いわゆる1行3会に対しても、整理・合併を加速させようとしている(2月18日付大紀元)。早ければ3月の全人代等で議論されるようだが、事態をますます混乱させてしまうだけではないだろうか。

米中間の緊張はさらに高まっている

 国際金融当局者も中国の現状に憂慮し始めている。2月26~27日、中国上海で開催される20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、中国からの資本流出を段階的に止めるための議論が焦点の1つとなっている。

 2月4日付ロイターによれば、中国からの資金流出を加速させている投機的な動きをおさめるため、「人民元の一度限りの大幅切り下げ(中国版プラザ合意)が必要」との声が高まっているという。

 国際的な協調介入を実施するには米国政府の協力が不可欠である。だが、中国軍の東アジア、特に南シナ海でのプレゼンス拡大によって、米中間の緊張はさらに高まっている。

 2月16日、米FOXニュースは衛星写真の分析をもとに、中国による南シナ海の西沙諸島へのミサイル配備を伝えた。地対空ミサイル配備となれば、滑走路整備などとは次元が違う。これまで習近平国家主席はオバマ大統領に対し「南シナ海の軍事化は行わない」との方針を伝えていた。米太平洋軍のハリス司令官は、「習近平主席が約束を守れないことの表れである」と中国への不信感を露わにしている。

 一方、中国側にも言い分がある。米軍は1月30日、西沙諸島の12海里内でイージス駆逐艦を航行させた。西沙諸島は南シナ海の中で最も中国本土に近く(海南島から約300キロメートル)、中国軍は42年間にわたり実効支配している。このため中国は、米軍が西沙諸島の領海に侵入したことに対して、「紅旗9号」長距離地対空ミサイルを急遽配備したというわけだ。その後も中国が南沙諸島に高周波レーダー施設を建設していることや西沙諸島に戦闘機と戦闘爆撃機を展開していることが明らかになってきている。

 中国と軍事的な緊張が高まっている状況下で、米国が中国の資金流出を防ぐための協調介入に賛同する可能性は極めて低いと言わざるを得ない。

経済成長がなくなると国民の不満は爆発

 協調介入が不可能であれば、IMFとの約束を反故にしてでも資本規制を強化するしかない。前述のダボス会議で、黒田日銀総裁は中国政府に資本規制を強化することを求めた。IMF専務理事のラガルド氏も暗に同意したようだが、一度緩めた資本取引規制を強化することは副作用が大きい。中国企業の海外での債務の借り換えが困難となるとともに新規の資金調達にも支障をきたすため、経済のハードランディングリスクが高まってしまう。

 毎年18万件の暴動・抗議集会が起きている中国において、共産党の執政の正統性は「経済成長」しかないと言われている。経済のハードランディングが起きれば、抑圧された国民の不満は爆発し、中国共産党は結党以来の危機に直面するだろう。

 国際政治経済が専門の瀬戸岡紘駒澤大学教授は、「すべての戦争は国内矛盾の対外転嫁として引き起こされる」と指摘している。習近平指導部は、国内の矛盾を南シナ海での軍事紛争に振り向ける可能性がこれまでになく高まっているのではないだろうか。

「人民元のSDR入り」の失敗が東アジアの地政学的リスクを高めないことを祈るばかりである。
昨年中国は人民元のSDR採用決定に、中国の国際的な地位向上、改革成果が評価されたと中国は勝利宣言をしていますが、それほど単純ではなかった。やはり、昨年米国がすんなり人民元のSDR採用を認めたのは裏が有ったのだ。

米国が従来の反対を翻して、条件付き賛成に転じた理由は、中国を巨大な国際金融のゴキブリホイホイに誘い込む目的だったのである。ゴキブリは当然中国人民元である。

中国政府は、ここまで為替管理の都合上、資本の流出入を厳しく管理してきたが、為替の自由化とともに、SDR採用条件として資本の自由化も求められた。

人民元は基本的に米ドルにペッグした通貨ですが、SDR通貨入りは、ドル*ユーロに次ぐ第三の通貨が完全変動相場制をしないわけにはいかず、これまでドルに引っ張られて上昇していた分がはげ落ち、人民元が大幅な下落したのは当然の成り行きである。

そうなると、当座は資本の流入より流出が大きくなると見られます。人民元の先安観が強まれば余計拍車がかかる。これは意図しない金融引き締め効果になる。

しかも、人民元の下落は、民間企業や個人の外貨建て債務を水膨れさせ、返済負担がより大きくなる。ドル建て債務やキャリーでの香港ドル債務が膨らむことになる。

中国が本気で改革しようとすると、共産党幹部の巨大な既得権を奪う必要があり、政情不安にもつながりかねない。人民元の暴落を防ぐための買い支えは金融引き締め効果を生むため、景気にバックギアを入れていることになる。さらにドル売りによって、外貨準備も減ることになる。中国の経済政策は八方塞がりになる。輸出力を強化するために人民元を切り下げると資金流出が起る。逆に資金流出を防ごうと人民元を高く維持しようとすると、設備投資が抑えられ経済は失速し、さらに輸出競争力を失うのである。

中国経済は、IMFのSDR採用でとんでもない負のスパイラルに入ってしまったのである。中国から資本流出が止まらず、ジョージソロスが「中国バブル崩壊はもう起こったこと。(中略)中国経済の問題はデフレと過大な債務だ。中国経済の負債はおそらくGDP比300%か、対外債務を合わせれば350%にも上る深刻なもの。しかも中国は輸出主導から内需主導への経済改革を長く放置し過ぎた。ハードランディングは不可避である」と喝破している。

仮になんとか中国共産党習近平政権が崩壊せず奇跡的にこれらの改革がある程度進めば、世界の中央銀行が人民元を準備通貨として持ち始めるので、人民元安にも歯止めがかかり、人民元需要が高まれば、また上昇する可能性もなきしもあるが・・・・。

仮に中共が存続できたとしても次に日本も息の根をとめられたBIS規制の罠が待っている。中国の4大国有銀行( 中国工商銀行、中國銀行、中国建設銀行、中国農業銀行)は、世界での地位が高く、高い自己資本が求められますが、そう簡単にこれを満たせない。資本不足の銀行には欧米資本が参加しようということになり、経営の実権を最終的に国際金融資本が握ることになるかもしれない。

日本の財務省公表の数字から、中国の政府と民間の対外負債は244兆円らしいのだが、中国の対外負債は、そんな程度ではなく500~600兆円という説が飛出している。中国の対外純資産残高は、214兆円ではなく完全にマイナスということになる。ましてや中国の外貨準備高に闇に消えた2兆ドルが含まれている可能性を考えると、中国の実態は大借金国ということになる。

中国はまだ大量に米国債を保有しているので、後1年は持ちこたえるだろうが、2年後、3年後となると、どうなるかわからない。最悪のケース、中国はIMFのSDR採用国からIMFの管理下に置かれているか、その直前の状態になっているかもしれない。




    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック



今年は百年毎に一度チャイナが沈んで夜が訪れる日
終わりの来ないような戦いも今宵は休戦して祝杯をあげる

人はそれぞれ「正義」があって、争い合うのは仕方ないの
かも知れない
だけど僕の嫌いな「チャイナ」も彼なりの理由があるとおもうんだ

ドラゴンはナイト今宵、僕たちは友達のように歌うだろう
利上げナイト、チャイナ危機、原油安
今年、危機たちは友達のように踊るんだ

正しくは・・・
今宵は百万年に一度太陽が沈んで夜が訪れる日 
終わりの来ないような戦いも今宵は休戦して祝杯をあげる 

人はそれぞれ「正義」があって、争い合うのは仕方ないのかも知れない 
だけど僕の嫌いな「彼」も彼なりの理由があるとおもうんだ 

ドラゴンナイト 今宵、僕たちは友達のように歌うだろう 
ムーンライト、スターリースカイ、ファイアーバード 
今宵、僕たちは友達のように踊るんだ 

コラム:人民元安の再燃はあるか=亀岡裕次氏
【ロイター】2016年 02月 23日 16:30

[東京 23日] - 今週、上海で20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開かれる。世界の需要押し上げに向け、「金融政策だけでなく財政政策を活用」「通貨の競争的な切り下げを回避」することで各国が協調姿勢を示すだろうが、それだけで市場マインドや世界経済を好転させることは難しいのではないか。

G20では、「為替はファンダメンタルズを反映して市場で決定されるべき」ことが再確認されるだろう。ここでは、世界金融市場の波乱を招いた人民元相場の行方について考えてみたい。

<中国が人民元を切り下げた理由は何か>

人民元安・中国株安のきっかけは、2015年8月11日に中国人民銀行が人民元対ドルの基準レートを引き下げたことにある。基準レートはそれまで市場レートに比べて1―2%ほど人民元高に設定されてきたが、同日の基準レートは市場レートの前日終値よりも0.3%ほど人民元安に設定された。そして、12日も13日も前日終値よりわずかながら人民元安の水準に基準レートが設定され、市場レートは3日間で6.21元から6.40元へと3%ほど人民元安が進んだ。

中国人民銀行は、「基準レートと市場レートの乖(かい)離の是正は基本的に完了」とした。人民元の特別引き出し権(SDR)採用をめぐり国際通貨基金(IMF)が問題視していた「かい離」の是正だけが、基準レート引き下げの理由だったのだろうか。3日連続で基準レートを市場レートよりも人民元安に設定したのは、市場レートを人民元安に誘導する狙いもあったのではないか。

その1年半ほど前の14年2月、人民元の対ドルレートは上昇から下落に転じていた。14年4―6月期には、経常収支(貿易収支+所得収支)や直接投資収支の黒字が続く一方で、その他の収支(いわゆるホットマネー)が黒字から赤字(資本流出)に転じた。中国からの資本流出による人民元安圧力が強まり、それを抑えるための当局のドル売り・人民元買い介入が増加し、14年7月には中国の外貨準備高が減少を始めた。

為替は14年1月の1ドル=6.04元から5月の6.26元へと人民元安が進んだ後、10月の6.11元へと人民元高が進んだが、この間、ホットマネーの流出幅と外貨準備高の減少幅が拡大した。つまり、国際収支面から人民元安圧力がかかり続け、当局の為替介入によって人民元安が抑えられていたのだ。ただし、為替介入による人民元安抑制を続ければ、外貨準備高の減少が続いてしまうので、当局がある程度は為替介入を減らして市場主導の人民元安を容認しようと、基準レートを引き下げたものとみられる。

<足元は円高やユーロ高とともに人民元高に>

さて、16年1月7日にかけて中国株式売り規制の解除観測を背景に株安・人民元安が急速に進んだ後、人民元は対ドルで反発した。1月8日の基準レートが市場レートの前日終値よりも0.4%以上高く設定され、急速な人民元安を抑制しようとする中国当局の姿勢が明確化したことが一因だ。

1月12日には当局がオフショア(香港)市場でも人民元買い介入を行ったとの観測から、オンショア(中国)市場に比べて0.10元ほど人民元安・ドル高の水準にあったオフショアレートがオンショアレート水準まで上昇した。ただし、16年1月の外貨準備高の前月比減少幅は、15年12月の1079億ドルに次ぐ994億ドルに上った。人民元の安定化は、大規模な為替介入に依存しており、外貨準備高の大幅減という犠牲を払っている。

中国外国為替取引システム(CFETS)は15年12月11日に、13カ国・地域の通貨バスケットに対する人民元指数の公表を始めた。ドルに対する為替レートだけではなく、通貨バスケットに対する実効為替レートを含めて人民元の動きを判断するためのものだ。16年2月前半には、通貨バスケットがドルに対して上昇し、人民元が通貨バスケットに対して下落した。通貨バスケットに対する人民元の為替に上昇余地が生まれたせいか、その後、人民元が対ドルで上昇した。

CFETSが導入した通貨バスケットに占めるユーロの比率は21.4%、円の比率は14.7%と、中国の貿易に占めるユーロ圏や日本の比率を大きく上回る。2月前半はリスクオフの下で円やユーロが対ドルで大幅に上昇したため、通貨バスケットが対ドルで上昇した。中国が導入した通貨バスケットはリスクオフ下でドルに対して上昇しやすく、通貨バスケットに対して人民元が下落しやすいのだ。

米連邦準備理事会(FRB)のドル実効為替指数(対主要7通貨)は16年2月前半、ユーロ高と円高の影響で下落した。リスクオフの下でドルの実効為替が下落し、人民元が対ドルで上昇したのだ。だが、短期的にそうなっても、リスクオフの下では人民元が対ドルで上昇しやすいと言い切ることはできないだろう。

<長期的にはリスクオフと人民元安が進む可能性>

長期的な視点で人民元をみると、通貨バスケットと人民元の間に違う関係性がみえてくる。10年から14年前半までは、ドルと他通貨の強弱に大きな変動はなく、人民元の対ドル指数と対通貨バスケット指数の動きに大差はなかった。しかし、14年半ば以降のドル高により、人民元の対ドル指数が下落する一方、人民元の対通貨バスケット指数が大幅に上昇した。

10年初めを100とすると、ドルに対する人民元指数は直近時点で105程度だが、CFETSの通貨バスケットに対する人民元指数は122程度と高水準にある。つまり、通貨バスケットに対し人民元高が進んだままなので、輸出競争力の回復のためには人民元安が進む必要がある。

なお、国際決済銀行(BIS)が貿易ウエイトなどで為替を加重平均した中国の実効為替指数は、10年1月を100とすると16年1月は127であり、CFETSの人民元指数よりも高い。しかも、BISの通貨バスケットはCFETSの通貨バスケットに比べ、ドルやユーロの比重が低い一方で、韓国、メキシコ、インド、その他新興国など、リスクオフで下落しやすい通貨を比較的多く含む。そのため、リスクオフになると、BISの人民元指数はCFETSの人民元指数よりも上昇しやすい。人民元の割高感が小さくなるまでは人民元が下落する余地が残っているとみるべきだろう。

短期的にはともかく、長期的には世界株価や原油価格の動向と人民元の対ドルレートに連動性が認められる。株高や原油高とともに人民元高・ドル安が進む傾向、株安や原油安とともに人民元安・ドル高が進む傾向にある。足元、為替はやや人民元高・ドル安に振れたものの、株価や原油価格の反発は限定的であり、リスクオンに転換したようにはみえない。リスク許容度や人民元相場の安定は一時的で、リスクオフと人民元安へと再び傾く可能性は大きいのではないか。

中国経済への懸念が残る限り、資本流出と人民元安圧力は続くとみられる。当局が為替介入で人民元安のペースをコントロールすることはできても、人民元安に完全に歯止めをかけることは難しいだろう。人民元相場の長期的動向を判断するうえでは、当局の為替介入の影響を受ける人民元相場の短期的動向よりも、国際収支フローを反映する外貨準備高の増減に注目すべきである。中国の外貨準備高が増加傾向に転じてこそ、資本流出と人民元圧力が弱まり始めたと言える。それまでは、リスクオフと人民元安の再燃に警戒が必要だろう。

*亀岡裕次氏は、大和証券の金融市場調査部部長・チーフ為替アナリスト。東京工業大学大学院修士課程修了後、大和証券に入社し、大和総研や大和証券キャピタル・マーケッツを経て、2012年4月より現職。

あれは今から8年前、2008年私がブログを始めた年だった。なんとも言えない不安と、ネットに溢れる陰謀論や左翼、親中親韓派(今では絶滅危惧種)の馬鹿共の戯言を殲滅すべく為このブログを始めたのかもしれない。

丁度8年前アメリカ大統領選挙、北京オリンピック直前、今ほどではないが、世間に溢れる不安はあの時と似た匂いがする・・・
アメリカは大統領選挙の最中、ヒラリー大統領誕生か?と思いきや、オバマが伸びてきた状況は今と似ている。共和党はマケイン・ペイリン旋風・・・でも結局は演説が上手いだけで黒人であることが取り柄だけの中身が無いオバマが大統領となった。8年前私はオバマのことを喝破していた(えへん!)

8年前ちょうど今頃、かつては名門と謳われた米証券大手ベアー・スターンズが、昔ながらの取り付け騒ぎが起き、結局、米銀大手JPモルガン・チェース(JPM)が2008年3月14日、ベアースタンの救済を発表し買収した。ベアースタンの破産申請という事態を防ぎ、金融市場のドミノ倒しを辛うじて食い止めたのだが春先だった。なんとかサブプライムローン問題を乗り切れるかと想ったとのもつかの間、半年後の9.15突如リーマンブラザーズが破綻した。

世界の市場を覆う不安感の正体は未だ明らかにはなっていない。中国経済の崩壊、原油価格の下落、米国景気がさほど強くもないのに利上げを強行したFRB。VW,ドイツ銀行が破綻に瀕しているドイツ経済の危機、サウジとイランの対立、トルコVsロシアの戦争危機・・・・更にはイギリスのEU離脱危機・・・中国の南シナ海での横暴、北朝鮮の核実験とミサイル発射・・・世界経済を脅かすネタは尽きる気配がない。

世界市場の下落は原油安と中国失速に端を発した市場の混乱は新たな経済危機のから第三次世界大戦にまで広がるかもしれないという得も知らない危機感に満ちている。

2015年12月、FRBが政策金利の引き上げに踏み切ったのは、米経済が危機対応
であるゼロ金利を必要とする非常事態から脱した、と判断したからこそ。日本ではアベノミクスと日本銀行の「異次元緩和」で株価が大幅に上昇し、欧州もギリシヤなど一部の例外を除いて着実にユーロ危機のダメージから回復している、と考えられていた。

 しかし、現在の市場の雰囲気はまるで金融危機直後に逆戻りしてしまったかのようだ。日銀は先月末、量的緩和では足りないとばかりに日本の金融政策としては初のマイナス金利導入を発表。FRBのイェレン議長は世界経済の不安定さを理由に3月の追加利上げを見送った。

 世界各国の市場は同時株安に見舞われ、中央銀行がいくら対策を打ち出しても、市場がそれらを好感して上昇に転じる気配は見えない。なぜ現在の世界経済には、危機の再来に身構えるかのようなムードが蔓延しているのか。 

今や定説となっているが、株安のきっかけとなり、グローバル経済の足を引っ張っているのは、原油価格の下落と中国経済の失速だ。 これは今更説明する必要もないだろう

原油価格はFRBなどの量的緩和で
市場にあふれた資金が原油市場に流れ込んだこともあり、1バレル=100ドルを超える高値を記録していた。それが緩和の縮小とその後の終了に応じる形で下落に転じ、30ドルを下回る水準にまで落ち込み今日は戻ったが私は減産が守れるとは思っていない。需要と供給のバランスが変化したのは確かだが、実需より先物取引のマネーゲームの比率が高いWTIは急激に値下がりするのは当然の動きだ。 原油安は中東諸国やロシアベネゼイラなど、国内経済を石油の輸出に頼り切っている資源国に大きなダメージを与えた。さらに石油を売った資金を元手とする国際的な投資資金の引き揚げも始まり、世界の市場に影響を与えている。

 アメリカ経済にとっても、原油安はマイナスとなる。シェールガスの採掘が本格化し、産業の急成長に沸いたのはそう昔のことではないが、現在では原油安のせいでシェール採掘の採算が合わなくなったため、関連企業の倒産や資金を融資する金融機関の経営悪化が懸念されている。

 日本など石油を輸入する国にとっては、本来なら原油安は経済にプラスになるはずだ。しかし実際は、米経済の不透明感の波及といったマイナス面を打ち消すほどのプラスの効果は表れておらず、それどころかデフレ脱却の足を引っ張るという笑えない事態になっている。

中国経済については、昨年6月からの数回にわたる株価の暴落で、誰も信じていなかった中国の統計数字、土地バブル崩壊、シャドウバンキング問題、地方政府の破綻、中国成長神話の崩壊で人民元安、資金の流失の悪循環に陥ってしまっている。今我々は中国のキャピタルフライトを目撃しているのだ。

執筆中
[北京 24日 ロイター] - 中国の外貨準備はなお世界最大規模を誇るが、資本流出に伴い急スピードで減少しており、中国政府は遠くない将来に人民元の切り下げ、あるいは資本統制への逆戻りを強いられるとの見方が一部で浮上している。

中国の外貨準備は1月に995億ドル減って3兆2300億ドルとなった。2014年半ばに比べると7620億ドル減と、スイスの国内総生産(GDP)を上回る規模で減っている。

中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は先週、「財新」のインタビューで資本流出について、ドル高を背景とした国内企業によるドル建債務の返済と対外投資による部分が大きいと指摘。債務返済は間もなく底を打つし、対外投資は歓迎すべき動きだと擁護してみせた。

大半のエコノミストは、中国の外貨準備にはまだ大きな余裕があるとの見方に同意しているが、一部には数年後と言わず数カ月後にはブレーキを踏む必要が出てくるとの見方もある。

外貨準備の減少ペースが加速したのは、人民銀行が海外の投機売りや国内の資本逃避に対処し、人民元買い介入を行ったためだ。

外貨準備はなお巨額だが、中国ほどの規模の経済だと、輸入や対外債務の返済に多額の準備が必要になる。その上、外貨準備の内訳が流動性の低い資産であれば、その要請にすぐには答えられない。

中国の外貨準備の構成は国家機密だが、複数の当局者は、ドル以外の通貨の価値がドル建てで減少していることも、準備高減少の一因だと話している。

ソシエテ・ジェネラルは、国際通貨基金(IMF)の指針では中国にとって安全といえる外貨準備の最少額は2兆8000億ドルで、現在のペースで減少を続ければ間もなく到達するとみる。

同社は「向こう数カ月中に到達すれば、投機的な売りが押し寄せ、人民銀行は降参して人民元レートを市場に委ねるしかなくなる」としている。

これに比べ、G20(20カ国・地域)のある中央銀行副総裁はもっと楽天的で「(安心できる最少額が)どのくらいか分からないが、2兆8000億ドルよりずっと少ないことは確かだ」と述べた。

<魔法の数字は存在せず>

HSBCのアナリストチームは理論上2兆ドルで十分だと見ているが、減少を続ければ国内投資家が脅えて海外への資金移動を加速させる恐れがあるため、中国当局が手をこまねいているとは考えにくいという。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(ニューヨーク)の新興国市場通貨ストラテジー・グローバル統括、ウィン・シン氏によると、中国の外貨準備は1年5カ月分の輸入をカバーできる水準であり、短期対外債務の外貨準備に対する比率は25%にとどまる。新興国として安全な水準と考えられる3カ月と55%よりもはるかに良好だという。

シン氏は「われわれが新興国に適用しているどんな尺度で見ても、中国の外貨準備は十分すぎるほどだ」と話した。

中国のシンクタンクのあるエコノミストも「3兆3000億ドルもあって何を心配する必要があるのか」と同意する。「中国の対外純債権は1兆5000億ドル、貿易黒字もまだ6000億ドル程度ある」

外貨準備が2025年までに2兆ドルに減ったとしても、「まだ安全、健全だ」とこのエコノミストは語った。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマンのシン氏は、安全な水準は、究極的には特定の比率というよりも市場心理で決まると指摘する。

「魔法の数字は存在しない。大きな部分を占めるのは信頼感だと思っているが、中国の政策担当者は信頼感の回復につとめて力を入れている」という。

人民元売りを公言しているヘッジファンド、オムニのポートフォリオマネジャー、クリス・モリソン氏は「このゲームは期待と信頼感がすべてだ。市場が底をのぞいたが最後、信頼感は総崩れになる。3兆ドルを下回った時がその分岐点だと私は考えている」と話した。

(Kevin Yao記者)

 日米欧や新興国などで構成される20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が26、27日に中国・上海で開かれる。市場は、議長国の中国が自国経済の構造改革について説得力あるメッセージを打ち出せるかどうか、日米欧など先進国がどこまで踏み込んだ政策協調を示せるかを注視している。

会議では、世界経済に大きな影響を及ぼした中国の経済失速の実態や構造改革の見通し、原油価格の急落、米国の今後の利上げなどについて議論される見通しだ。ドイツ銀行の巨額赤字をきっかけに急浮上した欧州の金融システム不安の再燃懸念についても話し合うとみられる。

安倍晋三首相は24日の衆院財務金融委員会で、G20に関し「世界経済を安定させ、持続的な成長のために何をするかという観点から話をすべきだ」と述べた。特に中国に対して「過剰設備(の解消)などの構造改革に取り組んでもらいたい」と注文を付けた。

昨年夏から続く世界市場の混乱は、人民元の下落で火がついた。G20の場で、中国が構造改革への取り組みと人民元の安定を約束する一方、他の参加国などが中国の資本流出に歯止めを掛ける「資本規制」を容認することになるかどうかが大きなポイントになる。

G20では会議後に声明文が公表される。リーマン・ショック後に世界経済を支えてきたG20が市場の混乱回避に向けて再び力を示せるか。各国の利害を超えた枠組みが問われている。




 中国の習近平国家主席は昨年9月に訪米し、確かに「南シナ海を軍事拠点化しない」といった。果たして、この言葉を素直に信じた沿岸国の指導者はいただろうか。

その数カ月前、米国防総省の年次報告書「中国の軍事力」は、南シナ海の岩礁埋め立てが過去4カ月で面積が4倍に拡大していると書いた。中国の国防白書も、「軍事闘争の準備」を書き込んで、航行の自由を威嚇していた。

かつて、マカオの実業家がウクライナから空母ワリヤーグを購入したとき、中国要人が「空母に転用する考えはない」と語ったのと同様に信用できない。中国の退役軍人がマカオ企業の社長だったから、尻を隠して頭を隠さずというほど明白だった。

漢民族は自らを「偉大なる戦略家である」と思い込んでいる。孫子の兵法を生んだ民族の末裔(まつえい)であるとの自負が誤解の原因かもしれない。米国の戦略国際問題研究所(CSIS)の上級顧問、E・ルトワク氏は、戦略家であるどころか「古いものをやたらとありがたがる懐古的な趣味にすぎない」と酷評する。実際には、中核部分の「兵は詭道(きどう)なり」というだましのテクニックだけが生きている。

その詐術も足元が乱れることがある。米メディアが南シナ海のパラセル諸島への地対空ミサイル配備を報じた直後、王毅外相が「ニュースの捏造(ねつぞう)はやめてもらいたい」といった。すると、中国国防省がただちに「島嶼(とうしょ)の防衛体制は昔からだ」と反対の見解を表明して外相発言を打ち消していた。

