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宇宙船艦ヤマト 第7話 ヤマト沈没!!運命の要塞攻略戦!! 第8話 決死のヤマト!!反射衛星砲撃破せよ! より

特許情報プラットフォーム 特開2019-219143

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ネットで拾った情報だが、IHIグループの宇宙機器、防衛機器等の設計、製造、販売及び航空部品の製造、販売会社 株式会社IHIエアロスペース社が宇宙戦艦ヤマトを視た人間なら誰でも知っているあの反射衛星砲の特許を取得したというニュースだ。

特許名は「迎撃システムと観測装置」だ。

宇宙戦艦ヤマトが放映されたのは、昭和49年(1974年)に放映され、米国でも1979年~1980年、映画スターウォーズが上映されたのは1977年、レーガン大統領が SDI(戦略防衛構想:Strategic Defense Initiative)本土防衛(ミサイル防衛)のための戦略構想
をぶちあげったのは1983年の演説だ。

そのSDI計画は通称スターウォーズ計画と言われ、有事の際、アメリカ本土へ向けて飛来する仮想敵国の弾道ミサイルを、ミサイルやレールガン、レーザーなどを搭載した人工衛星(攻撃衛星)の攻撃によって迎撃・破壊することを目的としていた。

この構想の下、いくつかの兵器が試作され、レーザー砲、レールガン、荷電粒子砲などで ICBMを迎撃するというものだった。レールガンやレーザー砲は2020年ようやく試作から、配備され始めたばかりの兵器であり、宇宙に配備するのはまだ先のことである。



SDIでぶち上げられたSFチックな兵器は、80年代の技術ではとても実現性があるものではなく、予算的にもアポロ計画的なほどの膨大なものではなかった。一部有識者からすればとても現実的ではないことはわかっていた。だが、ソ連は開発競争に乗ってしまい、それが元で国家が崩壊し、最終的にはそれら兵器群は何一つ実用化されないまま、ソ連が崩壊し、SDI計画は霧散した。

当時、大軍拡を進めていたソ連への対抗上なされたプロパガンダであったとも、あるいは国内の景気対策や技術振興のためのテコ入れ策であったとも言われているが、カーター民主党政権で地に落ちた米国の威信を取り戻す、レーガン大統領の大芝居だったのだ。

当時ソ連は軍事力以外米国を凌駕するカードががなく、米国への対抗上SDI研究を始めざるを得なかったが為、多額の資金を研究投資に充て、たちまち国家としての資金がショートして、表向き強大さを誇ってはいたが、実はガタガタだったソ連経済が崩壊してしまったのだ。冷戦は米国のハッタリ勝ちとなった。さすがレーガン大統領は政治史に残る千両役者であった。「ヨッ大統領!」の大統領は、レーガン大統領のような大統領こそ相応しい。

おそらく今思えばハッタリだったのだろうが、華々しいSF的な計画の中で、なんとあの反射衛星砲構想までぶち上げていたことは、あまり知られていない。

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YouTube動画SDI戦略防衛構想より

SDI 戦略防衛構想 (反射衛星砲にそっくり) 2013/05/05

当時米国では映画スターウォーズの大ヒットで空前のSFブームであった。
海外反応の外国人たちが語る子供の頃見た宇宙戦艦ヤマトの反応を見て驚いたのだが、当時SFブームに乗り、宇宙戦艦ヤマトは、米国ではスターブレイザーと名を改め、米国の子供たち世代にはスターウォーズにも劣らないほどの人気があったそうだ。

もしかしたら、SF好きの若い科学者も見ていた可能性が高いと思う。
これは、私のフザケた見解で、まったくの暴論だが、SDI版反射衛星砲は、実現は不可能だとわかっていたけれど補助金目当てで、適当にぶち上げたハッタリだったかもしれない。

あれから約40年弱レールガンやレーザー砲は、もう秒読みであるが、米国において反射衛星砲の開発構想の話は今のところ皆無だ。

だが、ヤマト世代にとって、脳裏に反射衛星砲は波動砲や拡散波動砲とともに刷り込まれている。もう一つ蛇足だが、ヤマト世代~ガンダム世代(私も入る)にとっては、ジオン軍のソーラーレイと
連邦軍のソーラーシステムも脳裏に焼きついている。

IHIエアロスペース社の技術者達は刷り込まれてたのでしょうね・・・
特許申請して特許を取得したというのだ、頼もしいではないか!

IHIエアロスペース社は、おそらく反射衛星砲で終わらないだろう。さすがに波動砲はないだろうが、間違いなくソーラーレイとソーラーシステムを目指すのではないかと思っています。

ジオン軍 ソーラーレイ 
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連邦軍 ソーラーシステム

IHIエアロスペース社 ←の会社案内リンクを開いてください現在研究中であったり、実用化し、日本の誇りとなっている、H2ロケットブースター、イプシロンロケット、こうのとり(HTV)、国際宇宙ステーション実験棟「きぼう」などなど・・・。
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そして、JAXAも手がけるが、民間企業として宇宙太陽光発電を研究しているのだ。


宇宙太陽光発電システム(SSPS:Space Solar Power System)は、宇宙空間の太陽光発電所からその発電電力をマイクロ波(電波)で地上へ送電する発電システム構想で、日本がその研究をリードしています。

