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最新Betelgeuse ドイツ、マックスプランク研究所の大仲圭一博士観測データに基づくCG 

オリオン座は、世界中で見え、夜空で最も見つけやすい星座の1つ。古代ギリシャの神話では棍棒を振り上げた勇敢な狩人オリオンの右肩の位置にある赤色巨星がベテルギウス、おおいぬ座α星シリウスと、こいぬ座α星プロキオンとともに冬の大三角形を成す赤い巨星であるが、現在約100年ぶりの暗さに落ちています。1863年イギリスの天文学者ジョン・ハーシェルはベテルギウスが明るくなったり暗くなったりを繰り返すことを発見していますので、なんともいえませんが、もしかすると、超新星爆発するのではないかと話題となっています


太陽のように光り輝く恒星の大部分がもっとも単純な元素・水素からできている。星の中心部では高温高圧のため、水素と水素が核融合しヘリウムができる。核融合が起きると、星はその時エネルギーが生み出され、星は光り輝く。これが今の太陽の状態である。

やがて長い間星は輝き続けると、ついには中心部の水素が使いつくされる。すると水素に代ってヘリウム同士の核融合が始まる。その結果炭素、そして酸素・・・と次々と新たな元素ができる。中心部の温度が上がり、星は膨張を始める。ベテルギウスのような赤い巨星へと変貌を遂げる。最後に鉄ができると核融合は止まる。すると自らの重力を支えられなくなり、急速につぶれ、星の寿命が尽きるのである。
【NewsSalt】山本 賢一 2020年1月30日 
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米国のレーザー干渉計重力波観測所「LIGOライゴ」および欧州の観測所「Virgoヴァーゴ」が14日、オリオン座のベテルギウスに近い領域から今まで見られなかったわずか14ミリ秒の瞬間的な重力波(重力波バースト)を検出し、「S200114f」と名付けた。ベテルギウスは昨年12月以降、これまでになく減光しているため、この重力波バーストがベテルギウスの超新星爆発を意味しているのではないかとの関心を呼んでいる。
 
CNETニュースでは14日、「過去に検出された重力波は、2つのブラックホールの衝突や、中性子星が死のスパイラルに巻き込まれた後に最終的に合体する際など、宇宙で起こる極端な現象に関連して生じている。重力波バーストはこれまで検出されたことがないが、超新星爆発が重力波バーストを引き起こす可能性はある」と記事の中で解説した。

一方で、米国のラス・クンブレス天文台の天文学者アンディ・ハウエル氏によるツイートを引用し、「ベテルギウスは次の理由で爆発していない。1.重力波ローカリゼーション地域外である。2.バーストは本物ではないかもしれない。3.バーストはおそらく短すぎる。4.ニュートリノが検出されていない。5.ベテルギウスの減光理由は十分に説明できる」との見解も紹介した。

それに対し、ハウエル氏は24日、「英国のデイリー・メール紙、イタリアのラ・レプッブリカ紙、米国のCNETニュース、宇宙情報サイトのユニバース・トゥデイなど、多くの人々が私のベテルギウスについてのツイートを取り上げた。しかし昨日までにインタビューのために私に連絡してくれたのは科学ニュースサイトのライブ・サイエンスのみだ」とツイート。

そのライブ・サイエンスのインタビューでハウエル氏は、「巨大な物体の衝突による重力波は通常長く続き、2つの軌道を回る物体が互いに近づくにつれて周波数が時間とともに変化する一連の波としてデータに現れる。しかし、今回の新しい信号は一連の波ではなくバーストだった。さらにバーストは大規模な星の崩壊から予想されるものとしては少し短すぎるようだ。また超新星爆発時にはニュートリノの放出が起こるが、天文学者らはニュートリノを検出していない。別の可能性として、2つの中間質量のブラックホールの融合が信号を引き起こした可能性が挙げられる。中性子星の合体は、今回の新しい信号よりも長く、約30秒続く波を生成する。しかし、ブラックホールの融合の場合は、数秒程度続くバーストになる可能性がある。ただし、LIGOは信号の正確な構造をまだ発表していないため、彼らが何を見つけたかはまだわからない」とコメントした。

ハウエル氏によると、この信号は検出器からのデータのノイズにすぎない可能性もあるという。しかし、今回の重力波バーストは、3か所の検出器すべてで検出されている。LIGOの1つはワシントン州、もう1つはルイジアナ州、そしてVirgoはイタリアにある。したがって、これら3か所の検出器が偶然にこの信号を見つける(誤報である)確率は25.84年に1回であり、「これはかなり良い信号であるという兆候を与えてくれる」とハウエル氏は述べた。