国家の外交が、ひそかに動く共産党の軍に振り回されている。軍優位の国にあっては、当然ながら国際協調などは二の次になる。

ミサイル配備が明らかになったウッディー島は、南シナ海に軍事基地のネットワークを広げる最初の飛び石になるだろう。早くも22日には、CSISが南シナ海スプラトリー諸島のクアテロン礁に中国が新たにレーダー施設を建設しているとの分析を明らかにした。

やがて、これら人工島にもミサイルを配備して戦闘機が飛来すれば、船舶だけでなく南シナ海全域の「飛行の自由」が侵される。23日訪米の王毅外相はどうにかつじつまを合わせるのだろう。

ルトワク氏はそんな中国を「巨大国家の自閉症」と呼び、他国に配慮することがないから友達ができないと指摘する。例外的に1国だけ、核開発に前のめりの北朝鮮がいるが、それも近年は離反気味である。

中国が脅威を振りまけば、沿岸国など東南アジア諸国連合(ASEAN)は、共同で対処する道を探る。オバマ米大統領が昨年はじめてASEAN大使を任命し、米・ASEAN関係を戦略的パートナーに格上げすることで、その受け皿にした。

中国がアジアインフラ投資銀行(AIIB)を含む札束外交で歓心を買おうとしても、従属を強要する意図が見えれば中国への警戒心はむしろ高まろう。ASEAN首脳が米西海岸サニーランズでオバマ大統領との会談に応じたのも、対中ヘッジ(備え)になってくれると考えるからだ。

オバマ政権のアジア・リバランス(再均衡)に中身がなくとも、中国のごり押しで米国とASEANの緊密化が進み、中国の影響力をそぎ落とす。それがルトワク氏のいう『自滅する中国』という予言なのだろう。(東京特派員)




    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック




[ラスベガス/コロンビア(米サウスカロライナ州) 20日 ロイター] - 11月8日の米大統領選に向けた第3戦目となる候補者指名争いは20日、共和党予備選がサウスカロライナ州で、民主党党員集会がネバダ州でそれぞれ行われ、共和党は不動産王ドナルド・トランプ氏が、民主党はヒラリー・クリントン前国務長官が勝利した。

また、共和党の候補指名争いに参加していたジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事は、今回の予備選で上位3者に圧倒的な差をつけられ4位に終わったこと受け、選挙戦からの撤退を表明した。

トランプ氏とクリントン氏はそれぞれフロントランナーとしての足場を固めた。

共和党予備選は99%の集計で、トランプ氏の得票率が32.5%、マルコ・ルビオ上院議員が22.5%、テッド・クルーズ上院議員が22.3%となっている。

トランプ氏(69)は投票締め切り後1時間で勝利宣言。ニューハンプシャー州に続く勝利となる。来月1日に指名候補を選ぶ13州でも支持率首位となっており、指名獲得の公算が強まっている。

元共和候補マイク・ハッカビー氏のシニアアドバイザーを務めていたホーガン・ギドリー氏は「現時点で彼(トランプ氏)が脱落することは見込みづらい」と述べた。

一方、民主党党員集会は90%の集計で、クリントン氏の得票率が52.6%、バーニー・サンダース上院議員が47.4%となった。党員集会への参加者が多かったため、集計が遅れた。

クリントン氏の勝利は、サンダース氏の追い上げを懸念していた支持者を勇気づけており、27日に行われるサウスカロライナ州予備選に向けて弾みが付きそうだ。世論調査によると、同州では黒人からの支持を背景にクリントン氏が大差でリードしている。

クリントン氏はラスベガスで勝利宣言し、「われわれ(の勝利)を疑う声があったかもしれないが、われわれがお互いを疑うことは決してなかった」と強調した。

サンダース氏は来月1日の「スーパーチューズデー」に焦点を絞り、戦いを続けると宣言。7月の民主党全国大会で「われわれは米国史上最も大きな政治的番狂わせの1つを目にするだろう」とした上で、「われわれには勢いがある」と述べた。

サンダース氏はアイオワ州で僅差の2位となったほか、ニューハンプシャー州で圧勝。これら白人が圧倒的多数を占める州に加え、ネバダ州で黒人やヒスパニック(中南米系)の支持を取りつけることも狙っていた。

しかし、ネバダ州での調査によると、黒人票の22%しか取り込めず、クリントン氏の76%に大きな差をつけられた。黒人の人口比率が大きいサウスカロライナ州やその他南部諸州での指名候補選びを控え、暗雲が漂った格好だ。

ヒスパニック票をみると、サンダース氏は53%を獲得し、クリントン氏の45%を上回った。
この選挙大統領選は民主党ヒラリー・共和党トランプとなると思った方がよさそうだ。
今回は共和党が勝可能性が高いとなると、トランプ大統領。。。。

もしトランプなら日本としては困ったことになる。
TPPや日米安保問題で米国に裏切られる可能性が出てきた。

予想以上の勝利となったトランプ氏だが、勝利演説にて「米国を再び偉大にする」とキャッチフレーズを掲げた。さらにその中で、「我々は中国と日本を打ち負かす。そしてメキシコも打ち負かす」と宣言し、会場から拍手喝采を浴びた。

これは以前から何度も主張しており、メキシコに関しては、米国とメキシコの間に「大きな壁」を建てて移民を受け入れるべきではないとしている。

中国に関しては、米中貿易改革を公約の一つにも掲げており、「中国はアメリカの雇用とカネをかすめ取っている」と言い放っている。中国の人民元切り下げを止めさせ、環境基準や労働基準を改善させる。また知的財産保護やハッキングに対して厳しく対処する、としている。(関連記事:過激な発言が目立つトランプ、実際は何をしようとしているのか?

そして、日本だが、自身のfacebookで2014年に「我々は日本に関税無しで何百万もの車を売ることを許してきた。なんとかしなければならない。我々は大きな問題を抱えている!」と発言している。

また、昨年末には「誰かが日本を攻撃したら、我々はすぐに駆けつけ、第三次世界大戦を始めなければいけないんだろう?我々が攻撃されても日本は助けない。フェアじゃないだろ?これでいいのか?」と不満をぶつけている。
もはやトランプ大統領は誕生目前まで来たのかもしれない。共和党のサウスカロライナの大統領候補指名レースで勝利した候補が、共和党の大統領が誕生した場合、そのまま大統領になる。第1ラウンドのアイオワ州党員集会でこそ負けたが、次のニューハンプシャー州そしてSC州で勝利し、このまま3月1日のスーパーチューズデイを制しそうな勢いだ。

 共和党主流派は、3月1日の「スーパーチューズデー」が終了した時トランプが「自分たちの」大統領候補になる事態を本気で考えなければならないだろう。

 TV番組で人気を集めたトランプが大統領選出馬を表明した昨年夏、共和党主流派を含むワシントンの政界関係者、まともな知識人たちは嘲笑した。もちろん私もこりゃまた有名な泡沫候補が出たものだとしか思わなかった。

 だが、今ではトランプ大統領誕生の可能性を否定する方が難しくなった。このまま次期大統領の座まで上り詰めてしまう可能性が高くなった。暴言癖と見苦しい髪形の男が次期大統領・・・・・。大丈夫かアメリカ!

今回の共和党の予備選には、多士済々の候補者が顔をそろえた。フロリダ州のジェブ・ブッシュ、ニュージャージー州のクリス・クリスティー、オハイオ州のジョン・ケーシック、ウィスコンシン州のスコット・ウォーカーという現職の州知事とその経験者。リンゼー・グラム上院議員、ランド・ポール上院議員のような外交通、保守イデオロギー色の強いテッド・クルーズ。主流派の本命マルコ・ルビオ。

確かに共和党には、大統領候補にふさわしい資質の持ち主がずらりと並んだが、多くの共和党支持者はもはやプロの政治家に関心がない。保守派の有権者は、昔ながらの政治に飽き飽きしている。彼らはワシントンの政界と、選挙運動で繰り返されるお決まりの公約に怒っている。議会の支持率は史上最低レベルの16%。今回の大統領候補指名レースでは、華麗な政治的キャリアが弱点に変わった。

 このラインナップに嫌悪感こそを感じる人や、今まで無関心層だった人間がトランプを支持している。人種差別、外国嫌い、移民排斥、毒舌-どれもほとんどの政治家の発言ではなく”立派なヘイトスピーチ”だ。トランプはメキシコ移民、イスラム教徒、戦争捕虜、障害者、女性を侮辱したが、さほど問題視されず、むしろさすがトランプとトランプの人気が上がるのである。

ある意味北野武やタモリが大統領になろうというようなものだ。タモリやタケシは並みの国会議員より遥かに聡明で世間を見ている。腐りきった民主党や自民党のアホな議員より遥かに魅力的に思える。しかも彼らは分をわきまえているから、議員さんにはなりたがらないのが偉い。

タモリとタケシは個人的な資質が高いがゆえ選挙には出ないが、日本と米国の違いかもしれない。一流芸能人は他の政治家よりも空気を読み、特にTVの向こう側の感情が読める。

ある意味でトランプは一流芸能人なのであろう。オバマは昨年12月、米公共ラジオ(NPR)とのインタビューでインタビューで 「新しい経済状況の下で、ブルーカラーの男性は特に苦労を味わってきた。かつては工場へ働きに行き、1人の給料で家族を養えたが、もはやそんなおいしい話はない。そのため潜在的な怒りや不満や恐れが渦巻いている。トランプ氏のような人物は、それをうまく利用している」 だいぶトランプ大統領を断固拒否している。良く言うよ、オバマもアメリカ人の偽善的な心を利用したある意味トランプと同じようなポピュリストとして大統領になったくせに・・・・

トランプの存在は、共和党の大統領候補指名レースにおいて、政治に無関心な人たちを選挙戦に引き付けている。トランプ旋風は、多くの参加者は共和党員でもなく、どの政党にも属していない無党派層だ。彼らトランプの政策支持しているのではなく、単なる社会現象のようだ。だが、支持されている理由が、既存の政治家に満たされない不満を代弁している代弁者としてトランプを支持しているようだ。

 共和党主流派がトランプの台頭を許したのは、ブッシュ、ルビオ、クリスティー、ケーシックら主流派の候補者が互いに票を奪い合い、十分な支持を集められなかったという側面もある。実際、共和党主流派がトランプの指名獲得を回避したければ、主流派はルビオに絞ることが効果的だろう。
 だが、ルビオがダメならティーパーティーの支持と資金面の支援を受けているクルーズよりはトランプの方がましだと共和党主流派はトランプを選ぶだろう。

トランプよりクルーズが嫌い理由は、クルーズヘの嫌悪感だけではない。仮にクルーズ大統領が誕生した場合、主流派が要職に起用される可能性はないと分かっているのだ。ティーパーティー系やキリスト教保守派など、イデオロギー的に保守色の強い面々が抜擢される可能性が高い。

 トランプは、そうした懸念を持たれていない。交渉上手なトランプは、クルーズよりはるかに柔軟で、共和党の既存政治家たちにかたくなな反発を示すことはなさそうだと思われている。 もしクルーズがこのまま失速せず、ルビオやクリスティーなど主流派候補に支持が集まらなければ、主流派がトランプとの心中を決意しても不思議でない。共和党内には、クルーズを候補に立てて勝つくらいなら、トランプで負けたほうがましだと考える人もいるだろう。
 
トランプは、共和党大統領候補の座をほぼ手中に収めたのか。秋の本選挙でヒラリー・クリントンと対決するのは、トランプだろう。ヒラリーよりはトランプだと思う。

 

ええ?!プーチンとトランプは、相思相愛!なぜ?
  ロシア政治経済ジャーナル No.1319 2015/12/22

心身ともにマッチョな指導者プーチン。制裁、ルーブル暴落、石油暴落で経済的には相当厳しい。しかし、約90%の支持率を維持している。そして、アメリカ大統領選で支持率トップを走るトランプ。この二人が、お互いを「ほめあう」という、奇妙な現象が起こっています。


<プーチン大統領、トランプ氏を高く評価 「聡明で有能」
CNN.co.jp 12月18日(金)15時7分配信 

(CNN) ロシアのプーチン大統領は17日の年次記者会見で、来年の米大統領選で共和党の指名獲得を目指す実業家ドナルド・トランプ氏を「聡明で才能に恵まれた人物であることは疑いがない」と高く評価した。>

プーチン曰く、トランプは「聡明で才能に恵まれた人物」だそうです。もちろん、不動産王でアメリカ大統領選トップを走る人ですから、「聡明で才能に恵まれた人物」であることは間違いありません。

しかし、プーチンがいうと、「変な感じ」がしますね。プーチンが、オバマやブッシュについて、「聡明で才能に恵まれた人物」とほめたのを、少なくとも私は聞いたことがありません。

ちなみに、トランプは、「親ロ」ということで、ロシアでは人気があります。

<他の共和党候補がロシアの孤立化政策を訴えるのに対して、トランプ氏は米ロ間の関係強化を主張している。

トランプ氏も17日、プーチン氏の発言を受け、「国内外で高く尊敬されている人物からほめられるのは非常に光栄なことだ」と好意的な発言を行った。

「私はテロ打倒や世界平和の回復に向けて、ロシアと米国は緊密に協力できるはずだと常々考えてきた。互いの尊重から生まれる貿易など他のあらゆる利益は言うまでもない」>(同上)

トランプ曰く、プーチンは「国内外で高く尊敬されている人物」だそうです。

ヒラリーさんは、「クリミア併合」について、「プーチンはヒトラー」と発言していた。えらい違いですね。

KGB(後FSB)でトップまでのぼりつめ、その後大統領になったプーチン。
不動産王のトランプ。まったく違う二人が、「惹かれあう」のはなぜなのでしょうか?

▼プーチンは、「親ロ」なら誰でも歓迎

まず、ロシアから。プーチンは、今「絶好調」といえます。

まず、「クリミア併合」から起こった「ウクライナ問題」。欧米も世界も今や、ウクライナのことを、ほとんど思い出しません。哀れなウクライナ。

欧米から見捨てられ、ロシアへの借金が返済できず、デフォルト状態になっています。

次に、「イスラム国」(IS)退治のためのシリア空爆。

日本人にはちょっと想像しがたいことですが、ロシア国民は圧倒的にこれを支持しています。その結果、「支持率90%」という、驚きの数字になっている。

しかし、安泰に思えるプーチン政権にも、大きな悩みがあります。それが「経済」。ロシア経済は今、「トリプルパンチ」に襲われています。
1、欧米+日本による経済制裁
2、ルーブル大暴落(クリミア併合前は1ドル35ルーブルだったが、今は70ルーブ
ルまで下落。)
3、原油価格大暴落(バレル120ドルが現在では3分の1以下まで大暴落。)

ロシア、GDP2015年は、マイナス4%程度になる予測。そして問題は、「原油価格低迷は、シェール革命による供給過剰が原因である」こと。つまり、「長期化しそう」である。

資源依存国家ロシアは今、「どうすれば不況から脱却できるか?」わからず、「明るい未来が描けない」状態なのです。

このような不景気が長期間つづけば、さすがのプーチン政権も不安定になる可能性が出てくる。では、どうするか?

とりあえず、ロシアの望みは、「制裁を解除してもらうこと」でしょう。

そうすれば、欧米+日本の金融機関から資金を調達できるようになる。

欧州まで、(ウクライナを経由しない)新たなガスパイプラインを建設できるようになるかもしれない。

日本まで、「ガスパイプライン」をつくってもいいですね。いずれにしても、「制裁解除」は、いろいろな可能性をロシアにもたらす。

では、誰が「制裁解除」を邪魔しているのか?

プーチン好きの安倍総理や、ロシアへの石油・ガス依存度が高い欧州ではありません。

ロシアを制裁してもほとんど経済的打撃を受けないアメリカです。だから、アメリカ大統領を説得しなければ、制裁は解除されない。しかし、アメリカ大統領候補は、一人を除いてみんな「反ロシア」である。

唯一トランプだけは、「親プーチン」を公言している。だから、プーチンがトランプに期待するのは当然なのです。

▼トランプは、なぜ親プーチン???

プーチンがトランプをほめる理由はわかりました。では、トランプは、なぜ親プーチンなのでしょうか?彼の内面まではわかりませんので、「想像」するしかないのですが。

まず、トランプは、どういう「世界観」をもっているのでしょうか?はっきりしているのは、彼が・移民の大量受け入れに反対であること。このことは、以下の発言からはっきりわかります。

<トランプ氏はこれまで、「メキシコ移民はアメリカに薬物や犯罪を持ち込み、レイプ犯もいる」と述べるなど差別的な発言を繰り返し、大統領になったら「国境に万里の長城を造る」と表明している。>(日テレニュース24)

「国境に万里の長城をつくる!」なんともわかりやすい表現です。トランプは、移民の大量受け入れに反対。さらに、はっきりしていることがあります。

彼は、・反イスラム教である。このことは、以下の記事からはっきりわかります。
<トランプ氏、イスラム教徒の米入国禁止を提案[ワシントン 7日 ロイター] - 米大統領選で共和党の指名候補争いの首位に立っているドナルド・トランプ氏は7日、イスラム教徒の米入国を禁止するよう主張した。カリフォルニア州で先週発生した銃乱射事件の犯人はイスラム教徒だった。> (ロイター12月8日)

ここまで、トランプが、「移民大量受け入れ反対」「反イスラム教」であることがわかりました。

「反イスラム教」ですが、要するに「マジメなイスラム教徒」と「ISテロリスト」の「判別がとても難しい」ということなのでしょう。

では、彼は「いつから親プーチン」になったのでしょうか?
<トランプ氏は9月にテレビ番組で、「ロシアはISISを排除したいと考えており、われわれもそうだ。ならばロシアの好きにさせればいい。ISISを排除させるのだ。気にすることなどない」と発言。シリア内戦への米国の深入りを避けるとともに、ロシアによる主導権の掌握を許容すべきだと主張していた。>
(CNN.co.jp 12月18日)

トランプが、「プーチン支持」を鮮明にしはじめたのは、「ロシアがシリアのISを空爆しはじめた時」だったのです。

なぜでしょうか?今までRPEで何度も書いてきましたが、アメリカと有志連合の空爆は、ほとんど成果がありませんでした。2014年8月から空爆を開始した。

ロシアが空爆を開始した9月末までの1年1か月、ISは弱体化するどころか、ますます支配地域を拡大していた。

これは、「アメリカ軍がロシア軍より弱いから」ではもちろんありません。ISは、非常に残虐で困った存在ですが、反欧米のアサド政権と戦っている。

だから、欧米は、「ISを反アサドで利用したい」という下心があるため、空爆が真剣ではない。

(@ISにまつわる驚愕の事実は、こちらの記事をご一読ください。

●プーチン激怒~ロシア軍機撃墜事件の
“深い闇”http://diamond.jp/articles/-/83224

●パリ同時多発テロが起きるほどにIS膨張を許した戦犯は誰か?
→ http://diamond.jp/articles/-/81993/ 

トランプは、こういう状況に腹を立てていたのではないでしょうか?

正直いえば、アメリカ人にとって、「アサドがシリアの大統領か、別の人が大統領か?」など、どっちでもいい。

しかし、ISが強力になり、アメリカでテロを起こすのは、大問題です。

だから、トランプは、オバマが「ダラダラ空爆」でISとまったく真剣に戦わないことにムカついているのでしょう。

一方、プーチン・ロシアは、たった2か月の空爆で、大きな戦果をあげています。ISをアサドと戦わせたい欧米とは違い、ロシアには、「『親ロシア』アサド政権を守るためにISと戦う」という、二面性のない動機がある。

だから、空爆も真剣なのですね。

そして、トランプがプーチン支持なのも、「奴ならISを本当に退治してくれるかもしれない」と思っているからなのではないでしょうか?

▼トランプは、ポピュリストか?リアリストか?

トランプは、テロに怯えるアメリカ国民の心理を巧みにとらえたポピュリストなのでしょうか?彼が大統領になれば、過激な言動で大問題を起こしそうな気がします。

しかし、一方で、とても「リアリスト的」である一面もみえます。

もう一度CNNの記事を。

<トランプ氏は9月にテレビ番組で、「ロシアはISISを排除したいと考えており、われわれもそうだ。ならばロシアの好きにさせればいい。ISISを排除させるのだ。気にすることなどない」と発言。シリア内戦への米国の深入りを避けるとともに、ロシアによる主導権の掌握を許容すべきだと主張していた。>
(CNN.co.jp 12月18日)

「アメリカはシリアへの関与を大幅に減らし、ロシアにやってもらおう」といっている。
実はこれ、リアリストの大家・ミアシャイマー・シカゴ大学教授と同じこといってるのですね。
ミアシャイマーさんは、2014年末に来日された際、「あなたが国務長官になったら何をしますか?」という質問に、

・IS問題を解決する

アメリカは関与を減らし、トルコやイラン、他の地域の大国にやってもらう。
(トランプは、「ロシアにやってもらう」といっているが、本質は変わらない。)

・ウクライナ問題を解決する

ウクライナは、「緩衝地帯」「中立」ということで、ロシアと合意する、と語りました。

(●ミアシャイマーさんの名演説はこちら。↓https://www.youtube.com/watch?v=3ZV97GUdHzA 


そして、アメリカは、本当の脅威である中国との戦いに集中する。

トランプは、「親ロシア」であると同時に、「反中国」なのです。
(ちなみに、トランプは「日米安保の片務性」について日本を批判しています。)トランプは、ポピュリストなのか?それとも、リアリストなのか?

まだ何ともいえませんが、過激な発言の中に、「リアリスト的要素」が入っていることは、間違いありません。

今後の言動を注意深く見守っていきましょう。






    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック



日本は何と偉大な国だろう、大学や企業が失敗を恐れずに困難な研究開発課題に果敢に挑み(チャレンジ)、新たな成長分野を切り開いていく(イノベーション)、 新たな科学技術のシステムを始めた。政府の科学技術・イノベーション政策の司令塔である総合科学技術・革新的研究開発推進プログラム ImPACTである。


原子力発電所などで生じる放射性廃棄物の処理問題は日本のみならず世界的な問題である。現在高レベル放射性廃棄物はガラス固化し安定した大深度の地下地層に廃棄するしか選択肢がないが、根本的解決策ではない。長期間保管に不安であり後の世代に負担を強いる。

世界に先駆け有害な放射線を何十万年も出し続ける「核のごみ」などを、無害な別の物質に変えてしまう「核変換」技術を確立し、何百万年も放射能を放す物質を安定核種や短寿命核種に核変換し、廃棄物の放射能を効率良く弱めたり、パラジウムやモリブデンなどの貴重資源を採集する方法を開発することにより「核のごみ」などを無害化する研究を2014年に始めた。

イメージ 1

イメージ 2


そして、理研がその第一歩として世界初の破砕反応データ取得に成功した。
要旨
理化学研究所(理研)仁科加速器研究センター櫻井RI物理研究室のワン・へ国際特別研究員、櫻井博儀主任研究員と多種粒子測定装置開発チームの大津秀暁チームリーダーらの研究チームは、理研の重イオン加速器施設「RIビームファクトリー(RIBF)[1]」を用いて、放射性廃棄物の主要な成分であるセシウム-137(137Cs、原子番号55、質量数137)とストロンチウム-90(90Sr、原子番号38、質量数90)を不安定核ビームとして取り出し、破砕反応[2]のデータ取得に世界で初めて成功しました。

原子力発電所などで生じる放射性廃棄物の処理問題は日本だけでなく、世界的な問題です。この問題を解決するためには、長寿命の放射性核種[3]を、安定核種もしくは短寿命核種に効率良く核変換し、放射能を弱める方法を開発することが必要です。そのためには、開発の基盤となる核反応データを取得することが重要です。

研究チームが着目した137Cs(半減期30.1年)と90Sr(半減期28.8年)は、熱中性子捕獲反応[4]では、核変換しにくいことが知られています。そこで核変換の反応として、陽子と重陽子[5]を照射することにより、これらの放射性核種を壊す反応(破砕反応)を考えました。しかし、137Csと90Srの破砕反応の確率やどうような核種にどれだけ変わるのか、その基礎データはありませんでした。そこで研究チームは、RIBFを用いて137Csと90Srをビームにし、陽子と重陽子を標的にして照射する「逆反応法[6]」を利用してデータを取得しました。

実験の結果、陽子や重陽子に137Csと90Srのビームを照射することで起こる破砕反応の確率は、熱中性子捕獲反応に比べて、137Csで約4倍、90Srで約100倍大きいことが分かりました。また、重陽子は陽子に比べて、破砕反応が起こる確率が約2割大きく、ビーム核種を軽い核にする能力も高いことが明らかになりました。これは、陽子だけでなく重陽子ビームを利用した方法も破砕反応法には有効だということを示しています。さらに、反応後の原子核の半減期の分布から、137Csは89%、90Srは96%の確率で安定核もしくは半減期1年以下の短寿命核に核変換されることが分かりました。今後、RIBFで多種多様な核変換データを取得し、効率の良い核変換法を模索していきます。

本研究は、文部科学省・原子力システム研究開発事業の委託費(平成25~26年度)で推進されました。成果は、欧州の科学雑誌『Physics Letters B』のオンライン版で1月11日より公開され、3月10日号に掲載されます。

背景
原子力発電所などで生じる放射性廃棄物の処理問題は日本のみならず世界的な問題です。この問題を解決するためには、放射性廃棄物に含まれる長寿命放射性核種を安定核種や短寿命核種に核変換し、廃棄物の放射能を効率良く弱める方法を開発する必要があります。

長寿命放射性核種は、ウラン燃料の中性子捕獲によって生成されるマイナーアクチノイド[7]と、ウランの核分裂よって生成される核分裂生成物に大別できます。マイナーアクチノイドについては、高速増殖炉や加速器駆動型原子炉などで得られる高速中性子を利用した核変換が長年にわたって研究されており、基礎的・系統的な反応データの蓄積があります。一方、核分裂生成物については核変換に関連する反応データはほとんど取得されておらず、放射能を効率良く弱めるための基盤開発・技術開発が進んでいません。

研究チームは、核分裂生成物の中でも大きな比重を占めるセシウム-137(137Cs、原子番号55、質量数137)とストロンチウム-90(90Sr、原子番号38、質量数90)に着目しました。これらの核種は、熱中性子の捕獲確率が小さいため、原子炉内で核変換されず放射性廃棄物として残ります。すなわち、熱中性子捕獲反応(熱中性子を利用した核変換)では効率が上がりません。そこで研究チームは137Csと90Srを核変換するための反応として、陽子や重陽子ビームをこれら核種に照射し壊す反応(破砕反応)を考えました。破砕反応は、高エネルギー陽子や重陽子ビームを壊したい核種(標的核)に衝突させ、標的核を壊し、他の軽い核種に変える反応です。137Csと90Srの場合、破砕反応の確率はほぼ原子核の大きさで決まるため、熱中性子捕獲反応による核変換の確率よりも大きいことが予想されました。しかし、これら核種の破砕反応の確率やどうような核種にどれだけ変わるのか、その基礎データはありませんでした。

