【パンドラの憂鬱】2021.03.01

中国税関当局は先月26日、台湾産パイナップルの輸入を、
3月1日から停止すると突如として発表しました。
中国側は、検疫で害虫を何度も検出した為と説明していますが、
台湾側は「検疫の合格率は99・79パーセント」と主張し、
「政治的な動機を疑わざるを得ない」と中国を非難しています。

去年、台湾から輸出されたパイナップル4万5000トン余りのうち、
97パーセントを中国向けが占めており(金額は約53億円)、
このままではこれから本格的な収穫期を迎える台湾南部の産地に、
大きな打撃を与える可能性が高くなっています。
蔡英文総統もこの事態を非常に憂慮しており、
英語と日本語で台湾産のパイナップルをアピールされています。

そういった中で日本では、台湾のパイナップルをサポートする動きが。
小野田紀美参議院議員や高須院長などの著名人が支持を表明した他、
多くのツイッターユーザーなども台湾産パイナップルの購入を表明
(謝長廷駐日代表はSNSで日本人ネットユーザーの支援に言及した)。
現地報道によると、既に日本のスーパーマーケットも取り扱いを決め、
また、台南でラーメン店を経営する日本人男性は、
1000キロの台湾産パイナップルを購入し、
「ラーメン一杯の注文でパインを1つプレゼント」
というキャンペーンを行う事を発表しています。

こうした日本人による支援の動きは台湾メディアも大きく報じており、
各投稿には現地から感謝と感動の声が殺到しています。
その一部をご紹介しますので、ごらんください。

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■ 泣ける! これだから台湾の真の友人は日本なんだよなぁ。 +3

■ 本当にありがとう。また日本との距離が近づいた気がします。台湾にとって日本は本物の友人です。 +43

■ 日本はパイナップルの需要が多いし、利益も大きい。その一方で品質に対する要求レベルも高い。台湾の農家はもっと進歩しないとね。

■ 日本人の台湾に対する深い愛情に感謝します。 +2

■ 台湾人としても中国人より日本人に買って欲しいもんね。 +24

■ 民主主義と自由と安全保障のために、いっそ全面的に中国との取引はやめようよ。 +2

■ 台湾のパインは本当に美味しいと思う。頑張ろう👍 +18

■ 日本の友人たちは台湾を大切にしてくれる。中国人とは本当に大違いだ! +2

■ ありがとう日本。
私も日本のフルーツを買いたいけど、高すぎるんだよ😢 +5

■ 関心を示してくれる事がまずありがたい。手を差し伸べてくれる日本人にお礼を言いたい。 +1

■ やはり日本と台湾は父と子の関係である。 +2

■ いい傾向じゃないか。日本と台湾、力を合わせて中国に対抗していこう。 +8

■ 日本に恩を感じてる。台湾のパイナップルをサポートしてくれてありがとう! +5

■ 日本で起きてるムーブメントを知って涙が出るくらい感動した😭 +11

■ 日本は愛と正義を大切にする国であり、何が台湾の為になるのかを理解してくれる国だ。だけどこちらから支援を求めるのはやめようね。 +52

■ 台湾と日本は兄弟の国だ! +32

■ やばい、感動した。何回でも言うよ、ありがとう! +7

■ 糖尿病の人は食べ過ぎないように気をつけてください。 +11

   ■ 基本的には関係ないよ。もちろん食べ過ぎちゃいけないけど。 +4

■ 個人的には中国と経済的に距離を置く事はプラスだと思ってる。日本の皆さん、台湾のパイナップルをお買い上げいただき、本当にありがとうございます。 +3025

■ 台湾の果物だって、日本の果物に負けてないはず。 +2

■ 中国と友人になるくらいなら、媚日と言われても日本と良い関係を築いていきたい。 +18

■ 自分も風評被害に苦しむ福島の特産品を買って支援したい(台湾)政府は門戸を開いてくれ。 +4

■ 本来こうあるべきだったんだよ! 素晴らしい!
本土よりも日本の人たちに食べて欲しいもん。 +4

■ むしろ台湾のパインを食べられなくなる、中国の一般人民を可哀想に思っております。 +9

■ 台湾と日本の関係は今が最高潮だと思う。日本の兄貴となら公平な取引が出来るしね。 +3

■ 日本と協力して、パイナップルの酒、ビネガー、ディップソースとか色々作っていけないかな。新しい市場を開拓出来るんじゃないかと思うんだ。 +4

■ 日本の皆さん、台湾の農家を救ってくれてありがとう! +15

■ 前に日本のスーパーで販売されてるのを見たけど、台湾産のパイナップルは決して安くなかった。それにしても、日本人はなんてキュートな人たちなんだ。

■ 日本が隣国で本当に良かった。中国が隣国で本当に最悪だ。 +13

■ やっぱり日本は台湾にとって特別な友人だね。 +7

■ 日本には舌が肥えた人が多いし、きっと台湾産パインの良さを分かってくれるはず! +3

■ こういう事が起きるたび、台湾は団結する。
そして日本との絆がさらに深まるんだ。中共に感謝する。 +3

■ ありがとう日本。
 台湾と日本、これからも共に前に進んでいこう! +12

なお現地紙は、日本に輸出した方が利益率が高いのにもかかわらず、
それでも台湾の農家が中国へ輸出する理由として、
「中国は品質の良し悪しにかかわらず買ってくれる」、
「中国向けはパイナップルのように見えれば問題ない」
という業界内の暗黙のルールがある事を指摘しています。






【どんぐりこ】2021年03月07日 07:53 

日本が台湾産パイナップルをどんどん買ってることが話題になっていました。

中国政府が輸入規制を行った台湾産パイナップルを救おうと日本が立ち上がった件で、当初見込まれていた5000トンの日本からの予約がさらに増えて、現時点で6200トンになっているようです。

そんな台湾のためにパイナップルを買いすぎる日本に、海外からは驚きの声が寄せられていました。





日本のネチズンもコメントで台湾産パイナップルの支援を呼びかけてる。
”中国共産党が台湾産パイナップルを規制した。台湾産パイナップルが美味しいことを証明しよう。中国共産党が買わないから、俺達に日本人が買おう。俺はすぐに買っていま食べてるところ”

以下、反応コメント

・海外の名無しさん

日本人のコメントが最高だね。
俺もすぐに買って食べたよ!


