ASM-2A/Bと12式地対艦誘導弾と12式地対艦誘導弾(改)は皆ASM-1の発展して行った兄弟誘導弾である。12式地対艦誘導弾(改)の哨戒機搭載型は、P-3Cに搭載した対艦ミサイルがASM-1Cであるので、ASM-2A/B(推定射程130~170km)の長射程化(400km前後)・高性能化・アップグレードしたという意味も重ねASM-2C型が妥当である。
もしASM-4と呼称するとASM-3の進化系と誤認してしまうので、ASM-2Bの「B]の次のアルファベット「C]を割り当てたほうがしっくりきます。
12式地対艦誘導弾はもともとASM-2Bを地上発射型にしたもので、12式地対艦誘導弾を艦載化したのが17式艦対艦誘導弾である。17式艦対艦誘導弾は90式艦対艦誘導弾(SSM-1B)の後継として、陸上自衛隊の12式地対艦誘導弾をベースに艦載化されたものだ。
ミサイルの誘導方式として、90式では中間航程に慣性誘導、終末航程にアクティブ・レーダー・ホーミング(ARH)誘導を採用しているのに対し、17式では中間誘導にGPSを加えており、航法精度の向上につながっている。発射後に目標に関する情報を更新する機能も付与された。また射程の延伸や同時弾着といった機能も実現される。
2022年度までに17式艦対艦誘導弾を哨戒機用新空対艦誘導弾が開発される予定であるが、正式配備が2023年かもしれないので、22式もしくは23式空対艦誘導弾・ASM-2Cとするのではないか?
【産経ニュース】2019.4.29 05:00
防衛省は、南西地域に配備する陸上自衛隊の地対艦誘導ミサイル(SSM)を改良し、射程を現在の約2倍に延伸する検討に入った。艦艇の能力増強を図る中国軍への対処能力と抑止力を高める狙いがある。改良した同型のミサイルを海上自衛隊の哨戒機にも搭載し、空対艦ミサイルとしても活用する。複数の政府関係者が28日、明らかにした。射程を延伸するのは最新鋭の12式SSM。現在は射程200キロ程度だが、最大400キロ程度にまで伸ばす。令和5(2023)年度に部隊配備する。陸自は、戦力の「空白地帯」とされる南西地域の防衛態勢強化を急いでいる。今年3月には鹿児島県・奄美大島と沖縄県・宮古島に駐屯地や分屯地を新設。奄美大島では南西地域で初めて12式SSMが配備され、来年には宮古島にも導入される。駐屯地の新設が計画されている沖縄県の石垣島でも配備される見通しだ。陸自は、離島侵攻に対し(1)洋上(2)海岸地域(3)内陸部-の3段階で対処する構え。12式SSMは洋上で敵艦艇を撃破する役割を担う。ただ、中国海軍の艦艇は近代化が急速に進み、搭載する巡航ミサイルなどの射程や精度も向上している。12式SSMの射程を延伸することで、敵艦艇の脅威圏外から攻撃することが可能となる。東シナ海から太平洋への進出を図る中国海軍への牽制にもつながる。中国艦艇は遠洋作戦能力の強化を狙い、沖縄本島-宮古島間の宮古海峡を通過する動きを常態化させている。改良した12式SSMを宮古島に配備すれば、約290キロにわたる宮古海峡の全域を射程に収めることになる。中国公船が領海侵入を繰り返す尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海域もカバーできる。陸自への配備に先立ち、令和4(2022)年度には同型のミサイルを海自哨戒機に搭載する。南西地域は約1200キロにわたる広大な海空域を有する。警戒監視能力と活動領域に優れる海自哨戒機が長射程の空対艦ミサイルを備えることで、南西地域の防衛態勢はより厚みを増すと防衛省は判断している。
その、新型哨戒機用新型空対艦誘導弾が海上自衛隊のP-1哨戒機に搭載され、2月10日に厚木基地から飛び立ち、搭載試験飛行が行われたとされる様子が撮影されています。
【NaviationJapan】2020.02.13
