【産経新聞】2020.5.19 00:11 

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WHO年次総会で発言するテドロス事務局長=18日(WHOホームページより)

【台北=矢板明夫】2017年以降、WHOの年次総会へのオブザーバー参加が認められいない台湾は今回、参加の議論が棚上げとなった。台湾当局は18日、招待状が届いていないことに「WHOが中国政府の干渉と圧力に屈服した」と強い不満を示した。

 台湾の総会参加には米国を中心にカナダ、日本、ドイツなどが賛成する姿勢を表明。支持する国も増えたことから、台湾当局の関係者は「台湾に関心を持ってもらったことが大きな成果」とも話す。

 しかし「台湾は中国の一部であり、WHOに加盟する資格がない」と主張する中国の激しい外交工作により、アジア、アフリカ、中南米の多くの国が反対の姿勢で、「中国の圧力で反対せざるを得ない」と台湾側に説明する国もあったという。WHO総会問題で「中国が台湾をいじめている」という構図が改めて浮き彫りとなっている。

 台湾では感染の早期封じ込めに成功したことで、WHOへの加盟は不要だとの論調もみられるようになった。だが、長年台湾のWHO加盟を推進してきた台湾医界連盟基金会の林世嘉事務局長は「世の中にはインフルエンザなど多くの感染症があり、台湾の2300万人の生命と健康を守るためWHOに参加すべきだ」と話している。

 台湾当局はWHO総会前の15日、日米、カナダなど台湾を支持する13カ国の衛生防疫部門関係者とテレビ会議形式で国際フォーラムを開き、台湾の防疫経験を紹介するなどした。医療関係者は「台湾版WHO総会」と称し、今後は定期的に開催するとしている。

WHOを解体し、新たな組織を作るとの意見もあるが、世界のウィルスの発生源である中国を外しては、意味がなくなってしまう。そもそもWHOに政治を持ち込んだ中国が間違っているのだが、発生源としての中国は世界中で監視する必要がある。中国をWHOから追い出したり、シナの地に中国と言う国がある限り、中国抜きの疾病対策の国際的組織は残念ながら成立できない。

しかしながら、世界が団結して中国にWHOに政治的圧力をかけさせない施策をとることは可能で、WHOを正常化することは可能かもしれないと思います。別組織を作るのではなく、WHOの大枠は残しつつ、解体ではなくG7主導の解体的大改革をするべきだと思います。具体的には現時点では書きませんが、もう少し勉強してから別記事に書きたいと思います。

もはや、国際機関は中国と言う悪性のウィルスに侵食されてしまっている。また、世界各国の政府中枢にもウィルスは侵食しており、日本も例外ではない。

今回の中共ウィルスの患禍でわかったことだが、中国が政治家やキーマンに金や女をあてがって、中国の思い通りにさせてきたことが、どれだけ人類にとって危険なことか思い知ったはずである。

国際世論を盛り上げ、なおかつ、この30年間中国に好き勝手させてきた国際社会が反省し、中国に好き勝手をさせない仕組みを作らなくてはならない。

中国から金や女を宛がわれた人物は国だろうと、国際機関だろうと、一切の表舞台からの退場を余儀なくさせる瀬策の一つとして、中国による不当な買収工作を監視する国際的監視機関が必要なのではないか?さらに国連の常任理事国から中共を排除することも必要だと私は思う。

これまで中国に甘い顔をしていた、欧米諸国やユダヤ人が、中国を敵だと認識し報復を開始したと考えていいだろう。


モサドは仕事が速い!

台湾、トランプ大統領、ポンペオ国務長官は中国報復に動き出した。

共通の敵は中国、米国と台湾が組む本気のタッグ 
蔡英文総統2期目就任式に米国務長官が異例の祝賀メッセージ
【JBpress】福島 香織 2020.5.21(木)

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2期目の就任式で演説をする台湾の蔡英文総統(2020年5月20日、提供:Taiwan Presidential Office/AP/アフロ)
(福島 香織:ジャーナリスト)

 台湾総統に再選した蔡英文の就任式が5月20日に行われ、正式に2期目政権がスタートした。

 就任演説はインターネットでもライブで配信された。注目の中国との関係については「和平、対等、民主、対話」の8文字を改めて強調し、「北京当局が一国二制度によって台湾を矮小化し、台湾海峡の現状を破壊することは受け入れらない。これは我々が断固として変わらずに堅持する原則である」と、中国の一部になることを完全に拒否。憲法改正や国名変更という、中国が台湾武力統一に動くとされる「最後の一線」はさすがに超えなかったが、かなり強気の内容だ。

 中華民国憲法については引き続き順守し、「両岸人民関係条例をもって両岸事務(中台関係)を処理する」として、中台関係の現状維持を望む姿勢を示した。経済については、米、日、欧州との貿易、投資保障協定を努力目標に挙げ、中国依存脱却の方向性を打ち出した。

ポンぺオ国務長官が異例の祝賀メッセージ

 今回の蔡英文政権2期目就任式で、最大の注目点は米国のポンペオ国務長官が祝辞を送ったことだろう。5月19日、米国在台湾協会(AIT)を通じて発表され、ほぼ同時にポンペオ長官自身のツイッターの公式アカウントでも発表された。

 米政府高官が台湾総統の就任式に公式のメッセージを送ったのは初めて。しかもその内容が興味深い。メッセージを訳してみよう。

「蔡英文博士が2期目の台湾総統任期を開始するにあたりお祝い申し上げます。彼女の大差をつけての再選は、彼女が台湾人民の尊重と敬服と信任を得ていることを示しています。台湾の活気ある民主主義を導く彼女の勇気とビジョンは、地域と世界にとっての励みです。

 米国は長きにわたって台湾を、世界の幸福のための力であり頼りになるパートナーだと認めてきました。米国が台湾を支持することは両党の一致するところであり、最近“台北法”が可決されたことでも、この一点が証明されました。この法案は我々全体の関係を強化し、同時にさらに緊密な経済パートナーシップの建設を支えることでしょう。私たちは、法の支配、透明性、繁栄、すべての人のための安全保障を含む地域のためのビジョンを共有しています。最近の新型コロナウイルスの感染爆発は、台湾の感染への対応モデルが模範に値するものだということを国際社会に知らしめる良い機会を提供しました」