・海外の名無しさん

中国がやってる侵略やムスリム虐殺に対する報いがあることを願ってるよ。


・海外の名無しさん

中国がどこかの国に嫌がらせをしたら、みんなで助けてるね。


・海外の名無しさん

日本人はピザにするつもりなの?


・海外の名無しさん

ぜんぶピザにしますように。


・海外の名無しさん

Penはどこが作るんですかね。


・海外の名無しさん

↑日本にはすでにペンテルや三菱鉛筆、ふじりんごがあるから、世界を征服できるよ。


・海外の名無しさん

フリーダム・パイナップルやぁ。


・海外の名無しさん

新鮮なパイナップルが買えるパイナップルベルトからはなり離れたところに住んでる人間からすると、きっと美味しそうな見た目のパイナップルなんだろうなって思う!


・海外の名無しさん

日本が毎年いっぱいパイナップルを買わない限りは、長期的な解決策にはならないけどね。


・海外の名無しさん

他の国が中国依存を脱却できることを示すためにパイナップルが重要な役割を担ってるのが面白い。

・海外の名無しさん

台湾産パイナップルとオーストラリア産ワインはフリーダムの味だよ。

・海外の名無しさん

日本人はフルーツが大好きだから、日本がパイナップルを食べまくったら、中国は永久に食べられなくなるよ。

・海外の名無しさん

日本はよくやった!

・海外の名無しさん

日本人にTepache(メキシコのパイナップル発酵飲料)を魔改造してもらうときが来たようだ。
発酵食品の長い歴史を持つ国だしね。

・海外の名無しさん

1個3000円くらいするんだろうか。日本のフルーツと野菜はめっちゃ高いから。

・海外の名無しさん

↑ブランドのフルーツや野菜はめっちゃ高いよ。
日本の食品はめっちゃ安い。
昨日は250円でパイナップルを買ったし。

・海外の名無しさん

台湾産フルーツは最高だよ。
ニカラグアやベネネズエラみたいな独裁国家じゃなく、台湾産をもっとヨーロッパで見たいよ。
日本産フルーツみたいに法外な値段を日本人が払わなくて済むことを願ってるよ。
日本に行ったときは値段にびっくりしたもん。
グレープ、ストロベリー、アップルがオーストリアであの値段だったら暴動になるよ。


・海外の名無しさん

日本人が台湾人を大好きなのは本当だよ。
左派や右派の枠を超えて、台湾の民主主義だ大好きな日本人がいっぱい居る。
台湾はアジアで一番民主的だよ。
台湾は平和主義で、他国を支援しようとするし、台湾みたいに魅力的な国を大好きになるのは自然だね。


・海外の名無しさん

↑台湾にはワクワクしてるよ。
この10年以上で君の言うような面ですごく成長してる。
日本が助けに入ってるのも素晴らしい。
はっきり同盟するのが難しい不透明な次期だから余計に。


・海外の名無しさん

マレーシア産で1トン600ドル以下だから、大きな差がなければ350万ドルくらい。
小さくはないけど、国際貿易で言えば大騒ぎするほどでもないよ。
大半は台湾国内で消費されるのが勿体無いね。
カナダに送ってくれたら2倍の値段を払うのに。
台湾産が入ってくれば、台湾テーマのバーとかが便乗してくるかも。


・海外の名無しさん

↑台湾ではパイナップルケーキを作るのに使ってる。
大好物だよ。


・海外の名無しさん

↑俺が台湾人だったら、カナダには一番粗悪なのを売るだろうな。
ライバルが居ないからね。
ヨーロッパも同じなんだよ。
スペインとイタリアのトマトが年中買えるけど、安いだけで粗悪品だよ。
イタリアの市場で買えるものとは比べ物にならない。
2倍の値段払ったとしても、ほんのちょっとマシなゴミになるだけ。


・海外の名無しさん

↑それなのに日本は10ドルで売ることに賭ける人?
1トン600ドルのパイナップルだと、1個0.55セントくらい。
もちろん、輸送とかいろいろく加わってるけど、日本はちょっと高すぎる気がする。


・海外の名無しさん

↑1トンがたったの600ドルってマジなの?


・海外の名無しさん

↑大量に買って鮮度を維持できるならね。


・海外の名無しさん

これは最高に素敵なものだよ。
他の国が国を挙げて他の国に感謝するなんて。
アメリカも同じことをしてほしいな。
棒軍が政権を持ってる間、多くの国が我慢してくれたから。


・海外の名無しさん

I have a Pen. I have an Apple.


・海外の名無しさん

これは素晴らしい記事だし、アンフェアな中国にスポットライトを当ててるね。


・海外の名無しさん

"Taiwan Pineapple Apple Pen"ってけっこういいよ。
台湾は彼に新曲を作ってもらうんだ。。




【パンドラの憂鬱】2021.03.09

「商品の中から害虫が検出された」事を理由に、
3月1日より中国から締め出された台湾産のパイナップル。
中国への出荷量は輸出全体の9割を占めていた事から、
台湾のパイナップル農家が大打撃を受ける中で、
日本国内では、台湾産を買い支えようという動きが起きています。

そして実際に全国各地のスーパーマーケットでは、
台湾産パイナップルの取り扱いが開始されているのですが、
他の商品と比較すると高額であるにもかかわらず、
売り切れ情報がネット上で続出しています。

台湾の大手メディア「自由時報」などが、実際のスーパーの様子を写した写真と共にその件を報道。
東日本大震災が発生した際の台湾からの支援に対する、恩返しの側面がある事にも触れられており、
台湾の人々からは、感動の声が殺到しています。
その一部をご紹介しますので、ごらんください。