当社は 20 年以上にわたる各種研究開発により、SSPS 研究に貢献してきました。近年では、経済産業省の委託を請けて一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構が実施した、太陽光発電無線送受電技術の研究開発事業に参画し、受電装置の設計、製作、試験を担当しました。

本開発では世界トップレベルの高効率かつ安定動作性を公開実験全般にわたり実証しました。SSPS の実現には、低価格な輸送系、宇宙大型構造物の構築、さらなる電力伝送効率の向上など多くのハードルがありますが、着実に研究を進め、これからも SSPS の実現に向けて貢献していきます。
このIHIエアロスペース社が数十年後、会社案内に太陽光発電にて発電したエネルギーを宇宙ソーラーレイシステムにて弾道弾を迎撃可能と書いてあっても何等不思議ではない。

当面の目標としては、反射衛星砲の方がより実現可能であるため、JAXAやATLAといった政府機関と協力して反射衛星砲を開発を手がける可能性があってもおかしくはない。

そして次の段階としては、将来の航空宇宙自衛隊の主要兵器である、弾道弾迎撃衛星SBLの開発を目指すかもしれない。妄想ですが・・・

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SBL(SpeceBaseLaser)

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荷電粒子砲搭載衛星 画像元

2019年03月26日

2010年02月21日
2015年04月25日

2015年04月25日

仮に日本版SDIにより鉄壁の防御体制が構築できたならば、数十年後、日本は、核を持たなくとも、核保有国に対抗できる唯一の国になることができるかもしれません。


以下は、本特許の詳細になります。かなり長いです。



(
57)【要約】
【課題】低いエネルギー密度のレーザ光によりミサイルを迎撃できる技術を提供する。
【解決手段】防衛対象地域へ飛翔して来るミサイル1をレーザ光により破壊する迎撃システム100は、ミサイル1に照射するレーザ光を射出する複数のレーザ装置3と、ミラー衛星5と、観測装置を備える。ミラー衛星5は、複数のレーザ装置3から射出されたレーザ光をミサイル1へ反射するためのミラー5aを備える。観測装置は、防衛対象地域へのミサイル1を観測し、観測結果に基づいてミラー5aを介してミサイル1にレーザ光を照射するための制御データを生成し、制御データを複数のレーザ装置3に送信する。複数のレーザ装置3は、制御データに基づいてレーザ光を射出する。
【選択図】図1

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【特許請求の範囲】
【請求項1】
  防衛対象地域へ飛翔して来るミサイルをレーザ光により破壊する迎撃システムであって、
  前記ミサイルに照射するレーザ光を射出する複数のレーザ装置と、
  前記複数のレーザ装置から射出されたレーザ光をミサイルへ反射するためのミラーを備えるミラー衛星と、
  防衛対象地域へのミサイルを観測し、観測結果に基づいて、前記ミラーを介して前記ミサイルにレーザ光を照射するための制御データを生成し、当該制御データを前記複数のレーザ装置に送信する観測装置と、備え、
  前記複数のレーザ装置は、前記制御データに基づいてレーザ光を射出する、迎撃システム。
【請求項2】
  前記ミラーは凸面鏡である、請求項1に記載の迎撃システム。
【請求項3】
  前記観測装置は、
  ミサイルの位置を電波により各時刻で測定し、各時刻での当該位置を観測データとして取得するレーダと、
  レーザ光の射出指令を発する未来時刻を指令時刻として設定し、前記指令時刻と前記観測データと前記ミラー衛星の軌道データと前記複数のレーザ装置のレーザ射出部の位置とに基づいて、各レーザ装置がレーザ光を射出する方向を目標射出方向として求める演算装置と、
  前記指令時刻と前記目標射出方向を前記制御データとして前記複数のレーザ装置に送信する通信部とを備える、請求項1又は2に記載の迎撃システム。
【請求項4】
  前記レーダは、防衛対象地域へのミサイルを観測可能な軌道上を飛翔する観測衛星に設けられる、請求項3に記載の迎撃システム。
【請求項5】
  前記ミラーは、前記ミラー衛星の本体に対して姿勢が調整可能に該本体に取り付けられており、
  前記演算装置は、前記指令時刻と前記観測データと前記ミラー衛星の軌道データと前記複数のレーザ装置のレーザ射出部の代表位置とに基づいて、レーザ光を前記ミサイルへ反射させる前記ミラーの姿勢を目標姿勢として求め、
  前記観測装置の前記通信部は、前記目標姿勢を前記ミラー衛星へ送信する、請求項3又は4に記載の迎撃システム。
【請求項6】
  防衛対象地域へ飛翔して来るミサイルをレーザ光により破壊する迎撃システムに用いられる観測装置であって、
  前記迎撃システムは、前記ミサイルに照射するレーザ光を射出する複数のレーザ装置と、ミラー衛星を備え、該ミラー衛星は、前記複数のレーザ装置から射出されたレーザ光をミサイルへ反射するためのミラーを備え、
  前記観測装置は、防衛対象地域へのミサイルを観測し、観測結果に基づいて、前記ミラーを介して前記ミサイルにレーザ光を照射するための制御データを生成し、当該制御データを前記複数のレーザ装置に送信する、観測装置。