「舵をとるプレジデント蔡とともに、台湾とのパートナーシップは繁栄し続けていくだろう」という一文もあり、呼びかけの敬称こそDr.(博士)ではあるが、蔡英文をプレジデント扱いし、はっきりと台湾を米国の頼りになるパートナーと言及した。米国の台湾に対する関係の踏み込み方は、星島日報など香港メディアも「尋常ではない」と報じている。

 だが、決して意外なことではない。なぜなら、米国と中国の対立が先鋭化する中、台湾を米国のパートナーとしてしっかりつかんでおくことが、この先、大統領選を目前とした米国の内政にとっても、世界の5G覇権競争の雌雄を決するという意味でも、鍵となるからだ。

台湾をWHOから弾き出した中国
 
トランプ大統領が秋の大統領選挙で苦戦を強いられる要因となるのは、新型コロナウイルスへの対応に対する世論の判断だ。新型コロナウイルスはベトナム戦争を超える死者を出し、リーマンショックをはるかに超える大不況をもたらすとの予測が流れている。その責任をトランプ政権が負うのか、それとも「ウイルス発生源」であり、初期に重大な隠蔽をした中国、その中国のいいなりになって隠蔽に加担したWHOに負わせることができるのかが、1つのポイントになる。

 トランプとしては、中国政府の隠蔽とWHOの機能不全がパンデミックの最大の責任を負うことになるという国際世論を形成したい。だからこそ、WHOから弾き出されながらも、その政治的リーダーシップで感染を最短最低限の流行で抑え込んだ台湾蔡英文政権を強く支持する意味がある、というわけだ。

 台湾はたとえ国家として国際機関に承認されていなくとも、人道的な観点からはWHOへの参加は当然認められてしかるべき話だ。実際、2016年までは認められてきた。今、中国がかたくなに台湾のオブザーバー参加に反対しているのは、蔡英文政権だからだ。だが、蔡英文政権は公平公正な民主選挙で選ばれた政権である。それを理由に拒否するとしたら、WHOは政治的理由で2300万人の健康と安全を見捨てる、ということである。

 5月18日に開幕した世界保健機関(WHO)の最高議決機構(WHA)の年次総会(オンライン会議)で、米保険福祉省長官のアザールは2分の持ち時間の意見表明のなかで25秒を使って、こうしたWHOの台湾排除の問題点を訴えた。

 結果的には総会で、台湾のオブザーバー参加への審議は中国の強い意向によって延期された。同時に、総会の開幕式のとき、習近平がオンラインで短い演説を行い「今後2年にわたり、WHOを通じて世界の貿易努力をサポートするために20億ドルを支援する」と表明したことはあまりにあからさまだった。結局、WHOはチャイナマネーに手懐けられ中国の宣伝機関に成り下がっているということが露呈した。

ちなみにこの夜、トランプがテドロス事務局長に送った書簡の中身をぶちまけていた。「もし、WHOが30日以内に実質的に改善できないのであれば、米国はWHOに対する拠出金を恒久的に停止、米国もWHO脱退も考えている」。

 台湾は2019年12月末の段階で、中国でSARSのように人-人感染を伴う感染症が起きている可能性について警告の書簡をWHOに送っていた。だが、WHOはこれをまともに受け取らず、中国の報告を鵜呑みにして1月19日まで人-人感染の証拠はないという立場を維持していた。このことが、その後のパンデミックにつながったのではないか、という疑いは各国の専門家たちも持っている。

 中国の政治的立場を忖度するあまりに台湾を排除し続け、結果的に世界中の人々の健康と生命を危険にさらしたとしたら、WHO自身がWHO憲章を裏切ったことになり、その存在意義はなくなってしまう。そしてWHOと関係ない台湾が、世界に先駆けて感染を鎮静化させたのだったら、台湾の予見と判断はWHOより正しかったのだ。台湾の知見が共有できる新しい保健衛生機関があれば、そちらの方が世界に貢献できそうだ。

半導体が左右する5G覇権競争の行方
 
台湾が米国にとって鍵となるもう1つのテーマは、5G覇権競争だ。

 中国はポストコロナの経済復興シナリオの中心に、通称「新基建」と呼ぶデジタルインフラ建設投資を中心に置いている。すでに本コラム(「『新基建』政策でコロナ後の世界を牛耳る中国の野望」)で説明したが、5G基地局建設を中心にした壮大な産業構造変化を見込んだシナリオだ。だが、このシナリオを遂行する最大の難関は半導体の国産化だ。中国の半導体国産化は2018年半ばで15%程度、目標値としては今年中に自給率40%達成、2025年までに70%を達成するとしている。だが、中国の国産チップメーカーで一番期待されている長江ストレージ(YMTC)が執念を燃やすも、目標到達はかなり困難な道のりだ。

 その間、ファーウェイはじめ5G基地局建設を支える中国IT企業の生命線は、世界最大の半導体ファウンドリ、TSMC(台湾積体電路製造有限公司)に握られることになる。だが米国は5月15日、米国製の製造装置や技術を使って海外で生産・開発された半導体製品を、ファーウェイに販売することを規制する決定を発表。昨年5月の規制では、米国部品の使用料が25%以下であれば、輸出できたが、それもできなくなった。TSMCもやむなくファーウェイからの新規受注を停止せざるを得なくなった。

 その代わり、なのか、米政府の120億ドルの支援で、アリゾナへのTSMC工場誘致が発表されている。これは米政府のファーウェイ潰しとして、大きく報道されているが、同時に台湾経済の中国依存を米国依存に替えていこうという蔡英文政権の意向に沿ったものでもあるだろう。

 台湾の企業も有権者も、米中新冷戦構造の中でどちらかを選ばねばならない時代の転換期にきているという意識をもっている。その問いかけで出した答えが、蔡英文の再選であり、TSMCの決断だということだ。

 実際、TSMC関係者が、今回の米国での工場建設について、「米国で生産する場合人件費は割高で、コストも高くなるし市場競争力も落ちるだろうし、けっして良いビジネスではない」と台湾メディアにコメントしている。だが、いかなる企業も「政治的要素を考慮しない決策はありえない」という。