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日本向けの輸出は昨年、2000トン余りにとどまっていたが、行政院(内閣)農業委員会の陳吉仲(ちんきちちゅう)主任委員(閣僚)によれば、3日までで日本から5000トンの注文が入り、日本への輸出量が過去最高を更新する見通しとなった。陳主任委員は4日、さらに1200トンの追加注文が入ったと明らかにし、累計6200トンに達する見込みだ。

同センターによると、現時点で台湾産パイナップルの販売が決まっているスーパーは、ロピア、ベルクス、ツルヤ、イズミなど。西友では今月7日に販売開始の予定。月末にはこれ以外の店でも販売される見通しだという。


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■ 泣ける😭😭😭
  隣の商品の倍の値段がするのに、
  日本人は台湾をサポートする目的で、
  台湾産のパイナップルを選んでくれてるんだよ……。 +14

■ 全ての台湾人が日本人の優しさに感動してるよ! +3823

■ 台湾の農家をサポートしてくれてありがとう!
  日本が友人で本当に良かった! 感謝します。 +2

■ こんなの泣くに決まってるって😭 本当にありがとう。

■ 俺も他の国のパイナップルを食べてみたいな。
  どれくらい味に違いがあるのか気になるもん。 +1

■ すぐ隣に割安なパイナップルもあるのにね。
  なんて感動的な光景なんだ! +36

■ 日本人は味の良し悪しに敏感だから、
  台湾のパイナップルの美味しさを分かってくれてるんだよ。 +6

■ 台湾の危機に手を差し伸べてくれた日本の友情に感謝❤️ +113

■ 台湾の経済は昔とは違い強くなった。
  中国共産党が傲慢な態度をとれば、
  彼らには悲惨な状況が待っている。 +2

■ 兄弟国ってこういう事だよね。
  困った時には手を差し伸べ合うんだ。ありがとう日本❤️ +2

■ 日本人は実際に行動に移して支援してくれる。感動的だ! +31

■ 今回初めて他の国のパインは芯が食べられない事を知った。 +2

■ 中国の対応は逆効果だったな。
  台湾と日本はお互いに支え合ってるんだ。
  中国は逆境の中にある真実を直視した方がいい。 +9 香港

■ 台日友好。さすが兄弟の国。
  台湾も日本も、互いに対する恩を忘れないのがいいね! +8

■ でもフィリピンのパイナップルさんが可愛そう……。 +6

■ って言うか、フィリピン産の倍の値段がするんだね。 +4

■ 台湾では日本の物なら何でも大人気。
  「日本製」を持ってる事を人に見せびらかすからね。台日🤝友好。 +5

■ 日本の皆様、温かいご支援、誠にありがとうございます🙇 +47

■ これは日本の友達から送られてきた写真。 +36
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■ "台湾は 日本の農家さんと同じよに 心を込めて育てて
  香甜味美 の果物が一杯ありますので、
  ぜひ 召し上がってみて下さい。"(原文ママ) +2

■ ありがとうな兄弟。本当に感謝してるよ。 +91

■ 自由の味の価値は左隣のお宅には分からないでしょうね。 +18

■ 僕も台湾のパイナップルは本当に美味しいと思う。
  日本の友人達よ、ありがとう。日本のリンゴも一流だ。 +6

■ 香港でも報じられてて、みんなメチャクチャ感動してるぞ。 +8 香港

■ でも日台の友好は民間レベルで止まってるんだよなぁ。
  日本政府が国として認めてるのは中国の方だし。 +3

■ 実は友好の為じゃなく単に美味しいから買ってくれてる説。 +8

■ 隣にあるのはDOLEのパイナップルで値段も半額なのに、
  それでも台湾産を選んでくれてるなんて、泣ける! +52

■ 日本は懐が深いね!❤️❤️❤️
  彼らは一度受けた恩を絶対に忘れる事がない! +12

■ おやっ、西の方から泣き崩れる音が聞こえるぞ……。 +12

■ 日本の優しさに涙が……。
  日本のコロナが終息しますように。
  早くまた日本で遊びたい! +6

■ 311の時に一度支援しただけなのに、
  日本の感謝は10年が経った今も続いている。 +13

■ 日本のみんな、ありがとう!
  お互いに助け合う事は普遍的な価値だ!
  特に311が近い事もあって、特別な感慨を覚えてる! +4

■ 僕たち台湾人が近隣諸国の中で、
  日本に対して一番深い友情を感じる理由は、
  こういうところにあると思うんだ。
  お互いに助け合って、それが上手くいってるんだよね。
  日本人のおかげで、僕らも友好的になれるんだ! +87

   ■ 日本人は恩を忘れないし、感謝の方法を理解してる。
     他の国の場合はどうしても損得勘定などの思惑が働く。
     本来は台湾と日本がそうであるように、
     相互的な信頼と利益がないといけないんだ。 +11

■ 朝からハッピーなニュースが聞けて嬉しい。
  私は台湾で生まれ育って、今は日本で暮らしてる。
  2カ国がお互いに手を差し伸べ合う姿は、
  見ていて本当に幸せな気持ちになる!
  今回もまた、台湾をサポートしてくれてありがとう😊 +15


実は私も台湾パイナップルを買いに24時間営業の市ヶ尾の西友へ寄ろうと思ったのだが・・・まだ買っていません。勿論台湾支援だが、芯まで食べれて美味しいという評判に乗ってみたい、明日こそ忘れずに買いに行きたい。

台湾の政治家蔡英文総統、中共コロナウィルスを見事に撃退した、台湾「天才」IT担当大臣唐鳳(オードリー・タン)氏そして、台湾パイナップルを日本に売り込んだ元台南市長の頼清徳副総統、なんと若くて有能なリーダー達が揃っているのか!

