【文春オンライン】 末家 覚三 2020/02/01 19:00

 感染者が2003年に猛威を振るったSARSを上回った新型コロナウイルスは、どこから発生したのか。複数の研究が続く中、ウイルスの拡大を遥かに超えるスピードで発生源の流言飛語が拡散し始めた。だが、全く根拠がないわけでもないところが厄介だ。

急拡大する「中国生物兵器説」

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コロナウイルス ©AFLO© 文春オンライン コロナウイルス ©AFLO

 インターネット上で急拡大しているのは「中国生物兵器説」だろう。感染拡大の中心地・中国中部の武漢市に世界有数のウイルス研究所「中国科学院武漢病毒研究所」があることが最大の根拠だ。

 実際、武漢市での感染拡大が発覚した当初、このウイルス研究所が関与したかどうかについて安全保障の専門家の間でも水面下で議論が進んでいたというから一定の考慮の価値はある。

 この研究所は日本を含め世界でも100に満たない最高レベルの安全管理基準であるBSL-4(生物学的安全レベル4)に準拠した施設。フランスの技術が導入され、米国の研究所とも深い連携を結び、ウイルスが逃げないよう空調など万全の施設を整えているとされるのが武漢市の研究所だ。

 気になるのは、この研究所に対する警告を米国の分子生物学者が2017年の時点で英科学誌ネイチャーの記事で発していることだ。この学者によると、研究所の発足前に中国ではSARSウイルスが別の施設から何度も漏洩したことがあるといい、別の学者も「透明性こそが研究所の基礎」として閉鎖的な中国での運用を危惧する意見を表明していた。

米国務省が報告書で中国の生物兵器への懸念表明

 無論、ウイルスと生物兵器の間にはだいぶ隔たりがある。ただ、そこに現れるのが、米国務省の報告書だ。2019年の報告書で中国が「潜在的に(兵器にも医学にも)併用できる生物学的活動をしている」と懸念を表明しているからだ。

 こうした要素を初期に報道したとみられるのは米国議会から支援を受け、アジアでの反共プロパガンダを担ってきたアジア自由ラジオ放送だった。

 慎重な報道ではあったが、ウイルスが人為的に製造されたのではないかと示唆する内容だった。これを受け、さらにイスラエル元諜報関係者の実名証言を交えて一大ニュースに仕立て上げたのが米保守系マイナー新聞のワシントン・タイムズだ。

 一流紙とされるワシントン・ポストでもニューヨーク・タイムズでもないことに留意されたい。要は少し信憑性の薄い、眉に唾つけて読む必要のある新聞だ。

 記事の見出しは「コロナウイルス、中国の生物兵器戦争に関係する研究所から発生した可能性も」。実名証言も報じているが、実際にこのダニー・ショハムなる人物の証言をみると、ウイルスの漏洩については一般的な可能性を指摘したまでで「いまのところそれを示すか推測させるような証拠はない」としているのみ。羊頭狗肉だ。

 生物兵器に要求されるのは、味方を傷つけずに敵方を殲滅する「能力」。つまり感染力が限定的で殺傷力が高いことが求められる。

 だが、新型コロナウイルスはSARSと比べて感染力が強い割に殺傷力は弱い。仮に兵器だったとしたら、敵方はなかなか死なないかわりに味方に損害が出る、という元々あるSARSにすら能力が劣る落第兵器だ。研究所から漏れた可能性はゼロではないにしろ、兵器説は荒唐無稽とせざるを得ない。

ワクチン開発を資金支援していたビル・ゲイツの陰謀?

 一方、中国起源説に異を唱えるのは英米起源説だ。新型コロナウイルスが発生する前にそのワクチンの特許が出願されていた、と特許関係の書類付きで米国のトランプ信者で陰謀論者のユーチューバーから大拡散している。しかも、その研究を資金面で支えているのが米マイクロソフト社創業者の大富豪ビル・ゲイツ氏というのだ。

 だが、その書類をみると、種類こそ数多あるコロナウイルスだが、細かくいえば鶏伝染性気管支炎ウイルスで、新型コロナウイルスとは無関係どころか、そもそも鳥の病気。しかも、ゲイツ氏のビル&メリンダ・ゲイツ財団は英パーブライト研究所を支援しているものの、その研究自体には支援していなかった。

 だが、陰謀論は恐ろしい。ウイルス、大富豪、中国、米国、というだけで妄想を膨らませるには十分なキーワードだが、そこにワクチンまで加わると厄介だ。

 ワクチンについてはワクチンの効用を否定する反ワクチン運動がネットでも現実世界でも一定の支持を得ており、実際に90年代以降、世界的に麻疹、風疹、おたふく風邪(MMR)ワクチンの接種率が下がっているとの報告もある。まるで天然痘用のワクチンが世界で初めて開発された200年前のころのようだが、ともかく、この「ワクチン」「反ワクチン」というのは迷信を信じがちな人々の琴線にさらに触れてしまい、陰謀論の広がりに拍車をかけてしまっているようだ。

「中国でコウモリ食が広がっているから感染した」

 意外と真実に近いのは完全なフェイクニュースである「コウモリスープ起源説」かもしれない。中国人女性がコウモリスープを食する動画を2016年にシェアしていたのだが、改めてネット上で拡散。コウモリはSARSの発生源とされていたことから、新型コロナウイルスも「中国でコウモリ食が広がっているから感染した」との説を形成したのだ。

 ところが、これは全くの嘘。撮影されたのはパラオだったからだ。一方、真実に近いというのはコウモリの部分だ。

 皮肉なことに、新型コロナウイルスの発生源についていち早く、1月23日に言及したのは、「生物兵器説」の犯人として名指しされた武漢市の「中国科学院武漢病毒研究所」。所属する女性医師の石正麗博士らのチームがコウモリ起源説の草稿論文を発表したのだ。

 この博士は、SARSの起源がコウモリに遡ることを遺伝子情報などで突き止めた御仁。その後もコウモリとウイルスの関係を確かめようと、何年も周辺の洞窟を歩き、コウモリの糞を採取してはウイルスの有無を調べる研究を続け、2017年には人間への感染は未確認の別の新型コロナウイルスまで発見しているのだ。

 その博士が発表した今回の論文でもこの別のコロナウイルスが登場する。新型コロナウイルスの遺伝子情報はSARSウイルスとの類似性は79.5パーセントに過ぎないが、この別のコロナウイルスとは96パーセント一致するというのだ。それをもって石博士らのチームは新型コロナウイルスがコウモリ由来だったと推論する。

 コウモリ発生源を強く示唆する内容だが、発生源の問題はまだ残る。というのも、コウモリから人にどう感染したかの経路が未解明だからだ。

 当初から多くの感染者が武漢市の海鮮市場に行っていたことが発表も報道もされていることから、コウモリと接触した野生動物を市場で買って食したことが原因の可能性が指摘されているが、前回記事でも触れた通り、最初期の感染者41人のうち14人はそもそも市場と接点がないことが医学誌ランセットの論文で指摘している。

 しかも、12月はコウモリの冬眠時期で、野生動物にしろ、接触の機会はかなり限られる。発症時期などから、すでに10月時点で人の感染者が出ている可能性を指摘する研究者もいる。

 いったいウイルスに最初に接触した新型コロナウイルスの「アダム」は誰なのか。そして、そのアダムにウイルスを媒介した生物は何なのか。解明が進まなければ、今後も動物を媒介した接触が再発することすら考えられる。陰謀論で盛り上がっている場合ではないのだ。

(末家 覚三/週刊文春デジタル)
古来より、人類はウィルスによって選択と淘汰が繰り返されてきた。
私は、世界的にウイルスが大流行し、大騒ぎになるたびに騒がれる生物兵器説に関しては、懐疑的に思うのが常である。

 ビル・ゲイツ財団は容疑者とされているが・・・新型コロナウイルス発生前に特許を取得していたらバレバレになってしまうのだから、本気でバイオテロを起こすのなら発生前に取得するだろうか?特許だけなら発生後速やかに提出すればいい。もし、ワクチンで小金を稼ごうと言うなら今頃ワクチンが中国富裕層向けにタイムリーに提供され、稼いでいたことだろう。超大金持ちのビルゲイツは、もはやお金が欲しいのではないと思う。彼が欲しいのは皆からの賞賛と尊敬だ。
ビル・ゲイツ財団黒幕説を流すのは陰謀論大好きの貧乏な陰謀論者だろう。

大きな自然災害や未知のウィルス感染発生が起こると必ずといってもいいほど流言飛語が拡散する。今回も誰かがウィルスを流したとするならば、ビルゲイツのような金持ちの財団は格好なターゲットとなりえる。私は、ビル・ゲイツ財団黒幕説は薄いのではないか?と思う。

【BBC】2020年01月29日 

しかし中国や世界に広がっているのはウイルスだけではない、偽情報もだ。

BBCモニタリングは、さまざまな偽情報がどこからやってきたのかを調べた。

「コウモリスープ」の動画

新型ウイルスの第1報が伝わるとすぐ、インターネット上では発生源について憶測が始まった。武漢で新型ウイルスが流行する中、人々はコウモリを食べているとする動画が大量に広まり、事態は悪化した。

ある動画では、笑顔の中国人女性が調理されたコウモリをカメラに向け、「鶏肉のような」味がすると話している。この動画をきっかけに、インターネット上では中国人の食習慣が流行の発端だったのではないかと非難する声があがった。

しかしこの動画は武漢どころか、中国ですら撮影されていない。2016年に人気ブロガーで旅行番組の司会を務めるワン・メンギュンさんが、太平洋の島国パラオで撮ったものだ。

それが昨年、武漢で新型コロナウイルスが発生したというニュースと共に、ソーシャルメディア上に再浮上してきた。

オンラインでの反感を受け、メンギュンさんは「地元の人々の生活を紹介したかっただけだ」と謝罪。コウモリがウイルスの感染源になるとは知らなかったと説明した。この動画は現在、取り下げられている。