研究手法と成果
研究チームは、137Csと90Srを理研の重イオン加速器施設「RIビームファクトリー(RIBF)」を用いてビームにし、陽子と重陽子を標的にして照射する「逆反応法」を使って137Csと90Srがどのような核種にどれだけ壊れるかを調べました。

まず、RIBFの超伝導リングサイクロトロン(SRC)[8]で光速の約70%(エネルギーで核子当たり345 MeV)まで加速したウラン-238(238U、原子番号92、質量数238)ビームをベリリウム標的に照射しました。その後、照射により核分裂反応で生成した137Csと90Srを超伝導RIビーム生成分離装置(BigRIPS)[9]を用いてビームとして取り出しました。取り出したビームの速さは光速の約60%(エネルギーで核子当たり186~187 MeV)で、この高速の不安定核ビームを陽子と重陽子の標的(二次標的)に照射し、反応生成物を下流のゼロ度スペクトロメータ[10]で捕らえました(図1)。

逆反応法の利点は3つあります。1つ目は、137Csと90Srの厚い標的を用意する必要がない点です。これらの核種で厚い標的を作ると放射能が高くなる問題が生じます。2つ目は、ビーム種と反応生成物を一つひとつ粒子として識別することができる点です。これにより、137Csと90Srがどのような核種にどれだけ壊れるのかを正確に調べることができます。3つ目は、陽子標的と重陽子標的の違いを調べる際に、ビームのエネルギーを揃えてデータを取得することが容易な点です。ビームのエネルギーはBigRIPSの設定で決まり、いったん設定を固定した後は、標的を変えるだけで系統的なデータを取得できます。

実験の結果、陽子や重陽子に137Csと90Srのビームを照射することで起こる破砕反応の確率は、熱中性子捕獲反応に比べて、137Csで約4倍、90Srで約100倍大きいことが分かりました(図2)。また、標的の陽子と重陽子を比較すると、破砕反応の確率は重陽子の方が約2割高く、ビーム核種を軽い核にする能力が高いことが分かりました。これは、陽子と中性子で構成される重陽子が、137Csや90Srと反応する際に陽子と中性子がバラバラに反応に関与せず同時に反応するからだと考えられます。

過去に137Csや90Srを核変換する反応として、高エネルギー陽子を利用した破砕法が考慮されたことがありましたが今回の結果で、陽子だけでなく重陽子ビームを利用した方法も有効であることが示されました。

137Csと90Srのビームを重陽子に照射した後に生成された原子核の半減期の分布を図3にまとめました。陽子に照射した後に生成された原子核の半減期の分布も、ほぼ同じようになりました。137Csでは生成された原子核の89%、90Srでは96%が安定核もしくは半減期1年以下の短寿命核です。生成された原子核の中には長寿命のセシウム-135(135Cs、質量数137、半減期200万年)とセレン-79(79Se、原子番号34、質量数79、半減期30万年)も含まれました。137Csから135Csが、90Srから79Seが生成する確率は、研究チームのデータからそれぞれ約6%、約0.1%と小さいものでした。これらの核種の半減期は、137Cs(半減期30.1年)や90Srの半減期(半減期28.8年)に比べて非常に長いため、崩壊の頻度が低く、137Csと90Srと比べると放射能にはほとんど寄与しないことが分かりました。

今後の期待
今回の実験により逆反応法を利用することでこれまで測定できなかった、長寿命放射性核種の核反応データが取得可能なことを世界に先駆けて示すことができました。この実験手法の開発が契機となり、仁科加速器研究センターは、革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)「核変換による高レベル放射性廃棄物の大幅な低減・資源化」事業に参画することになりました。今後、RIBFで多種多様な長寿命核種の核変換データを取得し、効率の良い核変換法を模索していきます。


反原発派が常にその根拠としたトイレがない家論を打ち砕く画期的な放射性廃棄物処理実験が始まった。
原発の使用済み核燃料に含まれる放射性物質に中性子をぶつけて、毒性が低い物質に変える「核変換」の研究が来年度から本格的に始まる。実用化までの道のりは30年以上と長いが、高レベル放射性廃棄物を減らす切り札として期待は大きい。(伊藤壽一郎)

                   ◇

「現代の錬金術」

 安倍政権は原発を「重要なベース電源」と位置付け、今後も活用していく方針を打ち出している。その最大の課題は昨年3月末時点で1万7千トンに達した使用済み核燃料の処分だ。

 使用済み燃料を再処理してウランやプルトニウムを回収した後に残る高レベル放射性廃棄物は、ネプツニウム237(半減期214万年)やアメリシウム243(同7370年)など、半減期が長く毒性が高い複数の元素が含まれている。これらはガラス固化体に加工して冷却後、人体への影響が低くなるまで数万年間、地下深くに貯蔵する地層処分となるが、最終処分場はまだ決まっていない。このため量を減らす方法の開発が急務になっている。

 放射能を持つ元素の原子核は、放射線を出しながら時間とともに崩壊し、自然に別の元素に変わる。核変換はこれを人工的に加速させる技術で、原子核に中性子をぶつけて核分裂を起こさせ、半減期が短く毒性が低い物質に変えていく。いわば「現代の錬金術」だ。

もんじゅ停止契機

 この研究は当初、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)が担うはずだった。核変換に必要な高速の中性子が運転時に発生するからで、長寿命の放射性元素を燃料に混ぜ、短寿命化する研究が検討されてきた。

 しかし、トラブル続きのもんじゅは運転実績がほとんどない上、機器の点検漏れなどで原子力規制委員会から無期限の運転停止を命じられている。再稼働すれば研究も進められるが、先行きは全く見えない。

 このため文部科学省の作業部会は昨年11月、原子力機構などの加速器施設「J-PARC」(茨城県東海村)に、加速器を使った核変換の実験施設を建設すべきだとする報告書をまとめた。

 総工費220億円で2015年度に着工、20年にも実験を開始する。基礎データを蓄積した後、30年ごろから実用化に向けた新施設を建設し、50年ごろから核変換を行う見通しという。

 核変換の仕組みはこうだ。長寿命の放射性元素を容器に入れて、中心部に鉛とビスマスからなる重金属の核破砕ターゲットを配置。ここに超電導加速器で光速の約90%に加速した陽子をぶつける。

 重金属から高速の中性子が飛び散るように発生し、放射性元素の原子核に衝突。核分裂が始まり、電子を放出しながら核種が変わるベータ崩壊を繰り返し、短寿命で毒性が低い物質に変わっていく。

 陽子は2年間当て続ける計画で、放射性元素は大半が短寿命化。理想的な反応が起きた部分は、放射能がない物質に変わる。

 研究を担当する同機構の大井川宏之核変換セクションリーダーは「ネプツニウム237の場合、10%未満は長寿命のまま残る可能性はあるが、多くは放射能のないルテニウム102とセシウム133に変換される」と話す。

鍵握る分別技術

 高レベル放射性廃棄物はこれまで、ひとまとめに加工してガラス固化体にされてきた。核変換を行う場合は目的の元素を取り出す分別が必要で、これが処理の効率化にもつながる。

 ルテニウムやロジウムなどの白金属は、分別により資源として再利用が可能に。ストロンチウムなどの発熱性元素を分別すれば、冷却時間や地上の保管面積、地層処分量を削減できる。この結果、高レベル廃棄物は貯蔵面積が従来の100分の1、容積が3分の1になり、貯蔵期間も約300年に短縮する。

 一方、分別は今後の技術的な課題でもある。高レベル廃棄物から目的の元素だけを抽出する実証実験はこれからで、実用化時は大規模な処理施設も求められる。また、重金属から高速の中性子を効率よく発生させるための陽子照射方法の研究も必要だ。

 大井川氏は「加速器は日本の得意分野であり、その技術を応用して課題を克服し、原子力の安全利用と廃棄物処分の効率化を目指したい」と話している。

[日本経済新聞電子版2015年6月15日配信]
有害な放射線を何十万年も出し続ける「核のごみ」などを、無害な別の物質に変えてしまう「核変換」。東京電力福島第1原子力発電所の廃炉処理にも 役立つと期待されるが、実現には大がかりな装置が欠かせないと考えられている。だが東北大学と三菱重工業が組み、核変換を簡単な装置で実現できるかもしれない研究が始まった。そのきっかけとなったのは、かつて誤りとされた「常温核融合」の研究だ。

■東北大学に研究部門を開設 三菱重工からも研究者
今年4月、全国共同利用・共同研究拠点の1つで原子核理学の研究を進める東北大電子光理学研究センターに「凝縮系核反応共同研究部門」が誕生した。セン ターと研究開発型ベンチャーのクリーンプラネット(東京・港、吉野英樹社長)が共同で設立した。原子核物理学が専門の笠木治郎太・研究教授が中心となり、 小型装置を使う低温条件での核変換技術の開発を進める。放射線が出ない水素をヘリウムに核変換したり、数十万年以上も放射線を出し続ける物質を放射線が出ない安定な物質に変えたりして熱エネルギーを取り出し、活用するのが目標だ。
常温核融合研究の成果か!

核変換の実用化までには時間がかかるが、これで反原発を叫ぶクズな左翼達の論拠が一つ消える。




























    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


昨日毎月原宿で開かれている某勉強会にに出席してきた。
講師は共同通信社の元ソウル支局長、現共同通信社客員論説委員:安尾芳典さんである。

北朝鮮情勢と核実験、長距離弾道弾については、核も水爆ではなくブースト型原爆、しかもで失敗であったし、長距離弾道弾も大気圏外への射出に成功したが、大陸間弾道弾として使用できるレベルにはまだまだ到達してはいかったが、3年前の実験から比べると、北朝鮮ウォッチャー達が予想していたレベルを遥かに超える技術的大躍進を遂げたという。

次の実験が3年後の2019年になるが、このままでいくと2019年にはもしかするとICBMとして実用化出来るレベルに到達するかもしれないというのが安尾氏の持つ情報による見解であった。

経済破綻し、国民が飢餓に苦しむ独裁国家にここまで技術的ブレイクスルーを成し遂げるには資金的裏付けがないと成し遂げることができない。

日本の報道やネット情報や報道されたイメージからすると金正恩は傾家蕩産の三代目、豚みたいに太った愚か者だが、実は見た目と違うのではないか?

賢いという言葉が適当ではないが、馬鹿で愚か者であればとっくに暗殺され、今回の実験のように日米中露韓に危機感を感じさせる成果を挙げることは出来なかった。金正恩侮るなかれ・・・彼は立派な独裁者になりつつある。

政治家としては、同年代の宮崎謙介や上西小百合は言うに及ばず、バラク・オバマや習近平、朴槿恵より遥かに能力が高いかもしれない。

ある意味で独裁者として成功している。あんなどうしようもない国家を任され、金王朝を引き継ぎ、まがいなりにも3年存続させている。

金正恩登場後、父親の金正日が行った先軍政治を止め、北朝鮮の最高路線に掲げられた核と経済の並行開発という並進政策は実に合理的であり、冷静に考えれば馬鹿な30代のお坊ちゃまに出来ることではない。

しかも、成果が出始めてきている。

北朝鮮の通常戦力ではとても韓国や中国に対して対抗することが出来ない。例え奇襲攻撃を行い緒戦で勝利したとしても継戦能力は無い。

金正恩は通常戦力を切り捨て北朝鮮人民軍のリストラを決断したのだ。
だから、軍の幹部を次々処刑しても平気なのだ、いやむしろ老幹部を次々処刑し人民軍の弱体化を計っているのだ。

国家安全保障は核兵器と弾道ミサイルを保有することで担保できると割り切り、将来ICBMを保有すれば十分と、金食い虫の人民軍を大胆に削減、軍幹部を粛清処刑しまくり、代わりに科学者やロケットエンジニアを超優遇しているのだ。

通常戦力をリストラすることにより、軍隊に架かる無駄を削り経済の再構築と、ICBM開発に集中させている行動は、経営論の基本中の基本"selection and concentration" 選択と集中)を国家として実践しているのだ。善悪を別としてこの点は金正恩を侮ってはいけないのだ。

リストラした軍関係の社会資本も無駄にしていない。

金正恩の愚かさの代名詞の馬息嶺(マシンニョン)スキー場だがあそこは元の軍のスキー部隊の訓練施設であった。ピョンヤンにある美林乗馬クラブはピョンヤン市の東郊外にあり、2013年に完成した。もとは朝鮮人民軍直属の騎兵の訓練場だった。軍の社会資本を民間に開放し、あまつさえ外貨を稼ぐことも狙っている。

イメージ 5
北朝鮮が、2億ドルを投入して、元山の軍用飛行場を観光客用のハブ空港に転用していることは象徴的だ。韓国との国境付近にある金剛山(クムガンサン)国際観光特区内のカルマ飛行場はその象徴ではないか?

地図を見れば一目瞭然だが本来韓国国境の軍用飛行場は国防の最前線であるはず。乗馬クラブとスキー場だけではただの、金持ちのボンボンの道楽の範囲内だが、カルマ新国際空港は道楽ではなく軍のリストラ政策である明確な証拠である。金日成~金正日時代にはありえない政策だ。

イメージ 7
イメージ 9
カルマ新国際空港 左の女性はタイプだなぁ北朝鮮の女性は韓国と違い整形美人は少ないはずだ。

私(Ddog)は、けっして金正恩を評価するのではないが、父親の金正日が何故金正恩を後継者にしたのか理解できた。軍をリストラする決断力、叔父と言えども処刑する冷徹な性格、加えて、帝王学を学ばせ、北朝鮮の中でも唯一国際感覚を備えていることだろう。

1996年9月よりスイスに留学し、母国語以外に英語、中国語、ロシア語、ドイツ語、フランス語など数ヶ国語を話せるとする報道もある。日本語についても漢字の書き取りなどをしていたとされ、91年にTDLを偽造パスポートで行ったとされ来日経験もある。日本については国力差を認識する発言を残している。
※金一家の料理人であった藤本健二によれば「米国に戦争で負けたのに、あの復活はすごい。商店には品物があふれている。我が国はどうか……」と日本に対する好感情を口にしていたという。

金正恩とて、北朝鮮を引き継ぐことは本意ではないだろう。だが、兄二人が逃げたのかお鉢がまわってきてしまった。彼は、必死に生き残り策を考えたのであろう。結論が通常兵器と軍の削減と核武装、経済復興の併進政策ではないだろうか?

軍のリストラは成果を上げてきた。通常兵器を削減した分、経済成長に人と金を回している。世界中から孤立し中国と韓国ロシアを騙し僅かに交易している現状では驚異的だ。

韓国銀行の統計では、北朝鮮は1990年から9年連続でマイナス成長で、1999年からプラス成長に転じている。ただ、2006、2007、2009年、2010年はマイナスだった。だが成長率は低いものの、2011年に0.8%、2012年1.3%、2013年1.1%、そして2014年1.0%と発表していると紹介、それは「北朝鮮が国連の経済制裁や日本・韓国の経済制裁が続いているなかでのプラス成長が続いている。

因みに日本は2011年-0.45%2012年1.74%2013年1.592014年-0.10%2015年0.59%と成長率だけなならアベノミクスに負けていない。経済規模が小さな北朝鮮と比べてもしかたがないが、4年連続でプラス成長と推定したことに意味がある。つまり、金正恩が本格的に政権を担うようになってからはプラス成長していることになる。

少なくとも2015年は偽りの統計を出す中国はマイナス成長だった可能性が高く、中国経済の崩壊の影響を受けた韓国より経済成長している可能性がある。
4回目の核実験を強行したため、国連主導で経済制裁を強化される見込みの北朝鮮。これまで北朝鮮といえば、国家が人民統治と軍拡に突き進むあまり財政的に困窮し、一般庶民の暮らしは「飢えとの闘い」というイメージが強かった。

 ところが、最近では“赤い資本家”、「ドンジュ(金主)」と呼ばれ、私財5万ドル(約620万円)を保有する新興富裕層が約6万人にまで増えているといわれる。各方面から報じられるドンジュの豪勢な生活ぶりは、にわかに信じがたい。

 平壌を中心とした繁華街には、多くの高層ビルやマンションが建ち並び、人々はスマホを片手にマイカーに乗り、高級百貨店やスーパーに向かう。そこで外国の輸入食品やブランド品、家電などを買い漁り、帰りにはレストランや24時間営業のコーヒーショップでくつろぐ――。この光景だけ見れば、北朝鮮経済は好転しているかのように映る。

 確かに、2011年に金正恩第一書記が政権を継承して以降、北朝鮮経済は少しずつ上向いている。韓国銀行の調べによれば、北朝鮮のGDP実質成長率は2011年より4年連続でプラス成長を続けている。

「金正恩は人民の離反を恐れて生活向上を掲げ、一定の市場原理を認める経済政策に舵を切った。その結果、政府公認の『闇市場(チャンマダン)』や民間で金融・不動産業を営む人たちが現れ、そうした資本家から資金を“上納”させる仕組みもできあがってきた」(全国紙記者)

『コリア・レポート』編集長の辺真一氏も、富裕層増加の背景を語る。

「これまで北朝鮮は表向き、国家予算の10%あまりを国防費に回していると言われてきましたが、実際は30~50%の資金をつぎ込んできたのは紛れもない事実。そして、核やミサイルなど大量破壊兵器を保有するに至り、水爆まで手にしたと宣言しています。

 ここまでくると、もはや通常兵器に予算をかけなくても済む状況で、金正恩は国家予算の一部を民生部門に回し始めています。これが経済成長を促す契機になっているという見方はできます」

しかし、今後も北朝鮮経済が伸び続けると考えるのは早計だ。辺氏が続ける。

「国民の生活向上が伝えられる平壌は全人口の10%、およそ200万人しか住んでいませんし、その中でも莫大な富を築いて潤っているのは一部の特権階層にすぎません。闇ビジネスも含めて、北朝鮮の地下資源や水産資源を外国に売り飛ばすなど、貿易関連で利権や権益を握っている勢力に限られます。

 その一方、平壌以外の地方に住む9割の人たちは、いまだに貧困に喘いでいるのは間違いありません。本当に経済が良くなっているなら、食糧問題も医療問題も自前で解決できるはずですが、北朝鮮はいまだに世界食糧計画(WFP)からの援助に頼っている。それが何よりの証拠です」

 そして、国際社会の中で孤立を深める新たな核開発は、金正恩が目論む経済発展との「並進路線」にも悪影響を及ぼす可能性が高い。

「今後、国連の経済制裁が強まれば貿易も思うようにいかなくなり、カネやモノの流れが再び鈍くなる。もともと1%台前半の経済成長率ですから、またいつマイナス成長に転じてもおかしくありません」(辺氏)

 上辺だけの“成金政策”を内外にアピールできるのも、今のうちだけだ。
ピョンヤン市内には最近新しいレストランが開店し賑わっている。しかも訪朝した安尾氏の話だと美味しくなっているというのだ、競争が激しいのだそうだ。

そう、北朝鮮は中国の解放改革政策を取り入れ、中国と同じく擬似資本主義化政策を推進しているのだ。

工場や農場、職場では社会主義ではありえない一人あたりの生産量のグラフが張り出され、一定生産量以上は自由に売っていい自由化が推進されているという。

おかげで、農業は大きな農業改革となり生産量が増えているという。
例えピョンヤンだけがショウウインドウだとしても金正恩にすれば十分な成果だろう。元山はじめ地方都市にも成果が表れている。

【衝撃】北朝鮮がいつの間にか色とりどりの高層ビルが立ち並ぶ超大都会になっていた!! 【Netgeek】2015年11月16日

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3


以上の写真はCGではなくピョンヤンの最近の写真なのだ。本物自体中身を伴わない作りものだから、どこかCGに見えてしまうのもしかたないだろう。

オバマ政権は本当に愚かにも北朝鮮政策は戦略的忍耐政策というほったらかし政策であったが、完全に裏目になった。

日本も米国も厳しい北朝鮮制裁政策をしたいのだがこれだけ孤立していると限界がある。世界中が結束して北朝鮮籍の船舶を入港させないなどを考えてはいても中国がそれをさせない。

表向き中国は北朝鮮の擁護者だが、北朝鮮の弾道ミサイルは中国にも向いている。北朝鮮の崩壊は中国に大量の難民が流入することを危惧し北朝鮮に原油の供給停止を行っても裏で年間50万トン程度供給を続けている。

面子を潰され中国は北朝鮮に対し激怒しているのも事実だ。だが歴代中国の王朝は朝鮮を忌み嫌い支配しようとしなかった。隋の滅亡は高句麗遠征であったり、支配しても得るものが無く、中国共産党も緩衝国家として自ら支配することは望んでいないようだ。

北朝鮮が核保有国となれば、その核が中国に向いたり、核兵器による事故、そして核ドミノが起き韓国・日本が核保有国になることを恐れ、中国は依然6カ国協議を進めたいと言うのだが、完全に無意味だ。

韓国国内では朝鮮日報を筆頭に核武装したいと言う意見が強くなってきている。ただし、これは日米が許さない、朴槿恵の父親の朴正煕暗殺事件の真相は核兵器保有の計画を進めたことで米国が暗殺したとされる見方が多い。

※当時、韓国政府は極秘裏に核兵器開発計画を進めており、アメリカ政府の怒りを買っていた。当時のカーター政権と朴政権との関係は米軍撤退をしたいなど様々な問題で最悪の状況だった。このため、暗殺にアメリカ中央情報局(CIA)が関与したとする見方が大半であるが、真相は明らかではない。いずれにしても、朴正煕大統領の暗殺によって韓国の核兵器開発計画は挫折した。

北朝鮮は米朝2か国協議を求めている。中国は北朝鮮に影響力を行使するとしたら軍幹部を唆しクーデターを成功させることぐらいだが、軍と中国に対し警戒心は強く、疑わしきは即処刑される北朝鮮では実行は難しいとされている。

もはやICBM保有目前の北朝鮮を誰も止めることは出来ない。





    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


イメージ 1

中国、南沙諸島に地対空ミサイルを配備
【BusinessNewsLine】2016.02.17, by Joseph Hoffman

中国が周辺諸国と係争問題を引き起こしている南沙諸島に地対空ミサイルを配備したことが16日、Fox Newsによるスクープ報道で明らかとなった。

中国が南沙諸島に地対空ミサイルを配備したことは、ImageSat International (ISI)が撮影した衛星画像の解析によって明らかとなったものとなる。

Foxでは、2月3日に撮影された映像にはミサイルは写ってはおらず、その後、2月14日に撮影された映像で初めてミサイルが確認されたことから、中国によるミサイル配備はこの1~2週間の内に行われた可能性が高いとしている。

これまで、中国は南沙諸島で進めている人工島などの整備は平和目的のものとする説明を行ってきた。

南沙諸島の周辺海域では、米国海軍の艦船と中国との間でこのところ緊張状態が続いていたこともあり、今回の中国によるミサイル配備により、米国を含む周辺のアジア諸国との間で増している緊張関係はより一層、その度合いを増すことも懸念されている。
ああ、やっぱり・・・
遂に不沈空母になってしまった。何が平和利用だ!この中国を放置する弱腰のオバマは史上最低の米大統領だ。これじゃトランプが大統領になりかねない。

といっても、トランプは中国と戦争する気もないだろう。むしろ内向きになりかねないと危惧している。

習近平は昨年9月のオバマ米大統領との共同会見で、「軍事化の意図はない」と発言したのだが、これは世界に対して詐称を働いたことになる。

地対空ミサイルが配備されたのは、西沙の永興島(ウッディ島)。
海岸線に少なくとも8基の地対空ミサイル発射台とレーダーシステムが配置されているのが写っている。
配備されたのはHQ9(紅旗9)と呼ばれる、射程6~120kmのロシアの長距離地対空ミサイルS300をパクッタ対空ミサイルシステムだが、Englishのwikipediaには最大射程200Kmと記載されている。

イメージ 2

地図を見てほしい、グーグルマップで永興島(ウッディ島)を検索して、半径120Km(青色)と200Km(赤色)の円を描いた。

永興島(ウッディ島)はまさに、西沙諸島/南シナ海のド真ん中である、HQ-9対空ミサイルの射程が200Kmであればほぼ南シナ海の中心部をカバーする要なのである。

イメージ 3


更に南沙諸島には対空機関砲も配備され、習近平の言葉と裏腹に軍事化が進んでいる。

世界から嘘つきだと非難されても、米軍が西沙にイージス艦を派遣する「航行の自由作戦」や、米戦略爆撃機B52の飛行に対する対抗措置だと強弁するであろう。

中国が嘘つきなのは今に始まったわけではないが、王毅外相に至ってはこの情報がねつ造だと言い張る・・・本当に知らないのかも知らないが、その厚顔無恥さに呆れかえる。

日本の歴史認識とか偉そうに言うが、南シナ海の軍事化は中国がアジアの秩序を乱す張本人である動かぬ証拠である。


【緊迫・南シナ海】中国のミサイル配備は「明らかに軍事拠点化」、米報道官が非難 「いずれ防空圏設定」識者指摘
【産経ニュース】2016.2.19 20:58

 【ワシントン=青木伸行】米国務省のカービー報道官は18日の記者会見で、南シナ海のパラセル(中国名・西沙)諸島での地対空ミサイル配備を、中国が正当化していることに強く反論した。

 中国国防省は「関連する島嶼(とうしょ)における防衛体制は、昔から存在する」と主張している。

 これに対し、カービー氏は「防衛なのか、誰に対する防衛なのか、その目的は何なのか」と指摘。そのうえで、ミサイル配備は「明らかに、以前には兵器が存在しなかった場所の軍事拠点化だ」と述べた。

 ケリー国務長官は軍事拠点化の中止、さらにはミサイルの撤去を中国側に求める見通しだが、中国が領有権を主張して拒否することは明らかだ。このためカービー氏は、ミサイル配備は「中国が、(パラセル諸島を)領有しているとみなしていることの表れだ」と暗に牽制(けんせい)した。