日本は安倍政権後、二階を切れない菅政権、全く無能なゴミ野党・・・・
一部の有能な政治家も日本にも居なくはないが・・・・台湾から比べると悲しいくらいに寂しい。

中共ウィルス患禍にほぼ完勝した台湾、今回の「パイナップル戦争」での政治家の臨機応変な対応、その頼もしい姿は、わが国の政治家の無能な対応ぶりには、天と地ほどの差があると言わざるを得ない。

中国が突如中国がパイナップルの禁輸を打ち出すと、台湾政府のトップらは「中国による不当な圧力、嫌がらせだ」として即応した。

世界に対して「台湾産パイナップルを買って応援してください」というムーブメントを起こしたのだ。まずは日本のネットで、またたく間に広がった。ちょうど日本も3.11から10年の節目を迎え、台湾の熱烈な支援を思い出した日本人も多かったからかもしれません。

あっという間に日本では台湾パイナップルブームが到来して、どこもかしこも完売とのことで、私は支援に出遅れてしまったが、店で見かけたら絶対に買おうと思う。

ネットを見る限り「中国の嫌がらせに屈しない」との意志を、台湾の人たちと共有したい日本人が沢山いる証拠だろう。

中国の暴挙に敢然と立ち向うという流れは、日本や台湾だけではない。


オーストラリアがウイルスの発生源に関する調査を呼び掛た、すると、中国はこれに猛反発。オーストラリア産の大麦に高関税を課し、2020年11月豪産ワインに最大212%の関税対象反ダンピング関税を課す方針を発表。これに対し米国・台湾を中心にオーストラリアワインをフリーダム・ワインと呼び豪州産ワインの支援の輪が世界に広がった。

海外反の反応の中にあった投稿の中にフリーダム・パイナップルとあったのは、このフリーダムワインを捩ったものだ。

このところ世界中で中国はもはや人類の敵「悪の中国共産党帝国」批判の大合唱が起きている。やはり中共ウイルス発生初期における情報隠しがパンデミックを招いたとして中国の責任が問われているのだ。だが中国は批判に耳を貸さず、発生直後世界中でマスクを中共の指示で買い占めさせた。

他国にワクチンやマスクを提供し、暗黙のうちに政治的な見返りを求めた。その上マスクは不良品で、返品が相次いだ。ウイルスの発生源に関する調査をかたくなに拒んだ揚げ句、国際世論の圧力に負けて、証拠を消し去った後で渋々受け入れる──習近平率いる中共のこうした独善的態度に、世界中の怒りが高まった。


破綻寸前に陥った「一帯一路」の参加国に債務の返済を免除するなり、貧困国に見返りを求めずに医療援助を行うなり、大国にふさわしい寛大さを示せばよかった。だが習政権にそんな度量はなかった。

けんか腰の外交姿勢にせよ、周辺地域での拡張主義的な活動にせよ、中国のやり方に世界は警戒を募らせている。にもかかわらず習は今の危機を覇権拡大の好機と見なしている。

実際、中国はパンデミックを最大限利用しようとした。1月時点で防護服などを買い占め、その後に価格をつり上げて暴利を得た。欠陥品のマスクや検査キットを売り付けたことも国際社会の怒りを買った。

世界がウィルスと闘っている隙に、香港への締め付けを強めるなど、戦狼外交と言われる、強硬姿勢一点張りの外交姿勢で、火に油を注いでいる。

もはや香港の一国二制度は事実上消滅した。民主活動家だ逮捕され、中国は国境地帯でインド軍に小競り合いを仕掛け、尖閣諸島周辺の海域で挑発行為を繰り返し、国際ルールを無視した海警法の制定した。また、南シナ海の島々を管轄する行政区を新たに2つ設定し、この海域の支配を既成事実化する動きも関係国の神経を逆なでした。

もはや世界は中国への評価は元の状態には戻らない。世界は中国共産党の危うさに気付き、サプライチェーンから中国をはずし、中国に投資した工場や資本を急激に引き揚げている。

中国がある国に、今回のような圧力をかければ、世界は一致団結して中国に対抗する流もできた。

幸運なのは皇帝である習近平が、頭が良くない点であろう。鄧小平氏のような切れ者であったのなら、世界中を敵に回すような愚かなことをしなかったはずだ。

ウイルスも初動対応を誤らなかったかもしれません。

習近平は批判をかわそうと事実をごまかし、外交攻勢や情報操作で大国の面目を保とうとした。対外的な隠蔽工作や他国に対する恫喝といった習近平の恥知らずなやり方は今に始まったものではないが、今回ばかりはそれが全て裏目に出たようだ。

その結果、トランプ政権によりウイグル人へのジェノサイト認定は、日本や韓国など未だ親中派が政権中枢に居る国々を除いて瞬く間に認定された。中共はもはやナチスと同等の世界的な「悪」の代名詞である。

米国は、トランプ大統領の尽力で世論、議会、政府は、中国とその指導層は、悪の帝国であるとの認識を持ったが、バイデンになっても変化はない。

ニクソンの突然の訪中以降、今ほど中国に対する世界の風当たりが強まったことはない。習近平のまるで皇帝のように振舞うそぶりはブーメランとなって跳ね返ってきた。人類の敵「悪の中国共産党帝国」確定である。




国際法を無視する中国の傍若無人、その根拠と対策
常任理事国の特権を悪用する“大国”への対処法とは
【JBpress】2021.3.3(水)横山 恭三

中国が2月1日に施行した「海警法」は、海洋法秩序の一般法として定着している国連海洋法条約の条項に違反する国際法違反の法律である。

 特に、安全保障の観点から懸念されるものが、外国軍艦や政府船舶といった主権免除船舶に対する実力行使と、公海自由への制限となり得る管轄海域の設定である。

 これに対し、日本政府は「深刻な懸念」「同法が国際法に違反する形で運用されることはあってはならない」と表明するにとどまり、海警法が国際法違反であるという抗議をしていない。