噂によると、TSMCの内部では、中国のサプライチェーンから脱却して米国に乗り換えるのは投資効率が悪いため抵抗があったが、蔡英文がTSMC幹部らと密会し頼み込んだことで最終的に決断した、という。もちろん蔡英文サイドはこの噂を完全否認している。だが、蔡英文とTSMCの創始者・張忠謀の仲がいいことは周知の事実であり、多くの人々がまんざらフェイクニュースでもないと見ている。

米国と台湾、本気のタッグで中国に対抗

 蔡英文は就任演説で、経済戦略として六大核心戦略をあげ、その筆頭に「半導体と通信産業の優勢を利用して、世界サプライチェーンの核心的地位を築く」ことを掲げた。また「5Gと結びついた発展」と「国家安全、サイバーセキュリティ」を挙げ、「自らを守り、世界に信頼される、セキュリティシステムと産業チェーン」を発展させる、としている。

 さらに「誰が依存から脱却できるか、誰が国家の製造発展のチャンスを先につかむか。すべての産業界の友人に安心してほしい。政府は産業を孤立させない。この先数年、私には戦略がある」と述べている。どんな戦略かは後々にわかるだろうが、全体のニュアンスとしては、半導体産業を最大の武器にして、「国家安全、セキュリティ」を重視したサプライチェーンの再構築を見越しているようでもある。わざわざ国家安全に言及しているということは、そのサプライチェーンの中心に中国はいない、と推察される。

 5G覇権戦争の行方は正直まだ不明だ。個人的には米国サイドの勝利を祈っているが、中国も米国からの半導体部品供給が絶たれることは昨年から覚悟して、かなり半導体の在庫を積み上げているともいわれる。必要は発明の母ともいわれる通り、米国からの兵糧攻めで、むしろYMTCの半導体国産化スピードは加速している。

 だがここで注目したいのは、米国と台湾が本気でタッグを組んで、中国に相対する姿勢をみせたということだろう。

 米国はWHOからの離脱までほのめかせて台湾を擁護し、台湾を含めた新たな国際社会の枠組みを構想し始めているようだ。台湾も経済界を含めて中国依存からの脱却を選択し始めている。トランプが11月の大統領選に負ければ、台湾の未来も道連れになるやもしれない。それでも、台湾の有権者が選んだ政権は、米中が対立した場合、自由と民主を共通の価値観として持つ米国を選択するという意思表示を見せた。

 習近平政権の恫喝に追い詰められた結果とはいえ、この台湾の潔さと勇気は、日本の政治家や財界人もちょっとよく見てほしい。

トランプ政権は、から次々に対中制裁が打ち出しています。

たてつづけに、対中制裁のジェットストリームアタック攻撃

米連邦職員の年金基金による中国株投資の禁止

②ウィルス発生の徹底的検証と制裁法案
中国に対し、ウィスルの発生に関し米国とその同盟国、または世界保健機関(WHO)をはじめとする国連(UN)機関が主導して、検証を行わせること、中国が新型コロナウイルス感染症の発生に関する完全な説明を提供しない場合は、米大統領権限で、米国の中国関連の資産凍結(共産党幹部の個人資産を含む)、中国への渡航禁止、ビザ取り消し、さらに中国企業による米国の銀行融資や資本市場へのアクセス制限といった制裁措置を科す権限を与えられる法案がまもなく可決される。

ファーウェイ締め出し法案
 
中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)への輸出禁止措置を強化すると発表した。米国の半導体製造装置を利用していれば、外国企業の半導体製品であってもファーウェイとその子会社に出荷する場合は、米政府の許可が必要になる。




米国は、関税だけでなく、いよいよ資本規制を含む、金融制裁に踏み込みだしてきた。
更にトランプ大統領は、中国との断交を示唆する発言をした。

【ロイター】Reuters Staff2020年5月14日  20:14 

[ワシントン 14日 ロイター] - トランプ米大統領は14日、新型コロナウイルスを巡る中国の対応に非常に失望したと述べるとともに、現時点で習近平国家主席との対話は望んでいないとし、中国と関係を断つ可能性も示唆した。
トランプ大統領はFOXビジネス・ネットワークとのインタビューで「中国には非常に失望した。中国は(新型コロナの流行を)なすがままに任せるべきではなかった」と言明。「せっかく素晴らしい通商合意を結んだのに、今はそう感じられない。協定署名のインクが乾かないうちに新型コロナの感染が広がったからだ」とし、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)が米中通商合意に暗い影を落としているという認識を示した。
米中は今年1月に「第1段階」の通商協定で署名したが、その直後に新型コロナの感染が拡大した。
習近平国家主席との関係は良好だが「今は彼と話したくない」とし、通商協定の再交渉には関心がないと強調した。
さらに、中国に対し「われわれには多くの措置を講じることが可能だ。関係を完全に断ち切ることもできる」と発言。中国から年間輸入額に言及し、「関係を断絶すれば、5000億ドルを節約できる」とも言明した。
また、トランプ大統領は新型コロナについて、発生源よりも中国の対応を重視するとし「ウイルスの発生源が研究所だろうがコウモリだろうが、中国であることに間違いはない。中国はそれを阻止すべきだったし、できたはずだ」とした。
ムニューシン米財務長官はフォックス・ビジネス・ネットワークとのインタビューで「大統領は非常に懸念しており、全ての選択肢を検討している。ウイルスが米国の経済や雇用、国民の健康にもたらす影響をわれわれは心配している。大統領は米国の雇用と労働者を守るため全てのことを行う」と強調した。
さらに「非常に難しく複雑な問題で、より多くの情報が必要であることを大統領は明確にしている」とし、何が起こっているかを中国側はわれわれに理解させなかったが、米国民には全ての事実を知って理解する権利があると指摘した。
すべての関係を断ち切ることもあり得るとこれまでで最も厳しい発言を行っております。
中国との断交宣言の事実自上の予告かともれるような爆弾発言だった。

中国企業は米国企業に比べて情報開示が甘く、財務諸表であるとか、株主関係だとか、中国共産党との結びつきが明らかになるのが嫌なのか、時に国家機密と主張し、これまで米会計基準に従わないこともあった。すべての中国企業が米国の会計基準の採用を義務付け、米国市場からの締め出しも示唆した。米会計基準に従えないなら外国の市場に行けということである。