海上自衛隊が12式SSMの改良型ミサイル(哨戒機用新空対艦誘導弾)を海上自衛隊のP-1哨戒機に搭載し試験飛行しています。2月10日に厚木基地から飛び立つ様子が撮影されています。防衛省は、南西地域に配備する陸上自衛隊の地対艦誘導ミサイル(SSM)を改良し、射程を現在の約2倍に延伸し、艦艇の能力増強を図る中国軍への対処能力と抑止力を高める計画です。射程を延伸するのは最新鋭の12式SSMで、現在は射程200キロ程度ですが、最大400キロ程度にまで伸ばす計画です。令和5(2023)年度に部隊配備予定です。P-1哨戒機には同型のミサイルを最大8発搭載することが可能といわれています。Image: パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=30811400による
17式艦対艦誘導弾SSM-3をベースに新誘導弾は開発されていますがその射程は400km程度との報道です。ところが、17式艦対艦誘導弾SSM-3の射程については射程170kmのASM-2Bより射程延長程度としか詳細は一切言及されていない。12式地対艦誘導弾の射程が200km程度と推定されているので、同程度と専門家やマニアは思い込んでいた。だが、ASM-2C哨戒機搭載新空対艦誘導弾がいきなり400km程度なら、17式艦対艦誘導弾SSM-3の射程は200km程度ではなく250km~300km級あるかもしれません。あくまでも素人マニアの妄想です。
ネットで地対艦ミサイルを検索すると、必ず↓の図が検索できます。
マニアには解りやすいが、いまひとつもの足りないので、Ddog版を作成し記事冒頭に掲げました。
日本の対艦ミサイルの草分けとなるのが80式空対艦誘導弾(ASM-1)である。
1972年からは、T-2を単座化し、爆撃能力の強化外部搭載能力の増加などを図った後にF-1となる支援戦闘機(攻撃機)の開発が着手された。同機の開発段階で対艦ミサイルの開発も進められることになり、1974年より開発が開始され1977年に試作弾が完成し1979年開発が完了した。
技術試験は、予想以上の威力であったとされた。実艦標的として旧「くす」型護衛艦(満載排水量2250トン)だった「かや」に対し実弾3発を発射予定した。ところが初弾で撃沈してしまったために2発を残してその試験が終了したり、模擬標的に対し15発を発射予定であったものが直撃弾が続出して標的が破損・撃沈してしまったため1発を残して試験が終了した逸話は有名である。
ミサイル直径 350 mmミサイル全長 3,980 mmミサイル全幅 1,190 mmミサイル重量 600 kg弾頭 弾頭重量:150kg射程 推定50キロメートル (27 nmi)誘導方式 中途航程:慣性誘導終末航程:ARH誘導飛翔速度 亜音速
ASM-1の推進方式はロケットモーターで、誘導方式は慣性誘導(中間)とアクティブ・レーダー誘導(終末)を用いる。
88式地対艦誘導弾(SSM-1)
80式空対艦誘導弾(ASM-1)を基に陸上自衛隊が運用する地対艦ミサイルとして開発され、動力のロケットモーターをTJM2ターボジェットエンジンに変更し、地上発射を可能とする為に、発射時の初期加速用に4枚の安定翼を持つ固体燃料ロケットブースター部が尾部に追加された。
ブースターは初期加速終了後、分離される。ターボジェットによる長射程を生かし、海岸線付近に進出した捜索標定レーダ装置の射撃データを内陸部に配置された指揮統制装置に送り、射撃管制装置がミサイルに発射指示を下すという世界でも例を見ない構成を採る。
発射されたミサイルは地形に沿って飛行して被発見率を下げるほか、発射陣地を秘匿するように経路をプログラムされる。高度なECCM能力や、ミサイルの同時着弾、特定目標に集中しないための独特の目標選択アルゴリズムを持つといわれる。
ミサイル直径 約0.35mミサイル全長 約5mミサイル重量 約660kg射程 150-200km(推定)推進方式 固体燃料ロケットモーター(ブースター)+ターボジェットエンジン(巡航用)誘導方式 中途航程:INS終末航程:ARH飛翔速度 1,150km/h