新型ウイルスは、武漢の魚市場で違法取引されていた野生動物から発生したと考えられている。最近の調査で、コウモリもウイルスの発生源である可能性があると指摘されているものの、中国ではコウモリのスープはよくある料理ではなく、実際の発生源の特定作業は今なお続いている。

流行は「計画されていた」

アメリカで最初の感染者が確認された先週以降、ツイッターやフェイスブック上で、専門家がこのウイルスについて何年も前から知っていたかのように読み取れる特許書類が出回り始めた。

この疑惑を最初に広めた1人が、ユーチューバーで陰謀論者のジョーダン・サッシャー氏だ。

サッシャー氏は連続ツイートで、英サリーにあるパーブライト研究所が2015年に提出した特許書類のリンクを紹介。その書類には、呼吸器疾患の予防ワクチンとして利用できる可能性のある、弱体化させたコロナウイルスについての記載があるという。このリンクはフェイスブックでも、陰謀論者や反ワクチン論者などによって広く拡散された。

サッシャー氏はさらに、ビル&メリンダ・ゲイツ財団がパーブライト研究所やワクチン開発に資金を提供していることから、今回の新型コロナウイルス流行は、ワクチン開発への寄付を促すために故意に計画されたものだと主張している。

「ゲイツ財団は今までにどれだけの資金をワクチン開発に出してきたのか? 今回のウイルス拡散は計画されていたのか? メディアは恐怖をあおるために利用されているのか?」とサッシャー氏はツイートした。

しかし、パーブライト研究所の特許は新型コロナウイルスではなく、ニワトリが感染するコロナウイルス「鶏伝染性気管支炎ウイルス」に向けたものだ。

また、ビル&メリンダ・ゲイツ財団をめぐる憶測については、パーブライト研究所の広報担当者がバズフィード・ニュースに取材で説明。鶏伝染性気管支炎ウイルスに関する取り組みに、ゲイツ財団は資金援助をしていないと答えた。

「生物兵器」の陰謀論

インターネット上で拡散している根拠のない主張には、新型ウイルスは中国の「密かな生物兵器プログラム」の一部で、武漢のウイルス研究所から流出したものだというものがある。

この説を広めた人々の多くは、米紙ワシントン・タイムズが掲載した2つの記事を根拠にあげている。どちらも、イスラエルの元情報機関職員の話を引用している。

しかし、これらの記事にある主張には根拠が提示されていない。さらに記事が引用するイスラエル関係筋は、ウイルス流出の「証拠やそれを示唆するものは今のところない」と述べている。

両記事は現時点で、何百ものソーシャルメディア・アカウントで拡散され、数百万回は読まれているとみられる。

英紙デイリー・スターも先週、新型ウイルスは「秘密の研究所」で始まったかもしれないという記事を出した。しかしその後、主張に根拠がなかったとして修正した。

公式調査によると、新型ウイルスは武漢の魚市場で違法取引されていた野生動物から発生したと考えられている。

BBCは、ワシントン・タイムズにコメントを求めている。

「スパイチーム」の存在

カナダ国立微生物研究所で研究者が解雇されたことと、新型ウイルスを結び付けようとする不正確な主張もある。

カナダの公共放送CBCは昨年、ウイルス学者のチウ・シャングオ博士とその夫、中国からの学生などがこの研究所から「規約違反」の疑いで解雇されたと報じた。警察はCBCに対し、「公共の安全への脅威はない」と説明した。

別の報道では、チウ博士は中国科学院の武漢国家生物安全実験室にを2年間で計4回訪れていたとされた。

さらにツイッターでは、CBC放送へのリンクと共に、チウ博士とその夫が「スパイチーム」として「病源菌を武漢の施設へ届け」ており、夫は「コロナウイルス研究の専門家」だというツイートが出回った。このツイートはこれまでに1万2000回以上リツイートされ、約1万4000件の「いいね」が付いている。

しかしCBCの2つの報道には、このツイートで指摘されている3つの主張は含まれていない。また、「コロナウイルス」や「スパイ」といった単語も一切出てこない。

CBCはその後、このツイートに書かれている主張に根拠はないと報じている。

「武漢の看護師」の動画

武漢がある湖北省の「医者」や「看護師」による「内部告発」だという動画も何種類かある。こうした動画はソーシャルメディア上で何百万回も再生され、さまざまなインターネット・メディアで取り上げられている。

もっとも有名なのは、韓国のユーザーがYouTubeに投稿したもので、英語と韓国語の字幕が付いていた。この動画は現在、削除されている。

この英語字幕によると、動画に映っている女性は武漢の病院の看護師だという。しかしこの女性自身は、動画内で自分が看護師あるいは医者だとは発言していない。これは、この動画のさまざまなバージョンをソーシャルメディアにあげた人物による推測に過ぎないと思われる。

女性は自分の身分を明かさず、特定不明の場所で防護服を着ている。しかしこの防護服は、湖北省の医療従事者が着ているものと一致しない。

当局によって事実上の封鎖状態にあるため、湖北省内から動画を検証することは難しい。しかしこの女性は、ウイルスに関する根拠のない主張を数多く行っているため、彼女が看護師や医療補助員である可能性は低いとみられる。

女性は、中国国内での新型ウイルス感染者は9万人だとしている。しかし公式には、感染が確認されたのは1月30日現在で7711人となっている。

女性はさらに、ウイルスは「2回変異」し、一度に14人に感染する可能性があると主張している。しかし、世界保健機関(WHO)の推計では、ウイルス保持者1人の感染力は1.4~2.5人とされている。

武漢出身で、オンラインマガジン「ChinaFile」のビジュアル編集長を務めるシャオ・ムイ氏は、「この女性は医療従事経験のあるような話し方ではない」と指摘した。

動画が撮られた場所は特定できないものの、この女性は湖北省出身で、流行に対する自分の考えを述べたかったのではないかとみられている。

オーストラリアを拠点とする中国人の政治活動家、巴丢草氏は「この女性は、自分は真実を話しているつもりになっている可能性がある。誰も本当のことを知らないので」と述べた。

「情報の透明性がないので、大勢が憶測に走りパニックしています」

(英語記事 China coronavirus: Misinformation spreads online)

[第三使徒サキエル]

人類は太古の昔より病原菌に襲撃され淘汰を繰り返してきた。ウィルスという神の審判により生存を許され、運よく生き残っているのが我々だ。ウィルスと人類は太古の昔より聖戦を戦ってきた。

例えばネイティブアメリカンを絶望的状況に追いやったのは、白人達が土地を奪い更にカスター将軍の奇兵隊がバンバン銃で撃ち殺したからではない。白人がヨーロッパから持ち込んだウィルスだったことはもはや定説である。

紀元前5世紀地中海都市国家群のリーダーアテネは全盛を迎えていた。ライバルのスパルが盟主のペロポネソス同盟と戦争を始めたが、アテネは包囲されていた頃エチオピア方面から入り込んできた疫病(チフスや猩紅熱に似ているが今日の病気ではない)で人口の半分が死亡し、結果その後の地中海の歴史は変わった。歴史書では、スパルタの兵士には罹らずアテネ市民ばかりが倒れたとある。まるで神が罰を下すように、ウィルスは特定の遺伝子を持つ人間を選好して発症することもあるのだ。

古代から欧州は4回ペストのパンデミック( pandemic )を経験した。

ペストが、最初にヨーロッパを襲ったのは、西暦542年~548年にかけて東ローマ帝国の首都コンスタンチノープルが、ペストの最初の洗礼を受けたのである。

わずか四ヶ月のあいだに20~30万人の死者を出し、東ローマ人全体の半分が死んだとさえ推定されている。当時の皇帝ユスティニアヌスの悪政のせいだということで、ユスティニアヌス病と名づけられた。

股(また)の付け根や脇(わき)の下のリンパ腺がはれあがり、全身に暗紫色の斑点があらわれて、ひどい膿疱(のうほう)ができる。中世ヨーロッパで名づけられた黒死病という名称は、死体の膿疱の「黒さ」からきている。

症状は急性で、1日から6日の潜伏期の後、あっというまもなく40度以上にも達する高熱を発し、熱のために脳神経系までもが冒されてしまう。ノミが媒介するペスト菌が原因である。

このため、ギリシア、ペルシア帝国、ローマ帝国と、もともとヨーロッパよりはるかに先進文化圏だった地中海沿岸は、この後、長いこと西ヨーロッパや北ヨーロッパに遅れをとることになる。7世紀、イスラム帝国は、この地中海沿岸の混乱に乗じて、かすめとるようにしてこの地域を占領したが、ペスト菌まで占領してしまった。ペルシャのクテシフォンに大流行が起きた(628年)。東ローマ軍に敗れたペルシャはペストに苦しめられ、ついにサラセンへ滅ぼされることになる。

最大の流行は14世紀のもので、当時の全人口(1億人)のうち3千万人近くが黒死病で死んだと推定されている。ヨーロッパ中世に終焉をもたらした真の主役は、ほかならぬペスト菌だった。

【村上陽一郎の『ペスト大流行』岩波新書】
大流行の端緒は中国(元)だった。1320年代の終わりから天候不順が続き、1334年に杭州で大地震が起こり、この時「悪疫」で500万人が死んだとの記録がある。これが天山北路経由で西に持ち込まれた。1337年にはクリミヤ半島やエーゲ海沿岸でペストの流行が見られた。1347年にはコンスタンチノープルや地中海の主要な港町に広がり、アビニヨン、フィレンチェ、ロンドンに伝播した後、スエーデン、ポーランドそしてロシアまで拡大している。この時代の欧州人口は1億人とされるが、2500~3000万人がペストで死んだと推定されている。

結局、14世紀のヨーロッパ全体で2500~3000万人の死者が出て、全人口の1/4ないし1/3が死んだ。イタリア全土では1/12の人が死に、1349年 黒死病(ペスト)の大流行イングランドでは、全人口の半分もの人間が死に絶えてしまった。