「自民党国防部会関係者も、国際法に反する形で運用されることがあってはならないのは当たり前で、海警法が国際法違反だとはっきり言うべきだ」(産経新聞2021年2月26日)と政府の弱腰を批判する声が上がっている。


 さて、中国の三戦(世論戦・心理戦・法律戦)はよく知られている。

 法律戦とは、国際法の解釈を恣意的に変更することによって政治上の目的を達成することである。さらに厄介なことに、中国は国際法違反を全く意に介していない。

 例えば、2013年1月に中国の九段線等の主張に対して、フィリピンが中国を提訴した仲裁裁判では2016年7月に中国がほぼ全面的に敗訴した。

 ところが、中国政府は仲裁裁判所の裁定を「紙屑」「無意味」などと批判し、行動を改める様子は露ほども見られない。

 中国は、南シナ海の実効支配や軍事基地化を国際法違反であると指摘する国際社会の声に耳を貸さず、不法な行動や侵略的行為を露骨に行っている。

 このように国際法を無視し、傍若無人に振る舞う中国に対して日本および関係諸国はどのように対応すればよいのであろうか。

 以下、初めに中国の国連海洋法条約における国際法違反の現状について述べ、次に、南シナ海の実効支配や軍事基地化に対する関係諸国の対応について述べ、最後に日本の取るべき対応について述べる。

1.中国による国際法違反の現状

 中国が関係する海洋をめぐる紛争には共通する要因がある。

 それは、中国の国際法(国際条約や慣習国際法)の解釈が一般的な解釈と異なるのである。その要因の一つは、中国は、国際法より国内法を優先していることにある。

 例えば、1992年に制定された「中華人民共和国領海および接続水域法(以下「領海および接続法」)」の第2条では、何ら国際法の根拠もなく、尖閣諸島や東沙群島、西沙群島、中沙群島、南沙島などを中国の陸地領土であると規定している。

 この「領海および接続法」が、南シナ海や尖閣諸島をめぐる紛争の根源となっている。


 以下、初めに海警法成立以前における国際法違反について述べ、次に今回の海警法における国際法違反について述べる。

(1)海警法成立以前における国際法違反

 国連海洋法条約(以下、海洋法条約)が、1982 年に採択され、1994年11月に発効した。中国は1996年に海洋法条約を批准・締結した。

 以下、中国の海洋法条約締結時からの国際法違反である、「外国軍艦の無害通航権の否定」と「接続水域における安全保障に関する自国法令の適用」について順次述べる。

ア.外国軍艦の無害通航権の否定

 海洋法条約第17条は、「すべての国の船舶は、沿岸国であるか内陸国であるかを問わず、この条約に従うことを条件として、領海において無害通航権を有する」と規定している。こうした権利を船舶の無害通航権という。

 ところが、中国は領海における外国軍艦の無害通航権を認めていない。

 中国は1996年に国連海洋法条約を批准した際に外国軍艦の領海通航に関し、「解釈宣言」(注1)を行い、その中で、中国は領海を通航する外国軍艦が事前に沿岸国に通報またはその許可を得ることを要求しているのである。

 また、中国の国内法である「領海および接続法」第6条後段でも、「中国領海に進入する外国軍艦は、中国政府の許可を得なくてはならない」 と規定し、外国軍艦の無害通航権を否定している。

 よって、海洋法条約が無害通航権を認めている外国軍艦に対して事前許可を要求することは国際法違反である。

(注1)国連海洋法条約第310条では、締約国は自国法令との調和を図るために宣言または声明するが認められている。

イ.接続水域における自国法令の適用

 海洋法条約第33条は、「沿岸国は、自国の領土または領海内における通関上、財政上、出入国管理上または衛生上の法令の違反を防止するために接続水域で必要な規制を行うことができる」と規定している。

 ところが、中国は、国内法である「領海および接続法」第13条で「中華人民共和国は、接続水域内において、その陸地領土、内水または領海内で安全保障、税関、財政、衛生または出入国管理に関する法律または法規に違反する行為を防止し、処罰するための管制権を行使する権限を有する」と規定している。

 さらに、国連海洋条約で認められた通関、財政、出入国管理または衛生に加えて、安全保障を規制の対象に含めている。


 よって、国内法で接続水域での規制対象に安全保障を含めることは、海洋法条約により規定されていない権利を主張するものであり国際法違反である。

(2)海警法における国際法違反

 以下、海警法の国際法違反である「主権免除船舶に対する強制措置」と「『管轄海域』の設定」とについて順次述べる。

ア.外国軍艦や政府船舶といった主権免除船舶に対する強制措置

 海洋法条約第95条は「公海上の軍艦は、旗国以外のいずれの国の管轄権からも完全に免除される」と規定し、同第96条は「国が所有しまたは運航する船舶で政府の非商業的役務にのみ使用されるものは、公海において旗国以外のいずれの国の管轄権からも完全に免除される」と規定されている。

 ゆえに外国軍艦や政府船舶は主権免除船舶である。

 ところが、海警法第21条では「外国の軍用船舶および非商業目的に用いる外国政府の船舶の我が国が管轄する海域における我が国の法律、法規に違反する行為に対し、海警機構は、必要な警戒および管理措置を講じ、それらを制止し、関係する海域を直ちに離れるよう命じる権利を有する。離れることを拒否するなどの場合、海警機構は強制退去、強制曳航などの措置を講じる権利を有する」と規定している。

 よって、海洋法条約により外国の執行管轄権の行使から免除されている軍艦・公船に対して、法執行として強制的な措置を取ることは国際法違反である。

イ.「管轄海域」の設定と国際法の法的根拠を欠く権限行使

 海洋法条約は、領域主権が認められる領海よりも外側の水域において、機能的に限定した管轄権を沿岸国に認めている。

 具体的には、同条約第33条は、接続水域では、通関、財政、出入国管理または衛生について必要な規制を認めており、同条約第56条は、排他的経済水域では、天然資源などについての権利を限定的に沿岸国に認めている。