世界保健機関(WHO)参加問題と同様に、半導体産業に関しても米国と台湾が連携を強め、中国と対立する構図が鮮明になった。

米中覇権戦争の鍵となる5Gハイテク分野でついに、ファーウェイの生命線を断つという動きとして、米商務省がアメリカの技術を活用して、海外で半導体を開発することを制限するということを発表している。

米国企業あるいは海外企業でも米国の製品が25%含まれた製品をファーウェイに対し輸出することを禁止した。2019年5月、米国はファーウェイと子会社を禁輸対象の輸出禁止企業としてブラックリスト「エンティティーリスト」に加えたが、ファーウェイはその後も米国の技術やソフトウエアを使って半導体の設計を続けているなどと指摘、米国の技術を組み込んだ外国製品にも対象を広げた形だ。

現在、CPU(中央演算装置)の最先端の委託製造ラインを持つファウンドリ(受託製造会社)はTSMCと韓国のサムスン電子の2社で、中国国内には3~4世代遅れた製造ラインがあるだけで、ファーウェイは独自に高度な半導体を生産することは出来ない。

ファーウェイは台湾の半導体受託製造会社であるTSMC社に生産を委託して台湾で製造した半導体を自社製品としてスマホやタブレットその他で使うことは、黙認してきたが、それも禁止とする措置に踏み出した。

台湾の TSMC社は、米国の技術やソフトを利用して製造された半導体製造装置を使っているので、米国の措置に従わなければ、全ての半導体を製造できなくなってしまう。

新しいルールの導入でファーウェイに半導体を供給するためには米商務省の事前の許可が必要になるということでTSMC社はついにファーウェイからの受託を停止した。

TSMC社は米国寄りの姿勢を明確にしている。米政府支援の下、米国のアリゾナに建設費120億ドル約1兆3000億円で、最新半導体工場を建設すると発表している。米国は中国の技術流出を防ぐとともに米国内に経済と安全保障の鍵となる分野の供給網を確保し、TSMC社も安定的収益が確保可能となった。

TSMC社レベルで最先端の半導体を製造できるのは現在韓国サムスン社だが、今後中国がサムスンを取り込むのか韓国の動向も注目されているが、スマートフォンなどでファーウェイと競合するサムスンが容易に応じるとは限らないという。米国は韓国自体をを切り離す考えのようであり、サムソンは韓国企業として韓国につくのか、米国につくのか次に選択を迫られることになるであろう。

ファーウェイは5G(第5世代移動通信システム)をいち早く世界に展開して覇権を握ろうとしているが、仮にTSMCもサムスンも半導体製造を引き受けなかった場合、「中国のIT産業の命脈が絶たれる可能性がある。中国が台湾に対して軍事的圧力をかけてもおかしくないレベルの事態だ。

ちなみに、日本は米国の理不尽な規制によって日本の半導体産業は不当に潰された過去がある。TSMC社やサムソンは、そのおかげで、企業として生き残り、今日があることを忘れてはいないはずで、米国の一存であっという間に壊滅する姿を見てきたはずである。

話は、逸れるが、この記事の最後に、不死鳥のように蘇る日本の半導体産業のリンク記事も書き加えてしておきます。

【日経新聞】2020/5/16 18:45 
 
米国と中国の対立が新型コロナウイルスの感染拡大で再び深まってきた。大統領選を控えるトランプ米大統領はウイルスの発生源とみる対中批判を強め、火種は従来の貿易や安全保障から広がりをみせる。報復措置の連鎖を招けば、新型コロナの打撃で痛む世界経済の回復をさらに遅らせることになりかねない。

「あの合意からまもなくウイルスが中国から入ってきた。心躍るわけがない」。トランプ氏は15日、2月に発効した米中貿易の「第1段階合意」の履行が進んでいないと改めて不満をあらわにした。ホワイトハウスで記者団に語った。

貿易戦争は第1段階合意でいったん収束したはずだった。ただ、新型コロナが世界に広がると状況は一変した。米国では発生源とされる中国への反感が高まり、世論調査では過去最悪の水準となった。

トランプ政権と共和党は「中国たたき」が得票につながるとみて強硬姿勢に傾斜する。米国内での感染拡大への責任を回避する思惑もあり、中国政府に損害賠償を求める訴訟の提起や対中関税の引き上げなど複数のメニューを検討してきた。

15日には米中対立の主戦場であるハイテク分野で華為技術(ファーウェイ)への事実上の禁輸措置を強めた。制裁逃れのために半導体の内製化を進めてきたファーウェイの戦略をくじく狙いがある。

「規制の抜け穴を防ぐために綿密に編み出した措置だ」。ロス商務長官は15日、米メディアに狙いを語った。外国製で米国由来の技術やソフトウエアが25%以下であれば規制の対象外とのルールが「抜け穴」となっていた。今回は25%以下でも米国の製造装置を使っていればファーウェイに輸出できないようにした。中国側が報復措置に動く可能性も覚悟した上で実施に踏み切ったが、中国が報復に動けば打撃は大きい。

ファーウェイは中国の習近平(シー・ジンピン)指導部が重視する次世代通信規格「5G」を担う中核企業だ。米国が制裁を強めたときの米中関係に及ぼす影響力は大きいだけに、省庁横断で議論を重ねてきた。

制裁強化の背景には、中国への不信感がある。商務省が15日開いた電話記者会見に同席した国務省高官は、知的財産の窃取、人権侵害など問題点を並べた上で「中国共産党の政策やアプローチがもたらす一連の挑戦に取り組んでいるだけだ」と正当性を主張した。

米国側はハイテク分野で依然として多くのカードを持つ。ファーウェイを巡っては、通信網の保守に必要な場合に一部取引を認める例外措置を設けてきたが、15日には「8月にも打ち切る可能性がある」と同時に発表した。例外措置をなくせばファーウェイの製品調達経路はさらに断たれる。これまで監視カメラやスーパーコンピューター、原発など中国の基幹技術を担う企業を禁輸対象にしており、対象をさらに広げる可能性もある。