【選択図】図2.3.4.
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【0007】
  そこで、本発明の目的は、レーザ装置の設置や維持等に制約の少ない低高度地から、より低いエネルギー密度のレーザ光を射出してミサイルを迎撃できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
  上述の目的を達成するため、本発明による迎撃システムは、防衛対象地域へ飛翔して来るミサイルをレーザ光により破壊するシステムであって、
  ミサイルに照射するレーザ光を射出する複数のレーザ装置と、
  複数のレーザ装置から射出されたレーザ光をミサイルへ反射するためのミラーを備えるミラー衛星と、
  防衛対象地域へのミサイルを観測し、観測結果に基づいて、ミラーを介してミサイルにレーザ光を照射するための制御データを生成し、制御データを複数のレーザ装置に送信する観測装置と、備え、
  複数のレーザ装置は、制御データに基づいてレーザ光を射出する。
【0009】
  また、本発明による観測装置は、防衛対象地域へ飛翔して来るミサイルをレーザ光により破壊する迎撃システムに用いられる装置であって、
  迎撃システムは、ミサイルに照射するレーザ光を射出する複数のレーザ装置と、ミラー衛星を備え、ミラー衛星は、複数のレーザ装置から射出されたレーザ光をミサイルへ反射するためのミラーを備え、
  観測装置は、防衛対象地域へのミサイルを観測し、観測結果に基づいて、ミラーを介してミサイルにレーザ光を照射するための制御データを生成し、制御データを複数のレーザ装置に送信する。
【発明の効果】
【0010】
  本発明によると、複数のレーザ装置からの複数のレーザ光を、1つのミサイルに同時に照射することにより、ミサイルを破壊できる。したがって、1つのレーザ装置でミサイルを迎撃する場合と比べて、より低いエネルギー密度のレーザ光を各レーザ装置が低高度地から射出することにより、ミサイルを破壊することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態による迎撃システムを示す。
【図2】本発明の実施形態による迎撃システムの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態による迎撃方法を示すフローチャートである。
【図4】図3の続きを示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態による迎撃方法の説明図である。
【図6】衛星軌道の一例を説明するための図である。
【図7】本発明の別の構成例による迎撃システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
  本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0013】
(迎撃システム100の構成)
  図1は、本発明の実施形態による迎撃システム100を示す。図2は、迎撃システム100の構成を示すブロック図である。迎撃システム100は、防衛対象地域へ飛翔して来るミサイル1をレーザ光により破壊するシステムである。迎撃システム100は、複数のレーザ装置3と、ミラー衛星5と、観測装置10とを備える。なお、複数のレーザ装置3(後述のレーザ射出部3a)は、防衛対象地域に配置されていてよい。防衛対象地域は、特定の国であってもよいし、当該国内の特定の地域であってもよい。
【0014】
  複数のレーザ装置3は、ミサイル1に照射するレーザ光を射出する。ミラー衛星5は、ミラー5aを備える人工衛星である。ミラー5aは、複数のレーザ装置3から射出されたレーザ光をミサイル1へ反射するためのものである。観測装置10は、防衛対象地域へのミサイル1を観測し、観測結果に基づいて、ミラー5aを介してミサイル1にレーザ光を照射するための制御データを生成し、当該制御データを複数のレーザ装置3に送信する。複数のレーザ装置3の各々は、制御データに基づいて、1つ又は複数のレーザ光を射出することにより、これら全てのレーザ光がミラー5aを経由してミサイル1に、所要時間の間、同時に照射される。なお、図1では、4つのレーザ装置3を図示しているが、レーザ装置3の数は4つに限定されない。図2では、図示を簡略化するために、図1の4つのレーザ装置3のうち、2つのレーザ装置3を図示している。
【0015】
  複数のレーザ装置3は、地表側に配置される。観測装置10は、防衛対象地域へのミサイル1を観測可能な軌道上を飛翔する図1の人工衛星6(以下で観測衛星という)に搭載される。ミラー衛星5は、各レーザ装置3からのレーザ光をミラー5aで反射して防衛対象地域へ飛翔して来るミサイル1に照射できる軌道上を飛翔する。なお、以下において述べる各「位置」は、特に言及されていない場合には、地表に固定された座標系(以下で単に地表座標系ともいう)で表わされる位置を意味する。
