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防衛装備庁 プロジェクト管理部 事業監理官(情報・武器・車両担当)付 事業計画調整官1等陸佐 井上 義宏

上のイラストは、冊子のページ最後のイラストで昨年の防衛技術セミナーのオーラルセッショッの際もプロジェクターに投影されていたか記憶にない。。
露骨に沖縄の島々を不法占拠したら珊瑚礁を越えて逆上陸を行うという意味がこもったイラストである。

陸自は本気である。珊瑚礁の多い沖縄の島々にAAV-7で上陸する無謀さをよく知っている。
珊瑚礁は天然の上陸阻止トラップのようなものだ。第二次世界大戦から現代に到るまで、上陸側はなだらかな砂浜にしか上陸できなかったがゆえに、上陸地点は予想でき、防御側が容易に防御陣地を構えることができた。それがもし、珊瑚礁を突破できるとなると、防御側は、事前に防御陣地を構えることができなくなってしまうこともある。特に珊瑚礁が発達した沖縄の島々ではほぼ島の全周が上陸対象となってしまうのである。

珊瑚礁を突破するには強力なエンジンと、強力なウォータージェットと、水中での履帯の稼動なくして突破は不可能である。

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珊瑚礁を突破するには上図のよなパーツを揃え、シュミレーションを重ねた日本が開発する将来水陸両用車が出現するまで不可能だ。日本が採用したAAV7はもちろんのこと、米海兵隊が2018年にAAV-7に代わって採用を決定したした新型水陸両用車”ACV1.1”でも不可能である。
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ACV1.1は全輪駆動の8輪装甲車で、全長7.92m(水上航行用波除版展開時8.8m)、全幅3.1m、全高2.8m。最低地上高0.45mで、不整地を走破するのに重要な前方アプローチアングルが49度、後方デパーチャーアングルが43.5度。空虚重量は26トン(全備重量30.617トン)で、貨物積載量は3.3トン、3名の乗員のほか13名の人員を輸送可能。装甲は超硬スチールモノコック。最高速度は地上(舗装路)で時速105kmと、非常に優秀な車輌ではあるが、残念ながら、水上航行時の速度がAAV7の7ノットより遅い6ノット(11.1kn/h)である。


米国はACV1.1で満足していないようだ。チャイナウィルス患禍のなか、政権維持に必至な習近平中国共産党政権は、海外侵攻で国内の不満を逸らす為に台湾侵攻や、南シナ海周辺を更なる蚕食を狙っている。

インド洋から沖縄にいたる海域の島嶼部は珊瑚礁だらけで、米海兵隊は
ACV1.1だけではとても揚陸作戦は行えないと考えているようだ。その為まだ共同研究の段階だが、日米で新型水陸両用装甲車の開発が打診されている。


4月16日、外務大臣と駐日米国大使の間で、日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定に基づく水陸両用作戦技術に係る共同研究に関する書簡の交換が行われました。

それを受けて、5月2日、防衛省と米国国防省との間で、次世代水陸両用技術に係る共同研究に関する取決めの署名を行いました。

本共同研究は、防衛省と米国国防省が共同で、水陸両用車のデジタルモデルを基に、シミュレーションにより実現可能性の検討を実施するものです。本共同研究の成果は、将来の水陸両用車の性能向上につながるものと期待されます。

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米国が、関心をもつ最大の動機は、小型で超高性能ディーゼルエンジン「12MB」の存在だろう。3,000馬力級エンジンの概要 (日本のエンジン開発の傾向) 2-3-b. 3,000馬力級エンジンの概要 (日本のエンジン開発の傾向) • コンパクト、軽量かつ高出力の水陸両用車エンジンを開発中 (今年度中に納入予定) • このエンジンは、民生技術を活用し現有エンジンをアップグレードし、高性能かつ高い 信頼性を確保 している。
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エンジンはディーゼル機関車同じ3,000馬力が出る小型ディーゼルエンジン「12MB」である。開発は既にほぼ完了しており、3000馬力が同程度の既存エンジンに比べて、7分の1程度になっているという。10式戦車の高性能ディーゼルエンジンの更に上をいくターボチャージャー圧縮率で40%up 燃料噴射圧力20%up 体積あたりの馬力71馬力/リットルは30%upだ!ちなみに3000馬力のディーゼルエンジンとは、ディーゼル機関車のディーゼルエンジンが3000馬力相当であり、その大きさからしていかにコンパクト化しているかわかりやすい。