ファーウェイのサプライチェーンは世界にまたがる。18年末に公表した主要な部品調達先92社のうち、米国が33社と最多で、中国(25社)、日本(11社)、台湾(10社)が続く。ただ米商務省の新たな規制は「ファーウェイや関連会社が設計に関与している半導体」という条件を付けた。汎用品は対象外の可能性があり、ファーウェイ関係者は「日本企業などからの半導体の購入は今後も継続できるだろう」と話す。日本からの調達額は19年で計1兆円超という。

金融・資本市場分野では米連邦職員向け年金基金による中国株投資の阻止が明らかになった。トランプ政権は米国市場に上場している中国企業の監視も強めようとしている。

中国の報復措置として想定されるのは許認可の遅れだ。中国を成長市場と位置づける米国の銀行や資産運用会社は対中進出を加速しており、JPモルガン・チェースは4月上旬、当局の承認を前提に資産運用の現地合弁の完全子会社化を公表した。ゴールドマン・サックスなども100%子会社の設立をめざす。ただ、米中対立で当局の審査や手続きが滞る可能性がある。

米中の第1段階合意には中国での証券や先物取引、資産運用分野の外資規制撤廃が盛り込まれた。従来は外資系による100%子会社設立は認められず、現地企業との合弁を強いられていた。外資開放を機に成長戦略に弾みをつける算段だったが、米中対立の再燃で修正を迫られる可能性が出てきた。

焦点は中国の対米姿勢だ。「報復する準備がある」。ファーウェイへの制裁強化に対して中国共産党系メディアの環球時報(英語版)は15日、アップルとクアルコム、シスコシステムズとボーイングを名指しして社説で警告を発した。

中国外務省の趙立堅副報道局長は16日、「中国政府は断固として中国企業の権益を守る」とコメントした。ファーウェイは16日、従業員向けSNS(交流サイト)に「英雄は昔から多くの困難にもまれる」と配信した。18日にはアナリストなど向けに禁輸措置強化の影響などを説明する見通しだ。

(ワシントン=永沢毅、鳳山太成、広州=川上尚志)


日本は、天安門事件直後のように、中国に懐柔され、取り崩されてはならない。

自民党よ、次の選挙で勝ちたかったら、直ちに二階俊博を切れ!熊野大社のお膝元の和歌山三区の愛国者達よ、次の選挙では絶対に二階に投票してはならない!




以下の記事はテドロス賞賛記事だが、よく読むとそのの中に、WHO内でのテドロスへの不審が高まっていることが読み取れる。

【ロイター】Kate Kelland and Stephanie Nebehay 2020年5月19日 

[15日 ロイター] - 1月末、慌ただしい北京訪問からスイスのジュネーブに戻った世界保健機構(WHO)のテドロス事務局長は、中国指導部による新型コロナウイルスへの初期対応をはっきり称賛したいと考えていた。だが、当時の状況を知る関係者によると、テドロス氏は複数の側近からトーンを落とすべきだと進言された。

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1月に中国の習主席らと会談したテドロス氏は、インフルエンザに似た感染症に関する彼らの知識や、封じ込めに向けた取り組みに感銘を受けた。だがこの時点で、すでに中国では新型コロナウイルスで多数の死者が発生し、国外へも拡散し始めていた。写真は1月、ジュネーブで会見するテドロス氏(2020年 ロイター/Denis Balibouse)

習近平国家主席らと会談したテドロス氏は、インフルエンザに似た感染症に関する彼らの知識や、封じ込めに向けた取り組みに感銘を受けた。だがこの時点で、すでに中国では新型コロナウイルスで多数の死者が発生し、国外へも拡散し始めていた。
関係者によると、側近らはテドロス事務局長に対し、対外的な印象を考慮して、あまり大仰でない文言を使うほうがいいとアドバイスしたという。しかし、事務局長は譲らなかった。1つには、感染拡大への対処において中国側の協力を確保したいとの思惑があった。
「メッセージがどのように受け取られるかは分かっていた。テドロス氏はそうした面でやや脇の甘いときがある」と、この関係者は語る。「その一方で、彼は頑固でもある」
結局、テドロス事務局長は中国指導部の対応を公の場で大げさに称賛した。その一方で、中国当局者が内部告発を握りつぶし、感染症発生の情報を隠蔽していたとする証拠が次々と出て、一部のWHO加盟国から、テドロス氏の中国寄りの姿勢は「過剰だ」との批判を招いた。その先頭に立ったのがトランプ米大統領だった。トランプ氏は米国からの資金拠出を一時停止した。
ロイターは複数のWHO当局者、外交関係者に取材した。そこから見えてきたのは、創立72年を迎えたこの国連機関とそのトップが直面する苦悩だった。WHOとテドロス氏は、殺人的な感染症の流行を抑えることと、最大の資金拠出国である米国からの批判への対処という、2つの難題に同時に取り組まなくてはならない事態に陥っていた。
<中国の対応を支持した理由>
WHO内部の議論に詳しい関係者はテドロス事務局長について、トランプ氏の動きに「明らかに苛立っている」と打ち明ける。テドロス氏は、WHOが「政治的なサッカーボール」として利用されていると感じているという。
テドロス事務局長はこれまで、中国政府を称賛したのは軽率だったとする批判に強く反論してきた。中国の思い切った措置がウイルスの拡散を減速させ、他国は検査キットや緊急医療体制の準備を進める余裕ができた、というのがその理由だ。また、トランプ政権が資金拠出凍結を考え直すことを望む一方、主要な関心はパンデミックから命を救うことだと表明してきた。
関係者によれば、テドロス氏は訪中して習指導部への支持を公然と表明すれば、中国をライバル視する国を怒らせるリスクがあることを承知していた。と同時に、新型コロナウイルスが世界に広がっていく中で、中国政府の協力を失うリスクの方が大きいと考えていたという。
北京に2日間滞在したテドロス氏は、感染源の調査、ウイルスとそれを原因とする感染症のさらなる解明に向け、WHOの専門家と各国の科学者から成るチームが訪中する合意を中国指導部から取り付けた。この調査団には2人の米国人も含まれていた。
アイルランド出身の疫学者で、WHOで緊急事態対応を統括するマイケル・ライアン氏は、テドロス事務局長の訪中に同行した。ライアン氏もテドロス氏も、中国の新型コロナ封じ込め計画を確認し、それがしっかりしたものであることが分かった以上、中国を支持することが重要であると考えたという。
WHOが目指していたのは、「できるだけ積極的かつ迅速な対応が行われ、成果を収める」ようにすることだったと、ライアン氏は言う。「そうした対応を行うというコミットメントを揺るぎないものにしておくこと、対応の実施に問題が生じた場合にコミュニケーション経路をオープンにしておくことを求めていた。