ペストによる人口の激減は、ヨーロッパの中世農村社会の仕組みを根本からくつがえすことになった。ドイツの一部地域などでは、耕地や居住地が放棄される「廃村」現象がみられた。さらに、労働人口の激減の結果、労働者の賃金が上昇したのに対して、食料・穀物需要の減少は農産物価格の下落をひきおこしたので、農村における領主の所領経営(→ 領主制)は危機におちいった。これが14~15世紀のヨーロッパ社会を特徴づける「農業危機」とか「封建領主制の危機」とよばれる事態である。
【黒死病】

ペストは全ヨーロッパ~アラビア~中国に広がり、10年~14年の周期で流行を繰り返した。つまり、ペスト菌は、ある時、一気に活性を高めて大量にヒトに感染し致死させ、ヒトの免疫性が高まっているあいだは潜伏して、再び登場するという歴史を繰り返した、というわけである。

ヨーロッパにおける黒死病とヒトとの関係から、今日のヨーロッパ人は、ペスト菌が宿主として、「好む」タイプの人たち、すなわち感染してはいれるけど、発病しない人びとや、発病しても死なない人びとだけが残された。

病気は必ずある種の体質の人びと、ある一定の遺伝上の特質を持つ人びとのグループを直撃するこのも記録されている。つまリ、ウィルスやバクテリアが登場して活躍すると、死ぬべき体質の人は死ぬ。生き残った人の免疫は高まっており一旦鎮まる。しばらくすると、また発病すべき体質の人が出て死亡する。

【WIRED】EMMA GREY ELLIS 2020.02.06 THU 18:00

新型コロナウイルスの「偽情報」が、インターネット上に溢れている。その起源にまつわる陰謀論、“画期的”な治療法や予防法などの怪しい情報は、なぜ止まらないのか──。そのメカニズムを考察した。

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CHUNG SUNG-JUN/GETTY IMAGES

新型コロナウイルスに関する偽情報が、インターネットに蔓延している。原因不明の肺炎が中国・武漢で集団発生していることを12月末に中国の当局が発表して以来、インターネットには陰謀論や的外れな主張が流布されてきたのだ。それから1カ月あまりが経ったいま、呼吸器疾患である新型コロナウイルスの感染者は右肩上がりで増え続け、数百人規模の死者を出している。

いまや世界保健機関(WHO)や米疾病予防管理センターだけでなく、FacebookやYouTube、Twitter、TikTokなどのプラットフォームを運営するテック企業にとっても重大な関心事だ。人命が切迫した危険に晒されているなか、こうしたプラットフォームはヒステリーや偽情報で満たされている。

これはいまに始まったことではない。陰謀論はおそらく有史以来、災害や疫病のアウトブレイク(集団感染)に付きまとってきた。黒死病(ペスト)が欧州で猛威を振るった1300年代、人々はユダヤ人住民が何らかの動機でキリスト教徒の清潔な井戸にこっそり毒を入れているのだと信じ込んでいた。

それを思えば、新型肺炎は生物兵器であるとの説や、コウモリスープを飲んで感染するという説など、武漢の新型コロナウイルスを巡る陰謀論には、時代を超えた古臭ささえ感じる。陰謀論の例に漏れず、不安をあおり、人種差別的で、明らかに現実とかけ離れた話なのだ。

拡散する「陰謀論」「治療法」の数々

新型コロナウイルスの偽情報は、大きく2つに分類できる。新型肺炎の起源にまつわる陰謀論と、「奇跡的」な治療法に関する偽情報だ。

新型コロナウイルスは動物から人に感染したとみられているが、その正確な起源は明らかになっていない。一部の科学者は、コウモリが媒介生物の役割を果たしたのではないかと考えている。だが、ある陰謀論で言われているように、コウモリスープを飲んで感染するとは考えにくい。

それにもかかわらず、中国のものとされる食習慣がパンデミックの原因になっているとして、ネット上ではその陰謀論が人種的偏見の色を帯びた炎上を引き起こしている。決定的な証拠とされた動画のひとつは、実際には中国ではなく、2016年にパラオで収録された旅行番組を切り取ったものだった。コウモリスープは中国の一般的な食べ物ではない。

ほかにも有名な陰謀論として、新型ウイルスが実は生物兵器であり、何らかの原因で武漢病毒研究所の安全な研究室から漏れ出したのだという説がある。これはイスラエル軍の元情報将校の発言に基づくものだが、支持する証拠はないと本人自身が認めている。

さらに、科学者夫婦の「スパイチーム」がカナダの国立微生物研究所から新型コロナウイルスを盗み出したという説がある。陰謀論者らは、あるウイルス学者が「方針違反」で停職処分を受けたという報道を引き合いに出すが、その学者が中国人スパイであったことや、ウイルスを中国に違法に送ったという言及は報道になかった。

また多くの人々が、クロロックスやライゾールなどのコロナウイルスの消毒効果を謳った洗浄製品や、コロナウイルス用ワクチンの特許など、さまざまな疑わしい証拠に基づいて新型肺炎が以前から存在していた疫病であると主張し、新型ウイルスが何らかの隠蔽か陰謀の産物であると考えていた。

いずれの陰謀論者も、「コロナウイルス」が単一の病気ではなく、複数のウイルスを含む分類であることを見落としているか、あるいは理解していなかった。いま世界に蔓延しているコロナウイルスは「2019-nCoV」と呼ばれ、残念なことに既存のワクチンやライゾール製品では治療不可能である。

陰謀論が広まる「絶好の条件」

もちろん、新型肺炎の起源にこだわる人ばかりではない。ほかにも新型コロナウイルスの治療法や予防法について、信憑性に乏しい、あるいは危険な偽情報が数多く広まっている。

平凡だがウイルス対策としては突飛なアドヴァイス(辛い食事や冷たい料理を避けるなど)から、ネット掲示板「4chan」に書き込まれる類の恐ろしい提案(漂白剤を飲むなど)まで、偽情報の種類はさまざまだ。いまのところ、WHOが推奨している新型コロナウイルスへの感染予防法は、畜産物を消費する前に徹底的に加熱調理すること、衛生状態を良好に保つこと、病気にかかっていそうな人から1m以上離れることくらいである。

「2019-nCoV」は新しいウイルスだが、それを取り巻く陰謀論や偽情報に見られる性質は、昔からのものと変わっていない。「今回も、新しい疫病や災害が発生するたびに繰り返し見られてきたパターンに当てはまります」と、米国における陰謀論をまとめた『American Conspiracy Theories』の著者、ジョセフ・ウシンスキーは語る。危機が発生すると感情の高まりと情報不足が相まって、「大衆の恐怖心」という陰謀論が広まるには絶好の条件が整う。

理解不能なリスクほど大きな恐怖に

陰謀論は、人々が渇望しながらも、事実に基づく通常の手段では手に入らない「答え」と「説明」を与えてくれる。新型コロナウイルスに乗じたフィッシング詐欺ですらそうだ。

「こうした災害やエピデミックの局面では、陰謀論はまたたく間にセンセーショナルで深刻なものに発展します」と、災害に関連する精神衛生やコミュニケーションを研究するブライアン・ヒューストンは語る。「陰謀論がこれほど広まりやすいのは、いまそこで起きている出来事だからです。人を殺すのですから」

しかも、クルマやサメとは殺し方が違う。コロナウイルスの恐ろしさは、科学的にもこれらを上回っているのだ。

「科学文献によると、目に見えないリスクや新しくて理解不能なリスクほど、大きな恐怖を与える傾向があります」と、ヒューストンは言う。新型コロナウイルスをよく言い表しているのではないだろうか。

「インターネットのせい」ではない

新型コロナウイルスの恐ろしさに加え、その陰謀論の温床となっているインターネットには、疑わしい情報に対処する仕組みが十分に整備されていない。「インターネットは悪だ」などという野暮な批判をするつもりはない。公衆衛生上の危機に見舞われた人々が悪質な情報を受け取る光景は、おそらくそうした危機が初めて起きたときから続いてきたのだ。

そうした情報が蔓延している原因がインターネットであるとは限らない。それどころか、ほかより正確な情報を提供できる手段であるインターネットは、一縷の望みですらある。

「こうした陰謀論はインターネットのせいにされがちですが、噂というのはインターネットが出現する前から広まりやすいものでした」と、ウシンスキーは言う。「陰謀論が瞬時にネットを駆け巡ることができても、見た人がそれを信じるとは限りません」

だが、ウェブが完全に無害な存在であるかと言えば、そうでもない。オンライン上の政治的コンテクストは、新型肺炎に対する世間の反応に明らかに影響を与えた。

インターネット上の米国人を中心とする界隈では、利用者が長年にわたり外国人への排外主義やグローバリズムへの恐怖をあおってきたほか、対中関税問題が長引くなかで特定の反中感情が高まっている。事態の展開について中国政府の透明性が限られていることや、同国内のインターネットの大部分がファイアーウォールや言語の壁によって世界から孤立していることは、有害情報の拡散を止める助けにはならない。

したがって、新型コロナウイルスを巡る陰謀論は、「微博」や「WeChat」といった中国のプラットフォームにもともと投稿された無関係の動画や、故意・偶然を問わず誤った解釈によるものが大部分を占める。おそらく米国人の多くが訪れることもなければ、見ても理解できないサイトだ。

テック企業は対策に乗り出したが

新型コロナウイルスに関する偽情報が広まるなか、テック企業(IT情報技術系企業)は事実に目を向けてもらおうと躍起になっている。

フェイスブックは、新型ウイルスに関する偽情報を広めるコンテンツを削除することを約束した。ツイッターは、陰謀論を流布しているとして「Zero Hedge」をはじめとする組織のアカウントを永久凍結したほか、信頼性の高い情報を検索に優先表示する新機能を感染国でリリースしている。報道によると、TikTokの運営会社であるバイトダンスも偽情報の削除に取り組んでおり、新型コロナウイルスに関するコンテンツを検索する際はWHOの情報と照らし合わせて検証することを利用者に促している。

こうした対策にもかかわらず、「答え」を求める人々の欲求を満たすには不十分かもしれない。「偽情報は完全に構造化した状態で世に出ます」とヒューストンは言う。「事実は徐々にしか伝わりません」

いま新型コロナウイルスは、世界的なパンデミックに発展しうるほどのアウトブレイクが発生した状況にある。こうした状況下において「立ち止まって考える」という助言が情報として唯一の価値がありながらも、誰も欲していないことが問題なのだ。



わたしは、及川氏の動画をチャンネル登録しているのでよく視ているが、彼が【宗教】幸福の科学の宗教家で、【政党】幸福実現党の党員でであるがゆえに、その肩書が有る限り、話半分で視ている。鋭い視点を言い出した後「大川総裁が・・・」と言い出したりしているで、例え真実であったとしても、異教徒の言うことは信用性が伴わない。元国際金融の世界で働いていた有能な人物だけに、実に残念なYouturberである。

東日本大震災異が起きれば、3.11は米国が引き起こした人工地震であるというデマが飛び交う。
ウソなのか真実なのか?人は事件や事故、自然災害、特に未知なる事象に接する時、全てのこと意味を求めるがゆえ、陰謀だとか、神に仕組まれた運命であるとといった都市伝説が生まれる。

おそらく、今全世界で発症中の新型コロナウイルス生物兵器説も典型的都市伝説の可能性もあるが、どうも必ずしも全否定はできない。

都市伝説の中には真実が幾分混ざっていることも事実である。いま、問題なのは情報が正確で、統一的な情報が統制がとれていない。生物兵器なのか?否か?もし生物学兵器であれば、爆発的感染力があり致死性が高いウィルスなのか?否かそういった情報が大切ではないか?