 一方、米有識者の間でも、今回のミサイル配備に対する批判と警戒感が高まっている。

 カーネギー国際平和財団のジェームズ・ショフ上級研究員は、スプラトリー(同・南沙)諸島でも、「ミサイルが配備される可能性がある。中国はいずれ防空圏の設定を宣言するだろう」としている。

 また、米戦略国際問題研究所のマイケル・グリーン上級副所長は、スプラトリー諸島に中国が建設中の人工島に、航空機や対艦ミサイル、潜水艦などが配備され、運用が開始されるとの見通しを示している。

 ミサイルが配備されたウッディー(同・永興)島は、以前から戦闘機などが配備されており、グリーン氏はスプラトリー諸島の人工島が、ウッディー島と同じような軍事拠点となり、中国は同島を人工島建設のモデルにしているとみている。




    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック




 宇宙から届く「重力波」を米国の研究チームが世界で初めて検出したことが11日、関係者への取材で分かった。アインシュタインが100年前に存在を予言しながら未確認だった現象で、新たな天文学や物理学に道を開く歴史的な発見となった。今後の検証で正しさが揺るがなければ、ノーベル賞の受賞は確実だ。

検出したのはカリフォルニア工科大とマサチューセッツ工科大などの共同研究チーム。米国の2カ所に設置した大型観測装置「LIGO」(ライゴ)の昨年9月以降のデータを解析し、重力波をキャッチしたことを確認した。

重力波は重い天体同士が合体するなど激しく動いた際、その重力の影響で周囲の空間にゆがみが生じ、さざ波のように遠くまでゆがみが伝わっていく現象。アインシュタインが1916年、一般相対性理論でその存在を示したが、地球に届く空間のゆがみは極めて微弱なため検出が難しく、物理学上の大きな課題になっていた。

チームは一辺の長さが4キロに及ぶL字形のLIGOで空間の微弱なゆがみを検出。ブラックホール同士が合体した際に発生した重力波をとらえた。信頼度は極めて高く、検出は間違いないと判断した。欧州チームも研究に協力した。

重力波の観測装置を望遠鏡として使えば、光さえのみ込んでしまうブラックホールなど、光や電波では見えない天体を直接とらえることができる。また、重力波は減衰せずに遠くまで伝わる性質があるため、はるか遠くを探ることで宇宙誕生の謎に迫れると期待されており、宇宙の研究に飛躍的な進展をもたらす。

重力波の検出は1990年代以降、日米欧が一番乗りを目指して激しく競ってきた。米国は装置の感度を従来の数倍に高める工事を行い、昨年9月に観測を再開したばかりだった。

日本は東大宇宙線研究所が昨年11月、岐阜県飛騨市神岡町に大型観測装置「かぐら」を建設したが、米国と同水準の高感度で観測を始めるのは早くても約1年後の予定で、一歩出遅れた形となった
1916年に、一般相対性理論に基づいてアルベルト・アインシュタインによってその存在が予言された後、100年近くにわたって検出が試みられた重力波を初めて観測したと、米国の研究チームが発表した。
日本の東大宇宙線研究所の重力波望遠鏡「かぐら」が3月より観測を開始し始める直前だけに嬉しいやら残念やら・・・
 だが、数億年後必ず滅びる地球から人類が脱出する為の知に大きな飛躍をもたらす歴史的な快挙だ。最大限の称賛を贈りたい。
 観測できる重力波は、地球と太陽の距離(約1億5千万キロ)に対し、水素原子1個分ほどのゆがみだという。研究チームは「直接観測は不可能」とも言われた、わずかなゆがみを捉えた。
 光や電磁波が届かないブラックホールの構造や誕生直後の宇宙の姿は、重力波によって観測の扉が開かれる。原始宇宙で空間が急膨張したとされる「インフレーション理論」、重力波や「暗黒物質」、宇宙を加速膨張させる「暗黒エネルギー」はいずれも正体不明だが、重力波が解明の糸口になるかもしれない。
それより、重力波がどういうものか解明することにより、2016年の現在では想像もできないSFのような画期的な発見や発明が数年後、数十年後出る期待が高い。

「重力波観測」の特報に胸が高鳴る6つの理由
【日経ビジネス】山根 一眞2016年2月15日(月)

(略)

私にとって重力波の発見が「大変だ!!」の理由はいくつかある。

1)アインシュタインの一般相対性理論で予想した重要な物理現象であること。
2)だが、この100年間、確認できなかった最後の課題であること。
3)重力波は空間をゆがませるが、それは想像を絶するほどとてつもなく小さいこと。
4)よって重力波をとらえるなんて、まず、不可能じゃないかと思っていたこと。
5)この分野では日本が新しい観測装置で観測を開始する直前であること。
6)そして、日本がその初観測をなしとげてくれればなぁと期待していたこと。

重力波は「波」の一種だが、100年間、発見されなかったほどの「波」なのだから、私たちにとって身近さはゼロだ。「そりゃ、一体何だ?」と、わからなくて当然(私だって、よくわかっちゃいない)。だが、「大変だ!!」ということはわかる(という思いで、このコラムを書いています)。

「電波の発見」に匹敵

 専門家も、重力波をわかりやすく伝えるのには苦労しているようだが、以下は、とってもわかりやすい説明です(「KAGRA 大型低温重力波望遠鏡」のウェブサイト)。

 人類は、太古よりつい最近まで可視光でしか自然を観察できませんでした。しかし19世紀に入って電波やX線が発見されると、遠くに一瞬で情報を伝えたり、人体や物質の中の様子が観察できるようになりました。そのため今まで全く未知だった世界への扉が開かれ、人類の知識の増大・世界観の変化に大きく役立ちました。

 そう、電波(電磁波)という「波」だって、人は152年前までは存在すら知らなかったのだ。

1864年 英国のマックスウェルが電波(電磁波)の存在を理論予想。
1888年 ドイツのヘルツが電波を飛ばす実験に成功。
1895年 イタリアのマルコーニが無線による通信に成功。
1895年 ドイツのレントゲンがX線の存在を実験で報告。

 電波もX線も、かつては存在すら知られていなかった「波」(電磁波)だが、今、一般の人たちはその理論なんてまったく知らなくても、テレビ、スマホ、カーナビ、がん検診と、これらの波なしにはあり得ない日々を送っている。

 その後も赤外線・紫外線やガンマ線など、次々と新しい「観測手段」が発見されるごとに、未知なる世界が人類に解き放たれています。これらはすべて「波動現象」を利用した情報伝達による自然観察と言うことができます。従って電磁波と同じ「波動現象」である「重力波」も、この歴史にならって新しい観測手段となり人類に未知なる世界を垣間見ることを可能にするであろうと期待されるのです。

 この説明を拡大解釈するなら、重力波の観測・発見は、電波の発見に匹敵するほど、「大変!!」なことなのだ(と、私は受けとめた)。

(略)
マックスウェルが1964年にその存在を予想するまで人間は電磁波の存在を知らなかった。そしてその30年後マルコーニが無線を発明した!

その成果はすぐに役立つわけではないが、もしかしたら30年後重力波を研究することで、人類は今から想像できないような成果を受け取るかもしれない

もしかしたら重力場や重力波を調整する方法が発見されたのならば、時間と空間を制御する方法を人類は手にするかもしれない。もしそうなれば、重力場や重力波を応用してタイムトラベルや、UFOのような画期的な発明を手にするかもしれない。

これは夢物語かもしれないが・・・・人類にとってかなり画期的なことではなかろうか? 


13億年前のブラックホールの合体によって発生した重力波を、米国の研究施設LIGOが世界で初めて検出した。LIGOによる説明動画を紹介。

LIGOのビームチューブの最初の部分。実験施設の直径は4km。LIGOは2002年から2010年の最初の運用では重力波の検出ができなかったため、5年間で改良を行い、2015年9月、総額6億2000万ドルをかけた「世界最大の重力波施設」が完成した。                                                         
レーザー干渉計重力波検出器「LIGO」(Laser Interferometer Gravitational Wave Observatory)を使った実験を続けている科学者らが2月11日(米国時間)に大規模な記者会見を開催し、重力波を世界で初めて検出したことを明らかにした。重力波とは、重力の強い相互作用が生み出す時空のさざ波のことだ。
この波は、ブラックホールの合体が起きる最後の瞬間に発生したもので、2015年9月14日午前5時51分(米国東部時間)に地球に到達し、ルイジアナ州リヴィングストンとワシントン州ハンフォード・サイトに設置されているLIGOの検出器によって捉えられた。ルイジアナ州の検出器の方がこの信号を数ミリ秒早く捉えた(以下の画像)ため、この重力波を発生させた事象は南半球の方向で起こったことになる。



LIGOの研究チームは、検出した信号の解析結果から、今回の重力波の元になった事象が起こった時期を13億年前と推定している。このとき、質量が太陽の29倍を超えるブラックホールと、36倍を超えるブラックホールが、らせん状にぶつかって合体。この合体が起きた直後に、太陽の3倍に相当する質量がエネルギーに変わり、重力波となって放出されたという。この信号が発生した事象によって、ほんの一瞬の間に、可視宇宙の残り全部が合体したときよりも強力なエネルギーが生み出されたことになる。
このような事象が発生することはきわめてまれだ。だが、そのひとつの検出に成功したという事実は、今後同じような事象がいつ発生しても捉えることのできるハードウェアを手にしたことを意味する。新しい波長を観測する能力を手にしたようなものだと言えるかもしれない。
ブラックホールの専門家であるキップ・ソーンは次のように述べている。「今回の新しい発見により、われわれ人類は驚くべき新たな探求の旅に乗り出すことになる。これは、宇宙の“ゆがんだ側面”を探求する旅、つまり、時空のゆがみによってつくり出される現象を探求する旅となる」
LIGOでは、この天文学研究の精度をさらに高めるため、同じようなアプローチで研究を行っている欧州の検出施設「VIRGO」と提携する予定だ。また、日本も同様の検出施設「KAGRA」を計画しているほか、インドにLIGOのような検出施設を建設する交渉が進められている。4つの検出施設が稼働すれば、重力波を発生させた事象について、「南半球のどこか」ではなく、さらに正確な場所を発表できる日が来るかもしれない。



天文学に新たな道を開く重力波の初検出。大発見の背景と今後の展望を探る。



「重力波を検出した。われわれはやった」

研究チームを率いる米フロリダ大のライツィー教授は会見でこう話し、笑顔で両手を広げた。会場から一斉に歓声と拍手がわき起こる。アインシュタインが100年前に示した予言を、米国が実証した“勝利宣言”の瞬間だった。

「ガリレイは400年前、望遠鏡を空に向け現代の観測天文学を開いた。それと同じくらい重要な成果だ」。ライツィー氏は誇らしげに意義を説明した。

中継映像を見ていた大阪市立大の神田展行教授は「すごいことだ。重力波のみならず、ブラックホールを人類が初めて直接観測した大快挙で、ものすごく感動している」と語った。

日本の研究者は歴史的な偉業に賛辞を惜しまない。だが胸中には、無念さもあるはずだ。東大宇宙線研究所が岐阜県に建設した大型装置「かぐら」が来月に観測を開始する矢先の出来事だったからだ。

「悔しさよりも、重力波天文学がエキサイティングな時代に入ったことを、よかったと思う」。同研究所長の梶田隆章氏は12日の会見で、こう語った。

■ ■ ■

米国チームが重力波をとらえたのは大型装置「LIGO」(ライゴ)。一辺の長さが4キロに及ぶL字形の巨大施設で、ワシントン州とルイジアナ州に計2台ある。1992年に建設計画がスタートし、2002年に稼働した。

日本はなぜ米国に先を越されたのか。宇宙論の佐藤勝彦東大名誉教授は「実力の差が大きかった」とみる。「米国は日本よりずっと以前から、長い時間をかけて、多くの人と金を使ってきた圧倒的に巨大な組織。一番乗りしたのは自然なことかもしれない」

LIGOの総工費は約1千億円で、チームが発表した論文には千人もの研究者が名を連ねた。これに対し日本のかぐらは総工費155億円、研究者は約250人で大きな開きがある。

ただ、装置が本格稼働したときの性能はほぼ同水準で、日本がもっと早く観測に入っていれば同時に検出できた可能性もある。

日本学術会議は平成17(2005)年、「大型装置の早期実現を望む」と表明したが、国の予算がついたのは22年。4年後の観測開始が計画されたものの、東日本大震災でトンネルの掘削工事が約1年中断し、さらに遅れを招いた。

東大の安東正樹准教授は「予算がついていれば、という思いはある。しかし、技術的に可能だったかというと、何ともいえない。力不足もあった」と明かす。

米国は装置の感度を10倍に高める工事をしていたが、いったん中断。昨年9月、数倍に向上した段階で観測を再開し、その直後にブラックホールの合体で生じた重力波が地球に届いた。運も味方した形だが、佐藤氏は「準備した者には幸福が訪れるということだ」と話す。

■ ■ ■

米チームは米国立科学財団(NSF)から資金援助を受け、技術に磨きをかけてきた。財団のコルドバ長官は「資金援助は大きなリスクだったが、NSFはリスクをとる機関だ」と話す。基礎研究を支える体制も日米で差があった。

世界初の栄誉は逃したかぐらだが、価値を失ったわけではない。重力波は1台の装置で検出しても、それが宇宙のどこから来たのかは分からない。日米欧が協力して複数の装置で観測することで、発生源の方角を特定できるからだ。

一番乗りを目指してしのぎを削ってきた日米欧はライバルであると同時に、科学の真理を追究する同志でもある。日米欧の計4台の装置が力を合わせることで宇宙と天体の理解を進めることができると、ライツィー氏は強調した。

かぐらの近くにある素粒子観測施設での研究でノーベル賞に輝いた梶田氏。かぐらでもノーベル賞級の成果を狙うのかと聞かれ、こう答えた。

「やってみないと分からないので予言は難しいが、科学者なら当然だ」

暗黒世界の扉を開く…重力波は鳥のさえずりのような不思議な音色だった


「アインシュタインは正しかった! 重力波の検出おめでとう。宇宙を理解するための突破口だ」

米オバマ大統領は米チームの発表直後、ツイッターで歴史的な快挙を祝福した。

ニュースは世界中を駆け抜けた。闘病を続ける英物理学者のホーキング氏は「観測結果は私が1970年代に行ったブラックホールの理論研究と一致している。自分の予言が実際に観測されるのを、生きているうちに見ることができ、わくわくしている」とネット上で心境を明かした。

ホーキング氏が胸を躍らせたのは、これまで直接観測できなかったブラックホールを、重力波で初めて「見る」ことができたからだ。

■ ■ ■

ブラックホールは非常に重い天体で、その巨大な重力で全てのものを吸い込んでしまう。光さえも脱出できない「黒い穴」のような存在だ。光や電波を観測する望遠鏡では、決して見ることはできない。

だが米チームは2つのブラックホールが衝突、合体する際に生じた重力波をキャッチ。そのダイナミックな“実像”を映し出す驚くべき成果を挙げた。

日本の観測装置「かぐら」チームの安東正樹東大准教授は「ブラックホールの合体は、すぐに見つかる可能性は低いと考えられていたので予想外だ。新しい天文学が幕を開けた」とたたえた。

重力波は「聞く」こともできる。米チームは空間のゆがみである重力波を、空気の揺らぎである音波に変換して公開した。はるか13億光年離れた場所から、地球に届いた宇宙の響き。それは鳥のさえずりのような不思議な音色だ。

大阪市立大の神田展行教授は「重力波の観測は、目で見るより耳で聞くのに近い感覚だ。寺の鐘の音が高ければ小さい鐘、低ければ大きい鐘と想像できるように、星の重さなどを推定できる」と解説する。

■ ■ ■

重力波研究のターゲットはブラックホールなどの天体だけではない。最も期待されるのは宇宙誕生の謎の解明だ。

宇宙は138億年前の誕生直後、ビッグバンと呼ばれる現象で超高温の火の玉になったと考えられている。空間は物質の原料となる素粒子で埋め尽くされ、光は邪魔されて真っすぐ進めない状態になった。その後、宇宙は徐々に冷えて素粒子同士が結合し空間に隙間ができ、38万年後には光が差し込む「晴れ上がり」を迎えた。

望遠鏡で見ることができるのは晴れ上がってからの宇宙で、それ以前の「暗黒時代」を観測する手段を人類は持っていない。だがこの原始宇宙は、空間が急膨張した時期でもある。空間のゆがみの痕跡を重力波として観測すれば、暗黒時代の重い扉が開かれる可能性があるのだ。

特に注目されるのは、ビッグバンの直前に起きたとされる加速度的な急膨張の解明だ。「インフレーション理論」で提示されたシナリオで、これが実証されると宇宙誕生時の姿が見えてくる画期的な発見になる。

原始重力波は宇宙膨張によって引き伸ばされ、ブラックホールなどの場合よりも長い波長で届く。非常に微弱で地球では検出できず、より高感度観測が可能な宇宙でとらえる構想が進んでいる。

インフレーション理論の提唱者の一人で東大名誉教授の佐藤勝彦氏は「原始重力波の直接観測は今世紀末までには必ず実現し、宇宙誕生の現場を描き出すだろう」と期待を寄せる。

宇宙はどのように誕生し今日の姿になったのか。人類が古来、抱き続けてきた大いなる疑問だ。重力波はその謎を解く究極の鍵として、重要な手掛かりを与えてくれるだろう。



この企画は草下健夫、黒田悠希、伊藤壽一郎が担当しました。




宇宙の謎に挑む究極の手段

 アインシュタインが100年前に存在を予言し、宇宙の謎を解く鍵として注目される「重力波」。その直接観測に挑む取り組みが国内外で加速している。成功すればこれまで観測が不可能だった天体現象や、原始宇宙の解明に迫る大きな成果が期待されている。(草下健夫、黒田悠希)

物体の周りの空間は、その重力によってゆがめられている。物体が動くと、空間のゆがみはさざ波のように周囲に広がっていく。これが重力波だ。アインシュタインが1916年、一般相対性理論でその存在を示した。

重力波は人が腕を動かしても生じるが、波動が小さいため観測できない。検出可能なのは中性子星という非常に重い星同士の合体やブラックホールなど、巨大エネルギーを放つ天体現象によるものだ。

光や電波と違って全ての物質を貫通し、減衰せずに伝わっていく。このため天体の内部や、はるか遠くの原始宇宙で発生した場合でも地球に届く。検出できれば、人類は宇宙の究極の観測手段を手に入れることになる。

成功ならノーベル賞

米国のハルスとテイラーは79年、互いに回転し合う2つの中性子星の運動の変化から重力波の存在を間接的に証明し、93年にノーベル賞に輝いた。直接観測に成功すれば、これもノーベル賞は確実だ。

重力波が到達すると空間にゆがみが生じ、距離がごくわずかに伸びたり縮んだりする。そこで考案されたのがL字形の観測装置だ。中心から2方向にレーザーを発射し、先端に置いた鏡で反射して戻るまでの時間に差が生じれば空間がゆがんだと分かり、重力波の検出につながる。

日本は99年、小型の装置を東京都三鷹市に設置し観測を開始。今世紀に入ると米国に1辺の長さが4キロ、イタリアに3キロの大型装置が完成し、高感度の観測が始まった。だが検出可能な天体現象は150年に1回程度しか起きない。地上に建設したため風や人間活動による振動で感度が低下した影響もあり、期待薄の状態が続いてきた。

日米欧の競争激化

世界初の検出を目指す東大宇宙線研究所は昨秋、岐阜県飛騨市神岡町に大型装置「KAGRA」(かぐら)を完成させた。固い岩盤の地下に建設したのが最大の特徴で、地上と比べ振動は1%以下と少ない。3月中旬に試験観測を開始。2017年度に本格観測に入れば、1年以内に検出できるとみている。

米欧も負けじと振動対策やレーザーを強化する改良を進めており、年内にも工事を終える。日米欧は本格観測時にほぼ同水準の性能になりそうで、競争の激化は必至だ。

重力波の観測装置は宇宙の神秘を探る新たな望遠鏡の役割を担う。ノーベル賞を昨年受賞し、同研究所長としてかぐらを統括する梶田隆章氏は「一刻も早い検出を目指し、重力波天文学を国際協力で創成したい」と話している。

地下空間に独自技術の結晶

観測装置「かぐら」の現場を昨年11月に訪れた。国道から車で山道に入ると、ほどなくトンネルに到着。ヘルメットを着けて中へと歩いた。

時折、自転車に乗った研究者とすれ違う。観測チームの三代木伸二准教授は「ここを走れるのは電気自動車と自転車だけ。トンネル内に排ガスがたまると体に悪いから」と話す。

5分ほど歩くと、L字形装置の中心部である中央実験室に到着。地中なのでひんやりした空間を想像していたが、セ氏22度と暖かい。機器に悪影響を与えるほこりを徹底的に除去するため100台超の空気清浄機が稼働しており、その発熱が原因という。

ひときわ目立つのが高さ約4メートルの冷却装置。本格稼働時には、ここに直径22センチのサファイアの単結晶でできた鏡を収納する。氷点下253度に冷やし、熱による鏡の振動を極力抑える独自の工夫だ。

中央実験室の先には、レーザーが行き来する真空パイプが3キロ離れた先端へ真っすぐ延びていた。かぐらは7億光年かなたから届く重力波もキャッチするという。人類の宇宙の探究は、ここからどんな展開を見せていくのだろう。

原始宇宙の急膨張を検証

重力波観測のターゲットは天体現象だけではない。宇宙創生の謎を解き明かすため、初期宇宙で発生した「原始重力波」を探す試みが世界的に進んでいる。

南米チリのアタカマ高地。標高約5千メートルの砂漠で、望遠鏡を使った「ポーラーベア」と呼ばれる観測が行われている。原始重力波の痕跡を世界に先駆けて検出しようという日米欧などの国際プロジェクトだ。

宇宙は約138億年前の誕生直後、アメーバが一瞬で銀河サイズになるほどの急激な膨張を起こしたと考えられている。「インフレーション理論」と呼ばれる仮説で、佐藤勝彦自然科学研究機構長らが1980年代初頭に提唱した。観測で証明されればノーベル賞受賞の期待が大きい。

残念ながら現代の地球で初期宇宙を直接見ることはできない。光が直進するようになったのは、宇宙誕生の38万年後に「宇宙の晴れ上がり」という現象が起きた後のことだからだ。このときの光は「宇宙背景放射」と呼ばれる。

太古の宇宙で起きた急膨張は時空をゆがませ、重力波を発生させたはずだ。この原始重力波は、偏光という特殊な電波を宇宙背景放射に残したと考えられている。ポーラーベアが探すのは、この現象に特有の渦巻き模様だ。

観測に携わる高エネルギー加速器研究機構の羽澄(はずみ)昌史教授は「インフレーション理論が検証できるだけでなく、宇宙の全く新しい概念や根本的な原理が見えるかもしれない」と声を弾ませる。

羽澄教授は米国と共同で渦巻き模様を地上より高精度に観測するため、「ライトバード」という衛星を日本主導で打ち上げる準備も進めている。「時期は未定だが2025年頃と予想する。世界1位の感度が得られるはず」と意気込んでいる。

宇宙で直接観測の構想も

原始重力波の直接観測を目指す動きもある。日本の大学や国立天文台などの研究者が提案する「DECIGO」(デサイゴ)は地表の振動の影響を受けず、超高感度の観測が可能な宇宙空間で原始重力波をとらえる構想だ。

3基の観測機を打ち上げ、1辺が1000キロに及ぶ巨大な正三角形の頂点に1基ずつ配置。互いにレーザーを発射して距離を計測し、地球では検出できない微弱な原始重力波をとらえる仕組みだ。成功すれば、インフレーション理論の詳しい理解につながる。

2030年頃の実現を目指すが、実証機の開発が昨年、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の内部選考で落選してしまった。

東大の安東正樹准教授は「宇宙の誕生と進化の謎を解き明かすことは、科学の究極の目標の一つだ」と観測の重要性を訴えている。

米首都ワシントンのナショナルプレスクラブで開かれた記者会見で重力波の初観測について発表するLIGOのデービッド・ライツェ所長(2016年2月11日撮影)〔AFPBB News
「重力波検出」の報道があり、深く静かに衝撃を受けています。

 最初に経済誌コラム的な部分を書けば、この業績が事実と認められたら間違いなくノーベル賞を取るに決まっています。

 あれは毎年出るもので、珍しいものでも何でもない。日本国内で基礎科学の賞として話が通りやすいのでノーベル賞、ノーベル賞と言いますが、今回のケースは、そんなレベルにとどまる話ではなく、事実ならば画期的な新たな一歩を私たち人類の宇宙理解にもたらすことになります。

 それに関連していくつか記してみたいと思います。

何が素晴らしいのか?

 最初に、この業績の何が画期的で素晴らしいのかを端的に記しておきましょう。

 「ブラックホールが直接観測できるようになる」という、私が生きている間には不可能ではないかと思っていた、新しい科学の世界の扉が開いた。正直相当びっくりし(あまりにあっけなく突然だったので)また心底嬉しくて仕方がありません。

 中学高校生以来、あるいは大学で物理学科の学生時代以来の、ある知的興奮を抑えることができない。

 と言うのは、これ、何に似てるかというと、小柴昌俊さんのカミオカンデの第1報にちょっと似てるんですね。

 私たちが子供の頃、「ニュートリノ」というのは「見えないもの」、何でも突き抜けてしまう電気的に中性な微粒子(中性微子)と習っていたわけですが、ちょうど大学の物理学科に在学していたとき、最初の超新星爆発によるニュートリノを古い方のカミオカンデが捉えた。

 世界で始めてニュートリノの直接観測だ、というので沸き立ちましたが、世の中の報道は「ニュートリノとは何であって・・・」みたいな話が出回ったりした。

 そうじゃない、ニュートリノが何か、以上に、ニュートリノを捕まえることができたテクノロジーが素晴らしい。

 また、それによって可能になった新しい世界、宇宙から降り注ぐニュートリノを観測するニュートリノ天文学が創始されたことが素晴らしく(小柴氏のノーベル賞受賞理由はこれ)、また今までは幽霊でしかなかったニュートリノを実際に捕まえられるようになったので、その物理的性質を調べることで、物理法則の究極を確かめることが可能になった。

 そこで問題設定してチャレンジが成功したのが、この間、東京大学の梶田隆章さんにノーベル賞がやって来た「ニュートリノ振動」ニュートリノ質量の観測という本質的な仕事だったわけです。

全く同様に述べていくなら

 私たちが子供の頃、「ブラックホール」というのは「見えないもの」、何でも吸い込んでしまう宇宙の暗黒天体と習っていたわけですが、今回ちょうど、最初のブラックホール連星系の融合に伴う重力波を(今後間違いなく古い方の、と言われるようになる)LIGO干渉計システムが捉えた。

 世界で初めて重力波の直接観測だ、というので沸き立ちましたが、世の中の報道は「重力波とは何であって・・・」みたいな話ばかりでしょう。科学を本質的にあまり分かっていない、と言うより、たぶんあまり興味のない科学担当の方が作ったのでは、と思うような記事ばかり目にします。

 例えば、NHKの一報を再度リンクしておきましょう。

 そうじゃない、重力波が何であるか以上に、重力波を捉まえることができたテクノロジーが素晴らしいし、また、それによって可能になった新しい世界、宇宙から頻繁に押し寄せる重力波を観測する重力波天文学が創始されたことが素晴らしいんでしょう? 