 ところが、海警法第3条は、「海警機構は中華人民共和国の管轄海域(以下、我が国管轄海域と略称する)およびその上空において海上権益擁護の法執行活動を展開し、本法を適用する。」と規定している。

 また、同法第12条では、「我が国管轄海域において巡航・警戒を展開し、重要な島嶼を監視し、海上境界線を管理保護し、国家主権・安全・海洋権益に危害を加える行為を予防・阻止・排除する」と規定している。

 しかし、海警法にも他の中国の法律にも管轄海域が定義されていない。このため海警局は恣意的に管轄海域を設定し、海洋法条約が認めていない権限行使を行うことができる。

 よって、法的に定義されていない「管轄海域」の設定と海洋法条約が認めていない権限行使は国際法違反である。

2.南シナ海実効支配に対する諸国の対応
 
本稿では、フィリピンが国連海洋法条約に基づいて、中国を常設仲裁裁判所に提訴した、いわゆる南シナ海仲裁裁判の概要と、中国の不法な海洋権益の主張に対抗して、米国を中心に行われている「航行の自由作戦」の概要について述べる。

(1)南シナ海仲裁裁判

 中国は、1947年に当時の国民党政権が発行した地図に描かれた九段線(当初は十一段線であったが1953年にトンキン湾付近の2つの破線を削除し九段線となった)を根拠に、南シナ海の大部分を自国の領海であると主張している。

 中国が、南シナ海における権利の主張と九段線を結びつけて対外的かつ公式に示したのは、2009年に国連事務総長に提出した口上書であるとされる。


 さて、中国は、1958年9月に「領海に関する政府声明」(注2)を発表し、南シナ海の大部分を自国の領海と宣言した。


 さらに、1996年6月の国連海洋法条約への加盟に先立つ1992年2月に、海洋主権に関する国内法として「領海および接続水域法」を制定し、第2条で陸地領土について、「中華人民共和国の大陸およびその沿海島嶼を含み、台湾および釣魚島(尖閣諸島)を含む附属各島、澎湖列島、東沙群島、西沙群島、中沙群島、南沙群島および中華人民共和国に所属する一切の島嶼を包含する」と規定した。

 このように中国は国内法に基づき領有権を主張しているのである。

 一方、フィリピンは2013年1月22日、南シナ海におけるフィリピン管轄海域における領有権紛争の平和的かつ持続的な解決を実現するために、国連海洋法条約に基づいて、ハーグにある常設仲裁裁判所に中国を提訴した。

 フィリピンは、南シナ海における中国との領有権紛争を巡って、仲裁裁判に訴えた唯一の国である。

 中国外交部は同年2月19日、提訴は歴史的かつ法的に誤った措置であり、中国に対して受け入れ難い告発を含んでいるとして、フィリピンの仲裁手続きへの参加を拒否した。

 仲裁開始から3年半後の2016年7月12日、南シナ海仲裁裁判所は「九段線とその囲まれた海域に対する中華人民共和国が主張してきた歴史的権利について、『国際法上の法的根拠がなく、国際法に違反する』とする判断を下した。

 既存の国際法的枠組みとは相いれない中国の独自の主張であった九段線、海洋の歴史的権利について、判決は完全に否定したのである。

 中国外交部は7月13日に、「裁定は無効であり、拘束力を持たず、中国は受け入れず、認めないことを厳粛に声明する」とする声明を発出した。

 ところで、常設仲裁裁判所は、国際司法裁判所と違い、相手国が拒否しても手続きは進めることができる利点があり、また、その判決には法的拘束力があるが、裁判所は執行する権限を持っていない。

 一方、国際司法裁判所は、被告国が裁判の開始に同意して初めて裁判が開始される。その判決には法的拘束力があり、一方の国が判決に従わない場合には安全保障理事会は判決に従うように「勧告」することができる。

 だが、中国が常任理事国である限り、中国を非難する「勧告」は決して発出されないであろう。

 とするならば、大国であれば法を守らなくてもよいことになる。まことに不条理な話である。

(注2)同声明は「領海の幅員を直線基線から12海里とし、大陸と沿海の島嶼、公海を隔てた台湾と周辺の各島、澎湖列島、東沙群島、西沙群島、中沙群島、南沙群島、その他の中国所属の島嶼を含む一切の領土に適用する」とした。ただし尖閣諸島は自国領とは明示的に主張していなかった。

(2)「航行の自由作戦」

 2014年以降、中国は南沙諸島において大規模な埋立ておよび施設建設を開始するなど南シナ海全域での軍事基地化を進めた。

 2015年9月の米中首脳会談においては、バラク・オバマ大統領(当時)は南シナ海の問題を取り上げ、航行および上空飛行の自由を強調するとともに、「国際法が認めるいかなるところにおいても、米国は航行し、飛行し、運用し続けていく」と指摘した。

 また、埋立て、施設建設および軍事基地化について重大な懸念を伝えた。

 これに対し、習近平国家主席は「南シナ海の諸島は古代から中国の領土である」「我々は自らの領土に対する主権および合法かつ正当な海洋に関する権利と利益を堅持する権利を有する」と反論した。


 米中首脳会談から約1か月後の 2015年10月26日、米国は、米海軍イージス駆逐艦ラッセンを南シナ海に派遣し、中国が埋立て等を進める南沙諸島のスビ礁の 12海里内を航行させた。

 以下、米国および関係国がこれまでに実施した「航行の自由作戦」を時系列に沿って記載する(各種公開情報を筆者が取りまとめたものでこれがすべてではない)。

①2015年12月、豪軍の「P-3C」哨戒機が 「航行の自由作戦」を実施した。

②2016年1月、米駆逐艦カーチス・ウィルバー(USS Curtis Wilbur)がパラセル諸島 トリトン島の 12海里内を航行した。

③2016年5月、米駆逐艦ウィリアム・ローレンス(USS William P. Lawrence)がファイアリー・クロス礁の 12海里内を航行した。

④2017年5月、米ミサイル駆逐艦「デューイ」が南沙諸島のミスチーフ礁の12海里内の海域を航行した。トランプ政権では初の「航行の自由作戦」であった。

⑤2018年2月、米原子力空母カール・ヴィンソンを中心とする空母打撃群がフィリピンのマニラに寄港した。中国による南シナ海の人工島の軍事基地化が明らかになってから初めて米空母がフィリピンへ寄港した。