90式艦対艦誘導弾(SSM-1B)
陸上自衛隊の88式地対艦誘導弾(SSM-1)を水上艦船搭載型であり、ミサイル本体部はSSM-1とほぼ同等である。
艦船搭載にあたり、発射機架台や発射システムはハープーンとの共用性も重視され、同等の発射筒内に収められ、発射管制システムも共用部があり、架台別にハープーンとの混載も可能である。射程はハープーンSSMより長い150km。
SSM-1Bは、地上発射SSM-1と異なり発射後超低空飛行(シースキミング)巡航に入る。
中間誘導は慣性航法装置を用い、終端誘導はアクティブ・レーダー・ホーミングとなっている。
91式空対艦誘導弾(ASM-1C)
海上自衛隊向けに、SSM-1の発展型として、艦船搭載型(XSSM-1B)と哨戒機搭載型(XASM-1C)がほぼ同時に開発されることとなった。1987年より試作が開始され、艦船搭載型の開発が先行し、哨戒機搭載型より1年早く90式艦対艦誘導弾(SSM-1B)として制式化され、翌1991年に91式空対艦誘導弾(ASM-1C)として制式化された。中間誘導は慣性航法装置を用い、終端誘導はアクティブ・レーダー・ホーミングとなっている。
91式空対艦誘導弾(ASM-1C)
P-3Cには、最大6発、P-1には最大8発が搭載される。
93式空対艦誘導弾(ASM-2)
93式空対艦誘導弾(ASM-2)
ASM-1を88式地対艦誘導弾(SSM-1)開発の成果も取り入れJM2ターボジェットエンジンに変更され長射程化が図られた。
飛翔の中間段階までは慣性誘導が行われるが、最終段階では赤外線画像イメージによる誘導が行われる。フレア判定などの対妨害能力も有する。赤外線イメージ誘導は、気象条件の影響を受けやすいが、電波妨害の影響を受けないほか、ASM-2では艦の種別判別による目標選択が可能となっている。また、艦船形状判定より、ミサイル命中点を指定することができ、艦橋への直撃など、より撃破効率を高めることができる。
ミサイルは発射後、シースキマー飛翔を行う。また、目標再捜索モードやBOL発射モード(方位のみの設定による発射)など、各種捜索モードも備えている。弾頭部もASM-1より改良され、遅延信管を用い、LOVA性に優れたPBX系炸薬に焼夷材を加えたものとなっている。
2000年から2002年にかけて、中間誘導用にGPS誘導方式を追加して誘導精度を高めた改良型の93式空対艦誘導弾(B)(ASM-2B)の開発が行われた。
飛翔の中間段階までは慣性誘導が行われるが、最終段階では赤外線画像イメージによる誘導が行われる。フレア判定などの対妨害能力も有する。赤外線イメージ誘導は、気象条件の影響を受けやすいが、電波妨害の影響を受けないほか、ASM-2では艦の種別判別による目標選択が可能となっている。また、艦船形状判定より、ミサイル命中点を指定することができ、艦橋への直撃など、より撃破効率を高めることができる。
ミサイルは発射後、シースキマー飛翔を行う。また、目標再捜索モードやBOL発射モード(方位のみの設定による発射)など、各種捜索モードも備えている。弾頭部もASM-1より改良され、遅延信管を用い、LOVA性に優れたPBX系炸薬に焼夷材を加えたものとなっている。
2000年から2002年にかけて、中間誘導用にGPS誘導方式を追加して誘導精度を高めた改良型の93式空対艦誘導弾(B)(ASM-2B)の開発が行われた。
ミサイル直径 35.0cmミサイル全長 4.0mミサイル全幅 1.2mミサイル重量 530kg弾頭 HE射程 推定144キロメートル (78 nmi)以上
もしくは推定170キロメートル (92 nmi)推進方式 TJM2 ターボジェットエンジン[誘導方式 慣性誘導(中間)赤外線イメージ誘導(終末)(B型では中間誘導にGPSも使用)飛翔速度 1,150km/h
12式地対艦誘導弾 (SSM-1改)