 もっと分かりやすく言えば「ブラックホール観測天文学」です。

 これはすごいことです。どれくらいすごいかと言うと、今までは幽霊でしかなかった重力波を実際に捉まえられるようになったので、その物理的性質を調べることで、一般相対論ならびにそれに量子力学を適用した基礎理論から、宇宙の究極を確かめることが可能になったのです。

 そこで今こそ、無数の問題設定が可能になり、このあいだ梶田さんに降ってきたみたいな重力の本質的問題にもアプローチが可能になり、ここから本当の意味での物理法則の統一理論、つまり重力を含む超統一理論に向けての、最初の実験結果、ファクトが得られたという、生きている間に遭遇するとは思っていなかった朗報に出くわし、静かな知的興奮ですがどうにも抑えることができません。

「ブラックホール」の最初の直接観測

 先ほどのNHKの解説など最低最悪と思うのは、こんなアホダラ経ではせっかく子供たちがこういう歴史的な発見に触れても、その躍動感も感動も宇宙への憧れも究極の科学への情熱も何も得ることができないからです。

 なぜって、これを歴史的発見と理解できず、躍動感も感動も宇宙への憧れも究極の科学への情熱もへったくれも何ももってない人が書いたと一目で分かる原稿だから・・・。実際に引用してみましょう。

 「重力波は、ブラックホールなどの天体によって生み出された宇宙空間の『ゆがみ』が波となって伝わる現象で、研究チームによりますと、2つのブラックホールが合体するときに出た重力波を去年9月に観測したということです」

 「2つのブラックホールは、質量がそれぞれ太陽の29倍と36倍と極めて大きく、観測された重力波は13億年前に出たものだと説明しています。重力波はこれまで直接観測されたことがなく、アメリカだけでなく日本やヨーロッパなど世界の科学者が観測を目指していました」

 こんなふうに書いてしまうと「ブラックホールありき」になってしまうでしょうが。違うんです。理論的には存在すると思われる「ブラックホールと思しい天体」は20世紀後半から少しずつ増えてきました。

 でも以前はあくまで傍証だけであって、ブラックホールそのものを直視することはできなかった。それが発するX線など傍証で見ていたに過ぎず、それをもって「ブラックホールなのだろう」と解釈していた。

 言ってみれば、暗闇で向こうから人がやって来た。顔は見えないけれどドギツイ香水の臭気を発しているので誰それと察せられる、というような状態ですね。

 今回のシグナルはそうではない。露骨に2つのブラックホールがぶつかって合体し、1つに融合するとき、ゆがみがだんだん速くなってピークが出て・・・という動き、ダイナミクスが見えている。もう、こんな知的興奮を味わうのは相当久しぶりというくらに驚くべきデータが公表されている。

 ところが何も理解せず、右から左に、小学生のできの悪い作文みたいなものが、天下の報道機関から発信されている。

 「観測に成功した『LIGO重力波観測所』は、アメリカの西部ワシントン州と南部ルイジアナ州の2か所に施設があり、研究チームを率いるカリフォルニア工科大学のデビッド・ライツィー教授は会見の冒頭で「重力波を観測したぞ!」と叫び、喜びを表していました」

 この後半の作文としての救いようのなさは、もう言及する価値もないので捨て置きましょう。問題は、それと同レベルに救いがたい前半部分にあります。「米国西部ワシントン州と南部ルイジアナ州」という言葉が無意味に並んでいますが、これをきちんと斟酌しなければ、報道する価値は一切ありません。

 ワシントン州というのはシアトルなどのある米国最西北端で、すぐ北にはカナダのバンクーバーなどがあるところです。

 一方、ルイジアナ州はメキシコ湾に面してテキサスとアラバマに挟まれた東南部、正確な距離をどう表現すればよいか分かりませんが3000キロは余裕で離れており、日本列島を定規に見立ててワシントン州に北海道を宛がっても、九州南端の鹿児島はまだルイジアナに届かないくらいの距離があります。

 今回の測定が、まず間違いなく重力波であろうと結論されるポイントを端的に言うなら、網走と沖縄くらい離れた2か所で、完全に独立して、同じ精密の粋を尽くした機器=干渉計で重力波を検出しょうとしたら、運転2日目で全く同じと解釈される信号が出てきたことから「事実であろう」つまりファクトと考えられるというわけです。

 逆に言えば、今現在の状態は「2つのデータが同じ形だよ」という段階にとどまっているわけで、本来ならその形、つまり重力波とされる信号の波形ですね、これは今から13億年ほど前に、質量がおのおの太陽の29倍と36倍という、太陽系の尺度から言えば途方もない巨大なブラックホール同士が合体、融合し、その結果歪んでしまった時空間のひずみが、そのまま伝播してきて、全く別の場所で同一の信号として観測されたよ、と言っているわけですね。

 2か所の距離が長く取ってある理由など、ほかにも基礎的な事柄がいくつもあり、またNHKの原稿も、ずっと尻尾の方に行くと、少しは解説めいたことが書いてあるのですが、ヘッドラインしか読まないプライムタイムのニュースでは、前記の何も言っていないのと同様の文言しか放送されないわけで、これでは何の意味もありません。

 従来はあくまで、周りから発せられる香水のにおいならぬX線などから、間接的にその巨大な質量や内部、外部での(常識を完全に超越した一般相対論的な、さらには量子竜力理論的な)すさまじい現象を推察するにとどまっていたのが、本当に巨大密度の質量同士が亜光速で引きつけ合うとき、あたかも弾性体のように「ボヨ・・・ヨヨヨン」と加速しながら時空間を歪ませている「らしい」という、すさまじい結果を淡々と示すことに成功した。

 「君はブラックホールを見たか? 僕らは重力の波、時空のひずみという新しいヒカリで、初めてブラックホールの揺らぎを直接見たんだぞ!」

 というのが、このニュースを物理の目と科学に惹かれる少年の心で見るとき、ナイーブな感想の1つ(私はそう思った、というだけですが)だと思います。

 こんなレベルの作文を報道と称して散布して、子供の理科離れもへったくれもあるものか。久々に・・・一昨年のSTAP詐欺はあまりにレベルが低く、心など全く動かされませんでしたが、そんなもの比較にならぬほど・・・メディアの質の低下に若干の怒りすら覚えています。

 科学というのは「ファクト」です。そしてその正確な「出来事」を観察できる、新しい「顕微鏡」技術が確立された。その事実に素直な心で驚かねば、こんな歴史的な事態を前に、あまりにもったいないし、特に子供には柔らかな心をもって、しっかり受け止めて感動してほしい。

 これから地球上の様々な場所に、重力波干渉計が設置され、日常茶飯事としてブラックホールを直接観察するという、全く新しい未曾有の時代がすぐにやってくるでしょう。

 単に天文学と言うにとどまらず、宇宙の大域的構造から、私たちの宇宙が従う物理法則の根幹にいたる、決定的なファクトが、この新しい技術の先で見出されていくでしょう。

 あたかも、ひずみなく正しくものを拡大できる顕微鏡が発見されたことで、多くの病原菌が見出され、またその病原菌を退治する抗体療法や抗生物質など、あらゆる医学生命科学の発展がその先で可能になったように・・・。

 少し予定を改め、次回もこの科学史的な大転換に関連して、もう少しお話してみたいと思います。





    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


コラム:荒れる市場、逆境に立つアベノミクス
【ロイター】2016年 02月 12日 17:59 

Peter Thal Larsen

[香港 12日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 荒れる市場が、アベノミクスに最も厳しいストレステストを仕掛けている。安倍晋三首相の3年にわたるデフレ根絶キャンペーンは、最も顕著な成果が円安と株高だった。

しかし、世界的な市場下落、加えて日銀のサプライズではあったが、効果がみられないマイナス金利導入で、逆の状況になった。

最近まで、市場心理は、アベノミクスの最も効果的な武器だった。円相場下落で、日銀は輸出拡大に寄与し、さらには賃上げの動きにもつながった。こうした中、政策責任者らは、株高が、リスクをとることに慎重な日本の投資家をより大胆にすることを期待した。

しかしいまや、こうした武器が直面する状況は様変わりした。世界的な質への逃避の動きで、円が上昇、株は下落。資金フローの変化を狙った日銀のマイナス金利導入も裏目に出た。マイナス金利が発表されて2週間で、円の対ドル相場は7%上昇、東京株式市場の日経平均は15%以上下げた。

もし投資家が、借り入れコストがマイナスということを恐れているならば、過剰反応というものだ。日銀が新たに打ち出した政策は、銀行が中銀に大規模な準備金を置いておくための負担から守る設計になっている。野村の試算では、マイナス金利が大半の銀行の利益に及ぼす打撃は1─3%程度。にもかかわらず、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306.T)株は20%を超す下落率となっている。

投資家は、自分たちが日銀のデフレと戦うための武器の限界を見てしまった、と考えている、というのが、より適切な説明と言える。日銀は、金利をさらに下げたり、債券買い入れ規模を現行の年80兆円(7140億ドル)からさらに拡大することも可能だ。しかし、市場へのインパクトという点で効果は薄らいだようにみえる。

最近は、安倍政権が財政支出拡大や労働市場改革で進展を図れないことを象徴する失点もみられる。夏の参院選を前に、安倍首相は後退している場合ではない。市場混乱は、安倍首相の経済政策全体を揺るがすリスクをはらんでいる。

アベノミクスとは「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」の三つを基本方針として掲げており、これらを「3本の矢」と表現している。

先日行ったマイナス金利は「大胆な金融政策」そのものであり、その考え方は間違ってはいないが、世界市場が中国震源でリスクオフに向かう中タイミングが拙かった。

劇薬であり今回は処方を間違えた為に円高株安を招いてしまったが、断じてアベノミクスが破綻したわけではない。

左翼マスコミがアベノミクスが悪いとトンチンカンなことを書いている。朝日新聞のWEB RONZAでは経済変調はアベノミクスの行き詰まりだと左翼系の投稿者達が嬉々として書いている。毎日新聞の社説も「マイナス金利(が)逆に不安を広げている」と中国経済の変調による世界的な経済変調を政敵ともいえる安倍政権のアベノミクスを暴落の原因だと主張している。

中国経済破綻、石油価格下落、FRBの金利引き上げなどで世界的に株式市場が暴落し、リスクオフになり逃げ込む先が日本国債でありそこでマイナス利回りが出現する。日本国債は安心できる高質の金融資産として国際的に認められているわけで、消費税増税を正当化するために政府債務を誇大に喧伝して国債の暴落リスクをあおる財務官僚や一部メディア、エコノミストの言っていることがいかに嘘であるかの証明になる。

アベノミクスが力を出し尽くしせないでいるのは、財務省が日本の財政赤字が膨大で消費税の増税が必要だと世界中を誑かしている証拠である。逆説的に言えばマイナス金利が出来る日本の国債はいい加減な格付け機関が付ける格付けなど参考にならず、最上格のAAA以上の健全性がある。

では今後どうすべきか、浜田教授が語っています。
日本経済は内憂外患。安倍晋三首相の指南役、米エール大名誉教授の浜田宏一内閣官房参与と対談し、アベノミクスの今後について議論した。

 --根強いデフレ圧力と底の見えない中国危機を踏まえると、来年4月に予定される消費税再増税の中止を首相が決断すべきだと思います


 「安倍首相がそう政治決断されるなら、それはうまくいくでしょう。消費が陰っているのは、今の消費税が高いからという理由だけでなく、将来またあるのかと消費者がうんざりしているという意味で、田村記者のような考え方は成り立つ。ただ、後で財源を使えるという前提ですが、消費者が今苦い薬を飲むのはやむを得ないと考えているうちにもう1回という、増税推進派の言い分にも一理あると思います」

 「日本は法人税率が高すぎるし、これから下げていかないと外国からの対日投資が増えていかない。日本から投資が外に出ていってしまう。その点、消費税のような間接税に頼らなくちゃならない。来年の再増税に関してはやめることができるなら、それが一番よいが、医者のように、間際まで患者の容体を見てから決めたいところです」

 --ポール・クルーグマン・米プリンストン大名誉教授は浜田参与との対談本「2020年 世界経済の勝者と敗者」(講談社刊)の中で、安倍政権に対し消費税再増税の中止ばかりでなく、緊縮財政の撤回と財政出動を強く勧告しています

 「クルーグマン教授と私の間には多少、温度差があります。彼の方が伝統的ケインズ政策の考え方です。野村総合研究所チーフエコノミストのリチャード・クーさんは講演で、普通なら金融政策が効くはずなのだが、長期間デフレ経済が続く日本ではインフレが起こらないという期待が定着しちゃったと語っていた。おまけに、リーマン危機の体験が人々の脳裏にこびりついた。金融政策だけで、ゼロ金利のときにインフレ期待を起こすのには限度があるという。傷を負った経済は財政でしか救えない。それがクルーグマン教授の考え方でもあると言えます」

 --参与は積極財政に乗り気ではないのですね

 「私は、大きな政府というか、財政の硬直性の問題を随所に見ているからね。実際に、文部科学省などを見るとトップよりも中堅どころが非常に昔流の論理になっていて、ひどいことをする

 --異次元緩和政策によって円安、株高、企業収益増という循環が生まれ、そこから恩恵が雇用や消費に滴り落ちる「トリクルダウン」効果も期待はずれです

 「実際に、貧困と富の間の関係は金融政策では解決できない。ちょろちょろとしたトリクルダウンではね。そういう意味ではクルーグマン教授の言うことはわかります」

 「一番の原因は企業セクターにあるのじゃないかとも思います。企業は賃金をなるだけ上げず、配当も配らないで金融資産ばかりを持つ。企業のおカネに対する執着、流動性が高い準貨幣(換金化しやすい金融商品=筆者注)をいっぱい持つということが、岩田規久男日銀副総裁のいうインフレ期待を妨げるんです」

 --安倍首相は民間に賃上げを強く求めています

 「私は以前、賃上げについてはマーケットに任せておけと言っていましたが、最近は安倍首相と同じように、賃金も配ってくださいということに賛成しています。日本の労働市場に完全競争があるという考え方は間違いですね。構造要因が障害になっている。労働需給関係がタイトになって自然に賃金が上がれば、そもそも外食産業なんかで大変惨めなことはそもそも起こらないはずです。そういう理由があるときは必要かな、と思えるようになってきた。反論もしません」

 --対談本には、日本の政府債務が深刻だと財務省が喧伝(けんでん)するので、海外の主要格付け機関が日本国債の高格付けはまずいと判断してしまうという、本田悦郎内閣官房参与(明治学院大客員教授)の体験談があります。国際通貨基金(IMF)では財務省出身幹部が消費税率10%でも足りないと説いていると聞きます

 「ワインと同じで、日本には格付け機関による格付けをありがたがる風潮があります。その点で財務省はよく働いている。省益のために国益をあれしていますね。IMFチーフエコノミストは真顔でで『日本財政は悪いんだろ』とくる。そう言い張る旧知のシカゴ大教授にはこないだ、『あなたは市場で日本国債を空売りしているのか』と問い詰めてやった」

まずは、2017年4月に迫っている消費税増税の無期延期だろう!
[東京 21日 ロイター] - 安倍晋三首相の周辺では、2017年4月に予定されている消費税率10%への引き上げ延期を主張する声が増えてきた。キーワードは「成長重視」。その決断の是非を問う衆参ダブル選を来年7月に実施するのではないかとの思惑も、政府・与党の周辺で盛り上がっている。首相周辺で何が起きているのか、水面下の動きを探った。

<成長重視の首相、財務省への不信感> 

「モディ首相とは、成長重視という点で意見が一致しました」──。安倍首相はインド訪問直後の14日、経済界のリーダーを集めた官邸での夕食会で、「成長」という語句に力を込めた。

複数の首相周辺の関係者によると、安倍首相にとって「成長」は、縮こまりがちな日本経済に活力を与える強力な武器という位置づけだ。

財政赤字の縮小でも、成長による税収増を重視し、社会保障費の膨張を消費増税で賄おうとする財務省の主張とは、相容れない部分が多い。

そんな安倍首相と財務省の溝は、ひょんなことから表面化してしまう。昨年9月の訪米で、安倍首相は著名な米大学教授らと昼食会を催したが、その席で「財務省の試算は信用ならない」と述べた。

首相周辺の関係者によると、その5カ月前に実施した消費税5%から8%の引き上げで、個人消費が予想を超えて落ち込み、そのことが安倍首相の脳裏から消えなかったという。

結局、消費増税後の国内景気は足取りが弱く、2014年度の実質国内総生産(GDP)の成長率はマイナス1.0%に落ち込んだ。

リフレ政策で気脈を通じている経済学者に対し、安倍首相は最近になって「自分の任期中、2度もマイナス成長になるのはダメだ」と、本音を漏らした。

<軽減税率で見えた官邸・公明の蜜月>

ただ、昨年11月に安倍首相自身が「リーマン・ショック並みの国際金融危機が来ない限り増税する」と明言していた経緯がある。17年4月の消費税10%を再延期するハードルは高い。

消費増税の軽減税率をめぐる「ドタバタ劇」は、こうした環境の下で展開された。最終的に生鮮食品に加え、加工食品まで軽減税率の対象となり、外食は外された。

ハンバーガーショップで、ハンバーガーを注文し、店内で食べると10%で持ち帰りは8%という線引きが話題になり、テレビのワイドショーでも取り上げられ、あっという間に国民の「常識」となった。

複数の関係筋によると、安倍首相や菅義偉官房長官ら官邸サイドは、来年の参院選を意識し、公明党の主張を「丸飲み」したとみられているが、消費増税の「負のインパクト」を減らしたいという意向が、今回の決着に強く反映された。

安倍首相に近いある経済学者は「財政再建は拡大均衡でないと達成できない。そのことは総理もよくご理解されている」と指摘する。

<財源に外為特会の埋蔵金構想>

だが、軽減税率実現のための財源1兆円をどう確保するのかは、2016年度の税制改正大綱に明記されなかった。

この間、官邸内には、特別会計に隠れた「埋蔵金」を使えばいいとの見解も浮上していた。そこでターゲットになったのは、外国為替資金特別会計だ。

外為特会における資産と負債の差額は、2013年度時点で約20兆円。官邸内にあったのは、その部分を財源として使うべきとの指摘だった。

これに対しては「為替が円高に振れれば一気に縮みかねない。安定財源とは言い難い」(財務省)との声もある。

さらに財源として歳入化する際には、外貨売り/円買いとなるため、実質的な為替介入効果がある。財源確保のため毎年、政府が「為替介入」して市場に影響を与えるべきではないとの考えもある。

<10%延期を主張するリフレ派>

来年秋以降、財源問題が噴出している可能性が高まっているが、別の展開を予想する市場参加もいる。

三菱UFJモルガンスタンレー証券・シニア・マーケットエコノミストの六車治美氏は、リポートの中で「安倍首相はちょうど1年前、消費税率引き上げ延期について、国民の信を問うとし、解散・総選挙に踏み切った。もし、再延期はないとの公約を撤回するならば、同じ政治判断(解散・総選挙)が下されても何ら不思議ではない」と指摘した。

政府が1月4日に通常国会の召集を決めたことで、日程上の懸案もクリアされた。150日間の会期末にあたる6月1日に衆院を解散すると、憲法で規定されている解散から40日以内の選挙実施の条件に、かねて参院選の本命の日時と見られていた7月10日投開票という日程が合致する。安倍首相の手に、衆参ダブル選というカードがもたらされた。 

11月26日、3人の経済学者が官邸を訪れた。いずれも大胆な金融緩和と減税を柱とした経済成長を重視するリフレ派の若田部昌澄・早大教授、野口旭・専修大教授、浅田統一郎・中大教授だ。

この会合に財務省関係者の同席は許されず、マクロ経済政策をめぐって突っ込んだ意見交換があったもようだ。その直後、野口教授と浅田教授はロイターの取材に応じ「物価2%(エネルギー除く日銀版コアコア)と失業率2.7%を達成していなければ増税は延期」(野口氏)、「経済状況がどれほど好転していようと増税すれば物価・成長率ともに下押しする」(浅田氏)と語った。 

それから8日後の今月5日、菅義偉・官房長官は都内の講演で「物価2%と名目GDP(国内総生産)600兆円は、何としてでも達成したい」と力説した。

政府関係者とのコンタクトが多いある外資系証券の関係者は「菅さんが再び2%に言及したのは、達成できないほど経済が悪いなら、増税は延期というメッセージではないか」(大手外資系証券)と解説してみせた。

<ダブル選可能な国会日程> 

自民党内には、安倍首相が消費増税の再延期を判断し、その是非を問うために通常国会の会期末・6月1日に衆院を解散し、7月10日に衆参ダブル選に雪崩れ込むというシナリオがささやかれている。

安倍首相と親しいリフレ派の論客である高橋洋一・嘉悦大教授は、14年の衆院選を消費増税延期の主張で戦って勝利した経緯に触れ、その経験に「味をしめた」可能性があるとみている。

自民党の谷垣禎一幹事長は11月30日、「いろいろの可能性がある」と述べたが、12月1日には「首相もお決めになっていないと思うし、私もこの時期に解散するとかしないとかということは、まだ全く考えていない」とコメントした。

解散権を握る安倍首相は5日、「全く考えていない」と答えた。だが、解散に関しては、事前にどんな受け答えをしても「許される」というのが永田町の常識。1986年7月6日の衆参ダブル選の際には、当時の中曽根康弘首相が、事前に何度もダブル選の可能性を否定。後に「死んだふり解散」と呼ばれ、結果は自民党の圧勝。その後、自民党は中曽根総裁の任期を1年延長する党則改正を実行した。

<リスクは株安>

金融市場では「増税延期と衆参ダブル選が、円安・株高のエンジン」(外為市場関係者)と期待する声が出ている。

だが、ダブル選を目指す中で、大きな障害になりかねない事態が発生しつつある。株安現象だ。

米利上げ後のNY株式市場は調整を続け、日経平均は18日に発表した日銀の量的・質的金融緩和(QQE)の補完策をめぐって乱高下。21日も大幅続落して一時、1万8600円台まで下落した。

ある国内市場関係者は「衆参ダブル選期待で、来年5月から6月にかけて日経平均が2万2000円から2万3000円まで上昇しているシナリオを描いていたが、様子が違ってきた」と打ち明ける。

米利上げで中国などの新興国からの資金流出が加速するようなら、原油価格の下落もあいまって市場にリスクオフ心理が台頭。株価は日本だけでなく世界的に下落圧力を受けかねない。

株価が下落基調に転換した場合、ダブル選戦略は大きな制約を受ける可能性がある。

消費増税とダブル選をめぐる思惑が、2016年前半の大きな「テーマ」になることは間違いないようだ。

*不要な文字を削除しました。

(竹本能文 梅川崇 取材協力:リンダ・シーグ 編集:田巻一彦)
日本経済復活の要は企業の内部留保をいかに賃金とか設備投資等で崩しばら撒くかではないだろうか?