新型コロナウイスへの対応を巡る不手際を批判されているのは、トランプ政権も同じだ。そのトランプ大統領は、WHOと中国への攻撃を緩めようとしない。
米国政府のある高官はロイターに対し、WHOは「新型コロナウイルスの脅威を高め、ウイルス拡散につながった中国の責任を何度も見逃してきた」と説明する。この高官は、WHOへの拠出金は中国より米国のほうが多いと指摘、WHOの行動は「危険かつ無責任」であり、公衆衛生上の危機に「積極的に取り組むというよりも」むしろ深刻化させていると語った。
さらに「調整の拙劣さ、透明性の欠如、リーダーシップの機能不全」が新型コロナウイルスへの対応を損なっていると主張。「世界の公衆衛生を良くするのではなく、阻害するような機関に何百万ドルも供与するのは止めるべきときだ」と述べた。
ロイターはWHOに対する認識を中国外務省に問い合わせたところ、「新型コロナウイルスの感染拡大以来、WHOはテドロス事務局長のリーダーシップのもと、積極的にその責任を果たし、客観的・科学的で公正な立場を維持してきた」との回答を得た。「私たちはWHOのプロフェッショナリズムと精神に敬意を表し、パンデミックに対するグローバルな協力におけるWHOの中心的役割をしっかりと支持し続ける」とした。
<中国称賛への「歯ぎしり」>
大きな疾病が発生すると、テドロス事務局長はすぐその中心地に自ら足を運ぶことが多い。2018年8月に発生したエボラ出血熱。テドロス氏は2年間で少なくとも10回、コンゴ民主共和国を訪れた。ほぼ終息に近づいていたエボラの流行は、今年4月に再燃している。
2019年4月、コンゴのエボラ専門病院でWHOのために働いていたカメルーン人医師が銃撃で死亡したことがあった。ある西側外交官はこのとき、テドロス氏が声を出して泣いているのを目撃した。「それくらい、彼の仕事のスタイルは情熱的だ。我がこととして取り組んでいる」と、この外交官は話す。

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中国は肺炎が集団発生したことを、2019年12月31日にWHOに報告している。WHOは年明け1月14日、中国当局による予備調査では「人から人に感染するという明白な証拠は見つかっていない」とツイッターに投稿した。後日、WHOが中国に対して十分に懐疑的でなかった事例としてトランプ大統領から指摘されることになる。
もっとも、WHOの専門家は同日、(人から人への)限定的な感染が起きている可能性があると述べている。1月22日、訪中したWHO調査団は、武漢において人から人に感染したという証拠はあるが、完全に解明するにはさらなる調査が必要との見解を示した。
1月末、テドロス事務局長と幹部3人が北京に飛んだ。ライアン氏によれば、「公式の招待を受けたのは午前7時半。その日の午後8時には飛行機に乗っていた」という。
テドロス氏は1月28日に習国家主席と会談。データと生物学的資料を共有することを特に協議したという。テドロス氏は習氏と握手する写真をツイッターに投稿し、「率直に協議した」、「(習氏は)歴史に残る国家的対応を担った」と書き込んだ。

翌日にジュネーブで行われた記者会見で、テドロス氏は習氏のリーダーシップを称賛し、「習主席が感染拡大を詳細に把握していることに非常に勇気づけられ、感銘を受けた」と述べた。さらに、中国は「国内的にも対外的にも、透明性の確保に完全にコミットしている」と語った。
感染症が発生した当事国の政府を公然と批判すると、情報共有をはじめ協力に消極的になる恐れがある、とベテランのWHO職員は言う。WHOでアフリカ地域の緊急事態対応を統括するマイケル・ヤオ氏は、プレッシャーを感じてWHOとの連絡を絶ってしまう国をいくつか見てきたと話す。アフリカでコレラが発生したことを公表した際、そうしたことが何度か起きたという。
「データにアクセスできなくなり、最低でも特定の疾病のリスクを評価するだけの能力さえ利用できなくなってしまう」と、ヤオ氏は言う。
一方で、テドロス氏が中国政府の対応を高く評価することを、快く思わない向きもある。テドロス氏は毎週、WHO加盟国の外交官向けにブリーフィングを行っている。欧州から参加している特使の1人は、「テドロス氏が中国を称賛すると、歯ぎしりして悔しがる者が必ずいる」とロイターに語った。
<殺害予告も>
加盟国に対するWHOの影響力は限られている。加盟国の許可なしに入国する法的な権限はないし、強制力もない。したがって、テドロス氏が行使できる主な手段は、2005年に合意した国際保健規則の枠組みを順守するよう、加盟194カ国を政治的に説得することとなる。
テドロス氏は、韓国、イタリア、イラン、日本など、新型コロナウイルスと闘う複数の国の政府を称賛。3月30日には、トランプ氏の娘で大統領補佐官のイバンカ氏が米国の緊急対策法案について書いた記事を評価し、「非常に良い記事だ」とツイートした。
トランプ氏は当初、中国と習国家主席の危機対応を繰り返し褒めたたえてきた。しかし、3月中旬ごろになると、北京のウイルス対応への批判を強めるようになり、中国政府は世界に警告するためにもっと早く行動すべきだったと指摘した。
当時、新型コロナウイルス検査の対象拡大の遅れを含め、トランプ政権のパンデミック対応は広く批判されていた。新型ウイルスが何万人ものアメリカ人の命を奪い、米国経済に打撃を与える中、今年の大統領選で再選を目指すトランプ氏は、自身の対応を断固として擁護している。
一方で、米国などは加盟各国が適切なタイミングで正確な情報共有するよう、強力な声明を出すべきだとWHO指導部に圧力をかけてきた。「WHOはそうした懸念に対応しなかった」と、西側外交筋は話す。
米国のジュネーブ国連大使で元ホワイトハウス高官でもあるアンドリュー・ブレンバーグ氏がテドロス氏と定期的に会談し、WHOの対応について議論し、懸念を伝えていたと、欧州の外交官2人は証言する。
WHOは声明の中で、テドロス氏は加盟国間の国際規則に基づき情報を共有するよう、すべての国に求めているとしている。
4月7日、トランプ大統領はWHOが中国寄りで、新型ウイルスに関する世界への注意喚起が遅すぎたとして、資金拠出を停止すると警告した。
 1月に中国の習主席(右)らと会談したテドロス氏(左)は、インフルエンザに似た感染症に関する彼らの知識や、封じ込めに向けた取り組みに感銘を受けた。だがこの時点で、すでに中国では新型コロナウイルスで多数の死者が発生し、国外へも拡散し始めていた。写真は北京で代表撮影(2020年 ロイター)米国はWHOの最大の資金拠出国であり、この脅しは「手痛い」ものだ。WHOによると、米国は2021年12月までの2年間で、義務的拠出金と任意拠出金を合わせて5億5300万ドル(約592億円)を拠出することになっている。すでに承認済みのWHOの予算58億ドルの9%に相当する。中国の拠出額1億8750万ドルの3倍近くに相当する。
テドロス氏は翌日の定例記者会見で動揺した様子を見せ、「人種差別的」な発言や殺害予告まで受けていたことを明かし、記者からの質問に長々と熱心に答えた。