⑥2018年3月、米ミサイル駆逐艦マスティンが南シナ海のスプラトリー諸島のミスチー フ礁付近で「航行の自由作戦」を実施した。同時期、仏フリゲート艦ヴァンデミエールが、南シナ海で「航行の自由作戦」を行ったという情報もある。

⑦2018年9月、米ミサイル駆逐艦「ディケーター」が、「航行の自由作戦」としてガベン礁、ジョンソン南礁の12海里内の海域を航行した。この時、中国の旅洋型ミサイル駆逐艦が約41メートルの距離まで異常接近し、海域から離れるよう警告した。

⑧2018年9月、英揚陸艦アルビオンがパラセル諸島近くを航行した。関係筋は、中国が警告のため、フリゲート艦1隻とヘリコプター2機を派遣したことを明らかにした。

 英海軍報道官は「アルビオンは国際法・規範に完全にのっとり、『航行の自由』について権利を行使した」と説明した。中国外務省の華春瑩報道官は記者会見で、「中国の主権を侵害する行為であり、断固として反対する」と述べた。

⑨2019年2月、米ミサイル駆逐艦「スプルーアンス」と「プレブル」の2隻が、「航行の自由作戦」としてミスチーフ礁の12海里内の海域を航行した。

⑩2020年4月、米インド太平洋軍は、南シナ海に強襲揚陸艦「アメリカ」と巡洋艦「バンカーヒル」の2隻による「航行の自由作戦」を実施した。豪フリゲート艦「HMASパラマッタ」と米駆逐艦「バリー」が加わった。豪国防省は共同演習の一環だとしている。

⑪2020年12月、共同通信は、「英海軍が2021年初頭に、空母『クイーン・エリザベス』を中核とする空母打撃群を、日本の南西諸島周辺を含む西太平洋に長期展開させる」と報じた。

⑫2021年1月、日本経済新聞は、「ドイツ政府は独海軍に所属するフリゲート艦を日本に派遣する検討に入った。今夏にもドイツを出航する」と報じた。ドイツ海軍がアジアに展開するのは異例のことである。独政府は昨年9月にインド太平洋ガイドライン(指針)を閣議決定した。現在は指針にもとづく具体策を詰めており、海軍の派遣はその一環と見られる。

 以上のように、米国、米国の同盟国および関係国は、中国の不法な海洋権益の主張に対し、自国の権利を主張し、かつ不本意な同意をしないことを示すために、「航行の自由作戦」と称して、中国が占拠している南沙諸島や西沙諸島の周辺海域または領海内(12海里以内)に艦船を航行させている。

 だが、中国の不法行動はやむことがない。中国の実効支配を阻止するためにも「航行の自由作戦」を継続するしかないであろう。

 ちなみに、かつて空の「航行の自由作戦」では中国は自らの非を認めて措置を撤回した事例がある。簡単に紹介する。

 2013年11月23日、中国国防部は突然、「東シナ海防空識別圏」を設定し、すべての航空機に中国当局に飛行計画の提出を義務づけた。

 ところが11月26日、米軍のB52戦略爆撃機が中国政府への事前通告なしに同圏内を飛行した、同時に、米国防総省は中国が定めた規則に従わないと声明を発出した。

 それからしばらく経った2014年12月、中国国防部が防空識別圏の運用規則を各国向けの航空情報から削除した。このように空の「航行の自由作戦」は見事成功したのである。

3.日本の取るべき対応

 今、世界体制は無政府状態にある。つまり国家を取り締まる権威をもった組織が存在しないのである。

 第2次世界大戦後、国際社会は、国際連盟の失敗を反省し、国連軍(United Nations Forces)による集団安全保障制度を導入し、戦勝五大国(米・英・ソ・仏・中)の安全保障理事会における意思決定を重視した。

 しかし、冷戦時代は米ソ対立により、冷戦後は米対中・ロの対立により安全保障理事会は機能不全となり、結果、国連は国家による不法行動を取り締まる権威をもった組織になりえていないのである。

 では、不法な行動と侵略的行為を繰り返す中国に対して、日本は何をすべきであろうか。


 以下、二国間会談や国際会議等を通じて中国に強く抗議し、違法な措置の撤回を求める。国外に情報を発信し、日本の対外政策が実現しやすい国際環境を作る、という2つの方策について述べる。

(1)二国間会談や国際会議等を通じて中国に強く抗議し、違法な措置の撤回を求める。

 日本政府は、海警法が国際法違反であるという抗議をしていないと前述したが、首脳会談や国際会議などの場において海警法が国際法違反であることを明確かつ強く抗議することが重要である。

 抗議するとは異議申し立てのことである。相手国の違法または不当な行為に対して、その取り消し・変更を申し立てることである。

 中国研究の専門家遠藤誉氏は、『すべては92年の領海法が分かれ目』と題する記事の中で、抗議の重要性について次のように述べている。

(1992年2月25日、中国が領海法を制定したに対して、日本が)以下のような抗議をしていた記録があることを発見したので、紹介する。

①2月26日:在北京日本大使館より中国外交部へ口頭で抗議

②2月27日:小和田外務事務次官より楊振亜在京中国大使へ口頭で抗議

➂3月16日:日中外交当局協議で抗議

④4月:訪日した江沢民総書記に対して宮澤総理が善処を求める。

 しかし少なくとも、例えば「善処しないのなら、天皇訪中を中止するぞ」というような、大きな反撃を日本政府がしたかというと、今のところ、そのような痕跡を見い出すことはできない。

