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2019年防衛技術シンポジウム会場にてDdog撮影

1979年に『機動戦士ガンダム』が放映され、早40年が過ぎた、人が搭乗する軍用巨大ロボットは未だ具現化していないが、SFだと思われていた技術は若干形を変え現実になりつつある。

アニメやSFの世界では、人が搭乗する2脚歩行の人型巨大ロボット兵器は一般的です。ですが、リアルな現実においてはその巨大ロボットの戦術的効果は、まったく認めらず、実用化する見込みはいまのところありません。仮にあるとすれば、兵員募集の宣伝効果と、基地祭等で、国民を喜ばせる玩具にはなります。戦国武将の兜の鍬形や前立てのように、戦場で目立ち、威厳や地位を誇示し、自らの矜持や信念を表す効果はあるでしょうが、費用対効果はちょと合わないと思います。

『機動戦士ガンダム』におけるモビルスーツは企画段階において、当初その後に放映された装甲騎兵ボトムズ(1983年)のような歩兵の戦闘力を強化するために着る装甲スーツとして設定されていましたので、「モビルスーツ」という名称が残ったとのことです。
※当時高校生であった私は、巨大ロボットアニメなど子供向けだと卒業していましたが、後輩がとてもリアルなアニメだと言うので見てみたら、たちまち嵌りました。

第一次世界大戦時実用化した戦車は、年々主砲が大きくなり、その威力に耐えられるように装甲も厚くなり、重くなった車体を無理やり動かすために大馬力エンジンを詰め込んで、地面で動かすには限界点に近い重さ60tを超えるようになってしまい。進化が足踏みしています。恐竜と同じように静かに絶滅への向かっています。

そして現在、リアルの世界では、無人戦闘車輌と、強化戦闘歩兵用パワードスーツが新たな新兵器として、実用化し、進化への競争が始まったと認識していいかもしれません。

米国  TALOS

アフガニスタンやイラクの戦場で、多くの人命を失い、軍への志願者が減少し、米軍は深刻かつ慢性的な兵員志願者不足に陥ってしまった。徴兵制を復活させるわけにもいかず、その解決策として、少ない人員を、人工的テクノロジーで一騎当千の兵士に変え、かつ、貴重な兵員の命を守ることが課題となった。

米国では、90年代からDARPA(国防高等研究計画局)を中心に、兵士とロボットを融合させる軍用パワードスーツ技術開発がはじまり、DARPAが推し進めるウォリアー・ウェブ・プロジェクト」(Warrior Web Project)の目的は、「ウェアラブル・ロボット」技術によって兵士のパフォーマンスを高めることにある。


2000年代初頭の頃はまだ、電源コードを引きずった実験室レベルの試作品が、近年一気に実用レベルに達し、アメリカ特殊作戦軍(US SOCOM)の主導の下でTALOS(タロス)「Tactical Assault Light Operator Suit」という軍用パワードスーツ(強化外骨格)が2019年配備目標で、研究されていた。
2013年10月12日


ところが、2019年2月最新版プロトとなる『Mk.5 戦闘スーツ』の開発目途が立たず、「近接戦闘環境での運用には適していない」「スーツ全体の相互接続性がうまく機能しない」として終焉が報じられている。

だが、2019年5月のフロリダ州タンパで開催された『特殊作戦部隊産業会議(SOFIC: Special Operations Forces Industry Conference)2019』において、米軍特殊作戦司令部(USSOCOM)取得部門の幹部Scott Gourley氏が、『統合戦術強襲用軽量オペレータースーツ『TALOS(Tactical Assault Light Operator Suit)プロトタイプ』のパネルを紹介した。


また、計画の総括責任者であるジェームス・ミラー大佐によれば、「コンセプト通りに計画は進行しており、2019年にはMark-5という外骨格のプロトタイプを公開できる」と回答しています。


2021年の米国国防省予算のページで検索をかけたが、TAROSを見つけることはできなかった。だが、国防省米陸軍のページでは関連研究をしているようなことはでていたが、最新ニュースが不明だ。
TAROSは特殊部隊用であり、ビンラディンを急襲した特殊部隊用ステルスヘリは、未だに表にでてこない。予算削減の影響で、計画に遅延は発生しているものの、中露に遅れをとることはできないはずであり、何らかの形で現在もTALOS計画は進行中の可能性は高い。

米国 Lockheed Martin ONYX

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アメリカ陸軍のナティック研究開発技術センター(NSRDEC)は、ロッキード・マーティンと外骨格型パワードスーツ「オニキス(ONYX)」をデモンストレーション用に機能拡張を図る総額690万ドルの契約に合意したと発表しました。AIを利用したこのパワードスーツのデモンストレーションは、2019年に予定されています


タンパ、フロリダ州、2017年5月16日 / PRNewswire / -

兵士らのの過酷な任務は、多くの場合、重い装備を背負い起伏の多い地形、または坂道や階段や都市の地下トンネルなど長い距離を運ぶことである。これらの困難な運用シナリオの結果疲労や怪我は日常茶飯事である。Lockheed Martin社の新しいパワードスーツがその解決策を提供します。