習近平「新型肺炎対策」の責任逃れと権謀術数【 石平】2020年01月27日(月)11時37分

習近平が立ち上げたと宣伝している、中国中欧新型コロナウィルス感染肺炎対策指導小組の人事を見る限り、中国は何かを知っていて、何かを隠そうと考える。そして、そのトップに習近平が就かないということは、中国国内のパンデミックは避けられず、かなりの数の感染者と死者が出ることを恐れているのであろう。しかし、この期に及んでも、中国共産党は国民の人命より党支配力の維持と保身に終始している。


【MAGNEWS】2020.02.03 最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』

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 B.Zhou / Shutterstock.com

ついに世界保健機関(WHO)が「国際緊急事態」を宣言し、日本も感染者の入国を拒否する「指定感染症」とした新型コロナウイルス。その感染源は武漢市内の市場で売られていた野生動物とされていますが、「本当に偶発的なウイルス感染のみで引き起こされたのか?」とするのは、元国連紛争調停官で国際交渉人の島田久仁彦さんです。島田さんは今回、自身のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』で、拭いきれない「2つの可能性」を様々な証拠ともに提示しています。

新型コロナウイルス蔓延が映し出す破滅へのプロローグ

今後1,000万人単位で人類の生命を奪うような事態が起こるとしたら、それは戦争でも核ミサイルによってではなく、非常に感染力の強い伝染病によるものだろう。

2015年だったでしょうか。私も光栄なことに毎回スピーカーとして参加し、様々な事柄に対して未来展望を語らせていただくFutures Conferenceにおいて、マイクロソフトの創始者で、Gates Foundationの共同代表であるビル・ゲイツ氏が予言した内容です。

通常、Futures Conferenceでは「XX年までにこうなる」という予言をして、それを実現させるための協力を聴衆に呼びかける形式を取るのですが、この予言については、年限は示されず、代わりに「それは、いつ起きても不思議ではない」というタイムラインが示されました。横で聞いていて、その後のディスカッション中、背筋が凍った記憶があります。

その予言に似た状況が、中国・武漢市を震源として世界に広がっています。そう、日本でもついに感染者が出て大騒ぎになっている「新型コロナウイルスの感染拡大」です。中国政府からの発表で、かつメディアが流している情報によると、「感染のスタートは武漢市内の海鮮市場で、そこにいるはずのない野生動物が売られていて、動物検疫も実施されていなかったために、その野生動物から人間に感染した」と言われ、当初、重篤な肺炎で当局に隔離された41人のうち32人がこの市場を訪れていたため、この32人から感染が広がったというのが通説ですが、果たして本当にそうなのでしょうか?

数年前のエボラウイルスのパンデミック封じ込め対策でご一緒した親しい感染学者や細菌学者によると、「仮に感染源やきっかけについての情報がすべて正しいと仮定すると、潜伏期間が2週間ほどある今回の新型コロナウイルスの菌に感染した人たちが、症状がない潜伏期間中に家族をはじめとする周辺の人々に菌を広め、一気にパンデミックな状況になったのだろう。しかし、今回、不可解なのは、感染が広がるにつれ、コロナウイルスの感染力が高まっており、またこの2週間の間に菌の形態がどんどん変わっていることだ。言い換えると、コロナウイルスが自身で進化を遂げていることになる。この感染力強化と自己進化が進むのであれば、想像を超える死者を出す事態になるかもしれない」とのこと。

中国、香港、英国、米CDC、WHOなどにいる世界各地にいる専門家でもある友人たちに見通しを尋ねてみたところ、同じような見解と強い警戒が語られ、「今回のケースについては、事態が収まるとしても、早くても4月か5月頃になる。もしかしたら、もっと長引く可能性がある。そうなると、世界中、かなり広範囲にウイルスが撒き散らされることになり、確実に罹患者はうなぎ上りに増加し、完全に封じ込め不可能な状態に陥り、結果として史上最大かつ最悪のパンデミック・クライシスになる可能性が高い」との考えを示しています。

1月29日の段階では、中国当局の発表では武漢市での死者数は136名と言われていましたが、30日にはその数は160名を超えており、確実に今後も死者数は増え続けることになり、間違いなく、公衆衛生上の最大かつ深刻な懸念となるでしょう。報じられている通り、新型コロナウイルス感染においては、当初は軽症者やまだ菌の潜伏期間真っ最中の人たちも多く、患者・感染者の水際での捕捉は非常に困難であるからです。

そしてその真実がまた大きな悪影響を国際情勢に与えかねません。それは、先ほども触れましたが、私が数年前に、安全保障の専門家としてWHOのエボラパンデミックの封じ込め対策に参加した際にも言われたことなのですが、「感染が広がると、同時に恐怖心も広がり、それは世界各国に伝播し、人々の不安を強力に掻き立てる」ということです。

結果、人々の心に植え付けられる恐怖心とそれによる不安は、世界の株式市場において世界同時株安を引き起こし、企業活動にも大きなネガティブな影響を与えるため、世界経済に対して大きなネガティブインパクトを引き起こします。

トランプ大統領がスタートした強権主義と自国第一主義の広がりが、世界の株式市場での最高値更新を連発してきましたが、その熱に一気に冷や水を浴びせ、経済の悪化とともに、世界におけるブロック化が進み、一触即発の緊張状態に陥る可能性があると思われます。その悪い流れを、今回の新型コロナウイルスのパンデミックがさらに加速させると思われます。

さて、このようなシナリオ、本当に偶発的なウイルス感染“のみ”で引き起こされるものでしょうか?

詳しくはあまり表立って言えませんが、いくつかの不可解な状況が存在します。

一つ目は、武漢市およびその周辺には、公式には発表されていませんし、中国当局も決して認めませんが、中国人民解放軍の生物兵器研究開発施設が2か所存在します。そしてその一つは、噂の海鮮市場の近くに立地しています。

未確認情報ですが、そこで生物兵器として開発されていた新型コロナウイルスに、職員や関係者が誤って罹患し、武漢市の感染源となったという可能性です(誤って施設で菌に触れてしまい、それに気づくことなく、普段通りに海鮮市場を訪れていて、菌をばらまいていたというシナリオ)。

この場合は、生物兵器の工場の存在の有無は横に置いておいたとして、感染源が、野生動物ではなく、人間だったというシナリオで、その後、人に一気に感染が広がっており、かつ感染力が異常に強いことから鑑みて、大いに可能性のある推論だと考えられます。

二つ目は、「何者かによるバイオテロ説」です。これについては、中国当局が自ら自作自演することは非常に考えづらいので、“だれか”ということになりますが、誰がそんなことをし得るのかという点については、完全な憶測になり、それは要らぬ懸念やデマを生むことになりますのであえてここでは挙げません。

とはいえ、中国の自作自演である可能性も打ち消せないのは、WHOによる非常事態宣言発出を必死で阻止する姿勢が見えることです。

WHO事務局長御一行様が北京を訪問し、習近平国家主席とうやうやしく会談する様子が配信されましたが、この例を見ない高レベルでの対応(つまり習近平国家主席が直に会うという対応)は、要らぬ疑念を抱かせます。通常は、李首相対応でしょうし、今回の対策でもチームのリーダーは李首相が努めていますので、WHOの事務局長が相手であれば彼が面会するのが通例でしょう。

しかし、問題の深刻さのアピールなのか、WHOを自分サイドに付けておくための過剰接待だったのか、今回については異例中の異例で、習近平国家主席が直に会っています(ちなみに、中国政府の“友人たち”曰く、「まあ、今回の件は非常に深刻だからねえ…でも、習近平国家主席が直に会うのは確かに珍しい」とのことでした)。

その際に習近平国家主席から「非常事態宣言を出すような事態にならないよう、情報共有に努め、またWHOの専門家の派遣についても歓迎する」という発言がありました。先週のWHO緊急会議で非常事態宣言の発出が見送られた背景には、実質的にドナー国第1位になっている中国への過剰な配慮があったと見られます。言い方を変えると、中国政府からの圧力を受けての措置であった可能性が否定できません。バイオテロそのものを自作自演することは考えづらいのですが、非常事態宣言によっていろいろな経済活動が制限されると同時に、国際社会から中国に対する非難が激しさを増す危険性から、中国政府からの“要請”はあったものと強く推察します。

しかし、このバイオテロ説を打ち消せない理由は、私が国連で紛争調停官をしている際に、ABC兵器(核、バイオ、化学兵器)の軍縮と不拡散のお仕事にも携わっていたのですが、その際に専門家たちから示された分析結果の内容ゆえです。