88式地対艦誘導弾の後継であり、当初は88式地対艦誘導弾システム(改)と呼称されていた。試作は2001年度から行われており、艦船における対艦ミサイル迎撃能力の向上に対応し、主にミサイルの生存性向上が改良の主眼となっている。
射撃に関する能力の向上、目標情報更新能力の向上
目標大小判別能力と指揮統制機能の向上、命中点のばらつき低減、再装填時間の短縮、同時弾着機能の高精度化、高射角での発射が可能、地形追随機能の向上、ライフサイクルコストの抑制
誘導については従来の慣性誘導(中間)+アクティブ・レーダー・ホーミング(終末)に加え、中間誘導にASM-2Bと同じくGPS誘導が追加されている。射程は200km程度に伸延されている。
2017年度(平成29年度)から2022年度までに、17式艦対艦誘導弾をベースに12式地対艦誘導弾(改)が開発中である。射程は400km程度に延伸される。
性能諸元ミサイル直径 0.35mミサイル全長 5.25mミサイル全幅 1.19m射程 百数十km - 200km推進方式 インテグラル・ロケット・ラムジェット誘導方式 慣性/GPS誘導(中間段階) + アクティブ/パッシブ複合誘導(終末段階)飛翔速度 最大マッハ3以上
XASM-3改 開発へ 2019年03月17日
ASM-3の開発計画は、1992年からであったが、開発当初200kmほど離れて発射すれば安全だと思っていたが、ロシア開発のS-400地対空ミサイルシステムの射程が400km級に伸びてきた。S-500にいたっては、射程は600kmだ。
発射母機(F-2戦闘機等)が相手レーダーに見つかり、ミサイルを発射する前に迎撃される可能性大となる為、これを上回る長射程の対艦ミサイルを装備してスタンドオフ攻撃を行う必要が出てきた。
途中開発予算がつかなかったとはいえ、2018年に完成したものの、完成した時には、最新鋭ではくなってしまった。
一般に射程はマッハ3で400kmですよと公表して開発を始めていますが、既にS400対空ミサイルの射程が400kmなのに400km射程の対艦ミサイルを開発するバカはいない。
S-400の後継対空ミサイルシステムS-500は探知距離800km、射程が600kmである。ASM-3改の射程が400kmでも発射前に撃墜されてしまう。
極超音速化も進むであろうから、ASM-3改(ASM-4)は、マッハ5、射程600km~1000kmを目指すのではないかと思う。ASM-3改の射程400kmでは、また完成しても使えないミサイルとなってしまいます。
発射母機(F-2戦闘機等)が相手レーダーに見つかり、ミサイルを発射する前に迎撃される可能性大となる為、これを上回る長射程の対艦ミサイルを装備してスタンドオフ攻撃を行う必要が出てきた。
途中開発予算がつかなかったとはいえ、2018年に完成したものの、完成した時には、最新鋭ではくなってしまった。
一般に射程はマッハ3で400kmですよと公表して開発を始めていますが、既にS400対空ミサイルの射程が400kmなのに400km射程の対艦ミサイルを開発するバカはいない。
S-400の後継対空ミサイルシステムS-500は探知距離800km、射程が600kmである。ASM-3改の射程が400kmでも発射前に撃墜されてしまう。
極超音速化も進むであろうから、ASM-3改(ASM-4)は、マッハ5、射程600km~1000kmを目指すのではないかと思う。ASM-3改の射程400kmでは、また完成しても使えないミサイルとなってしまいます。
日本の場合、沿岸防衛の見地からすると、射程が1000kmを越えてくると、もはや、航空機が地上から飛び上がり、上空で発射する意味が薄くなってしまう。射程1000kmを越える目標に対しては、超高速巡航ミサイル(HCM)と超高速滑空弾(HVGP)で対応することになると思います。
HCMとHVGPの開発については、↓記事を参照してください。
極超音速兵器開発競争の勝利は21世紀における国家の威信なり! 2020年01月12日
コメント