財政出動を伴うアベノミクス2.0に進化できるか否かが今後のアベノミクスの成否にかかってくると思う。
20年以上続いた経済停滞から日本経済を再生させるのは容易なことではない。国民も企業もいまだにデフレマインドにどっぷりと漬かり、本格的に回復する兆しを見せない。国民の多くはまだデフレ脱却に懐疑的である。消費を増やすよりは、老後に備えて貯蓄に回す人が多い。企業はアベノミクスのおかげで手元に潤沢な資金を蓄積してきた。市場から資金を調達しようとすれば、かつてないほどの低金利で調達できる。それでも国内への投資は増えていかない。

五右衛門風呂状態の日本経済

 人口減を考えると、5年後、10年後の日本経済の市場規模が拡大するとは思われない。そう考えている経営者も少なくないようだ。このように冷え切った消費や投資を拡大させていくことは容易ではない。しかし、消費や投資が増えていかない限り、経済が拡大していくこともないのだ。

 アベノミクスの効果がなかったわけではない。この3年の成果をみると、為替レートは円高修正を果たし、株価や企業収益も大幅に改善している。政府の税収も3割以上増大し、雇用にいたっては過去23年で有効求人倍率が最高の水準になるまで改善を続けている。

 これだけの数字を並べれば、アベノミクスの効果がなかったとは言えないはずだ。ただ、それでも肝心な消費や投資が増えていかないので、景気が回復したという実感が持てないのだ。

 日本経済は例えて言えば、五右衛門風呂状態にあるようだ。金属でできた風呂釜は下から温めて熱くなっている。しかし、中に入っている肝心の水はなかなか温まっていないのだ。風呂釜は株価や企業収益や雇用の数字であり、中の冷え切った水は消費や投資を意味している。風呂釜を熱くすることには成功したが、中の水を温めるのは簡単ではないということだ。バブル崩壊後の失われた20年の影響はそれほど大きい。また、少子高齢化と人口減少という構造的要因の影響も非常に大きい。

企業が動くことが重要だ

 アベノミクスのデフレ脱却は第2ステージに入っている。風呂釜を温めるのが第1ステージであれば、中の水を温めるのが第2ステージだ。その鍵を握るのは、政府の議論の中でもしばしば出てくるように、賃金と投資なのである。

 賃金が上昇していくことは、持続的な物価上昇につながるだけでなく、消費を拡大させる要因ともなる。企業が投資を拡大させていくことは、需要面から重要であるだけでなく、持続的な成長を支える生産性向上やイノベーションという供給面からも重要となる。

 企業の手元の資金がないのであれば仕方ないが、潤沢な資金があっても国内投資を控えているということは、日本経済全体にとって大きな損失となっている。難しいのは、賃上げも投資も、その決定権は政府ではなく、企業にあるということだ。企業が自ら動かないかぎりは、何も変わらない。

 政府は賃上げや投資拡大を促すようにいろいろな対応を続けている。こうした努力を続けることは重要ではあるが、最終的には企業が動かないかぎりは意味がない。

 ここで注目したいのは、経済の自律的な動きだ。風呂釜が熱ければ、中の水にも熱が伝わるはずだ。それが何であるのか考えてみる必要がある。

 私は労働市場の動きに注目している。アベノミクスの成果のひとつが雇用の改善だ。少子高齢化ということも、労働市場をさらにタイトにする要因となるだろう。

 ここまで労働市場がタイトになれば、賃金が上昇しないはずはない。賃金上昇が本格的に起これば、賃金コストに見合っただけの労働生産性を上げられない企業は存続できないことになる。要するに、タイトになった労働市場が産業の構造調整を促すのだ。

強い決意示した「マイナス金利」

 日本の生産性が伸びていかない大きな理由は、デフレ時代に日本の企業が人的資源への投資を怠ってきたという指摘もある。労働力が希少になるほど、労働者のスキルを引き上げるような投資が求められる。そうした人的投資が進むことも期待したい。投資の対象は設備だけではないのだ。

 私がもう一つ注目しているのは、物価の動きだ。インフレ率が今後上昇していくなら、実質金利はマイナス圏に突入する。名目金利が0に近い水準でインフレ率が1%であるとき、実質金利はマイナス1%であるという。実質金利が大幅なマイナスとなれば投資は刺激されるだろう。そもそも、デフレ脱却で穏やかなインフレにもっていく理由の一つは、実質金利を大幅に下げることであった。原油価格の下落などの外的要因によってこうした動きが遅れている。

 先日の日本銀行によるマイナス金利の導入は、日本の物価を引き上げるという強い決意を市場に知らせる結果となった。原油価格由来以外の部分では、日本の物価は着実に上昇を続けている。今後の経済回復の重要な注目点は、物価が本格的に動きはじめ、実質金利が十分にマイナス圏で下がっていくかどうかだ。

(東大大学院教授・伊藤元重 いとう もとしげ)
伊藤教授も賃金と内部留保が要だと分析している。
アベノミクスが失敗だと言う風潮は経済を知らない左翼の主張であり、アベノミクスのデフレ脱却は第2ステージに入っている。

経済を知らない左翼が政権を再び握れば、日本経済はそれこそ崩壊するだろう。
国民の半分は馬鹿ではないので、安倍政権の支持率に繋がっている。

執筆中





    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


※WIRED NEWSに世界の次世代飛行機プロジェクトが載っておりましたが、少々物足りなかったので画像や動画を追加加筆しました。
子どもから大人まで、「飛行機」にはいつも夢がある。NASAの超音速飛行機から、巨大ヘリウム飛行船まで、最もイノヴェイティヴで興味深い8つのプロジェクトをギャラリーで紹介。ノスタルジーを感じる復活プロジェクトもあるようだ。

ウィルバーとオーヴィルのライト兄弟がエンジンを搭載した動力飛行機で「世界初飛行」を行ったとき、彼らはこの不格好で少し狂気じみた挑戦が人類の歴史を決定的に変えることになるとは、決して想像していなかっただろう。
しかし、彼らのパイオニア的偉業から100年以上が経っても、人は夢見ることをやめず、飛行機の限界を超えようと試みている。より革新的で、時代に先駆けたソリューションを追い求めて。それらは、太陽光エネルギーを利用するエコロジーな飛行機から、少なくとも理論的には世界の端から端までを現在ではありえないほど短時間で旅することのできる超音速飛行機にまで及んでいる。
飛行機のイノヴェイションのいまを知るために、『WIRED』イタリア版では特に魅力的なプロジェクトを8つ、集めた。選んだのは、未来のテクノロジーだけではない。予想もしていなかった過去への回帰も、今後実現するかもしれない。
イメージ 1

1. AHEAD
オランダKLM航空とデルフト工科大学のコラボレーションにより、イノヴェイティヴな輪郭の商用飛行機のアイデアが生まれた。翼が胴体の後部に統合されている。現在の偵察機を思わせるデザインは、空力抵抗を減らし、燃料消費を最小限にすることが可能になるだろう。2つの異なる燃焼システムを利用するハイブリッドエンジンのおかげでもある。ひとつは極低温(つまり液体)水素で、もうひとつはケロシン系燃料もしくはバイオ燃料だ。しかし、300席のプロトタイプの開発研究では、AHEADかそれに類する飛行機が2050年より前に空に飛び立つ姿を目にするのは困難だろうと説明されている。
イメージ 2

イメージ 3

イメージ 43

イメージ 44
現在主流の旅客機は客室に通路が2本あるワイドボディ機だが未来の航空機は、胴体と翼が一体となった全翼機状のレンデッドウィングボディ(BWB)機が主流になるかもしれない。
空気抵抗の低減と揚力の発生面積が広いことにより揚抗比が増大し、従来型の輸送機・旅客機に比べて燃費や搭載量といった点で大幅な改善を期待できるうえに機体表面積や突起物が少ないために騒音の発生を最小限に抑えられると考えられている。
イメージ 45

しかし、エコノミークラスは、窓から真下に広がる雲海を眺めたり、積乱雲の芸術的な光景を観ることができなくなってしまうのはチョット残念かもしれない。

イメージ 4

2. Aeroscraft ML886
米カリフォルニアAeros社のプロジェクトは、長さ169m横幅53mという怪物級の大きさの飛行船だ。3.5km以上の高度を飛行して、最大で時速222kmの速度で移動することができる。垂直離着陸(Vertical Take Off and Landing)システムとヘリウムガスの圧縮技術(COSH: Control of Static Heaviness. 静的重量コントロール)を備えていて、バラスト(おもり)と地上スタッフの誘導なしで高度を取り着陸することが可能だ。貨物輸送のために考案されており(最大で60トン)、Aerocraft ML886は5年以内には初飛行を行うはずだろう。PHOTOGRAPH COURTESY OF AEROS
イメージ 5

イメージ 6

イメージ 7


時速220Kmは自動車や船舶よりは早い。大量貨物の次世代国際輸送システムや、他の輸送機関でアクセス困難な土地での資源採掘プロジェクトが可能だ。
しかしながら、将来を嘱望され期待された日本飛行船が2010年倒産、自己破産してしまい現在日本には飛行船を運航する会社が無い。

日本飛行船大型飛行船ツェッペリンNT(ニューテクノロジー)による遊覧飛行事業などを手がけてきた今日本には外資系保険会社のメットライフアリコが宣伝用に保有するスヌーピーJ号一機が存在するのみだ。

世界的に飛行船は、DARPA,ボーイングやロッキードなどが本格的な研究開発を進め、21世紀の物流システムとして飛躍する可能性は十分に想定される。日本国内に飛行船の運用環境が整っていれば、日本飛行船は破綻どころか、大きな国益をもたらした可能性があるのに残念であった。


イメージ 8

3. Solar Impulse 2
Solar Impulseは太陽光エネルギーを利用する超軽量機で、2009年にローザンヌ連邦工科大学の研究所から生まれた。その第2世代はカーボンファイバーでつくられており、翼幅72m(巨大なAirbus A380シリーズよりもわずかに小さい)、総重量2,300kgだ。燃料を利用することなく、高度10,000m以上を昼夜飛行することができる。この飛行機は、17,248個の太陽電池を使用する。太陽の出ている日中に重さ633kgの蓄電池に電力を蓄えながら、17.5馬力の4つのモーターを駆動させる。ベルトラン・ピカールとアンドレ・ボルシュベルクの操縦するテスト飛行では、35,000kmを旅する5カ月間の世界1周旅行のために2015年3月にアブダビを出発したが、バッテリーの損傷によりハワイで停止することになったという。2016年にようやくテストを再開する予定だ。このプロトタイプは、クリーンエネルギーを用いた新世代の民間機にヒントを与えるだろう。PHOTOGRAPH COURTESY OF École polytechnique fédérale de Lausanne
イメージ 9



イメージ 10
NASAが計画中のこの航空機は2020年代火星に初飛行する火星で最初の飛行機となる予定
米航空宇宙局(NASA)は、2020年代前半に火星の上空を飛びながら広範囲の地形を調べるグライダー型の無人探査機を開発している。地球より大気が薄い火星での滑空を想定して、年内にも地上30キロ上空から試作機を飛ばす。米国が30年代に計画する有人火星探査に不可欠な宇宙飛行士の着陸点の地図づくりなどに役立てるという。

 NASAによると、この探査機は「プラントル―m」。航空力学の権威の一人、ドイツの物理学者プラントルにちなんで名付けた。両翼だけのブーメランのような形で、試作機の全長は3メートルほど。試験飛行では気球で高度約30キロまで持ち上げ、うまく飛べるかどうか調べる。

 実際に火星で飛ぶことになる探査機は、軽量化のため全長60センチほどになる予定。地球から宇宙船に載せられて火星付近まで運ばれた後、火星の表面を走って調べる別の探査車と同時に、パラシュートなどで落下する。当初は翼をたたんだ状態で、高度約600メートルで翼を開いてグライダー形になり、滑空しながら表面の地形を撮影する。

 火星の大気圧は地球の1%未満と極めて薄いため、地表に降りるまでの約10分間に、約30キロの範囲を高速で飛び回り、効率よく詳細な地形データを集められるという。(ワシントン=小林哲)


イメージ 11
エアバス社は、この夏、弾丸型の超音速飛行機の発明をアメリカ特許商標局に特許出願した。マッハ4.5(時速約5,500km)の速度に到達することができ、ロンドン-ニューヨーク間の距離をわずか1時間で飛行するという。このジェット機は、一続きに作動する3つの異なるエンジンにより推進力を得る。胴体の下に取り付けられるターボリアクターは、スペースシャトル式に飛行機を滑走路から垂直上昇させる。続いて、エンジンが飛行機を巡航高度まで導く。翼のラムジェットエンジンは、音速の壁を突破するためにさらなる推進力を加える。最大収容人員は20人で、プライヴェート・ジェットや超高価なフライトでの利用が想定される。PHOTOGRAPH COURTESY OF AIRBUS


イメージ 12

イメージ 13

Supersonic Roller Coaster-cum-Aircraft patented by an Airbus Group Company

イメージ 14

5. Skreemr 
この未来的なコンセプトは、カナダの発明家シャルル・ボンバルディエールによって考案された。彼は、マッハ10(時速12,000km以上)、つまり音速の10倍で飛行することのできる75席の超音速旅客機を思い描いている。この目標を達成するために、Skreemrは電磁カタパルトを必要とするだろう。狭い空間で戦闘機を離陸させるために空母の上で用いられる従来のカタパルトの発展形だ。そして、液体推進剤のロケットと、Scramjet(Supersonic Combusting Ramjet:超音速燃料ラムジェットの略称)が必要となる。空気中の酸素を燃料と混ぜて、飛行中にさらなる加速を与えるエンジンだ。Scramjetエンジンは現在、中国とアメリカで開発段階にある。しかし、ボンバルディエールのジェット機がいつか現実のものとなるかどうかを予測することは困難だろう。PHOTOGRAPH COURTESY OF CHARLES BOMBARDIER
イメージ 15


ロンドンとニューヨークはおよそ5500km離れていますが12分以下で旅する超音速ジェット機は夢ではありません。チャールズ・ボンバルディア社のプロジェクトです。アンティポッド(Antipode:地球の反対側にある地点)と名付けられ、速度はマッハ24(コンコルドの12倍)、時速2万キロに達します。乗客は約10人です。1機1億5000万ドルかかります。国家元首が1時間以内で地球を1週できます。問題は高温に耐えられる材料を見つけ出すことと衝撃波です。
イメージ 46

イメージ 47

イメージ 48


イメージ 16
ボストンに拠点をもつSpike Aerospace社は以前、豪華超音速飛行機の計画を明らかにした。ロンドンとニューヨークを3〜4時間で結び、マッハ1.6〜1.8(最大時速2,200km)の速度で航路を駆け抜ける。 独特なのは、胴体に沿って小窓がないことだ。それによって、重量と抵抗を減らす。内部は壁のカーヴに合わせたHDスクリーンで覆われ、そこで映画や外部カメラで撮影された映像が映し出される。ジェット機の開発費用は、1機約8,000万ドルの見込みだ。最初の公式飛行は2018年12月に計画されている。IMAGE COURTESY OF SPIKE AEROSPACE
イメージ 35

イメージ 36



イメージ 17

イメージ 18
世界唯一の商業用超音速旅客機であったエールフランス所属のコンコルド2000年に離陸直後に墜落した事故である。コンコルドの人身死亡事故としては唯一の事例であるが、安全性に重大な疑念が生じたため当局により耐空証明が取り消され、コンコルドは以降長期にわたり運航停止となった。また運行再開以降は2001年に発生したアメリカ同時多発テロによる世界的な航空不況により、コンコルドが退役したために最初にして最後の墜落事故となった。

7. Concorde 2.0
ブリティッシュ・エアロスペースとアエロスパシアルの英仏連合から生まれた「コンコルド」は、約30年の間、世界の航空学の最も象徴的な飛行機のひとつだった。ロンドン-ニューヨークの航路を3時間半で飛行した。1976年1月21日に公式に就航し、2003年末に引退した。非常に高い維持コストと、その3年前に起きた悲惨な事故の影響を受けた。現在、「Club Concorde」という名前のノスタルジックな人々のグループ(元パイロットや実業家の集まり)が、「復活」のために1億6,000万ユーロ以上を集めている。この懐古的プロジェクトは、観光向けアトラクションとして1機目のジェット機を修復すること、そして現在はパリのブルジュ空港にある2機目の飛行機を入手して、豪華チャーター機に変身させることを予定している。目標は、最初のプロトタイプの飛行からちょうど50年の2019年に新しいコンコルドを飛行させることだ。PHOTOGRAPH COURTESY OF DEAN MORLEY/Flickr

イメージ 19

何年も前からNASAは、飛行のあり方を根本から変える「超音速飛行機」の開発に取り組んできた。音速を超えるときの騒音制限や、コストと環境インパクトを最小限にするエコロジーなエンジン開発といった主要な問題を解決するために、さまざまなコンセプトや研究が進められている(写真はたくさんのアイデアのなかの一案に過ぎない)。そのような意味で、並行して行われているたくさんのプロジェクトのひとつ、LEAPTechの最初の成功も、大いに希望を抱かせる。特殊なリチウム・バッテリーが電力供給する18の電気モーターを備えた小型飛行機で、控え目の速度だがごく初歩のテストをクリアしたという。IMAGE COURTESY OF NASA
イメージ 20

イメージ 21
https://www.nasa.gov/content/new-ideas-for-greener-aircraft





イメージ 26






イギリスのリアクション・エンジンズが開発しているのはジェットエンジンとロケットエンジンを一纏めにしたような次世代エンジン「SABRE(セイバー)」です。これは大気中の酸素と搭載した液体水素、そして機内の液体酸素と液体水素を燃焼させ大気圏と宇宙空間で加速することができるというエンジンなのですが、リアクション・エンジンズは大気圏内だけで使用する超音速旅客機『LAPCAT II』のエンジン「Scimitar(シミター)」についても研究を開始しているとのことです。
記事によると開発しているのは最大300人搭乗できる航空機で最高速度はマッハ5以上の極超音速旅客機です。このエンジンと機体については2025年~30年までに試作機の開発を行うとしています。
機体は『LAPCAT A2』またはLAPCAT IIとも呼ばれており元は2008年に開発中止となったLAPCATを改良したものです。最も開発が困難なエンジンはSAVREとほぼ同じなのですがScimitarの場合は長時間の燃焼と運用が必要なことから耐久性をより高め軽量に設計されているといいます。


JAXAは太平洋を2時間で横断できるマッハ5クラスの極超音速旅客機の実現を目指して技術を確立することを目指して研究開発を進めています。マッハ5で飛行する極超音速旅客機においては、マッハ2以下の超音速旅客機と比べ、高温な環境で飛行することになるため、新しいエンジンや耐熱構造等の研究開発が必要になってきます。
現在は、離陸からマッハ5まで連続作動できる極超音速ターボジェットの研究開発を中心にして、極超音速旅客機のシステム検討、空力設計、耐熱設計等を進めています。

人類の新たな夢~極超音速旅客機~



イメージ 39
イメージ 40


これはドバイ。

今や世界でも人気の観光地となった、中東のドバイ。ブルジュ・ハリファ、ローズタワーなど、世界に名だたる超高層ビルが立ち並ぶことでもおなじみです。いろいろな備えをしているとはいえ、そういった高いビルで一旦火災などが発生してしまうと、大惨事になりかねません。

そこで、ドバイ市の消防局が導入したのが、なんとジェットパック。万が一高層ビルで非常事態が発生したら、救急隊が文字通り飛んで来るというわけです。

なにしろジェットマンが空を飛び交う街ですから、何があっても驚くことではないのかもしれませんが、それにしてもこの発想はすごいですよね。

製造元は、ニュージーランドのMartin Aircraft社。ドバイ市は、20機のジェットパックと、練習用の2機のシミュレーターを購入したとのこと。

Martin Aircraft社といえば、開発中の個人用ジェットパック、「Martin Jetpack」を来年には販売開始すると宣言しています。最高時速74㎞、積載容量120㎏、最高高度1㎞、滞空時間30分、そしてお値段約2400万円。

超高層ビルの火災対策としての最良解が、ジェットパックなのかはまだわかりません。しかし、今後ますます高くなっていくであろう世界中のビルにおける、非常時の新たな手段となる可能性はあります。

それにしても、万が一ドバイの高層ビルで火災に遭遇して、ジェットパックの救助隊を目の前にしたら、なんだか映画を観ているような気分になりそうですよね。
The Future is Near: Martin Jetpack Begins Taking Deposits








イメージ 49
超音速旅客機「コンコルド」が運行を終えて、はや10数年。日ごとに航空機は安全に、快適にと進化していますが、より高速な移動手段を求める声は根強く残っています。そんな声に応えるべく、アメリカ企業のBoom Technologyはマッハ2.2で飛行する超音速旅客機のプロトタイプ「XB-1」を公開しました。
 
「Baby Boom」の愛称で呼ばれているこのXB-1は、超音速旅客機「Boom Airliner」の1/3サイズのプロトタイプです。デルタ翼を採用したXB-1は、ゼネラル・エレクトリック製のアフターバーナーを使用しない「J85-21」エンジンを3つ、可変インテーク/ノズル、ハネウェルのアビオニクス、炭素複合素材を採用。またコンコルド製造や運行の経験を活かし、NASAやスペースX、ボーイング出身のスタッフが設計に参加しています。
 
イメージ 50

イメージ 51
 
XB-1の特徴はアフターバーナーを利用しないので、コンコルドより高燃費に飛行することが可能なことです。巡航速度はコンコルドの10%増しとなっており、通常のジェット旅客機の2.6倍ほど高速になっています。そしてXB-1に搭乗できるのは2人のクルーと、フライトエンジニアが1人。翼長は5mで離陸重量は6,100kg、航行距離は1,852km。一方商業モデルのBoom Airlinerは6人のクルーと55人の乗客の搭乗が可能で、翼長は18m、航続距離は1万6700kmとなっています。
 
Boom社は、XB-1の試験飛行を来年の後半に行いたいとしています。また、試験飛行にはヴァージン・ギャラクティック社も協力する予定です。コンコルドはそのアフターバーナーの騒音が空港使用の際に問題となっていましたが、そこを改善したこのBoomがどれだけ航空市場で受け入れられるのか、楽しみですね!
 
イメージ 52
 
Image Credit: Boom Technology
■Boom unveils XB-1 supersonic passenger plane prototype
http://newatlas.com/boom-xb-1-prototype/46452/
イメージ 53

イメージ 54

イメージ 55



JAL、2020年代に超音速旅客機導入へ
【zapzap】2017年12月07日 Boom Technology

私達が利用することができる最速の乗り物は旅客機です。飛行速度は900km/h程度なのですが、この旅客機について音速つまり時速1225kmを超える『超音速旅客機』の運行が将来予定されています。日本航空(JAL)は機体を開発しているBoom Technologyに出資し2020年代の導入を目指すと報じられています。

以前から次世代超音速旅客機を開発しているBoom Technology, inc(以下、Boom)社は話題となっていましたが、新たにJAL(日本航空)はBoomと資本業務提携すると発表しました。このBoomが製作している超音速旅客機はマッハ2.2(時速約2335km)での洋上巡航が可能で、マッハ1を超えない(時速800〜900km程度)ジェット旅客機から圧倒的な巡航速度の向上が予定されています。また航続距離は8,334kmで、ビジネスクラス仕様で1機あたり45〜55席の設定が予定されているそうです。
sorae.jp

アメリカコロラド州、デンバーに本社を置くBoom Technologyが開発を目指しているのは、飛行速度マッハ2.2、最大55人乗りの超音速旅客機『Boom』です。過去に発表された資料によるとこの機体でニューヨーク=ロンドン間を飛行した場合、3時間あまり飛行することができるとしています。

そんな企業に出資したのは日本航空で記事によると額は1000万ドルでこれにより20機分の優先発注権を獲得しました。Boom Technologyによると他社を含め既に76機分を受注しているとしています。


現在Boom Technologyは『XB-1 ベイビー・ブーム(XB-1 Baby Boom)』という試験機を開発。2018年後半の初飛行に向けて調整を続けており2019年には超音速飛行を実施する予定です。また旅客機型のXB-1については2023年に導入を予定しているものの、当初の発表よりも現時点で試験機の初飛行が遅れているため導入予定は遅れる可能性もあります。

気になる運賃について同社によるとニューヨーク・ロンドン間の運賃は片道5,000ドル、日本円で約55万円。サンフランシスコ・東京間は4時40分ほどで飛行でき価格は片道6,500ドル、日本円で約71万円になるとしています。







    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


猛烈な円高株安が止まらない。休日明け12日の東京株式市場も円高や米株安を受けて売りが先行、日経平均株価の下げ幅は一時800円を超す大幅続落となり、終値は休日前の10日終値比760円78銭安の1万4952円61銭だった。終値の1万5000円割れは、2014年10月以来、約1年4カ月ぶり。日経平均は一時847円安の1万4865円まで下落した。

安倍晋三首相と日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は12日昼、首相官邸で会談し、円高株安の一段の進行を阻止するため対応を協議したとみられる。世界経済への不安が高まるなかで安全資産の日本円が買われ、外国為替市場の円相場は11日に一時1ドル=110円台をつけるなど円高が加速、市場では当局による為替介入観測が広がるなど疑心暗鬼が強まった。

12日の東京外国為替市場の円相場は正午現在は、休日前の10日に比べ2円61銭円高ドル安の1ドル=112円27~28銭。

麻生太郎財務相は12日の閣議後の記者会見で、円相場の動きについて「荒い値動きは好ましくない。引き続き緊張感をもって市場の動向を注視していく」と牽制。今月下旬の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で「金融市場の状況を踏まえた政策協調の検討を進めたい」との意向を表明した。

昨年12月調査の日銀短観で、大企業・製造業が想定する通年の為替レート1ドル=119円40銭を大幅に上回っており、輸出関連企業の業績悪化が懸念される。

私のブログでも取り上げたがFRBは利上げ政策を変更する可能性もでてきた。
イエレンFRB議長が米議会証言で利上げペースの減速に言及したことをきっかけに、世界的な景気減速懸念が台頭。 12日の日経平均株価は一時847円安の1万4865円まで下落。約1年4カ月ぶりに1万5000円を割り込み、総崩れの展開となった。円が買われ2月11日海外で1ドル=110円台を付けた、2014年10月以来の円高水準に達したことから、当時の株価水準である日経平均15000円前後への下落は、ある程度は整合的といえる。

日本経済新聞によれば「世界で株安鮮明、時価総額1600兆円減 」世界で株価の時価総額は過去最大だった2015年5月末に比べて1600兆円も減少したという。

イメージ 1
是非左下端をクリックして拡大して見てほしいアベノミクスが始まって以来のテクニカルグラフだ。

もはやテクニカルで後日****ショックと語られる相場だが、チャート面では、重要なフシである日経平均の16000円前後や円/ドルレートの115円/ドル前後を下回ってきた。黄金分割比0.382押し14953円押し1/3の14499円の間で止まっているので目先はこれ以上のテクニカルの節は無い。強いて言えば2014年4/11下値13885円しかない。

一部にこの暴落をチャイルショック(チャイナ+逆オイル+ショック)と呼んでいるが今一つしっくりこない。石油価格暴落も中国が震源地なので普通にチャイナショック/中国暴落/チャイナショックでいいのではないか?

日経平均株価に関しては、アベノミクス相場が始まって以降の株価上昇幅の半値押し水準や、26週(130日)移動平均かい離率の▲18.7%、52週(1年)移動平均かい離率の▲21.93%と20%割れと明らかに売られ過ぎだ。

イメージ 2

日経平均ベースのPBR1倍の水準は15102円今の日経平均のPER14倍~16倍水準は16140円~18446円マイナス金利のご時世に配当利回りは1.95%だ。テクニカルで言えば明らかに売られ過ぎだ。

日本の休場中の海外市場で、円/ドルレートは一時110円/ドル台を記録した。企業業績やアベノミクス相場を支えてきた為替市場での大きな動きは、株価にも影響が避けられないと見られる。

イメージ 3

 ただし、足もとの円/ドルの動きにはさすがに突っ込み感が出てきている。円/ドルレートでは52週(約1年間)移動平均が中長期のトレンドとして機能する中で、同移動平均から8%かい離した水準は歯止めとなりやすい。52週移動平均は現在120.8円前後であることから、今回のドル安値で既に▲8%水準に達しており、ドルは目先のボトムに達した可能性がある。

一部にこの暴落をチャイルショック(チャイナ+オイル+ショック)と呼んでいるが今一つしっくりこない。石油価格暴落も中国が震源地なので普通にチャイナ暴落で/シナショックでいいのではないか?