核兵器(Atomic)については、私たちは、広島と長崎の悲劇の後、その威力と非人道的な性格ゆえに、軍拡競争と並列する形で、多くの人的資源と資金を投入して、コントロールする術を確立しました。今でも技術革新は進んでいますが、使用すると放射能反応という形ですぐにバレてしまうこともあり、実際に使用される可能性はほぼ無いと言っていいかと思います。とはいえ、私もこのメルマガで何度も朝鮮半島に使われる可能性を示唆してはいますので、可能性がゼロとは言い切れませんが。

化学兵器(Chemical)については、最近ではシリアでの使用が疑われていますし、以前、日本でも地下鉄サリン事件で用いられたため、まだ身近に存在する現実味を帯びた脅威ですが、こちらも使用されると、瞬時にその使用が検知されてしまうため、使用の抑止につながると同時に、仮に使用された場合でも、対策を迅速に打てるという“利点”があります。

しかし、B(バイオ)の場合、今回の新型コロナウイルスや、2003年に世界を恐怖に陥れたSARSコロナウイルス肺炎の世界的感染のケースでも分かるように、感染してから発症するまで1~2週間ほど潜伏期間があるため、菌の保有者の移動範囲が広がり、接触する人数が広がりやすい状況下では、一気に感染が広がることになってしまいます。つまりスーパースプレッダーと呼ばれる一人で数十人を感染させる存在が増える可能性が高まります。特に移動手段の高速化とネットワーク化が進む中、感染者の捕捉が非常に困難な公衆衛生上の大きなチャレンジを作り出してしまいます。

また、生物兵器は「貧者の核兵器」と呼ばれているのを耳にされたことはあるでしょうか?化学兵器もそうなのですが、比較的安価に安易に製造ができると言われますが、公衆衛生が行きわたっていないコミュニティでは、様々なpoor sanitation起源の病気の蔓延に紛れ込ませて、一気に拡大するという効果が期待され、そして時間をかけて、広い範囲に広がり、多くの人たちに影響を与えるという特徴を指して、そのような不名誉なあだ名がついているそうです。

2001年の同時多発テロ事件発生の際、安全保障コミュニティで恐れられていたシナリオは、Twin Towersなどに激突した航空機にABC兵器、特にBio兵器が搭載されていなかったかどうかという点でした。幸運なことにそのような事実はなかったのですが、その後の分析のプロセスの中で恐ろしいシナリオが語られました。

それは、「アメリカなどに本格的にテロを仕掛けるのであれば、どこかで強力な感染力のあるウイルスに感染しておき、その感染者をアメリカ行きの航空機に乗せ、その際に荷物に持たせた菌のサンプルを、NYなどの地下鉄の駅でバラまかせる。そうすることで、1か月の間にNYを中心に最低200万人の死者が出る」という恐怖の分析結果です。その後、空港などで搭乗の際に、非常に検査が厳しくなったと思いませんか?この分析結果も一因だと言われています。

余談になってしまいましたが、意図してか否かは分かりませんが、このシナリオで描かれたような状況が今、新型コロナウイルスを通じて、世界で起こっているとしたら…。

私はいろんな種類の紛争や安全保障上の懸念事項の調停や交渉に当たってきましたが、残念ながら、今回の新型コロナウイルスの広がりが、バイオテロだったとしたら、私には調停する術がありません。しかし、29日にWHOからは、事務局長名でスタンバイ依頼がありました。悩ましい限りです。

実際のところはどうであったにせよ(本当に不幸なパンデミックである可能性も否めません)、大事なことは新型コロナウイルスに感染しないこと。そのためには、インフルエンザ予防のケース以上に、手洗いとうがいの徹底と、外出時のマスクの着用、そしてWHOやCDCの専門家曰く、アルコール消毒が有効とのことですので、しっかりと予防に努めましょう。それと十分な睡眠と休息もお忘れなく。

新型コロナウイルスとの戦いは短くても春先まで続きそうな長丁場ですが、私たちの心理がネガティブモードに入り、結果として社会や経済の悪循環、相互不信感からの争いなどを招かないように気を付けたいですね。

2020年、国際情勢にとっても、日本にとっても、非常に試練に満ちた1年になってしまいそうです。


島田久仁彦(国際交渉人)
世界各地の紛争地で調停官として数々の紛争を収め、いつしか「最後の調停官」と呼ばれるようになった島田久仁彦が、相手の心をつかみ、納得へと導く交渉・コミュニケーション術を伝授。今日からすぐに使える技の解説をはじめ、現在起こっている国際情勢・時事問題の”本当の話”(裏側)についても、ぎりぎりのところまで語ります。もちろん、読者の方々が抱くコミュニケーション上の悩みや問題などについてのご質問にもお答えします。

一つ心配なことがある、新型コロナウイルスが変異しているのではないか?
突然に倒れる事例の動画を見る限り、現在変異が確認をされていないというが、怪しい。


単なる心臓発作なのか新型コロナウイルスの影響なのか?早急に判断することはできないが・・・変異して猛毒化したのであればかなりヤバイ!
下の動画の情報が真実で、攻撃型生物学兵器っだとかなりヤバイ!

新型コロナウイルスが「生物兵器」である可能性。武漢のバイオ研究所から広がった可能性が高まる。【ゆっくりニュース速報】

アメリカ司法省の報道ページ

カナダの国立微生物学研究所事件ニュース記事 ゼロヘッジの記事
産経新聞ワシントン駐在編集特別委員兼論説委員古森義久氏や元産経の福島香織氏までもが武漢生物学研究所が怪しいと言い出した。

新型肺炎、米メディアが報じた「研究所が発生源」説
武漢の病源体研究機関からウイルスが流出?
【JBpress】古森 義久 2020.1.29(水)

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新型コロナウイルスの発生源となった中国・武漢市を視察した李国克強首相(2020年1月27日、写真:ロイター/アフロ)


(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 中国から全世界へと感染が広がる新型コロナウイルスの発生源は、中国湖北省武漢市にある国立の病源体研究機関かもしれない──米国メディアがそんな可能性を報じた。報道では、その研究所が中国人民解放軍の細菌兵器開発に関わっているとの疑惑も呈している。

 今のところこの可能性に確証はない。だが、もし事実だった場合、今回のウイルスの感染拡大の意味が大きく異なり、中国の国家としてのあり方が根幹から問われることになるだろう。

イスラエルの軍事専門家の見方

 この可能性を報じたのは、米国の戦略動向や米中の軍事動向に詳しいベテランジャーナリストのビル・ガーツ記者である。記事は、米紙ワシントン・タイムズ(1月24日付)に大きく掲載された。

 ガーツ氏はこの記事で、「ウイルスに襲われた武漢には中国の生物戦争計画に関わる2つの実験所がある」と指摘し、武漢市で発生した新型ウイルスの肺炎が同市内に存在する「武漢国家生物安全実験室」から漏れたウイルスが原因である可能性がある、と記していた。


 武漢国家生物安全実験室は2015年に建設が開始され、2017年に完成した毒性の強いウイルスの研究機関である。これまでエボラ出血熱やニパウイルス感染症などのウイルス研究にあたってきたという(筆者注:本実験室の存在は、英科学誌のネイチャーなどによっても伝えられている。参考:「世界で最も危険な病原体を研究するウイルス実験室、中国で誕生へ―英メディア」レコードチャイナ)。

 ガーツ氏の記事によると、同実験室は中国当局が今回の新型コロナウイルスを最初に発見したとする海鮮市場から30キロほどの距離にある。

ガーツ氏は、中国の生物(細菌)兵器に詳しいイスラエル軍事情報機関の専門家、ダニー・ショハム氏への取材を基に、(1)「武漢国家生物安全実験室」は中国人民解放軍の生物戦争のための兵器開発に関与していた、(2)同実験室は今回のコロナウイルスの研究にも関わっていた可能性が高い、(3)同コロナウイルスが人間への接触で同実験室から外部に流出した可能性がある――などと報じていた。

 またショハム氏によると、武漢市内には同じく危険性の強いウイルスの研究や実験をする「武漢生物製品研究所」という施設があり、この研究所が今回のコロナウイルスの出所となった可能性もある。同研究所は2002年から2003年にかけて中国・広東省から世界に広まったSARS(重症急性呼吸器症候群)ウイルスの研究にも従事していたという。武漢国家生物安全実験室と武漢生物製品研究所はともに「中国科学院武漢病毒研究所」の傘下にある。

 ガーツ記者の取材を受けたショハム氏は、「今回のウイルスがこれらの実験室や研究所から流出したという証拠はない」とも述べ、研究所とウイルス流出の関わりはあくまでも推測だとしている。しかし、その関わりを明確に否定できる証拠もないという。

中国政府は生物兵器の製造を否定

 中国政府は、自国で生物(細菌)兵器を製造したり備蓄したりすることはないと述べている。だが、米国国務省による世界各国の大量破壊兵器(核・化学・生物)の実態調査では、中国は生物兵器保有国とみなされている。


 2019年12月から表面化した新型コロナウイルスによる肺炎は、2020年1月28日までに発症者が約4500人、死者は100人を超えた。

 これまでその発生源や拡散の経緯は不明とされてきたが、今回の米国の報道では、中国の国家機関による実験などが原因である可能性が論じられている。仮にその指摘が本当だとすると、当然ながら中国という国家のあり方が正面から問われることとなろう。


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新型コロナウイルス肺炎の感染が拡大し封鎖された中国・武漢市(2020年1月27日、写真:AP/アフロ)
(福島 香織:ジャーナリスト)

 中国武漢で発生した新型コロナウイルスは、すでに確認されているだけで感染者は6000人規模、疑似感染1万人規模、6万人近くが感染者接触者として医学的観察を受けている。死者は1月28日24時時点で132人。治癒・退院患者の103人を超えてしまった。

 このまま増え続けるのか、感染のピークはいつになるのか。そして中国当局は出すべき情報をきちんと出しているのだろうか。たとえば、このウイルスが本当に自然発生的なものなのか、という疑いは、一部の専門家たちもひそかに思っている。

4~5月にピーク、減退は6~7月か?

