C2BMCネットワークでEOR機能活用し、目標撃墜

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 米ミサイル防衛局(MDA)は11月16日(米ハワイ標準時)、ハワイ北東沖に展開したイージス弾道ミサイル防衛(BMD)システム搭載アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦「ジョン・フィン(DDG-113)」が、SM-3ブロックIIAミサイルによって大陸間弾道ミサイル(ICBM)目標を撃墜し、迎撃に成功したと発表した。

 この開発試験(FTM-44)は、日米が共同開発しているSM-3ブロックIIAのICBM目標迎撃能力を実証するためのもので、SM-3ブロックIIAを使用したBMD能力を備えたイージス艦による6回目の試験になる。FTM-44は今年5月に実施する予定だったが、新型コロナウイルス感染症の影響による人員・機材の移動制限のために延期されていたという。

 なお、この試験は米国側が単独で実施しており、防衛装備庁や開発担当の三菱重工業など日本側関係者は参加していない。

 試験では、11月16日19時50分(ハワイ標準時)にマーシャル諸島共和国・クェゼリン環礁に所在するロナルド・レーガン弾道ミサイル防衛実験場からICBM目標を発射。「ジョン・フィン」はハワイ防衛想定の一環として、指揮統制戦闘管理通信(C2BMC)ネットワークを介した遠隔交戦(EOR)機能を使用し、C2BMCシステムから受信した目標の追跡データに基づいてSM-3ブロックIIAを発射し、目標を撃墜したとのこと。・・・

※写真=イージス駆逐艦「ジョン・フィン(DDG-113)」が、SM-3ブロックIIAミサイルによってICBM目標を撃墜し、迎撃に成功した(提供:MDA)

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※写真=クェゼリン環礁から発射したICBM目標(提供:ノースロップ・グラマン)

※ この資料はレイセオン・テクノロジーズが 2020年11月17日(現地時間)に発表したプレスリリースを日本語に翻訳・要約し、配信するものです。資料の内容および解釈については英語版が優先されます。

米国アリゾナ州ツーソン (2020年11月17日) — 米国ミサイル防衛局の歴史的かつ初めての実験において、高性能BMD迎撃ミサイルSM3ブロック2Aが、大陸間弾道ミサイルを想定した標的を大気圏外で迎撃し、破壊しました。レイセオン・テクノロジーズ(NYSE:RTX)の一部門であるレイセオン・ミサイルズ&ディフェンスが製造したこの迎撃ミサイルは、日本の三菱重工業と共同開発したものです。

レイセオン・ミサイルズ&ディフェンスの戦略的ミサイル防衛担当副社長であるブライアン・ロセリは次の通り述べました。「このミサイルによるICBM迎撃試験は初めてです。今回の試験により、米国が、長距離を飛来する脅威に対し新たな防衛の層を設け、それを実行可能なオプションとして得たことが証明されました」

BMD迎撃ミサイルSM-3シリーズはこれまで、その他のミサイルすべてを合わせたよりも多く、大気圏外における迎撃を実行してきており、同種のミサイルのなかでは、海上、陸上どちらからでも使える唯一の兵器です。

この歴史的な低軌道からの試験ではレイセオン・インテリジェンス&スペースのセンサーも使用しました。実験中、早期警戒衛星のセンサーは標的を探知、追跡し、そのデータを指揮官に伝達しました。

レイセオン・テクノロジーズは、ミサイル防衛関連の製品ラインナップとして、センサー、エフェクター、指揮統制システム、それらの統合作業を一体化し、米国やその同盟国に最先端のミサイル防衛力を提供します。


レイセオン・テクノロジーズについて

レイセオン・テクノロジーズは、世界中の民間企業、軍隊、各国政府といった顧客に高度なシステムやサービスを提供する航空宇宙・防衛会社で、業界を牽引する4事業部門、すなわちコリンズ・エアロスペース・システムズ、プラット&ホイットニー、レイセオン・インテリジェンス&スペース、レイセオン・ミサイルズ&ディフェンスから成っています。従業員総数は195,000名で、当社が世に知れた科学分野の最前線で活動するための原動力です。彼らは、量子力学、電気推進、指向性エネルギー、極超音速、アビオニクス、サイバーセキュリティの各分野で、それぞれの限界を押し広げるソリューションを想像し、実現させます。当社は2020年、レイセオン・カンパニーとユナイテッド・テクノロジーズの航空宇宙事業を経営統合してできた会社で、マサチューセッツ州のウォルサムに本部があります。
歴史的な実験が成功した。
かつて弾道ミサイル迎撃ミサイル(ABM)がICBMを迎撃できるという前提条件で米ソ間で1972年、弾道弾迎撃ミサイル制限条約(ABM条約)が締結された。

今考えるとなんと滑稽な条約であったのか!  更にICBMを宇宙空間にて迎撃するというSDI構想のコケ脅しによって、ソ連は国家だ崩壊してしまったのだ。すべては、迎撃困難なICBMを核弾頭付の迎撃ミサイルで迎撃できるという幻想の上で成立した夢物語の上に成り立っていた話である。

SM-2によって中距離弾道弾を迎撃することは可能であったが、更に高空を飛行するICBMは今まで困難とされていたが、ICBM迎撃したのは歴史的に初めてのことである。