【SANSPO】2021.2.10 05:02 

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代表作「刑事コジャック」の写真と大好きなたばこを手にする森山さん。あの渋い声は、もう生で聞けない…=1976年

米ドラマ「刑事コジャック」やアニメ映画「紅の豚」の渋いダミ声で知られた声優で俳優、森山周一郎(もりやま・しゅういちろう、本名・大塚博夫=おおつか・ひろお)さんが8日午後9時10分、肺炎のため埼玉県の病院で死去したことが9日、分かった。86歳だった。葬儀は近親者で執り行う。プロ野球・中日の大ファンとしても知られた。主人公の祖父役を演じた昨年のNHK連続テレビ小説「エール」が最後の出演作となった。

 低音の魅力で一時代を築いた昭和一桁世代。森山さんが旅立った。

 この日、所属事務所が公式ツイッターで報告。「芸能生活63年の間、ファン並びに関係者の皆様には多大なるご支援をいただき、まことにありがとうございました」と感謝した。

 関係者によると、森山さんは昨年12月、埼玉県久喜市の自宅で転倒。腰などを骨折し入院した。入院中にもともと悪かった肺がさらに悪化。一時は持ち直すも今月8日に容体が急変し、帰らぬ人となった。若い頃から愛煙家でもあった。

 名古屋市出身。愛知県立犬山高校では硬式野球部に所属し、走攻守の三拍子そろった外野手。愛知県大会でベスト4まで進んだが、甲子園出場の夢は果たせなかった。故郷の中日が大好きで、俳優仲間らとファンクラブを作ったり、晩年も足繁く球場に通った。

日大芸術学部を中退後、1953年に劇団東芸に入団。人気ドラマ「特別機動捜査隊」や時代劇を中心に、刑事から重厚な悪役まで幅広く演じる一方、草野球チームも結成した。エースで4番を務め、声をからして仲間を応援するうちのどをつぶし、元のダミ声にさらに磨きがかかった。

 その渋い低音を生かして、洋画の吹き替えでも活躍。当たり役は73年から6年間にわたって放送された米人気ドラマ「刑事コジャック」。米俳優、テリー・サバラス(94年死去、享年72)が演じたタフな主人公・コジャック警部補の日本語吹き替えを務め、お茶の間の人気者になった。

 アニメ映画「紅の豚」(92年公開)では、トレンチコートの似合う主人公ポルコ・ロッソの声を担当。森山さんの声のファンだった宮崎駿監督(80)直々のオファーで引き受け、「飛ばねえ豚は、ただの豚だ」は名せりふとなった。

 99年に脳梗塞を患い、手足のしびれなど後遺症に悩まされたが、「エール」で窪田正孝(32)演じる主人公の頑固な祖父役を演じたのが最後の仕事に。独特の声で多くの人を魅了した86年の生涯だった。

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森山さん(前列左から3人目)は長門裕之さん(同2人目)、藤村俊二さん(同4人目)、坂上二郎さん(後列左から2人目)らと「昭和九年会」のメンバーとしても活躍した=2000年

「紅の豚」マドンナ役の加藤登紀子が追悼

 「紅の豚」でマドンナのマダム・ジーナ役として森山さんと共演した歌手、加藤登紀子(77)は自身のツイッターで「寂しく、懐かしく、胸がいっぱいです。心からご冥福をお祈りします」と故人を偲んだ。「『いい奴は皆死ぬな』と言ったポルコロッソ。このシーンを録音したのが、森山さんとの初対面でした。あの声を聞いて、瞬間的に、私はジーナになれたのだと思います」(原文ママ)と当時を振り返った。

森山 周一郎(もりやま・しゅういちろう)

 本名・大塚博夫(おおつか・ひろお)。1934(昭和9)年7月26日生まれ。名古屋市出身。仏俳優、ジャン・ギャバンや米俳優、チャールズ・ブロンソン(いずれも故人)の声も担当した。声質は幼少時からおとなびた低音だったという。俳優、宝田明(86)や女優、中村メイコ(86)と結成した昭和9年生まれの芸能人の親睦団体、昭和九年会の一員でもあった。高校時代の同級生だった夫人との間に1男1女

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子供の頃刑事コジャックやチャールズブロンソンの吹き替え役やゴルゴ13といった渋いカッコいい大人の声優といえば、森山周一郎氏だった。そして、我々世代から言えば紅の豚ポルコ・ロッソ役だったろう。「飛べない豚は、ただの豚だ」、ごく当たり前のことを言っているのだが、男の生きざまを肯定するカッコいい名言となった。

紅の豚は宮崎アニメの中でもっとも大好きな映画だ。自分がポルコの歳となってジーナとの関係や、最後まで自由に生きることがものすごくかっこよく思えた。紅の豚ポルコロッソは架空の人物だが、いつしかポルコは森山周一郎氏と重なっていたかと思う。

森山周一郎氏の声は本当にカッコいい。城達也さんや野沢那智さんはだいぶ前に旅たち、私から見たちょっと上のカッコいい大人達、森山周一郎氏が吹き替えた男くさいチャールズブロンソン、高倉健、菅原文太、松方弘樹といったカッコいい大人達も既に鬼籍となられた。かっこいい大人と言える人達で残るは北大路欣也さんや藤竜也さんぐらいであろうか?
渡辺謙・草刈正雄・三浦友和・吉田鋼太郎世代は私達1960年代に生まれた世代から見ると大人世代と言うより兄貴世代、中井貴一・真田広之・織田裕二・香川照之は同世代にあたる。皆いずれ必ず旅たちの時は来る、わたしはいつでも旅経てるよう、心構えを備えておきたい。

紅の豚の設定時代は1929年10月の世界恐慌の翌夏なので1930年、ポルコ推定年齢40歳過ぎ、映画のエンディング、17歳だったフィオがジェット水上機でホテルアドリアーノを訪問するシーン1960年代初頭、ポルコとフィオの歳の差23~25歳 私が生まれた1963年だとすると、フィオ50歳 ポルコ72-75歳だった。

映画の公開は1992年から30年近く経ったので今年で生誕130数年くらいになるが・・・
森山周一郎氏が存命だったつい先日まではポルコもなんとなくどこかで生きていたような気がしていたが、森山周一郎氏が亡くなったことにより架空のポルコもこれで故人となったような気がする。

現在宮崎駿さんは「君たちはどう生きるか」を製作されているが、宮崎駿さんにはもうちょっと長生きして、ナウシカをリメイクもしくは、原作6巻分の続編を製作してほしいものです。


•2018/11/02