左翼マスコミがアベノミクスが悪いとトンチンカンなことを書いている。朝日新聞のWEB RONZAでは経済変調はアベノミクスの行き詰まりだと左翼系の投稿者達が嬉々として書いている。毎日新聞の社説も「マイナス金利(が)逆に不安を広げている」と中国経済の変調による世界的な経済変調を政敵ともいえる安倍政権のアベノミクスを暴落の原因だと主張している。

日本だけが暴落しているなら理解できるが中国を筆頭に欧米市場など世界中で株価が暴落しているのだ。株価の時価総額は過去最大だった2015年5月末に比べて
1600兆円も減少している。

世界は一気にリスクオフに突入した。リスクオフの為替の序列は円が最も選好される、”日本円>米ドル>ユーロ>資源国通貨>新興国通貨”である。

アベノミクスは今回の暴落の原因ではない、ならば何故円が選好され暴騰するのか?左翼は経済が解っていない。

問題は春節明けの中国で15日に1月貿易収支の発表があり上海は暴落必至だ。
18日に1月消費者物価などが発表される。米国では現地16日に2月NY連銀製造業景気指数、同17日に1月鉱工業生産が開示される。

CMEは240円高15,435.00 円なので日本株は一時的な反発も考えられるが、本格的な底打ちと依然断言できない。ただし、誰も底では底だとわからない。

相場の格言

野も山も皆一面に弱気なら、阿呆になって相場を買うべし

これで消費税増税が長期延期となるだろう!そうと決まれば早めの宣言が肝要ではないかと思う


[東京 12日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は12日の衆院財務金融委員会で、足元の市場で株安・円高が急速に進行していることについて「過度なリスク回避」との認識を示し、市場変動による経済や物価への影響を「しっかり注視する」と語った。

1月29日に決定したマイナス金利付き量的・質的金融緩和(QQE)は所期の効果を発揮しているとし、2%の物価安定目標の実現に必要なら、量・質・金利の3つの次元で追加緩和を行う方針をあらためて示した。

総裁は、急速に不安定化している最近の金融市場について、これまでの原油価格の下落や新興国経済の不透明感に加え、米利上げ動向や欧州の銀行問題などが焦点になっていると語った。

最近の急激な市場変動は、投資家の「過度なリスク回避」との見方を示し、それによる日本の経済・物価への影響を「しっかり注視」していくと指摘。為替相場は経済のファンダメンタルズを反映し、安定して推移することが望ましいとの認識を示した。

マイナス金利の効果については、直接的な狙いであるイールドカーブ全体の低下が実現しており、「所期の効果が表れている」と評価。実質金利の低下によって消費や投資が刺激されると説明した。

また、マイナス金利導入に伴って当座預金残高を3階層に区分したことで、日銀による資金供給で当座預金残高が増加しても、マイナス金利が適用される部分は限界的と指摘。金融機関収益に配慮した仕組みにしたと理解を求めた。

もっとも、イールドカーブ低下による利ざや縮小で、マイナス金利に限らず金融緩和は「金融機関の収益にマイナスのインパクトがある」と指摘。今後の金融機関の収益動向を十分注視するとし、早期のデフレ脱却と物価2%の実現で利ざやが拡大することで、金融機関収益の改善につながると語った。

ただ、物価2%実現は「まだ道半ば」とし、引き続き大規模な金融緩和を継続する方針を表明。物価目標の早期達成に必要と判断した場合は、量・質・金利の3つの次元でちゅうちょなく追加緩和を含めて政策対応していく方針を示した。

QQE導入以降の2度の追加緩和について「戦力の逐次投入とは思っていない」と断言。戦力の逐次投入は「その時点で必要なだけの金融緩和なり引き締め」をせずに、同じ環境で政策対応を繰り返すこととの認識を示した。

(伊藤純夫)
折角の切り札をみすみす流されたようなもの、今回ばかりはマイナス金利政策は半月早かったと思う。
[東京 12日 ロイター] - ドル/円JPY=が1年3カ月ぶりに一時110円台に下落した背景について、みずほ銀行のチーフマーケット・エコノミスト、唐鎌大輔氏は、中国の景気減速懸念が根幹にあると指摘する。これが原油安や米景気減速懸念に波及しているとの見方だ。ドル/円は購買力平価などの観点から、中期的に100円を目指す可能性があると見込んでいる。

12日午前、ロイターのインタビューで答えた。

――市場に広がるリスク回避機運の背景には何があるのか。

根幹は中国の景気減速懸念だとみている。米国の追加利上げ期待が後退しているのも、元をただせば中国の景気が減速し、これに付随して商品価格が急落していることなどに起因している。さらに足元では、欧州の金融システム不安が悪材料として加わっている。欧州中央銀行(ECB)が導入したマイナス金利の悪影響と原油安による低インフレが背景にあるが、これも根っ子にあるのは中国の景気減速である」

中国の景気減速懸念の解消のめどは、早々には立たない。日本のバブル崩壊後の経験では、設備、雇用、債務は3大過剰と言われた。中国でも過剰設備や雇用問題の調整局面が訪れている。四半期単位でなく、年単位で捉える必要がある」

――3月末までのドル/円の下値めどはどのあたりか。

「100─105円への下落があってもおかしくないだろう。たしかに、2週間足らずで10円の下落はペースとしては急すぎるといえる。ただ、歴史的にドル/円の上値目途は企業物価ベースで見た購買力平価だった。これが今、100円である。また、経済協力開発機構(OECD)や世銀算出の購買力平価は105円だ

「アベノミクスが盛り上がっている局面では『今後物価が上がり、購買力平価も、そのうち円安になるから問題ない。もはや経験則は通用しない』との見方が流布されてきたが、1月末、日銀は3度目の物価目標達成時期を先送りした。もうインフレが期待できないとなれば、『経験則が通用する世界』を想定すべきであり、購買力平価への回帰を想定したい」

――相場安定に効果が期待できる政策はあるか。

「震源地は日本ではないため、日本が政策発動しても根本解決につながらず、効果は限られる。リスク回避の根幹が中国なので、中国が政策を打つのが一番早い。ただ、中国の景気減速の発端は、リーマン・ショック後に打ち出された4兆元の景気対策から生じた過剰投資にある。さらに投資を促進したとしても実際の経済効果は期待しにくいが、目先の市場心理は改善するかもしれない。米国が追加利上げを諦め、再び緩和策に転じる場合、株価にはプラスだとしてもドル/円は下押しされる」

(平田紀之)
中国からの資本流出、そして人民元暴落、その結果起きるであろう世界デフレ。
世界の同時株安は中国発の世界同時不況という仮説が織り込まれようとしている。要はこの相場下落は中国の崩壊の一事象だということだ。
 日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁が個人的見解としたうえで、中国の人民元について「国内金融政策に関して一貫性があり適切な方法として、資本規制が為替相場の管理に役立つ可能性がある」と述べたと報じられた。

 物やサービスの移転を伴わない対外的な金融取引のことを資本取引という。日本の外為法では、居住者と非居住者との間の預金契約、信託契約、金銭の貸借契約、債務の保証契約、対外支払手段・債権の売買契約、金融指標等先物契約に基づく債権の発生等に係る取引、および証券の取得または譲渡-などが定められている。

 このほかにも、居住者による外国にある不動産もしくはこれに関する賃借権、地上権、抵当権等の権利の取得、または非居住者による本邦にある不動産もしくはこれに関する権利の取得も、資本取引とされている。

 こうした取引は、金融機関を通じて行われるので、資本取引を規制しようとすれば、金融機関を規制することとなる。規制の方法としては、全面禁止、取引許可、取引届出、取引報告などがあり、前者から後者にいくにつれて規制が弱くなる。

 黒田総裁が指摘した、為替管理と資本取引の関係を理解するには、「国際金融のトリレンマ(三すくみ)」を知る必要がある。それは、「独立した金融政策」「固定為替相場制」「自由な資本移動」のうち、2つまでしか同時に達成することはできないというものだ。

 この法則に従うと、資本取引規制によって自由な資本移動をあきらめれば、独立した金融政策と固定為替相場制を達成できる。つまり、国内物価の安定のために金融政策を使うことが可能となり、為替相場も安定させられるというわけだ。

 中国の資本規制は原則として許可制で、先進国が原則として報告だけなのに比べて格段に規制が強い。それでも香港などを経由した資本流出の動きを食い止められないようだ。

 もっとも、中国が本気になれば規制強化は容易だろう。なにしろ、中国では、問題を起こしたとして摘発された場合、政治的失脚までありえるからだ。

 筆者はかつて中国でのコーポレート・ガバナンス(企業統治)に関する国際会議に出席した際、強烈な思い出があった。国有企業ばかりの国で、コーポレート・ガバナンスなんて所詮無理と思っていたところ、中国政府関係者が「中国では粉飾は死刑にもなります」と説明したのだ。さすがに、この発言には度肝を抜かれた。その延長線で、資本流出を勝手に行えば、重罰というのもあり得るだろう。

 先進国では、貿易自由化の後に資本を自由化するというのが一般的な流れだ。しかし、中国の場合、貿易の自由化を進めたが、ここに来て資本規制が必要となったことで、貿易も規制せざるを得なくなるかもしれない。

 すでに水面下では強烈な資本取引規制が行われているともいわれている。それでも資本流出が続いているのであれば、中国経済はかなり重篤だろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

武者氏は中国が資本規制を行えば株は底打つ可能性があると主張するが・・・
IMFのSDR加入の条件は十分な資本の自由化なのだ、中国はSDRを捨て資本規制をするのか・・・???


    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


[東京 9日 ロイター] - 9日の円債市場で、10年最長期国債利回り(長期金利)JP10YTN=JBTCが史上初のマイナス金利を付けた。国内銀行勢は追加利下げを織り込み、一段と買い進むと予想され、世界経済の減速懸念を背景に、海外勢も日本国債の物色を強めている。リスク回避の流れは一段と高まり、長期金利はさらにマイナス幅を深くしそうだ。

<「オーバシュートではない」との声も>

9日の円債市場では、10年最長期国債利回りが一時、前営業日比7ベーシスポイント(bp)低いマイナス0.035%と史上最低水準を更新した。

午後の取引序盤に初のマイナス金利を付けた後、事前に警戒感があった30年利付国債入札を無難に通過すると、一段と利回りに低下圧力がかかった。

日銀のマイナス金利導入決定でも止まらないドル安/円高の進行や株安により、市場参加者は追加緩和を織り込んでいるとの見方が大勢。「追加緩和の有効性は別問題にして、黒田日銀総裁は今回のマイナス0.1%より大きいマイナス金利を実施することは可能としている。その点が材料視されている」(国内金融機関)という。

みずほ証券・シニア債券ストラテジストの丹治倫敦氏は「日銀が足元の金利を押し下げることを宣言し、さらに引き下げる可能性がある以上、中短期ゾーンの金利が下がるのは当たり前だ。金利の低下のスピードが速い気がするが、オーバシュートではない」とみている。

<世界成長めぐる懸念強まる>

8日の欧米債市場が堅調だったことも円債金利を押し下げた。ユーロ圏金融・債券市場は、世界経済の成長率鈍化懸念や欧州金融部門の健全性をめぐる懸念から、安全とされる資産に資金が流れた。

ドイツ10年債利回りDE10YT=TWEBは0.23%と昨年4月以来の水準に低下。米10年債利回りUS10YT=RRも一時、1年ぶり低水準となる1.735%まで低下した。

米金利について「1─3月期の10年米国債利回りのレンジは1.6─2.1%のイメージを持っている。レンジの中でも下の方に向かうリスクが足元では高まっている」(国内証券)との見方が出ている。

3月の米利上げが遠のく状況で、米金利が低下基調になった場合、日米金利差の縮小による円高加速を警戒する見方が増加中。リスク回避の流れが強まることで、円債金利には強い低下圧力がよりかかってきた。

<海外勢・国内銀行勢が相乗り>

海外勢の日本国債に対する需要は一段と強まっている。1年物ドル円ベーシススワップのプレミアムは、マイナス金利導入前の0.5%割れから0.7%に急上昇。円転コストを考慮に入れた海外勢の需要は中短期ゾーンだけではなく、より長いゾーンに向かうとの指摘がある。

一方、これだけ金利が下がると、さすがに都銀をはじめとする国内勢は円債を買えないとの見方があるが、「そんなことはない」と国内証券のマーケットエコノミストはきっぱり否定する。

「国債を買わないと、その分だけマイナス金利の付利が積み上がるだけの話で損をする。追加緩和によりマイナス幅が0.1%よりさらに下がる可能性がある状況で、今のうちに買う方がましだという心理が働く」という。

また、リスク性資産や外債を買うことに慎重な国内銀行勢の中には、日銀が国債買入オペで高く買ってくれれば、マイナス金利でも問題はないとの見方が根強い。

今後の展開について、市場では「2年債や5年債といった中短期ゾーン金利がマイナス幅をさらに深くすることが想定できるので、今後のイールドカーブの平坦化を考えると、現状の10年債利回りがマイナス幅を一段と拡大してもおかしくはない」(外資系証券)との見方が徐々に広がりつつある。

(伊藤武文 編集:田巻一彦)


9日の東京市場は、欧米市場でのドル安・株安を引き継いでリスクオフ心理が強まり、日経平均は前日比900円超下落。ドル/円は一時、114.20円と2014年11月以来の安値を記録した。そして長期債のマイナス金利はスイスに次いで2例目。

これは、日銀が敢えて導入したマイナス金利が導入したことにより達成させたい円安株高と意図したことと真逆の結果になってしまっている。

マイナス金利だから115円で踏みとどまっているという可能性もなきにしも非ずだが、マイナス金利という劇薬を飲み込んでしまったからには誰も経験したことがない未踏の領域に踏み込んでしまったのだから、我々の想定外の副作用が次々に起きるであろう。

長期金利がマイナスとは、お金の借り手が利息をもらえるという異常事態に突入する。年金や保険などの運用で一段の環境悪化が避けられない状況となってきた。

金利低下で利ザヤが縮小し銀行収益を悪化させるという、マイナス金利政策の負の側面に焦点が当たり、金融株売りにつながっている。投資家がリスク回避姿勢を強め、質への逃避としての円買いが強まっていることも日本株を押し下げている。一般的に株価が急落すれば割安感が意識されるが、足元で通期予想の下方修正が相次ぎ、下値不安は高まる一方だが。回帰トレンドでは明日16000円を割れれば一旦底かもしれない。
イメージ 2



山田修輔バンクオブアメリカ・メリルリンチ チーフ日本FXストラテジスト
[東京 8日] - 日銀の「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」導入を受けて、円相場は乱高下している。今年は「円安派」と「円高派」に割れているが、日銀のサプライズ演出後も、二派のバランスは大きく崩れてはいないようだ。

ちなみに、筆者は「円高派」であり、今回のマイナス金利導入決定直後には、ひとまず円高の方向性を維持との見通しを示した。

もちろん、利下げという政策は通常であれば通貨安につながる公算が大きく、マイナス金利で何も変わらないと言い張るつもりはない。だが、以下に示すように、2016年という時間軸では「円高シナリオ」は大きく崩れないと考えている。

<リスクオフの円買いを抑制する効果はあり>

市場で起こった「とりあえず円安」の反応は、金利差拡大のインプリケーションで説明できる。日銀のマイナス金利導入により、短期金利の低下が予想される。また、投資家がイールドを追求する中、長期金利にも低下圧力がかかる。

歴史的に見ると、日米短期金利差とドル円の関係は0.1%ポイントの金利差に対して最大1―2%の変動となっている。日銀の利下げを受けて、金利差が最大20ベーシスポイント(bp)拡大すると推測すれば、1ドル=118円台から121円台という短期的な反応は妥当だ。

「量的・質的金融緩和」の限界が意識され始めている日銀政策が「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」へ移行したことで、確かに緩和余地を与えたし、円はユーロをはじめとするマイナス金利通貨と同じ土俵に立った。リスクオフの局面で、質への逃避フローが円に集中する流れを限界的に抑制する効果はあろう。

ただし、欧州を前例として、「日銀もあと数回利下げを遂行する余地があり、日銀限界説を打ち消す」と、断じるは時期尚早だろう。日本のマイナス金利の費用対効果を見極めるまでは、日銀の現実的な追加利下げの余地は見えてこない。少なくとも、スウェーデンのような欧州小国の金利水準(マイナス1.1%)を、指標と見ることは難しい。

<内需喚起なければ通貨安競争につながる恐れ>

今回の追加緩和の理由について、日銀は原油価格の一段の下落と、金融市場の不安定な動きによりデフレマインドの払拭(ふっしょく)が遅延するリスクを挙げている。為替レートへの直接的な言及はないものの、「金融市場の不安定な動き」とは、特に円高進行を指していると推測される。

マイナス金利が付されるのは、これから積まれる当座預金の一部であるため、実体経済への影響は不確かだが、市場にとっては限界的なコストが重要なので、金利水準には影響する。筆者は黒田プットの水準が1ドル=115円前後であるとこれまで推測してきたが、今回の緩和はそれを再確認させるものである。

しかし、それでも中期的な円安トレンドは再開しないと考える。論拠は以下の通りだ。

まず、今回の利下げが実体経済に大きな影響を与える可能性については、筆者は懐疑的だ。日本の銀行貸出は預金の8割弱にとどまっている。その大きな原因がローン需要の不足にあるとすれば、貸出金利の低下に対してどの程度信用創造が生まれるのだろうか。円高阻止によるインフレ期待低下の抑制効果は見込めるものの、インフレ期待を底上げできるか疑問である。

現に、債券市場で観測される期待インフレ率は上昇していない。為替レートが中期的に下落するには往々にして実質金利差の拡大が必要なため、今回の利下げが継続的な円安トレンドにつながる公算は小さい。

確かに、円金利が低下することで、運用収益には圧力がかかるので、円債から外債をはじめとする他資産へのポートフォリオリバランスのインセンティブは高まるだろう。ただ、昨年後半から収益性より安全性が重要な投資テーマとなっており、円高圧力をかけてきた。積極的なリスクテイクが加速する環境ではないため、「株より債券」「高金利より米債」「ヘッジ無しよりヘッジ付き」と、安全性が優先されるだろう。

また、円安に伴って日本株がいったん上昇しても、今回の緩和により日本の貸出や総需要が底上げされなければ、日本発のリスクセンチメント改善持続は期待しにくい。むしろ、円安が進行することで、アジア通貨に下押し圧力がかかり、通貨安競争に拍車をかけるリスクもある。

昨年後半からの「アジア通貨安、コモディティー安、株安」というネガティブな環境が再現すれば(ドル高に苦戦する米国経済の体力を考慮すれば)、日米金利差にはむしろ縮小圧力がかかることが予想される。

むろん、利下げが通貨安競争につながるか否かは、利下げにより対外的不均衡が調整されるか、拡大するかによるだろう。ただ、相対的に日本経済が安定しており、円が過小評価されている中、日本の需要喚起の効果が薄い利下げは、やはり通貨安競争につながる可能性を秘めているのではないか。

<極端な円高発生時には日銀緊急会合の可能性も>

さて、2014年10月の追加緩和に続き、今回も「完全なサプライズ緩和」となったことで、いったん後退していた「黒田日銀はサプライズ狙い」説が改めて確認された。為替レートへの感応度の高さも再確認されており、今後ドル円が115円台に突入、もしくは実効レートがさらに上昇した場合、市場は自然と追加の利下げを織り込んでいくだろう。

サプライズオプションを切ったことで、今後数カ月はサプライズ演出で緩和効果を増幅させるのは難しくなった。「中央銀行に逆らわない」は、14年までの投機筋の掛け声だったが、15年後半から明らかに潮目が変わってきている。その中でのサプライズが果たして短期戦術としても効果的であるかは、議論が分かれるところだろう。

また、付利を引き下げたことで、金融機関が日銀の国債買い入れオペに応じるインセンティブは低下し、日銀の量的ターゲット達成能力が疑われる危険性がある。中銀バランスシートの拡大は金融政策かい離の1つの指標となってきた。国債買い入れが札割れし始めると、日銀の政策フレームワークの不確実性が増加し、リスクセンチメントを冷やす公算が大きい。

加えて、歴史的低水準にある金利をさらに押し下げることで、ボラティリティー急上昇のリスクが高まっている。短期的に金利市場がドル円にとっても大きなリスク要因となろう。

マイナス領域への利下げは今後、日銀が円高に対抗する政策オプションを与えた。しかし、根本的な実体経済やリスクセンチメントへの影響は軽微であると考えられ、持続的な円安トレンドにはつながらないだろう。

また、金利ボラティリティー上昇、金融緩和の持続性、通貨安競争という、ドル円にとってのリスクを強めた側面がある。人民元下落を起点とした「新興国・コモディティー通貨安、原油安」という次元の高い調整圧力に、日本の金融政策で本質的に抗うことは困難だ。円高圧力がかかりやすい構図を転換することは難しい。極論を言えば、「円高派vs円安派」の違いは、日銀うんぬんではなく、外部環境の見方の違いではないか。

プラザ合意のような大規模な政策協調合意がなされなければ、ドル円については当面、引き続き円高リスクが高いし、金利ボラティリティー上昇につられて、ドル円のボラティリティーにも上昇圧力がかかろう。極度な円高が発生する状況では、緊急の日銀金融政策決定会合が開催されるリスクも念頭におきたい。
シカゴ筋は円高予想
イメージ 3

イメージ 4

ドル/円が一時、心理的節目の115円を割り込んだ。政治的な国際協調があれば安心感も広がるが、今月はG20が中国で開かれる。市場が荒れた場合には協調して対応するなどといった、各国の強い決意が市場に伝わるような声明や要人発言が出やすいのだが、開催は2月後半中国だ、スケジュール的にまだ間がある。   
目先、10日のイエレンFRB議長の議会証言が注目だが、この状況では米国の追加利上げに対して慎重なメッセージを出すしかないだろう。株価が反転しても、米金利は上昇せず、ドルが125円の方向に戻していくのは難しいのではないか?
佐々木融JPモルガン・チェース銀行 市場調査本部長
2月9日、JPモルガン・チェース銀行の佐々木融・市場調査本部長は、日本勢による損切りの円買い戻しが本格化すれば、ドル円相場は早い段階で110円近辺に下落する可能性もあると分析。提供写真(2016年 ロイター)
[東京 9日] - ドル円相場は東京時間の9日午前、ついに115円を下抜け、2014年11月以来、およそ1年3カ月ぶりとなる114円台まで下落した。

年明けの120円台からすでに5%近く下落していることになるが、主要国通貨の年初来騰落率をみると、最も強いのが円、次がユーロで、米ドルは上から5番目と中位に位置している。一方、最も弱いのがオーストラリアドルとニュージーランドドルで、それぞれ対円で8%程度も下落している。

つまり、年初来の円高は典型的な「リスクオフ相場」と言って良いだろう。中国をはじめとする新興国経済に対する懸念が続く中、昨年第4四半期に米国やユーロ圏経済もスローダウンし始め、投資家の不安感が一層高まっていると考えられる。

また、そうした流れが、日銀によるマイナス金利導入をもってしても止まらなかったことで、不安感があおられた可能性もありそうだ。

筆者は3月末頃にドル円相場が115円程度まで下落すると予想していたため、予想を上回るペースで円高が進んでいると言える。こうなると、年末時点の予想レートである110円も早い段階で実現する可能性も考えられる。その大きなカギを握るのは、以下説明するように、日本の投資家・企業かもしれない。

<経常収支と直接投資に絡むフローは円買いに転換>

財務省が8日公表した2015年の国際収支データを用いてフローの分析をしてみると、日本の投資家・企業が円高の「運命」を握っていることがよく分かる。

国際収支データによると、2015年1年間の経常収支は16.6兆円の黒字となり、前年に比べ黒字額が6.3倍、金額にして14.0兆円も増加した。実は過去、これほど経常黒字が急増したことはない。演出したのは、貿易収支の改善である。15年の貿易赤字は0.6兆円と、14年の10.4兆円から9.8兆円も改善した。

加えて、第1次所得収支の黒字拡大が経常黒字拡大に寄与した。15年の第1次所得収支は前年比2.7兆円増加し、初めて20兆円台に乗せた(15年中の経常黒字は全て第1次所得収支が稼いだ)。

また、日本企業の海外進出の流れが続いていることを受け、15年は対外直接投資も16.0兆円と過去最高を記録した。

筆者は、円を売却する形で行われる直接投資は全体の半分程度と推計している。したがって、経常黒字から、再投資収益(15年は3.5兆円)と直接投資の半分を差し引いた額が、経常収支と直接投資を通じた円売買額と推計される。それによれば、15年は5.1兆円の円買いと、3年連続の円売りから転じる結果となった。

<損切りの円買い戻しで一段の円高も>

一方、対外証券投資に目を向けると、15年中の動きで目立ったのは、外国株投資の急増である。国内投資家の外国株買い越し額は13.5兆円と過去最高を記録した。内訳は信託勘定(年金基金)が6.4兆円、投信が6.2兆円の買い越しとなっている。

当社は国内投資家による外国株投資は全て為替ヘッジ無しと想定しており、同じく為替ヘッジ無しと想定される外国債券投資(3.8兆円)を加えると、15年中の国内投資家による対外証券投資に絡む円売りは17.3兆円に上ったと考えられる。

経常収支と対外直接投資に絡むフローからの推計円買い額が5.1兆円で、国内投資家による対外証券投資に絡むフローからの推計円売り額が17.3兆円、これに外国人投資家による日本株買いのフローの一部が為替ヘッジ無しだったと想定すると、15年中に国境をまたいで、円相場に影響があったと想定されるフローは11.8兆円の円売りとなる。14年の13.1兆円に続いて2年連続の大幅な円売りだ。

過去にさかのぼってこうしたフローをみると、米国金融危機の混乱以降、11年まではフローと円相場の方向性が同じになっている。しかし、アベノミクスが始まった12年と13年はベーシックバランスのフローがほぼゼロに近い中で急速に円安が進んでいるのが分かる。つまり、この2年間の円安は投機的な円売りにより支えられたものとみられ、円ショートポジションが大幅に積み上がった可能性が考えられる。

その後、14年は貿易赤字拡大を主因にフローが比較的大幅な円売りとなり、実効レートも円安で方向が同じとなったが、15年は引き続きフローが大幅な円売りとなったにもかかわらず、実効レートは若干円高方向に進んでいる。

それでも若干でとどまったのは、海外勢を中心に12―13年に造成されたとみられる円ショートポジションの手仕舞いが、国内投資家による対外証券投資から発生した円売りで吸収されたからだと思われる。

したがって、今後の円相場は、昨年の対外証券投資を通じて、大規模な円売りを行った国内投資家がどのように動くかがカギを握ることになろう。特に、15年中に国内投資家が大規模に投資した外国株は、現在全て含み損を抱えていると考えられる。損切りのための円買い戻しが出てくるようであれば、一段と円高が進むことになるだろう。