Dermoskeleton TMバイオニックオーグメンテーションテクノロジーを使用したFORTIS膝ストレスリリースデバイス(K-SRD)TMは、腰と脚の過度の負荷を軽減し、可動性と耐荷重性を高めるコンピューター制御のパワードスーツ(外骨格)です。それは、反復的または継続的なひざまずくまたはしゃがむ、または重い荷物で持ち上げたり、引きずったり、運んだり、登ったりすることを必要とする肉体的に厳しいタスクの脚の能力を高めます。

「FORTIS K-SRDは、歩兵用に承認された軍事仕様のバッテリー、改良された制御ボックスの人間工学、およびより多くのトルクを生成するより高速なアクチュエーターを特徴としています」とLockheed Martin MissilesおよびFire ControlのFORTISプログラムマネージャー、Keith Maxwellは述べました。「これらのシステムのアップグレードは、初期の設計に関する兵士のフィードバックを元に設計しています。」


 
FORTIS K-SRD Lockheed Martin

外骨格のセンサーは、兵士の速度、動きの方向、および角度を、膝の電気機械式アクチュエーターを駆動する搭載コンピューターに報告します。外骨格は、適切なタイミングで適切なトルクを提供し、膝の屈曲と伸展を支援します。FORTIS K-SRDは最終的に、地形を横断したり、しゃがんだり、ひざまずいたりするのに必要なエネルギーを減らします。これらの利点は、階段を上り下りするとき、または傾斜した表面を移動するときに最も顕著になります。

外骨格のバージョンは、困難な環境で激しい作業を行わなければならない産業労働者や初動対応者にも利用できます。

Maxwell氏によると「人が持ち運べる重いギアとクライミングを組み合わせたミッションでは、FORTIS K-SRDは強度と耐久性を高めることができます」とのことです。

米国は高価なTALOSは、特殊部隊用とし、普通部隊用には、このロッキード・マーチン社のONYXを配備していくものと思われます。

ロシア

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© 写真 : Press service of Rostec

ロシア国営「ロステック」の一部門が、炭素繊維強化プラスチック製のパワードスーツを開発した。兵士が最大で重さ50キロの荷物を持って移動するのを楽にし、すでに実際の戦闘行動でテストされている。「ロステック」の広報部が発表した。

同パワードスーツは、21日に開幕した軍事技術フォーラム「アールミヤ2018」で初めてお披露目された。
プレスリリースによると「『ロステック』のデモンストレーションセンターで『未来の兵士』の装備用の外骨格構造が紹介されている。同開発は、実際の戦闘行動条件下で既にロシア軍のテストを受けており、高い効果が確認されている」。

また「軽量の炭素繊維強化プラスチックでつくられているパワードスーツは、最大50キロの重さの荷物(レイドパック、特殊装備品、武器、弾薬)を運ぶ際に、筋骨格系の負担を軽減する」という。


中国は、アイアンマン映画より中国製パワードスーツの方がうまく機能するかもしれないことを忘れてはなりません。十分なバッテリー電力の確保などのハードルにより、現在の外骨格デザインの有用性は制限されます。米特殊作戦司令部は、2013年に戦術的な突撃灯のオペレータースーツ(TALOS)外骨格を発表し、鎧の保護とセンサー、およびそのオペレーターの強化された強度と耐久性を発表して、大きな話題を呼んだ。しかし、2019年にSOCOMは、TALOSプロトタイプが作成されたが、プロジェクトが目標を達成できなかったことを認めました。

中国もパワードスーツ(外骨格武器)コンテストを開催

アメリカとロシアが外骨格を開発しているので、本質的には、サイエンスフィクションに描かれているパワードアーマースーツや、Starship TroopersやIron Manなどのスーパーヒーロー映画ですが、中国がそれに続くことは避けられませんでした。

2019年10月、人民解放軍の陸軍装備部門は、最高の外骨格デザインを求めるコンテストを開催しました。コンテストでは、29チームが50のプロトタイプを提出しました。

「ご存じのように、大砲の争点作業は大変な作業です」と中国のソーシャルメディアプラットフォームWeChatに関する記事は述べています。「これは特に砲弾の重量が数十キロである大口径榴弾砲に当てはまり、装填砲の繰り返しの動きは疲れ果てており、多くの人が若い頃から背中の悪化の問題を抱えており、砲術の効果に影響を与えています。」


競争には外骨格が含まれていました。機械式パワーアシスト外骨格を装着したローダーは、40キロから50キロ[88から110ポンド]の重量の155 mm砲弾を楽々と持ち上げる「ヘラクレス」に変形しました。その他のテストには、軽量の移動性、行進中に体重を支える能力、および材料の取り扱いが含まれていました。

WeChatの記事は、軍の外骨格の美徳を称賛した。「敵陣の背後での作戦、山岳戦争、国境警備隊、または救助および災害救援などの戦闘状況では、モバイルプラットフォームは通常ミッションエリアに到達できないか、燃料供給が非常に長い間運営するには不十分です。外骨格は、重い荷物を運ぶ際の機動性を高めたり、長期的な行進の肉体的疲労を軽減しながら複雑な地形への適応性を高めたりすることができます。」