 ピークについて、中国の中央の専門家チームのリーダーでもある呼吸器感染症の権威、鐘南山は「(ウイルスへの対策がうまくいけば)10日か1週間以内にピークを迎え、スーパースプレッダー(感染拡大の感染源となる患者)も登場せず、大爆発的な感染にいたらない」との見方を新華社通信などを通じて示した。

 一方、香港大学医学院の梁卓偉院長が研究モデリング分析をもとに予測したところでは、目下の新型コロナウイルス感染者は6.2日ごとに倍増しており、武漢市ではすでに4.4万人が感染、全体として4~5月にピークを迎え6~7月ごろにゆっくり減退していく、と1月27日の記者会見で語っている。

 信じたいのは鐘南山の意見だが、説得力があるのは梁卓偉の見立てだ。素人目にみても今回のコロナウイルスの感染力はただごとではない。初症例が出たのは12月初めで、わずか2カ月前なのだ。SARSはスーパースプレッダーの登場で世界に広がったが、通常の感染率はさほど高くなかった。おかげで4カ月以上の隠蔽のあとでも感染経路が比較的分かりやすく、だからこそ封じ込め作戦も効果的だった。

だが、今回のコロナウイルスは1月2日までの患者をもとに分析した研究では、濃密接触者の85%が感染しているという。しかも咳や熱の症状が出ていない潜伏期間が2週間に及ぶこともあり、その間も感染するとみられている。武漢からの中国人ツアー客を乗せた奈良の観光バスの運転手が感染したということは、元気に観光している一見健康体の人間から感染しているということで、これは非常に深刻な事態だ。効果的な封じ込めや水際防止は事実上困難、とみていいだろう。

成田経由で武漢から1万人が来日していた

 ちなみに武漢は1月23日から都市封鎖されているが、春節移動はその3週間前からすでに始まっていた。1月23日以前に500万人が武漢を離れ、(300万人が武漢に入って)市内に900万人いると、武漢市長の周先旺が記者会見で発表している。

 武漢を離脱した500万人の内訳をみると、7割が湖北省内の地方に行き、6万人以上が北京へ、5万人以上が上海、広州、成都へ、7000人以上が香港、6100人以上がマカオへ、7500人以上が台湾(桃園、高雄、松山空港経由で)へ移動したという。海外へは多い順にバンコク(2万0558人)、シンガポール・チャンギ(1万0680人)、東京・成田(9080人)。なんと、日本に成田経由で武漢から1万人近くも来ていたのだ。

 おそらく専門家の間では、すでに日本の感染状況予測などもモデリング計算され、効果的な防疫対策がとられているはず、それができる実力が日本にはある、と私は信じたいのだが、心配なのは、それに必要な基礎情報がきちんと中国から得られているのかということだ。

 ちなみに、武漢市長の周先旺はCCTVのインタビューで、「もし感染がコントロールできるならば免職すら願う」といった悔恨の意と、情報を適時に公開できなかったことについて「中央から許可を得てからやっと情報公開ができるのだ。多くの人には理解してもらえないだろうけど」と発言し、対応の遅れなどは中央に責任の一端があることを示唆した。党中央の喉舌(宣伝機関)であるCCTVで、地方の市長レベルの官僚がここまで明確に中央を批判することの異常さに、多くのチャイナウォッチャーが驚いている。

 周先旺によれば、1月20日の国務院会議で、武漢の肺炎を一類伝染病に指定することが決定された。この決定によって地元政府が責任を負うことになり、市としての具体的措置をとることができるようになったという。これは1月20日までの情報隠蔽を事実上認める発言であり、同時に、末端の公務員の間にも、中央メディアにも、習近平政権のやり方に対する不満がたまっていることがうかがえる。

囁かれる「研究所からウイルス流出」の噂

 今回の最初の発生例から現在までの経緯を振り返ってみると、SARSとの闘いを経験した中国当局としてはかなりいびつな対応だ。初期対応が明らかにおかしいのは、前回の当コラム(「新型肺炎が感染拡大、やはり隠蔽していた中国政府https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59081)でも指摘したとおりだが、その後、金銀潭医院の医師たちが医学誌「ランセット」に寄稿した分析によれば、初期から発生源が多源的であった可能性がわかっていた。金銀潭医院が収容した初期の41人の患者(1月2日まで)について調べたところ、12月1日に入院した最初の1例を含めた最初期の患者4人のうち、3人が華南海鮮市場とは関係がなく、また呼吸器症状も出ていなかったという。また41人中、華南海鮮市場が関与しているのは27人だった。

 同医院の副院長、黄朝林は「財新」のインタビューで、移動する野生動物が発生源の可能性を示唆している。海鮮市場は漢口駅から1キロほどの位置で、ここで買い物をして列車に乗る人も多いから感染拡大が早かったとみられているが、その前に、市場に感染を持ち込んだ動物、あるいは人間がいる、かもしれないというわけだ。

 そこで、急に気になってくるのが、この市場の32キロほど離れたところにある「中国科学院武漢国家バイオセイフティラボ(生物安全実験室)」の存在である。このラボは中国最初のP4(レベル4、BSL-4、密閉式で危険なウイルスを取り扱うことができる)のラボであり、2015年1月末に竣工、2018年1月に正式運用が始まっている。SARS感染を経験した中国がフランスに技術協力を求めて建設されたラボである。新型コロナウイルスはこのラボから流出したものではないか、という噂は専門家も含めて気にしている。

 実は2017年2月の英科学誌「ネイチャー」に、米国のバイオセイフティコンサルタントのティム・トレバンが、中国の官僚文化の伝統からみてこのラボは安全ではない、と警告していた。

 実際、2004年に北京のラボからSARSウイルスの“脱走”事件があり、また2012年にカナダ国家微生物学ラボ(NML、カナダ唯一のBSL4ラボ)から中国系研究員の“スパイ”が非常に安全ではない方法(郵送)でエボラウイルスなどを持ち出そうとした、あるいは持ち出した、とカナダのテレビ(CBC)が昨年夏に報道したことがある。この事件が直接、今回の新型コロナウイルスと関係あるわけではないようだが、中国がウイルス兵器の研究を行っているのではないか、その目的のためにフランスの技術供与を得て武漢にBSL4のラボを建設し、カナダからウイルスを盗み出したのではないか、しかし一方で、中国はウイルスの安全管理に対する感覚が甘いのではないか、という疑いの目はずっと向けられていた。

 ちなみに武漢のラボは中国科学院と武漢市の共同建設ということになっているが、実は人民解放軍系の施設だとみられている。当初の計画では、設計を請け負うのはフランスの会社だったが、最終的に解放軍系の企業が請け負ったという。

 トレバンがネイチャー誌で訴えた懸念は、武漢のラボで動物実験が行われることになっていた、という点だ。中国でこうした動物実験が行われる場合、欧米などと比べて規制が甘い。だからこそ、ワクチン開発などのスピードが速いと世界からの期待もあるわけだが、同時に危険な実験も安易に行える。2018年に運用開始したこのラボにすでにエボラウイルスやSARSウイルスなどのコロナウイルスが集められていたことは公にされているし、サルが実験に使われていたともいう。

 また、イスラエルの軍事情報官のダニー・ショーハム(バル・イラン大学タスパーク・サダト戦略研究センターで中国のバイオ兵器戦略を専門に研究)が統一教会系米国紙のワシントン・タイムズの取材に対して、武漢には2つの軍事用生物化学兵器開発のためのラボがあり、「新型コロナウイルスは兵器用に開発されたものではないか」というかなり大胆な問いかけを行っている。異様に感染力の強い謎のウイルス。地方は情報に関する権限が与えられず、中央の動きも鈍く、情報隠蔽も行われていた。その一方で、ウイルスが海外に出たと知れるやいなや、都市を封鎖し、渡航禁止措置を発令といった党中央政府の慌てぶりが、解放軍マターであるとすればなんとなく納得がいく気がする。中国のネット上では、このウイルスがSARSと同じく中国人をターゲットにした米国のウイルス兵器であり、バイオテロだ、といった陰謀論が流れているが、これこそが事実を隠蔽する情報戦ではないか、とショーハムは言うのである。

 こうした“怪情報”をどこまで信じるかは読者にお任せする。だが、まことしやかにこうした言説が流れてしまうくらい今回の中国の対応はいびつだということだ。こうしたいびつさの背景に、いまだ明らかにされない重大な問題が隠されているのではないか、と疑われてしまうのは致し方ない。

末期症状を示す共産党独裁体制

 この数年、特に習近平政権2期目が始まって以降、末端の官僚と中央の間に大きな不信感の溝があり、中国をこれまで支えていた官僚機構が機能不全に陥っている傾向が見えることは何度か指摘してきた。それがウイグル問題の内部文書(新疆文書)の流出や、香港デモの対応不全や、経済の予想以上の減速、そして今回の新型コロナウイルスの対応に表れている。

 今回の、習近平の大号令ですぐに都市封鎖したり海外渡航禁止令を発令する行動力を「さすが一党独裁」と評価する声が一部で聞かれるが、私は習近平が声を上げなければ何も動かない中国のシステムの危うさがむしろはっきりみえたと思う。つまり官僚の末端が能動的に動くことを放棄し、サボタージュを決め込む。これは習近平個人に権力を集中しすぎ、有能な官僚政治家たちを自分の権力を脅かす敵として大量に失脚させてきたことのツケともいえる。体制がこういう末期症状を示すとき、いろいろな災いは続く可能性がある。たとえば原発事故や、偶発的な軍事的衝突などなど。そういったものへの警戒をいま一度持つことだ。

 さて、厳しい予測をいえば新型コロナウイルスの感染は7月まで続くことになる。とすれば、もはや習近平の国賓訪問どころではない。東京五輪が無事開催できるかも心配になってくる状況だ。重大感染地域(中国)と世界の人、金、モノの流れが絞られ、米中対立の先鋭化で始まった西側経済圏、グローバルサプライチェーンからの中国分離は今後加速することが予想される。今回の新型コロナウイルス感染拡大は、世界が100年に一度の大変局を迎えるプロセスで、今後の米中ヘゲモニー戦争の行方を決定づける要素となるかもしれない。