また、当社は日本企業が保有する海外留保利益は50兆円程度に上ると推計している。昨年末までの約3年間、円安傾向が続くと予想されていた中で、企業は海外で得た収益を国内に戻さず、海外に留保しておくインセンティブがあったのだろう。これらの留保利益の一部が円高による損失を回避するため、年度末に向けて国内に還流してくる可能性もある。

15年中に行われた過去最大、16.0兆円もの対外直接投資も、海外経済情勢の悪化、円高進行に鑑みると、投資収益が悪化しているとみられ、日本企業がリスクを避ける行動に出る可能性が高くなりそうだ。海外に留保した利益で新たな投資を行うような環境ではないかもしれない。

今後さらに円高が進むかどうかは、国内投資家と日本企業による本格的な円買い戻しが発生するか否かにかかっている。

*佐々木融氏は、JPモルガン・チェース銀行の市場調査本部長で、マネジング・ディレクター。1992年上智大学卒業後、日本銀行入行。調査統計局、国際局為替課、ニューヨーク事務所などを経て、2003年4月にJPモルガン・チェース銀行に入行。著書に「インフレで私たちの収入は本当に増えるのか?」「弱い日本の強い円」など。

日本は貸出金利がもともと低く、引き下げ余地が乏しかった。内需も弱いマイナス金利が実体経済に効果をもたらすことはないだろう。円安を狙ってのマイナス金利と思うが、現状まだわからないが、マイナス金利で円高に振れているのだから、日銀の意図とは違う方向に向いているわけなので、マイナス金利は愚策のような気がする。

むしろ、マイナス金利になれば郵貯銀行や金融機関の経営がおかしくなり破綻する可能性とか、マイナス金利による負の効果の方が気になる。

何よりもゼロ金利にもどそうとしたら金融引き締めになってしまうのだ。




    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック


[北京 7日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)が7日発表した1月末時点の外貨準備高は3兆2300億ドルと、前月から995億ドル減少し、2012年5月以来の低水準となった。減少幅は、過去最大だった昨年12月の1079億ドルに次ぐ規模。

前月比でマイナスとなったのは3カ月連続で、人民元の下落と資金流出を食い止めるために中銀がドル売りを出していたとみられる。ただ外貨準備高は、ロイターのまとめた市場予想の3兆2000億ドルは上回った。

外準は最近の6カ月で4200億ドル程度減少したが、依然として世界最大規模にある。昨年1年間では5130億ドル減少し、年間の減少幅としては過去最大となった。外為当局は4日、昨年の準備高減少のうち貿易や投資による分は3423億ドル、為替や資産価値の変化に伴う分は1703億ドルに上ったとしていた。

政府高官によると、国内企業による外貨建て債務の返済が急増したことや、元安に伴う国内での元売り/ドル買いが拡大したことも拍車をかけたという。

中国からの資金流出は、昨年8月の人民元切り下げ以来増加。同国経済の鈍化懸念や米利上げ観測が背景にある。

独コメルツ銀行(シンガポール)の新興国市場シニアエコノミストは、今回の統計についてリポートで「中国の経済成長は鈍化しており、金融緩和の必要性は非常に高い。だが資金流出は必然的に金融引き締め状態となる」と指摘。「その一方、元の急落を防ぐために人民銀は外貨準備の売却を迫られるとみられ、流動性のタイト化につながるだろう」と述べた。

金準備は635億7000万ドルとなり、昨年末時点の601億9000万ドルから増加した。

国際通貨基金(IMF)リサーブポジションは37億6000万ドルで、昨年末の45億5000万ドルから減少した。

IMF特別引き出し権(SDR)は102億7000万ドル。昨年末は102億8000万ドルだった。
国際金融協会(IIF)が、中国からの資金流出が2016年には5520億ドル(約65兆円)になるとの予測をだしておりましたが、1月だけで995億ドル(約12兆円)。このペースだと1兆ドル以上の流失となる可能性もある。

この流出規模は、過去最大だった2015年に次ぐ高水準だとありますから、既に起こっている資金流出が2016年もほぼ勢いを弱めることなく継続するという風に理解する必要があります。

 今後も人民元は下げ圧力がかかり、また株価も弱含みで推移するだろう。
ジョージ・ソロスが 「中国経済のハードランディングは不可避で、世界的なデフレに陥る危険性がある」と発言し、人民元売りは加速している。

JPモルガン・チェースのアナリストらはリポートで、
中国の対外直接投資拡大や中国株・債権投資から撤退する外国人投資家などがいることを例に挙げ、「中国からの資金流出は実質的に無限」との見方を示している。


中国から前代未聞のペースで資本が流出している。ブルームバーグの集計によると、2015年の流出額は「過去最悪」の1兆ドル(約121兆円)と14年の7倍余りに達した。人民元に対する弱気心理の広がりから、中国国民の間で人民元売りドル買いの動きが強まっていることが大きい。さらに外資企業が中国投資を控える動きが出ていることも影響しているようだ。中国当局は流出に歯止めをかけようと指導を強化しているが、目立った成果も見えておらず、今年の流出額はさらに増えるとの観測も広がっている。

                        ◇

 ブルームバーグによると、14年の流出額は1343億ドルだったが、15年は1兆ドルに達し、06年からのデータ推計以降、過去最悪になったという。

 中国人民銀行(中央銀行)は15年8月に突然、人民元の切り下げに踏み切り、同国に対する不信感が強まった。このため、市民が人民元を売ってドルに替えたり、輸出企業がドルを人民元に替えずに保有を続けるといった動きが加速している。

 先月開かれた世界経済フォーラム年次総会では(ダボス会議)では、富豪で世界的投資家のジョージ・ソロス氏が「中国経済のハードランディングは不可避で、世界的なデフレに陥る危険性がある」と述べ、中国などアジア通貨売りを宣言した。

 このソロス氏の発言に猛然と食ってかかったのは、中国共産党機関紙の人民日報や、国営新華社通信だ。「中国経済は絶対にハードランディングしない。人民元売りは失敗する」と反論した。

 人民日報などが強行に反論するのは、ソロス氏が過去に市場を大きく動かした“実績”があるからだ。1992年に英国の通貨ポンドを大量に売り浴びせて巨額の利益を上げ、「イングランド銀行(中央銀行)を打ち負かした男」と呼ばれた。1997年にタイのバーツなど東南アジアの通貨を売って、アジア通貨危機の引き金を引いたことでも知られる。

 今回懸念されるのは、巨大になった中国経済と、その対外債務の大きさから、人民元売りによって簡単に世界金融恐慌が巻き起こる危険があることだ。それを心得ているであろう中国側が反論してくるのは至極当然ともいえる。ただ、中国当局が、資本流出と表裏一体である人民元不安を止めることは容易ではない。

                         ◇

 外資が中国投資から手を引く動きも鮮明になりつつある。中国商務省の統計によると、15年通年の世界全体から中国への直接投資の実行額は、前年比5.6%増の1262億7000万ドルとプラスを維持したが、日本からの対中投資額は25.2%減の32億1000万ドルと3年連続で減少した。

 ただ、12月の世界全体からの直接投資は8.2%減122億3000万ドル(約1兆4000億円)とマイナスとなり、このうち日本からは34.5%減の1億6000万ドルと激減し、中国を見限る海外企業が相次いでいる格好だ。

 かつては「世界の工場」と呼ばれ、多くの外資企業が生産拠点を中国に移したが、人件費の高騰や景気失速を受け、投資の失速をよんでいる。

 昨年末の投資減について、中国商務省の沈丹陽報道官は1月20日の記者会見で「人民元市場の変動の影響もあった」と述べた。人民元の先安観が強いことが、海外企業の中国投資を抑制する要因になっているのだ。

                         ◇

 ブルームバーグによると、中国当局は昨年から資金流出に歯止めをかけようと、行政・窓口指導の強化に取り組んでいる。その一環として、海外での銀行口座からの引出額に上限を設定。さらに、親類や友人の割り当て分を利用した複数取引で資金の海外移転を警戒するよう、金融機関に呼びかけている。

 ただ、政府のこうした努力も市民の自国経済に対する悲観的な見方を変えるに至っていないようだ。

 公的な規制では、中国国民1人の現金持ち出しは年5万ドルまでだが、地下銀行など、上限規制をすり抜ける手口はいくつもあり、事実上“ザル”になっているという。

 ブルームバーグによると、JPモルガン・チェースのアナリストらはリポートで、中国の対外直接投資拡大や中国株・債権投資から撤退する外国人投資家などがいることを例に挙げ、「中国からの資金流出は実質的に無限」との見方を示している。 
 中国の2015年の実質GDP(国内総生産)は前の年に比べ6.9%増と25年ぶりの低い水準だった。もちろん、この6.9%の成長率が誇張されていることは世界中みんなが知っている。実際の成長率は4%を挙げるアナリストもいるが、それでも楽観派と思う。

中国政府は高度成長から中程度の成長に転換することを宣言しており、世界の工場ともてはやされた中国だが、需要無視の過剰生産や過剰在庫で製造業が不振で、経済成長の中心を個人消費やサービス業に移行させる方針。だが、中国のサービス業は金融関連が占める割合が大きく、昨年来の株価急落や不動産市況の低迷による打撃も大きいとみられる。

 こうした疑念に加え、昨年8月の中国人民銀行による人民元の切り下げ以降、さらに人民元安が進むとの見立てから、中国からの資本流出が止まらなくなっている。

2015年の中国からの資本流出が1兆ドル(約120兆円)に達したとみられると報じている。為替相場の安定のために多額の人民元買い介入を強いられた結果、中国の2015年末の外貨準備高は3.3兆ドルと2014年末に比べ5000億ドル(約60兆円)も減少した。

 原油をはじめとする資源価格の下落も世界の波乱要因となっている。米ニューヨークの原油先物相場は一時1バレル27ドルをつけ、およそ12年ぶりの安値をつけた。原油だけでなく鉄鉱石や銅など多くの資源価格が下がっており、これまで価格上昇の恩恵を受けてきた資源国の経済にダメージを与えている。

 中国を中心とした新興国の経済発展により資源需要が爆発的に伸び、その結果、資源と人口を有する国がさらに成長する。

米ゴールドマン・サックスが2001年に「BRICs」という言葉を作り出して以降、世界の投資家や企業はこの成長ストーリーに乗ろうと、有望な新興国を探し出すことに躍起になってきた。

 2008年のりーマンショック後は先進国による金融緩和のマネーも一斉に新興国へと向かい、そこに投資するグローバル企業も恩恵に浴してきた。

 だが、中国の経済減速と原油安をきっかけに「新興国バブル」は逆回転を始めている。中国やその他の新興国への投資マネーは逃避し、これらの国をますます苦境に追い込む。

 この逆回転は新興国に成長の機会を求めてきた欧米や日本の企業の業績を直撃し、先進国経済をも襲う。1月26日に四半期決算を発表した米アップルは今年1~3月期の売上高が500億~530億ドルになると明らかにした。

半期ベースでは2003年以来の減収だ、食品で世界最大手のスイスのネスレは昨年、最後のフロンティアとも言われるアフリカでの中間層向け事業を縮小することを決めた。

 さらに、リスク回避を求める世界のマネーは日本円に向かう。日本の輸出企業にとっては円高も重荷になり、好業績の予想に黄信号がともりかねない。原油安+中国経済崩壊後、 世界の経済を引っ張る次のエンジンはまだ見えない。危機はじわじわと世界の経済をむしばむ。


中国で何が起きているのか、誰にも分からない。中国がどうなるかは、おそらく中国の指導者も分からないはずである。だからこそ「新常態」という意味不明の言葉が発明されたのだ。

 今、中国社会を覆っているのは「不安」の空気である。たとえてみれば、濃霧で前が見えない高速道路を時速100キロ以上で走っているようなものである。衝突したりひっく返たりするかもしれないリスクを孕みながら、スピードを落とさないのはなぜなのだろうか。

 最大の理由は、早いスピードで走れることが「いい車」の証明だと考えているからである。スピードが落ちて「やはりダメな車だ」と批判されてはならないのだ。

 共産党幹部は経済政策や経済成長のスピードの速さこそが自分の業績として評価されると考えている。確かにスピードが速ければ、大きな利益を享受することもできる。

 経済成長の理想的なスピードは巡航速度で安定して走ることだろう。無理にアクセルを踏まずに本来の実力で、安全に、安定的に走ることである。しかし今までの35年を振り返れば、中国経済はおそらく一度も安定した巡航速度で走ったことはなかった。常に無理して高成長を実現しようとしてきたのである。

勝ち組になれたのは一部だけ

 今までの35年間の経済高成長は、農民の生活を犠牲にして実現したものだったと言って過言ではない。否、今までの35年間だけでなく毛沢東時代も農民が犠牲になった。

「改革・開放」以降の経済成長率は年平均で10%近くに達している。仮に大半の中国人の年収が毎年同じように増えたとすれば、中国社会はもっと安定しているはずだ。ところが農民は経済成長の恩恵にあずかれなかった。結局、勝ち組になったのは共産党幹部および彼らとコネを持つビジネスマンである。

 短期的にGDPが急拡大しても、一部の勝ち組しかその恩恵を享受できなければ、社会は極端に不安定化する。それがまさに今の中国社会である。

 毛沢東時代の中国は地獄だったが、「人間は平等でなければならない」という理念は社会で徹底されていた。その理念を信じてきた中国人は今どのような思いで政府を見ているのか。習近平政権の腐敗撲滅キャンペーンで摘発された腐敗幹部の「実績」、すなわち腐敗ぶりを見て、負け組の人たち(労働者と農民)は言葉を失い、怒りに震えているに違いない。不満が募るのは何も負け組の人たちだけではない。共産党幹部でさえもが不満と怒りを覚えている。

 1月26日の午後、中国国家統計局長・王保安氏は経済情勢分析に関する記者会見で記者の質問に答えていた。だが、その1時間後に、共産党中央規律委員会に拘束された。厳重な規律違反があったからだという。詳細は発表されていないが、おそらく金銭に絡む腐敗だろうと推察される。今の中国に清廉潔白の幹部が一体どれほどいるのだろうか。

長らく王政だった中国

 これから中国社会がどうなるかを占うために、まず、中国社会の特性を明らかにしておく必要がある。

 中国共産党は、現在の社会体制を社会主義と定義する。社会主義の基本的な要素は平等と公有制である。しかし、この2つの条件はいずれも崩れている。中国は平等の社会であるとは言えないし、公有制も「改革・開放」とともに崩れてしまった。中国は明らかに社会主義ではない。では、中国は資本主義なのだろうか。資本主義的な要素は確かにあるが、資本主義でもない。

 歴史を振り返ると中国は数千年にわたって絶対王政を続けてきた。今の中国社会にはかつての王政の要素が多数残っている。

 たとえば、指導者への個人崇拝はまさに王制の負の遺産である。かつて毛沢東は国共内戦で蒋介石に打ち勝って北京に入ったとき、清王朝の皇帝たちの住居だった紫禁城(故宮)に住居を構えようとしたといわれている。そして、ある日、北京の中心部に位置する北海公園で側近たちとボードを漕いでいたとき、「俺も側室(妾)が欲しい」ともらした。農民一揆の王だった毛沢東は近代的な中国を作ることよりも、まずは皇帝になろうと思ったのだ。

 また、これまでの35年間、中国社会では王政時代に戻るかのように特権階級が急速に形成され、勢力を伸ばしている。

配慮されていない富の分配

 民主主義の社会では、政治と社会を安定させるために国民の間でコンセンサスを形成することが前提となる。権力者の政策が国民によって支持されなければ、政治も社会も安定しない。

 では、国民はどのような政策を求めるのか。それは抽象的な経済成長ではなく、そこから得られる恩恵を自らどれだけ享受できるかである。

 このことを踏まえると、中国の「改革・開放」政策の落とし穴が見えてくる。つまり、共産党は抽象的な経済発展を実現しようとしてきたが、国民の大多数にどれだけ恩恵をもたらしたかについては十分に配慮していない。これまでの35年間で経済は確かに成長したが、富の分配については、共産党幹部を中心とした限られた者同士の奪い合いだった。

 習近平政権の反腐敗キャンペーンは何を目的にしているのだろうか。もし共産党幹部の「特権」の打破が目的ならば、習近平国家主席は中国の歴史に残る名君になるだろう。だが、政敵を倒すためのパワーゲームに過ぎないのならば、中国社会は極端に不安定化する恐れがある。

 最近の中国の政治情勢をみると、共産党は習近平国家主席を中核とする共産党中央への団結を呼びかけている。団結の呼びかけは毛沢東の時代も鄧小平の時代も繰り返し行われたが、党中央に対して反抗的な言動がみられるから団結を呼びかけるのである。

 今の中国社会は、民主主義と市場経済への過渡期に差し掛かっている、とは言えない。むしろ、民主主義的な市場経済にまい進するか、王政の社会主義国家へ逆戻りするか、の分水嶺に差し掛かっている。



執筆中










    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

イメージ 1

中国遼寧省丹東側から撮影した、北朝鮮側から打ち上がる事実上の長距離弾道ミサイルとみられる飛行体=7日8時31分ごろ(現地時間)(共同)

【ソウル=藤本欣也】聯合ニュースによると、北朝鮮が7日午前9時(日本時時間同9時半)ごろ、北西部の平安北道・東倉里(トンチャンリ)にある発射場から、長距離弾道ミサイルを発射した。長距離弾道ミサイルの発射は2012年12月以来。金正恩(キム・ジョンウン)政権は1月6日に「水爆実験」と称して核実験を強行したばかり。国際社会の対北制裁強化の動きに反発し、さらなるミサイル発射や核実験に踏み切る可能性もあり、朝鮮半島情勢は緊迫の度を増している。

 北朝鮮は6日、長距離弾道ミサイルの発射期間について、「8~25日」から「7~14日」に変更すると国際海事機関(IMO)に通報。天候次第では7日に発射する可能性があると日米韓は警戒を強めていた。

 北朝鮮としては、5月に開催予定の朝鮮労働党第7回党大会を前に、金正恩第1書記の科学技術の成果を一層強調し、国威を発揚する狙いがある。韓国紙は東倉里の発射場に「金第1書記の参観台が設置された」とも報じており、金第1書記が現場で指揮を執った可能性もある。

 今回、発射した長距離弾道ミサイルの詳細は明らかではないが、前回12年末に発射したミサイルは「テポドン2号改良型」(最大射程1万キロ)とされる。

 東倉里の発射場では、発射台の高さが50メートルから67メートルに増築され、韓国政府は「(米東海岸に達する)射程1万5千キロ以上の大陸間弾道ミサイル(ICBM)も発射できる」(金章洙駐中国大使)との見方を示していた。

 北朝鮮はこれまで弾道ミサイルの発射を「人工衛星の打ち上げ」と主張してきているが、弾道ミサイル発射と衛星打ち上げは同じ原理。国連安全保障理事会決議は、人工衛星を含め「弾道ミサイル技術を使った全ての発射」を北朝鮮に禁じている。
遂に打ちやがった!
北朝鮮から発射された長距離弾道ミサイルで5つに分離した1部分のうち、9時45分ごろ日本の南約2000キロの太平洋上に落ちたと推定される落下物について、予告落下区域外だったとした。完全に成功したわけではないが、1993年に北朝鮮が準中距離弾道ミサイル「ノドン1」を日本海に向けて発射した実験から23年、遂に北朝鮮はアメリカ全土を射程に収めたICBMを持つに至った可能性が高い。

1994年10月21日 - 米朝枠組み合意に調印。北朝鮮の主要核施設凍結にもかわらず、約束を当然のように破る北朝鮮。朝鮮人という不誠実な民族を甘やかし騙された米国、中国、日本、ロシア、そして同じ民族国家である韓国政府の愚かな対応結果である。

1972年、ニクソン大統領の中国電撃訪問時、毛沢東主席と会談し「南北双方の朝鮮が再び問題を起こし、我々が困るようなことになってはならない」と語り、米中は和解した。以来、米中はこの原則を違えることはなかった。米中は朝鮮人を感情的で度し難い民族と見ている。感情的で衝動的な民族を米中が協力して朝鮮半島を管理した方がよい――との判断したとも言われている。

朝鮮人のせいで米中は二度と戦争に巻き込まれたくないのである。米中は「北に核が存在するという現状の維持」に向かう可能性が高いだろう。

平気で嘘をつく民族性、国際社会から孤立した特異性、北朝鮮をダシに米国から譲渡を引き出した中国。北朝鮮が約束を守る国家として対応した米国、憲法九条を改憲せず平和ボケをした日本人の責任でもある。

2016年1月6日北朝鮮は自称水爆実験と呼ぶ4回目の核実験を強行し、米国東部にも届く可能性がある長距離弾道弾の実験といい、もはや腰抜けオバマが宣言した”世界の警官を辞めます宣言”など言ってられなくなった。モンロー主義の旗を揚げ、内に籠もれば平和だなどと言ってられなくなった。

北朝鮮はまだ「完全な水爆」や「完成されたICBM]を持っているわけではない。
しかし、初の核実験から10年を経た北朝鮮が濃縮ウラン型の核の大量生産態勢を備え、核爆弾を小型化し、ミサイルに搭載できる段階に至ったとする見方は否定できない。増え続ける数十個の核爆弾や、運搬ミサイルの存在は看過できない。

 何よりも、金正恩は、まだ若造であり、周りに正恩を諌める大人が存在しないのが危険で予測不能だ。そして日本にとって危険なのはオバマのような超無責任な人間が次期大統領に就任することだ。

仮に、トランプが日本に核の傘を提供しないと宣言したらどうなるか!
更に朝鮮半島や日本から米軍が撤退するとなれば、日本は独自に北朝鮮や中国との核と対峙しなくてはならなくなる。

日本より米国に見放されている韓国では今、独自の核武装論が噴出している。

いずれ、北朝鮮は水爆を搭載できるICBMを保有することになるだろう。北朝鮮の核武装を防げない米国の「核の傘」は半分、破れているも同然である。

私は米国の北朝鮮に対する生ぬるい対応をこの25年苛立たしく感じていた。
米国は偽札スーパーノートと拉致問題の裏の首謀者として北朝鮮に実はキンタマを握られているという極秘情報の信憑性を信じているので、米国が弱気な理由も解らないまでもない。

北朝鮮が完成された水爆とICBMを多数保有できたなら、北朝鮮が核ミサイルでソウルを人質にして、統一を果たすことすら可能だ。国家機能をマヒさせれば、米国は北朝鮮に反撃する。自国に北朝鮮の長距離核ミサイルの報復を受けることも覚悟しても北朝鮮に核を打ち込むと金第1書記が思わない限り、核抑止力の作動は難しい。核抑止戦略は敵が核を撃った瞬間、終わりなのだ。

「正当防衛的な核武装の権限」を韓国は要求し始めている。これは、日本にとって由々しきことである。反日有理、愛国無罪の韓国人に核を持たせたらキチガイに刃物になってしまう。当然米国が認めるわけがなく、韓国国内では日韓同時に米国に核武装を認めさせようと言う動きすらある。


私は日韓による共同核運用構想には大反対である。韓国などのようなクズ国家と共同で日本が何か事を運ぶことは願い下げだ。信用できない裏切り民族に、国家の命運を左右しかねない核兵器の共同運用など間違ってもしてはいけない。

まして、ロケット技術を持たない韓国に日本のロケット技術の提供などもってのほかである。

平時から、韓国人は「米国人が自分の国への核攻撃リスクまで冒して、果たして自分を守ってくれるのだろうか」と疑っている。自分が不誠実な人間ほど他人に対して疑心暗鬼になるのは当然である。

北朝鮮は韓国人に米韓同盟への不信感を持たせ、北朝鮮は米韓同盟の弱体化に本腰を入れている。すでに”在韓米軍撤収”を条件に「米国との平和協定締結」を言い出し、米韓同盟を廃棄に追い込むシナリオを描いていると思う。韓国の親北勢力に韓国世論操作され、北朝鮮が要求している在韓米軍撤収と北の核廃棄を取引する裏切りも想定される。

どのような形であれ、朝鮮半島が統一され、統一国家が核兵器を持ったままであれば、日本は大変危険な状態になる。仮に日本以外の周辺国すべてが核兵器を持ったとしても、日本は核弾頭とICBM保有しないだろう。日本のリベラルは死ぬまで目を覚ますことはないだろう。仮に日本に核ミサイルが撃ち込まれたとても、軍国主義化した安倍政権が悪いと馬鹿左翼は言い出すだろう。馬鹿左翼は国際平和、いや人類の生存に有害な生き物だと思う。

 われわれ国家の生存を、若い馬鹿独裁者と、米国の善意だけに任しておくことはできない。米国の核の傘に安住して、「米国と国連が問題を解決してくれるだろう」という消極的な態度をもはや許されない。核武装に邁進する北朝鮮という存在を、はやく日本国民に理解させなくてはならない。


完全に顔に泥を塗られた中国

正恩は、中国を完全に見限っている。米国や日本など世界中を敵に回しても、中国は北朝鮮をかばってきたが、完全にメンツを潰された。今回の実験はもはや中国は北朝鮮を制御できていないことを全世界にばれることになってしまった。

米国は6カ国協議などで、中国が北朝鮮を制御できているから、中国のオーダーを飲むことがあった。米中で朝鮮半島を管理することが難しくなった。中国が北朝鮮を制御できないのなら、米国は中国に配慮する理由がなくなるのである。

考えてみると、北朝鮮の核を保有し、現状維持を求めるなら、米国からすれば米朝が和解してもOKではないか?どうせ韓国は中国に取り込まれようとしているならば、韓国を中国に渡し、代わって米朝が合意することでバランスがとれる気がしてならない。朝鮮半島全体の非核化と中立化が射程に入ってきます。その過程で北朝鮮の体制が揺れれば、統一問題も絡むでしょう。

だが、拉致問題を抱える日本からすれば北朝鮮との安易な妥協はできない。
北朝鮮と韓国、日米中露の微妙なパワーバランスが東アジアの将来の枠組みを決めることになる。日本は、ロシアを取り込み、独自の外交力が必要となる。

独自の外交力には軍事的裏付けが必要である。その為には、米国の核の傘以外に自国を守る傘を独自に持つべきというのが私の結論である。独自の傘とは核武装ではない。CSM非核弾道ミサイルの大量装備。THAADミサイル地上配備型SM-3の配備が必要となる。勿論憲法改正は待ったなしである。







執筆中












    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

このページのトップヘ