特に興味深いのは、中国が軍事外骨格の開発において他の国に遅れをとることはできず、後れもしないという記事の主張です。「多くの人々は外骨格がSFの領域に残っていると信じていますが、この見解は反証されており、技術の進歩により外骨格は実用的になっています。ロシアはシリアの戦場で、地雷除去作業にK-2外骨格を採用した兵士のビデオを公開し、いくつかの米国外骨格システムが中東の戦場で使用されています。

「もちろん、中国は遅れをとっていない」と記事は警告した。「そして、この「スーパーパワーウォリアー-2019」の競争は、中国の外骨格システムも徐々に実用性に向かっていることを示しています。」

米陸軍の外国軍事研究局は、国営の武器メーカーNorincoが民間用の外骨格プログラムを持っているという中国のWebフォーラム上の指摘に言及しました。「ノリンコのノースウェスト電気機械工学研究所(202研究所)は、2013年4月に外骨格研究プログラムを設立しました」とFMSOは述べています。「研究所は外骨格のデジタル設計、モデリング、物理プロトタイピングを2年で完了したようで、2015年に環境試験に参加しました。多くの民間大学が民間アプリケーションの関連作業に関与しているようです。中国では高齢者人口が急増しているため、特に高齢者向けの歩行補助外骨格は関心のある分野のようです。」

残念なことに、中国はアイアンマンのスーツが映画よりもうまく機能することを発見するかもしれません。そこでは、十分なバッテリー電力の確保などのハードルが現在の外骨格デザインの有用性を制限しています。米特殊作戦司令部は、2013年に戦術的な突撃灯のオペレータースーツ(TALOS)外骨格を発表し、鎧の保護とセンサー、およびそのオペレーターの強化された強度と耐久性を発表して、大きな話題を呼んだ。しかし、2019年にSOCOMは、TALOSプロトタイプが構築されている一方で、プロジェクトが目標を達成できなかったことを認めました。

元々の目標は、「人質救出でドアを通り抜けて、彼の防護プレートが彼を救うことができない場所で撃たれたオペレーターに基づいていた」ということでした。 USSOCOMの関係者は、2019年の会議で、彼らが漏斗の火に直面することを彼らが知っているときのドアはどうだろう」と述べた。

「近接戦闘環境でのプライムタイムの準備ができていません」と彼は認めた。当面は、中国がこれ以上の成功を収めることはなさそうです。



日本

もしかしたら、令和3年(2021年)までに試験評価が終わるため、日本が世界ではじめて、パワードスーツを部隊配備する可能性がある。
ただし、他国と違い日本の場合は、主目的が災害救助用である。元祖ガンダム国家の面目躍如である。
 防衛装備庁技術シンポジウム2019

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自衛隊の高機動パワードスーツの目的は主目的が災害復旧・救助に主眼が置かれているため、予算等がつきやすく、他国以上に早く普及する可能性がある。

高機動パワードスーツの研究試作(先進技術推進センター) 2019/11/28



高機動パワードスーツの性能確認試験(平成30年度)2019/11/28


高機動パワードスーツの研究
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高機動パワードスーツはもはや改良型が出ている。
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更に、将来デザイン案が公表されている。また(災害対応型)とあるので、(災害対応型)で、部隊配備・整備インフラを整えた上で、(戦闘型)もいずれ開発されるのであろうと、期待できます。
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戦闘型ではパワードスーツの両脇にそれぞれライフルと軍刀をなんとなく差せさそうな感じがしますよね・・・気のせいでしょうか?

武器の特性として、次第に大型化高機能化していくと思います。

次の段階では、パワードスーツに搭載できる対空対戦車ミサイルを数発ほど積んで、高速機動車輌で戦場を移動し、物陰から対空対戦車ミサイルを打ち合うことをするかもしれません。しかも、クラウドシューティングなので、攻撃指示だけだして、機動車輌から発射したり、ドローンや衛星から攻撃を行うこともありえます。

また、人間は隊長だけで、兵員は全て人型や車輌型ロボットで構成し、暗殺や人質奪回作戦は、ドローンや人型ロボットということも考えられます。もちろん、突撃していくのは無人機もしくはロボットです。なにやら昔話のモモタロウの鬼が島突撃隊の構成に似ています(笑)。

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隊長の桃太郎(人間)、犬(無人車輌もしくは四足歩行ロボット)、猿(人型ロボット)雉(ドローン)。

となると・・・武器はすべて大型化・高性能化していく特性から、このまま進化しあと100年から150年後、無人MBTやVLSに対空・対戦車ミサイル詰めた戦闘車両に、巨大化した人型ロボット、更に無人機・ドローンが入り乱れて戦う戦場もじつげんするかもしれません。

もしかしたら、巨大ロボット同士が戦う戦場が出現する可能性はゼロではありません。ただし、その場合、人が搭乗はない無人機としてだと思います。もしかしたら空も飛んでいるかも知れません(笑)人の想像するものは、すべて実現化は可能なのです。