このエンジンさえあれば、米海兵隊が導入しようとして頓挫したEFVも頓挫せずに済んだかもしれない。

「EFV」(遠征戦闘車)は、2015年から配備予定であった水上を25ノットで進むことができる海兵隊にとって夢の車輌であったが、かの無能オバマ政権の国防長官ゲーツによって2011年葬り去られた。

キャンセルされた原因は、オバマが防衛費を削りまくったせいもあるが、開発したゼネラルダイナミクスにも開発製造能力が無く、問題山積の車輌かつ高額であったのもキャンセルされた一因だったともといわれている。

米海軍も、EFVのような水上高速性能を持った水陸両用車を諦めたわけではなく、ACV1.1は1300両を超えるAAV-7すべてをACV1.1で置き換える計画ではない。老朽化したAAV7の一部を置き換えることに留まるかもしれない。

米国との共同開発に成功すれば、米国だけでなく、第三国への売却の可能性も高まる。26年4月に閣議決定した防衛装備移転三原則に基づく装備輸出の実績となり、日本の防衛関連産業の国際的信用性の向上につながることが期待される。



現在日本では、三菱重工が、自社開発の水陸両用車「MAV(Mitubishi Amphibious Vehicle)を試作している。
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ちなみにMAVは同じ三菱重工の装輪装甲車MAV(Mitsubishi Armored Vehicle)」
MAVであり、三菱重工のガバナンスはどうなっているのか疑問である。

また、試作MAVはMAST Asia 2017, Tokyo, Japanで展示された、下写真の車輌とも異なる。

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三菱重工に研究試作を43億円で発注 【航空新聞社】2018.09.14

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 防衛装備庁は先頃、将来水陸両用車の海上高速航行能力向上技術について研究試作契約(その1)を43億56万円で三菱重工と契約した。
 陸上自衛隊が導入したFFV-7水陸両用車は海上航走速度が10ノットに満たず、長時間の海上航行は難しく、揚陸艦が海岸近くまで接近してFFV-7を海上に下ろす必要がある。高速化することで、被弾する危険性を減らし、より遠距離から海上走行が可能となることが期待される。
また、更に厄介なことに上記模型車輌は、陸上装備研究所で研究しシュミレーションしているデジタルモックアップ車輌とも異なる。

そのシュミレーションで使用されているデジタルモックアップ車輌である。

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水上走行時
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上陸時
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陸上走行時
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 陸上装備研究所 機動技術研究部 上村 圭右 令和元年11月13日

我が国の島嶼侵攻事態時に、水陸両用車を用いて洋上の海自輸送艦から島嶼部への部隊投入による島嶼防衛をより効果的・効率的に行うためには、水際機動性や海上航行速度の向上を実現することが有効であり、これらの実現のために、本事業では、平成29~令和4年度にかけて将来の水陸両用技術として、水際機動能力向上技術(水際での機動困難な条件を克服して機動性を高める技術)、海上高速航行技術(海上で車両が高速航行できる技術)及び乗員安全性を備えた将来の水陸両用車に関する全体システム設計の最適化及び高出力エンジンの小型化、構成品の能力向上に関する研究を行うものである。

防衛省は、平成29年度予算案概算要求に研究開発費40億~50億円を計上しており、2022年まで研究を行い、2023年から本格的な開発に移行する予定である。
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最先端の研究開発手法であるモデル・ベース・デザインの考え方を取り入れ、本シミュレータ上で車両の構想検討から設計・試験・評価を実施していく。
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本シミュレータを使用し、先進的コンポーネントを組み合わせた次世代水陸両用車の実現可能性に関する研究開発の効率的な推進に貢献する。image163
本シミュレータを今後、陸上車両にも活用し、将来の自衛隊車両全般の研究開発の迅速化・効率化を目指す。
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そうして10年後誕生するのが下図のような車輌ではなかろうか?

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【おまけ】
折角なので、将来水陸両用車がいかにすごいか、昨年当ブログで取り上げた中国の戦闘用水陸両用ドローン「ウミイグアナ」を見て心を和ませてください、思わずハートウォーミングな気持ちになってしまいます。

 

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おいおい、下が硬いなだらかな海岸しか上陸できないんじゃないか?なにを考えてるんだか?さすがメイドインチャイナ!中国製造2025、これが中国品質ですね。
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見てやってください!こんな履帯では珊瑚礁の敵前上陸などできっこない。
珊瑚礁どころか、ちょっと軟弱な砂浜でも足をとられて動けなくなるのは目に見えている。なんで、こんな中途半端な水陸両用車をつくるんでしょね。どうせならこんな履帯ならない方がいい、水上を移動するのに収納しても、けっしてプラスではない。どっちつかづで、ただただお笑いの珍兵器だ。