最後にハウエル氏は「宇宙はいつも私たちを驚かせる。そこには全く考えられていない重力波を生み出す全く新しい天文学的な出来事があるのかもしれない」と付け加えた。

天文学者たちは現在、望遠鏡をその領域に向けて、重力波の源を特定しようとしている。

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宝石箱のような超新星爆発の残骸 カシオペヤ座A ケイ素が放つX線は赤、硫黄は黄色、カルシウムは緑色、鉄は紫色で示されている(青は衝撃波/ 紺青色の輝きは酸素 少量の炭素(黒)、窒素、リン(淡青色)、水素(白)も確認されている。



約250年前ペテルギウスがどのような星なのか解明されるようになって以来、特にこの10年以上前から、近々超新星爆発をするぞするぞと、言われ続けてきた。

ペテルギウスがまた、一段と暗くなり、なぞの重力波も検出した為、いよいよ爆発が差し迫っているとのか?と話題になっていますが、それだけで爆発直前だと断定していいものか私は、わからない。天文学的時間で、直前といっても、2020年内なのか?まだ十数年先なのか?誰にもわからない。100年先の可能性だってある。

現在超新星爆発は我々が住んでいる銀河系の中で、100年から200年に一度の割合で発生していると言われていますが、理論的には平均すると1つの銀河で40年に1回程度の割合で発生していると考えられています

まもなく訪れるかもしれないベテルギウス星の死、その時何が起こるのか・・・有史以来過去の目撃例とスーパーコンピューターである程度の予想は可能だ。

有史以来、肉眼で目撃され記録された超新星爆発例は8回あります。

主な超新星
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※SN1885A アンドロメダS星は、肉眼ではなく1885年にフランスはルーアンの天文学者リュドヴィク・グイが、望遠鏡による公開の観測会中に気が付いたとされる。アンドロメダ銀河で発見された超新星のことである。この超新星は、天の川銀河以外で最初に記録された超新星である。


最古の超新星爆発の記録はSN185 中国の天文学者が客星とし歴史書『後漢書』西暦185年12月7日に残っています。
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爆発の残骸は、2006年X線天文学衛星XMM-NewtonとチャンドラX線観測衛星のデータが一致し、超新星残骸RCW 86を超新星爆発SN185の残骸と確認した。
超新星残骸RCW 86の正体は、記録上最古の超新星か

中国の歴史書、『宋書』「天文志」「太元十八年二月」西暦393年の2月27日から3月28日さそり座に出現した超新星であるSN 393
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超新星残骸RX J1713.7-3946 すざく」と「チャンドラ」が突き止めた宇宙線の製造工場


歴史上で最も視等級が明るくなった超新星爆発SN 1006

西暦1006年に出現した超新星爆発記録である。地球からの距離はおよそ7200光年-7.5等星まで輝き、昼間でも観測されていた。1006年4月30日から5月1日の夜におおかみ座領域に初めて出現したこの「客星」は、スイス、エジプト、イラク、中国、日本、そして恐らくは北アメリカの観察者たちにより記録されている。

中国『宋史』志第9・天文九・巻56 1006年5月1日(景徳3年4月戊寅)明るさは月の半分程度で、地面にあるものが見えるほど明るく輝いていた。日本では陰陽師・安倍吉昌が観測している。エジプトでは占星術師、アリ・イブン・リドワン。スイスではザンクト・ガレン修道院に勤めるベネディクト会の修道士たち。米国アリゾナ州に遺されているホホカム族も、この超新星を岩絵に描いた。


最も有名な超新星爆発の残骸がカニ星雲

おうし座にある超新星残骸で、今も秒速1300kmで広がっている。地球からの距離はおよそ6500光年現在発見された残骸の中では最も近い。超新星爆発は1054年に出現したことが、中国や日本の文献に残されている。
1054年に出現した超新星(SN 1054)は、中国の記録『宋史』「天文志」に客星(突然現れた明るい星)として記され、仁宗の治世である至和元年五月己丑(1054年7月4日)に現れ嘉祐元年三月辛未(1056年4月5日)に見えなくなったとある。日本でも藤原定家の日記『明月記』、著者不詳の『一代要記』にも記録が残っている。

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SN1181 3C58

SN 1181(超新星1181)は、1181年に観測された超新星である。8月4日から8月6日の間にカシオペヤ座で観測され始め、中国と日本の天文学者により8つの独立した文献に記録された。肉眼で観測されたことが記録に残っている9個の銀河系内の超新星の1つで、約185日間に渡って夜空に見えた。残骸は10000光年(~26000光年)先にある3C58と推定されている。