【0016】
<観測衛星における構成>
  図1と図2に示すように、観測衛星6に搭載された観測装置10は、レーダ7と、演算装置9と、通信部11とを備える。
【0017】
  レーダ7は、ミサイル1の位置を電波により各時刻で測定し、各時刻での当該位置を観測データ(以下で単に観測データともいう)として取得する。観測データは、複数の時刻
と、これらの時刻でそれぞれ測定したミサイル1の複数の位置とを互いに対応付けたデータである。レーダ7は、繰り返し、新たな時刻を含む観測データを取得する。なお、レーダ7が測定するミサイル1の位置は、ミサイル1における特定の局所位置であってよい。
【0018】
  演算装置9は、レーザ光の射出指令を発する時刻を指令時刻Tc(以下で単に指令時刻Tcともいう)として設定する。また、演算装置9は、指令時刻Tcと観測データとミラー衛星5の軌道データと複数のレーザ装置3のレーザ射出部3aの位置とに基づいて、各レーザ装置3がレーザ光を射出する方向を目標射出方向(以下で単に目標射出方向ともいう)として求める。
【0019】
  また、演算装置9は、指令時刻Tcと観測データとミラー衛星5の軌道データと複数のレーザ射出部3aの代表位置Pとに基づいて、レーザ光をミサイル1へ反射させるミラー5aの姿勢を目標姿勢(以下で単に目標姿勢ともいう)として求める。
【0020】
  通信部11は、指令時刻Tcと目標射出方向を制御データとして複数のレーザ装置3に無線で送信する。また、通信部11は、目標姿勢をミラー衛星5へ無線で送信する。なお、通信部11は、複数のレーザ装置3との通信(例えば複数のレーザ装置3への制御データの送信)を行う第1通信機と、ミラー衛星5との通信(例えばミラー衛星5への目標姿勢の送信)を行う第2通信機とから構成されてよい。あるいは、通信部11を構成する1つの通信機が、複数のレーザ装置3との通信と、ミラー衛星5との通信の両方を行ってもよい。
【0021】
  演算装置9は、位置推定部9aと、誤差判定部9bと、指令時刻設定部9cと、命中時刻算出部9dと、反射時刻算出部9eと、記憶部9fと、ミラー位置算出部9gと、ミラー姿勢算出部9hと、目標姿勢算出部9iと、目標方向算出部9jを備える。
【0022】
  位置推定部9aは、観測データに基づいて、未来時刻におけるミサイル1の位置を推定する。当該未来時刻は、現時刻から、予め設定された時間が経過した時刻であってよい。
  誤差判定部9bは、位置推定部9aにより推定された、未来時刻でのミサイル1の位置と、当該未来時刻になった時刻でレーダ7が測定したミサイル1の位置との差の大きさが、設定値(絶対値)よりも小さいかどうかを判定する。
【0023】
  指令時刻設定部9cは、誤差判定部9bによる判定の結果が肯定である場合に、レーザ光の射出指令を発する未来時刻を指令時刻Tcとして設定する。指令時刻Tcは、例えば、現時刻から、予め設定された時間が経過した時刻であってよい。設定された指令時刻Tcは、通信部11から無線で地表側の各レーザ装置3に送信される。
【0024】
  命中時刻算出部9dは、指令時刻Tcにおいてレーザ射出部3aに射出指令が発せられた場合に、レーザ射出部3aからのレーザ光がミサイル1に当たる命中時刻Ts(以下で単に命中時刻Tsともいう)を算出する。ここで、レーザ射出部3aからのレーザ光は、ミラー5aで反射された後にミサイル1に当たることを前提としている。命中時刻Tsの算出方法は後述する。
【0025】
  位置推定部9aは、命中時刻Tsと最新の観測データとに基づいて、命中時刻Tsでのミサイル1の位置を推定する。
【0026】
  反射時刻算出部9eは、指令時刻Tcにおいてレーザ射出部3aに射出指令が発せられた場合に、レーザ光がミラー5aで反射される反射時刻Tr(以下で単に反射時刻Trともいう)を算出する。反射時刻Trの算出方法は後述する。
【0027】
  記憶部9fは、適宜の方法で取得されたミラー衛星5の軌道データ及び姿勢データを予め記憶している。ミラー衛星5の軌道データは、未来の各時刻におけるミラー衛星5の位置を表わしたデータである。ミラー衛星5の姿勢データは、未来の各時刻におけるミラー衛星5(ミラー衛星5の本体)の姿勢を表わしたデータである。当該姿勢は、地表座標系で表わされた姿勢であってよい。
【0028】
  ミラー位置算出部9gは、反射時刻Trと、記憶部9fのミラー衛星5の軌道データとに基づいて、反射時刻Trにおけるミラー衛星5(ミラー衛星5の本体)の位置を求める。
【0029】
  ミラー姿勢算出部9hは、反射時刻Trと、記憶部9fのミラー衛星5の姿勢データとに基づいて、反射時刻Trにおけるミラー衛星5の姿勢を求める。ミラー姿勢算出部9hが求める姿勢は、地表座標系で表わされた姿勢であってよい。