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1月に中国の習主席(右)らと会談したテドロス氏(左)は、インフルエンザに似た感染症に関する彼らの知識や、封じ込めに向けた取り組みに感銘を受けた。だがこの時点で、すでに中国では新型コロナウイルスで多数の死者が発生し、国外へも拡散し始めていた。写真は北京で代表撮影(2020年 ロイター)

1週間後、トランプ大統領は資金拠出の凍結を発表した。
加盟国は通常、義務的拠出金と任意の拠出金を通じてWHOに貢献している。別の米政府高官によると、米政府は20年の義務的拠出金1億2200万ドルのうち、すでに半分近くを支払い済みという。同高官によると、今回のトランプ氏の凍結措置により、米政府は残りの6500万ドルの義務的拠出金と3億ドル以上の任意拠出金を、他の国際機関に振り向ける可能性が高いという。
米国の資金拠出停止によってWHOが受ける打撃は、政治的なものの方が大きいと、2人の欧州外交官は指摘する。現行動いているプログラムは、資金の手当てが当面できているためだ。しかし、長期的にはポリオやエイズ対策、予防接種など、米政府の拠出金で支えられているプログラムに影響が及ぶ可能性があるという。
「WHOとテドロス氏にとっては大きなダメージだ」と、WHO関係者は語った。
<各国からの援護射撃>
これまでのところ、ほとんどの主要国がWHOを支持している。フランスとドイツ、イギリスはWHO支持を表明し、今は非難するよりも、感染拡大との戦いに集中するべきとしている。ドイツ政府関係者は、感染拡大の脅威に共に立ち向かうよりも、過去の出来事にこだわる米国の姿勢は「非合理的」だと話す。
中国外務省は、「パンデミックが終息した後の適切な時期」に、WHO事務局長が新型コロナウイルスに対する世界の対応を検証する委員会を設置することを支持するとの声明を出した。一部の国がWHOの検証やウイルスの起源追跡に力を入れようとしていることに反対すると表明し、こうした動きは「伝染病を政治化」し、WHOの仕事を妨害しようとする試みだと批判した。
WHOの関係者は、4月24日に行われたビデオ会議で、各国首脳がWHOとテドロス氏支持を公に表明したことを、ある種の「勝利」と受け止めている。
この会議では、新型コロナウイルスの検査や治療薬、ワクチンの開発を加速させる協力体制の構築が話し合われ、各国首脳がテドロス氏やWHOに謝意や賞賛を伝えた。
マクロン仏大統領は、テドロス氏を「私の友人」と呼び、米国と中国を含め、主要国が一丸となって支援するよう促した。「新型コロナウイルスとの闘いは人類共通の利益で、この戦いに勝利するためには分断があってはならない」と、マクロン大統領は訴えた。
「非常に心強く感じた」と、前出のWHO高官は打ち明ける。「一緒に戦ってくれる仲間がいるのだと感じた」
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(翻訳:エァクレーレン、山口香子)
酷い↑記事だ!


世界を一変させる日本発、画期的半導体
京都大学初のベンチャー、酸化ガリウムの新技術
【JBpress】渡邊 光太郎2019.2.18(月)



酸化ガリウムを用いたダイオード(出所:フロスフィア)。外から見たら普通の半導体に見えるが、圧倒的な高パフォーマンスを低コストで実現する画期的なものだ。

 現在、電力制御を行うパワー半導体の世界では、シリコンより半導体物質としてのパフォーマンスが高い炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)を活用する開発が進み、成果を出している。

 例えば、鉄道車両ではシリコンのパワー半導体用いたインバーターを、炭化ケイ素を用いたインバーターに交換することで、最大40%という画期的な省エネ効果を生む。

 半導体関連の展示会に行けば、炭化ケイ素の半導体のための技術や炭化ケイ素のパワー半導体による実用例が並ぶ。

 業界では、最新の技術である炭化ケイ素や窒化ガリウムの半導体の開発に必死になっている様子がうかがえるし、山手線の新型電車で採用されるなど、身近なところでも増えつつある。


 将来的には、EVや家電などにこうした新型半導体が普及し、異次元の省エネや家電などの小型化を進めていくことが予想される。非常に夢がある。

 しかし、炭化ケイ素や窒化ガリウムによって実現される新型半導体の開発成果を無にしかねない恐るべき技術を開発した企業が現れた。

 京大初のベンチャー企業、フロスフィアだ。

 これまで炭化ケイ素や窒化ガリウムの素子を作る開発をしてきた人たちが、本気で困ってしまうのではないかと心配になるほどだ。

 フロスフィアは、廉価に酸化ガリウムの結晶を作る方法を開発した。この技術が、なぜ炭化ケイ素や窒化ガリウムの最新の成果を無にし得るほど、すごいのだろうか。

酸化ガリウムは圧倒的高性能

 まず、酸化ガリウムは半導体としての性質が極めて良い。

 炭化ケイ素や窒化ガリウムは、シリコンよりも半導体として優れているがゆえに画期的な省エネを実現している。しかし、酸化ガリウムの物性は、炭化ケイ素や窒化ガリウムを圧倒する。