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SN 1572 ティコの超新星、カシオペヤ座に現れた、今までに肉眼で見えた8つの超新星のうちの1つである。この超新星は、1572年11月11日にティコ・ブラーエによって詳しい観測されたので、残骸は8,000~9,800光年先の「ティコの星」。この超新星爆発は、我々の銀河系内で起こり、実視最大光度は-4等級で、金星に匹敵する明るさであった。その後1574年3月に、この星の輝きは、肉眼では見えなくなった。

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SN 1604 ケプラーの超新星 1604年10/9へびつかい座に現れた約20,000光年先の銀河系内の超新星である。2020年1月現在、銀河系内で観測された最後の超新星爆発である。18か月にわたって肉眼で見ることができ、絶頂期には、みかけの等級が−3等で、夜空で他のどの恒星より、また金星を除く他のすべての惑星より明るかった。

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SN 1987A  1987年超新星A は、初めて銀河系外大マゼラン雲内に発見された超新星である。初めて観測されたのが1987年2月23日。「SN」は「超新星」を意味する "supernova" の略。地球からは16.4万光年離れている。23日午前10時30分(UT)に撮影された大マゼラン雲の写真に写っており、可視光で捉えられたのはこれが最初とされる。超新星発見の報告が最初になされたのは24日のことである。超新星の明るさは5月にピークを迎え、視等級にして最大3等級となったあと、数ヵ月かけて徐々に減光した。肉眼で観測された超新星としては1604年に観測された SN 1604(ケプラーの超新星)以来383年ぶりであり、現代の天文学者にとっては初めて超新星を間近に観察する機会となった。

日本では陽子崩壊の観測のために建設されたカミオカンデがこのニュートリノを捉えており、精密な観測を行うことができた成果により建設を主導した東京大学名誉教授の小柴昌俊が2002年にノーベル物理学賞を受賞している。


星は超新星爆発の瞬間、凄まじいエネルギーで鉄より重い様々な元素が合成され、周りにまき散らされガスや塵が毎秒1300kmもの猛スピードで広がっている。有史上記録に残っていたのが以上の8回である。

もっとも遠いのは1987年に大マゼラン雲で見つかった超新星1987A(16万光年)ケプラーの超新星(16000光年)、ティコの超新星(7800光年)、最も地球の近距離で爆発したのが、かに星雲のSN1054その距離6500光年=61京6494兆7480億7177万0002kmに対し、ペテルギウスは、わずか642光年=6073兆7889億6339万kmしかない。

もしベテルギウスが642年前の西暦1378年(日本は南北朝時代北朝暦の永和4年)に、もし既に超新星爆発を起こしていたとすれば、人類史上例を見ない至近距離での超新星爆発となる。このベテルギウスの超新星爆発は、地球に危険が及ぶことはないのだろうか?

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その影響を探る手掛かりが南米アルゼンチンにある。北部の町サンファンから車で2時間、渓谷には、4億4000万年前の地層と4億5000万年前の地層がある。

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この間には歴史的に重要なイベントオルドビス紀末の大量絶滅が起きた地層である。

原因は多くの説が唱えられているが、ガンマ線バースト説が有力視されている。


大量絶滅当時、もっとも繁栄していたのが三葉虫、深い海に住む種類もいれば、海面近くに生息する種類もいた。海は多種多様の三葉虫であふれていた。

4億4000万年よりも前の地層では、深海に住む種も海面近くの種も見つかっている。
ところが4億4000万年より後の地層では深海に住む種の化石しか見つからないのである。

ガンマ線バーストの直撃によって、当時のオゾン層が最大で35%減少し、元通りに回復するまで10年近くかかった。オゾン層によって太陽の強烈な紫外線から守られていたが、オゾン層が減り有害な紫外線が地表や海面近くに降り注いだ結果海面近くにいた三葉虫だけが絶滅し、紫外線が届かない深い海に住む三葉虫だけが生き延びた可能性が高い。

まもなく起きるというベテルギウスの大爆発、はたして人類は生き延びることができるのだろうか?地球に危険が及ぶか及ばないかは、ガンマ線バーストの直撃を受けるか受けないかに懸かっています。
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これまでの研究から超新星爆発時に照射される強力なガンマ線は、が自転軸から角度にしておよそ2度以下でああった。では、ベテルギウスの自転軸が地球を向いているか?ハッブル宇宙望遠鏡をベテルギウスに向け観測が行われた。