【選択図】図5
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【0030】
  目標姿勢算出部9iは、ミラー位置算出部9gが求めた反射時刻Trでのミラー衛星5の位置と、ミラー位置算出部9gとミラー姿勢算出部9hが求めた反射時刻Trでのミラー衛星5の位置及び姿勢と、位置推定部9aが推定した命中時刻Tsでのミサイル1の位置と、複数のレーザ装置3のレーザ射出部3aの代表位置P(後述する図5を参照)に基づいて、反射時刻Trにおけるミラー5aの目標姿勢を求める。この目標姿勢は、上述したようにレーザ光をミサイル1へ反射させる姿勢であって、ミラー衛星5の本体に対して表わされる姿勢である。ミラー5aは、ミラー衛星5の本体に対して姿勢が変更可能に設けられている。
【0031】
  目標方向算出部9jは、各レーザ装置3について、ミラー5aを介してレーザ光をミサイル1に当てるためのレーザ光射出方向を目標射出方向として求める。詳しくは、目標方向算出部9jは、各レーザ装置3について、ミラー位置算出部9gとミラー姿勢算出部9hが求めた反射時刻Trでのミラー衛星5の位置及び姿勢と、目標姿勢と、既知のミラー5aの形状データと、位置推定部9aが推定した命中時刻Tsでのミサイル1の位置と、当該レーザ装置3のレーザ射出部3aの既知の位置と、既知の制御遅延時間とに基づいて、目標射出方向を求める。ここで用いる既知の各データは、記憶部9fに記憶されていてよい。各レーザ装置3についての目標射出方向は、通信部11から無線で対応するレーザ装置3に送信される。なお、目標射出方向は、地表座標系で表わされた方向であってよい。
【0032】
<ミラー衛星5における構成>
  ミラー衛星5は、ミラー5aと、通信部5bと、ミラー制御部5cとを備える。ミラー5aは、本実施形態では凸面鏡である。通信部5bは、観測装置10から送信された目標姿勢を受ける。ミラー制御部5cは、ミラー衛星5の本体に対するミラー5aの姿勢が目標姿勢になるように、ミラー5aの姿勢を調整する。ミラー5aは、図示しない駆動機構を介してミラー衛星5の本体に取り付けられている。ミラー制御部5cは、この駆動機構を制御することにより、駆動機構が動作し、その結果、ミラー衛星5の本体に対するミラー5aの姿勢が調整される。なお、ミラー衛星5には、その本体に対して向きや位置が変更可能な物体(カウンターマス)が設けられていてもよい。この場合、ミラー制御部5cは、当該物体の向きや姿勢を変化させ、これによるミラー衛星5の本体の向きの変化を考慮して、ミラー5aの姿勢が目標姿勢になるように上記駆動機構を制御してもよい。また、ミラー制御部5cは、ミラー5aの姿勢変化が上述の所要時間の間において最小となるようにミラー5aの姿勢を制御してよい。
【0033】
<地表側の構成>
  各レーザ装置3は、レーザ射出部3aと通信部3bとレーザ制御部3cを備える。複数
のレーザ装置3のそれぞれのレーザ射出部3aは、地表において互いに離間した複数の位置にそれぞれ配置され、レーザ光を射出する。各レーザ装置3において、通信部3bは、対応する目標射出方向を観測装置10から受け、レーザ制御部3cは、当該目標射出方向に基づいて、レーザ射出部3aのレーザ光射出向きを当該目標射出方向に調整する。その後、各レーザ装置3において、通信部3bが観測装置10から受けた指令時刻Tcになったら、レーザ制御部3cは、レーザ射出部3aに対し射出指令を発する。これにより、複数のレーザ射出部3aは、それぞれの目標射出方向にレーザ光を射出する。これらのレーザ光は、ミラー5aで反射されてミサイル1(ミサイル1における同一箇所)に、所要時間の間、同時に照射される。
【0034】
(迎撃方法)
  図3と図4は、本発明の実施形態による迎撃方法を示すフローチャートである。この方法は、上述の迎撃システム100を用いて行われる。図5は、迎撃方法の説明図である。また、この迎撃方法では、複数の観測衛星6と複数のミラー衛星5が、互いに異なる位相で、防衛対象地域の上空を通過する軌道上を飛翔している。ただし、図5では、1対の観測衛星6とミラー衛星5を図示している。迎撃方法は、ステップS1~S14を有する。
【0035】
  ステップS1において、観測衛星6に搭載された通信部11は、防衛対象地域へ向かって飛翔してきたミサイル1の位置を示す位置データを、図示しない監視装置(例えば地表面又は船に設置されたレーダ)から受ける。この場合、監視装置は、各観測衛星6の軌道データに基づいて、複数の観測衛星6のうち、上記位置データが示す位置から所定距離内にある(例えば当該位置に最も近い)観測衛星6を選択する。次いで、監視装置は、選択した観測衛星6に位置データを送信する。
【0036】
  ステップS1で位置データを取得した観測装置10は、ステップS1以降の処理において用いられてよい。
【0037】
  ステップS2において、レーダ7は、上記位置データが示す位置のミサイル1に対して、より精密な位置測定を行う。すなわち、レーダ7は、当該ミサイル1の位置を各時刻で測定し、各時刻の当該位置を観測データとして取得する。次いで、ステップS3へ進むが、以降においても、ステップS2は繰り返される。すなわち、レーダ7は、観測データを繰り返し取得する。
【0038】
  ステップS3において、演算装置9は、未来時刻におけるミサイル1の位置を推定し、その推定値の誤差の大きさが、設定値(絶対値)よりも小さいかどうかを判断する。ステップS3は、ステップS31~S33を有する。
【0039】
  ステップS31では、観測装置10の位置推定部9aは、ステップS2で得られた観測データに基づいて、未来時刻におけるミサイル1の位置を推定する。
  ステップS32では、当該未来時刻になった時にレーダ7によりミサイル1の位置を測定する。