 そこで、まず日本が注意すべきは、中国と一緒に西側世界からデカップリングされてはならないということだ。日本は中国との距離感を慎重にはかりながら、西側国際社会と連携しながらこの危機を乗り越えていかねばならないし、それができる実力を備えていると信じている。


 ネット上には多くの生物兵器説が流れ、その散布した犯人探しの情報が溢れています。
中国共産党が、経済失政を隠す為に流したとか、反習近平派が散布したとかが多いが・・
中国共産党の政権の基盤を揺るがず今回の新型コロナウイルスのパンデミックは、中国自身が意図的に散布した理由がない。

少数ながら米国が意図的に散布した説も流れている。

 【Parstoday】2020.1.30. 22:04 Asia/Tokyo 

マレーシア首相の特別補佐を歴任したマティアス・チャン氏が、「人工的に製造されたの新型コロナウイルスは、中国に対するアメリカの生物学戦争に等しい」と語りました。

マティアス・チャン氏は、マレーシア・クアラルンプールでIRIB通信との電話インタビューに、「研究所で製造されたコロナウイルスは、中国に対するアメリカの生物学戦争の手段に等しい」と述べています。

また、昨年10月に中国・武漢市にアメリカ軍300人が軍事計画への参加を目的に滞在していた事にも触れ、「この出来事からちょうど2週間後にあたる、昨年11月に武漢市で最初の新型コロナウイルスへの感染例が報告された」としました。

さらに、「この2週間という期間は、学術的な発見によればこのウイルスの潜伏期間に相当する」とし、「60の国際便、100の国内便、国内最大の特急列車網を備えた交通の要所である武漢市での感染例の報告から2ヶ月後、そしてちょうど中国の新年の前夜に、危険なウイルスの発生が発表された」と語っています。

そして、「新型コロナウイルスの蔓延は、アメリカの支持を受けた香港での民主主義支持者による暴動、および米中通商戦争の激化の時期とちょうど重なっており、またこの時期は豚インフルエンザや鳥インフルエンザによる経済損失が回復してきた時期にもあたり、現在では新型コロナウイルスという新しい形で中国を襲っている」と述べました。

チャン氏はまた、アメリカとの通商戦争を理由とした中国経済の没落、というタイトルでの報告の一部に、アメリカCNNが最近満足感を示している事に触れ、「このウイルスの蔓延は、中国に対抗する手段としてアメリカが必要としていたものだった」としています。

アメリカは、1940年代にもグアテマラで梅毒や淋病を、また2014年にはアフリカ・シエラレオネでエボラウイルスを、キューバではデング熱を多数の人々に意図的に感染させるなど、生物テロ手段の行使に関しても長い経歴を有しています。

ただ、情報元がイラン革命防衛隊の宣伝機関であるParstodayですから、話半分どころか、信じるべきではない偽情報である可能性が99%であろう。

では、結論はどうなのかといえば、反中国共産党のニュースサイト大紀元の記事に私は注目した。

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中国湖北省武漢市の金銀潭医院(STR/AFP via Getty Images)

中国軍機関紙・解放軍報は1月31日、軍の生物・化学兵器防御専門家、陳薇(54)少将が湖北省武漢市に入り、市の新型コロナウイルスによる肺炎の防疫対策に尽力していると報道した。中国メディアによると、陳氏が「最悪な状況を覚悟する必要がある」と述べた。これに対して、中国人ネットユーザーらは「生物兵器テロに遭ったのか」と不安の声を上げた。

解放軍報によると、陳氏らを含む軍の専門家チームは1月26日に武漢市に入った。陳氏は2003年に発生した重症急性呼吸器症候群(SARS)に関して、「医療分野で貢献をした」という。

中国紙・中国科学報2月3日付では、陳氏は現在の新型肺炎のまん延について、「最悪の状況を覚悟しなければならない。長期的な防疫態勢が必要であろう」と話した。

陳薇氏は、中国の工学・技術科学分野における最高研究機関、中国工程院の院士(メンバー)で、軍事科学院軍事医学研究院の研究員でもある。同氏は、エボラウイルス、炭疽菌、ペストなどの分野で研究を行い、中国生物・化学兵器研究の第一人者とされる。

中国版ツイッターの微博では、ネットユーザーらは「なぜ生物兵器の専門家が武漢市に行ったのか?本当に生物兵器(のウイルス)が漏えいしたのか」「なぜこのタイミングで武漢市に行くのか?陰謀論を信じざるを得ない」「P4実験室はどうして何も言わないのか」などと書き込んだ。

インターネットでは新型コロナウイルスの発生に関して、同市にあるP4実験室(バイオセーフティーレベル4実験室)、中国科学院武漢国家生物安全実験室からウイルスが漏れたことが原因だとの見方が出ている。同実験室は、中国科学院武漢ウイルス研究所(以下は武漢ウイルス研究所)の管理下にある。

武漢ウイルス研究所の石正麗研究員は2月2日、SNSの微信(ウィーチャット)上で、「新型コロナウイルスは実験室と無関係であることを命をかけて保障します」と投稿した。

石氏の投稿に対して、ネットユーザーらは、同氏と他の研究者が5年前に共同執筆した研究論文をネット上に公開した。論文は、コウモリに由来するSARSコロナウイルスに関する研究内容であった。ネットユーザーによると、同論文は2015年9月に国際医学誌「ネイチャー・メディシン(Nature Medicine)」に発表された。

同論文には、コウモリ集団におけるコロナウイルスの出現リスクを研究するために、研究チームは「キメラウイルスを生成した」と記されている。

(翻訳編集・張哲)

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閉鎖された武漢市の華南海鮮市場(AFP/Getty Images)

新型コロナウイルスの発生源をめぐって、憶測が飛び交っている。湖北省武漢市にあるP4実験室(バイオセーフティーレベル4実験室)からの漏えいを指摘する声が相次いだ。中国オンラインゲーム開発会社、多益網絡股份有限公司の徐波・会長はこのほど、SNS上で武漢市のP4実験室が新型肺炎の「源」だと批判した。

米科学誌「サイエンス」1月26日の論文によると、最初の感染者は武漢市内の海鮮市場に立ち寄ったことがないという。中国当局は同市場が発生源だと発表している。

徐会長は2月4日、中国版ツイッターの微博に投稿し、自身が実名で「証拠を提供した上で、中国科学院武漢ウイルス研究所(以下は武漢ウイルス研究所)を告発する」とのコメントを書き込んだ。同研究所は、P4実験室である中国科学院武漢国家生物安全実験室を管轄している。

徐氏は2017年、保有資産285億元(約4493億円)で、国内IT業界富豪番付の9位にランクインした。

かつてあった判例 ウイルスを持つ動物が市場に出回る
   
徐波氏は投稿で、武漢ウイルス研究所は実験用動物の管理がずさんで、ウイルスを持つ動物が市場に出回ったことが新型肺炎の感染拡大につながったと推測した。

同氏は、中国の生物学者・李寧が実験用動物を不正に販売した事件の報道を付け加えた。

中国メディアの報道によると、今年1月2日、吉林省松原市中級法院(地裁)は李に対して、「横領罪」の有罪判決を下し、12年の有期懲役を言い渡した。同裁判は5年かかったという。

判決文では、2008年7月~2012年2月まで、李寧は研究プロジェクトを通して、勤務先の中国農業大学から研究費補助金を得て、実験に使う牛や豚を購入した。その後、李は実験を終えた豚や牛、その牛から搾取した牛乳を養豚場などの業者に売却し、収益1000万元(約1億5764万円)余りを着服した。中国農業大学の経費管理規定では、資金を大学側に返金する必要があった。また、李は嘘の領収書などを提出して、大学側から2700万元(約4億2564万円)の研究費を騙し取ったという。

しかし、判決文は業者に売られた実験用動物がどのような実験に使われたのか、実験終了後になぜ殺処分を行わなかったのか、また、業者に渡った後の用途については言及しなかった。

実験済の動物を売却 ずさんな管理

武漢ウイルス研究所の石正麗氏は2月2日、SNS微信(ウィーチャット)で、「新型コロナウイルスは実験室と無関係であることを命をかけて保障します」と投稿した。2015年、同氏が他国の研究者と共に執筆したコウモリのコロナウイルスに関する研究論文は国際医学誌「ネイチャー・メディシン」で発表された。

徐波氏は投稿の中で、「石正麗氏が2015年に書いた論文の中で紹介したウイルスが、現在の新型コロナウイルスではないとわかっている。しかし、これは中国の研究者が人為的に類似のウイルスを生成していることを証明した」「石氏の実験室には、同じようなウイルスがたくさんあるだろう」「ウイルスの漏えいで今回の感染拡大を招いた可能性が大きい」と書き込み、中国当局に対して武漢ウイルス研究所を徹底的に調べるよう呼び掛けた。

ネットユーザーの「武小華博士」もこのほど、SNS微信(ウィーチャット)に投稿し、「実験室の管理が非常に粗雑だ」と指摘した。「実験用動物、例えば犬をペットとして転売している。医療廃棄物の火葬処分は経費が高くなるから、動物の死体をいい加減に処分する。さらに、野生動物として売ったりすることもある。SPF鶏の卵をゆでて食べる研究員も、実験用の豚を殺して食べる研究員もいる」という。

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微信ユーザー「武小華博士」の投稿(ネット写真)
 
SARSウイルスの漏えい事故

中国では2002~03年にかけて、重症急性呼吸器症候群(SARS)が猛威を振るった。2004年4月、北京市と安徽省でSARS感染者が再び増加した。中国衛生部は同年4月25日の記者会見で、中国疾病予防管理センターの実験室からウイルスが漏えいしたことが原因だとし、調査を行う方針を示した。

中国政府系メディア「人民網」が7月9日、当局の調査結果を報道した。同センターの傘下研究所、ウイルス予防管理センターの研究員がセンターのP3実験室(バイオセーフティーレベル3実験室)からSARSウイルスを持ち出し、一般の実験室で研究を行ったあと、感染が広がった。

武漢市にあるP4実験室は2018年、運営を開始した。

(翻訳編集・張哲)

