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 GA-ASIが発表した「ディフェンダー」のコンセプトcg8画像:GA-ASI)
【東京防衛航空宇宙時評】2020年3月24日

ジェネラル・アトミクス・エアロノーティカル・システムズが、2月27日にフロリダ州オーランドで開催された空軍協会のエア・ウォーフェア・シンポジウムで、空中給油機やAWACS(早期警戒管制機)などの高価値なアセットを護衛するUAV(無人航空機)「ディフェンダー」の概念研究を行なっていることを明らかにした。

同社が発表したコンセプトCGに描かれているディフェンダーは、同社のジェット推進UAV「アベンジャー」(プレデターC)に相似しており、同社がアメリカ海軍の無人空中給油機MQ-25に提案した、アベンジャーの発展型をベースとしているものと見られる。

ディフェンダーは空中給油(受油)能力を備えており、数日から数週間、空域に留まって高価値なアセットを防護する能力を持つ。コンセプトCGに描かれたUAVは両主翼下面に各2ヶ所のパイロンと、胴体下部にウェポンベイを備えており、空対空ミサイルなどの兵装を搭載できる。

ディフェンダーの概念研究はアメリカ空軍の要求に基づいて行なわれているものではないが、GA-ASIはTwitterの公式アカウントでアメリカ空軍の将来戦力構想を引用する形で、ディフェンダーのアピールを行なっている。

General Atomics Aeronautical Systems Inc.(GA-ASI)社は、Defenderと呼ばれる新しい武装ドローンのコンセプトを発表しました。これは、空中給油タンカーや偵察機などの絶対価値航空機(HVAA:High-Value Airborne Asset)の護衛用無人戦闘機(UAV)である。

HVAA:High-Value Airborne Assetを私は絶対価値航空機と訳しました直訳すれば高価値航空資産ですが単に価格が高い航空機というのではなく、戦場になくてはならない、非武装かつ低速航空機、AWACSや空中給油機のことを指します。そのHVAAを護衛する無人戦闘機という考え方だ。

AWACSや空中給油機は、従来、敵戦闘機の攻撃圏外で、活動し、被弾するおそれがなかったが、近年ロシアが開発した長距離極超音速空対空ミサイルR-37Mの射程は300~400km 最高速度はマッハ6.0に達する。


R-37の出現は、AWACSや空中給油機にとって、深刻な脅威となってしまっています。

AWACSの探知距離は最大でも500km~700km、実用的な運用距離が、戦場から300~400kmR-37Mの射程はそこを狙ってきています。

空対空ミサイルの「極超音速化と極超音速化」はノーエスケープゾーン(回避不能ゾーン)の拡大や、射程が長距離化する空対空ミサイルの着弾までの時間を短縮するという意味で、空対空ミサイルの重要な性能の一つだと言える。仮にR-37Mにロックオンされたら最後、マッハ6は時速7600km、400kmを約3分強で飛行します。

ロックオンされたら瞬時に高度1万mからダイブすれば、回避は可能かもしれませんが、それではAWACSが捕らえていた目標もロスすることになってしまい、戦場をコントロールしていた空中指揮機
AWACSが一時的にでも離脱すれば作戦は混乱し、万が一損失した場合、単なる軍用機の損失というだけに留まらず、一つの戦争の勝敗、国の命運にかかわってくることになるAWACSとはミッドウェーの空母4隻(芸人・大本営八俵が言うところの”KY”)に相当します。ちなみに空自はAWACS E-767 4機とE-2C/Dを14機保有しています。

General Atomics社がリリースしたDefenderコンセプトは、敵ミサイルや航空機を自身の装備したAAMで迎撃したり、自らが囮となって、HVAAを護衛するというコンセプトであり、近未来の戦場では重要な役割を担う重要かつ画期的なUAVだと思う。



その、機体のベースは、General Atomics Avenger ER

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 Avenger ER。GA-ASI写真。

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米海軍のMQ-25 Stingray無人空母航空システム(UCAAS)プログラム用に提供されたGeneral Atomics Sea Avenger無人戦闘航空機(UCAV)の変形のアーティストレンダリング。GA-ASI写真。

General Atomics Avenger ERは、海軍の空母搭載の無人空中給油機に応募し、残念ながらボーイングMQ-25Aスティングレイに敗れた機体である。



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 MQ-9 Block 5、Ghost Reaper


ラプターはプロペラ機ですので、ウィングマンとして戦闘機と行動を伴にすることは難しいが、例えば攻撃目標空域に別途進出し、事前掃討を行い、有人攻撃機の本体が到着時には囮として行動することが可能だ。

目標手前の対空防御施設の事前掃討作戦を行い、本体の目標攻撃をサポートした後は、囮として行動する作戦が考えられます。
当然消耗も激しいかもしれないが、ウイングマンよりドローンのコストの方が安いはずなので、コストを抑えられれば可能な作戦と思われます。

(GA-ASI)社は、プレデターを対潜・水上監視、強化型陸上攻撃機としても提案中です。
いずれ
Avenger ERも同様のバージョンでの提案がされると思います。

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