  ステップS33では、誤差判定部9bは、ステップS31で推定した位置と、ステップS32で測定した位置との差(誤差)の大きさが、設定値よりも小さいかどうかを判定する。この判定の結果が肯定である場合には、ステップS4へ進む。そうでない場合には、新たに得た最新の観測データに基づいてステップS3を再び行う。
【0040】
  ステップS4において、指令時刻設定部9cは、現時刻に対する未来時刻を指令時刻Tcとして設定する。指令時刻Tcは、通信部11から無線で地表側の各レーザ装置3に送信される。
【0041】
  ステップS5において、最新の観測データに基づいて、指令時刻Tcにおけるミサイル1の位置を位置推定部9aにより推定する。
【0042】
  ステップS6において、命中時刻算出部9dは、指令時刻Tc、ミラー衛星5の軌道データなどに基づいて、ミサイル1にレーザ光が当たる未来の予測時刻を命中時刻Tsとして求める。ステップS6は、一例では、ステップS61~S63を有するが、この例に限定されない。
【0043】
  ステップS61では、命中時刻算出部9dは、ミラー衛星5の軌道データに基づいて、指令時刻Tcでのミラー衛星5の位置を求める。この時、命中時刻算出部9dは、記憶部9fにおける、各ミラー衛星5の軌道データに基づいて、ステップS1で得た位置データが示す位置から所定距離内にある(例えば当該位置に最も近い)ミラー衛星5を選択する。次いで、命中時刻算出部9dは、選択したミラー衛星5の軌道データに基づいて、指令時刻Tcでの当該ミラー衛星5の位置を求める。
【0044】
  ステップS62では、命中時刻算出部9dは、レーザ光の伝播時間ΔTmを求める。ΔTmは、ΔTm=(L1+L2)/cにより求められてよい。ここで、cは光速であり、L1は、ステップS5で推定したミサイル1の位置とステップS61で求めたミラー衛星5の位置との距離であり、L2は、ステップS61で求めたミラー衛星5の位置と複数のレーザ装置3のレーザ射出部3aの代表位置Pとの距離である。この代表位置Pは、図5に示すように、複数のレーザ射出部3aの位置に関する中央位置であり、例えば、複数のレーザ射出部3aの位置との距離の合計が最小になる位置であってよい。
【0045】
  ステップS63では、命中時刻算出部9dは、Ts=Tc+ΔTm+ΔTdにより命中時刻Tsを求める。ここで、ΔTdは、既知の制御遅延時間である。すなわち、指令時刻Tcで射出指令がレーザ射出部3aに発せられた場合に、指令時刻Tcから制御遅延時間が経過した時刻で、レーザ射出部3aはレーザ光を射出する。
【0046】
  ステップS7において、反射時刻算出部9eは、指令時刻Tcで射出指令が発せられた場合にレーザ光がミラー5aで反射される反射時刻Trを求める。Trは、例えば、Tr=(Tc+Ts)/2により求められてよい。すなわち、Trは、TcとTsの真ん中の時刻であってよい。ただし、反射時刻算出部9eは、Trを他の方法で求めてもよい。
【0047】
  ステップS8において、ミラー位置算出部9gは、反射時刻Trと、記憶部9fにおけるミラー衛星5(ステップS61で選択したミラー衛星5)の軌道データとに基づいて、反射時刻Trにおけるミラー衛星5の位置を求める。また、ステップS8において、ミラー姿勢算出部9hは、反射時刻Trと、記憶部9fにおける同じミラー衛星5の姿勢データとに基づいて、反射時刻Trにおけるミラー衛星5の本体の姿勢を求める。
【0048】
  ステップS9において、位置推定部9aは、レーダ7が測定した最新の観測データに基づいて命中時刻Tsでのミサイル1の位置を推定する。
【0049】
  ステップS10において、目標姿勢算出部9iは、ステップS8で求めたミラー衛星5(ミラー衛星5の本体)の位置及び姿勢と、ステップS9で推定した命中時刻Tsでのミサイル1の位置と、複数のレーザ射出部3aの代表位置Pとに基づいて、ミラー衛星5の本体に対するミラー5aの目標姿勢を求める。ステップS10は、S101~S103を有する。
【0050】
  ステップS101では、目標姿勢算出部9iは、ステップS8で求めた反射時刻Trでのミラー衛星5の本体の位置から、ステップS9で推定した命中時刻Tsでのミサイル1
の位置へ向かう単位ベクトルV1(図5)を求める。
  ステップS102では、目標姿勢算出部9iは、ステップS8で求めた反射時刻Trでのミラー衛星5の本体の位置から、代表位置Pへ向かう単位ベクトルV2を求める。
  ステップS103では、目標姿勢算出部9iは、ステップS101、S102でそれぞれ求めた2つの単位ベクトルV1,V2を合成した合成ベクトルV3を求める。次いで、目標姿勢算出部9iは、ステップS8で求めたミラー衛星5の本体の姿勢に基づいて、この合成ベクトルV3を、ミラー衛星5の本体に固定された本体座標系で表わした本体ベクトルを求める。また、ステップS103では、通信部11は、この本体ベクトルを目標姿勢として無線でミラー衛星5へ送信し、その通信部5bは目標姿勢を受ける。
【0051】
  ステップS11において、ミラー衛星5のミラー制御部5cは、ステップS103で通信部5bが受けたミラー5aの目標姿勢に基づいて、ミラー5aの姿勢を、当該目標姿勢になるように調整する。すなわち、ミラー制御部5cは、ミラー5aの反射表面(例えば当該表面の中央位置での当該表面)の法線が、目標姿勢である上記本体ベクトルの方向を向くようにミラー5aの姿勢をミラー衛星5の本体に対して調整する。この時、ミラー制御部5cは、適宜の駆動機構を駆動させることによりミラー5aの姿勢を調整してよい。このような調整に使用する他のデータ(例えばミラー5aが基準姿勢にある時の上記法線の向き)は、ミラー制御部5cに予め記憶されていてよい。
【0052】