 シリコンに対する半導体物質の性能を現す数値として、バリガ性能指数がよく用いられている。この数値、シリコンが1、シリコンをしのぐ省エネを実現する炭化ケイ素が340、窒化ガリウムが870である。


 それに対し、酸化ガリウムのバリガ性能指数は何と3444である。


 シリコンの約3400倍、素晴らしい省エネ効果を実現している炭化ケイ素と比べても約10倍である。酸化ガリウムの性能は文句なしに圧倒的なのだ。

 同じ性能の素子であれば、損失が少なく圧倒的省エネを実現でき、サイズも文字通り桁違いに小さく作ることができる。

 例えば、フロスフィアは既に炭化ケイ素に比べ電気抵抗が86%減となるダイオードの開発に成功しているし、同社のウエブサイトにあるサイズ比較では100分の1近い面積になっている。

欠点克服で酸化ガリウム半導体に目処

 しかし、これまで酸化ガリウムにも欠点があった。酸化ガリウムではP型半導体が作れなかったのだ。

 半導体には、電子をわざと足りなくしたP型半導体と、電子をわざと余らせたN型半導体が存在する。

 パワー半導体を用いたインバーターなどのパワーエレクトロニクス機器は、トランジスタとダイオードによって成り立つ。

 ダイオードはN型半導体のみでも製造できるショットキーバリアダイオードがある一方、トランジスタにはどうしてもP型とN型の双方が必要である。

 このため、酸化ガリウムではショットキーバリアダイオードしか作れないとされてきた。

もちろんそれだけでも省エネ効果は発揮できるが、これでは実力のすべてを出し切れない。

 ところが、フロスフィアは酸化イリジウムを使ってP型層を作ることにも成功したのである。酸化ガリウムのトランジスタを作れるようになったのだ。

 これで、酸化ガリウムを使ったパワーエレクトロニクス機器実現に向け、技術的な準備は整った。

本当にすごいのは低コスト
 炭化ケイ素でも窒化ガリウムでも技術的課題はあるにしても、もっと問題なのはコストである。



 両者とも、鉄道車両、高級サーバーの電源、人工衛星などコストが高くても採用可能な用途ではすでに大活躍している。

 しかし、コストの厳しいハイブリッド車や低価格化が進む家電やデジタル機器では、炭化ケイ素や窒化ガリウムがいかに高パフォーマンスでも受け入れにくい。

 コストは、新技術の前にいつも立ちはだかる壁、いや、新技術でなくてもものづくりに関わる人々全員が、日々、頭を悩ませ、胃を痛くするものづくり最大最強の敵である。

 フロスフィアのすごいところは、新技術の多くが敗退する難敵、高コストをすでに克服してしまっていることである。

 炭化ケイ素と窒化ガリウムのコストが高い理由は、密度の小さい気体から結晶を作っていることにある。

 密度の小さいものからできてくるものは、当然、少ないので、時間がかかる。

シリコンが比較的安いのはシリコンを溶かした液体からそのまま結晶を作ることができるからだ。

 しかし、シリコンの結晶でも、炭化ケイ素や窒化ガリウムに比べれば安いものの、普通の工業材料に比べれば高価である。

 その理由は、シリコンは融点が高いため溶かすのに摂氏1500度もの高温が必要であることや、純度管理が非常に厳しいため、厳密に管理された清潔な環境が必要であることである。

 液体からでき、温度が高くなく、超清潔な環境も不要であれば、安くできる。


 フロスフィアのミストドライ法はまさにそうした製法である。

サファイア基板上に酸化ガリウムを成長させたもの(出所:フロスフィア)

すでに業界で高い評価

 高価な炭化ケイ素や窒化ガリウムを上回るパフォーマンスの半導体を、酸化ガリウムでは安価なシリコンと同じコストで作れそうだ。

 現在、炭化ケイ素や窒化ガリウムの半導体が開発競争の最中にあるが、こうした技術の登場で一気に陳腐化する可能性が出てきた。技術の競争は恐ろしい。

 もちろん、酸化ガリウムの半導体は開発が始まってそう時間が経っているわけではなく、実際に製品化するための開発作業は今後も必要であろう。

 炭化ケイ素や窒化ガリウムをすぐに世界から駆逐することはないので、炭化ケイ素や窒化ガリウムの関係者もしばらくは安心できる。


 しかし、これまで言われていたように大電流のパワー半導体を炭化ケイ素、家電程度のパワー半導体は窒化ガリウムという住み分けで、将来のパワー半導体の世界が安定することはなさそうだ。

 いずれかの時点で酸化ガリウムの半導体が普及することになるのではないか。

 フロスフィアは小さい企業だが、すでにその将来性は高く評価されている。

 圧倒的パフォーマンスの酸化ガリウム半導体を安く作れるフロスフィアの技術は、業界や技術の動向に通じていれば、容易にその価値を直感できるものだ。

 この可能性は放置されるはずもなく、三菱重工やデンソーなどの大手企業も出資者に名を連ねる。デンソーとは車に搭載することを目指す共同開発も始めている。

 こうした出資者の顔ぶれから酸化ガリウム半導体の将来性がうかがえるが、将来的にはハイブリッド車や鉄道車両の駆動に使われるだろうし、家庭内の家電やデジタル機器も動かしていくだろう。

 電気のある場所に酸化ガリウム半導体ありという時代がそう遠くない将来実現しそうだ。

 日本発のベンチャー企業が、その最先端を走っているということは、興奮させられることではないか。
 ミストドライ法は秘密の溶媒に酸化ガリウムを溶かし、酸化ガリウムと結晶構造が似たサファイア基板に霧状にして吹きつけて結晶を作る。

 サファイア基板に降着する寸前に溶媒を乾燥させることで、基板の上に酸化ガリウムの結晶が成長する。

 この溶液、常温で液体なもので、蒸発する温度も1500度どころか数百度にもならないものだという。さらに、結晶を作る環境は普通の空気中である。

 いかにもコストが高そうな部分は何もないのである。結果として、面積を小さくできることも考慮すれば、シリコンと同等の価格で同じパフォーマンスの半導体を作れる見通しだそうだ。