ハッブルはベテルギウスの表面のいくつかの点についてどれくらいの速度で動いているかを測定した。その結果ベテルギウスの自転軸の向きは、地球に対して自転軸は幸運にも20度ずれていた。至近距離にあるベテルギウスが爆発を起こしても地球環境に影響を及ぼすことはなさそうだ。ただし、超新星爆発時のかなり大きな質量変動とそれに伴う自転軸の変化が予想できないこと、ガンマ線放出指向性の理論的・実験的な根拠がはっきりしないことから、直撃の可能性について確実なことは言えない。

ベテルギウスが爆発した時、地球からはどのように見えるのか。
東京大学、野村憲一博士のグループは、ベテルギウスの爆発を理論に基づき計算をし、色や温度、形がどのように変化してゆくのか科学的に導いた。

オリオン座の一角を担うベテルギウスに最後の時が訪れる。
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色は赤から青に変わる。温度が急上昇しているためだ。
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1時間後ベテルギウスはどの星よりも明るく輝く。
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だれもがその異変に気付くようになる。
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爆発から3時間後明るさはさらに増し、満月のおよそ100倍のまぶしさで輝く。
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たとえ昼間であっても青空の中に明るくきらめく。
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この明るさはおよそ3ヶ月間も続くと予想されている。
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ベテルギウスの周りでは、死ぬ間際に放出されたガスが超新星爆発の強烈な光を受けて輝く。
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4ヶ月たつと星の色が変わりはじめる。温度が下がり色が青からオレンジになる。
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幾重にもとりまくガスが大輪の花のよう。
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やがて温度はさらに下がり、色は赤く、そして暗くなってゆく。
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4年後、ついにベテルギウスは肉眼で見えなくなる。
オリオン座はベテルギウスを失ってしまう。
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爆発から数百年後には散り散りになったベテルギウスの残骸とはるか彼方で光を反射するガスの星雲を目にすることができるだろう。

有史以来私達が目にしたことのない至近距離での超新星爆発、それはいつのことなのか?
重力波が検出されたというが、初めて重力波が検出されたのが、2015年わずか5年前であり、重力波が検出されたからといって、明日爆発するかどうかは、わかっていない。
明日なのか、1年後か10年後?下手をすれば100年以上先の話になるかもしれない。

超新星爆発の直前に星の中心から大量のニュートリノが放出されることが知られている。
ニュートリノはスーパーカミオカンデの水槽の中で水とぶつかり、無数の青い光を発す。
大量のニュートリノを検出して、早ければこの光の数時間後に超新星爆発が起きると予想されている。

ニュートリノが大量に検出された時、世界各国の研究者の緊急テレビ会議が開かれ、データ分析が行われる。そして超新星爆発だとわかればすぐさま世界中の天文台に連絡がとられる。今世界中に知らされるという。

運がよければ、私の生きている間に、ガンマバーストの影響を受けずに、ペテルギウスの超新星爆発という世紀の天体ショーを見れるかもしれない。

ペテルギウスの超新星爆発は、人類が滅亡する兆候だと、デマを流す方もいるでしょう。
古来から洋の東西の占星術は、太陽系惑星の10の天体と星座の関係から関連する過去を見て、未来を読み解くものなので、星座の構成星であるベテルギウスの消滅は、前例が無く吉なのか凶なのか占えるわけがない。ちなみに12星座占いではオリオン座は対象外、最近できたと思われる、
オリオン座が入る36星座占いが当たるかどうかは知りません。

ただ、占星術の基本的な考え方として、星々の変化は、われわれ人間の変化と、同期をとっているに違いない、という基盤の上に、ロジックが構成されているならば、
ペテルギウスの超新星爆発を境に、人類史上最大の転換点にたつのかもしれません。


ペテルギウスが生み出した元素は、宇宙空間を漂う。やがて長い時間をかけて再び集まってゆく。この中から太陽系や地球のような惑星が誕生し、さらにはその元素をもとに再び生命が生まれてくるであろう。いわば、消滅と誕生を意味するからである。

巨大な星の死の爆発があったからこそ、今私達は存在している。
「星はいわゆる元素の生産工場、あなたも私も皆星から生まれた子供なのだ。」
そんな、宇宙の輪廻転生を目撃できるとしたら、どんなに幸運なことであろう。

いまを生きている私達がベテルギウスの爆発に遭遇するかは分からない。だが、有史以来もっとも明るい超新星爆発について爆発前に思索することは、後世に対する遺産になるかもしれない。

これから毎晩新型コロナウィルスやら、消費税増税による景気の後退など世間の憂さのことは忘れ、オリオン座の位置を探し、東南東の空を暫し眺めることを日課にしたいと思う。

変形しすぎ!?ベテルギウスの最新映像がヤバイ

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<5/3追記>その後のベテルギウス

【SORA】2020-02-26


by 松尾 芳郎 • 2020年3月23日