  一方、ステップS12において、各レーザ装置3について、ステップS7で求めた反射時刻Trでのミラー衛星5の位置及び姿勢と、ステップS10で求められたミラー5aの目標姿勢と、既知のミラー5aの形状データと、ステップS9で推定した命中時刻Tsでのミサイル1の位置と、当該レーザ装置3のレーザ射出部3aの既知の位置とに基づいて、目標方向算出部9jは、当該レーザ射出部3aの目標射出方向を求める。すなわち、各レーザ装置3について、レーザ射出部3aから目標射出方向に射出されたレーザ光が、ステップS7で求めた反射時刻Trでの位置及び姿勢にあるミラー衛星5における目標姿勢のミラー5aの特定位置で反射されて、ステップS9で推定した命中時刻Tsでのミサイル1の位置に当たると仮定し、当該仮定の下で、目標射出方向が目標方向算出部9jにより求められる。ここで、ミラー5aの上記特定位置は既知のミラー5aの形状データに基づく位置である。また、ステップS12において、通信部11は、各レーザ装置3について求められた目標射出方向を、対応するレーザ装置3へ送信し、その通信部3bは対応する目標射出方向を受ける。
【0053】
  ステップS13において、各レーザ装置3において、レーザ制御部3cは、ステップS12で通信部3bが受けた目標射出方向に、レーザ射出部3aのレーザ光射出向きを調整する。
【0054】
  ステップS14において、各レーザ装置3において、レーザ制御部3cは、指令時刻Tcに、各レーザ射出部3aに射出指令を発する。これにより、各レーザ射出部3aは、指令時刻Tcから制御遅延時間が経過した時刻で、調整された目標射出方向にレーザ光を射出する。その結果、各レーザ装置3からのレーザ光をミラー5aで反射させてミサイル1に、所要時間の間、同時に照射することができる。
【0055】
  なお、ステップS14は、次のように行われてもよい。複数のレーザ装置3のうちいずれか1つのレーザ装置3(以下で先行レーザ装置3という)において、レーザ制御部3cは、指令時刻Tcに、レーザ射出部3aに射出指令を発する。これにより、先行レーザ装置3は、指令時刻Tcから制御遅延時間が経過した時刻で、調整された目標射出方向にレーザ光を射出する。
  この時、先行レーザ装置3以外の各レーザ装置3(以下で後行レーザ装置3という)は、照準装置3dを用いて以下のようにレーザ光を射出する。照準装置3dは、例えば、レ
ーザ射出部3aのレーザ光射出向きと平行な光軸を持つようにレーザ射出部3aに取り付けられた望遠レンズと、この望遠レンズを介してミサイル1の画像データを生成するカメラと、照準点表示部とを備える。照準点表示部は、レーザ射出部3aからミラー5aを介したミサイル1までの目標距離と、上記望遠レンズとレーザ射出部3aとの位置関係(パララックス)とに基づいて、上記カメラが生成した画像データにおいて照準点を表わす。レーザ制御部3cは、当該画像データにおいてミサイル1でのレーザ光スポット(すなわち、先行レーザ装置3からのレーザ光のスポット)に照準点が一致するように、レーザ射出部3aのレーザ光射出向きを目標射出方向から微調整し、次いで、レーザ射出部3aに射出指令を発する。
【0056】
  照準装置3dが用いる上記目標距離は、演算装置9により求められ、通信部11,3bを介して照準装置3dに入力されてよい。例えば、演算装置9は、上述の距離L1と、ステップS61で求めたミラー衛星5の位置とレーザ射出部3aの既知の位置との距離との合計を、上記目標距離として求めてよい。
【0057】
  また、ミサイル1を破壊するために、複数のレーザ光がミサイル1に同時に照射されている時間が所要時間以上となる必要がある場合に、次の(A)又は(B)の制御を行う。この場合、以下で説明しない点は上述と同じであってよい。
【0058】
(A)各後行レーザ装置3において、レーザ光の射出開始タイミングを調整する。各後行レーザ装置3からのレーザ光がミサイル1に到達するのに要する時間は、レーザ光の伝播距離や、レーザ光の伝播経路における大気層厚さなどにより、後行レーザ装置3毎に異なる。そのため、演算装置9は、各後行レーザ装置3からのレーザ光が、ミサイル1に照射され始める時点(以下で照射開始時点という)が同じになるように、後行レーザ装置3毎に調整指令時刻Tcを求める(この場合、上述のステップS4では、先行レーザ装置3のみの指令時刻Tcが設定される)。調整指令時刻Tcは、後行レーザ装置3毎に異なっている。求められた各後行レーザ装置3の調整指令時刻Tcは、通信部11,3bを介して、対応する後行レーザ装置3のレーザ制御部3cに入力される。したがって、各後行レーザ装置3において、レーザ制御部3cは、対応する調整指令時刻Tcにレーザ射出部3aに射出指令を発する。これにより、各後行レーザ装置3は、互いに異なる時点で、レーザ光を射出する。その結果、各後行レーザ装置3からのレーザ光は、同じ照射開始時点からミサイル1に照射される。この場合、各後行レーザ装置3は、少なくとも上記所要時間の間、連続してレーサ光を射出し続ける。
【0059】
(B)上記(A)と違って各後行レーザ装置3のレーザ光の射出開始タイミングを調整しない場合には、各後行レーザ装置3は、ミサイル1にレーザ光を同時に照射させる時間が上記所要時間を超えるように、上記所要時間に十分な余裕時間を加えた時間の間、連続してレーサ光を射出し続けるように構成される。
【0060】
  なお、上記(A)又は(B)の制御の場合、先行レーザ装置3は、各後行レーザ装置3よりも十分に長い射出継続時間の間、連続してレーザ光を射出し続けるように構成されている。この射出継続時間は、予測値であってよく、先行レーザ装置3に予め設定されていてよい。
【0061】
(衛星の軌道)
  上述した迎撃システム100と迎撃方法では、複数対の観測衛星6とミラー衛星5が用いられてよい。以下で1つの観測衛星6の軌道について説明するが、他の各衛星(観測衛星6とミラー衛星5)の軌道も同じである。