これだろう!いい加減な中国人が生物兵器を研究していたが、杜撰な実験生物の管理体制だったために、研究所の外へ漏れた可能性が高いのではないか!そうすれば全てが納得いく話である。

しかしながら、もし生物兵器であればかなり失敗兵器である。感染力が強ければ全世界に広がり自国も広がり自爆してしまう。致死性が低ければ兵器として役に立たない。中国が国際的に禁止されている生物兵器を研究していることは間違いないと思うが、仮に生物兵器として研究していたとしても、研究中のウィルスであろう。

中国国内での、ウイルス感染者や死亡者の正確な数字は信用できないが、少なくとも中国国外での死亡者はフィリピンで、中国国内で罹患したと思える中国人が1人のみで、死亡率は重症急性呼吸器症候群(SARS)の9・6%、中東呼吸器症候群(MERS)の35%よりは高くない。生物学兵器としてはまだ研究中で出来損ないの部類の兵器であると思う。

仮に、新型コロナウイルスは生物兵器であったとしても、日本のように普段からインフルエンザ対策を行っている日本は、中国のようなパンデミックにはならないかと思う。

武漢からの海外旅行者が春節に1万人来襲しても、まだ日本はパンデミックにはなっておらず、おそらく日本中に水面下で感染は進んでいるはずだ、あと1週間、中国人旅行者相手の業界関係者内で押さえ込むことができれば、中国のような悲惨な状況にはならず、過度な恐怖心を抱くことは無いだろう。まだ特効薬が無くとも自然治癒力で十分完治できるであろう。

<2/15追記>

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2020年2月6日、中国湖北省武漢市の「火眼」研究所で、検査技師が新しいコロナウイルスの検査を受ける人から採取したサンプルを調査している。(STR/AFP via Getty Images)

米国生物兵器禁止法(Biological Weapons Anti-Terrorism Act of 1989)の起草者フランシス・ボイル博士は、「われわれが戦っている新型コロナウイルスは、危険な生物兵器に他ならない」と考えている。

感染の中心地である中国・武漢市にある武漢ウイルス研究所について、彼は「その研究所では以前にも流出事故が報告されている」と付け加えた。

ボイル氏の見解が正しいとすれば、中国政府はそうした生物兵器を開発する意図と能力の両方を持たなければならないことになる。果たしてそれは本当だろうか?

中国共産党(CCP)が、国連の生物兵器禁止条約に署名しているにも関わらず、生物兵器の開発を軍事的優位性を得るための重要な鍵と見なしていることは有名な話だ。
中国人民解放軍(PLA)の张仕波(Zhang Shibo)氏は、2017年に出版された著書「War’s New High Land」の中で、「現代のバイオテクノロジーの開発は、民族攻撃を含む攻撃能力特有の強い兆候を徐々に示しつつある。」と主張している。

要するに彼は、他の民族を殺害する生物兵器について述べているのだ。彼を単なる過激派だと非難する人々には、张氏が第18回中央委員会(2012–2017年)の委員であり、国防大学の前学長であることを心に留めてほしい。

これにより、CCPに生物兵器を開発する意図があったという証拠に疑う余地はない。
しかし、果たしてそれは可能なのだろうか?

中国が生物学的超兵器の作成に必要な遺伝子編集を可能にするクリスパー(CRISPR)技術を習得していることは広く知られている。最近では、HIVに耐性を持つように人間のゲノムを編集した中国の科学者、賀建奎(He Jiankui)氏が、懲役3年の実刑判決を受けている。

攻撃用生物兵器を遺伝子操作する場合、それらを格納容器から流出させないための安全な設備が必要となる。中国にあるレベル4の微生物学研究所は、武漢市にある武漢ウイルス研究所ただ1つだ。

技術と設備に加えて、生の生体材料も必要だ。これは自然界で最も危険なウイルスを手にすることを意味し、致死力を高めるためにそれらの特性を操作することもできる。

たとえば、別の動物から集められたウイルスの人から人への感染力を強化すること、または感染者に症状が現れるまでの潜伏期間を伸ばすことなどがこれにあたる。

武漢研究所が地球上で最も致死力の高いコロナウイルスのいくつかを入手したという決定的な証拠がある。昨年、中国出身の邱香果(Xiangguo Qiu)博士とその夫である成克定(Keding Chang)博士が、王立カナダ騎馬警察(RCMP)によって知的財産窃盗の疑いでカナダ・ウィニペグの国立微生物研究所(NML)から連行された。この研究所はカナダ唯一のレベル4の微生物学研究所、つまり中国が武漢市で運営しているものと同じ種類の研究所である。

Qiuはエボラウイルスの研究者として知られており、夫はSARSに関する研究を発表している。RCMPの調査によれば、両者がたびたび武漢の研究所へ戻っていたことも明らかになっている。

結論として、中国には生物兵器を作成するために必要な技術、設備、および生の生体材料がすべてそろっていたということになる。

ワシントン・ポストをはじめとする多くの主流メディアは、新型コロナウイルスは陰謀などではなく自然の産物だとわれわれを納得させ、それに反対する人々を頭のおかしい陰謀論者に仕立て上げた。

インド人ウイルス学者らが、新型コロナウイルスにはHIV遺伝子配列に類似したものが含まれていることを示唆する論文を発表すると、激しく攻撃され撤回を余儀なくされた。論文を批判した者たちは、HIVが挿入されたと仮定しても、新型コロナウイルスにヒト免疫系を傷つけさせることはできないと主張した。

実際には、新型コロナウイルスが「進行性リンパ球の減少」を引き起こす可能性があるという証拠はある。しかし、たとえ証拠がなかったとしても、それは何の証明にもなりはしない。開発中の生物兵器が意図したほどうまく機能しないという事実は、生物兵器ではないという証拠にはならない。単にまだ準備が整っていないというだけのことだ。

それが開発中の生物兵器かどうかにかかわらず、新型コロナウイルスが武漢ウイルス研究所から流出したことを疑う理由はほとんどない。

もし最初の新型コロナウイルス感染が単に動物から人への偶発的な感染だったとしたら、中国のどの地域で発生していても不思議はない。流行の中心地がたまたま中国で唯一のレベル4の研究所がある、人口1,100万人の都市だというのはいかがなものか。偶然?私はそうは思わない。

中国では過去にも似たような研究所事故が発生している。たとえば、2004年にはSARSウイルスが北京の研究所から2回流出しており、病気の流行を引き起こしている。武漢の設備は最先端だったのかもしれないが、中国の安全基準は一般的に著しく緩いと言われている。もし中国の科学者たちが生物兵器の研究と開発を急かされていたとしたら、手抜きがあったと見て間違いないだろう。

もう1つ注目すべき点は、CCP当局の反応だ。北京は、感染の拡大をごまかすために途方もない時間を費やしてきた。コロナウイルス検査キットは、ほとんどの症例が診断されないように調整されている。死因のほとんどを肺炎などの他の原因のせいにして、葬儀を行うことも禁止された。ご遺体は正式な手続きなしで次々と火葬場へと運ばれ、武漢市にある遺体焼却場は、流行の規模を示す証拠を抹消するために昼夜問わず稼働し続けた。

流行初期には、病院内で新型ウイルス感染の多数の症例が見られたと報告した罪で、8人の医師らが逮捕されている。医師らは「虚偽の陳述」「デマの拡散」などを理由に告訴され、罪を認めるまで釈放されることはなかった。告発者の一人である李文亮(Li Wenliang)医師が新型コロナウイルスの感染によって亡くなったことを受けて、今や彼らは国民のヒーローとして崇められている。

感染の発生源に関しても、当局はウソの連続であった。彼らはまず、武漢市の海産物卸売市場で販売されているヘビやコウモリを槍玉に挙げて市場を封鎖した。しかしすぐに、ヘビは新型コロナウイルスに感染しておらず、コウモリは同市場では売られていなかったことが判明した。

新型コロナウイルスが流出した中国の生物兵器であるという理論を証明する最後の証拠がある。中国では、米国が中国国民に対して意図的に生物兵器を解き放ったという噂がインターネット上で拡散している。

感染流行に関する正確な報告が中国当局に潰されている一方で、このような馬鹿げた主張が検閲されることはない。自らが犯した犯罪の責任を、主要な地政学的ライバルに負わせるとは、何とも共産党の指導者らしい行動である。

彼らはこうしたウソと言い逃れによって、感染拡大をコントロールできない自らの無能さを誤魔化そうとしているのだろうか?それともより大きな何か、たとえば感染発生の共犯者を隠そうとしているのだろうか?

新型コロナウイルスを生物兵器として使用する意図があったのかどうかは正確にはわからない。しかし、欧米の主要なメディアがその可能性を被害妄想としてはねのけようと躍起になっていたことは間違いない。

しかし証拠は明らかだ。人民解放軍の将軍が、欧米技術の盗用とウイルスサンプルの窃盗が許されている間に強力な生物兵器を開発しようと急いでいたと語っているのである。そしてこの生物兵器開発への圧力によって、武漢ウイルス研究所の安全基準が軽視され、新型コロナウイルスが研究所から流出したと考えるのが、最も合理的な仮定だと言える。

中国政権が地球上の支配者として米国に取って代わるための戦略として、CCPがこうした兵器の開発に取り組んできたことは明らかだ。

一度CCP指導者らが生物兵器を完成させたとき、彼らは世界的支配者となる「チャイナドリーム」を達成するために脅威的なパンデミックを解き放つことをためらうだろうか?共産党の指導者がそのような「暗殺者の矛」を使用するとは考えられないと疑う人は、どのような道徳心や倫理観が彼らを自制させるのか明確に説明してほしい。なぜなら私には何も思いつかないからだ。

中国指導者らにとっての唯一の真の驚きは、中国自身が、他国にばらまこうと画策していた新型コロナウイルスの感染源となったことだろう。

※執筆者のSteven W.Mosher氏は人口研究所の所長であり、「アジアの脅威:なぜ中国の夢が世界秩序への新たな脅威なのか。」の著者でもある。この記事は英語大紀元への寄稿記事。必ずしも本サイトの見解を反映するものではない。