 日本をはじめとした「領海法」関係国には責任がある。

 あのとき、どのようなことがあっても、関係国が一致団結して抗議し、撤廃させるべきだった(Yahoo!ニュース2015年4月21日)。

 また、同氏は、「日本の外交敗北──中国に反論できない日本を確認しに来た王毅外相」と題する記事の中で、次のように述べている。

「2020年11月24日、中国の王毅外相は茂木外相と会談し、会談後の記者会見で(王毅外相は)『最近、一部の正体不明の日本の漁船が釣魚島(尖閣諸島)のデリケートな海域に侵入している」

「中国はそれに対して必要な対応をするしかない。この問題に関する中国の立場は非常に明確で、われわれは今後も引き続き中国の主権を守っていく』と述べた」

「これに対して茂木外相はその場で反論することもなかった。(中略)25日には菅総理とも会談したが、尖閣諸島問題に関して、やはり『中国側の前向きの対応を強く求めた』としているだけで、日本側は誰一人『尖閣諸島を中国の領土などと言うのでしたら、どうぞお帰り下さい。会談はここまでに致しましょう』とは言っていない」(出典:ニューズウィーク日本版2020年11月30日)

 筆者は、上記の遠藤誉氏の意見に同感である。日本政府は、何かと中国政府へ忖度しているように見える。

 中国による経済制裁を恐れているのであろうか。日本は、経済制裁を受けながらも中国の意に逆らう豪州を見習うべきである。

 2020年12月26日付け日本経済新聞は、「与党・保守党で嫌中感情が高まる英国では、中国との経済関係が密接になると、(中国からの)政治的な圧力に抵抗しにくくなるという見方がある。こうした見方からすれば、豪州は勇敢な態度で臨んでいるうえ、先見の明があるといえそうだ」と報じている。

(2)日本の対外政策が実現しやすい国際環境を作る。

 日本の対外情報発信力が弱いことは外交・安全保障の専門家からつとに指摘されている。

 2013年7月2日に領土問題担当大臣のもとで開催された「領土・主権をめぐる内外発信に関する有識者懇談会」は、「戦略的発信の強化に向けて」と題する報告書を公表した。

 同報告書は、12項目の提言という形で取りまとめている。提言は、「内外発信全般について」、「尖閣諸島をめぐる内外発信について」、「竹島問題に関する内外発信について」の3つに区分されている。主要な提言は次のとおりである。

ア.領土・主権をめぐる内外発信全般について


① 領土・主権をめぐる対外発信に関しては、第三国の国民に日本の主張がよく分かるような論点を選択し、集中的に戦略的広報を実施する必要がある。

② 国際的に影響力・発信力のある第三国において、日本の立場への支持を得るべく、英語による発信を抜本的に強化する必要がある。

③ 領土・主権をめぐる発信に際しては、有識者、シンクタンクおよび海外の研究者等の政府以外の主体からも重層的に発信する必要がある。

④第三国に対して領土・主権に関する日本の立場を「ワン・ボイス(一貫性のある言葉)」で発信することが有効である。

イ.尖閣諸島をめぐる内外発信について

①尖閣諸島をめぐる内外発信においては、中国の物理的な力の行使による現状変更は許されないという点を強調すべきである。その際、日中関係を戦略的互恵関係で発展させるとの外交上の目標と十分整合性を考慮すべきである。

②尖閣諸島について、中国が 1971年になって初めて領有権を主張してきた事実を対外的にアピールすることが有効である。また、正しい事実関係について中国語で発信することも重要である。

ウ.竹島問題に関する内外発信について

①竹島問題では、日韓関係の大局的観点に留意しつつ、長期にわたって日本の立場を適 切に発信していく必要がある。そのためには、竹島問題に関する国内世論の啓発が極めて重要である。

②竹島問題に関しては、1950年代に韓国が力によって竹島を奪取し、不法な占拠を継続しているのに対し、日本政府がこの問題に関して国際司法裁判所付託を含む平和的方法により国際法に則って解決を追求してきた点を対比的に発信すべきである。

 上記の報告書は、当時の状況について「日本の領土・主権をめぐる内外発信に関しては、関係国の多岐にわたる情報発信が先行しており、日本が後れを取り、第三国向けの発信が圧倒的に不足しているとの危機感が共有された」と述べている。

 当時の状況と現在のそれはあまり変わっていないように筆者には思われる。領土問題担当大臣には、是非とも上記提言の具現化の状況を検証していただきたい。

おわりに

 本稿は、「海警法」の国際法違反の側面に焦点をあてたが、同法律は、中国海警局の武器使用規定なども定めている。

 中国海警局が外国の船に対して武器の使用を認める「海警法」が施行されてから、海警局の船が頻繁に尖閣諸島周辺海域で領海侵犯を繰り返している。

 中国の侵略的行為に対処するために、日本は厳しい制約が課せられている現行の武器使用基準を早急に改正しなければならない。武器使用基準の改正の詳細は、拙稿『中国海警局の武器使用:日本の問題点と必要な法整備』(2021.2.19)を参照されたい。

 さて、国際法違反の勝手な法解釈によって、関係諸国を威嚇・恫喝している中国に対する有効な手段は、「航行の自由作戦」であろう。


 海上自衛隊はこれまでのところ、「航行の自由作戦」に参加していない。

 2015年11月22日、安倍晋三首相(当時)は、マレーシアのクアラルンプールでの記者会見で、「(航行の自由作戦は)米国が独自に行っているもので、自衛隊の活動とは別のものだ。我が国がこれに参加することはない」と述べている(出典:日本経済新聞2015年11月22日)。その後、政府から参加の有無に関する発言はなされていない。

 筆者は、海上自衛隊の艦船は、米国主導の「航行の自由作戦」に参加すべきであると考える。

 それは米国の対等な同盟国になる第一歩であり、同時に、俗な言い方をすれば、中国にナメられない存在になる第一歩でもある。