【選択図】図6
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【0062】
  図6は、メルカトル図法で描いた世界地図上に観測衛星6の軌道の一例を示している。
図6において、横方向の目盛の数字は、経度を表わし、縦方向の目盛の数字は緯度を表わす。
【0063】
  図6において、防衛対象地域は、一点鎖線で囲まれた領域(この例では日本近傍)又は当該領域内の局所範囲であり、北半球に位置する。これに合わせて、北半球側に遠地点を持ち地球を1つの焦点とする楕円の衛星軌道を、図6におけるメルカトル図法の地図に軌道Sとして表わしている。
【0064】
  このような軌道Sでは、観測衛星6は、北半球に位置する時には、南半球に位置する時よりも角速度が小さくなるので、北半球に滞在している時間が長くなる。その結果、観測衛星6のレーダ7は、北半球側の防衛対象地域へ向かうミサイル1を、長い時間、観測できる。図6において軌道Sの太線部分は、レーダ7がミサイル1を観測できる観測可能部分を示す。
【0065】
  図6では、地球3周分の軌道Sを示している。観測衛星6は例えば24時間で地球を2周する速度で移動してよい。この場合、図6の軌道Sにおける太線の観測可能部分を考慮すると、例えば、2対又は3対以上の観測衛星6とミラー衛星5が、互いにずれた位相で軌道S上を移動することで、常に、いずれかの対の観測衛星6とミラー衛星5により、防衛対象地域に対して上述の迎撃方法を実施できる。
【0066】
  なお、図6の軌道Sは一例であり、上述の迎撃方法を実施できれば、観測衛星6とミラー衛星5の軌道は、他の軌道であってもよい。また、観測衛星6とミラー衛星5の数は、常に、いずれかの対の観測衛星6とミラー衛星5が、防衛対象地域に対して上述の迎撃方法を実施できるように設定されてよい。
【選択図】図7
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【0067】
(実施形態による効果)
  上述した迎撃システム100及び迎撃方法によると、複数のレーザ装置3は、1つのミサイル1にレーザ光を、所要時間の間、同時に照射することにより、ミサイル1を破壊する。したがって、1つのレーザ装置3でミサイル1を迎撃する場合と比べて、より低いエネルギー密度のレーザ光を各レーザ装置3が射出することにより、ミサイル1を破壊することができる。
【0068】
  低高度地は雲等の影響を受けるため、低高度地において、複数のレーザ射出部3aを、広範囲に分散して(例えば互いに5km以上離間して)配置することが望ましい。この場合、互いに離間して配置するレーザ装置3の数を、ミサイル1を破壊するのに必要な数より多くすることで、一部のレーザ装置3(レーザ射出部3a)の上空に雲が多い場合でも、他の複数のレーザ装置3を用いて、ミサイル1を破壊することができる。
【0069】
  このように広範囲に分散して配置されたレーザ装置3からのレーザ光を1つのミラー衛星5のミラー5aでミサイル1へ反射させるために、凸面鏡であるミラー5aを使用する。ミラー5aが凸面鏡であるので、ミラー5aの寸法を、ミラー衛星5に搭載可能な寸法にすることができる。これに対し、複数のレーザ射出部3aを半径10kmの円形領域内に分散して配置した場合に、ミサイルの高度が150km程度であり、ミラー衛星5の高度が1000km程度であり、ミラー5aが平面鏡であると、5km程度の寸法のミラー5aが必要となる。
【0070】
  本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、次のように別の構成例が採用されてもよい。
【0071】
  図7は、本発明の別の構成例による迎撃システムの構成を示すブロック図である。図7
のように、観測装置10の各構成要素は、観測衛星6と地上側の管制装置13とに分散して設けられてよい。図7の例では、観測装置10における上述した各構成要素のうち、レーダ7と通信部11は観測衛星6に設けられるが、他の各構成要素は、地表に配置された管制装置13に設けられる。
【0072】
  この場合、レーダ7が取得した観測データは、観測衛星6の通信部11から管制装置13の通信部15へ送信される。これにより、観測データは、通信部15を介して演算装置9(位置推定部9aや誤差判定部9bなど)に入力される。観測装置10からミラー衛星5への各データ(目標姿勢など)の送信や、観測装置10から各レーザ装置3への各データ(指令時刻Tcや目標射出方向など)の送信は、管制装置13の通信部15により行われてよい。図7のような構成における他の点は、上述と同じであってよい。
【符号の説明】
【0073】
1  ミサイル、3  レーザ装置、3a  レーザ射出部、3b  通信部、3c  レーザ制御部、3d  照準装置、5  ミラー衛星、5a  ミラー、5b  通信部、5c  ミラー制御部、6  観測衛星、7  レーダ、9  演算装置、9a  位置推定部、9b  誤差判定部、9c  指令時刻設定部、9d  命中時刻算出部、9e  反射時刻算出部、9f  記憶部、9g  ミラー位置算出部、9h  ミラー姿勢算出部、9i  目標姿勢算出部、9j  目標方向算出部、10  観測装置、11  通信部、13  管制装置、15  通信部、100  迎撃システム、Tc  指令時刻、Tr  反射時刻、Ts  命中時刻、P  代表位置